ようこそボンゴレⅩ世。実力至上主義の教室へ   作:コーラを愛する弁当屋さん

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原作3巻編 その①新マフィアランド

 

 常夏の海。澄み切った空気。 広がる青空。

 

 そよぐ潮風は優しく体を包み込み、真夏の猛暑を感じさせない太平洋のど真ん中。

 

 そう、ここはまさに——シーパラダイス!

 

 俺達は今、豪華客船に乗ってバカンスにやって来ているのです!

 

 今は南の島に向けて、絶賛クルージング中だ。

 

「うお~! きれいだなぁ、海!」

「だよなぁ~! やっほお~!」

「バカ、それは山でやる奴だろ? 海では、エンダ~! イヤ~! イズオールウェーイズラブユウ~だ!」

「……それも違うだろ」

 

 豪華客船のデッキで海を見ながらはしゃぐのは、須藤君、池君、山内君の仲良しトリオ。それに混じって冷静に突っ込んだのは、綾小路君だ。

 

 昼食後にクラスごとの自由時間になったDクラスは、女子の強い要望でデッキに景色を堪能しに来ていた。

 

(南の島には中学の時にも行ったことあるけど、あそこはマフィアランドだったもんな~。ちゃんと南の島を満喫できる旅行は初めてだし、目一杯楽しむぞ~♪)

 

 初めてのバカンスに思いを馳せていると、急に艦内アナウンスが鳴り響いた。

 

『生徒の皆様にお知らせします。お時間がありましたら、是非デッキにお集まり下さい。間もなく島が見えて参ります。暫くの間、非常に意義ある景色をご覧頂けるでしょう』

 

(……意義のある景色?)

 

 アナウンスの発した言葉の意味を考えていると、桔梗ちゃんが客船の進行方向を指さした。

 

「あっ! 島が見えて来たよ! あれが先生の言っていた南の島かなぁ?」

「一体どんな島——ん? なにあれ、遊園地?」

 

 桔梗ちゃんの発言に反応した池君の言葉により、全員が進行方向に視線を向ける。

 

「遊園地って……ぶっ?」

 

 皆に倣って俺も進行方向に見てみると、そこにはすごい見覚えのある島が見えた。

 

 その島は、敷地の半分に遊園地が作られてあるが、残りの半分は開発されていないのか、森と砂浜があるだけだった。

 

 しかも、遊園地と森の中間地点には高低差があり、その差がある部分にトンネルらしきものが見える。半分と言ってもそれぞれがとてつもなく広そうだ。

 

 小さめの島が2つくっ付いたんじゃないか、ってくらいの広大な島だ。......そうです、マフィアランドにそっくりだったんですよ!

 

(え? あの島マフィアランドにそっくりだぞ! え? でも前に行ったマフィアランドは、別の場所にあったと思うんだけど……それに、一般の高校生のバカンスで、マフィアランドに行くわけないんじゃ?)

 

 自分の考えが間違っているんじゃないかと、頑張って思考していると、佐倉さんに声をかけられた。

 

「さ、沢田君」

「えっ!? .......あ、佐倉さん。どうしたの?」

「あの、この客船と同じ様な客船が、すでに島の前に停まってるよ」

「え? この船以外に? ......あ、本当だ!」

 

 佐倉さんの言う通り、島の開発されてない所に、俺達の乗っている客船と似た客船が停まっていた。

 

「私達は全クラスこの船に乗ってるのに、なんでもう一隻停まっているのかなぁ?」

「なんでだろう……どこか他の高校が、バカンスに来てるとか?」

「ええ? こんなバカンスに来れるのなんて、国営のウチくらいじゃない?」

「あ、それもそうか」

 

 この時の俺の予想は当たっていた。

 ——俺の考えとは全く別の形で。

 

 ——ざわざわ。

 

 アナウンスを聞いた他のクラスがデッキに出て来た様で、周りが騒がしくなる。

 

 デッキが生徒でごった返してくると、またもアナウンスが鳴り響いた。

 

『これより、当学校が所有する島に上陸いたします。生徒達は30分後、全員ジャージに着替えてデッキに集合してください。私物は全て部屋に置いてくるようお願いします。また暫くお手洗いに行けない可能性がありますので、きちんと済ませておいてください』

 

 アナウンスの内容に、皆は様々な反応を示す。

 

「お、ついにプライベートビーチで泳げんのか!」

「え~、私物持ち込み禁止って……学生証端末もってことお?」

「部屋で日焼け止めを塗っておかないといけないね~」

 

 生徒達はそんな会話をしながら、次々と自分の部屋へと帰っていく。

 

(......気になるけど、今はわからないか)

 

 一抹の不安を抱えながら、俺も部屋に帰ってジャージに着替える事にした。

 

 

