綾小路清隆に転生した男のハーレム学園生活   作:プーチィ

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3話にしてサブタイトルに苦戦……。
思いつかない……。


3話 自己紹介

 自分の席に座ったオレは少し考え事をしていた。

 門を潜ってから感じていた懐かしい感覚。

 教室に入った瞬間に思い出した。

 なんてことはない。ホワイトルームだ。

 至る所に設置された監視カメラがあの施設を彷彿とさせる。

 教室にも複数設置されていた。防犯目的にしては明らかに多すぎる。

 外なら死角も多くなるので数が増えるのはわかるが教室に何個も取り付けるのはどうしてだ?

 オレたちの生活態度を見るためか? それなら1つで事足りる。

 もっと踏み込んで考えよう。

 あらゆる角度で配置されたカメラを見るに、どの席に座っても必ずどれかのカメラが生徒を丸裸にするようになっている。

 スマホや携帯ゲーム機などを弄らせないためか?

 いや、だったらもっとわかりやすくカメラを置くはずだ。

 軽く見た感じ、カメラに気づいた学生はいない。

 これでは抑止力たり得ない。

 そもそも抑止力として機能させるつもりがないのか?

 だとすると学校側の目的はーー、

 

「清隆くんも気付きましたか?」

 

「ということは有栖も?」

 

「ええ。それが何に繋がっているかまではわかりませんが、ただの内申点、なんてくだらないものではないでしょう」

 

「だろうな」

 

 それにしても早くも楽しそうに笑うじゃないか。

 オレに勝負を挑む時と似たような笑みだ。

 エッチしてる時やいじめられてる時の表情も可愛いが、生き生きしてる有栖も魅力的だ。

 

「どうしました清隆くん。私の顔に何かついていますか?」

 

「ああ。有栖の可愛い顔がね」

 

「もうっ」

 

 頬を染め、視線を泳がせる。

 

「朝から見せつけてくれるねぇ〜ご両人」

 

 オレと有栖がイチャついていたら突然誰かが割って入ってきた。

 金髪を後ろで結んだ、いかにもチャラそうな男。

 そいつはオレの前の席に座った。

 こいつは……門からオレたちの後をピタリとついてきていた奴だ。

 

「おっと、邪魔してすまねぇ。が、あんたたちのことは門前から見ていてな。とても興味深かったから声を掛けさせてもらったんだ。

 俺は橋本正義。これからよろしくな」

 

「オレは綾小路清隆。こっちは幼馴染で恋人の坂柳有栖だ」

 

「よろしくお願いします」

 

「こんな可愛い子が彼女とか羨ましい限りだぜ。それじゃあクラス表の前でキスしてたもう1人の女の子とはどういう関係なんだ?」

 

 初対面なのにいきなり踏み込んだ問いだ。

 見た目通り軽い性格なのだろう。

 それか雪ちゃんに一目惚れして、彼女持ちなのに他の女に手を出すオレから救い出そうと勘違いした男か。

 どちらにせよこういう男は隙を見せると調子づいて踏み込んで来るだろう。

 元より隠す必要もない。正直に答えてしまおう。

 

「あの子もオレの彼女だ」

 

「お、おう……即答とはな。でも彼女さんの方は気にするんじゃないか?」

 

「いいえ。清隆くんは何人愛人を作っても、それ以上に私を愛してくれるので不満はありませんよ」

 

「わお、彼女公認の二股かよ」

 

「彼女どころか親公認だぞ」

 

「マジかよ⁉︎ お前、男だぜ……」

 

 驚きながらもオレを尊敬するような目で見てくる橋本。今にもオレを弟子にしてくれとか言い出しそうだな。

 けどこいつ顔はいいから作ろうと思えばすぐに彼女できるだろう。

 ま、その浮いた性格では長続きするかは知らないが。

 しかし、橋本との会話がガッツリ教室にいる人たちに聞こえていたためかここでも多くの視線を集めてしまった。

 嫉妬、羨望、軽蔑……は、意外なことになかった。親公認というのが効いたのだろうか。

 嫌われないに越した事はないため受け入れてもらえてありがたい。

 それから話しかけてくる橋本を相手にしつつ有栖とも会話を楽しんでいるとチャイムがなった。

 ほぼ同時にスーツ姿のガタイの良い男性教員が入ってきた。

 

「新入生諸君。私はAクラスを担当することになった真嶋智也だ。この学校にはクラス替えは存在しない。故に3年間、私が担任となる。よろしく。1時間後に入学式があるが、それまでにこの学校に関する説明をさせてもらう」

 

 そう切り出した担任の真嶋は入学前にもらった物と同じパンフレットを配った。

 さらに一緒に学校から支給される携帯端末も届いく。

 

