東方麺祭伝   作:CLAM

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本当に遅くなりました。

次は早く更新できるように頑張ります……。

では、第九話です。




九杯目...麺屋と祭の夜

秋晴れの空。餅士にとって初めての収穫祭は、絶好の祭日和となった。

心も晴れやかに、餅士は森の中で光る黄金色の畑を感慨深そうに見ていた。

 

「ギリギリ、間に合った。」

 

森の中に作った小麦畑は見事に実り、穂を垂らして佇んでいる。

餅士は畑に近づいて、すこし別れを惜しみながら、丁寧に収穫していく。時刻は まだ朝。寒々しい季節ではあるが、そんなことはお構いなしにとせっせと作業を進めていく餅士。

ある程度まで収穫すると、麻縄でまとめて畑の横に置き、また収穫をはじめる。

収穫をしながら、餅士はふと後悔した。

 

(畑広く作りすぎちゃったなぁ……)

 

50m四方の畑にびっしりと生えた小麦は、

一人で収穫にはあまりにも大きかった。

妹紅をよんで手伝ってもらえればと思う餅士であったのだが、残念ながら既に妹紅は村の方へと向かっていた。というより、餅士が向かわせたのだ。

妹紅はこの広い畑を見て、自分も手伝うと言い出したのだが、少しでも長く祭を楽しんでもらうために、無理矢理威勢のいいことを言って先に行ってもらったのだ。

 

(妹紅にはああ言ったけど、正直日が暮れるような気しかしないよね……)

 

そう思いながら、餅士は小麦を刈っていく。

そんな時、奥からガヤガヤと人の声が聞こえてきた。

 

「おう、餅士。ちゃんとやっとっかぁ!?」

 

「あ、あれ。みなさんどうして?」

 

そこには、村で農業を営んでいる人たちが勢ぞろいしていた。中には泰もいる。

この畑を耕したり、整地したりする時もこの村の人達に手伝ってもらったり方法を教えてもらったりし、餅士はとても感謝している。

しかし、餅士は今日ここによんだ覚えはない。思わず口にした餅士の疑問に村の人達はこたえる。

 

「妹紅ちゃんが『餅士の畑作業、終わりそうにないから手伝ってきてもらえないか?』って言われてよぉ。みんな連れて手伝いにきたってことよ。」

 

「そ、そうなんですか……。すみません、なんか心配させちゃったみたいで。」

 

餅士は頭を掻く。やはり妹紅にはバレていたようだ。結局妹紅に助けられてしまったなと、餅士は少し情けない気持ちになる。

 

「今回のトリはお前なんだぜ?遅れてもらっちゃあ困るよ。」

 

「あはは……全く、申し訳ないです。」

 

村の人達は笑い、そして各々持ってきた農具で餅士の収穫を手伝い始める。

人数が何倍にもなり、しかも全員農業のベテランであったこともあり、収穫する速度も抜群に早くなり、昼になる前には全ての小麦を収穫し終えていた。

 

「ふぅ……終わりましたぁ。みなさん手伝ってくれてありがとうございました。」

 

「いやいや、いいってことよ。後は小麦を優さんのところまで運ぶだけだな。」

 

「そこまでしてもらえるんですか?ありがとうございます。」

 

餅士は深々と頭を下げる。村の人達はいいよいいよと手を振る。そして、つかの間の小休止のあと、一斉に小麦の束を担いで村へと向かう。餅士も一束担いで、それに続く。

歩いて村に向かうのは久々で、新鮮味溢れていた。歩きながら周りを見ると、すこし枯葉まじりの風景に季節の移りを感じる。

ふと、泰さんが餅士に近づき、話しかける。

 

「餅士。夜に出すもんは決めてるのか?」

 

「はい。ちょっと前からこれにしようとは決まていました。ほんと、今日は手伝ってくれてありがとうございます。」

 

「いいってことよ。しかし、妹紅ちゃんに心配かけるようなことしてちゃあ男が廃るぜ?」

 

「ははは、我ながら情けないです……。」

 

