魔法少女リリカルなのは Goddess Was Fallen   作:ルル・ヨザミ

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かなり時間がかかってしまって申し訳ございません…。ようやく新年最初の投稿です…。予想より、バイトが忙しかったのが原因ですね。すいません…。
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第49話 星光VS星光、覚悟の戦い

 キラキラと何もなかった空間に光が発生し始める。PWなのはは未だに余裕の姿勢を崩さない。フェイトは狭間の空間で5時間、外の世界で27時間戦闘している影響で、疲労がたまり、コンディションは最悪になってきていた。

 

 「早く、続きやろうヨ」

 

 PWなのはが攻撃を中断しているフェイトを急かす。自らの“影”を動かすことなく、ただボーっと待っている。

 

 「何で…貴女も来ないの…?」

 「いつも私から攻撃してたら面白くないでしょウ?私は楽しみたいノ!楽しんで貴方を殺すノ」

 「全く…!まだそんな事を!」

 

 フェイトは重い体に鞭を打ち、バルディッシュを構える。フェイトはPWなのはが影を使ってこなくなったことに気づいた。フェイトは予測で、楽しみたいと言っているPWなのはの考えから、圧倒的に自分を倒す手段は使わないようにしているのだろうと仮説を立てた。

 

 「ザンバー使うのも飽きちゃったなァ…。よーし、今度はこの手で戦おうっト」

 「突然何を言い出すのかと思ったら…。手…?アルフみたいに戦うってことかな…」

 「そゆこトー!」

 「こっちの方がリーチがある…!なんで拳でなんか…」

 「私の方ガ、早いかラ」

 

 フェイトが瞬きをしたとき遠くにいたはずの敵は、目の前に来ていた。

 

 「なっ!?」

 「でやあアアァァア!!」

 

 PWなのはの拳がフェイトの頬を抉る。フェイトは勢いよく殴り飛ばされてしまった。

 

 「ぐうぅ…!!早い…?今のは早いですむ話なの?」

 

 何とか勢いを殺し、体勢を立て直すと先ほどの攻撃について考え始めた。

 

 「あれって、あのなのはがビルから出た時にやった技と同じなのかな…?」

 「ご明察ゥー。簡単に言えば時間を止めテ、目の前に移動したんだヨ!」

 「じゃあ何で…そのまま殺したりしなかったの?私はともかくクロノたちを…」

 「そんなノ…つまらないでしョ?貴方って旅行に行ったらホテルで部屋から出ずに、観光地も見ずに最終日迎える人?」

 「りょ、旅行…?貴女はそんな感覚でこの世界に来て人を殺しに来たの…?」

 「旅行だヨ。海外旅行。そこで材料である人を調達して、自分の国に戻って調理する予定だったノ」

 「そんな、人の命を軽く考えているなんて…!」

 「私の家族は軽く殺されたんだヨ。…やっぱり私の気持ちを理解できないみたいだネ」

 「大切な人が居なくなる辛さはわかる。よく理解できるよ…。でもその人たちを生き返らせようとするのは絶対に間違っている!」

 「間違っているとカ…正しいとカ…そういう話じゃないんだヨ!!」

 

 PWなのはが声を荒げて手のひらを上に掲げ、巨大なアクセルシューターを作り出す。その生成速度は異常であり、そこでフェイトは自身の周りの空間に星の光の様なものが光始めていることに気づいた。

 

 「なに…これ…?この空間に星の光なんてあるわけないのに…」

 「これは今までの戦いで私と貴方が消費して空気中に散らばった魔力残滓が放っている光だヨ!私はこの空間の魔力残滓を自身の魔法生成の時に使うことができるノ!」

 「その直径5メートルほどのアクセルシューターをものの二秒ほどで作り上げられたのはそれが理由ってことか…!」

 「気づくのが遅かったネ。もう…私の勝ちダ!あははハ!」

 「ぐっ!体は動くけど…大きすぎて避けきれない…!……ここまで…かな…?」

 

 PWなのはがその掲げていた手を下ろそうとしたその時、PWなのはの巨大アクセルシューターは塵の様に消えていった。それはまるで何かに撃ち抜かれ消滅したともいえる消え方だった。

 

 「…えっ…?」

 「何者ッ!」

 

 PWなのはが気配がする方向を振り向くと、そこには真っ白なバリアジャケットに身を包み、シューティングモードのレイジングハートを携えた、高町なのはの姿があった。

 

