一応矛盾が無いように作りましたが「ここおかしいよ」という場面が出てくるかもしれませんが、笑って許してください……。
最後に、キャラクターの思い出を崩さないように書いたら会話が少なくなってしまいました。
上記を頭の片隅に置いてお楽しみいただけたらと思います。
オレイカルコス事件が収束し、名もなき竜が空へ消えていったあの日から数年の時が流れた。デュエルモンスターズ界はすっかり平和を取り戻し穏やかな日々が流れていた。
「……暇だなぁ」
宮殿のような建物の縁で足をブラブラさせているのは、デュエリストなら誰もが知っているアイドル、ブラック・マジシャン・ガールである。伝説のキングオブデュエリスト、武藤遊戯が持つカードにして切り札の一枚でもある。そんな彼女はすっかり暇を持て余し建物の下をのぞき込んでいた。すると……。
「……ったです」
「……よねえ」
そこにいたのは魔法使い族のエルディーンと水属のヴィシュワ・ランディーであった。
「二人とも何してるの ? 」
「あ、こんにちはガールさん」
「あらガールじゃない ? 」
飛び降りてきたブラック・マジシャン・ガールに驚く様子も無く挨拶をする二人。これはもう日常茶飯事なのだろう。
「実はね、最近人間界にできたマッサージ店に行ってみたんだけど……これが凄く気持ちよくてね、なんだか力が湧いてくるのよ ! 今ならダンスだってできちゃいそうよ ! 」
「さ、さすがに私はそこまでではありませんが……でもホーリー・エルフさんやディアン・ケトさん、女剣士カナンさんはよく通っているみたいですね」
「そうそう、エルフは紅いドレス着て扇子振り回してるし、カナンはガングロだし、ディアン・ケトに至っては若返ってるし」
「……マジ ? 」
「マジマジ、人間界で言うバブリーって感じみたいな……おっと」
どうもデュエルモンスターズ界では新たな異変が起きているらしい。特に清楚な感じやレトロな感じのモンスターが豹変しているようである。
『これ、調べに行った方がいいわよね……』
ブラック・マジシャン・ガールはマスターである遊戯に連絡を取ろうとしてやめた。遊戯は既に名も無きファラオとの決別を果たし、新しいゲームを作るという夢に向かって歩み始めている。今の彼を自分たちの都合にこれ以上巻き込むわけにはいかない。今回の異変は自分たちで解決する、それがブラック・マジシャン・ガールの決意であった。
*
『……ここが例のマッサージ店か』
ブラック・マジシャン・ガールはかつて人間だった頃の名前、マナを名乗り再び人間界へ降り立った。現在彼女は一人の男性が経営しているというマッサージ店の前までやってきた。見た目は何ともない普通の綺麗な店舗である。そっと中を覗いてみると多くの店員が働いている。
中では働いている人間は特に洗脳されているような様子は見られない。そして時間が経過し部屋の奥からは冴えない小男が出てきた。
「みなさんお疲れ様でした。今日の業務はこれで終了です」
物腰柔らかそうな男であり下品そうな感じも見られない。想像していた感じと違うがマナは中へ入ってみる事にした。
「あ、あの~予約してないんですけど、まだやってますか ? 」
「あ、お客様ですか ? すみません、今日はもう営業時間が……ん、あなたはブラック・マジシャン・ガール ? 」
「え ? ど、どうしてそう思うんですか ? 」
マナは即座に正体をズバリと言い当てられて動揺するがなんとか冷静に取り繕う。
「いや……実は私も精霊でして。よければ中でお茶でも……」
興味津々の小男を怪しむが、折角のチャンスなのでブラック・マジシャン・ガールは誘いに乗ってみる事にした。
「ではこちらの部屋で……皆さんは退勤してください。お疲れ様でした、明日は休みなので身体を休めてください」
お疲れ様です、という言葉と共に従業員は退勤し、建物の中にいるのはマナと小男だけとなった。
*
「……ああ、その皆様ですか。確かに来店されましたが特別おかしなことはしていませんよ ? 俺特有のマッサージはしましたが……」
「あの、そのマッサージが理由という事は……」
「そんなことは……いや、あるかも。特に女性モンスターの皆さんには効果覿面みたいでして。特に古参の方々は」
小男はぽつりと話す。ここへ来た女性モンスターは『使い道がないし古いという理由で全然デュエルで使ってくれない』という悩みを抱えていた。小男は得意としているマッサージを普段以上に入念に行った所、気持ちが晴々したと言い出て行ったらしい。つまり別に小男は狙って女性モンスターを狙ったわけではないようだが……。
「……ちなみにそのマッサージってどんなのなんですか ? 」
「ああ、それは……」
小男はそこで話すのをやめて一つの提案をしてくる。
「マナさん、一つデュエルをしませんか ? 」
「デュエルですか ? それは構いませんけど……どうして急に ? 」
「実は俺も精霊の端くれ、私にとってあなたはアイドルなんですよ。しかもあの武藤遊戯が使ったモンスターであるあなたは特別な存在なのです。そんなあなたの頼みならば、本当なら無条件で引き受けたいところですがそれでは面白くない。そこで、あなたが勝ったら例のマッサージを無料で施術しますしお店の無料招待券も差し上げます」
「……負けたら ? 」
「負けてもマッサージは行います。ですが……そうですね、負けたら『あなたのカードをください』これが何を意味するかわかりますよね ? もちろん悪用は絶対にしないと約束します」
マナは身体を固くする。自身の依り代となるカードを渡す、それは『カードの持ち主は自分が信頼できる大切な存在である』と外部に漏らす事。わかりやすく言うと。
俺、ブラック・マジシャン・ガールの彼氏なんだぜ !
