人工天使4姉妹のキヴォトス体験記 作:アキラゼミ
「やってきましたー!セ・ミ・ナー!!」
「わーわー!パチパチパチ〜!」
人工天使擬人化シリーズ4姉妹の、末の双子──グレゴリオ改めグレイ&リンゴは、姉2人と違って自分の体験学習先を新たに開拓する事なく、元からシャーレにて知り合っていた早瀬ユウカ繋がりで、ミレニアムサイエンススクールでの生徒会である、
「セミナー」に体験学習に来ていた。
「もう……仕事中はあまり騒がないでよね?」
「「はーーーいっっ!!!」」
「ふふっ……。2人共、すごく元気ですね♪」
「「っっっ!?」」
予期せぬノアの登場により、2人はビクリと空に浮かび上がる程に身体を震わせる。
セミナーに来たのは確かにユウカ繋がりだった。しかし2人は、ノアとも既に知り合いなのである。しかも、ユウカよりも早く出会っていた。
そう、それはシャーレの先生とマエストロにより行われた、人工天使4姉妹の獲得戦。そこでノアとグレイ&リンゴは交戦済みなのである。
「あわわわわ……」
「はわわわわ……」
「……?どうかしましたか?」
「「ひぃっ!!」」
目線を合わせる為にしゃがんだが、2人は悲鳴を上げてユウカの後ろへと隠れてしまった。太ももをガッシリ掴み、恐る恐るノアの方を覗いてくる。
「ノア……2人に何かしたの?」
「えぇと……いえ、何も覚えはありませんが……?」
「だそうよ?2人共、どうしたの?」
「あう……あの、その〜……」
「怒って、ない……?」
「怒る?特に、2人に対して怒るような覚えは特にありませんが……何かありましたか?」
「「…………」」
黙りこくる2人。埒が明かないので、2人を前に突き出し、ノアと強引に対面させる。目を回して、指を絡ませ、口をモゴモゴとさせるも、中々理由を言おうとはしない。
「ほら、2人共?黙ってたら分からないでしょう?ちゃんと言わなきゃダメよ」
「…………ま、前に、戦った時……」
「け、けっこー、ボコボコにしちゃったから……」
「「怒ってそーだなー……って……」」
「あぁ……
「ほんとにっ……?」
「怒ってないのっ?」
「ええ、気にしないでください。それに総力戦とは元よりそういうものです。いちいち気にしていてはキヴォトスでは生きていけませんよ?」
「「……!」」
「……そういうコトだから、ノアにビビるのはやめてあげてくれる?ノアだって凄く優しいんだから」
「ユウカより優しい?」
「ユウカおねーちゃんより優しい?」
「わ、私より!?……ど、どうなのかしらその辺は?って、いやいや!あのね、そういうのは比べるものじゃないの!人それぞれなんだから!」
「実際、ユウカちゃんは誰より優しいですからね♪ それはもう、私とは比べ物にならないくらい……♡」
「の、ノ〜ア〜ッ!?」
「ふふふふっ♡♡」
◆
そんなこんなで2人を迎えたが、山海経で言う、春原ココナに近いくらい幼いこの2人にセミナーの仕事は荷が重いとユウカ、ノアは判断した。
だからとりあえず、書類仕事は一旦置いておいて自分達の視察の仕事に同行させる事にした。
「「活動視察ぅ?」」
「そ。この部活はちゃんと活動してるかな?とか」
「予算を変な事に使っていないかな?……などを確認するのも、各部活・各委員会に予算を回す
「いつもは会計である私1人でやってるんだけど、折角だから、今日は二手に分かれて行こうかなって思ったんだけど……どうかしら?」
「「行くー!行く行く、行っちゃう!!」」
「そう……!じゃあ、グレイちゃんとリンゴちゃん、どっちがどっちについて行くか決めなきゃね!」
「ふふっ、元気いっぱいですね♪」
その話し合いには一瞬でカタがついた。グレイがユウカ、リンゴがノアについて行く事になり2組はそれぞれ学園内の各部活・委員会へと赴く。
◆
まずは、ノア&リンゴ。
「あら?野球部の野正レイさん……」
「あ!こ、こんにちは!」
「こんにちは。レイさんはまだトレーニング部に?そろそろ野球部として復帰している頃かと……」
「えぇ、まぁ、そのつもり、だったんですが──」
ランニングマシンの上を走る、顔中の血管が今に切れそうなくらいに顔が真っ赤のレイを発見する。走っている人に話し掛けるとは容赦無いな──と、リンゴはちょっぴり引き気味である。
「レイさん!!あと5キロ!残り5キロですッ!!追い込みましょうッ!筋肉を!!」
「は、はいッ!!」
レイの言葉を遮るようにして部長のスミレが声を飛ばして乱入してくる。レイは、その声に押されるようにして再び加速する。
声のした方を見れば四肢に重りをつけたスミレが目を輝かせて走ってくるのが目に入る。
