魔法少女リリカルなのは Goddess Was Fallen   作:ルル・ヨザミ

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お久しぶりです。ようやくアルバイトが落ち着いてきました…。もう少しで完結するこの話、ゴールデンウイーク中には最終話書けるかな…?とりあえずこれからもっと頑張っていきたいと思います。
お気に入り登録してくださっている方、いつも読んで下さる方、今回チラッと読みに来てくださった方、ありがとうございます。ぜひこれからもよろしくお願いします。


第50話 もう一つの目的、もう一人のなのは

なのはの起こした爆発から数秒後、外の世界ではまた別の異変が起きていた。突如として海鳴市上空にもう一つの海鳴市が逆さまの状態で出現したのだ。

 その海鳴市は地上の海鳴市と何もかもが同じに見えるが、何かが違うという違和感を感じさせる風景だった。そもそも、空に同じような街があるという点で既に異常な事なのだが、この事に気づいたのは、フェイトたち管理局のメンバーだけであり、まだ一般人に気づいた人はいない様であった。

 

 「この空はいったい…?」

 

 フェイトが呟く。はやても空を見上げ、あることに気づく。

 

 「あ、あの家…私の家や…。あっ!今、私にそっくりな子が家に入った…」

 

 そう、その街には普通に人が生活していたのだ。しかし、どうやら向こうの人間もまた、この様な事態に気づいていない様だった。

 

 「これはさっきの地震の影響なの?蜃気楼ではなさそうだけど…」

 

 フェイトの呟きにクロノが反応する。

 

 「さっきのも地震だったのか?まるで空間自体が振動したような感じだったが…」

 「言われてみれば…。もしかして、なのはが何かしたのかな?」

 「そういえばなのはちゃんは、ここに急にきて急にいなくなったもんなぁ…。何か作戦があっての事なんやろうと思ってたけど…」

 「クロノ、どうにかして中の状況は見れないの?」

 「それだが、君が中にいた三日間に様々な方法を試したが駄目だったんだ。どうにもその空間は特殊なものらしいな…」

 「なのはちゃんは何でその空間に自ら入れたんやろ…というか、どうやってその中の状況を見れたんやろか…」

 

 なのはがここに来る前に、エイミィと話した時に見たモニターの映像。あれは、なのはがPWなのはと共鳴という状態に陥っていたため、なのはにだけ見えた映像なのだ。

 エイミィの言っていた怒っているというのは、ビル内での戦闘の事を言っていたのだ。

 

 「なのはも心配だけど…この空の事も調べなきゃ…だよね…」

 「ああ、そうだな…。ええい!やることが多いのに…確かな情報が全くないのはどういう事なんだ!一体、何が起こっているんだ…!」

 「なのはちゃん…頑張ってな…私たちも頑張るからな…」

 

 はやては、祈るように呟いた。

 

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——————

 

 「うぐゥ…ああァ…。こんな自爆の様な攻撃にやられるなんテ…!痛イ…痛イ…!あの子、非殺傷設定解除してたのねッ…!」

 

 PWなのはは巨大アクセルシューターが起こした爆発により、外傷はないが打撲したような内側からの痛みに苛まれていた。

 

 「はぁ…はぁ…。これで、お話しできる状況になったかな…?」

 「話合いできる状況…むしろ壊してるように見えるんだけド…?」

 「そんなことないよ!ほら!今だって戦闘を止めて、お互いに話せてるじゃない!」

 「…それが何?さっきだっテ、そんな瞬間あったでしョ」

 「落ち着いてはなかったでしょ!」

 「そうだネ」

 

 PWなのはは身体中の痛みが引いていくのを感じつつ、再び戦闘に入る準備をしていた。周囲の魔力残滓は、先ほどのアクセルシューターによってかなり消費されてしまったが、それでもまるで宇宙にいるかのような錯覚を覚える不思議な景色なのは変わらなかった。

 

