白竜姫の航海日誌   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 カオスな主人公陣営が出てきます。
 竜姫は甘えん坊で、親代わりの青年は愉快犯寄りです……w


白竜姫とトリックスター

 蒼が広がる海の世界。

 偉大なる航路(グランドライン)と呼ばれているどこまでも広がる遥かなる旅路。

 空を映し取ったかのような広い場所を、わたくしは大きな翼を広げて飛んでいた。

 

「とうとうルフィも海賊デビューか。いやぁ、年月ってのは早いもんだな。ブランカもそう思うだろう?」

 

 自身の背中に、1人の青年を乗せながら。

 青年の名前はドラヴェイン・D・オズウェル。幼い頃から共に過ごしていたわたくしの家族の1人。

 兄のような存在と言えば良いのでしょうか?何はともあれ、長いこと一緒に過ごしてきた人間であることには変わらない。

 

 そんなオズウェルは、今日はずっとこの調子。

 彼にとっての弟のような存在であり、わたくしにとっての兄のような存在である1人の少年の話題ばかり。

 それもそのはず。オズウェルの手元に現在握りしめられているのは、モンキー・D・ルフィと呼ばれる少年の手配書が握りしめられており、そこに映る満面の笑顔を見せる少年を誇らしく思っているのが見て取れる。

 

「……って、お前はまだ人間だと1歳になったばかりくらいだから話せないんだったな。意思疎通はできるけど。」

 

(まぁ、言葉は理解できますね。ですが、かつての成竜たちのように、テレパシーはまだ使えませんから、言葉は分かれど、話すのは難しいと言いますか……。

 話せるようになるには基本的に200年程時を有するので、あなたが生きている間は話せないでしょうね。)

 

 独り言話すのさみしいなー……などと言ってくる兄貴分に、視線だけを一度向ける。

 全く……本当に彼はおしゃべりな方です。誰かと話すのが好きな人間だから、当然と言えば当然だけど、だったらルフィやエースと一緒にいたら良かったでしょうに……。

 なぜ兄貴分たちは全員揃って自分がリーダーになりたがるのでしょうか。

 

 そんなことを思いながら、わたくしは翼を大きく動かし、飛翔する。

 同時に風を少しだけ操る。

 

「おわ!?」

 

 吹き抜けた風はかなりの強風。わたくしの背中に乗っていたオズウェルですら、怯んでしまう程のもの。

 その隙をついて、彼の手元から手配書を取り上げたわたくしは、風を利用して自身の目の前で浮遊させる。

 

 “麦わらのルフィ 懸賞金3000万ベリー 生死問わず”……ですか。初っ端の懸賞金の割にはなかなかの高額をつけられていますね。

 流石は未来の海賊王。名前を知らしめる1枚目の手配書の段階でこれ程の値段をつけられるとは、存在感が凄まじいです。

 

「おーい、ブランカ〜?手配書が見たかったならそう伝えてくれーぃ……。

 いきなり強風が吹き抜けたせいで、落っこちちまうところだったじゃねーか。おれ泳げねーんだけど?」

 

 久々に見た一番下の兄貴分……わたくしの義兄の1人であるルフィの手配書を眺めていると、背中の方から声が聞こえる。

 言われてみれば、一番上の兄貴分であるオズウェルは、悪魔の実の能力者でした。

 概要としては、物を消したりあるように見せたり、惑わす能力に長けているトムトムの実で、あらゆる幻術を使用することができる幻影人間……いわゆる超人系(パラミシア)の能力者……ではあるのですが、正直、それは偽りではないかと訝しむわたくしです。

 はて……本当の能力はなんなのやら……。まぁ、わたくしに害がないのであれば別に気にしないのですが。

 

「お?随分と久しぶりに見る奴らがいるじゃねーか!おーい!ブランカ!オズウェル!ちょっとこっちこいよ!」

 

「「!」」

 

 そんなことを思いながら、のびのびと空を飛んでいると、下の方から声が。

 すぐに視線をそちらへと向けてみれば、そこには見慣れた赤毛と、羽付帽子が座っていた。

 

「あれ?シャンクスとミホークじゃん。ブランカ。下に降りてくれ。」

 

 わたくしの背中から2人……ではなく、酒盛宴会を行なっている赤髪海賊団と、鷹の目と呼ばれる七武海の剣士の姿を確認したらしいオズウェルから、下に降りるように指示を出される。

 それを聞き小さく頷いたわたくしは、風を操り、ルフィの手配書をオズウェルに返還したのち、ふわりとその島へと降り立った。

 その瞬間、奥の方に座っていた赤毛……赤髪海賊団の船長であるシャンクスがわたくしたちの方へと寄ってきた……のですが……!!

 

「!?シャーッ!!」

 

「おわ!?ブ、ブランカ!?なんで威嚇すんだよ!?」

 

(ちょっと、なんですかこの酒のニオイ!!どれだけ飲んだんですかこのおじさまは!!)

 

 その瞬間嗅覚で感じ取れた酒のニオイに、威嚇の声をその場で上げる。

 信じられません!!このおじさまはわたくしがお酒のニオイを得意としていないことを知っているはずなのに!!