餅士は苦笑いをする。しかし、泰は怒っておらず、むしろニヤニヤしていた。

それを見て餅士は不思議に思う。

 

「なにか、いいことでもあったんですか?」

 

「いやいや、ホント妹紅ちゃんはいい子だと思ってね。息子がいたら嫁に欲しいくらいだ。」

 

「そうですね。妹紅って何でもできますし、ちょっと荒っぽいところはありますけど……。」

 

餅士は納得する。妹紅は確かに少し粗雑なところはあるが、気遣いもでき、本当に優しい。過去にあった出来事のせいで心を閉ざしていたが、最近はそれもなく、村の人とも親しく接するようになっていた。

そこまで妹紅の心を開いてくれたのも、村のみんなのおかげだと餅士は思う。

しかし、同時に餅士は少しモヤモヤとした気分になる。

 

「ああ、あんな子に好かれる男はさぞかし幸せだろうなぁ。」

 

「そ、そーですね……。」

 

餅士のモヤモヤはますます大きくなる。

思わず少し無愛想な返しになってしまった。

それを聞いた泰さんは驚いたような顔をする。

 

「なんだい。まだなのかい。」

 

「何がですか?」

 

「いや、なんでもないね。」

 

泰はますます顔をニヤつかせる。

餅士は何も分からずじまいで、少し不機嫌になる。泰さんのだけ、わさびを多めにしてやろうかと少し考える。

そうこうしているうちに、村が見えてきた。

村の方では既に祭りが始まっているらしく、楽しそうにはしゃぐ子供たちや、忙しそうにあちこちと動き回っている人が目につく。

 

「賑わってますね。」

 

「そうだろう。あとでちゃんと俺ん所の屋台にも来いよ?妹紅ちゃん連れてな。」

 

「分かりました。」

 

優の店の前につくと、裏手に回って小麦の束を積んでいく。

餅士は手伝ってもらった人たちに再度お礼を言い、屋台に行くと約束した上で解散した。

 

「はぁ……疲れました。」

 

「まあまあ、お疲れ様。」

 

餅士は声をした方向を向く。そこには少し小太りのおばさんがいた。優だ。

 

「優さん。おはようございます。」

 

「おはよう。それにしても豊作ねぇ。すごい収穫だったんじゃない?」

 

「はい、おかげさまですごいとれました。」

 

「そうかい。それは良かった。

じゃあ、私はこれを小麦粉にする作業でもするかねぇ。」

 

「あの、なにか手伝うことでもありますか?」

 

「いやいや、一人で大丈夫だよ。今回は屋台も出してないし、今からなら夜には間に合うから、遠慮しないでいいよ。……あ、さっちゃんの家に妹紅ちゃんがいるはずだから、行ってきたらどうだい?」

 

「そうですか。ありがとうございます。」

 

餅士はそう言うと、優にお辞儀をしてその場を去る。盛り上がる屋台の列を抜けて、足早に幸の家へと向かう。

もう通りなれた道筋を通って、幸の家に着く。家の前には自転車と岡持があった。

おそらく妹紅はこれに乗って向かったのだろう。別に岡持まで持ってこなくても良かったのに、と餅士は思う。

 

(妹紅に会ったら、お礼言わないと……)

 

そう思いながら、中へと入った。

 

「お邪魔します。幸さんただいま着きました。」

 

「あら餅士くん!?ちょっと勝手に上がっててね、お姉さん少し忙しいのぉ。」

 

奥の部屋から元気の良さそうな声が聞こえた。間違いなく幸の声だった。

 

「じゃあ、上がりますね。」

 

餅士は靴を脱いで、客間へと向かう。

廊下で、客間から幸が誰かと話す声が聞こえてきた。

 

「ほら、餅士くんきたわよ?行ってきましょうよ。」

 

「いや、でもまだ心の準備が……」

 

「大丈夫!すごく可愛いからぁ。」

 

「そういう問題じゃなくて……!」

 

「じゃあ何?もっと肌色多めがご所望?」

 

