人工天使4姉妹のキヴォトス体験記 作:アキラゼミ
「おぁッ!おねーちゃんだ!」
「アンおねーちゃん!」
「あら……?2人共、どうしたのかしら?セミナーの仕事は?……まさかとは思うけれど、おサボり?」
「違うよぉっ!」
「これもセミナーの仕事なのっ!」
ある日、共にミレニアムサイエンススクールへと体験学習に来ているアンとグレイ&リンゴは、ある部室へ向かう道中でバッタリ出会った。
アンが向かっているのはゲーム開発部。そして、双子が向かっているのもまたゲーム開発部だった。
「えッ。部長がゲーム開発部に入り浸り……?」
「お遊びお遊び〜」
「そっ。全く、困ったものですわ、ネル先輩には。アカネ先輩以外は引っ張って来れないそうですが、今日はそのアカネ先輩が休みらしくて。代わりに、私がネル先輩の迎えに行く事になって……」
「そーなんだ!」
「おねーちゃん大活躍っ!」
「ま、まぁ?この前も、イチ企業を壊しましたし?あの企業、というかあの社長さんがエンジニア部と提携を組む事になったのも私の手柄、と言えるかもしれませんがね?ふふっ、ふふふっ♪」
「うへー、だる」
「だっる」
「んなっ……!?そ、そういう2人こそ、仕事だとか言いながら、どうして私と同じ方向に向かってるんですのっ!?ゲームで遊ぶつもりなのでは!?」
「ノンノン!しっかりバッチリ仕事中!」
「みっちりカッチリミッション中っ!」
「「ユウカおねーちゃんからのミッション!『天童アリスをエンジニア部に誘導せよ』!!」」
「アリスさん……って────」
こうしてゲーム開発部が目的地であると共有した3人は、姉妹揃ってゲーム開発部に到着。そこではネルとアリスが格闘ゲームに興じており、モモイが囃し立て、ミドリが観察し、ユズはいつものようにロッカーに篭っていた。
「だーっ!!クソッ!もう一戦だ!今のコンボにゃ穴がある!今の敗北で攻略法を見つけた!!」
「はい!そんなの無視して何度でもチビネル先輩をボコします!!」
「はいはい、そこまでです。戻りますわよ、先輩」
再戦を選ぼうとするネルのコントローラーを奪いフッと笑ってみせる。それを見てアリスはポカンと口を開けている、モモイとミドリも同様に。
入室の許可は得ていない。勝手に入って、勝手に割り込んだのだ──そんな反応になるのも仕方ないというもの。
「げッ!?今日はアカネが休みだと思ったらお前が来るのかよ!?」
「そのアカネ先輩は次なる任務の下見なのですが?長であるネル先輩は子供のように遊んでばかりとは恥ずかしいですわ〜」
「あァ!?ンだと、コラ!?」
「はいはい、帰りますよ〜」
「持ち上げるんじゃねぇ!!アタシは猫かッ!?」
「チビネル先輩は猫ちゃんです!!勇者パーティに癒しを与える、宿屋の看板猫ちゃんです!」
アリスの無邪気な援護射撃もあり、ネルはアンの怪力により宙ぶらりんになりながら顔を真っ赤に。やがて釣られながらもアンに蹴りを入れたりなどの反撃を試みるが、流石に、そこは人工天使である。ただの打撃など通じるハズもない。
「降ろせコラ!降〜ろ〜せ〜ッ!!」
「んもう、イヤですわ?子供のように『もう1回!もう1回だけ!』と騒ぎそうなんですもの……ほら、部室に戻りますわよ、アカネ先輩からの下見の結果報告の時間が迫ってますわ」
「わかっ、分かったから!まずは降ろせ!このまま廊下に出るんじゃねぇ!出たらブッ殺すぞ!!」
「うふふっ、ネル先輩に
「このガキ……!」
「私の方が背は大きいですのに」
「そういうとこウゼェんだよ!ほら、さっさと部室戻んぞ!!」
「こっちのセリフですわ」
通り雨のようなドタバタを呼んだネル&アンは、廊下でもギャイギャイと激しく騒ぎながらC&Cの部室へと戻って行った。
モモイ達はそれをポカンと見送りつつフリーズ。しかしそこで、今度はアンと入れ替わるようにしてグレイ&リンゴが始動する。
「じゃ、次はこっちの
「天童アリスさーん、天童アリスさーん。大至急、エンジニア部にお越しくださーい」
「えっ、アリス?」
「アリスちゃんがエンジニア部に……?」
「ユウカおねーちゃんと、ウタハおねーちゃんと……あと、誰だっけ?アンおねーちゃんと、ネル先輩が2人で潰したっていう会社の社長が待ってるよ〜」
「分かりました!エンジニア部に向かいます!」
「ねぇグレイ、私も行っていい!?」
「あ、それなら私も」
「処理重くなるからダメー!」
「人数多いと色々大変だし面倒だし、狭いから!」
「「え〜っ!?」」
「そもそも、呼ばれてるのはアリスだけだしね」
「才羽姉妹はまた今度だね〜」
────場所は変わり、エンジニア部の作業場。
