ようこそボンゴレⅩ世。実力至上主義の教室へ   作:コーラを愛する弁当屋さん

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アニメでは山内が退学しちゃって、山内ファンの皆様は辛いよな。
——山内、動きます!


間話 表マフィアランド②

 

 

 —— 表マフィアランド、とあるホテル ——

 

 

 

 ツナ達が敵陣の元へ向かっている最中。

 リボーンはコロネロを訪ねて、怪我をした姉妹校の生徒を寝かせているホテルへとやって来た。

 

 そのホテルは、表マフィアランドでは1番階数が多いホテルだった。

 

 ——ウイーン。

 

「あ、リボーンちゃん!」

「!」

 

 リボーンがエントランスに入ると、ハルがいた。

 何やらお湯を張った桶を持っている。

 

「……ハルか。コロネロはどこだ?」

「ああ、コロネロちゃんなら屋上に行ってますよ」「そうか。ありがとうな」

「いえいえ♪ あ、私は仕事に戻ります!」

「おお」

 

 お湯をこぼさない様に一生懸命なハルを見送り、リボーンは屋上へと向かった。

 

 

 

 —— ホテル屋上 ——

 

 

 ハルの言う通り、屋上にはコロネロいた。屋上の端っこから何かを見ているらしい。

 

「おいコロネロ。ツナ達を見てるのか?」

「ああ。まだ戦闘は始まってないぜ、コラ!」

 

 リボーンもコロネロの隣に立ち、そこから遊園地中を見渡す。

 

 ツナ、獄寺、山本が死ぬ気の炎で空中を移動している姿が見える。

 

「お、山本が敵と接触するぞ、コラ!」

「そうだな」

 

 山本は円形に固まっている敵陣へと迫っていた。

 

 その様子を見て、コロネロがリボーンに問いかける。

 

「……山本が固まった集団の相手なのは、ツナの采配か?」

「そうだぞ。ちなみに獄寺は散らばった奴ら、ツナは飛んでる奴らだ」

「なるほど。適材適所か、コラ!」

「固まっている奴らと、バラバラな奴らを相手にするんだ。ツナの采配で正解だな」

 

 2人がそんな会話をしているうちに、山本の戦いが始まった。

 

 

 

 —— 山本の戦闘 ——

 

 

 メリーゴーランドの付近にやって来た山本。

 

 山本の相手はメリーゴーランドの周辺を、円形に固まって闊歩している。

 

「お、本当に固まってんな。これじゃあ一発で決めてくれと言ってるようなもんじゃねぇか」

 

 空中から敵の様子を確認した山本は、そう呟きながら敵の近くに着地する。

 

「! ボンゴレの剣士だ!」

「全員もっと固まれ! 我らの鉄壁の防御陣を見せてやるんだ!」

 

 無防備な登場をする山本。すぐさまに山本の接近に気づいた敵陣は、さらに密集する様に固まり始めた。どうやら守りにには自信があるようだ。

 

 ——しかし、山本の前ではそれも無意味。

 

 守りに徹する敵を見て、山本は不適に笑う。

 

「へへっ! 防げるもんなら、防いでみな。小次郎!」

 

 ——ヒュン!

 

 小次郎が右太刀から飛び出し、山本の前で浮遊する。

 

「行くぜ。 ——時雨蒼燕流、特式十の型。燕特攻スコントロ・ディ・ローンディネ!」

『う……うわぁぁぁっっ!?』

 

 小次郎が発生させた水のような炎を、抉る様に巻き上げながら敵陣に向かって突っ込んでいく。

 

 その勢いで敵陣の防御は簡単に崩されて、全員が吹っ飛ばされてしまった。

 

「へへっ、ツナ。お望み通りに一撃で沈めてやったぜ!」

「ワオーン!」

 

 山本の勝利を、左太刀の次郎が遠吠えで祝福した。そして山本の活躍を見て、リボーンは満足そうに頷いていた。

 

「山本の奴、また腕を上げたか?」

「当たり前だぜ、コラ! 姉妹校に入ってからは剣の修行の時間が増えてるからな」

「そうか。……お、獄寺の奴も敵と接触するぞ」

 

 2人は、獄寺のいる方へ視線を向けた。

 

 

 

 —— 獄寺の戦闘 ——

 

 

 

 獄寺が向かっている先で、10人の戦闘員が散り散りになって散策をしている。

 

