ブライト博士と学園都市   作:架空柿

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 のーこめ


シリアスあるいはギャグ

 セリカを救いだし、アビドス生徒とブライトは教室でセリカの介護や心配をしていた。それらに対してセリカは表面上元気を取り繕っていたが、時々倒れたりして全く大丈夫でない。倒れたセリカはシロコによって保健室へと連れていかれる。

「Flak42の対空砲を食らったもん、歩ける方がおかしいって」

「あれ結構痛いしねぇ」

 ブライトのあっけらかんとした一言にその場にいた皆は驚く。キヴォトスに住まう人間ならともかく、外から来た普通の大人であれば対空砲を食らえば木っ端微塵となることを知っているからだ。ブライトは周囲の思考を察し、口を開く。

「あぁ、説明してなかったね。私はね、この首飾りを誰かに与えると、その与えられた人の精神を乗っ取ることができるんだ。まあここの人達にはできないけど。でもこれの所為で私は死なない」

「…………へ~、凄いね。それ」

 ホシノはブライトがぶら下げているルビーの首飾りをじっと、羨ましそうな目で見つめる。何処かに悲しみを混ぜているようだった。

「……そ、そういえば皆さんこれを見てください。戦闘中に回収した、散らばった戦車の部品を確認したところ、キヴォトスでは使用が禁止されている違法機種と判明しました」

「……ここに違法とかいう概念あったんだ」

「そりゃ~ねえ」

「もう少し調べる必要はありますが……ヘルメット団は、自分たちでは入手できない武器まで保有しているようです」

 ブライトはアヤネが置いた戦車破片を何となく眺めている。破片さえあればトンカチを使って元通りにすることができるが、先程の違法機種を乗せるわけにはいけないと思い止める。

 その後は流通経路などの調査の決定を行ったのみでその場は解散となった。

 

 夜、ブライトはセリカのいる保健室を訪れた。流石に対空砲を食らった人のことを心配しないほど落ちぶれてなどいない…………と思う。

「よお、回復しそうかい?」

「あ、れ……? 先生!? ど、どうしたの?」

「ただの見舞いさ」

「……ああ、私なら大丈夫。いつまでもこうしちゃいられないし。アヤネちゃんや他の皆も心配してるし……バイトにも行かなきゃだし」

「……よく行こうと思えるね。」

 ブライトはセリカの話を聞きながらその体を観察していた。数時間前まで銃撃戦を行い、その上対空砲さえも食らったとは思えない程傷が無く、ブライトは軽い恐怖を覚えた。

「元気だし。だからお見舞いとか良いから!」

「まあ……それなら良いんだけど」

 ブライトは立ち上がり保健室を後にしようとすると、セリカが大きな声を出してブライトを止める。

「そういえば、先生にちゃんとお礼を言ってなかったなぁって、思って……あ、ありがとう……色々と……」

「はは、ちゃんと言えるじゃん」

「でもっ! この程度でアビドスの役に立てたなんて思わないでよね!」

「はいはい! じゃ、また明日!」

 ブライトは大いに笑いながら保健室を後にした。

 

