小説などを投稿するのは初めてで、
稚拙な文章だと思います。
おそらく、不定期の更新になります
この話では、東方の代名詞とも言われる弾幕ごっこ含め、戦闘はほとんど行わないと思います。
それでもいい!それがいい!と言う人は、ありがとうございます。よければ見てください………
文字のミスも受け付けています。
一杯目...麺屋とひとり歩き
逆上せるような蒸し暑い熱気の中、
取手を持って静かに佇む。
気がつけば過ぎているような数分程度の時間を、
ただ無心で待つ。
時間が来た。
と、同時に取っ手を持った右手を振り上げる。
湯の中から金網が取り出され、
金網の中の何かは空を踊るように網の中を動く。
右手を振り下ろす。
シャッという澄んだ音と共に水飛沫。
その後、右手を振り上げ、また振り下ろす。
水飛沫がまた飛ぶ。その繰り返し。
数回した後、金網の中身を器にのせる。
そして、素早い動きで麺の上にもやし、ネギ、焼豚、メンマをのせ、その上から透き通った醤油スープをかける。
その動きはまるで機械のような、それでいて洗練された職人のような、寸分の迷いもない動きである。
できたものを古びた岡持ちに入れ、店の外へ出る。
雲一つない快晴。陽射しは強く降り注ぎ、昨日が雨だったせいもあるだろうか、誰もが億劫になりそうなくらいに暑い夏の日。
少年は颯爽と自転車に跨り、後ろに岡持ちを固定して漕ぎ出す。
自転車はぐんぐん速度をあげ、真っ直ぐ続く道を駆け抜ける。涼しい風が少年の体に当たる。
自転車を漕ぎ初めて十数分、一つの古めかしい青屋根の家の前で自転車を止め、後ろの岡持ちを持ってドアを叩く。
「はいはいどちら様で?」と皺がれた声。
その声に、少年は答えた。
「すみません、麺彩屋です。」
ここは、日本のとある村。前に「ど」がつくほどの田舎村で、住む者など年老いた人か野生の獣か、と言ったくらいの場所である。その村にポツンと構えている料理店がある。名は「麺彩屋」。メニューは全て麺物、トッピングなどの要望を無料で行うが、水と麺物以外は頑として出さない非常に風変わりな店である。味も良く、都会に構えれば人気も出るだろうと思われるが、生憎ここはどのつく田舎村。客足など、1日1度あるかないか程度のもので、なぜ店を構え続けられているのかも謎である。
その店を一人でまかなっている――と言っても1日1回料理をするだけだが――のは、店主の麦野餅士(むぎのへいし)である。白肌で、タレ目をうすく開けており、温和的で見ると非常に和やかな雰囲気のある顔立ちの少年。髪は綺麗な小麦色をしており、背丈はだいたい170センチほどであろうか。細い肢体を地面に立たせる様は、まさに麦のようである。彼は、物心ついた時からこの店で働いており、先代の店主からは「天才」と言われるほどの腕を持った麺職人である。物心ついた時からとは言うが、彼はこの店で生まれたわけではない。実際、彼の生まれは不明である。というのも、赤子の頃に両親から捨てられたようで、身元も全く分からない。先代店主曰く「そのへんに落ちてた」のを店で拾われたそうなのである。まあ、先代はいつも豪快に笑っていて、何を考えているのかわからない人であったから、真実なのかどうかはわからないのだが………。
「ただいま帰りました。」
店に戻った餅士は、ドアを開けながらそう言った。店に餅士の声が響くが、返事はない。
「そりゃそうですよね。」
この店には自分しかいないのだから。元々、先代店主と餅士だけでまかなってきた店だ。先代亡き今、この店には餅士しかいないのである。
「しかし、流石に暑いですねぇ……」
麺を茹でている時の熱で耐性がある麦野ですら、やはりこの炎天下は堪える。店でいつも通りのんびりしようと思っていたが、それだとかえって蒸し焼きになりそうである。
「散歩でもしますか。」
散歩、というが要は自転車に乗って適当に動き回るものなので、サイクリングというのが適当だろう。思うが吉。餅士は外の看板を準備中に変え、いつも通りラーメンをこしらえ、岡持ちに入れ、自転車に跨った。
「……あ、また間違えてラーメン作ってしまいました………。」
自転車に乗るときはラーメンを作る。身体が動きを覚えてしまったのだろう。癖とは怖いものである。
「はぁ、やっぱり風が気持ちいいです。」