「だ、だから違うって……!」

 

声からして、話している相手は妹紅のようだ。またいつものようにからかわれているのだろう。餅士は客間へとちかづく。客間はその扉は閉められている。餅士はコンコンと叩いて合図する。

 

「幸さん、妹紅。入っても大丈夫ですか?」

 

「ば、まっまだ入るな!」

 

「いいわよぉ、入って入ってぇ。」

 

「どっちなんですか……。」

 

餅士は、深いため息をつく。

おおよそこういう時は、妹紅のいうことを聞かないと殴られるか蹴られるかのどちらかをされるので、妹紅のいうことを聞くようにしている。しかし、そうは言っても客間に入って休みたいとも思う。餅士は妹紅に急かすように言う。

 

「妹紅、できれば早く用事済ませてね。」

 

「いや、用事というかなんというか……」

 

「ほらぁ、餅士くんも言ってるんだし。覚悟決めないとぉ……。」

 

「うう……は、入れ!」

 

「う、うん……。分かったけど……。」

 

不思議そうに思いながら、餅士は扉を開ける。

そこには、鮮やかな朱色の着物を着た妹紅の姿があった。

突然の身なりの変化に驚くと同時に、餅士は息をのむ。いつもの服装ではなく、しおらしく恥じらいを見せるその妹紅の着物姿は女性というものを意識せざるにはいられなかった。妹紅が上目遣いで尋ねる。

 

「ど、どうだ……?変じゃないか……?」

 

「え、?あ、う、うん。全然変じゃない。可愛い、と、思う。」

 

突然の質問に動揺し、ぎこちなく答える餅士。しかし、妹紅は肩をなでおろす。

その姿を、幸はニヤニヤと見つめる。

妹紅は幸のにやけ顔に気付き、顔を真っ赤にして反論する。

 

「こ!これは違うから!」

 

「んー?なにがー?」

 

「いやその…………」

 

妹紅は口をつぐみ、幸はさらににやけ顔を深める。なんか今日同じ体験したなーと餅士は既視感を感じる。

唐突にそうだ、と幸が軽く手を打った。何事かと餅士は幸の方をむく。

 

「2人で屋台見回ってきたらどうかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「…………。」」

 

妙な雰囲気で通りを歩く妹紅と餅士。

話しづらいこの空気に餅士は困惑する。

 

(……いつもは普通に話せるのに……)

 

横で歩く妹紅は服装が違うだけではなく、

その性格までもしおらしくなっていて、まるで別人のように思えてしまう。

不思議と鼓動が早くなる。餅士はちらっと妹紅を見る。妹紅も黙ったまま伏し目がちに歩いている。ふと妹紅がこちらを見て、目が合う。驚いて、思わず餅士は目をそらす。

妹紅もまた目をそらし、再び話しづらい空気となる。

 

「……へ、餅士。」

 

「え、な、何?」

 

唐突に妹紅が話しかけてくる。

少し素っ頓狂な返しをした餅士だったが、妹紅は何も言わずにすっと左手を差し出した。

 

「その……はぐれると危ないし……」

 

不意に胸が高鳴る。本当に自分じゃないかのようだ。餅士は無言で差し出された手を右手でつなぐ。柔らかく、優しい温かさが餅士の右手の感覚に伝わる。この感覚は紛れもなく妹紅の手だと再認識し、心が安らいだ。

餅士はふと思い出す。

 

「妹紅。村の人呼んでくれてありがとうね。おかげでこの時間に来れたよ。」

 

「おう……私のために先に行かせようとしたんだろ?餅士は変なとこ強情だからな。」

 

「あはは……見抜かれてたか。」

 

2人顔を見合わせて笑い合う。

餅士は和やかな空気に変わったことに安堵し、そうした妹紅に改めて感謝した。

 

その時、妹紅の笑顔を見て餅士の中で、一つの考えが浮かんだ。

少しあっととぼけた声を出してしまい、妹紅が不思議そうな顔をしたが、はぐらかし、話題をそらすように会話を切り出した。

 

