ようこそボンゴレⅩ世。実力至上主義の教室へ   作:コーラを愛する弁当屋さん

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原作2巻編 その④審議開始

 

「お邪魔しまーす!」

「どうぞ~」

 

 桔梗ちゃんと一緒に部屋に入る。

 前もって、リボーンにはメールを送ってあるから、居抜きスペースは隠されている。

 

「お茶入れるね」

「あ、ありがとう♪」

 

 お茶を入れて、2人でダイニングテーブルに座る。

 

「で、何か話したい事があるの?」

「うん、さっきネットで調べてたらね、こんなのが見つかって」

 

  桔梗ちゃんから学生証端末を手渡される。

 液晶画面には、〝雫〟という人のSNSページが表示されていた。

 

「その人の投稿してる、写真見てみて?」

「うん」

 

 パラパラと、投稿された画像をスクロールして見ていく。この人はグラビアアイドルなのか、セクシー系の写真が多かった。

 

 なんとなく流しみしていた俺だが、1枚の画像を見て、手が止まった。

 

「......これは」

 

 その画像は、アイドルのような衣装を着て、室内で撮影されたものだった。

 

「ツナ君も気付いた?」

「うん。この写真、このマンションで撮られた物だよね。しかもこの人の顔——佐倉さん?」

 

 そう、雫という人の顔は、佐倉さんにそっくりだったのだ。

 

「うん、きっとこの人は佐倉さんだよ。あのカメラは、自分を撮る用のカメラなんじゃないかな?」

「そっか」

「だからさ、きっと佐倉さんは、事件当時の写真を撮ってるんじゃないかと思うの!」

「! そっか。それがバレたら、事件に関わらないといけなくなる。だから最初は逃げたのかもしれないね」

「きっとそうだよ! だから、明日の話し合いでは、その写真を出してくれるんじゃないかな?」

「そうだとしたら、心強いね!」

「うん♪」

 

 その後、話したい事は伝えたからと、結梗ちゃんはすぐに帰っていった。

 

 桔梗ちゃんが帰宅後。気になった事があったので、先ほど見せてもらった「雫」さんのSNSにアクセスした。

 

(佐倉さんがアイドル活動をしているなら。ストーカーがついてるのかもしれない)

 

 最近の投稿を1つ1つチェックしていく。すると、一つ分かった事があった。

 

 この学校に入学してから投稿された全ての画像に、同じ人からのコメントが付けられていたのだ。

 

 そのコメント主の名前は、『いつも傍にいるよ』。

 

 この名前のアカウントから、まるで自分が雫さんと結ばれる運命かのような文面を、同じ画像に何回もコメントされていた。

 

 そしてコメントの中に、更に気になるものを見つけた。画像の投稿日は今日。ついさっき投稿された画像に付けられたものだ。

 

 送信者:いつも傍にいるよ

 

 雫ちゃん、今日は僕に会いにきてくれてありがとう。

 でも、一緒に来たあの男とつるむのはやめなさい。

 あいつは悪魔だ。僕と君の仲を引き裂く悪魔なんだ!

 

 ——こんな内容のコメントだった。

 

(今日会った、男と一緒にいた……。佐倉さんは基本1人で過ごしている、今日一緒に行動した男も俺くらいだろう)

 

 つまり、このコメントの主は『あいつ』しかあり得ない。これで、佐倉さんがあんなに怖がっていた理由がはっきりしたな。

 

「……よし」

 

 ある決意をした俺は、彼に電話をかける事にした。

 

 ——プルルルルル……ガチャ。

 

「あ、博士? ごめんね夜に、ちょっと聞きたい事があって……」

 

 

 —— 翌日、放課後 ——

 

 ついに、Cクラスとの話し合いの時が来た。

 

 Dクラスから話し合いに参加するのは、茶柱先生・須藤君・俺・綾小路君・堀北さんに決まった。佐倉さんは証人としての途中参加になる。

 

「よし、それでは行くぞ」

『はい』

 

 茶柱先生に連れて行かれた場所は、「こういう事態の為にある」らしい会議室だった。

 

 扉を開けて、茶柱先生から順々に入室していく。

 

 俺は最後に入室することにし、入る前に、佐倉さんにただ無言で頷いてみせる。佐倉さんも頷き返してくれたので、俺も入室した。

 