 「やっと…やっと間に合った…。もう…終わりにしよう?もう一人の私」

 「?何?何のこトを話しているノ?」

 

 なのはが空間に手をかざすとフェイトの目の前に、外の世界に通じる穴が開いた。

 

 「これは…!?」

 

 なのはは笑顔で、「フェイトちゃんはお疲れ様。そこから出られるから早く医務室に行ってて?」と告げた。フェイトはそれに頷き、多少の疑問は残るものの、今自分がそこに残ったところで何もできないだろうと悟った彼女はなのはの開けた穴から、脱出をした。

 

 「ねェ。人の話聞いてル?」

 「貴女がそれを言う?」

 

 フェイトが脱出したのを確認し、なのははもう一度レイジングハートからアクセルシューターをPWなのはに放つ。

 

 「早いッ…!?」

 

 PWなのはは、とっさに回避とプロテクションを使い、全ての弾、計10発を防いだ。

 

 「何でこんなに生成が早いノ…?」

 「今さっき、自分でフェイトちゃんに説明していたでしょ?私は貴女。貴女は私。貴女ができることは私にもできるんだよ」

 「まさか…この空間の魔力残滓を使ったの…!?」

 「そう。そして、この空間に入ってこれたのも、フェイトちゃんを脱出させられたのも、私が“なのは”だから」

 「そ、そんナ…。たったそれだけの理由デ…?」

 「理由はそれで十分なんだよ…。私と貴女は経験した事が少し違うだけの同じ人なんだから…」

 

 なのはは少し悲しそうな表情をしながら、レイジングハートを構えた。

 

 「…同じ人なラ…私の悲しみも理解できてるとでモ?」

 「そうだね…。私ね、最近悪夢をよく見るんだ。私の家にそっくりな家が知らない魔導師に攻撃されて、家族にそっくりな人たちが死んでしまう…そんな夢」

 「それハ…!?」

 「その反応…。やっぱり私が見ていた夢は貴女の過去だったんだね…」

 「何デ、私の過去を貴方が見るなんてこト…。まさカ、この世界に私が来たことによっテ、共鳴に等しい現象が起きてしまったってことなノ…?」

 「いいね、頭の回転が速い。私も大体同じ意見だよ」

 「大体ってどういう事なノ?」

 「私はね、私と貴女の共鳴って言うのもあるけど…貴女が心の奥底では助けを求めているからじゃないかなって…そう思ったんだ」

 「助ケ?何を言っているノ?そんな事…あるわけないでしょウ!!」

 

 PWなのはは一気に、魔力残滓をかき集め、ディバインバスターを放った。だがその攻撃はなのはには届かなかった。なのははその砲撃を軽々と回避し再び、アクセルシューターをその背中にぶつけた。

 

 「そんナ…馬鹿ナ…!?」

 

 PWなのはの背中から黒い煙が上がり、空間の下の方へ下降していく。

 

 「…助けるよ…。貴女…いや、もう一人の私を!!」

 「何ヲ…。私が貴方に助けてもらう事なんてなイ!」

 

 PWなのはは手のひらを前に突き出し、「時よ止まれ!」と叫んだ。今まで言わなかったのに、なぜ叫んだのか。それはそれだけ焦りが強くなっているという事の表れなのだ。

 数分前までフェイトと戦っていた時の余裕さは完全に消え去っていた。何を焦っているのか、それはきっと彼女の過去をなのはが知ったことにあるのだろう。

 

 「時間を止めるのも…もう、無駄なの…無駄無駄…」

 

 なのはがレイジングハートをPWなのはの方に向けると、PWなのはが時間を止めたはずなのに、なのはが動くことができている。

 

 「そんナ…!何故!?」

 「最初に言ったよ?私と貴女は同じ人。貴女にできることは私にもできるんだ」

 「時間停止を相殺したってこト!?そんナ!」

 

 PWなのはは悔しそうに、顔を歪める。しかし、実は、なのはは言っていることは少し違うのだ。なのははPWなのはの使う魔法がすべて使えるわけではない。例えば“影”。これはPWなのはが研究に研究を重ねて作り上げた完全オリジナルの魔法なため、この世界のなのはは使用できない。そして、魔法を創りだす魔法もまた、PWなのはしか使えない。これはなのはが想像力が足りないなどではなく、これもPWなのはが研究の末に編み出した魔法であるため、なのはは感覚はわかっていても、理屈や計算がわかっていないため、使用できないのだ。