「いやー、でも実はさ妹紅。その時、手伝ってもらった人の屋台に行くって約束しちゃって……今から一緒にいい?」

 

「はぁ……分かった分かった。ついていくって。じゃあどんどん楽しむぞ!」

 

「いぇーー!」

 

拳を振り上げて元気に返事を返す。

妹紅はニッと笑うと早速あれやこれやと動き回り、餅士はそれに従う。手伝ってもらった人のところを回った後、屋台はほとんどが食べ物を売っていたので、妹紅と餅士は最後の仕事前の栄養補給と称して食べに食べた。

餅士が料理を振るまう予定の広場では、高台を中心にして、祭囃子に踊り子と、とても賑やかであった。餅士と妹紅もそれに混ざったり、村の人達と談笑したりしていた。

そんなことをしていると、陽も沈んで、辺りはくらくなってきて、屋台をしめる人も現れてくる。

餅士と妹紅は、広場のところに座り込んで顔を火照らせながら高揚気味に祭の余韻に浸っていた。

 

「お祭楽しかったね。」

 

餅士は連なる屋台の列を見て呟いた。

 

「ああ、楽しかったな。」

 

妹紅も続いて呟く。

いつも以上に楽しいひと時に、二人は名残惜しさを感じる。

その気分を払拭するように、餅士は妹紅に向かって言う。

 

「また、来年も一緒に楽しめるといいね。」

 

「楽しめるだろ。」

 

妹紅はあっけらかんとそう言う。何一つ確証はないにもかかわらず、餅士も妙に納得して、そうだね。と返した。

そして少し物思いにふけた後、餅士は勢い良く立ち上がり、大きく伸びをした。

 

「さ、妹紅。そろそろ準備しないと。みんなの分作らないといけないからね。」

 

「ああ、そうだな。」

 

妹紅も立ち上がって深呼吸をする。

もうすぐ、妹紅と餅士たちはたくさんの《お客さん》を相手にしなければならない。

二人は笑う。しかし、妹紅は気になっていたことを思い出し、ふと餅士に質問する。

 

「そういえば、結局何を作ることに決めたんだ?」

 

妹紅は何度か餅士に聞いたが、当日までの秘密とずっと隠されてきた。

この祭のトリに出す料理にはいくつかの課題がある。まず第一に、誰もが食べられるものであること。多くの人が食べに来るため、料理に関しても個人で好き嫌いが分かれてくる。そのため、味付けに幅を利かせる必要がある。第二に、全員を等しく満足させるには、それぞれの食べる分量を調整しなければならないということ。分量が多過ぎたり少なすぎたりすると、やはり全員を均等に満腹にさせることができない。その点で分量の面でも幅を聞かせれるようにしなければならない。おそらく餅士のことなので、麺であることは間違いないが、この点をどう解決するのか。

餅士はにやりと笑う。その表情は、やはり既に考えているようだ。

 

「それはね――――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

「妹紅!右端の方に麺茹でて並べて!」

 

「わ、分かった!」

 

「あ、もうすぐ出汁もできるから替えてきてね!」

 

「おう!……忙しぃ………。」

 

「弱音吐かない!」

 

「お、おう!」

 

忙しくあちこちに働き回る妹紅。餅士もまた、休む暇なく麺を打ち、切っていく。そして、少量の麺をとって一つにまとめていく。

妹紅はそれを周りにある机の上にどんどん並べていく。

すると、器を持った村人たちが並べられた麺をとって器に入れ、食べてゆく。

 

「美味いなぁ。出汁も選べるし、こいつぁいいや!」

 

ふと、誰かがそう叫ぶのが聞こえた。

餅士が今回、村の人達に、事前に箸と器を渡し、用意した数種類のスープから選んで入れてもらった後に、並べられた麺をとってもらうという方式をとった。

餅士曰く、『ラーメンバイキング』。

これが、みんなに均等に楽しんでもらうための餅士の策であった。

 

「大盛況だな!餅士!」

 

「うん!大成功だね!」

 