 〜会議室 〜

 

 会議室には、すでにCクラスと、生徒会の面々が揃っていた。

 

「ほう、まさかこんな小さな事案で、生徒会長がお出ましとはな」

「ふっ、多忙なので参加できない事が多いだけですよ。基本は参加するに決まっています」

「はっ......そうか」

 

 席に座りながら、茶柱先生が生徒会長とそんな会話をする。

 

 俺達が席に座ると同時に、生徒会長の横に立っている女子の先輩が口を開いた。

 

「それでは、1年Cクラス。及びDクラスによる、争いの審議に入らせていただきます。進行は私、生徒会書記の橘が務めさせていただきます」

 

 橘先輩の号令により、ついにCクラスとの対決が始まった——。

 

 

 —— side綾小路  ——

 

 須藤に対しての審議が始まった。Cクラスの参加メンバーは、石崎・小宮・近藤。そして、俺達と同じく当事者ではない者。

 

 名前は伊吹と言うらしい、Cクラスの女子生徒だ。

 

「須藤君に、特別棟に呼び出されたんです。それで言われた通りに行ってみたら、いきなり暴力を振るわれたんです!」

「嘘つくな! お前らが、俺を無理やり特別棟に連れてったんだろ! それで俺の腕や足に、怪我をさせようとしてきたんじゃねぇか! 俺は自分の身を守っただけだ!」

「須藤君は嘘をついています! 彼は日頃から、バスケ部でも僕達に暴力を振るっているんです!」

「それもお前らがやってんだろ! いつも練習の邪魔ばっかりしやがって!」

 

 審議の序盤は、バスケ部である小宮と近藤、そして須藤による「自分が正しい。相手が嘘を言っている」という文言を、色々な言い方で言い合うだけの場となってしまった。

 

(......これでは審議が進んでいかない)

 

 そう思った所で、生徒会長が手を上げて須道達を制した。

 

「……もういい。お互いに相手が悪いの一点張りでは、審議などできない。……そこで、当事者でない者達に、意見を述べてもらおうか。まずはCクラスからだ」

 

 生徒会長にそう言われた伊吹は、椅子から立ち上がると、ビシッと須藤を指さした。

 

「生徒会長。お互いの証言に証拠はなくとも、見ればすぐに分かる事実があります」

「ほう、それはなんだ?」

「もちろん。石崎達は怪我をしているのに、須藤は怪我をしていないという事です。これは、須藤による一方的な暴行を受けた証拠に他なりません」

「そうだな。須藤の暴力により、Cクラスの生徒3名が怪我をした。これは間違いない事実だ」

 

 生徒会長は伊吹に頷いて見せると、今度は俺達の方に顔を向けた。

 

「……Dクラス、新たな証言や証拠がない場合は、ここで結審とするぞ。——どうする? 何か言いたい事があるか?」

「もちろんです! 生徒会長」

 

 すでにDクラスの負けだと、遠回しに言っている生徒会長だが、一応形式上はこちらの意見も聞いてくれるようだ。

 

 沢田が手を挙げて生徒会長にアピールすると、生徒会長は頷いた後に「言いたい事を言え」と、顎で示した。

 

「はい。では、Dクラスの意見を言わせて——」

「ちょっと待て!」

 

 沢田が立ち上がり、意見を述べようとしたその瞬間。伊吹が机を強く叩いて注目を集める。

 

「……なんだCクラス。今はDクラスが意見を言う場だぞ?」

「生徒会長。そこの沢田に意見を求めても、意味がないと思われます」

「なっ!?」

「ほう、なぜだ?」

 

 伊吹は沢田の発言は意味がないと言ってのけた。

 

 伊吹の発言に沢田は驚愕し、生徒会長は興味ありげに、話の続きを待っている。

 

「そこの沢田は、須藤の言いなりです。4日前の放課後に小宮と近藤に対して、須藤と一緒に暴力を振るおうとしています! つまり、須藤贔屓の発言をする可能性が高い。よって、沢田の発言も須藤達と同じように、証言にはならないと考えます」

「そんな!」

「……ふむ。無視はできない発言だな。よし、Dクラスは沢田以外の者が意見を述べろ」

 

 沢田が椅子にへたり込む。

 

 そりゃそうだろうな。自分が一番須藤の無実をじているのに、その自分の発言は、証言にならないと言われたのだから。

 

