【近日中フルリメイク】……あなたが、先生、ですか。はじめまして、不知火カヤと、申します。   作:猫型探索者

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久々過ぎるお風呂

 

 おはようございます……いえ、こんばんは、と言った方が、正しいでしょうか。

 先ほど廊下を歩いた時、外は暗かったですし、空き教室に設置された時計を覗いてみても、然程時間は進んでいませんでしたから。

 

 時間にして、大体四十分前後。

 それが、私が眠っていた時間です。

 

 目覚めた瞬間の気分的には誰かに叩き起こされた時に近かったのですが、時間で見てみると不思議なモノで、防衛室で働いていた時の睡眠時間よりも長く眠っていました。

あの頃は普通にスッキリ目覚めていたというのに、どうして今はこんなに寝不足感があるのでしょう。

 

 単純に疲労が蓄積していたのか、近くに人が居たからグッスリ眠れたのか、はたまた近くに居たのがホシノさんだったから安心できたのか、その全てが重なったから眠れたのか。

 自分のことは自分が一番分かる、なんて言葉がありますが、こうしてみると自分では分からないことの方が遥かに多い気がします。

 

勿論、それは私だけ、なのかもしれませんけれど。

 

 いやはや、ここまで眠気を感じることなんて、いつ以来でしょう。

 少なくとも、ここ一、二年は眠たいなと思った記憶はありませんから、一年生の頃以来かもしれません。なんだったら、こんなにも心が休まったことも、最近はありませんでした。

 三年に上がって、本格的な引き継ぎの用意を始めなければなりませんでしたし、私が在籍している間に防衛室内で発生した全ての問題は、今回の件も含めて、私が防衛室長である内に片付ける必要があります。

 

 先輩が起こした問題を後輩に尻拭いさせるだなんてこと…………絶対に、あってはなりませんから。

 

 

 

 …………さて。

 思考の海に潜って現実逃避をするのも、そろそろ止めにしましょうか。

 

 

「ねえ、カヤ。痛くない?」

「カヤちゃん、痛かったらすぐに言ってね? ホシノちゃん、ここは手では洗った方が良い、よね……?」

「そう、ですね。タオルで洗ったら、痛そうですし…………」

 

 

 

 

 ――……はい。

 

 

 

 

 今、私は、お風呂に入っています。

 私と、ホシノさんと、ユメさんで。

 

 それ以上、説明はしません。

 

 久々のお風呂で、とってもすっきりした、ということだけ、お伝えします。

 ええ。

 

 

 ――……無駄だと思いますが、脱走を試みましょう。

 恥ずかしくて仕方がありません。

 

 

「こっちは私が流してあげる――って、ほら、逃げようとしないの!」

「先輩、こちらは任せてください。…………カヤ、そんなガチガチにならないでさ、リラックスして、私たちに身を任せて。ちゃんと洗うから。隅々まで」

 

「…………もう、勘弁してください」

 

 

 ああ、もう。

 顔が、顔が熱くなってしまいます……!

 

 この三人でお風呂に入ったのなんて、私とホシノさんが一年生だった頃のお話ですからね。しかも、あの時は広い温泉で、それですら少し恥ずかしかったと言うのに、今回は狭いシャワー室にぎゅうぎゅう詰め。

 おまけに三人全員全裸です。

 

 恥ずかしいという気持ちが湧くのも仕方がないと、そう思いませんか?