 「貴女の目的…それは家族と過ごすはずだった時間を取り戻すこと…そうでしょ?」

 「…それだけじゃなイ…」

 「えっ」

 「私ハ…家族を取り戻シ、世界を書き換えル…!私の家族を殺したあの世界を新しいものにしテ、不要な人間を消ス。それが私の目的」

 「世界を…書き換える!?不要な人間を消すって…まさか貴女が恨んでいたのは、あの家族を殺した魔導師だけじゃなくて、世界そのものだったの…!?」

 「あの魔導士を産んだ次元世界が存在する世界なんて要らないんダ!」

 「貴女の世界にだってたくさんの人が住んでいるはずなのに、世界を書き換えるなんて…そんな権利誰にもない!」

 「私にはあるんダ…どの並行世界の私にもなイ…世界を創りかえる権利ガ!ただ一人!!」

 「どんなに辛い経験をしたとしても、どんなに悲しい思いをしても…そんな権利は誰にも与えられない!貴女にも…私にも!」

 「所詮…私と貴方ハ…分かり合えなイ!」

 「そんな事…」

 「そういえば外の世界はどうなっているのかナ?そろそろ私の世界との融合が始まるころだけド」

 「えっ…何…どういう事…!?」

 

 なのはは動揺した。先ほどまでの話の流れを切り、PWなのはが突然外の世界の事を言い出したのだ。

 

 「さっき言ったでしョ?私の目的は世界を書き換えるっテ」

 「世界を書き換えるって自分の世界と別の世界を融合することを言っていたの…!?」

 「そウ…。そしテ、その融合する時新世界に不要な人間ハ、存在事消えるんだヨ!」

 

 なのはは思わず、外の世界に行こうとするがPWなのはによって制止される。

 

 「今行ったところで貴方にできる事なんてないヨ…?それよリ、私と戦う覚悟を見せてくれたんでしょウ。戦おうヨ、もっト…もっとさァ!」

 

 PWなのはは拳にピンク色の魔力を籠めてなのはの頬に叩きつける。そして、その勢いで自分事次元移動を行った。

 なのはからすれば殴られて気づいたら周りの景色が変わってしまっているのだ。

 

 「なっ…!?急に…どうして…?」

 「ここはミッドチルダ。フェイトちゃんヤ、クロノ君の生まれた世界だヨ」

 「そうなんだ…。いや、だから何でここに移動したの?っていうかこの世界は魔法が常識的な世界なはず…。勝手な次元移動はものすご~く、まずいのでは…?」

 「そうだネ。違法だヨ」

 「ええぇぇ!?じゃあ早く戻らないと!」

 「ここに来たのは貴方に外を見せるためだヨ」

 「…外…?あっ、さっき言ってた世界の融合!もしかして、ここも?」

 

 なのはが恐る恐る空を見上げると、そこには周りの景色をそっくりそのまま映している様な光景が広がっていた。高層ビルの真上には全く同じ見た目の高層ビル、個人の家は全く同じ見た目同じ庭面積、住人が同時に庭へでてきたと思ったら、そっくりそのまま同じ人。そしてその同じ見た目の人はお互いに違う事を行っていた。地上にいる人は庭の花の水やり、上空にいる人はそのまま庭を通り、買い物に行ったようだ。

 つまり、このことは上空に見える世界は蜃気楼の様に映し出されているというわけではなく、全く別のよく似た世界が接近してきているという事を意味していた。

 

 「なんでここも融合を…?」

 「私から家族を奪ったあいつの生まれ故郷もここだかラ…。ここも選別の対象になったんダ」

 「あの金髪の子もここで…これを見てわかったよ。やっぱり、間違ってる。一個人が世界の人々の人生を選定するなんて…間違ってるよ!」

 「それが、所詮何も失う事無く生きてきた貴方の視界の限界だヨ」

 「失う事がそんなに人を成長させるの?そんなに視界を広げる事なの?確かに何か失う事で考え方や人生観が変わることもあるかもしれない。だとしても…!失わない強さもあるはずだよ!!失う事無く…成長する…私は、守り抜く…守り抜いて見せる…!!」

