発情期の男がツンデレメスケモちゃんを襲わないように娼館に行って発散してきたんだけど、それに対してツンデレメスケモちゃんが怒っちゃったらしい。

暴力系ではなく、ちょっとだけむっすーっと機嫌が悪くなっちゃうタイプのツンデレメスケモちゃんです。

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ツンデレメスケモがツンツンしながら優しい相棒にエッチさせてあげても良いよって遠回しに伝える話

 

 

 

 

 

 ..玄関前の石段を軽快に奏でるブーツの足音が聴こえた。途端にちぎれんばかりに左右に振れようとする尻尾を左手で抑え、アタシはバカで変態だけど愛しい彼の出迎えに向かう。

 

 この日のために奮発して買った少々大胆な下着の違和感に内股をすり合わせつつ、静かな木の廊下にひたひたと肉球の跳ねる音を響かせて、体のラインにぴっちりと張り付くちょっぴりセクシーな上着の裾をなびかせる。

 

 そう、今日は少し前から練っていた作戦の決行日。

今日こそアタシは彼の相棒という立場から恋人に成り上がるのだ。

 

 L字の廊下の角に手をかけて勢いよく顔を出すと、いつもと変わらない愛嬌のある素敵な笑顔を咲かせた彼のご機嫌な表情が見え、早く靴を脱ごうと左足をフリフリと降っている様子にクスリと笑ってしまう。

 

 そんなアタシの声に気がついた彼は顔を上げ、ニマニマとした笑顔のまま大きく口を開き、数年ぶりに再開した親友にでも話しかけるかのようにおおげさに語りかけてくる。

 

 

 

 

 

「あ、たっだいま〜!ちょっと娼館行ってきたぜ〜!!」

 

 

「.....は?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 .....思考停止、理外の出来事。

全く意味を想像することが出来ない二字熟語と平仮名の組み合わせが彼の口から出力される。

 

 ちょっとした悪戯心で下着をその辺に仕掛けておくとしばらく手に持って頂戴するか迷ってしまうようなすけべの癖に、生粋の童貞気質のヘタレで全く手を出してこない紳士的な彼がそんなことを言うはずがない。

 

 しかし、その言葉を聞いてビシリと固まってしまった私の目の前で、ハテナを浮かべながら立っている彼から漂う、甘ったるい香水と性の香りの混ざった臭いがその妄言を裏付ける。

 

 

 

「........な、なんで....?」

 

 

 

 たっぷり8秒ほど硬直した後、アタシの脳ミソはとてつもなく大きなディレイを持って思考を再開し、苦虫を集めた袋を下に向かって引きしぼるかのような怯えを含んだ疑問を捻出する。

 

 左右に振れる動きを瞬時に止めた尻尾は先程のご機嫌ぶりから一転して床を突き刺すかのように垂直に垂れており、星の重力に完全に屈服してしまっていた。

 

 夜のとばりがゆっくりと降りようとする中、魔法の明かりが赤いレンガ造りの街中にポツポツと灯り始める幻想的な時間は、今や玄関ドアのステンドグラスの向こう側に追いやられ、現在地たる彼とアタシの活動拠点は地獄のような空気になりつつある。

 

 .....主にアタシのせいだけど

 

 

 

「え、えと....ゴメン....」

 

 

 

 娼館発言から明らかに空気が変わったのを敏感な彼は即座に感じとり、自身の体と同じく短毛で茶色い大きな両耳をパタンと伏せ、ゆるゆると機嫌良さげに揺らしていた長めの尻尾も太ももの間に挟んでしまった。

 

 そして、すぐさま中身のない謝罪を飛ばすと同時に、脳内に散らばる記憶の欠片を繋ぎ合わせる思考と視線を右往左往させて、必死に目の前の相棒が急に機嫌を悪くした原因を究明しようとしている。

 

 まるで教師や親などに呆れ返るほど説教をされて、自分が怒られることに慣れてしまった子供のような仕草だ。そんなところも非常に可愛いのだが、今はそんな場合ではない。

 

 

 

「.......あ、す...! ..ぼ...、おれ...!そ、そろそろっ発情期だからっ!いいつもみたいに部屋にこもってがるがる唸ったり枕に噛み付いたりしてるよりは、最初にみんな発散しちゃって気持ちよく過ごせた方がいいかなって...!」

 

 

 

 ...しどろもどろ、水道管に詰まった土塊を棒でつき崩すかのように話を展開する彼。ボクはかっこ悪いからオレにすると言って3年経ったのに、未だに切羽詰まるとボクが出てしまうみたいだ。

 

 とにかく..... ほう、発情期ときたか。

こればかりは我らケモ族全てに等しく訪れるものだからしょうがない。これを出されたらしょうがないと言わざるおえない。

 

 けど、アタシは面倒くさい女なのだ。

 

 

 

「......ふーん...。」

 

 

「あ.....!そ、それに、は、発情期の時...、いつも...その....襲いかかりそうになっちゃって、あとからすごく申し訳ない気持ちになっちゃうから...!」

 

「と、というか、最初にその...襲いかかりたくなっちゃう事を友達に相談したら、は、話の流れで、そんなことになるなら最初から発散して終わらせてしまった方が良いってなって....そ、そのまま娼館に.....」

 

 

 

 ぴくり。尻尾が少し振れそうになる。

 

 ....へーー、アタシのためだったんだ。

 

 その事を理解した瞬間口元が緩み始め、体の力がどっと抜けていくのを感じる。意外とちょろい女でもあるのだ。アタシはね。

 

 

 

「.....ふぅん、なーんだ。」

 

「...まあ? 恋人でも家族でもない、ちょっと昔から付き合いがあるだけのアタシを襲わないようにするなんて当然だし?べつに驚いてなんかないけどね。」

 

「まー、なんでもいいけど早く上がりなさいよね。もうお風呂と夕飯できてるから。おっと、お風呂は入ってきたんだっけ」

 

 

「う"...うん... あ、ありがとう...?」

 

 

 

 ふん、このにぶちん。

こんな女心が分からないにぶちんにはついつい嫌味を言っちゃってもしょうがないよね。

 

 本当はこんなこと言いたくないのに、何故か彼をいじくる言葉が口をついて出てきてしまう。アタシはイヤミな女でもあるのだ。

 

 ...そんなイヤミな女のアタシはしょぼくれる彼を置き去りにくるりと踵を返し、先程跳ねるように通り抜けてきたL字の廊下をゆっくりと歩き始め、出来たての食事が並べてあるリビングへと向かう。

 

 ステンドグラス越しのぼんやりとした明かりに照らされる玄関に1人取り残されて呆気に取られる彼へ、アタシは振り返ることもなく去り際に一言言い残す。

 

 

 

「........ハァ.....

アタシ、別に襲われてもいいから。」

 

 

 

 .....惚れた男に尽くす女でもあるのだ。アタシは。

 

 

 

 

 

 








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