普通ならそんな事を言っても『嘘つくんじゃねぇよ』と言われ誰も信じないだろうが、この依り代カードを持つ事でそれが本当の事と取られる。
「……いいわ、受けましょう。でもあなたも依り代のカードを賭けてもらうわ」
「もちろんです。ただし、互いにカードを賭ける以上通常のデュエルに二つ特別ルールを加えさせて頂きます。
1.互いのプレイヤーは依り代カードをデッキに入れなければならない。ただし、正体は明かさなくてもよい。
2.依り代カードが場に出て、そのモンスターがバトルで破壊または戦闘ダメージを受けた場合、ダメージはプレイヤー自身も受ける。
よろしいですね ? 」
マナは特別ルールを聞き、自身が極端に不利なルールであったり自身に影響が無いと判断した
「いいでしょう、デュエルよ」
「わかりました。幸いこの部屋はある程度広いですからデュエルもできます。では勝負開始の前にコイントスで先攻後攻を決めます。表裏、当てた方が好きな方を決めるということで……」
「いいわ、じゃあ私は表を」
「では俺は裏で……表ですね」
「私は後攻をもらうわ」
「いいでしょう。では合図を……」
「「決闘・・ ! ! 」」
1ターン目
「では俺のターン。私はモンスターをセット、さらにカードを二枚伏せてターンエンドです」
*
2ターン目
「私のターン、ドロー……よし、私は熟練の黒魔術師を召喚」
熟練の黒魔術師 ATK 1900
「魔法カード『融合賢者』を発動。デッキから魔法カード『融合』を一枚手に入れる。熟練の黒魔術師の効果により、自身に魔力カウンターが一つ乗るわ」
融合 デッキ→手札
熟練の黒魔術師→魔力カウンター1
「熟練の黒魔術師、魔法カードを使う度にカウンターを乗せるカード。やはり初手はあのカードですか」
「多分あなたの読み通りよ。私は魔法カード『竜破壊の証』を発動。デッキから『バスター・ブレイダー』を一枚手に入れる。さらに『熟練の黒魔術師』に二つ目の魔力カウンターが乗るわ」
バスター・ブレイダー デッキ→手札
熟練の黒魔術師→魔力カウンター2
「魔法カード『強欲な壺』を発動。デッキからカードを二枚引く」
手札 4→6枚
熟練の黒魔術師→魔力カウンター3
「これで魔力カウンターは3。私は熟練の黒魔術師をリリースして『ブラックマジシャン』を特殊召喚するわ ! 」
熟練の黒魔術師 場→墓地
ブラックマジシャン デッキ→場
「一ターン目からいきなりブラックマジシャンですか、しかも貴方の手札にはあの二枚が…… ! ? 」
「まだよ。私は『融合』を発動。場のお師匠様と手札の『バスター・ブレイダー』を融合。
出でよ『超魔導剣士-ブラック・パラディン 』!」
超魔導剣士-ブラック・パラディン ATK 2900
超魔導剣士-ブラック・パラディン EXデッキ→場
「ぐ、やっぱりそれですか」
「墓地にドラゴンがいないから攻撃力は変わらない。バトル、ブラック・パラディンで裏守備モンスターを攻撃。超魔導無影斬 ! 」
裏守備モンスター
メタモルポット DEF 600
「メタモルポット ! ? 」
「『メタモルポット』のリバース効果発動、互いのプレイヤーは手札を全部捨て、新たにカードを五枚引く」
マナ 手札→墓地
熟練の白魔術師
黒・魔・導・爆・裂・破
死者転生
黒・魔・導・連・弾
黒魔族復活の棺
??? 手札→墓地
ワームドレイク
ヒューマノイド・スライム
超魔導剣士-ブラック・パラディンATK 2900 VSメタモルポットDEF 600
メタモルポット戦闘破壊 !