 「甘イ…甘すぎるヨ!何も失う事無ク、誰かヲ…何かヲ…守れると思っているノ!」

 

 二人のなのははお互いの意見をぶつけた後に、お互いの魔力を籠めた拳をぶつけた。そして、そのぶつかり合った瞬間に、PWなのはによって再び次元移動の魔法が使用される。

 二人は元の地球へと帰還した。帰還した場所はあの魔力残光が星の様に輝く世界ではなく、フェイトたちがいる廃ビル街の上空であった。

 管理局の局員やクロノたちはその突然の出現に驚愕した。フェイトとはやても、その拳をぶつけ合う二人の姿を驚いたような目で見ていた。

 

 「なんでなのはが徒手空拳を…」

 「それもそうなんやけど、さっきミッドチルダに居たはずやのに、すごい速度で海鳴に来とる。まるで“隷属の影”が行っていた次元移動みたいやって思わん…?」

 「え、さっきまでミッドチルダに居たの?」

 「らしいよ。クロノ君が報告を受けてた」

 「確かに、“隷属の影”みたいだ…。多分転移を行っているのはもう一人のなのはだと思うんだけど、“隷属の影”はあの子が出てくる前に倒して、種もなのはがモードを使うことでその発芽を止めていたはずなのに、なんで“隷属の影”のような力をもう一人のなのはが使えるんだろう」

 「そうやね。でも確かもう一人のなのはちゃんはその“隷属の影”の種から出てきたって言うてたよね?だから似たようなことができるってことなのかもしれへんよ?」

 「そっか…。いずれにせよ、私たちが今すべきことは上空の町が完全に落ちてこないようにすること…。色々もう一人のなのはに対しての疑問はあるけど…今はなのはに任せるしかないんだね…」

 「心配なんはわかるけど、私たちがやるべきことをやることで、なのはちゃんが思う存分、お話しできると思うし、今出た疑問の答えも出ると思うんよ」

 「そうだね、じゃあ行こう。私たちのやるべきことをしに…」

 「うん!」

 

 フェイトとはやては、頭上にいるなのはに気を付けながら、もう一つの迫ってくる海鳴市を食い止めに向かった。

 その頃なのはは、レイジングハートを待機状態にしながら戦っていた。遠距離攻撃に移ることはできなくはなかったが、PWなのはの近接攻撃に対しては撃つ準備をするより、同じように拳を使った攻撃の方が早く反応できるため、待機状態のまま、戦っているのだ。

 

 「ほラ!この空を見てご覧!もう少しでこの世界と私のいた世界が融合シ、新たな世界が生まれル!そしてそこに私の殺された家族を復活させれバ…もう一度…あの当たり前の日々が取り戻せル…!帰ってくル…!!」

 

 PWなのはが、拳をなのはに何度も振り下ろしながら叫ぶ。その表情はかつてのプレシア・テスタロッサを見ている様な狂気に満ちたものであった。

 

 「何も戻ってこないよ!何も!それに、亡くなった人は戻ってこない…どんなに想っても…どんなに魔法を研究しても…!!」

 「私は復活したヨ。生き返ったんダ!つまり、私が証拠!私の存在が証明するノ!」

 「貴女は死ぬとわかっていて、それに対策、準備していたから復活できたんでしょ?お母さんたちの生きていた時のデータはどうするの?今あるの?記憶のデータは?」

 「ふふフ…。この世界にも同じ人が生きているでしょウ?ここの世界の人でもデータは取れるんだヨ…!」

 「なっ…私の家族からデータを取る気なの!?」

 「当たり前でしョ?まあ貴方も融合の影響で消えるんだから気にすることなんてないヨ」

 「そんな事させないよ!私も消えるつもりはないしね。私たちの世界も助けるし、貴女の世界も助ける!」

 「本当に甘いネ…。助けるって思えば何でもできるとでも思ってるノ!」

 