 ——沢田はここからどうするだろうか。正直俺は、沢田の取る行動に興味津々だった。

 

 

 ~ 綾小路清隆の独白 ~

 

 この学校に入学してから、お前ほどに興味を引かれた奴はいない。

 お前はそこまで頭脳明晰ではないのに、変に直勘が働く奴だ。

 

 起きてしまったトラブルにおいて、気づかなければならないポイントに必ずたどり着き、そのまま解決方法まで見つけ出す事が出来ている。

 

 しかしお前は、思考と状況だけで答えを導き出してるわけじゃなく、並外れた直感で答えまで辿りついているのだろう。思考と状況で答えを出す俺とは、問題の解き方が全く違うという訳だ。

 

 ……だからこそ気になる点が一つある。

 

 Sシステム、中間テスト対策、須藤の赤点回避。

 これまでDクラス訪れた問題において、俺はお前が導き出した結論と全く同じ答えを出している。

 

 だが、解決への持って行き方が俺とは真逆だ。

 

 例えば、中間テスト対策。俺なら最初から過去問を手に入れて、櫛田か平田に配らせる。

 対してお前は、過去問は最後の手段としてのみ利用した。今回のテストだけでなく、須藤達が少しでも勉強ができるように、自分で勉強して赤点を回避する事を最上としていたからだ。

 

 ……なぜだ? 

 お前も俺と同じで、自分の為に動いているはず。

 

 俺にとってのクラスメイトは、目的を果たすための駒でしかない。

 なのにお前は、自分の為に動きつつ、クラスメイトの事も第一に考えて行動を選択している。

 

 俺は知りたい。俺の選ぶ選択肢と、お前の選ぶ選択肢。目標に確実にたどり着く為には、どちらの選択肢が最適なのかを。

 

 そしてそれ以上に、お前の選択で、一体どこまで這い上がれるのかも見てみたいと思っている。

 

 ——だから見せてくれ沢田。

 

 お前が持っている、俺の人生では選択肢にもならなかった考え方を。

 そして、お前の選ぶ道がどこまで繋がっているのかを。

 

 

 椅子に座り込んだ沢田は、堀北の顔を見た。

 

「……」

 

 堀北は、兄である生徒会長がいるからか、完全に戦意喪失してしまっている。こう言う時、何か体に刺潡を与えれば、意識は覚醒させる事ができるが、沢田はどう対処するだろう。……俺なら、脇腹を鷲掴みにでもするな。

 

「堀北さん」

「……」

 

 沢田が呼びかけても、上の空の堀北は返事をしない。すると沢田は、堀北の右肩を掴んで、もう一度声をかけた。

 

「堀北さん!」

「っ!  さ、沢田君」

 

 今ので、ようやく我に帰る堀北。

 

「ごめん。俺の代わりに、須藤君の無実を訴えてもらってもいい? 俺の発言は。証言として認めてもらえないみたいだからさ」

「えっ? あ……」

 

 沢田の言葉で、ようやく今がまずい状況だと理解した様子の堀北。

 

 しかし、兄に見られているからか、いつもの不遜な態度の堀北は見る影もない。

 

「堀北さん、頼むよ。今須藤君を救えるのは、君しかいないんだ」

「……私が? 兄さんの前で?」

「うん。ついでにお兄さんに見せてやろうよ! 堀北鈴音は優秀だって所をさ。前にも言ったけど、俺は堀北さんを信じてる。だから堀北さんも、自分の力を言じてあげて? 君は頭が良くて、すごく優秀な人なんだから」

「っ。……沢田君。——ありがとう」

 

 沢田の言葉を受け取った堀北の目に、先ほどまではなかった、強さのようなものが宿った気がした。

 

(なるほど。沢田は基本的に、言葉を使って相手の気持ちを操作するのか)

 

 沢田にお礼を言った堀北は、いつものような態度に戻り、椅子から立ち上がった。

 

「それでは、ここからは私が話させて頂きます」

「よろしい。Cクラスも文句ないな?」

「……は、はい」

 

 堀北は発言しないと思ってたのか、伊吹は若干苛立っている様子だ。

 

