魔法少女リリカルなのは Goddess Was Fallen 作:ルル・ヨザミ
前述のとおり、忙しくて量はそこまで多く書けておりません。次回はもう少し書くことを意識したいです。
高町なのはが目覚めるまであと2日。
フェイトはPWなのはによって異空間に連れ去られており、そこで既に三時間以上の時が過ぎていた。
そこでは休むことを許されず、ただ延々と戦わされ続けていた。
「はぁ…はぁ…どこを見ても真っ暗な場所だなぁ…。どこまでこの空間は続いているんだろう…」
「ほラ!何してるノ?私と戦って満足させないとここからでれないヨ!」
「わかってる!せめて、ここはどこか教えて…?このどこまでも続く暗闇しかない空間。そしてなぜか自分と貴女だけはハッキリと視認できる…」
「そんなに気になル?じゃあ、本気になってもらうために教えるヨ。ここは私が作った空間、時間と時間の間、次元と次元の間、世界と世界の間、そんな空間を構成するもの全ての間なんダ。そこに私と貴方を閉じ込めたノ」
「空間を構成するものの間…。ここが…」
「外からはここの存在は感知できなず、介入もできなイ…。貴方が出るには私の意思が必要って事」
「どうやら、本当に猶予はないみたいだね…!このままじゃ私は永遠にこの世界にいることになってしまう」
「集中できるようになっタ?」
「うん。おかげでね…!」
フェイトは手に持つバルディッシュを強く握り、ここから出るための戦う覚悟を決める。しかし、今だにPWなのはを打倒する策を思いついてはいない。一度腕を斬れた時は向こうが油断していたというのが大きかったのだろう。それ以降の攻撃では全くと言っていいほど攻撃が当たらない。時止めや影の攻撃はPWなのは自身が面白くするためにいざという時まで使わないと言い、使用してこない。それでも攻撃が全然当たらないのだから、このPWなのはとフェイトの間にはどれほどの実力差があるのだろうか。
「であぁぁ!!」
バルディッシュを思い切り振り下ろし、PWなのはの脳天を狙う。それに対してPWなのはは、プロテクションを斜めに張り、その攻撃をいなす形で防いだ。いなされた事でバルディッシュを振り下ろす勢いでバランスを崩してしまったフェイト。
PWなのはからの手刀を手でつかむことで防ぐ。
「流石、フェイトちゃん…。早いねェ」
「そっちこそ…!なのはのスピードとは思えないくらい早い…!」
「経験が違うんだヨ。あの子と私とでハ!」
「同じ人でしょう!」
「違う!断じてあんな奴と同じ人であるものカ!!」
PWなのはがフェイトの手を振り払い、アクセルシューターを放つ。一つ一つの速度が違う弾がフェイトに迫ってくる。
「フォトンランサーでも対処は難しい…か…!」
早い球にはプロテクションを使って防ぎ、背後からくる遅い球はバルディッシュで撃ち落とし防いだ。
しかし、その弾たちに気を取られていたのか前から迫るPWなのはに気づけなかった。
「でぇやアア!!」
「なに!?うあぁぁ!!」
PWなのはの蹴りはフェイトの左頬を直撃し、暗闇に包まれた空間の下へ落下させた。地面が無いため、その勢いはそのままで止まることが無かった。
「ううぅ…。はっ…!これ以上は危ない!」
フェイトは目を開き、下になっていた頭から前転する形で一回転し体勢を立て直した。
「はぁ…本当に大変だ…。どうやればあのなのはを満足させられるんだ…?力を見せればいいの?でもこれはなんか違う気がするんだよね…」
「いやー。意外と頑張っているねーフェイトちゃン。さすがに今のは勝てたと思ったんだけどナー」
フェイトの頭上からPWなのはがニヤニヤと笑みを浮かべながら降りてきた。
満足という言葉は今のPWなのはにはピッタリなのだが、フェイトを空間から出していないことからまだ満足はしていないようだ。
「ほら、早ク。戦闘に戻るヨ」
「まだ…やるんだね」
「勿論。ぜーんぜん満足できてないヨ!」
言葉を発するのを終えると同時に再び、アクセルシューターを撃ちだす。しかも今度はディバインバスターのおまけ付きである。
「今度のディバインバスターは追尾機能付きだヨ!さァ!どうやって凌ぐノ!」
「どうするかって…?やることは一つ!真正面から受け止める!!」
フェイトのとった行動は砲撃魔法をディバインバスターにぶつけるというものだった。アクセルシューター達すら飲み込む大きな砲撃で。
「威力も互角…!?凄いネ。流石フェイトちゃダ…。でもこっちだって負けちゃいなイ!」
アクセルシューターは飲み込まれたものの、ディバインバスターはぶつかったまま鍔迫り合いの如く競り合っていた。
