【近日中フルリメイク】……あなたが、先生、ですか。はじめまして、不知火カヤと、申します。   作:猫型探索者

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お待たせいたしました!
執筆データが破損しまして、約1日遅れの投稿となります。

よろしくお願いします!!


アビドス廃校対策“部”編
アビドス高校にて


 

 

 

 所変わって、アビドス高等学校。

 私は今、二階の教室の、ド真ん中の席に座っています。……いえ、座らせられている、といった方が正しいかもしれません。

 

 腕は後ろ手に縛られていますし。 

 運び方はお米様抱っこからの椅子にドーンでしたからね。

 お陰で、お尻が痺れて痛いったら、もう。

 

「……」

 

 まぁ、過ぎたことは一旦置いておくとして。

 ひとまず、現実を見ることにします。

  

 何故って、前に目を向けると、そこには椅子を逆に座り、眉根を寄せながら、笑っているような怒っているような、戸惑っているような顔でじーっとこちらを見るホシノさんが居るのですから。

 

 ここに連れてこられてから一切会話が生まれなかったのが何か気まずくて、なんとなく右に目を逸らすと、犬耳? の付いた銀髪の子と目が合いました。

 彼女は、時折ホシノさんやユメさんから送られてくる、レクリエーションの時に撮られた写真では見たことがあるのですが、実際にお会いしたのは初めてです。

 

 軽く目礼をしてみると、返してくれました。

 流石はアビドス生徒。この時点で話が通じる相手だと、そう確信することが出来ます。

 

 例えばの話ですが。

 

 ゲヘナでは大概眉間に弾丸を叩き込まれますし、トリニティでは一部を除いて基本的に誰も返してくれません。ミレニアムは返してくれる方も多いものの、十中八九、発明品のセールストークが始まります。

 

 時折、目礼ではなく普通の礼を、と言われることもあるのですが、ナメられたら終わりという立場的にも、相手を視界に捉え続けるという安全確保的な意味でも、そう易々とは頭を下げることが出来ませんからね。

 

 本当に面倒な役職ですよ、防衛室長って。

 

 

 まあ、そんな背景もありまして。 

 彼女、と言うかアビドス生には何となく興味を持っていますし、少し話しかけてみようかな、と、そんなことを考えていると。

 

 

 

「――こほん」

 

 

 

 前から小さな咳払いが聞こえてきました。

 “先ずはこちらに集中しろ”と言うことでしょうか。

 

 一先ず、姿勢を正して向き直っておきましょう。

 ホシノさん、怒らせたら怖いですから。

 

 

「…………」

「…………」

 

 

 …………そうして、向き合ったは良いものの。

 なんです、その、物凄く大きな覚悟を決めたような顔は。

 暫く会えては居なかったとはいえ、前は週三で柴関通いをしていた仲ではありませんか。私の奢りで。

 

「…………」

「…………」

 

 …………ぁあもう、じれったいですね。

 何時までも、こんなへんてこりんな空気感の中に居るのも気持ちが悪いので、もう私から話しかけちゃいますよ?

 

「……あの…………えっと、お久しぶりですね、ホシノさん」

「…………久しぶり、カヤ。何か、随分と窶れたね……?」

「…………ええ、まあ。はい」

「……」

「……」 

「――……あー、あなたを明るい所に連れてきたとき、私びっくりしちゃったよ。包帯の無いミイラみたいだったからさ……? こう、干からびた感じの……」

「それ……は。申し訳ありません。何分、色々とあったもので」

 

 

 ――……自分で話しかけておいてアレですけど、なんて酷い会話なのでしょう。 

 何か、仲の悪い同僚と打ち合わせをしなければならないときのような、ぎこちなくてギクシャクしている感が凄いです。

 犬耳の子も、声には出さないだけで、“なんだこの会話”と言いたげな顔をしていますし。

 

 いや、普通に仲は良いのですよ?

 モモトークでは、よくお気に入りのお菓子や飲食店をシェアして合っていますし、お正月にはお歳暮を、クリスマスにはプレゼントを送り合っています。

 勿論、御互いの誕生日プレゼントも欠かしたことはありません。

 

 私が何者かに拉致される前日にも、色々とやり取りはしていましたからね。

 ボタン間違えてトーク履歴消しちゃいましたけど。

 

 

 だからこそ、こんな雰囲気になるのが気持ち悪いと言いますか。

 微妙にショックと言いますか。

 

  

「あー。まあ、……大変そうだもんねぇ、連邦生徒会のお仕事ってさ」

「そう、ですね。大変。かも……?」

 

 

 トラックの横転現場で、あの言葉を投げ掛けられたことへの理解が追い付かず、話を聞くためにアビドス高校行きを願ったのも、そんな背景があったから。

 私が不在の間に、アビドスに一体何が起こったのか。

 それを知りたかったからこそ、私はこうして体の自由を奪われたとしても、アビドス高校へ行くことを願いました。

 

 そして、真実を知り、その原因となったものを是正するためには、例え罵倒されようと、この身に危害が加えられたとしても、ひたすらに話をする。

 今にも破裂しそうな程激しい心臓の鼓動を感じながらも、そんな覚悟をキメて、私はホシノさんと相対したのです。

 

 