「……10代目がカッコイイ所を見せろとご所望なんだ。テメェらにはその生贄になってもらうぜ」

 

 散り散りになっている戦闘員達を、全員視界に入れられる位置で滞空する。

 

 獄寺は体に巻きつけられたベルトから、ダイナマイト10本取り出した。

 

 そして、口に咥えたパイプ型発火装置で着火する。

 

「……敵に気付かれる事なく終わりだな。果てろ! ロケットボム ver.X!」

 

 獄寺の手から、敵に向かってホーミング機能のあるダイナマイトが発射される。

 

 10本のダイナマイトはそれぞれが目標に向かって正確に放たれ、見事に10本全部が相手に直撃した。

 

『ぐわああああっ!』

「ボンゴレを狙おうなんざ、100年早えよ」

 

 カッコよく決めた獄寺。しかし、その背中では爪が不満そうな顔をしている。

 

「フミイイイイ〜」

「! 瓜、出番なくて拗ねてんのか?」

「ニャアアアア!」

「痛ててて! 背中を引っ掻くな!」

 

 相変わらず、瓜には懐かれていない獄寺であった。

 

「獄寺の奴は、あんまり変わってねぇな」

「そうでもないぜ。自分はツナの右腕だからと、姉妹校の奴らを立派に統率しているからな。Otto talentiの第1席に座っているのも、守護者だからじゃなく、きちんと総合成績でトップを取ってるからだ」

「ほほう、少しは成長してんだな」

「俺とラルの生徒なんだ。当たり前だぞ、コラ! そう言うお前の生徒はどうなんだ? 死ぬ気での戦闘とは縁のない学園生活だったんだろ?」

「ふん。俺が教えたトレーニングを毎日こなしてるからな。戦闘センスは落ちてねぇはずだぞ」

「それならいいがな。お、ちょうどツナも敵と接触するぜ、コラ」

 

 

 

 

 ——  ツナの戦闘 ——

 

 

 

 ツナが高速で飛行を続けていると、敵の姿が見えて来た。

 敵は10人全員が1箇所に集まり、何か話し合っているようだ。

 

(都合がいいな。一気にカタがつく)

 

 そう思ったツナは炎の出力を最大に上げ、敵陣に迫った。

 

「……! ボンゴレX世!」

「なんと、やはりここにいたのか!」

「自分から殺されに来るとは、何と愚かな」

 

 さすがに敵陣もツナが迫った事には気づいた。しかし、この時点で気づいても大空の炎相手では遅すぎる。

 

 敵陣が何かを言い終える前に、ツナは技を発動した。

 

「行くぞ、超滑空……超Xハイパーイクスストリーム!」

 

 大空の炎による高速飛行。そのトップスピードで敵陣の周囲を回転しながら上昇する。回転による遠心力で対象の三半規管を弱らせ、さらに纏っている死ぬ気の炎により、敵の飛行装置をオーバーヒートさせる事に成功した。

 

「ぐわあああ!」

 

 飛行手段を失った敵陣は、全員が地面へと落下していった。

 

「よし、後は飛行船だけだな——ん?」

 

 ツナが飛行船に目を向けたその時。

 超直感でとある事に気づいた。

 

 飛行船の側面に大きな砲台が出現しているのだ。

 

(なんだあれは……いや、まずい!)

 

 ツナは再びフルスロットルで飛行を開始する。方向転換をしてツナが向かう先は、高度育成高等学校と姉妹校の皆が待機しているホテルだ。

 

(……あの砲台の中で、膨大な死ぬ気の炎が溜め込まれている気がする!)

 

 ツナが超直感で感じたのは、砲台から漏れ出している死ぬ気の炎の気配だった。

 

(膨大な死ぬ気の炎では、クロームの結界でも防ぎきれないかもしれない)

 

 ——ツナの様子を見て、リボーンとコロネロは怪訝な顔をしていた。

 

「……コロネロ。あの砲台」

「ああ。死ぬ気の炎の気配がするぜ」

「……なんでジョーコが死ぬ気の炎を使えるんだ。この時代では、まだ死ぬ気の炎はあまり知られてねぇはずだろ。それにリングだって作られてねぇはずだ」

「……さあな」

 

 2人がそんな話をしている内に、ツナが中央のホテル前に到着した。

 

「間に合った!」

 

 ——ブオン。キュイイイイ。

 

 ツナが後ろを振り返ると同時に、砲台に高密度のエネルギーが蓄積されていく。

 

(来るか……)

 

 ——ドカーン!

