蛇だった者たちへ。   作:Ciels

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捏造多めです。
色んな二次創作を参考にさせていただいています、本当にメタルギア好きな人は素晴らしい作品を生み出す……


赫怒 11

 

 

 

 

 1995年 アウターヘブン

 

 

 

 

 耳鳴りがするほどに煩い警報装置が施設内に鳴り響いている。それも仕方のない事だった。なぜならその原因を作ったのは、スネーク本人だったからだ。

 最早目の前のガラクタに価値はなかった。目の前で炎と煙に包まれているガラクタは、ついさっきまで世界最大の脅威である核搭載二足歩行戦車であった。

 ガラクタになってしまったのは、スネークがそれを破壊したからだ。このガラクタは何もしてこなかったが、それを守る警備装置が彼を疲弊させたのだ。

 

 任務は達成することができた。だが、そのガラクタ……メタルギアを破壊した事によりアウターヘブンの施設の自爆装置が作動してしまった。逃げなければならない。彼にはまだ確かめなければならないことが山のようにあったのだ。

 

 痛む身体に鞭を打ちながら、隣の部屋に駆け込む。恐らくメタルギアの整備員の待機場なのだろう。薄暗いその部屋は、けれど工具やよく分からない道具が散乱していた。

 本当なら、駆け抜けてしまいたかった。今こうしている間にも、自爆装置のカウントはゼロへと向かって行っている。

 だが、すぐにうっすらと人影が見えて足を止めてしまった。

 

「……ソリッド・スネーク。よく、ここまで来たな」

 

 その人影から、スネークに向けて言葉が投げかけられる。信じたくなかった。けれどその声と、僅かな明かりが照らす姿がそれが真実なのだと証明してしまっていた。

 

「……信じたくはなかった。だが、やはりあんたが裏切り者だったのか」

 

 ビッグボス。二十世紀最強の兵士。そして、スネークが所属するFOX HOUNDの司令官。何よりも、スネークをアウターヘブンに送り込みメタルギア破壊を命じた張本人だった。

 ビッグボスの口元がほんのりと光る。どうやらこんな時でさえも葉巻を咥えているようだった。濃厚な煙が電灯に立ち昇る。

 

「……そう、俺が……私が、FOX HOUND総司令官、そしてこの要塞、アウターヘブンのボス……ビッグボスだ」

 

 いつもとどこか雰囲気が違う気がした。どうにも静かな、それでいて鬼のようなその佇まいに、このアウターヘブンで数多の強敵と対峙したスネークも冷や汗が止まらなかった。

 それでもスネークは確かめなければならなかった。彼が任務を達成し、そして生き残った理由の一つでもあった。

 

「ボス……なぜだ、なぜ裏切った!」

「なぜ、か。……俺が憎いか、スネーク」

 

 その問いに対し答えなど持ち合わせるはずもない。まだ23歳の若き戦士は、未熟だった。

 

「分からない……俺には分からない。一つ言えることは、あんたが裏切り者だということだけだ」

「そうだ。それでいい。私を憎め、スネーク。戦場で自分に疑念を抱けば死ぬ事になる」

 

 今もなお、彼はスネークの指導者たろうとしてくる。それが許せなかった。

 

「あんたのせいで沢山死んだ。罪のない人々が……レジスタンス達が!」

「罪のない人々? それは違うな、スネーク」

 

 口元から葉巻を遠ざける。その動作が、どうにもしっくりこない。

 

「人は誰しも、生きる上で罪から逃れられない。私は、罰そのもの。今のこの腐り切った戦場への……罰なのだ」

「神にでもなったつもりか」

 

 ビッグボスは鼻で笑ってみせる。

 

「違うな。アウターヘブンに神はいない」

「……なぜ裏切りを?」

「戦士達の楽園。政治という時代に抗い、真に戦う者達だけの楽園を作るためだ」

 

 理解ができなかった。未熟な彼では。その意味を、後に思い知る事になるとも知らず。

 