 なのはは叫びながら殴ってきたPWなのはの拳を受け止め、握りながら、自らを睨みつける目を真っすぐ見つめ、その心を再び告げた。

 

 「そんな事思ってないよ。貴女だってわかっているはずだよ、生きている間に起きる出来事なんてこんなハズじゃなかった事ばかりなんだって。だから、楽しい事、嬉しかった事、寂しかった事…色々な出来事が思い出になって、いつしかこんなハズじゃなかった事を忘れるくらいの出来事を体験するんだ…!私は助ける…世界を救う。どちらの世界も誰かのかけがえのない世界のはずだから…。そして貴女も…。今の貴女も救う!どんなに今が辛くても、いつか必ず幸せだと思う時が来るから…!」

 「ありきたりな言葉だネ。大切な人を失った悲しみと大切な人を取り戻したいという気持ちハ、同じ体験をした人じゃないとわからなイ…。だから私と貴方は同一人物だとしてモ、分かり合えないんダ!」

 

 PWなのはの拳に纏っていた魔力が強くなる。握っていたなのはの左手から血が流れ始める。しかし、なのははその手を離そうとしない。むしろその拳をさらに強い力で握りしめる。

 

 「分かり合えないって、諦めてしまったら…何も始まらない!私は貴女の心根を信じてる!きっと、私たちはわかりあえる…。人は一人だなんて事あり得ないんだから…!」

 「……手、離してヨ。貴方は一人じゃなイ…でも私は一人ダ。元の世界で私の居場所は家族がいるあの家しかなかっタ…!」

 「アリサちゃんやすずかちゃんは…?」

 「あァ…貴方にも言ったはずだヨ?私はその二人とは友達になってないんだヨ。月村さんとバニングスさんガ、私をいじめてたからネ」

 「そんな…あの二人がそんなことするわけ…!?」

 「この世界の二人はそうだろうけド、世界が違えば性格さえ変わる人もいるってことだヨ」

 

 なのははそのことに驚き思わず手を離してしまった。そして段々と月村邸で聞いたことを思い出してきた。そして今思う事は、その時に聞いたことと同じである。確かに初めの印象や出会い方はよくなかったかもしれない、だがしかし自分たちはどんな事があっても結局友達になれただろうと思っていたのだ。その心はなのはも同じであったのだ。しかし、そうならなかった世界がある。そしてその目の前にいる、人類を選定しようとしているもう一人の自分は友達になれなかった世界の自分だという。

 動揺した瞳で自らの手のひらを見る。血だらけになっている。手の皮もボロボロで見るに堪えない状態だ。

 PWなのははなのはからスーッと離れていく、しかしその目線は決してなのはから離れない。

 

 「あれレ?そんなにショックだっタ?そんなに自分たちの友情は絶対だと思っていたノ?不思議だネ…友情なんてものこの世界で特に不安定デ、信頼できないものだというのニ…」

 

 PWなのはがそう呟くと、先ほどまで驚愕に染まっていたなのはの表情が見る見るうちに、元に戻っていった。

 

 「…友情が不安定なものっていうのには同意だよ。確かに揺らぎやすい物だと思う…。でも信頼できないなんてことは無い!」

 

 なのはは強い目つきと声で反論した。急な変化にPWなのはも少々たじろいだが、PWなのはもその意見を突き通そうという意思を感じるまなざしは変わらぬままだった。

 

 「きっとこのまま話しててモ、何も変わらなイ…。貴方と話すことは時間の無駄だったネ」

 「そんな…!まだ話は終わってないよ!」

 「すぐ終わらせるヨ、全力…全開!!」

 

 PWなのはが手のひらをなのはの方に向けて、全力全開と呟くと魔力の収束が始まった。スターライト・ブレイカーの準備である。

 

 「これで終わりだヨ…。見せてあげル、私の全力全開。ディバインバスターのバリエーション…!」

 「…っ!?スターライト…ブレイカー…!」

 