 

 溜め込まれていたエネルギーが、赤い炎となって一気に放出される。

 Xイクスバーナーの半分程度の炎圧だが、赤い炎、つまり嵐の炎だから、当たれば霧のカーテンは消えてしまうだろう。

 

(……これは、あれを使うか)

 

 ツナは迫り来る炎に備えて、両手を体の前で構えた。

 

「……死ぬ気の零地点突破、改!」

 

 ——バアアン!

 

 両手を構えるツナに炎が直撃する。

 そしてその炎は、全てがツナのエネルギーとして吸収されていった。

 

 砲台の炎で回復したツナは、ガントレットから炎を最大出力で放出して、飛行船へと近づいていく。

 

「今度はこっちの番だな」

 

 そして、飛行船まであと5mくらいという所まで近づき、空中で停止する。

 

「——オペレーション、Xイクス」

『了解シマシタ、ボス。〝X BURNER〟発射シークエンスヲ、開始シマス』

 

 プログラムが作動すると、ツナは後方に右手を構える。

 

『ターゲットロック。ライトバーナー炎圧上昇、10万FVフィアンマボルテージ!』

 

 そして、ツナは左手を体の前で構えた。

 

『続イテ、レフトバーナー炎圧上昇……10万FV! ゲージシンメトリー! 発射スタンバイ!』

「——X BURNERイクス・バーナー!」

 

 左手のガントレットから強力な剛の炎が放たれる。X BURNERが直撃した飛行船は、飛行能力を失って地面へと落下していった。

 

(……10万FVに抑えたとはいえ、落下するだけか。相当頑丈な飛行船の様だな)

 

 ツナは飛行船の落下した地点へと降りていく。

 その様子を見ていたリボーンはニヤリと笑った。

 

「どうだコロネロ。腕は落ちてねぇだろ?」

「はいはい、さすがだなコラ!」

 

 ツナが飛行船の落下地点に着陸すると同時、獄寺と山本も合流してきた。

 

「10代目!」

「ツナ」

「! 獄寺、山本。そっちも終わったか?」

「はい!」

「ああ、一撃で沈めたぜ」

「ふっ、そうか」

 

 2人と合流したツナは、飛行船を観察し始める。

 

「10代目、さっきホテルに発射されていたのは、死ぬ気の炎でしたよね」

「ああ。零地点突破・改で吸収できたし、それは間違いないだろう」

「でもよ、なら何で、戦闘員の奴らは炎を使わないんだ?」

「……確かにな」

 

 ツナは獄寺と山本に担当した敵の戦力を確認したが、一瞬で終わった為に何もわからなかったらしい。

 

「でも、あいつらからは死ぬ気の炎のオーラを感じなかったな」

「俺もだ。強そうにも見えなかったぜ」

「……だな。飛行していた奴らも炎で飛んでたんじゃなく、何かの機械で飛んでたみた

いだ」

「——ルークに炎を扱わせるわけがないだろ?」

『!』

 

 3人の会話に誰かが乱入した。その声は、飛行船の方から聞こえてきていた。

 

「……誰だ?」

「憤怒のラビアス。お前に吸収されたのは俺の炎だ。ボンゴレX世」

 

 落下した飛行船の上に、赤と黒のメッシュで黒服の男が立っていた。ジャケットの襟の部分に、馬の形をした銀のバッジをつけている。

 

 その男に獄寺君が突っかかった。

 

「憤怒のラビアスだぁ? ていうか、なんでジョーコファミリーが死ぬ気の炎を扱えるんだあ!?」

「……とある天才科学者のおかげ、とでも言っておこう」

 

 そう言うと、ラビアスは右腕を前に出した。そして右腕に死ぬ気の炎を灯した。

 

「! その炎は」

 

 ラビアスの灯したその炎は、光球の様な炎だった。その炎によりジャケットの右腕の先端部分が消え去り、中から奇妙な機械がくっ付いている腕が見えた。

 

「憤怒の炎だと!?」

「XANXUSと同じ炎か!」

(あの機械……なんだ?)