「なら、俺は? なぜわざわざ自ら指揮を採って俺にアウターヘブンを破壊させた?」

「……そうだな。予想外だった。まさかお前がここまでやるとは。新米を送り込めば、多少なりとも情報を混乱させられると思ったのだが。メタルギアも、壊させるつもりはなかったさ」

「……あんたの命令だった」

「……そう、命令だ」

 

 すぐに銃を抜けるような雰囲気ではなかった。今まさに、自分はこの要塞と運命を共にしようとしているのにも関わらず、話から抜け出せない。

 

「あんたは国を、俺達を裏切った。何が戦士達の楽園だ。あんたは……貴様は、テロリストに過ぎない」

「なら、お前はどうだスネーク」

 

 何か、燃えるような何かを感じた気がした。それを言葉にできるほど、スネークは多くを見ていない。

 

「政治家やくだらん主義に振り回され、都合が悪くなれば捨てられる。お前も、そして私達も同じだ。所詮我々は戦争の犬でしかない」

 

 何かを思い出しているのだろうか。そんな目をしていた。

 

「お前が沢山の仲間を失ったというならば。私も同じだ。私は、仲間を多く失った。くだらない政治や思想の中で」

 

 ビッグボスの心に陰を落とす人達を知ることはない。けれど、きっと大切だったのだろう。初めて目の前の老人が、年相応の哀愁を見せた気がする。

 

「まだ、痛みは消えない。この腕も、心も。喪った痛みは、消えることはない。……これからも戦士は使い捨てられるだろう。翻弄されるだろう。お前や私のように。……私は、その時代を変える」

 

 スネークは言葉を返せなかった。この男は、元から人を惹きつける何かがある。

 

「……きっと彼女の意志とは異なるだろう。だがそれでいい。彼女の、そして彼の意志を実現する。兵士のための天国……アウターヘブンを」

 

 今でも、それを差しているのが誰かなど分かるはずもない。だがあの時のビッグボスの瞳は、スネークのその後の人生に大きな呪いを与える事となった。

 

「お前は私を許せないだろう。だが私も、お前達を許せない」

 

 ビッグボスは右大腿部に装着されたホルスターから拳銃を引き抜く。いつもの教練のようにナイフを取り出すことはなかった。

 

「教えてくれ、スネーク。お前は何のために忠を尽くす。お前は何のために戦う? 答えろ、ソリッド・スネーク!」

 

 俺は。俺は、何のために戦うのか。

 一瞬の自問自答。けれどその一瞬は、永遠にも感じた。

 だから、その永遠の末に出た答えは、今後のスネークの指標ともなった。

 

「俺は……信じるもののために戦う。俺は、正しいと信じるもののために戦う。そして今は……あんたを止めるために戦う! それが、俺の戦う意味だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カイザーの砂漠施設では、サイファーもびっくりするほどの警備兵達が巡回している。そのどれもが警備ロボットだ。

 スタンダードな人型警備ロボットはオーストリアの小銃を手に、まるで人間のように会話して勤務に勤しんでいる。それに随伴するように、ウォーカーギア大の武装ロボットも適度に見る。

 それらは昼間の砂漠では機能を発揮しづらい赤外線ではなく、まるで人間のように映像を認識しているようだ。きっと高性能なのだろう。

 

 そんな多額の金を積み上げられて作られたロボット達だが。

 誰一人として、旧時代の傭兵に気がついていなかった。

 

 物陰に隠れ、エイハブは無線でカズヒラに報告する。

 

「カズ、こちら()()()()。施設敷地内に侵入した」

 

 それは、まるでいつかのビッグボスを思わせる姿で。

 

『予定通りだなスネーク、ブランクがあるとは思えん』

 

 長年に渡り蛇の系譜を見てきたカズヒラでさえも驚くばかりだ。このエイハブという男は、確かに優秀だった。それもMSFという世界中の傭兵達が集まる場所で、最も優秀だったのだ。

