IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~ 作:シシカバブP
代表決定戦をササッと進めるはずじゃなかったかって?
♪~ ( ̄ε ̄;)
――ドドドドッ!
――ドゴンッ!
「やっべ! 重力爆撃やっべ!」
「ちょっと怜二くぅん! 逃げ回りながらアサルトライフルでペチペチ攻撃してくるのズルくない!?」
「馬鹿野郎! ベースがラファールの清香と違って、こっちはこれしか遠距離武器ねぇんだぞ!」
代表決定戦への強制参加が決まった翌日、同じく強制参加の清香と模擬戦をしているんだが、やはりというか泥仕合の様相を呈していた。
お互い、自分の専用機を使いこなせていないのが丸わかりなんだよな。そもそもセシリア達候補生と違って、俺達の場合ガチの素人に専用機を渡しただけなわけで。
「怜二ー、もっと清香の動きを先読みして撃ってー」
「清香さん、それでは狙いが丸わかりですわよー」
「えぇい! それが出来たら俺だって代表候補生だっての!」
「そうだそうだー!」
おまけに外野のシャルとセシリアから、指導という名の無茶振りまで飛んでくる始末。だがこいつらはまだマシな方だ。マシじゃない方?
「何やってんのよ! そこはっもっと手前でバッ!とやりなさいよ!」
「何その"バッ!"って! しかも手前ってどこ!?」
「だから手前よ手前!」
「だからどこー!?」
完全感覚派の鈴に至っては、アドバイスがアドバイスの体を成していない。清香とのやり取りが新喜劇状態だ。
本当に面倒なことになった。でも手は抜けないんだよなぁ……
何故手を抜けないかって? 理由としては2つ――もっと言えば、第2回・代表決定戦の開催を宣言した千冬さんが言ったことが原因だ。
『今年は参加者が4人のため、総当たり戦を行う。そして勝率の高い者の意見によって、今年の1組代表を決める』
『勝率トップの奴が代表になるわけでは無くて?』
『そうだ。代表になりたくないからといって手を抜く馬鹿が出て来ないとも分からんからな』
ああはい、こっちを見んといてください。正直ちょっとは考えましたけど。
『もし無気力試合などしようものなら、試合後徹底的に扱き倒すので覚悟しておくように』
『うわぁ……』
片方の口角を上げてニヤァと笑う千冬さんに、一夏と箒の顔面は蒼白だ。きっと昔、扱き倒されたことがあるんだろう。
そうして授業途中だったこともあり、終了のチャイムが鳴って教室を出ていく途中、わざわざ俺の横を通り過ぎた千冬さんが
『さっきの話だが、もしお前が無気力試合をしたら『足腰立たなくなるまで扱き倒す(意味深)』からな❤』
『ヒュッ』
千冬さんのような美人に言われたのに玉ヒュンしたのは、間違いなくマイサンの生命に関わると本能で察したからだろう。
というわけで、俺も清香もクラス代表にならないため、そして千冬さんの扱き(意味深)を回避するため、ガチで模擬戦に勤しむのだった。
――――――
―――
――蘭side――
入学初日の地獄から数日。私のIS学園生活は少しずつ平穏を取り戻しつつあった。
勉強の方は、先行入学の時からシャルロットさんを中心に教えてもらっていたのもあって全く問題なし。その分を交友関係の修復(どうして始まる前から修復しなきゃいけないんだろう……)に費やした。
おかげでユッキーらの誤解も解け、女学院時代のような――
「SHRを始める前に……ラン、貴女の専用機が今朝方届いたわ」
「……へ?」
「もう一回言う? 専用機が届いたから放課後、私と一緒に整備室に行くわよ」
「「「「ええええぇぇぇぇっ!?」」」」
ナターシャさんの発言に、私を含め全員が瞠目した。
「専用機!? 冗談とかじゃなかったんだ!」
「しかも篠ノ之博士が宣言してから10日と経ってないのに!」
「これって博士の気まぐれとかじゃなくて、元々五反田さんに渡す気だったんじゃ……!」
「やっぱり篠ノ之博士と蘭さんには何か繋がりが!?」
やめてぇぇぇぇ! せっかく平穏な日常が戻ってきたのに、また皆が私のこと
束さん的には『れっきゅんハーレムの一員だし、持ってて当然だよね♪』って考えなのかもしれないけど、それは前・1年1組が特殊だっただけですからね!? 今の1組みたいに代表候補生が1人もいない状態でこれは針のむしろですからぁ!
