ようこそボンゴレⅩ世。実力至上主義の教室へ   作:コーラを愛する弁当屋さん

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今回で7巻編は終了となります。


原作7巻編 その6 戦いのその後

 

 —— 敷地内の病院、清隆side ——

 

「……」

『……』

 

 俺が今いるのは病院の待合室。狭い空間に14人もいるというのに、室内に流れる空気は重たい。

 

 今回の事件の被害者はなんと10人にも及んだ。攻撃された時に、最も綱吉にダメージがいくであろうメンツを龍園が選んだ結果らしい。

 

 ほとんどの者が怪我もなく助かったのだが、軽井沢と一之瀬の2人だけが体調を崩してしまっている。現在は手当をしてもらっている所だ。

 

「っ……帆波ちゃん、軽井沢さん」

「……」

 

 綱吉は2人の手当が終わるのを今か今かと待っている。

 祈るように手を組んでいるのは、後遺症の心配をしているのだろうか。

 

 今回の事件は自分のせいだと思っているからだろうが、そんな綱吉の雰囲気もあり、無事だった者達も無傷で助かったことを安易に喜べないでいるようだった。

 

 

 ——ガラララ。

 

「!」

 

 急に待合室の扉が開くと、一之瀬と軽井沢が中に入ってきた。

 

「帆波ちゃん! 軽井沢さん! ……どうだった?」

 

 おずおずと尋ねる綱吉だが、当人達は微笑みながら答えていた。

 

「軽い熱中症だって。点滴も打ったし、もう平気だよ!」

「私も低体温証だったけど、ナッツちゃんのおかげでだいぶ体温が戻ってたみたい」

「そっか……じゃあ入院の必要とかはないんだね」

「うん!」

 

 一之瀬は温泉施設のボイラー施設に監禁されていたらしい。そんな環境に置かれては、熱中症になっても仕方がない。綱吉が一番初めに助けたのが彼女だったのが幸いし、軽度で済んだのだろう。

 

軽井沢は真冬の屋上で、バケツ一杯の水を4回もかけられていたらしい。それで入院の必要もないとは、よほどナッツの体温が高かったのだろうか。ナッツとは綱吉の猫だが、猫というのはそんなにあったかいのだろうか。……今度触らせてもらおう。

 

「皆の生還をよろこんでいるところごめんね、ちょっと通してくれる?」

「あ、先生達!」

 

 入口を塞いでいた綱吉の後ろから、真嶋・星之宮・茶柱ら教師陣が入室してきた。

 

 ……当事クラスの担任である坂上は来てないらしい。

 

「お前達も気になっているだろうし、今回の事件の精算方法について話にきた。まぁ要は、今回の事件に対する処分のことだ」

 

 茶柱からの言葉に、被害者達の表情が引き締まる。

 

「……まず、沢田」」

 

 報告が始まる前、茶柱は綱吉に視線を向けた。

 

「はい」

「お前の要求をCクラス担任、坂上先生が承諾した。私も承諾するから学校側に報告しておく」

「ありがとうございます」

 

 綱吉は今回の事件の収拾をすでに打診していたらしい。

 綱吉が打診した詳しい処分内容は以下の4点。

 

①Cクラスの加害者生徒は所持するPPを全没収。没収されたポイントは、被害者10人に均等に分配する。

②CクラスへからDクラスへ、CPを70ポイント譲渡する。

③CクラスからBクラスへ、CPを10ポイント譲渡する。

④龍園翔は、事件当日から1年間の間、自主退学は認められない。

 

 ①〜③は妥当な罰則だが、④については……綱吉の個人的なものだろう。龍園が自主退学をすることを見越して先手を打ったのだ。なぜそんなことをするかは謎だがな。

 

「なんでそんなことを?」

 

 被害者達は4つ目の内容に疑問を隠せないようだが、綱吉は決めたのならと追求するようなことはしなかった。

 

「椎名さんと木下さんは気まずいかもしれないけど、クラス内で孤立するようなことがないようにって加害者達には言い含めてあるから安心してね。何か不安があれば、すぐに相談をしてくれていいから」

「はい、ありがとうございます」

 

 木下と椎名は加害者達と同じクラスだからな。精神的には他の8名よりもよほどきついものがあるだろう。

 

