【近日中フルリメイク】……あなたが、先生、ですか。はじめまして、不知火カヤと、申します。   作:猫型探索者

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描写不足がありましたので、加筆修正を行いました。
二度とこのようなことが無いように、より一層、気を引き締めて物語を綴っていきます!


葛藤/小鳥遊ホシノ

 

 

 机に突っ伏したカヤを眺めながら、ポケットからスマートフォンを取り出し、モモトークを立ち上げる。そして並んだいくつかの連絡先の中から、コーヒー豆のアイコンをタップした。

 すると、ホーム画面の一番上には[不知火カヤ]の文字が表示され、少しのロード時間を挟んで現れたトーク画面には、色々なやり取りの履歴が残されている。

 

 二年前――カヤとモモトークを交換して、初めて送信した「よろしくお願いします」という言葉から始まり、お互いに堅苦しくピリピリしていた頃の会話に続き、少しだけ関係が良くなってきた頃の食事の誘いも、“あの時”焦りに焦っていた私が送った誤字や脱字まみれのメールも、仲良くなった後のラーメンへの誘いも、奢る奢らないで喧嘩したときのやり取りも、親友になった後の緩すぎる雑談も、寝落ち通話の履歴も、送り合ったプレゼントへのお礼も。

 

 私がカヤと出会ってからの軌跡。

 その全てが、ここにある。

 

 ――……そこに、仕事の話なんて、ほとんどなくて。そのほんのわずかな仕事の話も、汚職で退学になった防衛室の同級生全員への愚痴だけだった。

 

 

 だからこそ、一ヶ月前に送られて来たこのメッセージが、あまりにも浮き過ぎてて。

 

 

 [この度、連邦生徒会防衛室はアビドス高等学校(以下、アビドス高校と表記)に対する定期支援(指定組織に対する防衛給付金、保護指定校助成金[修学環境補助]、地方校助成金、その他数点)を終了すると共に、アビドス高校生徒会の定員割れを認め、登録議員・小鳥遊ホシノ、生徒会顧問・梔子ユメ両名の除名処理を行ったことをお知らせいたします。

 

 この決定についての質問は、連邦生徒会防衛室ホームページの[contact]タブよりお願い申し上げます。      連邦生徒会防衛室室長 不知火カヤ]

 

 

 セリカちゃんを探していたら偶然カヤを見つけたあの時こそ、私も頭に血が上ってて冷静じゃなかったけど、落ちついて考えてみれば、いくらなんでも可笑しい。

 

 事前通告は最低でも一月前が口癖のカヤにしては、知らせがあまりにも唐突すぎるし、内容は兎も角公式な物っぽいコレを、なんでモモトークで送って来たのかも分からない。カヤが防衛室長になった後、アビドス高校が防衛室へ色々な支援要請をした時には、あまりにも分厚過ぎてまるで辞書のようになっていた書類と一緒にやって来たというのに。

 

 それに、卒業した筈のユメ先輩が、どうしてアビドス高校生徒会の顧問――つまり、教員扱いになっているのかも分からない。いや、何か二人の間で色々話し合って決めたのかもしれないけどさ。

 

 

 教えてくれたって、いいじゃん。

 

 

 ――……こほん。

 

 話を戻すけど、防衛室のホームページはリンク切れ状態で、カヤの携帯に電話をしてみても全く繋がらない。モモトークは一応返信は来るけれど、言葉使いが固すぎて、警戒心MAX状態のカヤと話しているような気分になる。

 

 

 過去の記憶を遡って、カヤとの交流を思い返せば思い返すほど、このメッセージや、対応への違和感が込み上げてくるのは、きっと私の気のせいなんかではないのだろう。

 

 それは、分かってる。

 分かってる、けど…………。

 

 

 

 

 ――……この“不知火カヤ”が偽者だと証明するモノは、現状、どこにも無い。

 それが、現実だ。

 

 

 

 

 スマートフォンの電源を落として少し雑にポケットに突っ込み、一つ、大きく息を吐く。椅子に座っているだけなのに、運動直後みたいな、全身に熱がこもるような感覚がする。

 