「ラン、大丈夫?」
「これが大丈夫に見えますか……?」
……放課後になって整備室に着いた頃には、ワタシノココロハボドボドダァ……
「癒しが欲しい……具体的には怜二さんの太くてかt
――ブニュッ!
「ラ~ン、それ以上はダメよ。今までR18タグのチキンレースを頑張って突破して来たのに、ここでリタイアは勿体ないわ」
「ふぁ、ふぁい……」
私の
と、気を取り直して整備室の奥に入っていくと
「ん、二人とも待ってた」
「ハ~イ、カンザシ」
「えっ? 簪さん?」
そこには、先月私と一緒にISスーツを着て怜二さんを誘惑していた先輩、簪さんがいた。どういうこと?
「私が博士の名代。本当は光学迷彩を着けて作業しても良かったらしいけど、念のため」
「ああ……」
簪さんの説明で、すぐに納得がいった。確かに束さんがIS学園の内部にいたら問題があり過ぎる。実際は見つからない方法もいっぱいあるんだろうけど、簪さんが言うように"念のため"なんだろう。
私が納得していると、簪さんが端末を操作してコンテナがこっちに向かって移動してくる。そして私達の目の前で止まると、正面がガコンッという音とともに観音開きに動いて――
「これが蘭の専用機」
「これが……」
コンテナ下部がスライドし現れたのは、メタリックブラックを基調としてフレーム部が蒼く塗られた機体。シルエットとしてはラファールなんだけど、両肩が大きく膨らんでいるのが特徴だろうか。
私が声も出せない中、ナターシャさんもしげしげと機体を眺めていた。
「これはまた……今までのどの国のISとも一致しない見た目ね」
「なんでも、博士が吾妻君とビデオゲームをしてる時に思い付いた機体だとか」
「へぇ、ビデオゲームねぇ……」
ええ~……私の機体、ゲーム由来なの? 文句とかじゃないけど、もっとこう、それなりの製作ストーリーみたいのとかあって欲しいじゃん。それがゲームやってて思い付いたって……
「とりあえず、最適化しちゃおう」
「そ、そうですね。簪さんがやってくれるんですか?」
「もちろん。それじゃあ機体に乗って」
とうとう私の専用機にするべく作業が開始された……んだけど、最適化って意外とやることないんだね。
私が機体に乗り込むと、簪さんがあれこれ操作してそれで終了。あとはエラーでも発生しない限り全自動なんだとか。ちなみに搭乗者は本当に、30分近く乗ってるだけ。
「う~ん、待ってるまで暇ねぇ。ねぇカンザシ、ランの専用機のスペックってどうなってるの?」
「あ、それは私も聞きたいです」
「うん、分かった」
ナターシャさんに便乗して催促すると、簪さんは空中投影ディスプレイを展開して情報を表示……
「まず武装がレーザーライフルとHEATマシンガン」
「カンザシ、ちょっと待って。ウェイト」
「あと、両肩にマイクロミサイルを搭載している」
「簪さん、ストップストップ」
けれども眼鏡先輩は止まらない。
「ちなみにマイクロミサイルは打鉄弐式と同じ、マルチロックオン・システムを採用している」
「ぶ、武装的に第3世代、なんですかね……?」
「そうみたい、ね……」
「そして機体名は『R.I.P.』」
「「えぇ~……」」
ナターシャさんも私と同じでドン引きしてるじゃないですかヤダー
そこで突然、簪さんが視線を端末から私に向けた。
「神様は人間を救いたいと思ってた。だから、手を差し伸べた。でもそのたびに、人間の中から邪魔者が現れた」
「えっ?」
「神様は困惑した。人間は救われることを、望んでいないのかって」
「あの~、簪さん?」
「でも神様は人間を救ってあげたかった。だから先に邪魔者を見つけ出して、56すことにした」
「カ、カンザシ~?」
「それは『黒い鳥』と呼ばれていた。何もかもを黒く焼き尽くす、死を告げる鳥」
困惑する私達を後目に、簪さんが機体装甲の上から私の肩をポンと叩く。
