Fate/kaleid liner knight   作:シャチ猫

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お待たせいたしました。
第2話です!

今回の話が2024年最後の投稿になります!

それでは、どうぞ!




第2話 裂/another girl

三人称side

遡るほど数時間前・・・

 

「————ええ・・・はい・・・・・・・え?地脈の正常化・・・ですか?」

 

凜は穂群原学園高等部の校舎の屋上で大師父と電話をしていた。

隣にはルヴィアもおり、凛と大師父の会話を聞いていた。

 

[そうじゃ。地脈を乱しておった原因のカードはお前たちによって回収されたがあれから既に2週間余り・・・いまだに回復には至っておらんじゃろ?]

 

「はい・・・虚数域への穿孔は閉じたので自然回復するはずですが・・・」

 

大師父の言葉に凜は答えた。

凜も異常な状態であることは分かっていた。

 

[そうならんということは狭窄しているか栓ができたか・・・あるいはその両方じゃ]

 

さらに大師父は言葉を続けた。

 

[そこでお前たち、龍穴から高圧縮魔力を注入し地脈を拡張しろ]

 

大師父は凛とルヴィアに新たに任務を与えた。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!そんな数十人規模で編成する大儀式じゃないですか!?2人でどうしろと・・・」

 

凜は大師父の無茶な任務に抗議をしようとした。

だが。

 

 

 

[なにを寝ぼけておる。お前たちにはステッキを貸しておるじゃろう]

 

 

 

ビクンッ!!

 

 

大師父の言葉に凛とルヴィアは肩を震わせたと同時に冷や汗が噴き出した。

肝心のステッキは今2人の手元にないからだ。

 

「え?えー?あー・・・・・・・ハイ・・・」

 

[アレにはろくでもない精霊がついとるが無限の魔力供給が可能な特殊魔術礼装じゃ。とにかくそれで魔力を地脈にブチ込めばよい。できるな?]

 

「えっ!?え・・・ええー!できますともー! 」

 

『ついでに念を押しておくが・・・』

 

大師父はさらに言葉を続けた。

 

[ステッキは使い方を誤れば極めて危険な兵器と化す・・・厳重に管理し誰の目にも触れさせぬのが好ましい。ましてや・・・]

 

 

 

[一般人を巻き込むなど言語道断じゃぞ]

 

 

 

大師父の最後の言葉に凛とルヴィアはさらに冷や汗が流れた。

ステッキが手元にない上にイリヤ、美遊、大和と魔術とは無縁の一般人を現在進行形で巻き込み中と大師父の言う禁忌をいきなり犯している。

 

「なっ・・・な————に言ってるんですか大師父—!!あああ当たり前じゃないですか!分かってますよー!私たちにどーんとお任せください!あははははー!!」

 

引きつった凜の笑いが屋上に響いた。

 

 

 

 

大和side

リムジンの中で凛さんとルヴィアさんから今回の任務の内容を聞いた。

そして俺たちは今リムジンから降りて冬木市から離れているお寺〈柳洞寺〉の階段を上っている。

ちなみに、イリヤと美遊はいつでも動けるように既に転身している。

 

「うーん・・・結局のところ・・・私たちの権力関係は変わってないわけね」

 

イリヤの言う権力関係とは

 

(使役)イリヤ

イリヤ(使役)ルビー

ルビー(使役)

 

という三竦みの状態のことらしい。

 

『いやいや、イリヤさん。凜さんの言うことなんて聞かなくていいんですよー』

 

ルビーがそう言った瞬間。

 

あんた(ルビー)が私の言うこと聞けばこんな事頼まなくても全部解決するのよ!!」

 

凜さんはルビーを捕まえて引きちぎらんばかりに左右に引っ張った。

 

『ルビーちゃんは暴力には屈しませーん!』

 

引っ張られながらもルビーは変わらずだった。

そんな様子をイリヤは苦笑いしていた。

凜さんは諦めたのかルビーを引っ張るのをやめて空に放り投げた。

それをイリヤがなんとかキャッチした。

 

「こっちよ。早く来なさい」

 

柳洞寺まで続く長い階段の中腹くらいまで来たところで、凜さんとルヴィアさんは階段の横の林の中に入って行った。

俺たちもついていくと、凜さんとルヴィアさんが立ち止まった。

 

「どうしたんですか?」

 

「結界ですわ」

 

「一般人が入り込まないようにするための配慮ね」

 

俺の質問に凜さんとルヴィアさんが答えてくれた。

前を見ると巨大な岩があった。

これが結界?

 

「じゃあ私たちも入れんじゃ・・・?」

 

「この程度の結界なら何の問題もありませんわ」

 

イリヤの言葉にルヴィアさんが答えた。

 

「3人ともちょっと下がって頂戴」

 

凜さんの指示に従い俺たちは数歩後ろに下がった。

 

凜さんは持っているバイオリンケースみたいな物とは逆の手で前にかざした。

すると、突然強風が吹き荒れた。

俺たちは思わず目を閉じた。

すぐに強風は止み目を開けると、さっきまであった強大な岩がなくなり、道が開けていた。

 

「さ、行くわよ」

 

凜さんとルヴィアさんは先へ進んだ。

この2人は何だかんだ言ってもすごい魔術師なんだな。

そういえば2人とも時計塔っていう魔術を学ぶ学校の首席候補だったっけ。

 

そんな2人に関心をしていると。

 

 

 

 

ズボボボーン!!