 

「今日はボンゴレX世の実力を確かめに来ただけだ。もう用は済んだし、俺は帰らせてもらおう」

「はぁ? 逃すと思ってんのか?」

「獄寺の言う通りだぜ!」

 

 獄寺と山本がラビアスの周りを取り囲む。

 しかし、ラビアスは表情を崩さない。

 

「それが簡単に逃げられるんだよ」

「何?」

「どーする気だ?」

「——左手を使えばな?」

『!』

 

 ラビアスは憤怒の炎でジャケットの左腕の部分を消し去った。

 左腕にも何やら機械がくっ付いている。

 

 そしてラビアスは、今度は左手に黒い炎を灯した。

 

「な!? あれは夜の炎か!」

「なんで夜の炎を!」

「……それでは、失礼するよ」

 

 驚いているツナ達を他所に、ラビアスはどこかに消えてしまった。

 夜の炎のショートワープを使ったのだろう。

 

 ラビアスが消えた後の場は、しばらくの間静寂が支配していた。

 

 

 

—— sideツナ ——

 

 

「……』

 

 憤怒の炎に夜の炎。それにあの謎の機械。

 

 ジョーコファミリーって、どんなマフィアなんだ?

 

「お前達!」

「! リボーン」

 

 死ぬ気モードも抜け出して無言で考え込んでいると、リボーンがこっちに近づいているのが見えた。クローム、コロネロ、ラル・ミルチも一緒だ。

 

 リボーン達と合流した俺は、さっきのラビアスの事を話した。

 

「って事があったんだ!」

「ああ、俺達も見てたぞ」

「あいつら何者なの?」

 

 そう聞くと、リボーンはコロネロとラル・ミルチの方を見た。

 

「コロネロとラル、ジョーコについて何か知っている事はねぇのか?」

「——俺が話そう」

 

 少しの無言の後、ラル・ミルチがゆっくりと話始めた。

 

「ジョーコファミリーは、最近影響力を広げつつある中堅のマフィアだ。構成員にはそれぞれチェスの駒に準えて、キング・クイーン・ナイト・ビショップ・ルーク・ポーンと階級が振り分けられているんだが、ポーンだけはファミリーの一員ではない。ポーンはファミリーが飼っている奴隷の事を示す」

「世界中にその奴隷を作ってるって話もあるぜ、コラ!」

 

 コロネロがラル・ミルチの説明を補足する。

 

「ポーン以上のファミリーは総勢100人程度。ポーンを5,000人近く飼っているらしい」

らしい」

「ほとんどが奴隷で成り立っているって事か?」

 

 リボーンがラル・ミルチに質問した。

 

「そうだな。ジョーコの信念は殺戮を楽しむ事。それ以外の雑事を任せるのは奴隷で十分だというのが、ボスの考えらしい」

「ボス——キングか」

「そうだ」

 

 ここから、コロネロがラル・ミルチに変わって話を始めた。

 

「ジョーコの幹部は、ボスであるキング、No。2のクイーン。そしてその下の7名のナイトだ。ちなみに、その幹部達には全員に罪の二つ名が付けられているんだぜ、コラ!」

(罪の二つ名? あ、さっきの!)

 

 その俺の予想は当たっていた事が、この後のコロネロの発言で分かった。

 

「原罪のキング。贖罪のクイーン。そして、ナイトの7名にはそれぞれ『7つの大罪』の罪名が付けられているんだ」

「! じゃあさっきのラビアスって奴は!」

 

 獄寺君がそう聞くと、コロネロは頷いた。

 

「ああ、奴は『憤怒の罪』が与えられたナイトの1人なんだろうぜ」

「なるほど、あの馬のバッジはナイトの証ってことか」

「だろうな。——俺達が知っている情報は、これくらいだな」

「ジョーコがなぜ死ぬ気の炎が使えるのか……それはわからずか」

 

 どうやらコロネロ達にも。なぜジョーコが死ぬ気の炎を使えるかはわからないらしい。

 俺的には、あの腕の機械に何かしらの秘密があるんじゃないかって思うんだよなぁ。

 

「……」

「どうしたツナ。何かあるのか?」

 

 1人で考え込んでいると、リボーンに声をかけられた。

 俺はラビアスの腕に付けられていた機械の事を皆に話した。

 

