『どんな育て方をしたらここまで才能を引き出せるのだろうか?』
このセリフを何回聞いたことか。
そしてそれを誤魔化すために何回嘘を吐いたことか。
「ここから先は他言無用で頼む。」
「いきなり呼びつけておいて、貴方ともあろう方が。」
普段は絶対に余裕を持って伝える筈なのに、今回ばかりはそうはいかなかった、
「まず、キミの正体から。」
いつも明るい顔をして接しているのに、珍しく暗い。
その目からは後悔が滲んでいた。
「簡単に言うと『創られた存在』とでも言っておこう。
誰が創ったのかは申し訳ないけど……」
「『創られた存在』ね……」
「空想の物語だとでも思っただろうけど実際に創られた。
ボクは反対したんだけどね、それでも止められなかった。」
本来は妖怪は妖怪として自然と生まれるもので、人為的に創られるものではない。
まあ当たり前だが。
「で、当然創られた存在なら欠陥がある、その内の一つに『能力が無い』というのが。」
「そう、能力があろうが無かろうがキミの行く先は変わらない気がするけど。」
「それで、オレを創った『創造主様』ってのは誰で?」
さっき言わないと言った筈なんだがな……と彼は苦笑しつつもその名を口にした。
「宇迦之御魂神。」
「フン、あんなのがオレを創ったなんてな。」
「同感だ。」
○
『そこの赤い館よ、博麗の巫女に先を越される前にチャチャッと解決しちゃいなさい。』
門番は寝ている。
むしろ好都合だ。
こんな所で無駄な争いはしたくない。
フードを被り、館のドアを開ける。
殺伐とした雰囲気に、かすかに血の匂いが鼻につく。
「……先を越されたか。」
メイドが気絶してど真ん中に倒れている。
そこら中にナイフが散らばっている辺り、どうやらDIOのように時を止めて戦っていたのだろう。
『ああ、言い忘れていたけど能力を貸しておいた。どんな能力かは使ってからのお楽しみってことで。』
ちなみに彼の能力は『化かす程度の能力』らしい。
狐妖怪の原点にして頂点とも言うべき能力。
それを極めた結果が彼のようなモノだ。
『暇があったらそっちに行こうとは考えてるよ、そっちはもう終わった?』
「先を越されてしまってね、まあ会えるんだったら楽しみにしてるよ、『道化師』さん?」
あーあ、この状況を紫殿にどう報告しようか。
どうせ見てるんだろうけど。
「……どうも誰かに監視されながら生きるってのはやりづらくてしょうがねぇな!!」
館を出た後にふとそんなことを大声で言ってしまった。
今更何を言っているんだろうか。