「この瞬間罠カード『道連れ』を発動。メタモルポットを倒したブラック・パラディンを破壊する」
超魔導剣士-ブラック・パラディン 効果破壊 ! 場→墓地
「リバースカードを一枚セットしてターンエンドよ」
1巡目
マナ LP4000
手札4枚
場
モンスター 無し。
魔法・罠 伏せ1枚。
??? LP4000
手札5枚
場
モンスター 無し。
魔法・罠 伏せ1枚。
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3ターン目
「俺のターン、ドロー。伏せておいた魔法カード『闇の量産工場』発動、墓地から『ワームドレイク』『ヒューマノイド・スライム』を手札へ戻す」
墓地→手札
ワームドレイク
ヒューマノイド・スライム
「次に俺も『融合』を発動。手札に加えた『ワームドレイク』『ヒューマノイド・スライム』を融合し『ヒューマノイド・ドレイク』を融合召喚 ! 」
ヒューマノイド・ドレイク EXデッキ→場
ヒューマノイド・ドレイク ATK 2200
「さらに魔法カード『蜘蛛の糸』を発動。前のターンに墓地へ置かれた魔法カードを1枚選んで手札に加える。俺は『強欲な壺』を手に入れて、発動。カードを2枚引く」
??? 手札6枚
「バトルだ、『ヒューマノイド・ドレイク』でプレイヤーにダイレクトアタック ! 」
「リバースカードオープン、永続罠『正統なる血統』発動。墓地からお師匠様を攻撃表示で特殊召喚し装備するわ」
ブラックマジシャン 墓地→場 ATK2500
「蘇生カード……攻撃力が足りないか。仕方ない、ターンエンド」
*
4ターン目
「私のターン、ドロー。魔法カード『師弟の絆』を発動。デッキから『ブラック・マジシャン・ガール』を攻撃表示で特殊召喚 ! 」
ブラック・マジシャン・ガール 墓地→場 ATK2000
「さらに墓地から『黒・魔・導・連・弾』を場にセットして、これを発動。このターンだけ、ブラック・マジシャン・ガールの攻撃力をブラックマジシャンに加算する」
ブラックマジシャン ATK2500→4500
「攻撃力4500 ! ? 」
「まだまだ、魔法カード『千本ナイフ』を発動。『ブラックマジシャン』が放つナイフが『ヒューマノイド・ドレイク』を破壊するわ ! 」
ヒューマノイド・ドレイク 場→墓地
「ヒ、ヒューマノイド・ドレイクがこうもあっさりと……」
「バトル ! ブラックマジシャンでダイレクトアタック。ブラックマジック ! 」
「これを受けてたまるか ! 手札のクリボーを墓地へ捨てて効果発動。俺が受ける戦闘ダメージを1度だけ0にする」
??? LP4000
「まだよ、ブラック・マジシャン・ガールでダイレクトアタック。ブラックバーニング ! 」
「ぐおおおおッ ! ! 」
??? LP4000→2000
「こ、この瞬間手札から『冥府の使者ゴーズ』の効果発動、俺の場にカードが存在しない時になんらかのダメージを受けた場合、手札から特殊召喚する」
冥府の使者ゴーズ ATK2700
「さらに、受けたダメージの種類によってゴーズの更なる効果が起動するぞ。戦闘ダメージの場合、受けたダメージと同じ攻撃力と守備力を持つ『冥府の使者カイエントークン』を特殊召喚する」
冥府の使者カイエントークン ATK2000
「攻撃力が2体……リバースカードを2枚セットしてターンエンド。ブラックマジシャンの攻撃力は元に戻るわ」
ブラックマジシャン ATK4500→2500
2巡目
マナ LP4000
手札1枚
場
モンスター ブラックマジシャン ブラック・マジシャン・ガール。
魔法・罠 伏せ2枚 正統なる血統。
??? LP2000
手札4枚
場
モンスター 冥府の使者ゴーズ 冥府の使者カイエントークン。
魔法・罠 無し。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5ターン目
「俺のターン、ドロー。速攻魔法『サイクロン』を発動、これで……正統なる血統を破壊させてもらう。同時に装備されていたブラックマジシャンも破壊されるぞ。
正統なる血統 場→墓地
ブラックマジシャン 場→墓地
「だけど、ここでブラック・マジシャン・ガールの効果により、墓地にブラックマジシャンがいるから攻撃力が300アップする」
ブラック・マジシャン・ガール ATK2000→2300