「ラビアスがさ、両手に変な機械を付けてたんだよ」

「変な機械?」

「うん。それで、両方とも少し形状が違ったんだけど、あいつの炎はその機械から出てた様な気がするんだよね」

「機械から炎か……飛行船の砲台も同じ様な代物だろう。もしかすると、未来にあったリングの様に、生体エネルギーを死ぬ気の炎に変換する能力があるのかもな」

 

 そう言うリボーンに、コロネロが首を傾げた。

 

「でもよ、この時代ではまだリングも作られてねぇし、死ぬ気の炎も『7³トゥリニセッテ』やボンゴレの秘匿のはずだぞ。コラ!」

ンゴレの秘匿のはずだぞ。コラ!」

「確かにな。……ツナ、敵は他に何か言ってなかったのか?」

「あ、そういえば。なぜ死ぬ気の炎が使えるのかラビアスに聞いたら、『ある天才科学者のおかげ』って言ってた」

『天才科学者……』

 

 そう同時に口にした、リボーン・コロネロ・ラルミルチはお互いの顔を見合った。

 

「まさかヴェルデじゃねーだろうな」

「あいつなら、やりかねないぜコラ!」

「いや、さすがにそんな事はしないだろ」

 

 緑のアルコバレーノだった、科学者のヴェルデ。

 リボーンはヴェルデを疑っているようだ。

 

 コホンと咳払いをして、ラル・ミルチが続ける。

 

「とにかく、ジョーコの調査についてはCEDEFに任せとけ。俺から家光に連絡しておく」

「そうだな。高度育成高等学校の防衛の事もよろしく頼む」

「ああ、わかっている。沢田が落とした飛行船の砲台を調べれば、手がかりが掴めるだろ

う」

(うん。1番大事なのは、またジョーコファミリーが攻めて来た際に、高度育成高等学校の皆を巻き込まない事だよ)

 

 ——というわけで、ジョーコファミリーについては保留となった。

 

 その後、俺達はリボーンに連れられて、怪我をした姉妹校の生徒達がいるというホテルへと向かった。

 

「怪我した生徒達は大丈夫なの?」

「ああ、今治療中だ。医療班期待の新星達がな」

「?」

 

 リボーンが入って行ったのは、ホテルの客室の1つだった。

 

 ——ガチャ。

 

 客室は3人部屋だった。3つのベットに3人の生徒が寝かされており、その傍らには京子ちゃんとハルが立っていた。

 

「京子ちゃん! ハル!」

「あ、ツナ君。無事に戦いは終わったんだね」

「怪我してなさそうで安心しました~!」

 

 そう言って微笑む2人。

 

「お前達、今から治療する所か?」

「うん、そうだよ」

「そうか、だったらツナにあれを見せてやってくれ」

「はひっ! あれをですか!」

「す、少し恥ずかしいな……」

 

 あれと言われて少し顔を赤らめる2人。

(あれってなんだ? ていうか、2人が怪我人を治療してるのか)

 

「自信を持て、とっても似合ってるんだからな」

「そ、そう?」

「リボーンちゃんにそうまで言われたら、やるしかないですね!」

 

 そう言うと、2人はブレザーのポケットから何かを取り出した。

 

(.……指輪? え、リング!?)

 

 2人は取り出したリングを指にはめた。

 すると、京子ちゃんのリングには晴の炎が、ハルのリングには雨の炎が灯った。

 

 そして——その炎の中から、2体のアニマルが飛び出して来た!

 

『くう~、くう~』

『キュー、キュー』

「!?」

「ミーヤキャットとカワウソだな」

 

 ミーヤキャットは京子ちゃんの肩に乗り、カワウソはハルの肩に乗った。

 

「私の友達、晴ミーヤキャットの『きなこ』だよ♪」

「この子は私の相棒、雨カワウソの『こむぎ』です!」

「2人もアニマルリングを!?」

 

 驚いていると、リボーンが説明をしてくれた。

 

「ヴェルデが作った、医療に特化した匣アニマルだ。使用する奴がいないってんで俺がもらっておいたのを、2人に渡したんだ」

「ええっ、医療特化の匣兵器って、晴コテみたいなもん?」

「そうだな。その動物型だ」

「でもなんで、2人に渡したんだよ。戦闘に参加でもさせる気か!?  そもそもなんで姉妹校に入学してるんだ!」

 

 まだ京子ちゃんとハルが姉妹校に入学した事を認められない俺は、リボーンを問い詰めた。

 