「俺も頻繁に様子を見に行くよ」

「あ、ありがとう沢田くん」

(綱吉が行くなら、クラス内でいじめられたりすることもないか)

 

「……処分に関する報告は以上だ」

「何か質問がある?」

 

 被害者達からは何も質問が出ず、先生陣は待合室から去っていった。

 

「……」

『……』

 

 先生達がいなくなると、室内は沈黙に包まれた。その沈黙を破ったのは、いきなり深々と頭を下げた綱吉だ。

 

「皆、改めて、本当にごめん!」

「ちょ、ツナ君頭を上げてよ!」

「そうだよ、ツっ君は悪くないし」

「うんうん、悪いのは全部Cクラスじゃん」

「……いや、そもそもは俺の責任だよ。龍園君達に狙われていることはわかっていたはずなのに、俺は事前に防げなかった。そのせいで皆に辛い目に遭わせてしまった。……本当にごめん」

 

 いつも真剣に人と向き合っている綱吉だからか、今度は誰も何も口にせずに次の言葉を待っていた。

 

「今後はこういうことが起きないように、もうちょっと周りに対する抑止力を身につけた人間になりたいと思う。俺の周りにいる人達を傷つけようだなんて誰にも企まれない……そんな人間に」

 

 そこまで口にすると、綱吉はようやく顔を上げた。

 

「……だから。これからも、俺と仲間クラスメイトや友達でいてくれますか?」

『……』

 

 いつになく不安げな表情で皆の様子を伺う綱吉。すぐに返事が帰ってこないので、徐々に綱吉の表情が暗くなっていく。

 

「……あの、皆?」

『……ぷっ』

「え?」

『あはははは♪』

 

 10人からの返事は、全員が笑うというものだった。女子に関することについては、確実に呪われているほどに鈍感な綱吉は、なんで笑われているのか理解できない様子。……そんなの、お前が笑われるようなことを聞くからだろ? 答えなんて一つしかないだろうに。

 

 

「もう! ツナ君ったら! 何をあたり前のことを言っているの?」

 

最初に返事をしたのは、やはりというべきか、綱吉大好き櫛田桔梗だった。

 

「え?」

「私達がこんなことで、ツナ君のことを拒絶するわけないでしょ?」

 

「ねぇ皆?」と声をかけながら櫛田が10人を見渡す。もちろん全員異論はないようで頷き返していた。

 

 その様子を見ていた綱吉はほっとため息をひとつ吐き、微笑んだ。

 

「ありがとう。これからも皆友達だね」

「うんうん。……あっ」

 

 綱吉のこれからも友達という言葉が引っかかったのか、櫛田が言葉を止める。

 

「……あ〜。でもぉ。これ気をに友達よりも一歩先に踏み込みってのもありかも?」

「ちょっと! 何を言っているのかしら櫛田さん」

 

 仕掛けにきた櫛田に対し、堀北が慌てて止めに入る。さすがに見ていられなかったらしい。

 

「何って、そろそろ関係を進めようとしただけだよ?」

「ぬ、抜け駆けなんてずるいわよ」

「こういうのは早い者勝ちだよ?」

 

 櫛田的にはライバルが10人も揃っているこの場で先手を打ちたかったのだろうが、あいにく綱吉には通じない。

 

「あ、それとね」

 

 ほら、話題を変えてきたぞ。

 

「今回の件のお詫びに……なるかはわかんないんだけど。俺にしてほしいこととかあったら言ってね。俺にできることならなんでもするから」

『!』

 

 綱吉のその言葉に、女子達に緊張が走り、再び沈黙に包まれる。その沈黙を破ったのは……もちろん櫛田桔梗である。

 

「なんでもいいの? だったら〜、24日と25日は私と一緒にすごしてくれない?」

『!?』

「うん、いいよ」

『!?』

 

 この状況でよくOKできるな。

 

「危機的状況から助けてくれた相手だぞ」

「何かしらの感情を抱かれてるかも、とか考えないのか?」

 

 隣にいる明人と啓誠がぼそっと呟いた。

 完全に同意である。

 

 綱吉。お前がDクラススタートだった理由って、女子に対して鈍感すぎる呪いが主なんじゃないか。

 