餅士はのんびりとした声で言う。自然の溢れる場所での風は気持ちいいものである。
餅士は近くの山中を散歩(サイクリング)していた。彼が散歩をする場所はいつもこの山の中である。餅士は森の中が好きだ。森林の木々の間から溢れる陽射しが心地良く、空気も美味しい。森の中を散歩していると、混じり気のない心地良さ、新鮮さ、そして感動がある。
――春は沢山の花が咲き、
夏はうっそうと茂る木々が、
秋には色様々な紅葉が山を彩り、
冬は春を待つように、全てが静寂に包まれる――
と、季節によって自然が色彩や雰囲気を変え、絶え間ない流動とその荘厳さを感じさせてくれる。都会の人は、この自然の心地良さを自ら捨てているのかと思うと、餅士はとても残念に感じた。
「……あれ?」
ふと自転車を止める。
そこにはいつも通っているルートの脇に、ほとんど舗装されていないような、細い道があった。
「こんな道ありましたっけ……」
ここは何度も通ったことのあるルートなのに、その細い脇道には全く見覚えがない。
今までずっと見逃していたのだろうか。
「この道行ってみましょうか……」
自転車できているのもあるので、行くのを諦めていつもどおりの道を行った方がいいのかもしれない。しかし餅士は、どうしたことかこの道を通ってみたいという好奇心に駆られていた。自転車は少し邪魔だが押せば問題ないだろう。そう思って、餅士は馴染みの自転車を押しながら、その未知なる道へと足を踏み込んだ。
道の奥は、より一層緑が増し、木漏れ日もほとんどないため暗く、お世辞でも自転車で来れるところではなかった。
「……うーん、困りました……。」
道とはいっても木が生えていないところが不自然につながっているだけで、枯れ木や石、などはいくつも落ちているし、窪みや段差もおおい。自転車を押しながらでは度々つっかかったりして進みづらい。
「でもまあいいですかね。」
それでも、進んでみたい。この道はそういう気分にさせる。餅士はガタガタ揺れる自転車を抑えながら、道を進んでいく。すると、奥に光が見える。ようやく開けた場所に出るようだ。餅士は奥へと導かれるように進む。その光の方には何があるのだろう。
見てみたい。はやる気持ちを抑え餅士は道を進む。そして、小さな森の道をでて光の先へ。
「………すごいです……。」
そこは広い野原だった。近くにこんなひらけた場所があったなんて餅士は知らなかった。自転車を押して進む。少し丘のようになっていて傾斜があるがこの程度苦ではない。上へ行ってみると、この野原がかなり広いことが分かる。そして、その先でひとりの少女が倒れているのも餅士には見えた。
「だ、大丈夫でしょうか?」
ここなら自転車に乗れるだろう。餅士は自転車に跨り、丘を一気に下りてその少女の方へ向かう。向かってる途中ずっと見ていても、
少女は一向に起き上がる様子はない。餅士は不安に駆られながら近くまで行き、その少女の下で座り込む。長髪の少女、服は土で汚れてみすぼらしい格好だったが、それより目を惹くのはその容姿である。非常に美しい。万人が美少女と銘打つだろう。餅士もその顔立ちを見て、助ける事を忘れて見入ってしまいそうになるほどに。髪は非常に珍しいことに輝くような灰色だ。所謂銀髪というものであろう。太陽の光に照らされて、より一層輝きを増し、その美貌を際立たせる。まるで異世界の住民のような、そんな印象を受けた。
「あ、あの………大丈夫ですか?」
餅士は、その少女の体を揺らす。苦しそうに目をギュッとしたあと、その少女は静かに目を開ける。燃えるような赤い瞳だ。本当に珍しい。
「………あんたは………?」
少女は小さくかすれた声を出す。もう声を出す体力すら枯れてきているのだろうか。そうだとすると非常に危険だ。
「ここを通りすがった者です。すぐに病院へ向かいましょう、そのままでは危険です。」
とは言うものの携帯など持っていない。今まで必要がなかったからだ。このままおぶって連れて行くしかないのか。しかし如何せん自分はこの場所は全く知らない。自転車に乗せようにも体力が切れているであろう彼女には無理があると感じる。どこかで振り落とされるかもしれない。もう、このまま見捨てるしかないのか……餅士は、そんな葛藤と苦闘していた。
「………いや、大丈夫…腹が減りすぎて死にそうなだけだから……。」
