米花町のスタンド使い ~マシン・ヘッドの死神的日記帳~ 作:兵庫人
〜十日目〜
そろそろ所持金がヤバくなったのでバイトを探すことにした。
先日のイタリア旅行によって貯金もだいぶ減って、もう一ヶ月くらいの生活費しかない。
幸いこの米花町では短期間で住処や生活費を稼ぐことはそう難しいことではない。
……恐怖と引き換えに、ではあるが。
俺が今住んでいる部屋のように、事故物件であることを我慢すれば家賃が安くて好条件の物件は多くあるし、仕事も職場や仕事内容がワケありであることに目を瞑れば、短期間で大金を稼げる好条件の仕事が多数あったりする。
以前の俺であればこの手のバイトは怖くてできなかったが、今の俺には見えない戦車を作り出せるマシン・ヘッドがいる。コイツの力があれば多少危険なバイトでも何とかなるだろう。
そう考えた俺はとりあえず配達系のバイトを探してみると、荷物を特定の場所に持って行くだけで大量の金をくれるというバイトを見つけた。しかもそのバイトは自分の乗り物を使ってもいいし、応募したら即日採用してくれたし俺にうってつけのバイトだと思った。
……まあ、荷物の中身には言及しない、仕事のことを他には漏らさないのが絶対条件と言うのが若干怖い気がするが、何とかなるだろう。
〜十一日目〜
昨日見つけたバイトの仕事を早速することになった。
しかし今日俺が運ぶことになったのは荷物ではなく一人の人間。独特な剃り込みがはいった丸刈りで、これまた独特な服装をしたイタリア人の男性である。
そのイタリア人の男性はどこか危険な感じがして最初は怖かったが、俺がイタリア語ができると知るとイタリア人の男性は安心したように話しかけてきて、話してみるとそのイタリア人の男性は結構気さくな人だった。あとついでにイタリア人の男性は俺のトライクのことも褒めてくれた。
お互い自己紹介を終えると俺はイタリア人の男性をトライクに乗せて、目的の場所まで移動することに。
突然だがトライクの魅力の一つは、ヘルメット無しで乗って走っている時の風を全身で受けられることだと俺は思っている。イタリア人の男性も俺の考えに賛成してくれて、走っている最中はずっと上機嫌でいてくれた。
走っている途中で何回か銃声や爆音が聞こえてきたのだが、そんなのはこの米花町では特に珍しくないし、トライクに乗っている今の俺はマシン・ヘッドが作り出した戦車の幽霊の装甲で守られているので、俺はそれらを無視して目的地へと向かった。
そして一時間くらいのドライブが終わり、目的地である町外れの倉庫に到着するとイタリア人の男性は何度も「
ちなみにその日のニュースで、多くの車が同じ場所で事故を起こしたらしく、しかもその車に乗っていた人間全てが銃やら爆薬で武装していたらしい。
……これって、俺は無関係だよな? 事故現場、今日俺が走った辺りだけど、ただの偶然だよね?
~十二日目~
町で買い物をしていると偶然、犯沢さんと出会ったのだが何やら調子が悪いみたいだった。
話を聞いてみると、事故物件は怖いが何とか家賃を安くしたかった犯沢さんは沢山の人がいるシェアハウスで暮らすことにして、暮らし始めてすぐに気の合う友人と出会えたらしい。……だがシェアハウス生活の二日目に、その友人が殺人事件を犯して捕まったらしく、それで落ち込んでいるのだとか。
……うん。まあ、気の合う友人が殺人事件を起こして捕まったら、落ち込むよな。
幽霊も怖いけど、それ以上に殺人を犯す生きている隣人の方が怖い。そう考えると、シェアハウスよりも事故物件の方が暮らしやすいのかもしれないな。
だけど犯沢さんには悪いが、部屋の幽霊が出なくなった俺にはもう関係のない話だろう。
……と、犯沢さんの災難を他人事のように思っていたのが悪かったのだろうか? 今日の夜にドライブに出掛けようとした時、愛車のトライクの側に頭から血を流した新しい男の幽霊が現れたのだ。
俺はその日、夜のドライブは諦めて部屋に帰って眠った。