【近日中フルリメイク】……あなたが、先生、ですか。はじめまして、不知火カヤと、申します。 作:猫型探索者
拙い文ですが、どうぞよろしくお願いします!
瞼を開くと、そこには褐色に近い色味の岩肌が、視界いっぱいに広がっていました。起床直後、微妙に寝惚けていた頃こそ変な夢だなぁなんて暢気に考えていたものですが、数分もすればこれは夢なのかという思考となり、つい先ほど岩に躓いて転んだとき、これが夢ではないことを悟りました。
まあ、夢にしては五感がハッキリしていましたし、最後の方はもう現実逃避に近いものでしたが――……いい加減、認めましょう。
ええ、本当に一生分の不覚を取りました。
ここが何処なのか、どうしてこんな場所にいるのか、なんてことは皆目検討も付きませんが、それでもひとつだけ、たったひとつだけ理解できたことがあります。
それは、私が“やらかした”ということだけです。
恐らくこれは誘拐、もしくは私という存在を抹消するために、何者かが仕組んだこと。でなければ、早朝、我が家を出発した直後から記憶が途絶えていることへの説明がつきません。
私が勝手に転んで偶々頭を打っておまけに気絶したという可能性もありますが、それならば病院か、はたまた荷物を丸ごと抜き取られた末にその場に放置されるでしょうから、この線は限りなく薄くなります。
それに、私の手提げ鞄の中には、身分証や携帯電話の類いこそ見当たらないものの――それはそれでかなり不味いのは置いておいて――財布の中身やクレジットカードの類いには一切手がつけられていません。
鞄から消えているのは、免許証、学生証、保険証等の、私――“不知火カヤ”に関するもの、私を不知火カヤと証明するものばかりです。
あ、コーヒー店のスタンプカードもありませんね。あと一つでオリジナルコーヒーカップを頂けたと言うのに。
――……今は、そんなことを気にしている場合ではありませんか。
また、貯め直せば、良いのです。
ええ、ええ。
ここ一年の苦労が無駄になりましたが。
ともかく、ここまで露骨だともはや笑いが込み上げてくるというもの。
この時点で、私という存在が狙いであったことは明確です。何故私の身分を証明するものが消えているのか、それらを使って何をなそうと考えているのかは定かではありませんが、十中八九、ロクなことでは無いことは確か。
それに、水や食料無しで私をここへ放置している時点で、実行犯は私の生死は問わない――いえ、むしろ死んでくれた方が良いと考えているようです。
となればこの誘拐? 拉致? 事件の犯人は、自ずと絞られてくる。
正直、この立場である以上細々とした心当たりは多数あります。
何も、綺麗ごとばかりでここまでのしあがってきた訳ではありませんから。
けれど、そんな中でも特に、大きな心当たりが、一つ。
一年ほど前でしょうか。
アビドス高等学校の土地所有権の関連で、カイザーコーポレーションと防衛室で大揉めしたんですよね。私たちもカイザーも、様々な事柄を考慮してお互い公表してはいませんが、一時は全面戦争寸前まで行きましたし。
いやぁ、あの時は大変でした。
連邦生徒会長には叱られ、リンさんには一週間プライベートで口をきいてもらえず、アオイにはチクチクと正論で口撃され、ハイネからはフルスイングお尻ビンタのプレゼント。
それでも、皆さんが、まず始めに私のことを心配してくださったことが、あの頃はとても嬉しかった覚えがあります。今は、あの時に懲戒免職にならなくて本当に良かったと戦戦慄慄としていますが。
たとえば、今そんなヘマをやらかせば問答無用で首が飛ぶでしょうに。
三年生の責任って、重いんですよ。本当。
――……で、それが今回の件と関係があるのかは分かりませんが、頭の端にでも置いておいた方が良いでしょうね。
選択肢が多いに越したことはありませんから。
さて。
ひとまず、今の私が為すべきことは最低限の生活基盤確立。
少なくとも、生き抜くためには水が必要なことは確定的に明らかなのですから、まずは飲み水の探索と行きましょう。
いつまでも突っ立っていても、なにも進展はありません。
ありがとうございました!
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