「戦闘させるわけじゃない。あくまで医療用なんだからな。それに、2人にぴったりだから渡したんだ」

「はぁ? ぴったりってなんで! 2人ともマフィアには無関係だったんだぞ!」

「京子とハルに、医療が向いてるからだぞ」

「なんでそう思うんだよ!」

「それはな……」

 

 リボーンは、2人が姉妹校に入学を決めた時の事を話始めた。

 

 

 —— 去年の事 sideリボーン ——

 

 ある日。京子とハルが、ツナ達と離れたくないと相談して来たんだ。

 

「……お前達、分かってるのか? ツナと一緒の道に進むというのは、マフィアになるって事なんだぞ」

「分かってる。でも、私達はツナ君達と離れたくないんだ」

「そうです! 皆と離れるのは嫌なんです!」

「……危険な目に遭う事もあるぞ」

「分かってる。それでも、ツナ君達の助けになりたいの」

「ツナがどうしてお前達を遠ざけようとしているのか、分からないわけじゃないだろ?」

「もちろんです! でも、私達の人生は私達の物です! どう生きるかも私達の自由。ツナさんが何を言おうと、ツナさん達と一緒にいたいこの気持ちは……この愛の炎は! 何人たりとも消すことはできません!」

「うん! ハルちゃんの言う通り! それに、ツナ君の目指す正しいボンゴレの姿を、私達も一緒に見たいの!」

 

 2人の覚悟を聞き、俺は少し微笑んでしまっていた。

 

「分かった。なら、その覚悟の強さを見せてみろ」

 

 そう言って、俺は医療用のリングを2人に渡した。

 

「……これ、未来で皆が使ってたリング?」

「そうだ。そのリングに炎を灯してみろ」

「はひっ?」

「マフィアになる覚悟があんだろ? その覚悟を炎に変えて、リングに灯してみろ」

「——わかった!」

「やってみせますとも!」

 

 2人はリングを指にはめた。

 

「え~と。覚悟を炎に変えるイメージだったっけ?」

「そうだ。やってみろ」

「分かりました! くらえ、ツナさんへの止めどない、この愛情を~!」

「くらえ~!」

 

 ——ボウっ!

 

『!』

 

 2人が念じ始めると、すぐにリングに炎が灯った。

 

「わぁ。やったねハルちゃん!」

「はいっ、京子ちゃん!」

「ふっ、よくやった」

 

(2人には高いホスピタリティー力がある。予想通りリングと相性がよかったんだな)

 

 無事に試練を突破したので、俺は2人が姉妹校に入学できる様に推薦状を出したんだ。

 

 

 

 —— sideツナ  —— 

 

 

「……」

「分かったか?2人の覚悟が」

「——でも、姉妹校にいたんじゃ守る事ができないし」

「何言ってんだ。姉妹校には3人もお前の守護者達がいるだろ」

「!」

 

 そう言われて獄寺君達の顔を見回すと、3人共笑って頷き返してくれた。

 

「……」

「昔、お前に言われた事があったよなぁ」

「……なんだよ」

「I世ならこう言うはずだ。仲間を見捨てる様な奴にボンゴレを任せられない、ってな」

「!」

「いくら安全の為だからって、お前を大事に思う京子とハルを拒否するのか?」

「——だけど、Dスペードとエレナの事を考えると」

「お前の近くにいたら、危険だからか?」

「……そうだよ」

「だったら、2人の為に最高のボンゴレを作ってやればいいじゃねえか」

「!  最高のボンゴレ?」

「忘れたのか? お前がボンゴレX世になる事を決めた時に言ってただろ?」

「……」

「最強のボンゴレを作って、エレナの様な人物を二度と出さない様にしたかったDスペード。弱き者を助け、常に弱者に寄り添う当初のボンゴレに戻したかったI世。その2つの意思を継ぎ、弱者だけじゃなく全てに寄り添い、大空の下に存在する全てを正しい道に導く、"最高のボンゴレ"を目指す! ……ってな」

「っ!」

 

 リボーンのその言葉が、心の奥深くに突き刺さった。

 

(そうだ。俺が目指しているのはそんなボンゴレだよ)

 

「……ありがとう、リボーン。目的を思い出したよ」

「世話が焼かすな、このダメツナが」

 

 ——ドスっ。

 腹にリボーンの拳が減りこんだ。

 