 なのはも、とっさにレイジングハートをバスターモードにして、スターライト・ブレイカーの準備を始めるが、やはりPWなのはのチャージの方が早く進んでしまう。

 

 「おっト、ここでまた攻め合いするのは魔力を余計に消費しちゃうかラ、それ止めさせてもらうネ」

 

 PWなのはの足から“影”が伸びる。“影”はなのはの手足を縛るのではなく、槍の如く腹部に迫ってきた。なのはは、対抗すべく魔力収束を行って、特殊空間内に居た時にはしていた“影”の警戒を解いてしまっていた。故に、その鋭く尖った“影”はなのはのみぞおちにブスリと刺さった。

 

 「ぐっ…!油断した…っ!?」

 

 “影”が刺さっているところからも微量に血が流れ始める。バスターモードでチャージを行っていたレイジングハートはここから一度離脱し、体勢を立て直した方がいいと促す。しかし、なのはは体勢を崩さず、“影”が刺さったまま、スターライト・ブレイカーのチャージを止めない。

 

 「これで終わるわけにはいかない…っ…!」

 「本当にしつこいネ。まあこの魔法で終わらせてあげるヨ。そして世界の融合が終わるまで眠らせてあげるヨ。目が覚める時にはもう貴方はもう消えてしまっているかもしれないけどネ」

 

 そして、PWなのはのチャージが完了した。

 

◇◆◇◆◇◆

 

 今日は本当は学校の日だった。だけど、とある事情で私の小学校はしばらく休校となってしまっていた。

 それでも、昨日とかは友達と家でゲームしたりと特に暇な感じはしていなかった。しかし、今日は違った。空に私の住んでいる町が逆さまになって、突如として現れたのだ。自分の部屋の窓からしばらく空を見ていて、わかったのは空に映っている町で歩いている人と地上で歩いている人は同じ見た目だけど違う人ということ。

 

 「なんなのかしら、あれ」

 

 興味がわかないと言ったら嘘になるけれど、すごく気になるかって言われたらそこまででもないって言うのが本音。さて、今日は何をして遊ぼうか。そんな事を考えながら、部屋の中に戻っていった。

 すると、私の携帯に電話がかかってきた。相手はすずかのようだ。どうかしたのかな?昨日遊んでたゲームのストーリーでも気になったのかしら。などと思いつつ電話に出た。

 

 「もしもし?どうしたのすずか、急に電話なんかしてきて」

 「アリサちゃん…。空見た?」

 「空?あぁ、見たわよ?それがどうかしたの?」

 

 この様子だと、すずかはあの空の現象に怯えているようだ。

 

 「…と、とりあえず、私の家に来てくれる?できれば早く来て欲しいんだけど…」

 「え?は、はぁ…。別にいいけど…」

 

 私は電話を切り、すぐさま出かける支度を済ませ、鮫島に車を出させた。

 すぐにすずかの家に着き、すずかと合流する。

 

 「どうしたのよ、急に来て欲しいだなんて」

 

 私がすずかと一緒に彼女の部屋に向かう途中で、そうすずかに話しかけた。すずかは歩きながら答えた。

 

 「高町なのはちゃん…覚えてるでしょ…?」

 「お、覚えてるけど…」

 

高町なのは、私が小学校でいじめていた少女の名前。そして、今学校が休校状態になっている出来事の関係者。

 

 「全然学校に来なくなってたけど…高町がどうかしたの?」

 「実は…あの子、亡くなってたんだって」

 「は?そんなの誰が言ってたの?」

 「今私の部屋気に来てる子。フェイトちゃんって言うんだけど」

 

 すずかの話では、そのフェイトという少女は、なのはの友人らしく、一週間ほど前に高町なのはの自宅の一室で血を流し倒れているのを見つけたらしい。それが殺人なのか事故なのかはわからないという。

