「受験番号42番、第4デュエルフィールドに」
アナウンスが流れて
前世の記憶があることに、俺は物心がついた頃には自覚していた。
流行りの事故や重い病気にかかり亡くなったわけでもない。神に会って転生や憑依といったものでもない。本当に気がついたらこの世界に生きていた。
遊戯王のモンスターの銅像やカードショップ。極めつけは、ええ歳した大人たちがデュエルディスクをつけ、プロゲーマーならぬプロデュエリストとして、テレビや大会で活躍している。
これだけの情報があれば、遊戯王の世界だと断定できるだろう。しかも、売られているカードを見て回ってもシンクロやエクシーズなど売られていない。
間違いなくGXの世界だろう。もしかしたら、ARC-Vかと思ったが、使われているデュエルディスクがGXの時代のものだったので確定だ。
子供の頃から、遊戯王は好きだった。学生の頃はひたすら仲間達と集まり、日が暮れるまで遊んだものだ。しかし大人になるにつれ、また1人また1人と辞めていく仲間達。大人になってもやっている人もいるだろうけど、大半が辞めていくであろう。仕方のないことだか、どうしても寂しく感じてしまう。
だからこそ、この世界を自覚した時。困惑こそしたが心の底から嬉しかった。学生の頃の楽しかった思い出をもう一度、出来ることに。
そう考え、早速この世界を楽しもうと思った矢先、持っているデッキを確認した時に驚愕した。
デュエルフィールドに向かう途中客席を軽く見渡す、アニメで見た主要人物達や見たことのないモブ達。
(流石に目立つよな。)
零士の使うデッキは、まだこの世界に登場してないカードだが問題なく使える。しかし確実に目立つ。他に受けている受験者達がレアカードなり上級モンスターなりを使ってくれていたら、そっちに視線がいってくれると思ったが時代が時代なのでポンポン出でくるわけもない。なので、
(ちゃちゃと、終わらすか)
零士はそう考えて、不敵に笑う。
フィールドに着くと試験官が声をかけてきたので、いつでも始められる様に構える。
「準備はいいか?あくまで試験であるので自分の全力を出す様に。勝てるに越したことはないが、負けても気を落とさないように。それでは試験を開始する。先行は受験者からだ。」
「それじゃ、お言葉に甘えて。・・・ドロー。」
零士は引いたカードを含め確認する。
「俺は、インフェルニティ ・ナイトを攻撃表示で召喚。」
【インフェルニティ ・ナイト】
星3 闇属性 悪魔族 ATK1400
見たことのないモンスターを見て、試験官や他の生徒達が驚く。
そう、零士の使うデッキは、インフェルニティシリーズだ。一つ一つのモンスター達の効果は強力無比。1枚のカードから場を制圧することだって出来るほど爆発力を持ったデッキである。しかし欠点として、そのほとんどが手札が0枚でなければ効果を使えないデッキである。
癖が強いが、その展開力に魅了され、今尚使われ続けているシリーズである。
零士もそれに魅了された1人である
「カードを1枚伏せ、ターンエンド」
モンスター1体と伏せカード1枚で零士はターンを試験官に渡す。
「見たことのないモンスターには驚いたが。私のターン、ドロー!」
そういい、試験官はデッキからカード引き、
「私はブラッド・ヴォルスを召喚する。そして、そのままインフェルニティ ・ナイトを攻撃!」
【ブラッド・ヴォルス】
星4 闇属性 獣戦士族 ATK1900
零士
LP4000→LP3500
零士のモンスターは、あっけなく試験官のモンスターに切り伏せられる。
「破壊されたインフェルニティ ・ナイト効果発動、手札2枚を墓地へ送りこのカードを再び場に特殊召喚する。」
切り伏せられて消えたインフェルニティ ・ナイトが再び零士の場に姿を現す。
「なるほど、手札を削ってでも次に繋げれる様にしたのか」
感心するかの様に試験官は頷く。周りの客席からは。何が出てくるのか、手札2枚を捨ててまでの価値があるか?など、さまざまな声が聞こえる。
(単純に手札を減らしたかっただけなんだけどな)
零士の手札はある意味事故っていた。零士の手にあるカードは、
【インフェルニティ ・アーチャー】
【ダブルアタック】
この2枚である。捨てたカードも2枚ともモンスターなため早めに減らしたかったからナイトを出しわざと破壊された。