「今配った端末は学生証の代わりになる他に、敷地内にあるあらゆる施設、買い物等で必要になるポイントが入っているため肌身離さず持っておくように。

 そしてそのポイントこそがこの学校の最もな特徴でもある。パンフレットにも載っていたがSシステムという。毎月の初め、1日にポイントが振り込まれ、そのポイントが個人の資産となる。

 このポイントで学校内で買えないものはない。学校の敷地内にある物ならなんでも購入可能だ。

 試しに端末を開いて確認してみてほしい。君たちにはすでに10万ポイントが振り込まれてある。1ポイント1円の価値がある。その意味はわかるな」

 

 一瞬、教室の中がざわめく。

 無理もない。いきなり10万円という大金が渡されたんだ。

 高校生のお小遣いにしては破格すぎる。

 

「10万円という金額にみんな驚いたと思う。が、この学校は実力で生徒を測る。つまりこのポイントは学校側が入学した君たちを評価した結果だ。好きに使って欲しい。ただ、このポイントは卒業後学校側が回収するため現金に変えたりすることはできないと覚えておいてほしい。

 あと、学校はいじめに敏感だ。カツアゲなんてしても一発で退学、なんてこともあり得るから十分注意するように」

 

 真嶋は一通りの説明を終えると、

 

「何か質問はあるか?」

 

 そう言いクラスを一望した。

 オレは待ってみるが誰も手をあげない。未だ10万という大金に衝撃が抜けきっていないのだろう。

 それにさらっと説明された程度ではすぐに質問なんて思いつく人もいない。

 髪のないガタイの良い男が顎に手をあて考えているくらいだ。

 オレは有栖に視線を送ると、彼女は楽しそうに頷いた。

 スッと手を上げる。

 

「お前は……綾小路か」

 

「はい。いくつか聞きたいことがありますがこの場では1つだけ。来月は何ポイント貰えるんですか?」

 

 オレがそう聞くと真嶋は僅かに目を細めた。

 注意深く見ていないと気づかない微々たる変化。

 オレや有栖がそれを見逃すはずなく、それだけで必要な情報を得ることができた。

 ので、

 

「……今はまだ答えられない。これは全クラス共通だ。時がくれば必ず全生徒が知ることになる」

 

 真嶋の回答がどんなものでも意味はない。

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

「……他にはいないようだな。入学式の時間に遅れず体育館に来るように」

 

 教卓の資料を片付ける真嶋を確認しながら席を立つ。

 

「あら、まだ先生に聞きたいことが?」

 

「ああ。雪に関係することだ」

 

 それだけ言って、教室を出た真嶋を追う。

 

「真嶋先生」

 

「……どうした?」

 

「最後に1つだけ質問させてください」

 

「……なるほど。いくつか質問があると言っていたが教室で1つしか質問しなかったのは教室ではしづらい質問ということか。だからあの時、『この場では1つだけ』と言ったのか」

 

「はい」

 

 頷いて肯定すると、真嶋が言ってみろと促してくる。

 

「では……他クラスの生徒をAクラスに移動させるにはどれくらいのポイントが必要ですか?」

 

「ッ⁉︎」

 

 予想外の質問だっただろう。

 今度は隠せないほどに動揺をあらわにしていた。

 

「……他クラスから移動させたいのは椿雪のことか」

 

 どうやらオレたちの関係は教師陣にも知られているらしい。

 誤魔化す必要もないため頷く。

 すると真嶋は考え込むように目を瞑った。

 そして目を開けたかと思うと嬉しそうに笑みを浮かべていた。

 

「すまないがそれもまだ詳細を明かすことはできない。言えることがあるとすれば……この学校ではポイントでなんでも購入が可能、ということだけだ」

 

「わかりました。2度も手間をかけさせてすみません」

 

「謝る必要はない。生徒の疑問に答えるのも教師の務めだ。今回に限っては学校の方針状、言えないことだったためこのような回答で心苦しいが」

 

「いえ、真嶋先生も薄々感じていると思いますが、ある程度のことは把握できたので。それこそ先生が気にする必要はありません」

 

「……恐ろしい新入生が入ったものだ」

 

 オレにもう用がないと悟った真嶋は今度こそ去っていった。

 

「お帰りなさい清隆くん。先生への要件は済みましたか?」

 

「ああ。朗報だ」

 

「ふふふ、それは楽しみです。それにしても清隆くんはどう思いますか?」

 

「決定づけるには早急かもしれないが、あれだけ情報があれば十分だ。あとは個人かクラス単位か……」

 

「ふふ。私も同じ結論に至りました。これは来月が楽しみですね」

 

「退屈しないですみそうか?」

 

「はい。清隆くんはどうですか?」

 

「オレはどうとも思わない。ただ、楽しそうな有栖を見れるなら苦労は買って出るかな」

 

 オレがそういうと、有栖は今日1番の笑顔を咲かせた。

 

