魔法少女リリカルなのは Goddess Was Fallen 作:ルル・ヨザミ
今日から再開です。よろしくお願いします。
”束縛の影”の襲撃から二時間後、時空管理局から直接アースラスタッフに今回の事件”束縛の影”事件の担当に任命する連絡が来た。
リンディ提督はその後の動き早かった。地球支部で海鳴市全域に局員を巡らせ”束縛の影”を徹底的に探し出すことにした。”束縛の影”が海鳴市にいるという情報はなかったが、”影”が襲った対象がはやてやアリサだったことから次現れるとしたら海鳴市だと考えたのだ。
そしてなのはたちも迎撃の任務にあたる事となった。そんな中、アリサは一人すずかの家に行くことにした。それは事情聴取が終わり、一人で飲み物を飲んでいる時、アリサの携帯にすずかからメールが来たからだ。
アリサは勿論罠かと考えたが、もし本人ならば自分が戦った”束縛の影”の姿は何だったのか…それを確かめるため家に行くことにしたのだった。
アリサはすずかの家の門の前に立つ。スマホを開きメールをすずかに送る。アリサの鼓動は早くなっていった。奥から出てくるのは”束縛の影”なのかすずかなのか…。
「はーい、結構早かったねアリサちゃん!」
「すずか…すずかなの…?」
「うん?…そうだけど…?どうかしたの?」
「ほら、なのはが乗っ取られたっていう”影”っていたでしょ。その最後の一人がさっき私たちを襲ってきて、その姿がすずかの見た目だったから…もしかしてって…」
「あーそういう事…だからさっきのメールですごく驚いてたのね…」
「う、うん…。でもその反応だと私の見間違いだったみたいね。なのはにも伝えとかなきゃ」
「あながち間違いじゃないっていうか…。むしろ正解?」
「えっ…それって…!」
アリサは思わず後ろに飛び距離を取りフレイムアイズの待機状態の宝石を付けたペンダントを握る。
「ああ!そうじゃないの!違うのアリサちゃん!私の中にはもう”影”はいないの!抜けてどっかに行っちゃったの!」
「…は?」
「ご、ごめんね?そうなるよね…。えっと……どう言ったらいいのかな…?」
「……よし、リンディさんとこ行くわよ」
「え…」
「当たり前でしょ!すずかの話信じようが信じまいが、すずかの身体に”影”が入ったのは確かなんでしょ?それなら行くべきよ」
「そっか…アリサちゃんが言うなら…そうするよ」
すずかは一度家に戻り、準備をしてアリサとリンディ提督のいるハラオウン宅へ向かう。そしてアリサはその途中で”影”で分かっていることをすずかに伝えた。
「へぇ…結局”影”全体が何を目的に行動しているかはよくわからないんだね」
「ん?各自で自分の司ってる欲を満たしているだけじゃないの?”断罪の影”は何かよくわかんないけど」
「ふうん…。でも欲を満たしたいだけならなのはちゃんを殺そうとする必要なくない?”憤怒の影”はアリサちゃんのなのはちゃんへの怒りを利用してたからわからないでもないけど他の”影”、”断罪の影”って保安局が完全に立ち上げできた時はなのはちゃんに戦いを挑もうとしてたんでしょ?」
「よ、よく知ってるわね…。まぁそうらしいわね取り調べでそう言ったって聞いてるわ。でも”隷属の影”はなのはを殺そうとなんて…」
「”隷属の影”はそもそもなのはちゃん乗っ取って内部から殺そうとしてたでしょ?」
「あれってなのはを殺すのが目的だったの?」
「”影”って人を選んで憑依するんじゃないの?」
「そんな情報聞いたことないけど…」
「ああ…これは”束縛の影”から聞いたんだたっけ」
「うん?なにそれ、どういう事??」
「”束縛の影”が私から抜けてどっかに行った時教えてくれたの。”影”がこの世界に来た時、”隷属の影”、”憤怒の影”、”束縛の影”は選んで憑依したって。”断罪の影”はその場から何故か遠い世界に移動したって言ってたけど」
「…滅茶苦茶重要な情報な気がするんだけどそれ…」
「あはは…じゃあリンディさんの所に着いたら”束縛の影”から聞いたこと全部話すね…」
「ええ…そうしましょ…」
アリサはすずかの口から飛び出す衝撃発言に完全に疲れ切っていた。
そして、十分ほど歩き、リンディ提督の地球での自宅のマンションに辿り着いた。
アリサとすずかは部屋に入る。二人を連絡を受けていたクロノが出迎えてくれた。部屋の奥でなのはとフェイトとはやてが待っていた。
「すずかちゃん…」
「すずか…大丈夫なの…?」
「ありがとうフェイトちゃん。大丈夫だよ」
「すずかちゃんから”影”が抜け出したって聞いて飛んできたんよ。一体どういう事なんや?」
「私も混乱してきたからこっちに来たのよね…さあ、説明をお願いすずか」