「いい蘭? これが、この機体が、貴女の魂の場所よ」
「何言ってるか分からないです」
どうしちゃったんだろうこの人は。どうしてそんな慈愛に満ちた顔で、トンチキなこと言い出すんだろう。さっきまで普通だったのに……
「カンザシ……タバネの手伝いをしたばっかりに……」
「ああ、そういう……」
納得した。きっと簪さんは、束さんのジェバンニ級な作業を手伝ってる間に、頭がおかしくなっちゃったんだ。よく見たら、眼鏡の奥に化粧でも隠し切れないぐらい目の下に隈が。
私とナターシャさんが機体性能とは全く関係ないところで恐れ慄く中、最適化が完了したことを教えるアラーム音だけが整備室に響き渡った――
――蘭side end――
「ね~ね~束さ~ん、いい加減私と怜二君の専用機に付ける装備くださいよ~」
「お~うきよぴー、あんまり揺らすのはやめてよ~」
模擬戦で泥仕合をした夜、清香が新装備をねだってベッドに腰かける束をゆっさゆっさ揺すっていた。お腹に負担を掛けない程度に。
「新装備ね~……ちなみにれっきゅんはどう? 新装備とか欲しい?」
「怜二君、欲しいって言って!」
「おいおい……まあ正直、遠距離武装がアサルトライフルオンリーはきつい気がしたな。今日の模擬戦で特に」
「ほらー!」
「ありゃ、そうなんだ」
清香が勝ち誇った顔してるが、微妙にムカつくから
「いだだだだっ! ギブギブ! 代表決定戦前に頭部破壊されて失格になっちゃうからぁ!」
「まったく……で、だ。ぶっちゃけ用意できそうか?」
「う~ん、出来るか出来ないかで言えば、出来るんだけど……」
「何か懸念でもあるのか?」
珍しく煮え切らない態度を示す束。そんな束の隣に座って、お腹に手を当てる。
「れっきゅん、まだお腹を蹴ったりしないからね~」
「そうなのか?」
「そうだよ。あと2,3か月ぐらいは先……って、話が逸れたね」
「<●><●>」
「ちーちゃん怖い怖い」
通りがかりの担任から強烈な視線が送られながら、束の懸念とやらを聞き出した。
「ここでれっきゅんやきよぴーを強化しまくって、いっくんや箒ちゃんが惨敗したらやだな~って」
「ああ、なるほど」
「あ~……『織斑君×篠ノ之さん』を推進する束さんとしては、あまり織斑君に悪いイメージを付けたくないと」
「そうなんだよね~。けどいっくんが勝ったら勝ったで、せっかく色々アピール出来るクラス代表の座から降りちゃいそうだし」
そう言われると、俺も清香も考え込んじまうな。あの二人を活躍させて、尚且つ一夏の代表継続ってのがベストなんだが、なかなか難しいな。
清香と連携して八百長……あっ、無理。千冬さんがこっち(正確には俺のマイサン)を見てる。これ八百長なんかやったら搾り取られるやつだ。(確信)
「ん~……まあ何とかやってみるよ」
「オナシャス!」
「おい女子校生。束も、無理しなくていいからな?」
「だいじょぶだいじょぶ、らんちゃんの専用機作るよりはよゆーだから」
そりゃまあ、専用機1機作るよりは楽だろうが……いいか、束だし(思考放棄)
<今日の一夏>
「なあ箒……」
「なんだ?」
「俺達、来週の代表決定戦に向けて特訓してるんだよな?」
「当たり前だろう。何を言っているんだ」
「ならどうして俺は……俺は、去年と同じように素振りをさせられてるんだよ!?」
「何を言っている、重要な試合の前だからこそ、素振りのような基礎を改めて固めることが大切なんだろうが」
「そ、そういうもの……なのか?」
「ほらいくぞ! いちっ! にぃ!」
(いややっぱりおかしいって! どうして素振りするのに、箒が俺の背後にピッタリくっ付く必要があるんだよ!)
「200回達する前に振れなくなったら……こうだぞ❤」
(なぁ!? ど、胴着の隙間から手を入れるなんて、何考えて――! 「はぅ!❤」
つ、次こそは代表決定戦をやりますから……