「ぐっ、……ごめん」

 

 痛みに耐えながら、俺は京子ちゃんとハルに頭を下げた。

 

「ごめん京子ちゃん。ごめんな、ハル。2人の気持ちを無視して否定ばっかりして」

「……ツナ君」

「ツナさん……」

「俺に付いて来てくれてありがとう。お返しに、俺は君達を絶対に守り切ると誓うよ」

 

 そう言うと、京子ちゃんは笑顔で頷いてくれた。

 

「うんっ! 頼りにしてますよ、ボス♪」

 

 一方、なぜかハルは顔を真っ赤にしていた。

 

「は、はひっ! 今のはプロポーズと捉えても!?」

「違うよっ!」

 

(相変わらずハルはとんでもない発想をするな)

 

「よし。ツナの許しも出た所で、2人に力を見せてもらおうか」

「うん!」

「良い所みせますよ~!」

 

 リボーンにそう言われた2人は、肩に乗ったアニマルに話しかける。

 

「きなこ、お願い」

「お仕事の時間ですよ、こむぎ!」

『くう!』

『キュイ!』

 

 そして、2人同時にある言葉を唱えた。

 

『形態変化カンビオフォルマ!』

「ええっ!」

 

 きなことこむぎが光を放ち、京子ちゃんとハルの体を包み込む。

 やがて光が消えると、そこにはナース服を着た2人が立っていた。

 

「じゃ〜ん♪」

「どうですか! ナースモードですよ!」

「形態変化して、ナース服になった!?」

 

 京子ちゃんは黄色のナース眼、ハルは青いナース服に変化した。

 どちらも腰の所にポーチを付けている。

 

 形態変化した事に驚いていると、2人はさっそく仕事に取り掛かり始めた。

 

「ハルちゃん、始めるよ」

「はいっ!」

 

 京子ちゃんがポーチからメガネを取り出した。

 

「スキャンレンズ」

(メガネの京子ちゃん……いいね!)

 

 メガネをかけた京子ちゃんは、怪我人の患部を観察し始めた。

 どうやら、視認した対象の容体を確認できるメガネの様だ。

 

「うん、そこまで深い傷はないけど、傷から細菌が入り込んでるみたい。ハルちゃん。殺菌の活動を鎮静して」

「はひっ! 大変です、すぐに処置します!」

 

 今度はハルがポーチから注射器を取り出した。

 

「チクっとしませんからね! 「沈静の注射レスト・ショット!」

 

 青い液体が入った注射を怪我人に打ち込んだ。

 どうやら、あの液体には細菌やウイルスの活動を鎮静する効果があるようだ。

 

「よし、後は傷を直すだけだね。いくよ~」

 

 京子ちゃんがリングを付けた手を傷口にかざした。

 

「サンシャイン・ヒール!」

 

 リングから黄色の炎が放出され、その炎が怪我を直していく。

 無言で2人の治療を見ていたら、コロネロが口を開いた。

 

「京子は晴、ハルは雨の波動を持っているんだぜ、コラ! 活性と沈静の力を持った2人が医療に特化することで、2人が元々持っていた医療の才能が花開き、2人揃えばほとんどの怪我や病気を治癒できるコンビになったんだ。その実力は医療班を武者震いさせる程で、今じゃボンゴレ本部では『未来の医療班のトップ』だと言われるようになったんだ」

「ええっ! 2人共すごいんだ……」

「ツナ、あいつらがなんて呼ばれているか知ってるか?」

「え? なんて呼ばれてんの?」

「大空の天使達だ」

「えぇ!」」

 

 ……ナース服の2人を見て、確かに天使だなぁと思ったのは内緒だ。

 

 そして無事に全員の治療が終わり、京子ちゃんとハルは元の姿に戻った。

 

「怪我人はもう大丈夫?」

「うん。しばらくは安静だけどね」

「そっか。2人共ありがとう。凄かったよ」

「そうでしょ? ツナ君の力になれる様に、私達も頑張ってきたんだから!」

「えへへっ、褒められちゃいました~♪」

 

 お礼の言葉に京子ちゃんは嬉しそうに胸を張り、ハルは身悶えした。

 

 ——パンパン!

