ワンピースをテンプレで生きる   作:楯樰

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テンプレその弐弐
・何番煎じかわからないバクバクの応用性の高さ
・ニコポ&ナデポ


交渉という脅迫と……

 バスターコールという名の小規模戦争の終結後、防護壁が島の内部に格納され、一日ぶりに太陽を浴びることが出来た。

 

 迷惑をかけた国民に「申し訳なかった」とマリアと一緒に謝りに行って……少しお小言を貰ってしまったが、最終的には国民全員には笑って許してもらえた。

 

 

 

 ――全力賭して守るものを守ろう。例えそれが険しい茨の道であろうとも、国という名の一つの家族ぐらいは守って見せよう。……だからどうか。平穏を享受できるその日が来るまで、皆には迷惑を掛けることもあるかしれないが許してほしい。

 

 

 

 と、世界会議から帰ってきた後行った演説で理解と納得をしてもらっていた事が無かったら自分は国民からの信用を失い国は瓦解していたかもしれない。

 

 ……そんな杞憂もしなくていいよう、正直もうバスターコールは勘弁してほしい。

 

 ただ、心情的にもうどうにでもなれと既に吹っ切れていたというのもあって比較的心にゆとりはあるけど。

 

 

 

 でも政治的なこともあるからやっぱり面倒なのよね(白目)

 

 

 

 翌日の新聞に「海軍の軍艦五隻 行方不明」とだけ銘打った一面が飾られ、世界政府の戦力である海軍が戦力の大半を占める三大将を投入した上で、一国の人間に負けたことは記されていなかった。

 

 世界政府側の権威を維持するためにした仕方がない事とはいえ、バスターコールを受けた側としてはちょっとどころじゃない不満があるわけで。

 

 主に心労的な意味で疲れたわけで。

 

「大将たち海軍とマリアが捕縛したCP(サイファーポール)の工作員を返してあげるから、今後世界政府その他諸々は干渉をしてこないで」という要求の電話を一つした。

 

 言ってしまえば「ドラムには、例え何があろうとも今後は不干渉でお願いね」という事。

 

 まぁ、「全面戦争なんて物騒な選択をしたらその時点でマリージョアを落す」と脅し文句を言ったからだと思う。

 

 世界政府から返ってきた答えは物凄く渋々といったような返事だった。

 

 これには「表沙汰にしてないだけで、数回マリージョアは襲われているだろう?」と言ったことも影響してるのかも。

 

 

 

 出来るわけないと思ったら大間違いですから(にっこり)

 

 

 

 ……ただ、捕食した海軍達その他諸々の引き渡しの前に。

 

 

 

 バクバクで大将二人のピカピカとマグマグの実の能力は引き抜かせてもらった。

 

 単純な話、能力だけを抜き取って別の物質に移植した。バクバク余裕ですた(キリッ

 

 まぁ、二回もバスターコールしてきたんだからそれ相応の対価を貰うくらい良いだろ(適当)

 

 いや、負けた後能力失ったなんて知らんし? というかそんなこと有りえるの?

 

 能力使えなくなったからと文句付けられても困る(すっとぼけ)

 

 

 

 それにしてもまさか昇進してあの船に乗っていたとは思わなかった。

 

 将校服を羽織ったアインとビンズ。

 

 恐らくモドモドの実の能力で防護壁を作成される前に戻して、攻めて入るつもりだったんだろうけど……そう思うと結構危なかった。

 

 能力者すら美味しく食べるバクバクが無かったらと思うと……(震え声)

 

 まぁ、今は一応能力を奪って抵抗できないようにしているから大丈夫のはずだし。

 

 さて、と。

 

「マリア。これから私は海軍の人間と話をする……外で待っていてくれ」

 

「うん、わかった。……あ、ちょっと心配だからお母さんたちの所行ってくるね」

 

「すまない、頼んだ。……それから気を付けてな」

 

「……うん!」

 

 

 

 よし、二人と話そう。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 肌に冷たさを感じて目が覚めた。

 

「……ここは……」

 

 あの巨大な口に飲み込まれてからの記憶が無い。

 

 私たちは殺されたんじゃなかった……?