 では何故、時間停止、空間への侵入、フェイトを脱出させるための穴の生成ができたのか。それはなのはとPWなのはが同一人物であるという事が最大の理由なのであるが、さらに、PWなのはが一定期間なのはの中にいたことが要因でもある。“白騎士事件”の時、なのはは魔法を創造する魔法を多用した。そして、それがアバウトではあるが魔法を創る感覚を身に着けたのだ。魔法を創る感覚を身に着けたといっても前述のとおり、生み出すことはできない。なのはができるのはPWなのはが“自分を対象にして使った魔法を自らが使う”という事だけだ。それを使い、時間停止を相殺し、先ほどの様に動くことができているという訳である。では、空間に入る、脱出用の穴はどのように生成したのか。これは元々、“隷属の影”が、管理局からの追跡を振り払うために使用していた空間移動技法であったため、その時中にいた、どちらのなのはも、そのやり方を理解し、実践できたのだ。脱出用の穴も“隷属の影”がシグナムとヴィータを手下にしていた時に二人を外に出す時使った方法なのである。なのははそれを思い出したため、それが行えたのだ。

 

 「時間停止が意味をなさないなラ…。“影”を使うのミ!!」

 

 PWなのはは影伸ばし、なのはを貫こうとする。即座にプロテクションを出し、その突進を受け止めるなのは。魔力残滓を利用しているため、そのプロテクションは堅く、フェイトを苦しめた“影“の突進でさえも貫くことはできなかった。

 

 「ぐウ…!自分のために作ったシステムで苦戦するなんテ…!!」

 

 魔力残滓の利用は魔法における技能の一つ収束を応用することでこの世界では行える。故になのはも問題なく、それを使えるのだ。ただ、何故なんの疑問もなく使えるのか。それはなのはが夢として、彼女の過去を見た時、そのことだけ、頭の中に情報として入ってきたのだ。

 

 「お話をしよう?戦うだけじゃ、何も伝わらないし何も解決しないよ」

 「うるさイ!お前に何がわかル…!ただ、夢で私の過去を知っただけのお前ガ!!」

 「…そうだね。私は貴女を理解しているつもりなの。…でもきっと根本的なところで理解しあえていないような気がするっていうのも本当…。それが何なのかは今はわからない。だからこそお話をして、ちゃんとお互いの考えを言い合うべきなんだ!」

 「所詮、貴方も他の奴らと変わらなイ。私の悲しみモ!辛さモ!痛みモ!苦しみモ!何も理解できズ!わからズ!たダ、外かラ、外野かラ、同情の目線を向けてくるだけッ!」

 「傷ついている人にできる事って意外と限られてる。その中で、同情という選択肢を選んだだけなんだ!その周囲の人が悪く言われるようなことはない!」

 

 なのははレイジングハートを、PWなのはは拳をぶつけ合った。それを何度も何度も続ける二人。

 お互いに攻撃する時の威力が同じなため、中々決着がつかない。

 

 「クソッ!クソッ!!何なノ!なんデ、倒せなイ!!」

 「くっ…!中々優位に立てない…!」

 「おヤ…?同じ人物というのハ、そっちにも決まり手が出ないみたいだネ…!」

 「そっちだって!!」

 「魔力残光はまだまだあるんダ!貴方にも恩恵はあるガ、上手く使えば私にだって勝機はあル!」

 「それは私だってそうだよ!」

 

 PWなのはは一度距離を取り、ディバインバスターをなのはに向かって拳から一直線に放った。同時に“影”も放つ。“影”は突進ではなく、四肢の拘束を目的にしたものだった。

 

 「回避してもいいけど…!私は真正面から受け止める!!」

 

 なのはもまた、ディバインバスターをレイジングハートから放つ。拘束しようと迫った“影”はなのはのディバインバスターの火力に耐え切れず、消滅してしまった。

 そして、二人のディバインバスターはぶつかり合い、競り合いを始めた。お互いに、魔力残光を使い砲撃しているため、その威力が衰えることが全くない。

 

 「ぐうう…ッ!!」

 「だぁぁぁぁぁあああ!!」

 

 なのはが気合を入れて威力を高める。ぶつかり合っている面が動く。PWなのはが押され始めた。

 PWなのはも気合を入れ、押し返そうと試みるが、中々それを戻すことができない。

 