 翌日も例の如くブライトは対策委員会の部屋に居た。今日は定例会議があるようで、何時もより早めの登校だった。

「本日は先生にもお越しいただいたので、何時もよりも真面目な議論ができると思うのですが……」

 ブライトは真面目な議論が嫌いである。財団での会議も、何時も何かしらのイタズラを仕掛けていた。ただ、今回は流石に自重をしている。

 議題は学校の負債返済方法について。アヤネが意見を挙手制で募るとセリカが一番最初に名乗り出た。

「はい、1年の黒見さん。お願いします」

「……あのさ、まず名字で呼ぶの、やめない? ぎこちないんだけど」

「せ、セリカちゃん……でも、折角の会議だし……」

「セリカに賛成! 学校の会議だしフラットにいこう!」

「ほら、先生も言ってることだし」

 アヤネは先生や先輩達からの猛烈な賛成意見に押され、小さく頷いた。

「……それは良いとしてとにかく! 会計担当もしては、現在我が校の財政状況は破産の寸前としか言いようがないわっ!」

「廃校目前! まさに絶体絶命!」

「毎月の返済額は、利息だけで788万円! 私たちも頑張って稼いではいるけど、正直利息の返済も追いつかない」

 セリカの言葉を聞き、少し悪ノリしていたブライトは衝撃を受けた。何せブライトでも聞いたことのない利息額。そりゃ驚くに決まっていた

「このままじゃ埒があかない! でっかく一発狙わないと!」

「でっかく……って、例えば?」

 アヤネの言葉を待ってたと言わんばかりに、セリカは鞄の中からチラシを取り出した。ブライトが一目見てみると、それは怪しさ満点なものであった。

「これこれ! 街で配ってたチラシ!」

「これは……!?」

「……『ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金』…………はぁ……」

「これでガッポガッポ稼ごうよ!」

 セリカ以外の者は皆頭に手を当て、少しの間セリカの心配をした。見るからに怪しいチラシを真に受け、それを善意で他者に勧めるという中々なことを行ったからだ。

「この間、街で声をかけられて、説明会に」

「すまない、言いづらいんだが……却下。マルチ商法じゃないか」

「え!?」

 セリカは慌てて鞄の中に手を突っ込むと、チラシに描かれていたブレスレットを二つも取り出した。

「二つも買っちゃったんだけど!」

「セリカちゃん、騙されちゃいましたね。可愛いです☆」

 セリカはブレスレットを見つめ、怒りのこもった表情を表にする。そんなセリカの肩を、ブライトは優しく叩いた。

「まったく、セリカちゃんは世間知らずだね~。気を付けないと、悪い大人に騙されて、人生取り返しのつかないことになっちゃうかもよー?」

「あぁ。特に騙されやすそうなあんたはな」

 二人の言葉に、セリカは目に涙を溜めながら静に聞いていた。借金返済のためのお金を切り崩してまで買ってしまったブレスレットを手にしながら。

「えっと……それでは、セリカちゃんからの意見はこの辺で……他に意見のある方……」

「じゃ、私いかせてもらおうか」

「ええと……はい、顧問のブライト先生、期待してます」

 ブライトは立ち上がり、B4程の画用紙を皆に見えるように見せた。

「私は知っての通り死なないのだが、これを利用して臓器売買なんかを」

「却下! そもそも死なないなんて初耳なんだけど!」

 先程まで涙目だったセリカが一番に反対した。流石に臓器売買は倫理的にもまずかったのか、外野メンバーも同様に反対をした。ブライトは少々不満気な顔をしてその場に座った。

「ええと、では他の方は」

「はい! はい!」

「はい、三年のホシノ委員長、ちょっと嫌な予感がしますが……」

「うむうむ、えっへん!」

 ホシノは小柄な体をピンと正し、委員長らしく少し偉そうな態度を示しながら立ち上がる。

「我が校の一番の問題点は、全校生徒がここにいる数人だけってことなんだよね~」

「……拉致とか言わないよな?」

「お、流石先生! よく分かってるねぇ! 生徒数を増やせれば議員も選出できるし、連邦生徒会での発言権も与えられるしね!」

 軽い冗談を言ったつもりだったブライトは予想外の正解に軽い衝撃を受けた。ホシノという人はこうも簡単に拉致を提案する女の子なのかと。

「ちょ、ちょっと待ってください! そんな方法ありなんですか!? それに、他校の風紀委員が黙ってませんよ……」

「うへ〜やっぱりそうだよね〜?」

「やっぱり、ねぇ」

 あまりにも無茶な提案を半半分マジで言ったホシノにアヤネは指を額に当て、小さな溜息を一つ吐いた。そこに一つの、シロコの腕が挙がり提案の許可を求めた。

「……はい、二年の砂狼シロコさん……」

「銀行を襲うの」

「「はいっ!?」」

 アヤネとブライトの驚声が同時にあがる。同時に声をあげた二人だが、その理由はそれぞれ異なっていた。片方は単純な驚き、もう片方は驚きと興味である。

「確実かつ簡単な方法。ターゲットも選定済み。市街地にある第一中央銀行。金庫の位置、警備員の動線、現金輸送車の走行ルートは事前に把握しておいたから」

「ほう、それは良いな。どれ、ここは一つ私が武器の提供でもしてやろう。過去未来に打てるリボルバーとか!」

「先生も悪ノリしないでください!」

「五分で一億は稼げる。はい、覆面も準備しておいた」

 シロコは机の下に置いて置いていた紙袋から0〜4、そしてSが額部分に記された、様々な色をした毛糸の目出し帽を取り出した。それぞれの色は対策委員会それぞれのイメージカラーとなっており、ブライトのものであろうSと書かれたものはルビーのような赤色であった。

「いつの間にこんなものまで……」

「うわー、これ、シロコちゃんの手作りー?」

 シロコとノノミ、そしてブライトは早速その目出し帽を装着した。

「付け心地最高だなこれ!」

「いやー、いいねぇ。人生一発でキメないと。ねぇ、セリカちゃん?」

「そんなわけあるか! 却下! 却下ー!」

「そっ、そうですっ! 犯罪はいけません!」

「……ちぇ、せっかく面白そうなのに」

 目出し帽を付けていた者達はその帽を取り外した。その中でも特にブライトは不服そうに外した。

「はあ……みなさん、もうちょっとまともな提案をしていだたかないと……」

「あのー! はい! 次は私が!」

「はい……二年の十六夜ノノミさん。犯罪と詐欺は抜きでご意見をお願いします……」

「はい! 犯罪でもマルチ商法でもない、とってもクリーンかつ確実な方法があります! アイドルです! スクールアイドル!」

 ノノミの提案を聞き、ブライトは本当に何処からかペンライトを取り出し、ノノミの後ろでオタ芸を披露する。

「アニメで観たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです! 私たち全員がアイドルとしてデビューすれば……」

「じゃあ私がPとなってあげよう」

「却下」

「え……」

 短く、少し鋭いホシノの一言はブライトのオタ芸を止め、思考さえも停止させた。

「あら……これも駄目なんですか?」

「なんで? ホシノ先輩なら、特定のマニアに大ウケしそうなのに」

「うへーこんなに貧相な体が好きとか言っちゃう輩なんて、人間としてダメっしょー」

「うっ……」

 目に見えない謎の攻撃を受けたブライトの口が吐血している。何にも干渉しない、本人にしか見えない吐血幻覚。そうして、ブライトは意識を手放した?

