魔法少女リリカルなのは Goddess Was Fallen   作:ルル・ヨザミ

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 物語も佳境に入ってきました。この物語終わったら、原作準拠の話も書いてみたいですね。でもそれだとオリ主とかになるのかな…嫌だな…。


第46話 捜索と創作

 時間はなのはが目を覚ました日から三日遡る…。 

 それは月村邸で起こったなのはとPWなのはの戦いから一時間後。時空管理局地球支部の面々により、アリサとすずかの捜索が行われていた。

 この時のなのはは集中治療室に運ばれ今だ出てきていない。

 クロノはアリサとなのはを一人で行かせたことの自責の念からくる後悔で捜索を急がせ現場にあまりいい空気を出していなかった。

 

 「クロノ。落ち着いて…そんなに焦ってたら見つかるものも見つからないよ」

 「フェイト…しかし…」

 「私もそう思うよ?こういう時こそ、落ち着くもんや」

 「はやても…僕がもっとしっかりしていればこんなことにはならなかったんだ…だから!」

 「だから、落ち着くの!」

 

 フェイトに強く言われたクロノはグッと苦虫を嚙み潰したような顔をし、椅子に座り俯いてしまった。

 今のクロノはメンタル的に万全とはいいがたい状況だった。フェイトも万全とはいかない状態だが、クロノを見ているとそうも言えない。

 

 「クロノ、もしアリサたちの居場所がわかった時は私に教えてね。はやてたちと一緒に助けに行くから」

 「…お前たちは影から種を貰っていたんだったな」

 「うん。回数制限付きだけだけどね…」

 「ありがたいことや…」

 「それでも、あのなのはには多少戦えるだろう…。まさかこちらのなのはまでやられるとは…正直油断していた…」

 

 クロノは俯きながら、手を強く握り話す。そう、なのはが戦っていたあの時。管理局側の誰もがなのはの勝利を疑わなかった。多少のピンチもあったが解析によるPWなのはの魔力消費はなのはより酷く、計算では影による攻撃は使えないはずだったのである。故にあのままなのはの突撃作戦が成功していれば確実に勝てていたはずだったのだ。

 しかしどこからか出現した影。その影によりなのはは敗れ、アリサたちが誘拐されてしまった。

 

 「あの影はもしかして、パラレルワールドのなのはの残存魔力とは関係なく使えるんじゃないかな…?」

 「つまり何か条件を満たすと起動する…という事か?」

 「うん…。だってそうでもないと説明がつかないよ!あの時の…なのは戦とアリサ戦の共通点は何かないの…?」

 「……。っ!もしかして…光…か?」

 「え、光?」

 「まずアリサ戦だ。アリサの時は空に太陽があって、パラレルワールドのなのはは月村邸の庭の何も光を遮ることのない中心にいた…つまりアリサやすずか、そして術者自身が光に照らされ影を作っていたんだ。そしてなのは戦。あの時は互いに砲撃魔法を撃っていたんだ、地面に影ぐらいで来ていただろう…」

 「光に影ってそんな単純な…」

 「いや、奴は自分が影を作ったことにかなりの自身を持っているようだった。そんなに自信があるなら、いかなる状況でも、たとえ魔力が残っていなくても使えるようにしているだろう…」

 「もし、光が条件だとしたら…対策はかなり大変になるで。魔法を使うてたら光なんてどうしたって出てまう…影なんて作り放題や」

 「確かに…防ぎようがない…」

 「なら影に注意して戦うしかない」

 

 クロノの強気な作戦にフェイトは最初意見しようと考えたが、よく考えるとそうするしかないのかもしれないと思い、その意見を押し込めた。はやても頷き同意の意を示す。

————————

——————

————

 その頃、PWなのはが潜伏場所ではアリサとすずかが椅子に縛り付けられていた。

 潜伏場所の雰囲気はというと、ジメジメした空気が漂う廃墟といった感じだ。壁と天井にはツタが這っており、恐らく出入り口であろう鉄の扉は全体的に錆びついている。虫などがいるようには見えない。変なところで清潔感が見えてくる。

 

 『二人とも寝てるのかな?それなら都合がいいけど。今の私殺る気満々って感じだし!』

 

 PWなのはは腕を天井に向けて振り上げ、伸びの姿勢をした。

 そして部屋の端にある机に向かう。その机の上には注射器とナイフが置いてある。そのナイフは所謂果物ナイフと呼ばれるもの。その刃先には乾いた血液のようなものが付着している。