「(どうする……あの伏せカード2枚、ブラフとは思えないが……だが相手は武藤遊戯が愛用していたモンスター、彼のデュエルを真近で見ている……モタモタしていては負ける。ここは勝負に出るしかない ! ) バトル、『冥府の使者ゴーズ』で『ブラック・マジシャン・ガール』を攻撃 ! 」
「……甘いわね。リバースカードオープン『聖なるバリアミラーフォース』攻撃表示でいる相手モンスターを全滅させるわ ! 」
「げッ ! よりによってミラーフォースだと ! ? 」
冥府の使者ゴーズ 場→墓地
冥府の使者カイエントークン→墓地
「ぐぬぬ……き、切り替えるしかない。俺はメインフェイズ2へ移り『アメーバ』を召喚」
アメーバ ATK300
「アメーバ……かなり昔のカード……」
「さらに魔法カード『強制転移』を発動。互いの場からモンスターを1体ずつ選び、選んだモンスターのコントロールを交換する」
「…… ! 私の場には ! ? 」
「互いの場にはモンスターは1体ずつしかいない。あなたが何もカードを発動しないのであれば効果処理に入りますがよろしいですか ? 」
「……効果は、使わない」
アメーバ ???→マナ
ブラック・マジシャン・ガール マナ→???
「アメーバの効果発動。相手にコントロールが移った場合2000のダメージを与える」
マナ LP4000→2000
「くっ……」
「ちなみに、俺の墓地にブラマジはいないからガールの攻撃力は2000に戻っているぞ。俺はカードを1枚伏せてターンエン……」
「待ちなさい、エンドフェイズにリバースカード発動『所有者の刻印』 ! 」
「なっ ! 『所有者の刻印』だと ! ? 」
「このカードの力で、場にいる全モンスターのコントロールを戻す」
アメーバ マナ→???
ブラック・マジシャン・ガール ???→マナ
「ああ……せっかくのブラマジガールが……」
「残念だったわね、私は安くないわよ。ところでまだエンド宣言が終わっていないけど……」
「この状態では何もできないよ、ターンエンドだ」
*
6ターン目
「私のターン、ドロー。私は魔法カード『賢者の宝石』を発動。墓地からブラックマジシャンを復活させるわ」
ブラックマジシャン 墓地→場
ブラック・マジシャン・ガール ATK2300→2000
「そして魔法カード……『ティマイオスの眼』を発動するわ ! 」
「な、なにぃッ ! ? 」
「場のブラックマジシャンと融合し『呪符竜 』を召喚 ! 」
呪符竜 EXデッキ→場
「ば、馬鹿な……名も無き竜のカードは役目を終えて消えたはず、何故それをあなたが…… ! ? 」
「あ、事件解決に協力したお礼ってことで、デュエルで使えるレプリカを貰っちゃいました」
「そんなことが……(いいなぁ……)」
「『呪符竜』の効果発動。互いの墓地にある魔法カードを任意の枚数取り除き、除外枚数1枚につき300ポイント攻撃力をアップするわ。枚数は15枚、よって攻撃力を4500アップ」
呪符竜 ATK2900→6400
「なっ ! ? 」
「バトル、『呪符竜』でアメーバを攻撃、呪符炸裂アミュレット・バースト! 」
「ええいッ、罠カード発動『強制終了』アメーバを墓地へ送り、このターンのバトルフェイズを強制的に終わらせる ! 」
マナ バトルフェイズ終了
「これ以上手は無いわ……ターンエンド」
3巡目
マナ LP2000
手札0枚
場
モンスター 呪符竜 ブラック・マジシャン・ガール。
魔法・罠 無し。
??? LP2000
手札1枚
場
モンスター 無し。
魔法・罠 強制終了。
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7ターン目
「俺のターン、ドロー……俺はカードを1枚伏せる」
(メインフェイズでセット……多分手札を増やすカードを使ってくるわね)
「魔法カード『命削りの宝札』を発動。手札が5枚になるようにカードを引き、自分のターンで数えて5ターン後のスタンバイフェイズに手札を全て墓地へ捨てる。手札は無いから5枚引く」
??? 手札5枚
「くっ……伏せておいた魔法カード『強欲な壺』を発動し、さらに2枚引く ! 」
??? 手札7枚
「(これではまだダメだ……)カードを3枚とモンスターをセットしてターンエンドだ」
*
8ターン目