 しかし、疑問なのはその友人が、いじめていた私を呼ぶだなんてどんな事情なのだろうか?もしかして私が原因だとでも思われているのだろうか?もしそうなら、正直誤解と言わざるを得ない。今私たちは小学六年生だが、私が高町なのはをいじめていたのは小学一年生から、二年生の一学期までなのだ。確かに、私が原因で不登校に一時期なっていたが、二年生の三学期から、また通い始めていた。そして、それ以降話しかけることもなく関わる事もなく、四年生までずっと同じクラスだった。五年生からはクラスも変わり本当に関係性は消えていたのだ。

 そして、すずかの部屋に着く。そのドアの向こうから、話し声が聞こえた。どうやら来ているのはフェイトという人だけではないらしい。

 

 「フェイトちゃん。呼んできたよ」

 「早かったね。丁度はやてとも情報の交換が終わったところだった」

 「初めまして…。っていうかまた知らない人の名前出てきたわね…」

 「君がアリサ・バニングスだね。もう聞いたかもしれないけど、私はフェイト・テスタロッサ・ハラオウン。時空管理局の嘱託魔導師です」

 「時空管理局…?何それ」

 「端的に言えば、次元世界の治安を守る組織です。この世界には魔法という技術が無いから聞いたことのないのは仕方のないことですが」

 「魔法って…急になんか胡散臭い話になってきたわね…」

 「でもね、アリサちゃん。この人本当に魔法が使えるんだよ」

 「すずかまで何を…」

 「さっき部屋の外でフェイトちゃんが誰かと話している声聞こえたでしょ?あれは携帯電話とかじゃなくて、魔法で通信していたの。見せてもらったの、本当に魔法だった…」

 「…仮にその管理局?っていう所の魔導師さんが本当だとしても、私とすずかに何の用なの?」

 「今の空、君もわかっていると思うけど、海鳴市が逆さまの状態で出てきているんだ」

 「ええ、それはわかっているけど」

 「あれは蜃気楼的な、幻ではないんだ。本当にあそこにもう一つの海鳴市があるんだ。そしてそれは刻一刻とこの街と近づいてきている」

 「あそこにもう一つ海鳴がある…?そしてそれが近づいてきてるって、それが一体私たちにどんな関係があるっていうの?」

 「今この街全体に、なのはの魔力が薄くではあるけれど漂っているの。もういないはずのなのはの魔力が…。それで、なのはと同じ学校で、少し関係がある君たちを呼んだんだ」

 「私たちが関係って…私もアリサちゃんもほとんど話したこともないんだけど」

 「私なんて、あの子いじめてたのよ?一、二年生くらいしかかかわったことはないし、それ以降は一度も話したことないんだけど」

 

 それを聞いたフェイトという少女は、目を丸くして驚いた様子だった。私のいじめの件を知らないのだとするなら、そもそも何で私たちが関係あると思ったのだろう。

 

 「い、いじめてた?あのなのはを…?凄いね君たち…」

 「…あのなのは?それが何なのかは聞かないでおくけど、とりあえず私たちが高町と関係あると思った理由を教えてくれる?」

 「あ、私もそれは気になる」

 

 私とすずかがそれを聞くと、フェイトは少し考えてから、口を開いた。

 

 「よくわからないけど、頭の中にそんなイメージが出たんだ。なのはと君たちが一緒にいるイメージが浮かんで…それで、呼んだんだ…」

 「じゃあ、何か確信があったわけじゃないのね…。なにそれ、そんなふざけた理由で呼びつけるなんて…」

 

 と私が言ったところでフェイトの背後に大きなモニターの様なものが出てきた。

 それは少し、砂嵐の様なものが出てはいるが、どこかで見たことがある部屋が映っていた。そして、その部屋の中に立っている人物もまた、見たことのある人物だった。

 その人物は砂嵐が収まり始めると、言葉を紡ぎ始めた。

 

 ≪私の名前はフェイト・テスタロッサ・ハラオウン。今、貴女たちと私たちの世界は消えようとしている!≫

 




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