 —— 30分後 ——

 

 

 1年生、A~Dクラスが全員デッキに集合した。

 

 各担任が全員が揃った事を確認すると、代表してAクラスの担任の真嶋先生が説明をし始めた。

 

「え~、2名の欠席はあったものの、他の1年生が全員参加できたことを、まずは嬉しく思う」

 

 炎天下での先生の話というのは、高校生になっても嫌なものである。

 

「……なげ〜よ」

「早く泳ぎたいんですけど~」

 

 皆もそれは同じようで、口々に不満をボヤいているようだ。

 

 そんな空気を察したのか、真嶋先生が本題を話始める。

 

「ではこれより、本年度最初の特別試験を始める!」

『……え?』

 

 自分達はバカンスに来ているはずなのに、いきなり試験が始まった。それも特別試験という大層な名前のだ。

 

 各クラスから驚きの声が次々と上がっていく。しかし、真嶋先生はそれを気にも止めず、淡々と試験内容を話始めた。

 

「試験内容はクラスでの共同生活。期間は今より1週間、1週間後の正午に終了とする」

「——え? あの島で寝泊りしないといけないんですか!」

「遊園地に宿泊施設とかないんですか!」

 

 Bクラスの女子が真嶋先生に質問した。その質問に真嶋先生は簡潔に答える。

 

「そうだ。試験中の船への乗船は例外を除き、認められない。そして、試験中に遊園地の敷地内に入る事はできん。というか入る方法がない。それで、試験についての詳しい説明だが……」

 

 その後、真嶋先生により詳しい試験内容が発表された。

 

〜特別試験、試験概要〜

 

①これより1週間、クラス毎に島で集団生活をする。

②試験中の寝床、食糧などについては自分達で判断しなければならない。

③試験中の行動は自由。海水浴やバーベキュー、キャンプファイヤー等をしてもいい。

④試験中は各自、試験用の腕時計を装着すること。許可なく外す事は許されない。

⑤試験開始時、クラスごとに試験専用のポイントが300ポイントずつ与えられる。

⑥ポイントでは様々な物を購入できる。ポイントの詳しい説明はマニュアルに記載されている。

⑦この試験の結果が、今後のクラス査定に影響する事はない。

 

 —— という、7点が説明された。

 

(要するにポイントを上手く使って、1週間サバイバルしろってことだよな)

 

 説明を終えた真嶋先生は、全体を見回してさらに続けた。

 

「それではこれより、クラス毎にボートに乗り込み、上陸するぞ」

 

 真嶋先生のその言葉の後、生徒達は各担任の先生に続いて、客船の下部分にあるボート格納庫に向かった。

 

 ボートはちょうど4つしまわれており、それぞれクラス事にボートに乗り込む。そして、Aクラスのボートから準々に着水していった。

 

 ボートが島へ向かう間、ボート内では茶柱先生からマニュアルが一冊配布された。

 

 代表して平田君が受け取り、茶柱先生からマニュアルの内容について軽く説明がされる。

 

「そのマニュアルには、ポイントで購入出来る物の一覧。そして、物品購入以外で起きるポイントの増減についてが詳しく記載されている」

「物品購入以外で起きるポイントの増減……とは?」

 

 堀北さんが手を挙げて、茶柱先生に質問する。

 

「うむ。ポイントは物品購入以外で減るケースがあるんだ。そして、それは特別ルールに違反した際に適応される」

 

 その特別ルールは、以下の通り。

 

①体調不良や大怪我によって続行できない者が出た場合、1人に付きマイナス130ポイントとなり、その生徒はリタイアとなり船に戻される。

②環境を汚染する行為を行った場合、マイナス120ポイントとなる。

③毎日午前・午後8時にクラスで決定した拠点で行う点呼に不在の場合、1人につきマイナス5ポイント。

拠点は決定後に島内にある職員用施設で待機している担任に報告すること。

④他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損などを行った場合、そのクラスを即失格+対象者のプライベートポイントを全没収する。

 

 ——以上の4点が説明された。

 

 しかし、堀北さんは再度手を挙げて、茶柱先生に質問をする。

 

「では、ポイントが増えるケースというのは?」

「ああ、ポイントが増えるケースは2つある。スポットを占有した場合と、最終日に他クラスのリーダーを当てた場合だ」

「スポット? リーダー当て?」

 

 その答えは、以下の通り。

 

①島の随所に「スポット」と呼ばれる地点があり、占有したクラスのみ使用可能になる。

②スポットは専有する度に1ポイントのボーナスがある。

③スポットの占有は8時間のみ。切れた場合、更新作業が必要となる。

④スポットの占有には、リーダーとなった人物が持つ「キーカード」が必要となる。

⑤正当な理由なく、リーダーを変更することは不可能。

⑥最終日、各クラスには他クラスのリーダーを当てる権利が与えられる。当てれば1クラスにつき50ポイント、外せば150ポイント。逆に、リーダーを当てられてしまった場合、150ポイントのマイナスとなる。