「私のターン、ドロー。私も速攻魔法『サイクロン』発動。強制終了を破壊するわ」
「……強制終了はメインフェイズでは使えない……」
強制終了 場→墓地
「バトル、『ブラック・マジシャン・ガール』でセットモンスターを攻撃。ブラックバーニング ! 」
「待った、攻撃に対して罠カード『万能地雷グレイモヤ』発動。攻撃宣言時に相手の場にいる一番攻撃力が高いモンスターを破壊する。これで『呪符竜』を破壊するぞ」
呪符竜 場→墓地
「『呪符竜』の効果発動。墓地からブラックマジシャンを復活させるわ ! 」
ブラックマジシャン 墓地→場
ブラック・マジシャン・ガール ATK2300→2000
「またそいつか ! いい加減にしろ ! 」
「お師匠様は何度でもよみがえるのよ。いつでも私を助けに来てくれるんだから ! さあ、バトル続行よ ! 」
裏守備モンスター→リバイバルスライム(???) DEF500
ブラック・マジシャン・ガール ATK2000 VSリバイバルスライム DEF500
「ぎぃぃあああああッ ! ! ! 」
(あの人リバイバルスライムだったのね、でもなんで守備表示なのにダメージが……あ、そうか。依り代カードが破壊されたら自分もダメージ受けるってこういう事だったのか……)
「痛い痛い……ぐぐ、本当に痛い……さすがはブラックバーニング、強烈ですね……」
「あの……大丈夫ですか ? あちこちボロボロですけど……」
目の前にいる小男……リバイバルスライムはあちこちボロボロになっており、プスプスと身体が焦げている。
「ええ、まあ、大丈夫ですよ。すぐ再生できますから……それよりもリバイバルスライム…俺の効果発動、破壊された時にライフを1000ポイント支払い、次の俺のスタンバイフェイズに『リバイバルスライム』を表側守備表示で復活することが約束されるぞ」
リバイバルスライム 場→墓地
リバイバルスライム LP2000→1000
「で、では……『ブラックマジシャン』で……」
「いい加減あなたの師匠には退場してもらうぞ。罠カード発動『鳳翼の爆風』手札1枚をコストとして墓地へ送り『ブラックマジシャン』をデッキの一番上へ戻す。帰れ『ブラックマジシャン』 ! 」
ヒューマノイド・スライム 手札→墓地
ブラックマジシャン 場→デッキトップ
「バウンス効果 ! ? 」
「そうだとも、破壊でも除去でもなく戻す、これならばサポート豊富な『ブラックマジシャン』でも対応できまい」
「お師匠様……ターンエンド」
4巡目
マナ LP2000
手札0枚
場
モンスター ブラック・マジシャン・ガール。
魔法・罠 無し。
リバイバルスライム LP1000
手札2枚
場
モンスター 無し。
魔法・罠 伏せカード2枚。
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9ターン目
「俺のターン……ドロー ! 」
マナは嫌な予感がした。今まで武藤遊戯が戦ってきたデュエリストは追い詰められた際に必ずと言ってよいほど逆転のカードを引き当てていた。それは遊戯も例外ではないが……。
「ブラック・マジシャン・ガール……俺の勝ちです」
「あの……いくらなんでも勝利宣言早すぎませんか ? まだライフは残っているんですよ ? 」
「いや、勝ちだ……確かにこのターンでは決着はつかない。しかし、次のターンであなたを倒す。このカードでね ! 」
「……ッ ! ? 」
マナは感じた。リバイバルスライムが言っているのは決してはったりではないと。
「いきますよ、俺は『リバイバルスライム』の効果により自身を守備表示で特殊召喚」
リバイバルスライム 墓地→場
「次に魔法カード『ミストボディ』を発動し『ブラック・マジシャン・ガール』に装備。これを装備したモンスターは戦闘では破壊されない」
ミストボディ 装備:ブラック・マジシャン・ガール
「い、一体何を…… ? 」
「お次は『シンデレラ』を召喚」
「そ、そのカードは ! ? 」
シンデレラ ATK300
マナの前に現れたのはボロボロの衣服に身を包んだ女の子、だがマナは昔、とある事情でKCグランプリに遊戯がデュエルキングとして出場した際このシンデレラに苦しめられたのだ。だがよく見ると効果が少し違っている。
「このカードは以前手に入れたカードで、専用カードが生産中止になったことで効果が少し変わったようでしてね。では効果を説明しながらいきましょう。『シンデレラ』の召喚時、デッキから『カボチャの馬車』を1体特殊召喚する」
