▼サタケ隊長に既婚者設定が公式で出る前に書いておきたかった 妻子がいてもなんらおかしくない立場年齢だしさぁ……独身風だけど……
pixivより転載
サタケは、イサミの前で指輪を外す。
それは今からお前を抱くぞ、と言うサインである。
それに、毎回イサミは複雑な胸中になりながらも黙って抱かれるのだ。
サタケは結婚している。自衛官にありがちで、それが早かったために子どももそれなりの年齢だ。サタケが結婚していることは周知のことで、彼もまた偶に家庭の話をする。
そんなサタケとイサミの不倫関係ができてしまったのは、イサミにも理由がよくわからない。ただ、イサミはサタケに憧れと恋愛感情を綯交ぜにした感情を早々に抱いていたし、サタケはそんなイサミの勢いを受け入れていた。
どちらかと言えば、イサミの方からこの関係を構築した、とイサミは思っている。しかし受け入れたサタケもサタケだ、ともイサミは思う。妻も子もいるくせに。イサミは、抱かれながら毎度そう思うのだ。
こんな硬い男に欲情できるサタケは隠れゲイなのかバイなのか、イサミにはわからなかった。聞いてみたこともない。彼らの関係は極めて静かで、「愛している」などの甘い言葉は一切ない。ただ、肉体をぶつけ合う。それだけ。イサミはそれでいいと思っている。
ただ、毎回、事が終わるとサタケの指輪の日焼け跡を無意識になぞった。それを、サタケがどう思っていたか。
本当はよくないのだと思い知ったのは、その関係が半年も経った頃だ。
「え、隊長、奥さん子どもできたんですか!」
ヒビキの声が名前の通り響く。それに思わず足を止めた。
廊下で部下に囲まれながら、サタケが照れたように笑っていた。
「上の子と8歳離れることになるんだがな……」
「いいなぁ~奥さんとラブラブじゃないですか」
「今どれぐらい経過されたんですか」
「あぁ、3か月だそうだ」
それを聞いて、イサミの胸中に沸いたのは強烈な吐き気だった。
足早にその場を去り、人気のないところへ。トイレへは間に合いそうになかった。物陰でしゃがみ込み、胃の内容物を吐き出そうとする。しかし出て来たのは胃液だけだった。
「おぇっ……」
えずきながら、イサミの頭を占めていたのは「3か月」と言う言葉。
――隊長、あんた、奥さんともちゃんとセックスしてるんじゃないですか。俺を抱いたその陰茎で。
それを叫びたいのを堪えた結果がこの吐き気。
「アオ三尉」
――不意に届いた、今は聞きたくなかった声。
イサミは振り返ることもできず、ただしゃがみ込む。足音が近寄ってきて、影が差した。
ふわりと香る匂い。サタケの匂い。
「大丈夫か、急病か」
「……大丈夫、です」
「そう言う顔色じゃないぞ」
「ほっといてくださいよ、俺のことなんか」
イサミは意地になってサタケを突き放そうとする。
今は1番見たくない顔だった。だから顔を背け続ける。
「あんたなんて俺のこと」
「愛してる」
イサミは耳を疑った。思わず振り返る。
サタケは真顔だった。
「お前も俺を愛してるんだろう?」
当然のように言われ。
しゃがんだまま掴みかかろうとした。
「――あんたって人は……!」
そのまま口を唇で塞がれる。基地では、決してそういうことをするサタケではなかったのに。
イサミはそのまま口づけを受け入れてしまう。
胃液の味がした。
End.