そこにはセミナーの会計「冷酷な算術使い」こと早瀬ユウカに加え「マイスター」こと白石ウタハ、アンとネルに攻め込まれたものの、技術の多彩さ、思い描く理念をエンジニア部に買われて提携を結ぶ事になった「ガザーカンパニー」の社長が居た。
「おー?社長なのにデブロボじゃない!」
「ラグビーボールロボだ!トライトライトライ!」
『顔を見るなり失礼なガキンチョだな!?』
「パンパカパーンッ!!勇者アリス、太もも魔王の召喚に応じ、ただいまパーティに合流しました!」
「ア〜リ〜ス〜ちゃ〜ん???」
あちこちでイジリが噴出するも、ウタハは苦笑いしつつ、それらを冷静に窘めた。
そんな事では、いつまで経っても話が進まない。エンジニア部──特にウタハは決して暇ではない。仕事も請け負っている他に、やりたい事もやる事も山積みなのだから。
「──コホン。えぇと、こうして来てもらったのは他でもない。アリス──以前話していた『ケイ』についてなのだけど」
「!?」
「こちらの社長さんは──今は私達エンジニア部と提携を結んでいてね。言わばパトロンさ。
「…………それって!」
「お察しの通りさ。彼の有する技術だけでは、まだ不完全な部分もあるから……そこは、エンジニア部が随時更新、補助していく形にはなるだろうけれど。どうかな?ケイを……この世に呼びたくないかい?」
「ケイ、を……?それ、って……それって!!」
「あくまで実験みたいなものだし、ケイやアリスも関係なく、適当に精密なアンドロイドっぽい何かを作ってみても良かったんだ。だけど、資金も資材も時間も、決して無限ではないからね。それだったら最初から、ケイの肉体を──という名目で、資金も資材も技術も時間も本気で大盤振る舞いしようって思ったんだ」
「……また……ケイに、会えるんですか……?」
「可能性はある。その可能性を『確実』なものへと昇華する為に、アリス、君の協力が不可欠なんだ」
「!!」
「君の『肉体』をベースにしてケイを製作しようと思ったけれど、君はどうやら現段階の我々の技術や理解を超えている──ある意味で、超越的な存在のようだからね。だからアリスの『
「分かりましたっ!!アリスにできる事だったら、何でもします!だからっ、完璧なケイを……っ!」
「無論だ。中途半端な仕事はしない主義だからね。そうだろう?社長さん?」
『当然だとも。ただの技術屋とはいえ、オレだって自分の有する技術には誇りってモンがあるんだよ。だからお前が望む通りの「ケイ」って子をこの世に顕現させてやる。──それにこうしてミレニアムのエンジニア部の活躍も間近で見れるしな、へへッ。勉強させてもらうぜ』
ユウカがここに居るのは、それが理由であった。提携を組んでいるとはいえ、彼の運営する「ガザーカンパニー」はミレニアムとは無縁な外部の企業。
有事の際に備えるという意味もあるにはあるが、名目的な意味合いの方が強い。
当然ながら、今もこれからもこの活動についてはユウカ及び
『そんじゃ、一般的な身体測定からやっていくか。くれぐれも手を抜いてくれるなよ?「ケイ」の身体機能はお前を基準にするんだからな。分かるな?』
「はい!アリス、本気を出します!ケイの為にッ!何よりも──自分の為にッ!!」
紫のオーラが立ち上る。正体不明のエネルギーにウタハは目が釘付けになるが「そんな事はどーでもいいだろ」と社長にツッコまれ、渋々ながらも早速アリスの身体機能の確認から入る。
そして「ケイとの
何時間もの試験は、この日だけでは終わらず──次の日に持ち越される事になった。翌日も、日常のちょっとした動作なんかの性能をも確認していき、様々な試験をこなしていき……。
『よし、最後に戦闘データだ。今、オレの工場からリアルタイムで
「はいっ!アリス、頑張ります!!」
「ユウカ、君も参加するかい?vsタンクのデータも取っておきたいんだが」
「はっ!?き、急に言われてもそんな……」
「はいはーいっ!グレイ、参戦ッ!!」
「リンゴ、参戦ッ!!」
「おぉ、これはいい。では、社長の用意してくれたオートマタやドローンなんかを処理できた暁には、君達も参加してくれ。データは多いに越したことは無いからね」
『頼んだぜ、ガキンチョ共』
「「はーーーいっっ!!!」」
こうして、アリスのデータを元に「ケイ」を製作してみようプロジェクトは一歩、また一歩と着実に進んでいき──やがて、今度はアリスの妹として、失われたハズの「ケイ」が復活を果たした──。
あなたのサークルは 日曜日 東地区 “E” ブロック 14aに配置されています。
コミケ当選しました。……精一杯頑張ります!
アリスが纏った紫色の謎のオーラについてはメイドアリスネタです。深い意味はありません。
アレ、マジでなんなんだよ。