 身の回りで異変が起きているのは確実なのに、それが異変であることを証明出来る情報が少なすぎることほど、気持ちの悪いものはない。 

 何かが起きている。でも、何が起きてるのかが分からない。何が本当で、何が嘘なのかも、まったく分からない。

 

 …………言ってしまえば、今、私の目の前で静かな寝息を立てている彼女も――……本物であるという確証は、無い。 

 

 それでも、こうしてカヤをアビドス高校に連れてきて、直接面と向かって話を聞いたのは…………単に、私が信じたかった方を、信じた。

 

 ただ、それだけなんだ。

 

  

「…………ホシノ先輩?」

 

 

 そんなことを考えていた私の顔が、よっぽど怖かったのか、はたまた心配させてしまったのか。

 

 シロコちゃんが不安気な表情を浮かべて、じっと私を見ていた。

 いつもはピンと立っている耳が、へにょっと倒れている。

 

 

「……大丈夫? 調子が悪かったり、する?」  

「ううん。大丈夫だよ。心配しないで。考え事してただけだからさ?」

 

 

 ――……よし。

 

 今、このことを深く考えるのはやめよう。

 この子たちを変に心配させるのは嫌だし、情報が無いんじゃ、何を考えても推測にしかならない。それに、このまま考え続けたら、この子たちには見せたくない、黒い感情が、うっかり表に出てきちゃいそうだから。

 

 

 だから、私は“カヤ”を信じる。

 それが、最善の選択であることを、願って。

 

 

「……はぁ」

 

 

 さあ、切り替えろ、私。

 “小鳥遊ホシノ”じゃなくて“おじさん(ホシノ先輩)”になれ。

 

 胸に沸き上がる色々な感情を飲み込むように、瞼を閉じて。

 一度だけ、大きく、深呼吸をする。

 

 そうすれば、ほら。

 

  

「――ねぇシロコちゃん」

「……なに?」

「ひとまずここにカヤを寝かせるから、倉庫からマットを持ってきてくれない? 抱っこして保健室へ運んでもいいけど、はずみで起こしちゃったら可哀想だからさぁ」

 

「…………ん、分かった」

 

 

 自然と、“おじさん(いつもの私)”になれる。

 いつも明るくて、底抜けに優しくて、何処かポワンとしているところもあるけれど、それでもいざとなったら頼れる。

 

 ずっと憧れ続けた、あの先輩みたいな、私に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホシノちゃん! カヤちゃんはどこ!?」

 

 

 ――そうだった。

 

 セリカちゃんのことを伝えたら、直ぐに来るって言ってたっけ。

 D.U.から弾丸で帰ってくるのって、結構大変だと思うんだけどなぁ。

 

 それに、来るって連絡を貰ってから、まだそこまで時間は過ぎていないし。

 

 

 車、相当飛ばして来たのかなぁ……。

 

 

「声が、大きすぎますユメ先輩。カヤが起きたらどうするんですか。――あと、スピード違反とか、していません……よね?」

「…………えへっ!」

 

 

 ……別の問題が発生しそうなんだけど、どうしようかな、これ。 

 

 

「……んぅ…………うん?」

 

 

 しかも、カヤのヘイロー、点灯しちゃったよ。

 まだ、全然眠ってないのに。

 

 




ありがとうございました!
次回投稿は未定ですが、出来るだけ早く投稿出来るように頑張ります。



★4/15 23:38加筆修正。

カヤ室長の今後について【誰かの家に転がり込む場合は、家がある地区が活動拠点となります】

  • アビドス編終了までこのまま滞在
  • アビドス編の途中でDUへ出発する
  • ホシノの家に転がり込む
  • 即座にDUへ向かい防衛室へ突撃
  • ヒナの家に転がり込む
  • シャーレに転がり込む
  • ナギサの家に転がり込む
  • 柴関ラーメンで働く
  • ツルギの家に転がり込む
  • カンナの家に転がり込む
  • ノアの家に転がり込む
  • 便利屋68と共に行動する
  • イチカの家に転がり込む
  • マコトの家に転がり込む
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