 

 

 ――……と、言っても。

 逃げられないので、どうしようも無いのですけれど。

 

 

「じゃあ、流すよ~! カヤちゃん、目を瞑って!」

「……はい」

 

 

 全身の泡を流されている間、ただ羞恥心を抱きながら過ごすのも時間が勿体ない感じがするので、このシャワー室に連行されている途中にチラリと見えた、あの落ち着いた雰囲気の大人――……先生と思わしき人物について、色々と考えてみることにしますか。

 

 先生という存在については、私も会長からあまり詳しい話を聞いていない……と言うか、教えてくれなかったのですけれど、彼女曰く、彼はこのキヴォトスを正しい場所へ導いてくれる存在であると、そう聞いています。

 私は会長の言うことが間違っているとは思いませんし、彼女がそう言うのならば、きっと、そうなのかもしれません。

 

 あの連邦生徒会長が、ここまで入れ込む人材です。

 個人的には、是非ともお近づきになりたい気持ちはあります。

 

 しかし、防衛室としては要警戒対象でもあるのが悩み所なのです。

 会長から教えてもらった情報を全て鵜呑みにするのであれば、先生に与えられているであろう異常なほど多くの権限。

 

 それは、防衛室にとっては悩みの種でしかありませんから。

 

 たとえ、どんなに先生が清い心を持ち、邪な考えを起こさない大人だとしても、キヴォトスの外から赴任される以上、武力に対する抵抗力はほぼ零と言っても過言ではないはず。

 

 

 そこを誰かにつけこまれ、利用される可能性があることを考えれば…………。

 

 

 

「………………ホシノさん、一つお聞きしても?」

「ん? どうしたの、カヤ」

「先ほど通った教室にいらっしゃった方は、先生ですか?」

「うん。そうだよ」

 

 

 ――ひとまず、印象だけでも聞いておきますか。

 面と向かってお話をする前に、出来る限り情報を集めておきたいですし。

 

 

「先生について、貴女はどう思われていますか?」

「……せんせい、ねぇ…………まぁ、今のところ悪い人ではなさそう、かな。……あまりにもイイ人過ぎるのが、何か怪しいと言うか、微妙に胡散臭い感じもあるにはあるけど」

「私は信じても大丈夫かなー、って思うけどねぇ。…………確かに、ちょっと、今まで会ったことのある詐欺師に似てるところはあるかも、だけど」

 

 

 ……なるほど。

 

 お二人の評価を見る限り、そこまで強い警戒をする必要はなさそう、ですかね。

 少なくとも、カイザー関連の人間と会うときよりは、気を抜いても大丈夫そうです。

 

 まあ、あの教室で他の生徒さんと話されている時の、先生と生徒さんの表情を見る限り、信用に値するという判断をしても良さそうではありますが…………こればかりは、立場が許してくれませんからね。

 どんな人物であっても、常にある程度気を張って話さなければならない、というのは――……何か、心が疲れてしまいます。

 

 例外なんて、ホシノさんか、ユメさんか、リンさんくらいですから。

 

 

 それはそれとして。

 

 

「――……ユメ先輩がそう言うと、途端に先生が怪しく見えてくるのは、何故でしょうね」

「ひぃん! なんでぇ!?」

「「今までの実績、ですかね」」

 

 本当は、あまりこういうことは言いたくはないのですけれど、ユメ先輩がそういう輩に引っかかった回数が、本当に尋常じゃないので、つい本音が出てしまいました。

 反省しなければなりません。

 

 

 ――さて。

 そろそろ、本題が来るのでしょうか。

 

 ユメさんの雰囲気が、変わった様な気がします。

 

 

「…………こほんっ! ――……それはそれとして、カヤちゃんに聞きたいことがあるんだけど……聞いても大丈夫かな?」

 

 

「…………私に話せることなら、何なりと」

 

 椅子に座る私を見下ろす彼女は、笑ってはいますが、少し雰囲気が怖い――……ような気が、しないことも無いです。

 学生時代には無かった、大人の持つ圧を感じる、ような…………?