カボチャの馬車 DEF300
「『カボチャの馬車』も効果が違っていましてね、それに次に出すカードも……『カボチャの馬車』の効果発動。『シンデレラ』の効果で召喚した時、デッキから『ガラスの靴』を発動し『シンデレラ』に装備する」
カボチャの馬車を呼び出した魔女がシンデレラに魔法をかけ、シンデレラが美しいドレスに身を包む。さらに裸足だった彼女の足元にガラスの靴が出現した。
「『ガラスの靴』を装備したモンスターが『シンデレラ』だった場合、装備モンスターの攻撃力を1000ポイントアップする」
ガラスの靴 デッキ→場 装備:シンデレラ
シンデレラ ATK300→1300
「まだだ、魔法カード発動『守備封じ』リバイバルスライムを対象にし、表示形式を攻撃表示に変更」
リバイバルスライム 守備表示→攻撃表示
「これで準備ができた、バトルだ。『シンデレラ』で攻撃。だがこの瞬間『シンデレラ』の効果発動。攻撃宣言時に自身に装備されている『ガラスの靴』を破壊する事で、ダイレクトアタックが可能となる」
ガラスの靴 場→墓地
シンデレラ ATK1300→300
「効果が違うけどこれって……きゃあッ ! ? 」
マナ LP2000→1700
「『カボチャの馬車』の効果発動。『シンデレラ』が相手に戦闘ダメージを与えた場合、墓地の『ガラスの靴』を場のモンスターに装備し直す事ができる。これも『ブラック・マジシャン・ガール』に装備だ。俺からのプレゼントです。着飾ってください」
場にいるブラック・マジシャン・ガールの履いているブーツが輝くと消滅し、一時的に裸足になった彼女の足にガラスの靴が出現する。
「あの時と同じ……力が……力が入らない……」
ブラック・マジシャン・ガールは場でなんとかガラスの靴を脱ごうとするが、カンカンとガラスを叩く音が部屋に響くだけで靴はびくともしない。さらに空中に浮いていたブラック・マジシャン・ガールはゆっくりと床に着地してしまう。宙に浮くだけの魔力が足りなくなったのだ。
「『ガラスの靴』を装備したモンスターが『シンデレラ』ではなかった場合、装備モンスターの攻撃力を1000ポイントダウンさせる」
ガラスの靴 墓地→場(ブラック・マジシャン・ガール)
ブラック・マジシャン・ガール ATK2000→1000
「今度は俺の番だ、さっきはかなり痛かった、だが俺はあなたに痛みは与えない。『リバイバルスライム』で『ブラック・マジシャン・ガール』に攻撃」
リバイバルスライム ATK 1500 VSブラック・マジシャン・ガール ATK1000
ブラック・マジシャン・ガールはミストボディの効果で戦闘破壊されない。
「いやっ ! 放しなさいよ、放してッ ! ? 」
リバイバルスライムの全身がブラック・マジシャン・ガールにまとわりつく。本来であればリバイバルスライムを引き剝がすことなど容易い事だろう。しかし今のブラック・マジシャン・ガールはガラスの靴を履いておりパワーダウンしている。
「こんなの履いてなければ……」
「まあまあ、折角だから挨拶ついでです。まずは背中を……」
「 ! ? な、なにこれ……」
マナを突然場違いの気持ちよさが襲う。リバイバルスライムの攻撃は攻撃ではなく、どちらかと言えばマッサージであった。ブラック・マジシャン・ガールの露出している肌の部分にスライムのひんやりとする触手が触れる。ただそれだけなのだが力加減、温度、触感が絶妙であり思わずマナも場にいるブラック・マジシャン・ガールも思わず立っていられなくなるくらいであった。
「これは、いったい……ダメージを受けたはずなのになんでこんな……」
痛みには耐えられる、だが甘い快楽には耐えられない。これは生物である限り同じであろう。
マナ LP1700→1200
「俺の特技であるマッサージですよ。さて、俺はターンエンドです」
*
10ターン目
「私のターン、ドローッ ! 」
数多のデュエリストが1枚のカードで大いなる逆転劇を作り出してきた。マナにだってこの状況を逆転できるカードはデッキに眠っている。それを引き当てられれば……だが。
「罠カード発動『バトルマニア』発動ターンあなたのモンスターは全て攻撃表示になり、攻撃可能なら攻撃しなければならない」
ドローしたカード
ブラックマジシャン 星7