 

「アイン、目が覚めたのだな。どうやら我らは捕虜になってしまったらしい。恐らく、ここは目標のドラム帝国内であろう」

 

「ビンズ……。ということは負けたのね……」

 

 それにしてもおかしな話だ。他にも捕虜として生かしておくべき、最適な人間はいくらでもいただろう。

 

 今回の作戦に一兵卒は一切存在せず、軍艦を動かし指揮していたのは本部将校達。

 

 大将三人が出ているため階級以上の強さを持つ英雄ガープさんは参加せず。

 

 大参謀のおつるさんといった裏方指揮の方々も乗船しなかったが、それでも参加した本部で将校と呼ばれるに値する者達は私たちを含め200人は超えていた。

 

 軍艦は一度目の経験からそもそも乗り捨てるというのが作戦の中に入っていたので一等兵以下は今作戦には要らなかったのだ。

 

 軍艦が小舟に変わってしまったような現場で、また同じ現象が起きないとは限らない。もし軍艦が使い物にならないのなら大将青雉、大将赤犬が足場を作り、攻め込む手筈となっていた。

 

 何故生かされた捕虜が私とビンズだけなのだろうか。

 

 それに……

 

「……なんで私たちは縛られてもいないの? それに此処はどう考えても人を閉じ込めておくような場所じゃない」

 

「うむ……気にはなっていたが、拙者もよくわからん……」

 

 此処は多分、謁見をするような場所だ。

 

 

 

 ――目が覚めたようだな。

 

 

 

 声はバルコニーから響いてきた。

 

 脳に直接響いてくるようなこの声の主は誰か。

 

 分からないというわけではないけれど……理解が及ばない。

 

 何故、真っ先に狙われる身のこの国の統治者が私たちの前に堂々と存在しているのか。

 

 室内に入ってきた男は、この世のものではないと見紛うほどに整った姿をしていた。

 

 ドラム帝国、皇帝ワポル。

 

 嘗て悪政を敷き、ある日を契機に善政を敷く王へと変わり。

 

 世界会議の一年前に自らを皇帝と呼ぶようになった男。

 

「そう身構えるな。取って食おうというわけではない――安心したまえ」

 

 安心しろと言われて安心してしまう。

 

 考えるよりも前に、目の前の人物は敵ではないと安心してしまった。

 

 ……もし、そうなら。

 

 私は既に負けているということ。

 

 この圧倒的な存在感の前に私は屈してしまっているっ……!

 

 男は玉座に腰かけた。

 

「まず海軍は敗戦した。そして敗戦からは既に三日経っている。戦後の処理も終え、四日後に君たち海兵を世界政府に返すことが決定しているのだが……此処までに何か質問はあるかな?」

 

「……。つまり生きているのは私たちだけではないわけ?」

 

「アイン! ……口には気を付けたほうが……!」

 

「その通りだ。海軍大将もその他中将、大佐もみな生きている。……まぁ、生殺与奪は握らせてもらっているがな」

 

 表情を変化させず、淡々と語るこの男に私は反発したいのだろうか。

 

 口調が自然と荒くなってしまう。

 

「自分が何をしているか、貴方はわかっているの?」

 

「わかっているとも。世界政府の行いに嫌気が差し行動に移した……」

 

 

 

 ――ただそれだけのことだが?