 

 『どれにしようかなー。どっちもいいよね…って注射用の薬ないや。じゃあナイフに決定かな。しょうがないね』

 

 恐ろしい独り言を呟いている時、真逆の端にある椅子に縛らているアリサが目を覚ます。

 

 「…ここ…は…?私…パラレルワールドのなのはに負けて…その後…」

 『私に連れ去られて、ここに来たんだよ?アリサちゃん』

 「!?なのはっ!…私たちを…どうするつもりなの…あれ?怪我が無くなってる…」

 『私が治してあげたんだよ。怪我が長引くせいで純度を落とされたらかなわないからね』

 「また純度って言った。ねぇ、その純度って何?」

 『そういえば教えるって言ってたのに教えてなかったね。いいよ教えてあげる』

 

 PWなのははもう一つ椅子を部屋の奥から持ってきてアリサの前に置き、そこに座りアリサの目を見つめながら話し始めた。

 

 『純度って言うのはね、その人がどれだけ欲深いかってことを示すものだよ。例えばすずかちゃん。彼女は誰かの役に立ちたい、友達に頼られたいっていう承認欲が強いの。あそこにいた誰よりも…。それが純度が高いって事』

 「欲深さ…その純度が高いとあんたにどんないい事があるのよ。今聞いたことだけじゃ直接あんたに得する事なんてないじゃない」

 『私に得すること?それはぁ…どうしよ教えようかな…』

 「なっ、ここまで教えといて一番肝心の部分を黙る気!」

 『一番肝心な部分だからだよ?』

 「ぐぬぬ…」

 

 アリサがPWなのはを睨んでいると、彼女の聖祥大付属の制服のポケットに木製の持ち手が飛び出ている事に気づく。それが何なのか、その持ち手に付いている赤い色で察しがついた。

 

 「そのポケットから出てる持ち手ってまさかナイフとか刃物の持ち手じゃないわよね…?」

 『え、急にどうしたの?ポケットに入れているのは果物ナイフだけど…それがどうかしたの?』

 「それを使ってどうする気なの?まさか私たちに果物振舞うわけでもないでしょ…」

 『あーそういう事。自分たちが殺されるかもしれないから、刃物が気になっちゃうんだね。でも心配しないで、殺す事は一番純度を下げてしまうからしないよ』

 「そ、そう…本当に純度気にするわね…」

 

 アリサは殺さないのならどうしてここに集めたのか、先に連れ去った局員たちはどうなっているのか気になったが聞くことはできなかった。

 なぜなら急にPWなのはが椅子から立ち上がり、部屋の外へ行ってしまったからだ。何か気づいたことがあるように出ていった様子であった。

 

 「なんなのよ…慌ただしいわね…」

 

 アリサはこの隙にすずかを連れて逃げようかと考えたが、PWなのはの影の事を思い出し逃げ出すことを止めた。

 素直にフェイトたちが助けに来てくれる事を待つのだ。

 数分後、PWなのはが部屋に戻ってきた。錆びついた扉はギィギィと大きな音をたてながら開く。その大きな音に紛れて一瞬悲鳴のような声を聞いたアリサ。自分の前を通るPWなのはに話しかける。さっきの悲鳴みたいのは何かと。

 

 『悲鳴?そんなの聞こえたの?多分、局員の声だよ。アリサちゃんたちとは別室に入れてたからね』

 

 局員の悲鳴。その局員にいったい何が起こったというのか。アリサは頼れるものがいない今、ただこれから自分に来るであろう恐怖に慄いていた。

 

 『ふんふーん、今日は何の日―』

 

 PWなのはは鼻歌を歌いながら、モニターを表示し、キーボードで何かを打ち込んでいる。アリサのいる場所からではよく見えず、すぐにモニターは閉じてしまった。

 

 「何してたのよ、今」

 『今?あぁ、なんかこの施設の周りに管理局員が飛んでいるみたいだったからさ…確認してたの』

 「管理局が探しに来ている!じゃあ助けてもらえるかも…!」

 『いやだなぁ、アリサちゃん。管理局がこんなところまで探しに来てるってわかったなら早めに目的を終わらせるのが…普通でしょ?』

 「くっ…!それもそうよね…。なら早くあんたの目的を教えてよ!」

 