 

 茶柱先生の説明を聞いて、皆がざわつき始める。

 

「もしリーダーを当てられたら、ポイントが減らされるの?」

「あ、でもさ、最終日にポイント減らされても痛くも痒くもなくない?」

 

 誰かのその発言を聞いて、茶柱先生が口を挟んだ。

 

「もう1つ、ポイントについて説明事項があった。最終日に残っているポイントは、2学期開始時点でCPに変換されるんだ」

 

 CPに変換されるという発言に、池君が瞬時に反応する。

 

「まじか! じゃあポイントを一切使わなかったら、CPが300ポイント増えて、毎月の小遣いが3万も増えるってことかよ!」

「おお!」

「最高じゃん!」

 

 池君の言葉に、須藤君と山内君が反応する。

 

(ポイントを一切使わないなんて、本当にできるんだろうか?)

 

 頭の中でもう一度ルールを噛み砕いていると、動いていたボートが停止した。どうやら浜辺に着いたらしい。

 

「よし、全員島に上陸するぞ」

 

 茶柱先生に促され、全員がボートから降りる。砂浜に降りた俺達に、茶柱先生は「準備があるからお前達は砂浜で整列しておけ」と言った。

 

 平田君を先頭に、他のクラスが整列している場所に歩き出す。俺も皆について行こうとすると、なぜか茶柱先生に止められてしまった。

 

「待て沢田。お前は私についてこい。準備を手伝ってもらう」

「え? あ、わかりました」

「……俺も行きましょうか?」

 

 隣にいた綾小路君もついてこようとするが、茶柱先生は首を横に振った。

 

「いや、沢田だけでいい。綾小路は他の奴らと待機しておけ」

「わかりました。沢田、頑張れよ」

「うん」

 

 綾小路君は整列しているDクラスに合流していった。

 

「……よし、ついてこい」

「はい」

 

 茶柱先生が向かったのは、A~Dクラスのボートの他に、一隻だけ停泊している色違いのボートだった。

 

「ここだ。沢田、試験前にお前に面会人が来ている。話が終わったらクラスに合流しろ」

「え? 手伝いはいいんですか?」

「ああ。あれはお前を連れ出す口実だ」

「......は、はあ」

 

 茶柱先生に促され、目の前のボートに乗り込む。するとそこには——迷彩服を来た赤ん坊と、女性が立っていた。

 

「え?」

「久しぶりだな、ツナ。コラ!」

「元気そうだな、沢田」

「コロネロ! ラル・ミルチ! なんで2人がこの島に!」

 

 なんとボートの中には、コロネロとラル・ミルチが待っていたのだ!

 

「俺達だけじゃないぜ? コラ!」

「え? 他に誰が——って! ええ!?」

 

コロネロに言われて、よくボート内を見てみると、他に2人誰かがいた。

 

 その内の1人は、俺の横側で深々とお辞儀をしている。

 

(こんなきれいなお辞儀を俺にする人は……まさか!)

 

「ご、獄寺君!」

「はい! 10代目! あなたの右腕、獄寺隼人です! またあなたに会える日を、心待ちにしておりましたああっ!」

 

 獄寺隼人君。俺の同級生にして、ボンゴレX世の嵐の守護者だ。

 

 獄寺君は感極まったのか、跪きながら俺の足元に縋り付いた。

 

「10代目~、10代目ぇ〜(泣)」

「ちょっ、なんで泣くんだよ獄寺君!」

「はははっ、こいつツナに会えるのを心待ちにしていたからなぁ~」

 

 獄寺君が泣き出してしまって対応に困っていると、獄寺君の近くに立っていたもう1人の人物が話しかけて来た。そして、その人物も俺のよく知る相手だった。

 

 俺の親友にして、ボンゴレX世の雨の守護者。山本武だ!

 

「や、山本!? なんで山本まで!」

「はははっ、いや~久しぶりだなぁ、ツナ!」

「ええっ! 何この状況! 意味不明なんだけど!」

 

 あまりの異常事態に困惑していると、背中に強烈な蹴りが入れられてしまった。

 

「ボスがオロオロしてんじゃねぇ!」

「ぐふう!」

「10代目ぇ!」

 

 蹴りの威力で倒れ込んでしまう。

 こんな蹴りをしてくるのは1人しかいない。リボーンだ!

