・マリーゴールドがハンコック並の美女になる
「――へ、蛇姫様! 何かがとんできます!」
「……なんじゃ、そのような事でわらわを呼ぶでない。今は忙しというのに…!」
「いえ、ですが…! ……っはい、失礼します……」
記憶に残るあの少年の姿。私も、ソニアも。……そして姉様の記憶に深く刻みついているあの方。
お慕いするあの殿方。
ただ少々、姉様のは行き過ぎな気もするが。
――あの周囲を完全に圧倒する強さに惚れないわけがなかった。
例えそれが悪魔の実による力だとしても、あの方の強さは『力』というものだけでないこと。……あの背中を思い返せば自ずとわかる。
そしてあの強さに恋い焦がれていることを。
「あぁああ! お名前をお聞きしておけばよかったっ! ……はぁぁぁぁ」
「姉様……」
……己の身体を抱き、身悶えする姿はあまりも痛ましく。
「姉様、失礼します! マリー! 来たわよ!」
「……わかったわ、ソニア」
シャッキー様と共に、女ヶ島まで送り届けて頂いたニョン婆様が心配するのもわかる。
深いため息を吐き、今にも消えてしまいそうな儚い姿を見せる。
恋い焦がれ死をしないか。かつての女帝たちのようにならないか。代々の女帝が行ってきた過ちを、繰り返してしまわれるのではないか。……ニョン婆さまは危惧していらっしゃる。
妹の私たちにはやらねばならないことがある。
我々、九蛇海賊団に仇なすのなら。私は、私たちはふり払わねばならない。
Ξ-Ξ-Ξ-Ξ
「九蛇の船を見つけて寄ってみたのだが……」
「何者だ! 貴様、分かっていながら何のつもりで来た!」
「海賊女帝となった者への祝いをな。……通らせてもらうぞ」
「待て! 待ちなさ――!」
すっごい色っぽい格好のお姉さんたちがいっぱいだぁ(歓喜)
道を開けてもらうため頭を下げたわけじゃないぞ? 有難いものを見せてもらった礼だぞ?
雷になって矢先から逃れ、高速移動。目的の部屋の前へと向かった。
扉の前には身体の大きい二人が……って。
「あ……」
「え…?」
「元気にしていたか? 少女ら」
ボアの妹、その二人だった。
赤髪の美人と緑髪の美人が口を開いて呆然としてるというのは、うーん。
「口の中に虫が入るぞ」
「あ……なんで貴方が此処に!」
「来ては駄目だったか?」
「い、いえそんなことはない……です……」
「……はい」
顔を赤くさせて視線が泳いでいる。可愛い!
一応、再会を喜んでくれているようだから、ほっとした。
「元気にしていたようだな、二人とも。……マリーゴールドとサンダーソニアだったか」
「「――――っっ!!」」
バタン、と守っていた扉の中に逃げ出す様に入っていく。
……ううん? 嫌われた? ドン引き?
あぁ、もうだめだ……さよならおっぱい。出来ることならまた来ておっぱい。
もう自分は、そのおっぱいを触ることは出来ないのだろうけど。
後ろに控えていた先程矢を向けていた者達へ断りを入れて部屋の中へはいった。
>>エネルは深い悲しみに囚われた!
Ξ-Ξ-Ξ-Ξ
「「「来た……!」」」
名前を知ってもらえていたという理由で恥ずかしく、思わず逃げてしまったが、それはソニアも同じだったようで。侵入者から逃げ、護るべき部屋へ入ったことを怒られた。
その姉様も事情を話せば喜色一面。三姉妹そろって顔を赤くさせているところを皆に見られてしまえば、色々と失ってしまうだろう。
そして……入ってきたあの方の顔は先ほどの表情とは打って変わり、暗く沈んでいた。
「……何か嫌われるようなことをしたか?」
「「「……え」」」
一度会っただけだというのに名前呼びは馴れなれしかったのではないか、加えて名を明かさずにいた事が気に障ったのではないか、ということを気にしていたようで。
少しだけだが、近づき難かった印象が薄れた。
「べ、別にそういうわけではなくてですね!」
「む、むしろ大歓迎で…!」
「そう、か。ならばこれからは名前で呼ばせてもらうぞ」
「「はい!」」
「そうだな、マリーゴールドとサンダーソニア……マリーとソニアでいいか?」
あまりの衝撃に息をのんだ。
嗚呼、改めて。初めて焦がれた相手に名を、愛称で呼ばれることがっ……こんなにも嬉しい事だとは…っ!
心の臓が鼓動を早め、風邪を引いたときのように頭がぼぅっと何もかんがえられなく……、
「ちょっと待てェええ!!」
姉様が怒られた。ボーっとしていた思考がクリアに、冷や水をかけられたように熱引いていき。
姉様の怒気に触れた今、寒気すら感じる。
「何故じゃ! 何故わらわが無視されておるのじゃあ! 海賊女帝と呼ばれる、絶世の美女と呼ばれるこのわらわより先に妹たちと――!」
「ハンコック」
「なんじゃ! ――って! い、今な、な、名前で…っ!」
「美しく、綺麗になったな。――七武海への参入と皇帝就任、おめでとう。名前の方が気楽でいいかと思ったのだが……うむ」
「い、いや! よいのじゃ! ……すす、好きにするがいい…!」
「む? そうか……よかった。さて、名乗り遅れてしまったが私の名は――」
エネル。
「――と気安く呼んでくれ」
何れ世に能力と、そして、その名を轟かせるだろうというのは、助けてもらった時に既に予感していた。
怒っていた事を忘れ、金で出来た蛇のイヤリングをもらって嬉しそうにしていた姉様を「姉様って実はちょろいんじゃ」と思ったのはソニアとの秘密だ。
Ξ-Ξ-Ξ-Ξ
引かれたわけじゃなかったからよかった……。
それにしてもスゲーな、自動変換。前の自分だったらあんな事言えないぞ? どもってしまって何言ってるか絶対伝わらない。
まぁ、乙女思考でチョロイン過ぎるハンコックは可愛かった! 慌てたソニアとか未だ美人なマリーとか可愛かったッ!
すっげー、『( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!』 だったっ!
ただ凄く言動が中二チックになるのが辛い(白目)
うむ、とか言ってる見るに堪えない自分の姿を想像してしまって辛い(吐血)
……だけど、この自動変換のお蔭でおっぱいいっぱいの女ヶ島への出入りが可能になったというのだから我慢しよう。
あぁ、あと体型が変わって欲しくないがために、マリーに「食べ過ぎはよくない。今の体型のまま、美しくなってくれ」と言ったから……うん、きっと今のまま美女になってくれるに違いない。
ちゃんこ鍋はできるだけ食うなって言ったから十年後も痩せていてくれるはず!
そのあとマリーが赤面して気絶したなんてことがあったが、儂は知らんぞ(すっとぼけ)
>>大体ちゃんこ鍋のせい
はいはいテンプレ、テンプレ。