 それでも晩年、アウターヘブンの設立から晩年まで、潜入任務はそう多くはなかっただろう。ダイアモンド・ドッグズ時代は沢山のスニーキングミッションをこなした彼だが、カズヒラが去る頃には単独潜入任務自体が少なくなっていたのだ。

 

「警備の数が多い。OKBゼロ以上だろう」

『分かってるとは思うが、敵に見つかれば逃げ場はない。正真正銘、単独潜入任務だ』

「分かってる。シロコ達はどうだ?」

『大丈夫だ、アル達も加入してくれたお陰でなんとか押し返している。カイザーの理事も意気揚々と乗り込んでるぞ……バカな男だ。デイヴィッドが退学届を受理するはずがない』

 

 それは同じ事を思っていた。きっとカイザーは最後の生徒会であるホシノが去ったことで、アビドスを管理する者がいなくなったと判断したんだろう。だがこちらからすれば、その判断は時期尚早だ。デイヴィッドが干渉しなくなって、初めてこの土地はアビドス高等学校の手を離れるのだから。

 カイザーは自ら非難される理由を作ってしまったのだ。

 

 警備兵達の練度は、まぁあまり高くはない。それでも施設内の警備は厳重かつ数も多く、これだけ広大な敷地にも関わらずしっかりとカバーされている。あの理事も口だけではないのだろう。

 そのせいで100メートル進むのに数時間も掛かってしまう。時間を消耗し過ぎだ。

 

「カズ、少し無茶をするぞ。カバー頼む」

『なに? おいボス!』

 

 だからエイハブは駆ける事にした。なるべく隠蔽できる経路を選ぶが、そのうち見つかってしまうのは目に見えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アビドス中央街の戦闘は最早決着が着こうとしていた。

 便利屋68の介入を機に、統制は大きく崩れ現場は混乱していた。そしてその隙を突くように、アビドスの戦車部隊……通称『機動戦闘部』と、ヘリ部隊である『空中攻撃部』が、最新鋭の戦車や装甲車を破壊し尽くす。

 

 そんな、予想もしなかった光景にカイザーの理事は震えていた。

 

「この期に及んでよくも……よくも!」

「よくもホシノを連れ去ってくれたな」

 

 スーツ姿にバンダナを巻いたおかしな姿のスネークが、理事の前に立ちはだかる。

 

「こ、このぉ……!」

 

 捨て身のように理事が殴りかかるも。

 

「フンっ!」

「ぐへぇ!?」

 

 ヘイローを持つ生徒達すら敵わないほどの強さを誇るスネークに、歯が立つ訳がない。あっさりと背負い投げされて理事の巨体が地面に転がる。

 

「ホシノを返してもらうぞ」

 

 サプレッサー付き拳銃の銃口を突きつけられ、宣言される。

 

「……ふ、ふふふ、ハハハハ!」

「何がおかしい」

 

 不意に理事が笑い出す。

 

「何がおかしい」

「勝ったと思ったら大間違いだ……出でよ、我が技術の集大成!」

 

 理事が叫ぶと、通りの奥が騒がしくなる。騒いでいるのはどうやらPMCのようだった。

 彼らは何かから逃げるように、敗走した経路を逆走している。つまりこっちに向かっている。

 

「なに? 何が起きているの?」

 

 アルの疑問は、すぐに解消される事となる。

 

『スネーク! 何かが通りの奥から接近している! 一つじゃない……複数だ!』

「戦車か?」

『いや違う……これは!?』

 

 そしてその姿が見える。それは、まるで巨人だった。

 一瞬、新種のメタルギアかとも思った。だが違う、そこまで大きくはない。けれど遠目から見ても5メートルはあるその巨体は。

 

「フハハハ! 我がカイザーの技術の結晶、強化外骨格! AI搭載により自立して動ける優れものだ!」

 

 スネーク達が気を取られている隙に、スタコラサッサと理事はその強化外骨格の群れに逃げていく。だがよく見れば、カイザーPMCの兵士達がその強化外骨格のローラーダッシュに轢かれているではないか。