「私はカードを3枚伏せ、ターンエンドだ」
試験官はそういい、零士にターンを渡す。
(さぁて、何が出るかなと)
零士はデッキに手をかけカードを引く。引いたカードは『インフェルニティ ・ジェネラル』だった。まじかよ、
(あ〜、・・・とりあえず、このターンで終わらせれるか)
「伏せカードを発動。トラップ・スタン。このターン、このカード以降の罠カードの効果は無効となる」
『トラップ・スタン』の発動により試験官は大きく動揺していた。伏せたカードは、相手の召喚、特殊召喚に反応する『奈落の落とし穴』と『激流葬』、相手の攻撃に反応する『聖なるバリア-ミラーフォース』。汎用性が高く強力なカードであるが零士の発動したカードにより、それも使えなくなってしまった。
「インフェルニティ ・ナイトを生贄に、手札からインフェルニティ ・アーチャーを召喚する」
【インフェルニティ ・アーチャー】
星6 闇属性 悪魔族 ATK2000
巨大な弓矢を携えた、漆黒の鎧に覆われた戦士が現れる。
「さらに、手札からダブルアタックを発動。手札のカードを墓地へ送り、送ったカードよりレベルの低いモンスターはこのターン、2回攻撃することができる。俺が墓地へ送ったのはレベル7のインフェルニティ ・ジェネラル。よって、場のレベル6のインフェルニティ ・アーチャーは2回攻撃することが出来る」
「なんだと!だがたとえ2回攻撃したとしても、私のライフを削り切ることは出来ない」
言われた通りいくら2回攻撃出来たところで試験官のLP1900が残り、ATK2000台のモンスターなど、装備魔法なりで簡単に突破出来るでだろう。
あくまで普通に攻撃したらの話だが。
「インフェルニティ ・アーチャーは、手札0枚の時。
『インフェルニティ ・アーチャー』が丸太のような巨大な矢を構え放つ。
「アーチャーで
丸太並みの大きさの矢が試験官を襲う。いくら実体の無いソリッドビジョンとはいえ、怖いだろうな。
「終わりだ、『セカンドショット』」
2射目にて試験官のライフを全て削りきる。
試験官
LP4000→2000→0
「くぅ、・・・・・・おめでとう。試験は終了する、合格の通知はおって連絡する」
試験官に一礼し、背を向けデュエルフィールドを後にする。
観客席にて先ほどのデュエルを見ていた、丸藤亮と天上院明日香。明日香は隣で仁王立ちして見ていた亮に話す。
「彼、なかなかやるようね」
「あぁ、試験用に組まれたデッキとはいえ、ワンターンキルをやるとは」
零士のデュエルは、出来るだけ早く終わらせるためととった行動が返って目立ってしまった。
試験が終わった零士は客席に戻らず、休憩所へ足を運んだ。
休憩所の自販機を見つけ、缶ジュースを購入し口をつけようとした時、後ろから声をかけられた。振り返ればそこには、白い学生服を着て、髪をオールバックで固めた人物。三沢大地。
誰?といった感じの顔をとった零士に、三沢は自己紹介を始めた。
「あぁ、すまない。俺の名は三沢大地、先ほどデュエルは見事だった」
と言って手を差し出してくる。あぁ、はいと差し出された手を握る。
「もしよければ、今度是非デュエルをやってみないか?」
「あぁ、わかった」
零士はデュエルの誘いを承諾した。その後、アナウンスにて受験番号1番の呼び出しがかかる。
また後でと、残し三沢は試験へと向かった。
零士は自販機の横のベンチに腰を下ろし、購入した缶ジュースに口をつける。
(やっぱ、目立つよな〜。見たことのないモンスターを使ってるからな、出来るだけ最小限で動いていたつもりなんだけどな。しかも早速、原作キャラに声をかけられる始末、上級モンスターを使用せず下級モンスターでビートをした方が良かったか。かといって別のデッキを使うのも気が乗らんし)
などと、ぐるぐる1人反省をしていると、表の方が騒がしくなる。
(あ!そろそろか、遊城十代が来るのは)
原作で受付時間ギリギリに到着し試験を受けさせてもらい、実技最高責任者のクロノス教師を倒し、何かと学園を引っ掻き回す主人公。
ついに始まるんだなと考え、飲み切った空き缶をゴミ箱へ捨て客席へと戻る。
遊戯王が好きでいつか描きたいと思い、描き始めました。
至らぬ点もあるでしょうが温かい目で見てくれたら嬉しいしです。アニメなど見直しながら投稿していき、挟めるとこにオリ主を挟む予定です。