  ――が。 

 ホシノさんの反応が想定と違いすぎて、最早違和感があります。 

 あの時のホシノさんは、私に対する怒りやある種の失望に似た雰囲気を纏っていました。故に、私も多少の緊張感をもって、対話をするつもりだったのです。

 

 …………それなのに今は、戸惑っているような、考え込んでいるような。少なくとも、あの緊迫した感じは一切ありません。

 

 怒りを抑えて冷静を保つことに努めているから、こんな変な雰囲気と会話になっている、という可能性も、無いことも無いですが……。

 

 

「…………ねえ、大丈夫? 気分とか、悪くない?」

 

 

 この様子を見るに、可能性は薄い。 

 とはいえ、こうなった原因が分からない以上、必要以上にあれこれ考え過ぎても仕方がありません。今はただ、話を続けてみましょう。

 今の私に出来ることなんて、それくらいですし。

 

 

 ――……とはいえ。

 

  

「ご心配……なく。私は大丈夫です。ええ、大丈夫」

 

 

 口ではこう言っていても、ワリと限界が近かったりします。

 

 思考がとっ散らかっていて全く考えが纏まりませんし、会話に対しても全然集中出来ていません。何時もなら、相手の目の動きや表情、体に出る極些細な反応等を見ながら話すのですが、それが出来なくなり始めています。

 

 と言うか、出来ていません。

 何か、こう、反射で言葉を返してしまう、みたいな感じなのです。

 

  

「――……あー、話の続きですけど、生徒会のお仕事は大変ですよ。テロやハイジャックは毎日起こりますし、書かないといけない書類も多い。本当の意味で眠れぬ夜を過ごすことなんて、毎日のことですから」

「……うへ。そんな生活、おじさんは耐えられないなぁ。お昼寝も出来ないんじゃ、干からびちゃうよぉ」

「まさかぁ。ホシノさんなら大丈夫ですよ。それに、自由時間が無いだけで、みんな笑ってるアットホームな職場ですし。連邦生徒会」

「その誘い文句、ブラック企業の求人でよく見るヤツじゃない?」 

「実際ブラックですもん」

「…………うへ、言っていいの? それ」

「事実ですもの」

 

 そして、それを自覚すると、余計ダメになる。

 なんなんでしょう、この現象

 

 ああもう、考えも動きも口も、全部ダメダメです。

 これ以上話すのは、よくない気がします。

 

 

 …………どうしましょう。

 ものすごく、ねむたい。

 

 

「……まあ、うん。連邦生徒会がブラックなのは分かったんだけどさ。――……一つだけ、聞いても良い?」

「私に話せることなら、何でも」

 

 ですけど、それは、表に出すべきでないので。

 もうひと踏ん張り。もうひと踏ん張り。

 

 がんばれ私。

 眠気にまけるな。

 

「ありがとね。……じゃあ、どうして、カヤはあんな場所にいたのかな? 私もアビドスの住人だからさ、こんなことはあんまり言いたくないけど、彼処は住めるような場所じゃないし、見るものも無いよ?」

 

 

 いま、このしつもん、ですか。

 やばいですね。かんがえが、まとまらない。

 

 

「わかりません」

「……ふぅん?」

「気づいたら谷のそこで、ねむってましたから」

「谷底、って。アビドスにはそんな場所――…………えぇ、もしかして、砂漠の奥のアレのこと?」

「はい。“アビドスの絶景百選(写真集)”の百四ページ、“光と砂が作り出すハイパーロングスロープ”に似た、きれいな場所でした」

「…………うへぇ。それが本当だとしたら、良く生きてたね?」

 

 それは。そう。

 

「サボテンとか、多肉植物にたすけられましたよ」

 

 かれらが、いなければ。

 わたしは、しんでいたでしょう。

 

 ――っと。

 いけません。

 

 きをぬいたら、ねむけが。

 

「…………ねえ、カヤ」

「ふぁ……い。なんでしょう」

「カヤは、アビドスのこと、どう思ってる?」

 

 そんなの。

 きまってます。

 

「アビドスは、わたしの、たいせつなばしょですよ? もちろん、ほかのちくも、たいせつなばしょです」

 

 ぁ……いしき。

 やばい、です。

 

「じゃあ最後。カイザーに一言言うなら?」

 

 

 

 

 

 

「…………ほろびて」

「…………そっか。……ありがとう、カヤ。今は、ゆっくりお休み」

 

  

 

 げんかいです。

 おやすみ……なさ…………い………………。 

 

 




お話を読んでいただき、本当にありがとうございました!

次回更新は未定ですが、来週の休日に投稿できればと思っております。
気長にお待ちいただけると幸いです!







いやはや、思考回路がふわっふわなカヤさんの様子を書くのは、なかなか苦労しました…。

カヤ室長の今後について【誰かの家に転がり込む場合は、家がある地区が活動拠点となります】

  • アビドス編終了までこのまま滞在
  • アビドス編の途中でDUへ出発する
  • ホシノの家に転がり込む
  • 即座にDUへ向かい防衛室へ突撃
  • ヒナの家に転がり込む
  • シャーレに転がり込む
  • ナギサの家に転がり込む
  • 柴関ラーメンで働く
  • ツルギの家に転がり込む
  • カンナの家に転がり込む
  • ノアの家に転がり込む
  • 便利屋68と共に行動する
  • イチカの家に転がり込む
  • マコトの家に転がり込む
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