 そして理事も、

 

「ぐわー!!??」

 

 まるでダンプに撥ねられるように吹き飛ばされる。どうやら暴走しているようだった。

 

「なぁにあれ、趣味悪〜い」

 

 ムツキが怪訝な顔で言う。どうやら敵だけは分かっているようで、その凶悪な砲身をこちらに向けている。

 

「数が多過ぎる……!」

「ど、どうすんのよ!」

 

 前衛にいたシロコとセリカが小銃を撃ち込むも、あまり効果は無さそうだ。

 

『みんな離れてろ!』

 

 不意に、キョウコの戦車が路地から現れてその主砲を強化外骨格に発射する。だがまるで遅いと言わんばかりに、そいつらは器用に避けて見せた。

 

『ならこれならどうだ!』

 

 続いてキョウコ達の戦車が突進するも、強化外骨格は真正面からそれを相撲レスラーのように受け止めている。50トン以上もある戦車を、だ。

 そして戦車の前面を持ち上げると、ひっくり返してしまう。間一髪、キョウコ達は車体内に隠れたようで潰れはしなかった。

 

「マズイわね……どうするの?」

「どうするって……あんた達こそ何かないの!?」

 

 アルとセリカが撃ちながら後退していく。

 絶体絶命だった。一台だけならなんとかなったかもしれない。けれど、今対峙しているのはざっと見ただけでも数十台はある。

 だから、スネークは。

 

「オタコン、あれを使う」

『あれって……スネーク!?』

 

 そう言うと、スネークは一枚のカードを取り出す。

 真っ黒なカード。それは所謂、高額利用が可能なブラックカードだろう。

 だが効果はそれだけではなかった。このカードは、選ばれた者、選ばれた大人しか扱う事のできないものだ。

 知る者はそれを、大人のカードと呼ぶ。

 

『待ってスネーク、それは』

「オタコン、一刻を争う。……俺は元々、死人だ」

 

 オタコンの制止も虚しく、スネークはそれを掲げる。すると、鈍い黒色のそれが光った気がした。同時に、スネークの全身を酷い倦怠感が襲う。

 それでも、スネークは倒れない。疲れを彼女達に見せない。彼は、大人だ。

 

 

「シロコ先輩、後ろ!」

「!?」

 

 不意に、応戦していたシロコの背後に強化外骨格が現れた。今にも振り上げた腕で彼女を押し潰そうとし──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 稲妻が走った。

 青白い、凄まじい雷が、強化外骨格を貫いてみせた。

 

「え?」

 

 雷に真っ二つにされた強化外骨格を見て、シロコは目を点にする。気が付けば、目の前に誰かが居る。

 それは、白髪の誰か。スーツを身に纏い、けれどその手には不釣り合いな怪しくも鈍い赤が光る剣。

 それが、首だけを振り返らせた。まるで女性のようにも見えるし、男性にも見える。

 

「お前は……」

 

 その姿に見覚えがないはずがない。

 だって彼は、幾度もスネークと共に戦い、最後には人間らしい自分を手に入れた者なのだから。その姿を、見てきたのだから。

 

 迸る雷を纏いながら、そいつは振り返る。

 

「……俺は、夢でも見ているのか」

「……ジャック」

 

 スネークを見るや否や、その人物……ジャックは、そんな事を言ってみせた。

 

「また、会えたな。スネーク」

 

 振り返り、懐かしい無愛想な表情を浮かべているジャック。スネークの模造品として作られ、骨の髄まで利用され、けれどスネークに救われた彼は──

 

「……どうやら困っているようだな」

 

 刀に着いたオイルを振り払うと、未だこちらに詰め寄る強化外骨格に向けて刀を向ける。

 

「ジャック、お前なのか?」

「おかしなことを聞くな、スネーク。俺さ……雷電さ」

 

 その雰囲気が、最後に会った時とあまりにも違い過ぎて困惑する。

 