「他の皆も、何か俺にできることがあれば、なんでも言ってくれていいから」

『……それじゃあ』

 

 その後、綱吉は10人全員からお願い事をされることになったのだが……。

 

 

 

 —— 並木道 ——

 

 

「……まさか、冬休みの予定が全て埋まってしまうとは」

 

 

 あの後すぐ解散となった俺達だが、綱吉は一度学校に戻るというので俺も付いて行っているところだ。

 

「普通の男子だったら喜びまくるとこだ。……って明人が言ってたぞ」

 

 綱吉は明日からの10日間、それぞれ別の子とデートをすることになっていた。櫛田の抜け駆けを阻止するために、「10人で1日交代で綱吉君と出かけましょう」という提案をだしたのだが、他の奴らもそれを了承したのだ。全員気持ちは同じ、そういうことなのだろう。

 

「グループで遊ぶ予定が入れられないね」

「ま、冬休みは短いし、各自自由行動ってことでいいだろ。そもそもそういうグループだしな」

「ん〜。それもそうだね。……それで清隆君」

 

 綱吉が突然歩みを止めて、俺に向かって振り向いた。

 

「いつまでついてくるつもり?」

「だめか?」

「ちょっとこれから個人的な用があるから、ひとりにしてほしいんだけど」

「……その用ってのは、俺にも知られたくないことか?」

「……うん、ごめん」

「……わかった」

 

 綱吉の表情から真剣さが伝わってきたため、俺は後ろを振り返り、マンションに向けて歩き出した。

 

「……」

 

 背後で、綱吉も歩き出したのを感じた。

 

 振り向いてこっそりついて行こうかとも考えたが、こういう時の綱吉の間は鋭すぎるのでやめておくことにした。

 

「……帰るか」

 

 夕暮れの並木道を1人歩く。首を上げ息を吐くと、白い煙が頭上を越え淡く消える。

 

「寒い」

 

 口や鼻から息を吐くたび、面白いように白息が出ては消え出ては消えを繰り返す。

 温度差の激しい日が続くため忘れがちだったが、もうすっかり冬だな。

 

 去年の今頃は、ずっと室内にいたからな……。  

 

 見知らぬ女子生徒が一人、寒そうにしながら俺の横を抜けていく。手には学生証端末が握られていて、誰かと楽しそうにお喋りをしているようだ。

 

「ほんと生徒会長になった途端に付き合いが悪くなったよね雅。あはは、冗談冗談。別に怒ってるわけじゃないけどさ。今度色々奢ってもらうから覚悟しておいて」  

 

 寒空の下から覗かせる太ももはとても寒そうだった。

 

「生徒会? 悪いけどそれはパス。私その手のには興味ないし。それに雅はまだ元生徒会長との決着がついてないでしょ? って、ちょっと何いきなり告白してくるわけ? あっちもこっちも手を出してるのは知ってるんだからね」

 

 あまり盗み聞きするつもりはないが、こう大きな声で話されちゃ嫌でも内容が聞こえてくる。会話の内容から察するに2年生の女子だろう。

 

「まぁ……もし堀北会長に勝ったら、その時は考えてあげてもいいけどね。それじゃまたね」

 

 女子生徒は通話を終えると、ふーっと白い息を吐いた。  そして一度立ち止まり学生証端末をポケットにしまう。

 

「調子に乗ってるなあ、雅のヤツ。にしても堀北生徒会長も使えないって言うか、雅を止めてくれると期待してたのに。結局、ゲームは雅の勝ちで終了かな」

 

 先ほどまで楽しそうに会話していたのに、通話を終えた途端トーンダウンしていた。

 

「あ。でもあの副会長君には期待できそうだよね〜。あの就任挨拶もシビれたし」

 

 綱吉のことであろう言葉に思わず立ち止まってしまうが、本人はすれ違った俺の存在など気がついていないのか、そのまま歩き去って行く。

 

「うわっと!?」

 

 しかし、ちょっとしたハプニングが起こった。並木道が分岐する分かれ道で、躓いたのか盛大にすっ転ぶ。

 

「ったた……」

 

 すぐに起き上がると、少しだけ顔を赤くしながら辺りをキョロキョロする。 そして後方に俺がいるのが見えたのか、初めてこちらに気づいたようだった。

 