 アリサは身体を思い切り前に突き出し、縛られている椅子をガタガタと揺らしながら訴えた。PWなのはは少し考え、怪しい笑みを浮かべながら『そろそろいいかな…うん話してもいいや』と言った。

 

 「ついに言う気になったのね…!」

 『うん、だって今しか話す機会ないと思うし』

 

 アリサは息を吞む。その相手の威圧的でありながらも優しさに満ちた声が心を飲み込んでいくような気持ちに襲われたからだ。ふとすずかの方を見る。まだ眠っている。起こした方がいいのか、聞かせない方がいいのか。迷っているとPWなのはは自分の目的を話し出す。

 

 「ちょ、ちょっと。まだすずかが起きてないじゃない!」

 『大丈夫だよ、寝てるふりしてるだけで本当はアリサちゃんが起きるより前から目が覚めてたみたいだし』

 「え、そうなの?」

 「バレてたんだね…」

 『今の貴方たちの覚醒状態はこちらが把握してるからね。バレないって考えが甘いんだよ』

 「そっか…じゃあ、聞かせて欲しいな…もう一人のなのはちゃんの目的」

 『いいよ、話してあげる。私の今の目的は自分の身体を作ること、私の世界で無くした身体を取り戻そうとしてるの』

 「貴女の身体…?もしかして私たちや局員の人を攫ったのって…」

 『そうだよ、すずかちゃん。貴方たちを全員まとめて私の身体の材料にするの。今の私は幽霊みたいなものだからね…。魔力で構成されているこの身体を肉体にダウンロードすることで私は身体を取り戻すことができる』

 「そんなふざけた事…!させるわけないでしょ!」

 『どうやって防ぐ気なの?アリサちゃん縛られてるんだよ。デバイスは消しといたし、体の魔法石も摘出したし、貴方にはもう抵抗する手立てはないんだよ?』

 「なっ…!?魔法石を…摘出…。デバイスを…消した?」

 『そ、フレイムアイズはもうこの世にいないし。貴方の体にあった魔法石は私の身体を作るための軸になってもらってるの』

 「そんな…フレイムアイズ…が…」

 『あれ?そんなにショックだった?しまったなぁ…純度が落ちちゃうよ』

 

 PWなのはが少し残念そうに呟く。その言葉に思わず激昂しそうになったアリサはその怒りを抑え、再び質問をする。

 

 「……私たちをあんたの身体にするって言うけど…どうやってそんなことするのよ…」

 『やり方?そんなの粘土をこねるみたいに、肉塊にした貴方たちをこねて魔力で私の身体の形に整えて…って感じでやるんだよ』

 「に、肉塊…!?」

 「酷い…」

 

 二人は思わず顔をしかめてしまう。しかし、その未来はすぐそこまで迫っているのだ。

 しかし、ここでアリサは疑問が浮かんだ。先ほど、PWなのはが自分たちを殺さないと

言っていたからだ。肉塊という事は自分たちは死んでいるという事になるのではないかという疑問だ。

 

 『肉塊にするとき、貴方たちは死なないんだよ、生きたまま私の身体になるの』

 「意識は…?」

 『あるよ?』

 

 それを聞いた時彼女は唖然とした。殺さず肉塊にする。痛みも意識も残ったまま。それは悪魔の所業だと感じた。それをさも当然の様に行おうとする目の前の相手に対して悪魔という言葉がここまで似合うものかとどうでも良い事まで考えてしまうほど恐怖を感じ始めた。

 

 『さ、やろうか!』

 

 PWなのはの手には果物ナイフが握られていた。

 殺さないという事はその刃物がで何をしようというのか、アリサとすずかにはわからなかった。ただ、一つ心の底から出た言葉。

 

 「誰か……助けて……!」

 

 すずかの言葉は悲しく響いた。アリサも唇を噛みしめ、何もできない自分を心の中で責めるだけだった。

 

 『じゃ、もう一度寝ててもらうよー。さよーならー』

 

 高く振り上げられたナイフの持ち手は勢いよくアリサの脳天に振り下ろされる。すずかは思わず目を瞑る。

 その後、部屋にはドカッという鈍い音が二回響いた。

 




 タイトルの捜索はクロノたちの目線。創作はPWなのは目線の駄洒落です。こういうの一度やってみたかったんです。
 感想や評価お待ちしております。次の話でまた会いましょう。さよなら、さよなら、さよなら。
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