砂、砂、砂、とにかく砂。どこまで歩いても砂で、ブライトはうんざりしていた。幸い水は際限無く飲めるため問題はないが、異様に暑い。
途中まで電車で来たのも事実。だが、砂の上を歩行すると疲労がたまる。
「いや~、久しぶりだねぇこの景色も」
「先輩は、ここに来たことがあるの?」
「うん、前に生徒会の仕事で何度かね~」
「へぇ、生徒会ってのも大変だねぇ」
「いや~、大したこと無いよ。寧ろ楽しかった」
口では明るく話すホシノだったが、若干の暗さが表情に出ていた。しかし、それに気づいた者は誰一人としていない。
「もう少し進めばそこにはなんと、かつてアビドス砂祭りが開かれていたオアシスが!」
「……干からびてるとかいうオチ?」
「正解~」
「砂祭り……私も聞いたことがある。アビドスには有名なお祭りで、すごい数の人が集まるって」
「……オアシスの周りで行われる砂祭り……か」
そうして歩みを進めていくと、次第に巨大なクレーターのようなものが見えてくる。これが例のオアシスかと、全員が察した。
目的地まではもう少しらしいことをアヤネが話す隙に、ブライトは持っているものと同じ水筒を装置から出し、“うっかり”蓋を開けたまま落としてしまった。遅れを取っていることに気づいたブライトは、二つ目の水筒を諦め、皆のもとへとかけ戻った。
「先生おそいわよ!」
「悪い悪い」
歩みを進める。途中、ドローンや雑兵が襲ってくるが、それらは問題なく薙ぎ倒されてゆく。
「ふむ、ドローンにオートマタか……この辺り、なんでかこういうのがよく集まるんだよね」
「……そういえば、あいつら、動力源もないのによく動けるな」
「まあ、そういうもんだよ」
一機持ち帰ろうかとブライトがぼんやりと思ったとき、アヤネの通信が入り込んでくる。
「皆さん、前方に何かあります! 砂埃でまだはっきりと見えないのですが……巨大な町……いえ工場、或いは駐屯地……?」
「とにかくでかいんだな……て、なんでこんなところに?」
「何かの見間違いじゃなくて?」
「いや……何か見えた」
ブライトは長年の経験からか、或いは偶然か、アヤネの言っているであろう建築物を視界に捉えることができた。視界に映ったのは、何かを覆う壁と、数々の兵器、そしてテント。それらには共通して何かのロゴが施されている。
やがてに到着すると、その異様さが更に極まって目立つ。
「この張り巡らされている有刺鉄線、優に数キロメートル先までありそう」
「駐屯地っぽいねぇ」
異様物を眺めていると、唐突に銃撃を受けた。どうやらその地の兵士のようで、迷彩柄の所々緑に光るオートマタがブライトと対策委員会に向け攻撃を仕掛けてきていた。
「よく分からないけど、歓迎の挨拶なら返してあげた方が良さそうだね?」
「そうだね、そんじゃ、突撃だ!」
それぞれが武器を構え、攻撃を始める。
兵士であるオートマタはかなり厄介だった。連携力が遥かに高いのだ。問題なく殲滅はできるが、少々体力と時間を奪われる。
なんとか殲滅を終えたところでアヤネが分析を終え、報告を行う。
「確認が取れました。この集団は……」
「カイザーPMC」
「PMC……民間軍人企業……」
「っ!?……はい、ホシノ先輩と先生の仰る通り、カイザーPMCです」
「カイザー……? こいつらもカイザーコーポレーションってこと!?」
「全く、どこまで事業を伸ばしているのやら……気を付けるぞ。レベルが違うからな」
その時、基地を覆うようにサイレン、そして警報の音が鳴り響いた。
「け、警報音……!?」
「……フェーズ2といったところか」
ヘリの音か空を切る。地面を戦車が鳴らす。侵入者を蹴散らすための兵力が、一点へと集中している音だった。
「こりゃ、脱出の方が良いな。着いてきて」
ブライトは目算で最適な脱出経路を探し出す。途中、何度も銃弾が当たりそうになるが、運良く躱していく。走り、走り、走り続け、ようやく敵地を抜けることができた。
そして今頃ブライトは気づいた。奴らの素材が金属であることを。
「……まあいい、覚えておこう」
そんな時、また兵士が迫ってきた。しかも、今度は周りを包囲ときた。
「……絶対絶命?」
「包囲されちゃったか~……」
「……『金属生命体』」
現代彫刻的なものをブライトが手にしたとき、一台の黒いリムジンが止まり、何かが降りてきた。それは大柄で、厚いスーツを来た、いかにも横暴そうなオートマタ。ブライトはその現代彫刻を地面へと落とした。勿論、指令を伝えて。
「侵入者とは聞いていたが……アビドスだったとは」
「……差し詰め、社長、もしくは理事といったところか?」
「ふむ、勘のいいやつもいたものだ。まあ良い。勝手に人の私有地に入り、暴れたことによるこれらの被害額。君たちの学校の借金に加えても良いのだが、まあ大して額は変わらないな……」
「それはそれは、申し訳ないねぇ。で、さっきからあんたホシノを見ているようだが、どうするつもりかい?」
「いや何、ただ良いアイディアが思い浮かんだだけさ」
ブライトの時間稼ぎは成功しつつある。
ブライト、何をしようと……?
Proxtown作
SCP-109 - 無限水筒
2008
http://scp-jp.wikidot.com/scp-109
CC BY-SA 3.0
Kwana作
SCP-210-JP - 金属生命体
2013
http://scp-jp.wikidot.com/scp-210-jp
CC BY-SA 3.0
会話について
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もう少しブライトの台詞を増やして欲しい
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