 「これハ…このままじゃやられル…!」

 「押しっ…切る…!!!」

 「させるものかァア!」

 

 PWなのははディバインバスターを強制的に爆発させて、ディバインバスターの直撃を防いだ。煙が立ち込め、周囲の状況がわからなくなる。

 

 「はァ…はァ…。まさかこんな事をすることになるなんテ…。この世界の私…倒せるときに倒しておくべきだっタ…」

 

 煙が晴れてきた。PWなのはの目の前には人影、そうなのはである。全く動かず、その場で佇んでいた。

 

 「今の私はそうそう負けないよ。だって、今の私の気持ちを伝えるまでは…絶対に!」

 「いらないイ…貴方に言われることなんテ…何モ!!」

 「そうやって自分の中に閉じこもって、過去しか見ないで、何になるの?貴女はまるで、闇の書と呼ばれていた時のリィンフォースさんみたいだよ?」

 「リィン…フォース…?誰そレ。私の知らない人の話されても分からないヨ」

 「知らない…?それって、そっちの世界には闇の書事件はなかったって事…?」

 「闇の書事件はあったけド、闇の書は私の管理権を強制的に移動させテ、解決したかラ、そんな人聞いたことが無いネ」

 「な…なんて解決法…。そんな方法があったなんて…」

 「私にできない事はなイ!“影”もあったシ…そうダ…私にできない事なんてないんダ!私は無敵なんダ…!!」

 「“影”を作り出し、私が体験した事件を全く違う方法で解決した世界の私だったんだ…」

 「だからどうしたっていうノ?私の世界とこの世界の相違点を何個見つけようト…私が勝つことにハ…変わらなイ!アクセルスマッシュ!!」

 

 PWなのはは叫んだ後、拳に魔力を込め、なのはの腹部に殴りかかった。なのははその攻撃を直撃してしまったため、飛ばされはしなかったものの、大きなダメージを負うことになった。

 

 「しまっ…たっ…!ぐぅっ…!」

 

 なのはは殴られた位置に手を当て、顔を歪めた。

 

 「ふふフ…。何か強くなったわけではないんだネ…。この空間の特性を利用しテ、上手い事立ちまわってそう見える様にしていただけだったんだネ…」

 「確かにそうだけど…。今みたいに少し油断しなければ、全然さっきまで見たいに優位に戦えるよ」

 

 なのはは再び、アクセルシューターをチャージする。ただ、そのシューターは数発のものではなく、一発の弾だけであった。

 

 「何そレ。舐めてるノ?」

 「別にそんなことないよ?ただ、ちゃんと話せる状況を作るために必要なことだから…」

 「本当ニ、さっきから何を言っているのか訳が分からなイ!勝手に頭の中で判断しテ!貴方こそ何も言わないじゃなイ!」

 「…そうだね。じゃあ言うけど、私がこの空間に来た目的は貴女を助けるためと、今まで起こった事の真相を聞きたいの」

 

 なのはが話し終わると同時に、アクセルシューターのチャージが十分な量に達した。

 

 「今までの出来事の真相ゥ…。“影”のしたことネ。それとこの攻撃に何の関係があるノ?」

 「この攻撃は私の貴女に対する決意と覚悟を感じてもらうための!爆撃!」

 「爆撃ッ!?」

 

 大きく膨らんだアクセルシューターはなのはとPWなのはの身体より二回り以上大きく膨らんでいる。そしてそれは、なのはがそのアクセルシューターをPWなのはとの間にゆっくりと移動させる。

 

 「逃げるって選択も私にはあるんだヨ?そんな速度で近づけても…」

 

 PWなのはが続きを話す前になのはが声を出した。

 

 「逃げられないよ。まるで一つの惑星の様な大きさの魔力弾なんだ。この空間がいかに広くても今から逃げられる距離なんて爆風で飲み込まれる…。私の覚悟…見てもらうよ…?」

 「ク…狂っていル…!いくら覚悟を見せるためとはいえ自らも爆風に巻き込まれるような攻撃をしてくるなん————————

 

 次の言葉が紡がれるより先に、アクセルシューターは爆発を起こした。激しい爆風と熱が周囲を襲う。その爆発は空間を揺らし、その外にいるフェイトたちにも揺れが感じられるほどの威力であった。




次はもっと早く…もっと早く投稿したいです…。頑張ります…。
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