「ノアさんも見学ですか!?それとも体験入部!?いえ、どちらも歓げ────」
「お断りします♪」
「……は、はい…………」
一瞬で、しかも強めに拒否されてしまい、流石のスミレもすごすごと引き下がる他に無かった。
普段通りの笑顔、声色なのに、何故だか言葉にも表しにくい「圧」を感じ、リンゴはノアへの態度はよく気を付けようと心に決めた……。
「……プロテインの残量が、少なめですね。うぅん、無駄に飲むような人ではないですし……。少しくらいプロテイン代を増額してもいいかもしれませんね」
「ぷ、プロテイン代まで、経費で落ちるの?……で、ですか……?」
「?……ええ、結果さえ残してくれれば増額するのも吝かではありませんし……。これは、ユウカちゃんに報告ですね」
「は……はぁーい……」
◆
そしてユウカ&グレイ。2人がトレーニング部に行っている頃、こちらはゲーム開発部に来ていた。
「ね〜ミドリぃ、やっぱ太もも細いってぇ!」
「これ以上太くしたらアンバランスじゃない?」
「いーの!リアルも案外そんなもんなんだから!!」
扉の向こうからは、そんな声が聞こえてくる。
シナリオを書くモモイ、キャラ絵を描くミドリの間に、キャラの容姿の想定にスレ違いがあった──らしかった。
「真面目に活動しているみたいね。感心感心」
「ゲッ、噂をすれば……」
「おねーちゃ……ッ!?」
「え?
「あーいやっ、なんでもない!!それよりユウカ、この子は!?」
「セミナーに体験入部に来た、
「「よろしく〜!!」」
「あ!ユウカに新たなパーティメンバーですか!?おめでとうございます!」
「ぱ、パーティメンバー、とは違うような……?」
「パンパカパーン!!ユウカの先輩レベルが、上昇しました!」
「パンパカパーン!」
「パンパカパーン♪」
(打ち解けるの、はっやいわねー……。ちっちゃい子同士、通じるものがあるのかしら……?)
ユズまでロッカーから出てきて、遠目からだが、グレイを観察する程だ。グレイが部室に来て、まだ1分も経っていない。ユズが出てくるには早いのでそれだけグレイの存在が気になったんだろうと結論付けた。
「それで?今は何をやってるの?」
「え!あ、うん!次のゲームのボスキャラの設定を色々と考えてて……!」
「お姉ちゃんが、太ももが細いとか言い出して……。また描き直しです」
「ミドリぃッ!?」
「ふーん……?」
キャラ原案をまじまじと見つめる。その絵に対し何か言い知れぬ既視感を覚えていたユウカだったが次の瞬間、ペチンッ!と太ももを叩かれ……。
「あっははははは!これ、ユウカじゃん!!太もも細いってさ、ユウカがモデルのキャラにしてはって意味でしょ!?」
「「!!」」
「……モモイ?」
「えッ!?ち、違うよ!?そ、その子が何か変な事言ってるけど違ッ……」
「髪色だけ変えてるけど、ツーサイドアップに脚を魅せる短いスカートに、2丁のサブマシンガン!!ムチッ♡ ヌッ♡……って感じの、太ももの効果音!あはははははは!これモロにユウカじゃーん!!」
「ぐ、グレイちゃん!?あなたね……!」
「先生もね、先生もねぇ!ユウカの太ももの魅力、いつも語ってるんだよ!膝枕に最適だ〜とか、あの太ももに挟まれて窒息したい〜とか!」
「「「!?」」」
「まぁでも実際、ユウカの太もも触り心地良いし!分かる気がするけどね!ムニムニ──ぐぇっ!?」
「あっはははは!ゲンコツされ──きゃうっ!?」
「どっちも変なコト言わない!しないのッ!!」
ムニムニムニムニと両足で太ももを揉まれ始め、ユウカはどこか変な気分になってくるのを堪えつつモモイ、グレイにゲンコツ1発ずつ落とし、部室を後にした。
◆
それから暫くして、セミナーの部室にて合流。
「グレイおねーちゃん、どーしたの……?」
「変な扉が開いた……///」
「!?」
「あらあら……ユウカちゃん?グレイちゃんにナニをしたんです……?」
「太ももをイジッてきたから注意したのよ!先生もグレイちゃんに何言ってるのかしら……///」
「それだけユウカちゃんが魅力的って事です♪」
「そーそー♪ ね、おねーちゃん♪」
「そーだよ、ユウカの太ももがそんなに柔らかくて触り心地バツグンなのが悪いの〜♪」
「あのねぇ〜!!」
「ユウカちゃん♪ あんまり怒ると、眉間のシワが深くなってしまいます」
「「そーだそーだー!」」
「あなた達も。……ユウカちゃんをイジるのは程々にお願いしますね……♪」
「「ひゃ……ひゃいぃ……」」
やっぱりノアは怖い。
最後の最後に、そう思い知らされた2人だった。