忙しながらも、掛け合う妹紅と餅士。

とっぷりと夜がふけるまで、賑やかな音は鳴りやまなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ………足も腕も動かない……。」

 

「疲れた……もうダメ……。」

 

収穫祭が終わり、片付けに入っている頃、二人はグッタリと地面に倒れ伏していた。

それもそのはず、餅士は終わるまで休む暇なく麺とスープを作っていたわけで、妹紅に至っては麺やスープの補充、ラーメンを食べに行けない人に渡しに行くため奔走していたのだ。倒れたくなるのも無理はないだろう。

 

「妹紅、今日は幸さんのところで休もっか。」

 

「……そうだなぁ、今日はさすがに帰る気にはなれないな。じゃあ訪ねに行くか。」

 

「あ、ごめん先に行っててよ。妹紅には手伝ってもらったし、片付けくらい僕がやるから。」

 

「………そうか、わかった。早く戻ってこいよ。」

 

「うん。」

 

ゆっくりと幸の家へと向かう妹紅を、餅士は見送る。少しよろよろとしていて危なっかしいが、こっちを向いて大丈夫だという風に笑うので、手を振り返して、片付けに向かう。

先程までは人で溢れかえっていた広場も、今は片付けに追われる大人が数人と、がらんとした雰囲気に包まれている。

餅士は鍋や包丁をまとめ、洗い場に行って疲れを癒してやるように優しく洗い流す。

洗い終えて、戻ろうとした時に後ろにいた人の気配に気づく。

 

「あれ?幸さんどうしたんですか?」

 

そこでは、幸がまじまじと餅士の手先を見ていた。餅士が幸に気づいて話しかけると、今さら気づくのかと呆れるように嘆息した。

 

「もこちゃんがね、『餅士が片付けしてるから手伝ってやってくれ。』って言ってきてね。来てみたけど全然気づかないから手伝うに手伝えなかったわぁ…。」

 

「あ、そうだったんですか。すみません……また妹紅に心配かけちゃったかな。」

 

「まあ、もこちゃんはああ見えて甲斐性持ちだしねぇ……餅士くんは特別だと思うけれど。」

 

後半は声が小さくて餅士には聞こえなかったが、前のことを聞いて概ね納得した。

 

「今日のは美味しかったよ。ラーメン、私何杯も食べちゃったわぁ。」

 

「そうですか、それは良かったです。」

 

「ええ、餅士くんは分かってるわぁと思ったの。ラーメンの定番は醤油ベースよね。なんだかんだ言ってみんなが選ぶのよ。味噌と塩も捨てがたいのだけれど……」

 

「え?えっ、と……」

 

「あー、やっぱりもうちょっと食べるべきだったかしらぁ……最近太ってきたような気がしてダイエットもしなくちゃとも思ってたのだけれど、枷が外れそうだわぁ……。」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 

餅士が不意に立ち上がる。鍋の中で包丁がカランと音を立てた。餅士の額に冷や汗が垂れ、鼓動が徐々に早くなる。おかしい。餅士の中で、心がそう叫ぶ。

 

「なんで、そんなに詳しいんですか……。」

 

「…………。」

 

餅士はこの村に来てから何度かラーメンを作る時はあった。たしかに、スープの種類は多岐にわたったであろう。しかし、なぜこんなにも幸があの時代の定番について知っているのであろうか。なぜ、この時代では使われるはずのない外来語を知っているのか。

幸が微笑む。その表情に驚きはない。

寧ろ覚悟をしていたかのように、わざと諭すように仕向けたのだと言わんばかりに。

 

「今ここに来た理由、もう一つあってね。餅士くんにあることを言わないといけないと思ったからなの。」

 

「なん、ですか……?」

 

心臓がドクンと脈打つ。餅士の中で、次の言葉は既に推測されていたが、動揺を隠し切れず、聞き返す。

 

「私もね、餅士くんと同じ未来から来てるの。」

 

心臓が再び強く脈を打った。

 

 




次も衝撃展開(かもしれない)

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