「お……お師匠様……」
「俺にはあなたの引いたカードがなにかわかっている。今まで何度も窮地を救ってくれた『ブラックマジシャン』が最後の最後で足を引っ張りましたなぁ ! 」
「う、うう……」
マナが取れる手はもう無い。手札は今引いたブラックマジシャンのみ、場には弱体化させられたブラック・マジシャン・ガールのみ、おまけにバトルマニアの効果で攻撃を強制される。
(ダメだ、もう攻撃するしかない……でも誰に……)
マナは依り代である自分が履かされているガラスの靴を見る、女の子なら誰もが憧れるガラスの靴は今や自身の拘束具ともなっている。現にマナ本人の魔力も半減しているし、デュエルで頭がいっぱいいっぱいの彼女は自分の足元・・・・・の変化に気が付いていない。
「……バトル ! 『ブラック・マジシャン・ガール』で『シンデレラ』を攻撃 ! ブラックバーニング ! 」
マナが取れるのはブラック・マジシャン・ガールでシンデレラかカボチャの馬車を攻撃する事だけだった。だが……。
「罠カード発動『シフトチェンジ』攻撃対象を『リバイバルスライム』に変更する」
「……ッ ! ? 」
ブラック・マジシャン・ガールの杖から撃ち出された魔導弾はリバイバルスライムの触手で軽々と弾き飛ばされてしまった。
「なんともやる気のない攻撃ですな」
「し、仕方ないでしょう ! それにあなたのせいでしょう、私にこんなの履かせて ! ? 」
「しかし攻撃されたのなら反撃しなければならないですねぇ」
リバイバルスライム ATK 1500 VSブラック・マジシャン・ガール ATK1000
ブラック・マジシャン・ガールはミストボディの効果で戦闘破壊されない。
マナ LP1200→700
リバイバルスライムの触手はブラック・マジシャン・ガールのお腹部分を優しく揉み解した。ブラック・マジシャン・ガールも、マナも、耐えたくても耐えられない感覚に数分間悶える事になった。ミストボディがある限りマナは逃げられない。ガラスの靴がある限りブラック・マジシャン・ガールは弱いまま……。
「タ……ターン、エンド……」
5巡目
マナ LP700
手札1枚
場
モンスター ブラック・マジシャン・ガール。
魔法・罠 無し。
リバイバルスライム LP1000
手札0枚
場
モンスター リバイバルスライム シンデレラ カボチャの馬車。
魔法・罠 ガラスの靴(ブラック・マジシャン・ガール) ミストボディ(ブラック・マジシャン・ガール)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
10ターン目
「俺のターン、ドロー。スタンバイフェイズに『カボチャの馬車』の効果発動。場にある『ガラスの靴』を別のモンスターに装備し直す。対象は『シンデレラ』だ」
ガラスの靴 ブラック・マジシャン・ガール→シンデレラ
ブラック・マジシャン・ガール ATK1000→2000
シンデレラ ATK300→1300
「力が戻った ! ……でも……」
マナは自身の力が戻った事に一瞬喜ぶがもう手遅れであり、この後に相手が取る戦法は予想できており自身は対処ができないことを理解できてしまったのだ。
「もうわかっているとは思いますがバトルです。『シンデレラ』で攻撃し効果発動、『ガラスの靴』を破壊しダイレクトアタック」
ガラスの靴 場→墓地
シンデレラ ATK1300→300
マナ LP700→400
「『カボチャの馬車』の効果発動。墓地の『ガラスの靴』を『ブラック・マジシャン・ガール』に装備し直す」
ガラスの靴 シンデレラ→ブラック・マジシャン・ガール
シンデレラ ATK1300→300
ブラック・マジシャン・ガール ATK2000→1000
「やはりガラスの靴を履いたあなたは美しい…さあ…宣言通りこれでトドメだ。『リバイバルスライム』で『ブラック・マジシャン・ガール』に攻撃 ! 」
リバイバルスライム ATK 1500 VSブラック・マジシャン・ガール ATK1000
マナ LP400→0 Lose……
「私の負け……」
「デュエルありがとうございました。さすがの実力です、何度負けると思ったか」
リバイバルスライムが話す内容は紛れもない本心である。カードパワーの強さや場の流れを読むことはマナが上ではあるもののカードの引きが最後の最後で強かったのはリバイバルスライムだった。