 

 

 

 たったそれだけで。

 

 この世界を運営する世界政府の敵になるようなことを世界会議という公的な場で言えるのだろうか。

 

 ……いや、言えるのだろう。

 

「貴方は、狂っている……」

 

「なんとでも言うがいい。世界の在り様に疑問を抱かない人間にとって、私が狂っているというのも間違いではない」

 

 ……。

 

「天竜人を守ろうとする奴らからしてみれば、私は異様で理解し難いモノだ」

 

 守ろうだなんて思ったことは無い。

 

「お前たちは考えたことがないのか? 人を人とも思わない連中の醜い姿を見た事があるのなら」

 

 ……それは私自身思ったこと。実際に見て感じたことだ。

 

「天竜人なんて、誰が敬うというの……」

 

「!? アイン……!」

 

 シャボンディ諸島で見せられた、前を横切ったという理由で子供が天竜人に銃で撃ち殺される光景を。

 

 市民を危険から守るはずの私たちが黙ってみることしかできなかった屈辱を。

 

「……敬ったりするわけがないッ!! なんだってあんな奴らを私たちが守らないといけない…! 私は何の為に海軍に」

 

「アイン! 落ち着け! それでは奴の思うつぼであるぞ!」

 

「ッ……」

 

 私がこうなることを分かって言ったのか。

 

 目の前の男は黙って私を見つめたまま、眉ひとつ動かさない。

 

 ……嵌められたのか……。

 

「まぁ、そうだろうと思って聞いたのだ……。少々趣味が悪かったな、すまないことをした。……兎も角、シャボンディ諸島で海軍の言う正義がどれほどおかしいモノかわかっただろう? アイン、ビンズ」

 

 あれ? ……名前、言ったっけ。

 

 言った? うん……。言った。

 

 私とビンズ、互いに名前を呼んでいた。

 

「む? あぁ、これを見ないとわからないか……。アレは私の仮初の姿なのだ。といっても二度と使わぬ姿だが……。アインには色々と申し訳ない事をしたからな……思い出したくもないだろう」

 

「え……」

 

 男の背中から金毛の尻尾が覗く。

 

 もう一本、二本、三本と。五本、七本、九本と増えて。

 

 ……アイツのだ。セクハラばかりしてきたアイツが……隠していた能力。

 

「ウルクは生きて……生きて何処かで……」

 

「……? アイン?」

 

 アイツは海に落ちて沈んだけれど……でも、生きてるって思いたかった。

 

 生きていると思わないと、心が挫けそうだった。

 

 あんな悪魔の実、置いていくとしたらきっと訓練艦から帰って来ていないと置く機会なんてない。

 

「……でもそんな……そんなことって……」

 

 でも此処に、アイツの能力を持った男が居る。

 

 悪魔の実の能力者は同時期に存在しない……つまり、本当にアイツは死んで悪魔の実が新しく生まれたという事。

 

 もう殴れないとわかって悔しくて。

 

 もういつものようにセクハラしてこないんだとわかって何故か寂しくて。

 

 ……腹が立つけれど、何故か愛おしい存在になった男はもう死んでしまったのだと、

 

 

 

 ――勘違いするな。

 

 

 

「あ」

 

 腰を抱かれ、顎を持ち上げられていた。

 

 

 

「私は此処に居る……」

 

 

 

 ――だから泣いてくれるな。

 

 

 

「……やはり、お前が私の前で泣くのは辛いのだ」

 

 

 

 そういって彼は私の頬を伝う涙を手袋で拭う。

 

 終始表情を変えなかった男が、困ったような笑みを浮かべた。

 

 

 

 ――ギルガ・E・ウルクは別人のように変わって生きていたということ。

 

 余りにも変わり過ぎている彼を認識するのに、時間を要したのは至極当たり前の事だったと思いたい。

 

 

 




>>エースの死亡フラグがバッキバッキに折れたよ! やったねルフィ! 家族が減らないよ!
>>あおがみ まいるど けものどの による おとめげーむ のせかい !
テンプレしてないっ!(悲嘆)

一日空いてしまった。
思った以上に書く時間が取れなかった。
くぅ……毎日更新が途切れてしもうた……悔しいのぅ悔しいのぅ!

感想評価有難う御座います。励みになります。
息抜き作品が自分の他の作品よりも閲覧数の伸びが良く、評価を多数もらっているという嬉しいような悲しい様な複雑な心境でございます。

……こうなったら全力で息抜きするしかないか。

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