 

 いや、まあ、ただ単に、その…………私、ユメさんを見上げているので、大きなものの存在感のせいも、あるかも知れませんけど。

 

 ――…………えっと、はい。

 暫し、話をすることに集中しますか。

 

 

「じゃあ、一つ目。――……私は、今目の前に居るカヤちゃんを本物だと思ってる。見た目もそうだし、話した時の、この独特な雰囲気は、カヤちゃんだけのものだから。…………でも、私たちの目の前に居るカヤちゃんが本物だとしたら――……今、連邦生徒会に居る“カヤちゃん”は一体だれなんだろう、って思って」

「…………すみません。もう一人の“(不知火カヤ)”については、私が知っていることはなにも。誰が、何のために私を拐ったのかも、確証は持てません」

「確証は持てない、ってことは、相手や目的について何となく予想はできてる、ってことで良いの? ――いや、まあ、一番カヤを恨んでるだろうな、って企業なんて、すぐに思い浮かぶけどさ」

 

 ホシノさんが、椅子に座る私の目をじっと見ながら言いました。

 

 こうして真剣? な話をしている最中でも、ユメさんは私が寒くないようにと体にシャワーを掛け続けてくれていますし、ホシノさんは髪にタオルを巻いてくれました。

 この気遣いが、色々な意味で、温かくて。

 

 なんだか、嬉しくなっちゃいます。

 

「でしょう? でも、確証はないんですよ。絶対アレだろうなってほとんど確信しているにも関わらず、です。それがもどかしいったら」

「うへ、そうだろうねぇ。アイツら、色々やってるワリに尻尾は出さないし」

「本当ですよ。タコ絡みと見られる事案が十件あったとして、それの証拠が見つかるのは十件中三件、違法行為を確認できることなんて、一件あるか無いかですから」

「……うわぁ」

 

 それにしても、暫く面と向かって話すことが無かったからでしょうか。

 ホシノさんと話すのが、とっても楽しい。

 

 ユメさんとは、お互いDU勤務なこともあって時折お会いしていたのですが、ホシノさんとは一年近く会えていなかったんですよね。半日休暇では、アビドスには行けませんし。

 

「……あの~…………今、私が…………」

 

「これでも昔よりは率上がってるんですよ?」

「これで?」

「ええ、これで。――とはいえ、ほぼほぼ狐と犬のお陰ですけれど。本当、彼女たちには頭が上がりません」

「……やっぱ苦労するんだね、タコ関連の捜査って」

 

「ホシノちゃ~ん……? カヤちゃ~ん…………? 聞こえてる~……?」

 

 ああ、どうしましょう。

 口が止まりません。

 

「ええ。話を持っていったら、狂犬が砂狐になる程度には。――……いや本当、凄い顔されますからね。まあ、最終的には、狐達と共々渋々了承してくれるのですけれど」

「うへぇ。…………今度何かするときは、私も協力しようか?」

「よろしいのですか? 確かに、貴女が居れば百人力ですけど……」

「良いよ良いよ~。私とカヤの仲じゃない。昔の借りも全然返せてないし、今回のことも、気づけなかったし…………って」

 

「「あっ」」

 

 

 ――……いけません。

 ユメさんのことが、すっかり、頭から、抜けていました。

 

 

「ずるいよ、ホシノちゃん…………わたしだって………………カヤちゃんと、もっとはなしたかったのに…………」

 

 

 申し訳ありません、ユメさん。

 いや、本当に。

 

 




お待たせいたしました&ありがとうごさいました!
この時期は多忙のため、次回は未定です。

それにしても、まさか投稿三分前にしてPCが落ちるとは……。



この世界線のカヤ室長のイメージ(シャワー室Ver)を簡単に描いてみました。

【挿絵表示】

カヤ室長の今後について【誰かの家に転がり込む場合は、家がある地区が活動拠点となります】

  • アビドス編終了までこのまま滞在
  • アビドス編の途中でDUへ出発する
  • ホシノの家に転がり込む
  • 即座にDUへ向かい防衛室へ突撃
  • ヒナの家に転がり込む
  • シャーレに転がり込む
  • ナギサの家に転がり込む
  • 柴関ラーメンで働く
  • ツルギの家に転がり込む
  • カンナの家に転がり込む
  • ノアの家に転がり込む
  • 便利屋68と共に行動する
  • イチカの家に転がり込む
  • マコトの家に転がり込む
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