 ブライトが勝手にダメージを受けていると、ノノミは考えていた決めポーズをし、自己紹介を行なっていたが、主にセリカには不評だった。

「あのう……議論が中々進まないんですけど、そろそろ結論を……」

「それは先生に……はなんか駄目そうだねぇ。んん…………まぁ、取り敢えずルーレットで決めよ〜!」

「そんな適当な……」

「大丈夫だよー。神様が選んだものなら、間違いないって」

 ホシノは勝手に回転式のルーレットを作り始め、アヤネ以外のメンバーはノリノリでルーレット作りを見ている。アヤネの目には見るからに怒りが積もっていき、やがてその堆積は限界へと向かっていく。

「…………い……」

「い?」

「いい加減にしてください!」

 その瞬間、アヤネは机をちゃぶ台返しの要領でひっくり返す。机の上にあった物達は全て宙を舞い、ブライトの体に衝突してゆく。バインダーが頭に衝突した当たりでブライトが目覚めると、もうそこは悲惨だった。

「あぁ……コーヒーでも淹れようか?」

「結構です! まったく、いつもふざけてばっかり! 銀行強盗とかマルチ商法とかそんなことばっかり言って!」 

 その後も、アヤネの怒りが簡単に収まることはなく、説教は暫く続いた。

 

 ブライト達は柴関ラーメンに来ていた。アヤネに謝罪の意を込めたラーメンを送るために。本人は怒りを否定しているが、周囲から見れば完全に怒りを露にしていたと言えるだろう。

「……なんでもいいんだけどさ、なんでまたウチに来たの?」

 セリカの問いは答えられることはなく、アヤネのお節介が続けられた。

 そんな中、一つの扉の開く音が店内に鳴り響いた。中に入ってきたのは紫髪をした少々根暗そうな少女一人。少女は店員を呼び寄せると、ある一つのことを聞いた。

「……こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」

「一番安いのは……五百円の柴関ラーメンです! 看板メニューなんで、美味しいですよ!」

「あ、ありがとうございます!」

 少女は小さな礼を何度もセリカに送りながら店を後にした。そしてすぐ後に、その少女と共に三人の少女達が入ってきた。一人は大きな鞄を持ち、もう一人は見るだけで恐怖を駆り立て、もう一人は高そうなコートを羽織っていた。

「えへへっ、やっと見つかった六百円以下のメニュー!」

「ふふふ、ほら、何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ」

「そ、そうでしたか、流石は社長、何でもご存知ですね……」

「はあ……」

 ブライトはそんな四人、便利屋68を既に知っていた。名簿は全て彼の頭の中に入っている。

「四名様ですか? お席にご案内しますね」

「んーん、どうせ一杯しか頼まないし大丈夫」

 便利屋68という文字を初めて名簿上で見たとき、ブライトはそこそこ期待やロマンを感じていたが、金欠のようなやり方をしようとしている現場を見て少し勝手に失望する。

 68の面々はセリカの厚意により席へと案内されてゆく。そしてブライトの読みは当たり、一杯を四人で分けると聞こえてきたため盗み聞きを止め、なんとなしに厨房を眺め始めると、接客を終えたセリカが何か大将に耳打ちをし、それを聞いた大将が気合いを入れる仕草をすると、ラーメン丼のうえに山盛りのラーメンを形成していく。形成が終わるとセリカは速攻で68卓へとラーメンを持ってゆき、68全員が驚愕していた。

「……はは、大将もセリカも良い性格してるねぇ」

 ブライトは「良い性格」という言葉を、皮肉以外の場面で初めて使ったことに感激した。

 ラーメンを美味しそうに啜る68を眺めていると、視界に突然のノノミが入り込み、笑顔で接し始めた。そして視界には続々とアヤネやシロコと他のメンバーも入り込み始め、ブライトも仕方なく68の席へと歩き、前に立つ。

「どうもどうも、ここのラーメンは美味しいよね! 特にチャーシュー! スープに合うよう調整された味付けは格別!」

「ええ、分かるわ。色んな所で色んなものを食べてきたけど、このレベルのラーメンは中々お目にはかかれないもの」

 ブライト達とアルが和気藹々と雑談をする。その間、カヨコとムツキがアルの雑談相手が次の戦闘相手であることに気がつくが、「面白そう」という理由でそれは沈黙されることになった。




便利屋初登場!

登場SCP
SCP-1706-JP - 叩けば直してあげられる
kotarou611, Pagema157作
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1706-jp
2017
CC BY-SA 3.0

SCP-710-JP - タイムマシンリボルバー
yanyan1作
http://scp-jp.wikidot.com/scp-710-jp
2014
CC BY-SA 3.0

会話について

  • もう少しブライトの台詞を増やして欲しい
  • このまま
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