 ちょっと恥ずかしそうに苦笑いした。様子からして怪我をしたってほどではなさそうだ。逃げるように駆け出し、2年生は遠くへと消えて行った。

 

「やっぱり2年生、か」

 

 この学校では、生徒会や部活動を通じて以外ではあまり学年を飛び越えての交流はないらしい。だから顔を覚える機会なんてほとんど無いんだよな。

 

「あ」

 

 そんなことを考えながら歩き出すと、並木道の分岐点、さっき上級生が転んだところに赤いお守りがひとつ落ちていた。

 

さっきの上級生が落としたものだろうか。放っておく方が良いのかも知れないが、夜からは雪が降る予報になっているため、このままだと水浸しになる。

気づいて戻ってくる気配もないし、寮の管理人にでも渡しておくか。

 

 俺はお守りをポケットにしまい、マンションへと向かって歩き始めた。

 

 

 —— 学校にて ——

 

「……待て、ツナ」

「!」

 

 廊下を進んでいたツナを、呼び止めるものがいた。かてきょ—のリボーンだ。

 

「どこに行くつもりだ?」

「……俺の理想とするボンゴレⅩ世になるための準備だよ」

「そうか……だが、それは本心か?」

「は?」

 

 ツナが足を止めて振り返ると、リボーンが暗がりから現れた。

 

「どう言う意味だよ」

「お前がこれからしようと思っていることは、本当にボンゴレⅩ世……沢田綱吉が臨む成長を遂げるための行動なのか?」

「当然、だろ」

「……お前、この俺に嘘が通じるとでも思ってんのか?」

「!」

 

 リボーンから凄まじい殺気が放たれる。彼の本職である、殺し屋のそれである。

 

「お前がやろうとしていることの先にあるその道は、この俺と同じ道なんじゃねぇのか」

「っ!」

 

 リボーンと同じ道、つまり人殺しの道である。

 

「ツナ、お前は I 世とDスペードの意志を継ぎ、最高のボンゴレを目指すと決めたんじゃねぇのか」

「そうだよ」

「なのに、お前がやろうとしているのは、ボンゴレの歴史の再現じゃねぇか」

「なっ! 何を言うんだよ!」

 

 動揺するツナに対し、リボーンは淡々と話を続ける。

 

「大事な街の人々を守るために自警団を作った I 世。それはやがてマフィアのファミリーへと姿を変え、 I 世の望んだ大切な人々を守る組織を作り上げた。しかし少しの甘さから仲間の大事な人を失う結果を招いてしまった。その結果、 I 世のやり方に反旗を翻し、当初とは真逆の組織へとボンゴレを改革していったDスペード」

「……」

「自分と仲間達に関係する全ての人々を守るため、最高のボンゴレを目指す沢田綱吉。その目標を叶える為、高度育成高等学校に入学し、自分の学年をまとめあげるボスを目指し始めた。しかし少しの甘さから、大切な仲間や友達を辛い目に合わせてしまった。その結果、このままではいけないと思った沢田綱吉は……その力を持って龍園翔、および奴に与する教師を自分に服従させようとした……ほら、完全な再現じゃねぇか」

 

 自分でも薄々分かっていたのか、ツナは何も言い返さない、いや、言い返せなかった。

 

 ツナが1人で学校に来たのは、Cクラス担任坂上に、恐怖を植え付ける為だった。……まるで龍園と同じようなやり方を取ろうとしたのである。

 

「 I 世もDスペード。そのどちらもが欲していたのは周囲への抑止力だ」

「そうだな。そこは俺も同意だ」

 

  I 世は正義の執行者として、悪に対する抑止を。Dスペードはボンゴレを絶対勝者であり最恐の組織とすることで社会全体への抑止を最も欲していた。

 

「……それでよく考えたら、1年の4クラスのうち、他クラスに対する抑止力を持っていないのは俺達Dクラスだけだって気づいたんだ」

「……」

「今まではこのままでいいと思ってた。でも、今回の事件のことで、このままじゃダメなんだって分かった。だから、俺もDクラスのリーダーとして他クラスに対する抑止力を持たないといけないんだよ。それが、実力主義のこの学校での正解だと思うから」

「……抑止力の為に、恐怖を利用しようってか?」

「……ああ」

「そうか」

 

 ——ドガッ!