 

 その時、リボーンが手を叩いて皆の注目を集めた。

 

「よし。お前達は中央のホテルに戻れ、もうジョーコの奴らもいないし大丈夫だろ」

「うん、わかったよ」

 

 リボーンにそう言われて、俺達は中央のホテルに戻る事になった。

 

 

 

 —— 中央のホテル。2階ホール ——

 

 

「! 沢田君。トイレで倒れているのかと思ったわ」

「あ、ごめんね堀北さん。なかなかお腹の調子が戻らなくて」

「……もう具合はいいのか?」

「綾小路君、うん。もう大丈夫」

 

 ホールに入ってすぐ、堀北さんと綾小路君に声をかけられた。けっこう時間が経ってるし、心配させて当然か。

 

 俺が合流してすぐ、真嶋先生がメガホンで1年全員に呼びかけた。

 

「注目! 不審者は拘束されたそうだが、安全を考慮して遊園地での自由行動は中止とする。よって今から客船に戻る」

『ええっ!』

 

 各クラスから驚きの声が上がる。楽しみにしてた人達からすれば残念だろうけど、ジョーコの飛行船が落下してたりと普通に営業できる状態じゃないから、仕方ないな。

 

「残念だね。せっかくの遊園地なのに」

「……俺は別に」

「私は逆に大歓迎だわ。船で本が読めるもの」

「そ、そっか」

 

 さすがは俺的Dクラスのトップ2、いつだってクールである。

 

「それから……元々の予定では、明日から別の豪華客船に乗り換えて、姉妹校の生徒達と共に6日間のクルージングをする予定だった。しかし遊園地での自由行動が中止になったので、繰り上げで日本に帰るまでの1週間を、姉妹校の生徒達と一緒にクルージングする事となった。無人島試験に参加したメンバーとは別の姉妹校の生徒達とも過ごす事になるから、積極的に交友する様に」

 

 まじか。まだ獄寺君達と一緒にいれるのか。それは嬉しいな。

 

 その後、俺達はクラス事に固まって客船に戻り、客船を乗り換える為に各々で荷物を纏める事になった。

 

 

 

 

 —— 山内春樹の客室にて ——

 

 

「……よし、荷造り終わりっと」

 

 ——ブルブル。

 

「! 何だよ、高校に入ってから初めてだな」

 

 山内が荷造りをしていると、右肩から小さな振動を感じた。

 山内はベッドに腰掛けると、右肩の一部を押す。すると、カチッという音が鳴り、骨電導で脳内に誰かの声が響き渡る。

 

「……はい」

「山内春樹、だな?」

「そうです」

「新しい司令を伝える」

「(なんだよ……)はい、何でしょうか?」

「同じ学年にいる、もう1人のschiavo Giappone を見つけろ」

「はい? もう1人いるんですか? (聞いてねぇぞ、そんなの)」

「ああ。その人物を見つけ出し、幹部と連絡を取らせろ」

「……分かりました。でも、見つけろってことは、誰かは分からないのですか?」

「その通りだ。そのschiavo Giapponeは特殊でな。キングが選んだ人物なんだ。無論、正体もキングとクイーンしか知らぬ」

「えっ、キングが!?」

「だから、見つけても丁重に扱えよ」

「は、はぁ……」

「噂によれば、そいつはキングとクイーンの子供で、ジョーコファミリーの次期ボスらしいぞ」

「次期ボス!?  なんで次期ボスが奴隷扱いを!?」

「——奴隷にそこまで話す気はない。これで話は終わりだ。せいぜい励めよ」

「ちょっ、プライド様!? ……切れてる」

 

 声が聞こえなくなった山内は、ベッドに倒れ込んだ。

 

(はぁ、どうやって見つけろってんだよ。沢田の命を狙っている奴が、俺の他にもいるってのか? ……それにキングとクイーンの子供って——!)

 

 その時、山内はある事を閃いた。

 

「あれ? 次期ジョーコのボスと仲良くなれば、俺もファミリーに正式に加入できるんじゃねえか? そうなれば、もう奴隷として下らない仕事を引き受ける必要もなくなる……」

 

 山内は、自分の閃きに黒い笑みを浮かべた。

 

「……ようやく運が向いて来たな。次期ボスと仲良くなって、一緒に沢田を消す。そうすれば、俺も晴れてマフィアの仲間入りだ! ククク……あーっはっはっはぁ!」

 

 ……しばらくの間。山内の部屋には、彼の高笑いが響き渡っていた……。




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