「ん……寒………」
地面に触れている僕の体が冷たい。異変を感じて、僕は目を覚ました。
寝ぼけ眼で辺りを見渡す。白、白、白。全部白──────雪?
だとしたら触れていた部分が冷たいのも頷けるし、落ちたのに無傷なのも納得できる。
しかし今の今まで平然と眠っていたのは腑に落ちない。これだけ冷たいのなら落ちた瞬間に叫びそうなものだが。
きっと気絶でもしていたんだろう。どれほどの高さから落ちたのかは分からないが、もし気絶していたとすると相当な高さじゃないだろうか。それでもって雪を貫通し地面に叩きつけられて死なない程度の高さ。
「ひぃぃ……」
この絶妙な高さによって僕は無傷で助かったということだ。あと1m高かったら死んでたかもしれないと考えると怖くなる。落ちた怖さで冷たい雪から逃れられない恐怖を味わわなかったことに関しても奇跡としか言い様がない。
恐怖と寒さのダブルコンボで震えながら、僕は立ち上がってぐるっと見回してみる。
まず落ちてきた場所を見上げる。光こそ届いて僕の周りの雪が照らされるものの、空がギリギリ見えるか見えないかだ。あんな場所まで何もなしに登ることなんてできない。はぁ、と寒さで白くなるため息をついた。
後ろを見ても雪、横を見ても雪。端っこは雪が溶けているのか積もっていない。後ろや横の黒い壁を触ってみるが、素手では到底壊れそうになかった。
そして前を見ると──────
「………何あれ」
うっすらと雪が積もった謎の入り口みたいな何かが見える。その先もありそうで、それ以上から奥は暗すぎて見えない。
そこ以外に道はない。落ちた場所から登ることは不可能だ。行けばもしかしたら梯子があって上に戻れるかもしれないと思い、それを信じて向かうことにした。
「悪い人がいたらどうしよう…」
向かう途中にふと考え、慌てて先ほどまでいた光の照らされる場所まで戻った。何か自分の身を守れるものを、と探していたが、すぐ折れそうな木の枝しか見つからない。後は元々持っている包帯。この2つで自分の身を守れるものだろうか。
「………うぅ…」
呻きながらも僕は入り口に向かうことにした。多分何とかなる。そう信じた。
入り口までにも雪は積もっていて、サクサクと軽い音を鳴らしながら雪に足跡がついていく。
不思議だが、光の届かない場所にいるのに何故か雪は光っている様に真っ白だった。でも暗いよりは光ってる方が幾らか安心できるので、気にしないことにした。
そして入り口。怖かったが、意を決して先に進むことにした。