 

「ほげっ!?」

 

 ツナの顔面にリボーンの飛び蹴りが炸裂する。いつものようにふっ飛ばされたツナの腹にリボーンが飛び乗り、力強く首根っこを引っ張った。

 

「思い上がってんじゃねぇぞ、バカツナが。そんな暴力的なやり方が、マフィアみたいなやりかたがお前に向いているとでも思ってんのか?」

「で、でもそうしないと皆を守れないし」

「本当か? 本当にそれしかないのか? 抑止力ってのは、暴力や恐怖でしか生まれないのか?」

「何が言いたいんだよ!」 

 

 語気を強めるツナの首ねっこをさらに強く引っ張った。

 

「お前の求めてる抑止力ってのは、恐怖で生まれるものなのかって言ってんだよ」

「!」

「本当は違うんだろ? お前が求めている抑止力ってのは、もっと平和的なもののはずだ」

「……そうだよ。でもその方法が思いつかないんだ」

「俺はそうは思わないな。お前はすでに平和的に抑止力を手にする方法に気づいているはずだ。ただ、それを可能にする方法が見つからないだけだ」

「……」

 

 押し黙ってしまったツナ。リボーンは掴んでいたツナの首根っこを離した。

 

「図星か」

「……うん」

「なら、仲間の知恵を借りればいいじゃねぇか」

「え。知恵を、借りる?」

「そうだ。お前には、優秀な頭脳を持つ相棒とパートナーがいるんだろ」

「!」

「それに、知恵を借りれるのは何もファミリークラスメイトだけじゃない。お前ならこの前まで敵だったやつからだって、力や知恵は借りれる。これまでだって、そうしてやってきたんだろ」

「……そうか。その手があったか」

 

 天啓を受けたように、ツナの顔がぱあっと明るくなる。その様子を見ていたリボーンもにやっと笑う。

 

「進むべき道は見えたな?」

「……ああ。助かったよリボーン」

「全く、いつまで経っても世話が焼けるやつだ」

「わ、悪かったって!」

 

 かてきょーからの久しぶりの説教を受けて、ツナはまた一つ成長を遂げる。

 

 最高のボンゴレボス、最高の大空を目指す沢田綱吉は、自分が持つべき抑止力をついに見つけた。

 

 それは、敵だった人間でさえもその懐に包み込み、仲間をどんどん増やすことで敵となる存在を減らしていくという抑止。そしてその副産物として、そもそも綱吉との仲間に手を出してはいけないと思わせる平和的抑止力である。

 

「その抑止力が生まれるまでは、お前が死ぬ気で守ってやれ。仲間が傷つくより前にな。今回お前が一番反省すべきことはそこだろ」

「うっ、……その通りです」

「せっかくの超直感、無駄にしてんなよダメツナ」

「分かったって! じゃあ俺はもう行くからな!」

 

 説教から逃れるため、ツナはその場を去っていく。

 目的地は先ほどまでいた場所、病院だ。

 

 

 

 —— 病院 病室 ——

 

 

 ——ガラララ。

 

 病室のドアが開かれると、中にいた全員の視線が来訪者であるツナに集中する。その内の1人が、ツナを見てウンザリしたように口を開いた。

 

「……まだ何か用かよ。沢田」

「……君に聞きたいことがあったんだ」

「あ? 聞きたいことだと?」

「うん。このメモについて」

 

 ツナはポケットから学生証端末を取り出し、1つのメモを見せた。

 

「! ……ちっ、ねぇと思ったらテメェが取ってやがったか」

「うん。証拠確保のためにね。でも、その時にこのメモを見つけたんだ」

 

 画面に表示された内容を見て、龍園は眉を潜める。

 

「……何が言いてぇんだ」

 

「——この8億ポイント計画。俺と協力して、3倍の24億ポイント計画にしよう」

 

  




読んでいただきありがとうございました!
感想もお待ちしてます♪

次回から7.5巻編に入ります!
リメイク前はこの7.5巻編が長すぎたので。なるべくコンパクトにしたいと思っています。
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