「おいおい2人で通じ合ってないで俺にも教えてくれよ。あの説明だけで何がわかったんだ? それにさっきの質問もどういう意味だよ」

 

「……橋本くんは話しかけるタイミングを考えた方がいいかもしれませんね」

 

「お、おう……」

 

 遠回しに今話しかけんな、と言う有栖に橋本の顔が引き攣る。

 そうだよな。満面の笑みから一瞬で敵意剥き出しの表情を向けられちゃあびびっちゃうよな。

 有栖って小柄だけど小さい頃から政界の中で生きていたから迫力があるんだよ。見た目に騙されて侮った奴は全員有栖の凄みにビビって近寄らないようになる。

 これも有栖なりの振い落としみたいなものだから避けるようならそれまでさ。

 さて、このクラスに有栖のお眼鏡に叶う生徒は何人いるだろうか。

 静かにクラスの様子を伺っている有栖を見てそう思った。

 

「みんな少し良いだろうか? 3年間同じクラスになるんだ。入学式までの残った時間で自己紹介でもどうだろうか?」

 

 スッと立ち上がって言ったのはスキンヘッドの大柄な男。さっき質問はないかと聞かれた時に考え込んでいた男だ。

 初対面だというのに臆さず言った精神力は見事なものだ。

 そんな彼に賛同する生徒も多く、支持を受けた彼は言い出しっぺとして自分の自己紹介から始めた。

 

「俺の名前は葛城康平だ。小中と生徒会で活動していた。この学校でも生徒会を目指すつもりだ。よろしく頼む」

 

 パチパチと拍手が鳴る。

 1人がクリアしてしまえば後の人のハードルは一気に下がる。

 どこか緊張していた他の生徒たちも表情を柔らかくして葛城に続くように自己紹介を始めていった。

 オレは耳だけ傾けて有栖に問いかける。

 

「どうする? 時間は余ってるし抜け出しても大丈夫だと思うが」

 

「残りましょう。今出て行っても反感を買うだけです。それにクラスメイトのことは知っておいて損はないでしょう。今後のためにも」

 

「わかった」

 

 ということで大人しく自己紹介に耳を傾けておく。

 

「鬼頭隼人だ。よろしく頼む」

 

 葛城にも負けないでかい男に、

 

「神室真澄。よろしく」 

 

 よろしくするつもりなんてかけらも感じないぶっきらぼうな女。

 チャラい橋本……。

 前席の橋本の紹介が終わりオレの番がやってきた。

 立ち上がると、門を潜ってから感じていた好奇心と嫉妬の視線が集中する。

 

「綾小路清隆だ。大抵のことはできると自負している。基本的に幼馴染で恋人の有栖のフォローにつくためこちらから積極的に絡みに行くことは少ないかもしれないが仲良くしてくれると嬉しい。これからよろしく頼む」

 

 パチパチと拍手をもらい席につく。

 『恋人』という部分に女子たちから温かい視線が送られる。

 オレから少し飛んで最後に有栖の番がやってくる。

 彼女は杖を支えに立ち上がると自己紹介を始めた。

 

「坂柳有栖と言います。見た通り杖がないと歩くことすらままならないこの身、皆様にご迷惑をおかけすることになるかもしれません。

 幸い、私のことは幼馴染であり『婚約者』である綾小路清隆くんが支えてくださいますので不自由なく生活できています。どうか気を使わずに接してくれると嬉しいです。

 清隆くん共々よろしくお願いします」

 

 軽くお辞儀をして席に座る有栖。

 婚約者の部分を強調して、オレはすでに私のものと宣言するかのようだ。

 実際そうなのだろう。オレの視線に気づいた有栖はニヤリと、しかし上品に微笑む。

 

「増やして良いとは言いましたが簡単に許すほど寛容ではありませんよ? 私と雪さんは」

 

 何を増やしていいのか、言外せずともわかる。

 今の発言も振るいにかけただけだろうことも。

 

「心配しなくても誰彼構わず手を出すつもりはないさ。オレもオレなりに将来を見据えて動いているからな」

 

「そうでしたね。もし増やしたいなら必ず私たちにも合わせてくださいね?」

 

「わかった」

 

 有栖パパにも言われたからな。有栖が気に入らなければ許さないと。

 

「楽しくお喋りしてるところ悪いが、もうすぐ入学式の時間だぜ」

 

「もうそんな時間ですか。やっぱり清隆くんと一緒に過ごす時間は瞬きのように過ぎ去ってしまいますね」

 

「でもどれも記憶に残る大切な時間ばかりだ」

 

「うふふ。私も清隆くんとの時間は全てどんな宝石よりも美しく輝いた大切なものです」

 

「…………あの、息をするようにイチャつくのやめてくれませんかね」

 

 




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