 

「何すんだよ、リボーン!」

「お前が守護者の前であたふたしてっからだ。ボスがそんなんじゃ、守護者達が可哀想だろうが」

「ぐっ……」

 

 ど正論に、何も言い返すことが出来なかった。

 

「10代目、大丈夫ですか?」

「う、うん」

 

 獄寺君に手を貸してもらい、起き上がる。そしてリボーン、コロネロ、ラルミルチの前に再び立った。

 

「……で、なんで皆がいるんだ?」

 

 冷静になってからリボーンに説明を求めると、リボーンはゆっくりと説明をし始めた。

 

「まず、この島が何なのか気づいているか?」

 

 リボーンがこんな言い方をするってことは……やはり?

 

「——マフィアランド?」

「そうだ。正確には新マフィアランドだけどな」

「え? 新?」

「そうだ。ここは、ツナの特別試験の為に作られた、新しいマフィアランドなんだぞ」

「ええっ? 今回の試験の為に、わざわざ作ったの?」

「ああ、お前が高度育成高等学校に入学が決まった時点でな」

「......なんでそこまでするんだよ〜」

 

 Ⅹ世を喜ばせたくて! 

 ……リボーンに限ってないか。

 

「まあお前の為だけじゃねえ。この島はボンゴレの訓練施設にもなってるからな」

「ボンゴレの訓練施設!? どういう事!?」

「だから慌てんな。ボンゴレの訓練施設と言っても、数年後のボンゴレのファミリーの為の訓練施設だ」

「……数年後?」

「そうだ。高度育成高等学校がボンゴレと繋がっている、っていうのは前に話したな?」

「う、うん」

「繋がっている理由は、高度育成高等学校の創設時に、9代目が理事長にボンゴレファミリーの持つ技術力や、構成員の為の研修内容などの情報提供を約束したからだ」

「へ、へえ。そうなんだ」

「でな。9代目も、イタリアに同じような学校を作る事にしたんだぞ」

「え? イタリアにも高度育成高等学校を?」

「そうだ。まぁ、いわゆる姉妹校って奴だな。それでだ。イタリアにも高度育成高等学校があるわけだが、せっかくだし姉妹校同士の交流をしよう、って事になったんだ」

「……交流? あ、まさかあの客船!」

 

 佐倉さんが気づいた、似たような船の事を思い出した。なんでもう一隻あるんだろう、って疑問に思ってたけど、もしかしたら姉妹校の1年生が乗っていたのか?

 

 俺の予想が当たっていたようで、リボーンがニヤリと笑った。

 

「正解だぞ。お前の考えている通り、イタリアの姉妹校の1年生も、このマフィアランドに来ているんだ」

「……そうなんだ」

「でだ。コロネロとラルは、イタリアの姉妹校の特別教官なんだぞ」

「!? 2人が高校の教官やってるの? あ、それでこの島に来て——ん? という事は?」

 

 1つの考えに思い至り、俺は獄寺君と山本に視線を向ける。すると、獄寺君と山本はニカっと笑った。

 

「そうです! 俺達は、イタリアの姉妹校の1年なんです!」

「驚かせてわりいな、ツナ」

「やっぱり! でもなんでイタリアの方に? 一緒に日本の高校に行けばよかったのに」

 

そう聞くと、獄寺君が気まずそうに頬を掻いた。

 

「いや~、俺もそうしようと思ったんですけど、リボーンさんに『お前はイタリアの方に進学しろ』って言われたんです」

「リボーンが?」

 

リボーンの方に向き直ると、リボーンはまたもにやりと笑った。

 

「ツナを1人で、この学校に行かせる事に意味があるんだ。そして、獄寺と山本が姉妹校に行く事にもちゃんと意味があるんだぞ」

「どういう事だよ」

「お前にはボスとしての素質をさらに開花させる為に、守護者の力なしで同学年という1つの集団をまとめ上げさせ、獄寺と山本には姉妹校で、マフィアとしての更なる力や知識を身につけさせるんだ。お前達が卒業してボンゴレのトップに立つ時、ちゃんとやっていけるようにな」

「ん? ちょっと待って。姉妹校でマフィアとしての力や知識を身につける? 高校の授業でマフィアとしての力や知識が身につくの?」

 

 嫌な予感がしてリボーンに聞いてみると、今度はリボーンだけでなく、コロネロとラル・ミルチもニヤリと笑った。

 

「ふっ、まさか。普通の高校の授業で、マフィアとしての力や知識を身につけられる訳ねぇだろ?」

「......じ、じゃあ、まさか?」

「そうだ。イタリアの姉妹校は、表向きは高度な教育を施す国家運営のハイスクールだが、実際はボンゴレファミリーに入りたい子供しか入学できない。つまり、未来のボンゴレファミリーの構成員を育成する為の学校。ボンゴレファミリー育成機関なんだ。その名も『Istituto di formazione Vongola』という」

「ボ、ボンゴレファミリー育成機関!?」




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