つまり、どちらが勝ってもおかしくはなかったけど最後に勝ったのはリバイバルスライムだった。それだけの話しでしかない。
「では約束通りブラック・マジシャン・ガールあなたのカードは頂きます。先ほども言った通り悪用は絶対にしませんから」
「絶対ですからね ! ところでその……これ脱がせてほしいんですけど」
マナの足元には先ほどのデュエルでブラック・マジシャン・ガールが履かされたガラスの靴が輝いている。ただの飾り物ではありデュエルで発生した効果は無い。マナはデュエルが終わってからようやく靴が変わっている事に気が付いたもののどうやっても脱げないのだ。
「……多分その状態でデュエルが終わったからでしょう。おそらく明日には効果が消えて脱げるようになっているでしょうから安心してください」
「本当でしょうね ? さすがに歩きにくいから困るんですけど……」
「大丈夫ですよ、いくらカードの精霊同士のデュエルでもそこまで影響が出るわけありませんから。それよりも約束通りマッサージを施術いたしましょうか、では別室で……」
「え、あの、私やっぱり……ち、ちょっと ! ? 」
*
翌日
「で、どうだったガール、あのマッサージ ? 」
「えっと……まあ、良かったなと」
ブラック・マジシャン・ガールは他の女性型モンスターから根掘り葉掘りのガールズトークに巻き込まれていた。どこを揉まれた ? 気持ちよかった ? 痛くなかった ? とか色々と。昨日とは別のモンスターまで巻き込んでの騒ぎとなったわけだが……。
「それよりさ、それどうすんの ? 」
「これですか ? なんであったのかわからないんですけど……」
ブラック・マジシャン・ガールの手元にあるのは数枚のカード。マジシャン・ガールの名を持つ新たなモンスターカードであった。
「まさかあのマッサージを受けたモンスターって、別のバリエーションモンスターを生み出すんじゃ……」
ブラック・マジシャン・ガールのこの一言は話しを聞いていたレトロモンスターを歓喜させた。使えないと言われたカードが活躍の場を得られる。喜ぶには十分であり、これからも多くの女性型モンスターがこぞって例の店を訪れる事になるのだった。
*
同時刻
休店の札がかけられたマッサージ店のプライベートルームでは、リバイバルスライムがブラック・マジシャン・ガールのカードを胸の谷間に入れ、自分の姿を鏡に映して眺めている。今の彼、いや彼女はとても上機嫌であった。
「やはり美しい、ブラック・マジシャン・ガール……あなたは俺の女神だ」
自身の身体を再生した姿は、本来の姿ではなくブラック・マジシャン・ガールそのものであった。ただしガラスの靴を履いていたが……本物のブラック・マジシャン・ガールは嫌がっていたが、変身したガールはよだれを垂らしだらしない表情をしている。
リバイバルスライムは数年前にKCグランプリの決勝戦を観戦していた。その時に見た、ガラスの靴を履かされたブラック・マジシャン・ガールを。リバイバルスライムはその様子を見て思った、なんて美しいのだと。だからこそ今回のデュエルは俄然気合が入った。デュエルでブラック・マジシャン・ガールの姿を目に焼き付けダメージを受けた自らの身体を作りかえた。
憧れの彼女を手に入れられないなら自分がなればいい。常人ならできない事だが、スライムだからできた芸当だろう。ただ足のサイズだけはどうしてもわからなかった、だからデュエルが終わった後も1日かけてガラスの靴を履かせ足のサイズのデータを入手して靴を作り固定させ変身した自分自身が履いたのだ。
「俺は間違いなく変態なんだろう、それは認める。だが俺は悪いことはしていない、これは俺の戦利品だ。絶対に渡さないぞ。この姿は俺の物だ ! 」
男口調の『ブラック・マジシャン・ガール・スライム』は鏡の前で高らかに叫ぶのだった。その日自室でブラック・マジシャン・ガール・スライムがどんなことをしたのかは本人にしかわからない。
後にブラック・マジシャン・ガールが手に入れた新たなガールカードは武藤遊戯の手に渡り、新たな敵との戦いで遊戯を助けたという……。
アニメでガラスの靴を履いたブラック・マジシャン・ガールに惚れたことを忘れられずデュエルを絡めて書いてみました。しかしデュエル描写が想像以上に難しく、すさまじい熱量の遊戯王作品を書かれる作者様方の力量の高さを感じました。