「うん。まず私を”束縛の影”が乗っ取ったのはなのはちゃんの”隷属の影”の事件が解決して一周間後。そのおかげで私の回復が早かったの」
「すずかちゃんの回復の速さは”影”によるものだったんだ…」
「そう。それで退院して家に帰った後、私の中から影がひとりでに離れてもう一人の私になったの。それが今の”束縛の影”。そしてその時に”影”たちは人を選んで憑依しているって聞いたの」
「人を…選んで…!?」
「私もさっき聞いた時すごい衝撃だったわ…。明確に選んだって言われたのは”隷属の影”、”憤怒の影”、”束縛の影”が選んだらしいわ」
「その三つは確実に憑依者を選んだ…」
「だから私は”影”の共通目的としてなのはちゃんの抹殺があると思っていたの…」
「それは…どういうこと…?」
「”隷属の影”はわざわざなのはちゃんを選んでいることからなのはちゃんを存在から消そうとしていた。”憤怒の影”はアリサちゃんの怒りを利用してなのはちゃんを殺そうとしていた。”断罪の影”は保安局を完璧にしてからなのは数で圧倒し殺そうとしていた。そして、”束縛の影”は…理由はわからないの、でも確かになのはちゃんを殺そうとしていた。短い間だったけどあの”影”の中にいた時なのはちゃんを恨んでいるというか…嫌っているというか…そういう感情が私の中に流れ込んできたの」
「私を…恨み嫌っている…?」
「そう…。でも私に感じれたのはそこだけ。何があってなのはちゃんを殺そうとしているのかは私にはわからなかったし、教えてくれなかった…」
「そっか…」
「なのは…」
「大丈夫だよ、フェイトちゃん。まあ”影”が私の関係者に多く憑依していた理由はわかったし。それで?すずかちゃん、他に”束縛の影”から聞いたことは?」
なのはは表情には出していなかったが心では疑問が渦巻いていた。なぜ自分が命を狙われるのか。理由がわからない。自分が今までしてきたことでなにか恨みを持たれることがあっただろうか?”隷属の影”に乗っ取られている時はあるかもしれないが、それ以前には身に覚えがない。いったい自分はどこで恨みをかったのか…。
「あとはね、”影”は魔力を持っていないってことと…なのはちゃんと”隷属の影”は相性が最悪でモードはできても使い物になるかは精神力次第って言ってた…」
「私と”隷属の影”の相性が最悪…!もしかして私のモードが極端に稼働できる時間が短いのはその所為!?」
「そうなんだ…。なのはは遠距離、”隷属の影”は近距離で戦うからかな?」
「どうなんやろなぁ。そもそも戦う理由とか精神的な面もあるんとちゃうかな」
「ていうかなんでそんな相性の悪い相手をわざわざ選んで憑依したのかしら?」
すずかからもたらされた情報で議論するなのはたち。なのはに憑依した”隷属の影”の目的。”影”たちの執拗ななのはへの攻撃。
そこから議題は飛んで”不屈の影”たちの目的にまで及んだ。フェイトは最初”不屈の影”が来た目的は他の”影”を止めるためかと考えていたが、どうやらそうでもないようだと考えるようになっていた。というのは、”影”という存在は同一の人物が作ったのだが、その人物がなのはに恨みを持っていたのなら、そもそも”不屈の影”と”忠誠の影”の存在が違和感となる。さらに欲を司るというシステムだ。これは”影”たちの力の源となるエネルギーを指しているらしいが、”不屈の影”にはそのようなものが無いように思えるのだ。それに引き換え仲間の”忠誠の影”は守護欲という明確な欲を持っている。これは”不屈の影”のエネルギー源が不明であるということだ。それもあり、”不屈の影”がこの世界に来た理由に何か他の理由があるのではないかとフェイトは考えている。しかし、当の”不屈の影”はいつも”隷属の影”たちを止めるために追ってきたとしか言わないのだ。
「”影”の目的はわからずじまいだね…ごめんね皆…」
「いいんだよすずかちゃん。すずかちゃんが無事だってわかっただけでも嬉しかったんだから…」
「なのはちゃん…」
「そうだよすずか。また友達と戦わなきゃいけないのかと辛い気持ちだったけどすずかのおかげで晴れたから」
「フェイトちゃん…」
「事件の解決は私たちに任せとき!事件が終わったらまた皆でどっかに遊びに行こう!」
「はやてちゃん…」
「すずかのおかげで”断罪の影”が話さない様な情報が手に入ったんだから。すずかは私たちを信じて…ね?」
「アリサちゃん……。わかった。皆を信じて任せるね。頑張って!」
「「「うん!」」」
すずかがくれた情報により、”影”の明確な攻撃対象が高町なのはである事がわかったため、まず管理局は高町家を保護。そしてなのはもできるだけ、リンディ提督など管理局員と一緒にいることを義務付けられた。