「俺からすれば、なんであんたがそんなに若返っているのか気になるが……まぁいい。久しぶりに楽しめそうな戦場だ」

 

 そう言うと、ジャック。雷電は、刀を構える。

 

「俺の闘争を、させてもらおうじゃないか」

 

 刹那、雷電の姿が消えた。否、早過ぎて動いているのが分からなかった。

 

「え、何あの人…!? 超カッコいい!」

 

 アルが目を輝かせているのにも気が付かず、スネークはその戦いを怪訝な目で見る。

 その凄惨さは、もはや戦いではない。

 カイザーの、否。キヴォトスの技術の結晶とでも言えば良いか。それらが一人のサイボーグによって斬り伏せられている。

 まるで斬り刻む事を楽しむかのように。

 

「せやぁ!」

 

 大きく跳躍すると、斬り伏せたばかりの強化外骨格を足場にしてもっと跳躍する。その跳躍量は学生達を超えている。

 そして次の強化外骨格の頭頂部へと降り立つと、ブレードでバラバラに斬り刻み、また次の目標へと跳躍する。今度は真正面からバラバラにしてみせた。

 

「フンッ!」

 

 バラした強化外骨格から何かエネルギー物質を抜き取ると、握り潰す。返り血のように浴びたオイルの中、雷電は確かに笑っていた。

 

「オタコン……ジャックに何があった?」

『……後で話すよ』

 

 その間にも、踏み付けにきた強化外骨格の足裏を片手で軽々と押さえ、足を掴んで投げ飛ばす。そして投げ飛ばした強化外骨格へと跳躍すれば、追い越し際に足場にしながら一刀両断し、迫るミサイルすらも足場にして他の強化外骨格を切断する。

 そうこうしている内に、強化外骨格は全てバラバラのガラクタにされてしまった。

 

「お前がこいつらの首領か」

「な、なんなんだ貴様は!?」

 

 刀を突きつけられて腰を抜かしている理事。

 

「俺は……ジャック・ザ・リッパー」

「は? お前……良い歳して厨二……ま、待て!」

 

 禁句を言おうとして斬り捨てそうな雷電に、スネークはストップをかける。

 

「待て雷電。殺しはここじゃ御法度だ」

「……やっぱり、スネークなのか?」

「お前も……雷電なんだな」

 

 しばし、二人は見つめ合う。まるで懐かしむように、そして疑問を抱くように。その隙に、理事は覚えてろ、と捨て台詞を吐いて逃げ出す。追うつもりは無かった。

 

「あんた……死んだはずじゃ」

「ああ。それは確かだ。だが今は……そうだな、生きている」

 

 未だスーツ姿の雷電は、腰に差したメカニカルな鞘に刀を収納する。

 

「お前を呼んだのは俺だ」

「まぁ、そんな気はしていたさ。だが……」

「先生!」

 

 不意にシロコ達が背後から心配そうにやって来る。不審がっているが、スネークとの様子を見て敵ではないと判断したようで銃は向けない。

 

「先生……? あんたが? まぁ、似合っちゃいるが」

「笑うなよ……」

 

 ちょっと嬉しそうに笑う雷電。だが、その身体が発光する。どうやら時間が来たようだった。

 

「すまんな雷電、急に呼び出して。だが助かった」

「いや、あんたの助けになれるなら。事情は後でオタコンに聞かせてもらうが」

『ああ、うん。連絡するよ、雷電』

 

 もうほとんど、雷電の身体は光の粒子となっている。それを見て、アヤネが驚くように言う。

 

「テレポート……? いや、そんなはずは……」

「気にするなアヤネ。大人の特権(課金)だ」

 

 変に誤魔化すが、深くは追求してこない。

 雷電は去り際に、消え行く顔をスネークに向ける。

 

「スネーク。今度こそ、俺が守る」

 

 そう言うと、彼は消えてしまう。

 だが感傷に浸っている時間は今の彼らには無かった。

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