 

 

 

 

突然2人が視界から消えた。

 

「「底なし沼だ————!!!」」

 

なぜか分からないが進んだ先には沼があった。

 

「なんでこんなところに致死性のトラップが——!?」

 

「どういうことですの——!?」

 

2人は抜け出すために藻掻くが、ズブズブと沈んでいく。

 

「凜さん!?」

 

「大丈夫ですか、ルヴィアさん!?」

 

「あだだだだだ!?なんで髪を引っ張るんですの美遊——!?」

 

イリヤは凜さんの両腕を掴んだが、美遊は焦っていたのかルヴィアさんの縦ロールを掴んでしまった。

 

『こいつら本当に凄腕の魔術師か?』

 

ゾルバの言葉に俺もそうかもと思ってしまった。

さっきまで思っていたことは何だったんだろうな。

その後、凜さんとルヴィアさんはイリヤと美遊によって何とか救出された。

 

凜さんとルヴィアさんを底なし沼から出して先を急ぎ、たどり着いたのが大きな大空洞だった。

 

「うわー・・・すごい大空洞・・・こんなところがあったんだ」

 

「確かに。これは滅多に見られるものじゃないな」

 

『こりゃ壮観だな』

 

まさか冬木市にこんなものがあったなんてな。

あまりの光景にゾルバも感心する声を上げた。

 

「道中危うく死にかけたけどね・・・」

 

『開始早々最高におマヌケなデッドエンドでしたねー』

 

凜さんはさっきの底なし沼で体中がドロドロに汚れていた。

 

「うぅ・・・私の縦ロールがゆるふわカールに・・・」

 

『愛され系ですね』

 

「すみません・・・」

 

ルヴィアさんに至っては汚れただけでなく、髪型も変わっていた。

あんなに髪を引っ張ったら髪型も変わるか。

別にそれはそれで変ではないと俺は思うがな。

 

「やれやれ・・・ちゃっちゃと終わらせて帰るわよ」

 

凜さんは持ってきてケースの中から根元がねじれた枯れ木みたいな物を取り出した。

 

「よい・・・しょっと」

 

それを地面に突き刺した。

ルヴィアさんが枯れ木を中心にして宝石で魔法陣を描いた。

すると、魔法陣が光輝き、枯れ木はみるみる成長して1本の葉のない木にまでなった。

 

「地礼針、設置完了。それじゃあ、イリヤ、美遊。頼むわよ」

 

「は、はい!」

 

「分かりました」

 

イリヤと美遊は地礼針を間に入れ、お互いに向き合うように立った。

 

「魔力注入開始!最大出力よ!」

 

凜さんの合図とともにイリヤと美遊はルビー、サファイアをそれぞれ地礼針に掲げ魔力を注入し始めた。

俺は特にやることがないから後ろに下がって様子を見守っていた。

 

「充填率20・・・30・・・40・・・」

 

ルヴィアさんが魔法陣に手を当てて魔力の量を調べていた。

魔力を注入している地礼針は青白く輝き始めた。

 

「いけるわ・・・出力そのまま維持!」

 

凜さんも魔法陣に手を当ててイリヤと美遊に指示を出した。

 

「60・・・75・・・90・・・100・・・110・・・115・・・!・・・120!!」

 

Öffnen(解放)!!」

 

 

 

 

ズドンッ!!

 

 

 

 

 

地礼針に注入していた魔力が地脈に注がれた。

少しの間地鳴りがしていたが、やがて収まり辺りは静かになった。

地礼針の魔法陣も消えていた。

 

「これで終わり?」

 

「ふぅ・・・一応ね」

 

イリヤはキョトンとした様子だった。

かく言う俺も少し拍子抜けた感じだった。

もっと派手な感じを想像していた。

 

「効果のほどはまた改めて観測しなきゃいけないけど・・・」

 

「ひとまず作業は終了。早く帰りますわよ」

 

凜さんとルヴィアさんの様子を見ると、本当に終わったらしい。

俺は4人の元に近づこうとしたら、ふと足元の小石が目に入った。

その小石は小刻みに揺れ動いていた。

 

「凜さん、ルヴィアさん。何か変で・・・」

 

2人に声を掛けようとした。

その時_____

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 

 

 

地鳴りが大空洞全体に響き始めた。

 

「ちょっと待て!これは・・・!!」

 

凜さんが言った瞬間、地礼針を中心に地面が割れ魔力が溢れ始めた。

 

「ノックバック!?うそ・・・出力は十分だったはずよ!?」

 

「まずい・・・来ますわ!!」

 

 

 

 

逆流・・・・ッ!!