金色の砲撃に魔力を回しているため、この瞬間には他の魔法が使えなくなっているフェイトに、PWなのはは影を差し向けた。今まで避けられてきたがこの瞬間であれば当たってしまう。
「ぐっ…!!でも、ここは耐える!我慢する!!」
「へェ…!面白いことするネ」
右脇腹に影の鋭い先端が突き刺さっている。血が滲み、影を伝い下へ滴り落ちている。フェイトはそこからくる痛みをひたすら我慢している。砲撃魔法を止めないために。
「はぁぁぁ!!」
「ム…。意外と押されているナ…」
ディバインバスターが段々とPWなのはの方に後退し始める。フェイトの砲撃の威力の方が強くなってきているのだ。
「でもこれは長くは続かないネ。魔力消費しすぎだヨ!」
PWなのはがディバインバスターに魔力を集中させ、その威力を増大させた。
これにより、押されていたディバインバスターは盛り返し互角の戦いに戻った。
「ぐぅう…!まだこんなに魔力が残っていたなんて…!でも負けるわけにはぁぁ!!」
フェイトもまた力を入れる。しかし、砲撃魔法は押し返すことはない。完全に互角になるようにPWなのはが調整しているのだ。
さらに、この瞬間異空間の外。現実時間で24時間が経過したのだった。つまり、高町なのはが起きるまで残り一日。
「あぁあ!!」
「…相殺…。まさかこんな終わらせ方をするなんテ」
フェイトはどうにか、ディバインバスターを相殺に持ち込んだが影によるダメージが大きく。すぐに次に攻撃へ切り替えることができなかった。
「意外と撃っていた時に刺し続けていた影がいい効果を出したみたいだネ」
「やっぱり影は強い…。我慢していたけど、血が止まらない。これは本当に危険な状況になってきた…」
「ふふふ…外だとまだここに入る手段が見つからなくてアタフタしてるみたいだヨ?もう少し私戦えそうだネ」
「くっ…!増援は期待できないか…。あとどれくらい戦えるんだ私…」
フェイトは右脇腹を手で押さえ、息を切らしながらPWなのはを見つめる。まだ痛みによって攻撃に行動を移せないでいる。
「ちッ…。ちょっとやりすぎたみたいだネ。そこまでのダメージを負わせるつもりはなかったんだけどナ…」
「じゃあ、治癒魔法とか使えないの?使ってくれたらまだ戦えるよ?」
「使えるけど使わないヨ。貴方も私の計画で死んでもらわなきゃいけない人の一人だからネ」
「私も…!?貴女はそんなに人を殺して、遺体を集めて何をしようというの?」
「私が遺体を集める理由?ああ、そういえば言ってなかったんだっけ。…私の家族はね、殺されたノ。どこからか来た知らない魔導師にネ。そして、その家族を蘇らせるためにこの世界の人間の死体を集めてたんダ」
「殺された人を…生き返させるだって…?そんな事できるはずがない!」
「できるんだヨ。私にはそれだけの技術と力があル!」
「そんな…」
「私だって向こうの世界で殺されたけどこうやって生き返れたんだかラ」
「それは貴女が、そうなるように計画していたんでしょ!」
「そういう風に私を見るんなら…貴方は私のための贄となる人物だネ」
そういうPWなのはの目は寂しそうで、悲しい目をしていた。
「そんな…」
「わかってたけどネ。貴方はそういう人だっテ。だから、この世界に引きずり込んだんだかラ」
「この世界に連れ込むと何が…?」
「この世界と外の世界の時間の進む速さは違うんダ。だから、ここで悠長に戦っていると、外で何十年、何千年も経ってしまうかもしれないということサ」
「…なんだって!?じゃあ、今外の世界で一体どれくらいの時間が…」
フェイトの顔色がみるみる青くなる。実際には全く変わらない時間軸にあるのだが、フェイトに早く戦う気になってもらうために、PWなのはは嘘をついたのだ。
その思惑通り、フェイトは右脇腹の傷に当てていた手を離し、バルディッシュを構える。そして、PWなのはを睨みつけた。
影もまた、フェイトにその鋭い切っ先を向けている。
「もう、休んでいる暇はなさそうだね…」
「そもそも、最初からそんなものなかったんだヨ」
PWなのはの顔は想像通りに事が進んだことからの笑みで溢れていた。
なのはが目覚めるまで、あと22時間。
フェイトは気付いていない、段々と異世界の暗闇に星の光の様なものが、きらきらと輝きだしているのことに。そしてそれが何を意味しているのかを。
今年最後の投稿となりました。それがこの量でいいのか…?
とにかく、今年再開した投稿を読み続けて下さっている方々、これから読んで下さる方、来年もよろしくお願いします。
二回目となってしまいますが、感想や評価お待ちしております。次回もお楽しみに!