「まずお聞きしたいのですが、部活後に呼び出されたのに、どうしてバスケ部じゃない石崎君がいたのですか?」

「……それは、須君への対策ですよ。彼は暴力的ですから」

「では、暴力への対策として、石崎君を連れて行ったんですか?」

「そうです。いけませんか?」

「いいえ。しかし、3対1なのに、そちらだけが一方的に傷を負っているのは、おかしくないですか?」

「!  そんなの、僕らに争う意思がなかったからですよ」

「私も少々、武道の心得があります。3対1の戦いにおいて、1の方が圧倒的に不利であるはずです」

「うむ。普通はそうだろうな」

 

 堀北のその発言に、茶柱が賛同する。

 

「はい。そして石崎君は、中学時代は不良のトップに君臨していて、喧嘩ばかりの毎日だったとか。それなのに、一方的に暴力を受けるなんて、おかしくないですか?」

 

 その発言に、石崎が吠えて反論する。

 

「こ、高校に入って改心したんだよ!」

「その服装、その話し方でですか? どうも信用できませんね」

 

 堀北が、石崎の事を指さしながらそう言った。

 

「ぐっ……しかし! それだけで須藤が無実なんて、横暴ですよ!」

「安心してください。今回の騒動を、全て見ていた生徒がおりました。……証人、入室して下さい」

 

 ——ガララ……。

 

 堀北に呼ばれて、佐倉が証人として入室した。

 

「証人。学年とクラスと氏名を述べて下さい」

 

 橘先輩に促され、佐倉が口を開いた。

 

「1年Dクラス。……佐倉愛里です」

 

 佐倉がチラッと沢田の方を見る。沢田は無言で頷き、佐倉も頷き返す。

 

「……す~、は~」

 

 佐倉は一度深呼吸をすると、1枚のSDカードを取り出した。

 

「私はあの日、須藤君に暴力を振るおうとするCクラスの人達を見ました。このSD

カードには、その証拠が記載されています」

「……写せ」

「はい」

 

 橘先輩が佐倉からSDカードを受け取り、プロジェクターで壁に投影し始めた。

 

 そこに写っていたのは、特別棟で自撮りをしている佐倉と——その後ろで須藤に殴りかかっている石崎の姿だった。

 

「なっ!?」

「こ、これが。私があの時に特別棟にいた証拠です。時間もしっかり記載されています」

 

 石崎達が動揺している中、今まで発言しなかったCクラスの担任が口を開いた。

 

「はっ、デジカメならば、いくらでも日付の為造ができる! それに、催かにこの写真では石崎が殴りかかっているように見えるが、どちらが先に手を出したのかを判断する証拠にはなりえない!」

「そうかもしれません。しかし、Cクラスが一方的に暴力を振るわれたという証言は嘘だった、という証明にはなりますよね?」

 

 担任の反論に、堀北は真っ向から対抗するようだ。

 

「ぐっ……」

 

 一瞬怯んだ様子の担任だったが、すぐに冷静さを取り戻し、ねちっこく反論してくる。

 

「確かにその通りですな。しかし、結局怪我をしたのはCクラスの生徒だけなのです。どちらが先に手を出したのか判断がつかない以上、どちらが悪いのかを決める事は出来ない。そこでだ、Dクラスに提案がある」

「……提案?」

「そうだ。喧嘩両成敗ということで、怪我をさせた須藤は2週間の停学。石崎達は1週間の停学。これで手打ちにしないか?」

 

 本当なら退学になってもおかしくなかったのが、1週間の停学で済むというのは大きな譲歩だ。この提案を受け入れることも手だと思うが、堀北はそれをよしとしないようだ。

 

「いいえ。その和解案は受け入れられません。Dクラスとしては、須藤君の完全無罪を要求します」

 

 悪手とも取れる、堀北の発言。その発言に、生徒会長が鋭い目で睨みながら、再度確認を取る。

 

「ならば、Dクラスはそれを証明する手を持っているのか?」

「はい。しかし今はそれを掲示できません。なので1日だけ時間を頂けないでしょうか。明日の放課後までには、須藤君の完全無罪を証明してみせます」

「……沢田」

「! はいっ」

 

 生徒会長は、なぜか沢田に声をかけた。

 

「今の堀北鈴音の発言、Dクラスとしての意見に間違いないか?」

「はい。もちろんです!」

「......いいだろう。それでは、この審議は明日まで持ち越しとする」

 

 生徒会長のこの発言で、本日の審議は終わりとなった……。




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