 

 

 

 

 

 

地面が一気に割れて、溢れ始めた魔力の勢いは強くなり、大空洞全体にまで広がった。

 

「きゃあっ!?」

 

「くうっ!?」

 

魔力の勢いで地面が隆起して凜さんとルヴィアさんが立っていた地面が高く打ち上げられてしまった。

 

「凜さん、ルヴィアさん!!」

 

「私が!イリヤは退路を!!」

 

美遊はすぐさまイリヤに指示を出して、凜さんとルヴィアさんの救出に行き、2人と両肩に担ぐように抱えた。

 

俺は魔戒剣を天に掲げ、孤を描き、鎧を召喚した。

そしてすぐさま美遊の所に飛び、美遊の周りの岩を斬っていった。

 

「大和!」

 

「俺が道を作る!美遊はそのまま2人を!」

 

俺はそう言って美遊の周りに飛来している岩を斬りながら、出口まで急いだ。

飛びながら進んでいると、目の前に視界を覆うほどの岩が複数降ってきた。

 

俺は七十二煩悩鳳で岩を斬ろうとしたら、突然俺と岩の間に何かが入ってきた。

 

「イリヤ!?」

 

何でイリヤが!?

 

 

「クラスカード〈アーチャー〉」

 

 

 

 

夢幻召喚(インストール)!!!

 

 

 

イリヤの衣装が魔法少女の物から露出度の高い服に変わっていった。

あれは英霊の黒騎士と戦った時の・・・!

 

イリヤは右手を岩に向けた。

 

 

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!!!

 

 

 

イリヤの右手から紫色に輝く4つの花びらのようなものが出現した。

 

「光の盾・・・!?」

 

イリヤが出現させた盾は落下してくる岩を押し留めていた。

 

だが、少しするとイリヤがぐらつき始めた。

それと同時に展開されていた盾も消え始めた。

 

まずい!!

 

俺は素早く岩に近づき斬っていった。

だが、まだまだ岩が降って来る。

 

なら、ここは・・・!

 

一旦弐式と参式を消して、両腕に力を込めた。

 

「はあぁぁっ!!」

 

 

 

龍巻き!!!

 

 

 

体を一回転させ、旋風を巻き起こした。

放たれた旋風は周りの岩を砕き割っていった。

そして、砕かれた岩によって砂煙が辺りを立ち込めた。

 

 

しばらくたつと、砂煙がおさまり大空洞が静寂に包まれた。

 

『大丈夫ですか、みなさーん?』

 

ルビーがイリヤから離れて俺たちの安否を確かめに来た。

 

「俺は無事だ」

 

『まあただの岩で潰れはしないがな』

 

俺は鎧を返還しながらルビーの応答に答えた。

 

「それより凜さんたちは?」

 

「ここよ・・・げほっげほっ!何だったのよ今のは・・・!?」

 

凜さん達は俺とルビーの近くにいた。

美遊は転身しているおかげで、ケガはなかった。

凜さんも見た所、体が汚れている以外は何ともないようだ。

 

「美遊!大丈夫ですの!?」

 

そしてルヴィアさんが、がばっと起き上がって美遊の安否を確認した。

 

「はい、大丈夫で・・・いや、ダメそうです!ルヴィアさんが!」

 

ルヴィアさんは頭に瓦礫が直撃しており、そこから血が流れていた。

 

「すみません、ルヴィアさん。完全には防ぎきれませんでした」

 

「?何のことですの大和?」

 

どうやらルヴィアさんは自分の状態が分かっていないらしい。

 

『ルヴィア様。一度自分の姿を確認した方がよろしいかと』

 

「?」

 

サファイアの言葉にもまだピンときていなかった。

 

『本人が元気ならいいんじゃないか?』

 

かなり心苦しいがゾルバの言葉に納得しよう。

あとは、イリヤだ。

 

「イリヤ、どこだ!」

 

「ここだよ~」

 

向こうからイリヤの声がしてきた。

声だけだが、無事のようだな。

俺はイリヤの声のする方向に向かっていった。

イリヤの姿が見え、声を掛けた。

 

「イリヤ、ケガは・・・」

 

だが、目の前の光景のせいで途中でやめてしまった。

 

『どういうことだ、これは?』

 

ゾルバも困惑の声をあげた。

 

「・・・・・・ッ!?」

 

「はあ・・・!?何それ!?」

 

「これは・・・どういう・・・」

 

俺とゾルバに続くように、美遊、凜さん、ルヴィアさんも驚きを隠せないでいた。

だが、それは無理もないことだった。

 

 

何たって、今俺たちの目の前には_______

 

 

 

 

 

 

「「え・・・・・・・・・・?」」

 

 

 

 

 

 

イリヤともう一人、イリヤと顔が瓜二つの褐色肌の女の子がいたからだ。

 




いかがでしょうか。

今回でようやく最後のヒロイン、クロの登場です!
と言っても、ほんの少しですが・・・。

次からはクロをもっと活躍させようと思います!

それと、今回無刀流を使用しました。
また、設定集に追加しようと思います。


話は変わりますが、2024年も残り2日となりました。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?

これからもみなさんを楽しませれるよう邁進してまいります!
2025年になっても、≪Fate/kaleid liner knight≫よろしくお願いします!

それでは、よいお年を!!
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