「………お腹、すいてるんですか?」
それなら、ちょうど間違えて作ってきてしまったラーメンがある。奇跡のような偶然だが、ちょうど一食分程度の食べ物になる。それを彼女にあげよう。餅士は思うやいなや自転車の方に駆け出し、岡持ちから蓮華と割り箸とラーメンを取り出す。多少のびてはいるが、こぼれたりは全くしていない。あんなに凸凹の道を通っていたのだから普通は少しくらい溢れていてもいい気がするが、これまた奇跡だ。こぼさないように慎重に持っていく。そして少女の前でかがみ込んで差し出した。
「これ、食べてください。」
「………こ。れは………?」
少女はうっすら開けた目を器に向ける。何が入っているんだ?と言ったような反応だ。説明しようとも思ったが、一刻を争う。餅士は彼女の背中を押して上半身を起こした後、割り箸を割り、麺を箸で取って器ごと彼女の顔の下へ近づけた。
「口開けれますか?」
少女は不思議そうな顔をしていたが、すぐに小さく口をあけた。そこに麺を入れ込む。最初は不思議そうな顔うをしていた少女だったが、やがて少し目を見開いたあと、無言で麺を咀嚼し、飲み込んだ。そして、絞り出すような声で一言。
「…………うまい………。」
と言った。餅士は安堵と同時に嬉しさを覚えた。自分の作ったもので、人を救えることができた。今までなぜ自分は麺を作っているのか。自分が作らなくとも、みんな違う料理を食べるだけなのだから、自分など必要ないのではないか。そんな疑問を覚えながらも、動いた歯車が外せないように、ずっとこの生活をしてきた。しかし今、自分の作った麺が一人の人を救ったのだ。
「さあ、どんどん食べてください。」
勝手ながらに大きな感動を覚えながら、餅士はもう一度麺を箸に取る。少女はもう迷うことなくそれを口に含んだ。たまに焼豚やメンマなどを挟み込み、具がなくなった後は蓮華ですくってスープを飲ませた。そうして器が空になった時には、少女はある程度の元気を取り戻していた。
「………ありがとう。うまかったよ。」
「いえ、お粗末さまでした。」
良かった。何とか危機は脱したようだ。そう感じると、今までのことをやはり疑問に思って、尋ねた。
「どうして、こんなところで?」
少女はいつもの通りだというかのように
「食うもんがなかったから。」
と答えた。よく分からない。不思議な人だ。餅士はそう思った。
「ところで、さっきのはなんだい?」
「さっきの?ああ、普通のラーメンですよ。少し伸びちゃってましたが……。」
「らあ、めん?」
「知らないんですか?」
「ああ、知らない。異国の料理か?」
驚いた。彼女がこんなことで嘘をついているとは思えないし、本当に知らないのだ。
「まあ…異国の蕎麦みたいなものでしょうか。」
「なるほど、通りで。形は似てはいるが、それにしては知らない食感だった。」
随分気に入ってくれたようだ。そんなに喜んでくれるのなら、店でもう一杯くらいだそうか。
「よければ、店でもう一杯お出ししましょうか?お代は要りません。」
「いいのかい?それはありがたいね」
そう言って、彼女は立ち上がる。さっきまで死にかけていたというのに、すごい生命力だ。と言うべきか。餅士はまた野原を上まで登る。そこで、餅士は奇妙な光景を見る。いや、森は普通の森なのだが…。
「さっき通った道がないです………。」
そう、あの細い道がないのだ。野原一面見渡しても、どこにも見当たらない。さっきここに出たばかりだというのに。
「あの。この辺に道とかなかったでしたっけ?」
銀髪の少女に聞く。すると、少女は何を言っているんだというように、不思議そうに言った。
「道なんてあるわけ無いだろ。私は何度もこの奥を行ってるけど、切り開かれていないただの森だぞ。道なんて必要ないさ。」
餅士は理解出来なかった。見えないわけでも、消えたわけでもなく、そもそもなかった?とすると、自分はどこを通ったのか。
「…………どうしましょう……!」
もはや、この事態は自分の手に余る。あまりの焦りに呆然としてしまった餅士を見て、少女は言う。
「………困ってんなら、私の住処に来るか?」
東方にした理由は、東方が好きだから。
麺屋の設定は、自分が麺好きだから。
好きなんです。読んでくれてありがとうございます
行き当たりばったりのものにならないといいなぁ…
なりそうで怖いなぁ………