 

「シャンクス。お前、またかなりの量の酒飲んだな?」

 

「ええ?そこまで飲んでねーぞ?確かに瓶とかタルとかいくつか開けたが、ここにいる奴ら全員で飲んでいただけだし……」

 

「ブランカがシャーッて牙を剥くっつーことは飲み過ぎなんだよ。こいつはあまり酒が得意じゃねーから。」

 

「ガルルル……!!」

 

「つーことは、あれか……?おれ、ブランカのこと撫でれない?」

 

「噛み砕かれてもいいなら撫でれば?下手したら腕どころか頭もなくなるかもだが。」

 

「こえーよ!!」

 

 顔を青くして怖いと言うシャンクスに、わたくしは唸り声を漏らしたのち、顔を背ける。

 感じ取れる感情の流れから、相当ショックを受けているようですが、へべれけおじ様を相手にしたくありません。

 

「ブランカ。」

 

「?」

 

 そんなことを思っていると、静かに名前を呼ばれる。

 視線を声の方へと向けてみれば、そこには鷹の目ことミホークおじさまが。

 急に名前を呼ばれたため、静かに首を傾げていると、ミホークおじさまはわたくしの方へと歩み寄り、そっと片手を差し出していた。

 反射的に片手へと鼻を近づけ、失礼ながらも差し出された手のニオイを嗅がせて貰えば、お酒のニオイはほとんど感じない手。

 

 ─────……いえ、少しだけ血液と鉄のニオイがありますね……?また暇潰しという名目で、海賊船でも襲ってきたのでしょうか?

 

 何はともあれ、お酒のニオイよりは何倍もマシです。血のニオイや鉄のニオイは嗅ぎ慣れておりますので。

 

「……そうか。触らせてくれるのだな。」

 

 モフッと差し伸べられた手の上に、そっと頭を置いてみると、ミホークおじさまはわたくしのことを撫で始めた。

 緩やかに、わたくしの体の一部を覆っているモフ毛や、わたくしの体の大半を占める鱗を触る手つきは、とても心地の良いものでした。

 

 ─────……流石はミホークおじさまです。触り方が優しくて、わたくしが撫でられるのが好きな場所を的確に見つけ出し、撫で回してきます。

 

 とても気持ちの良いその手つきに、わたくしは小さく笑みを浮かべる。

 わたくしの尻尾がゆらゆらと揺れていることには気づいていますが、こればかりはわたくしが好きな撫で方をしてくださるミホークおじさまに対する一種のお礼であり、わたくしの機嫌を示すことができる一つの手段なので、なんとも言えないです。

 ある意味で生理反応ですので、仕方ない仕方ない。

 

 ─────……ですが、いささかこの体ですと少しばかり体勢がキツイですね。さっさとオズに降りていただきましょう。

 

「あだ!?ちょ、ブランカ!!翼がいてーよ!!わかった!!わかったから!!降りるから翼で体を叩いてくるんじゃない!!」

 

 そんなことを思いながら、邪魔なオズウェルの体を何度か叩いていると、ようやく背中にあった温もりが下へと降りる。

 それを確認したわたくしは、すかさず自身が持ち合わせている力を抑え込み、その場で姿を変貌させた。

 いわゆる一つの省エネモードです。大体ちょっと大きめの成獣サイズの猫くらいの大きさと、重さを兼ね揃えております。

 

(これでよし。もっと撫でてくださいませ、ミホークおじさま。)

 

「これは……なるほど。このサイズのブランカを抱えるのもなかなか久しいものだ。」

 

 体を小さくして、ミホークおじさまに擦り寄れば、ミホークおじさまはわたくしの意図に気づき、そっとその腕の中へとわたくしを抱え込む。

 ミホークおじさまは鍛えていらっしゃるので、少々胸筋やら腕の筋肉やらが硬めですが、やはり安定感がすごいです。

 もちろん、オズウェルに抱えられるのも、お酒を飲んでいない状態のシャンクスおじさまに抱えられるのも嫌いではありませんが。

 ああ……ですがやはりミホークおじさまが一番安定しておりますかね?

 海軍の大将さんたちや、七武海のドフラミンゴおじさまなどは、少々肉体ががっしりし過ぎている上、お体がそこそこ巨大ですので、ちょっと怖かったりすると言いますか……。

 いえ、ドフラミンゴおじさまは別に嫌いではないと言うか、割と好ましい方ではあるのですがね。

 ただ……本来のこの白竜の姿であろうとも、人間に紛れて行動する際の人の姿であろうとも、やけにわたくしを気に入られていて、度々おれのところに来いよと言ってくるのはどうかと思いますが……。

 

 別に悪くはないのですよ?ドフラミンゴおじさまってよくお菓子とかジュースなどの甘いものをくださりますし、お忍びモードの人の身であろうとも、本来のこの白竜姿であろうとも、アクセサリーやお洋服などを買ってくださりますし、かなり甘えさせてくださったりもしますから。

 ですが、やはり何か違うと言いますか……悪のカリスマって感じの方なので、ちょっと苦手と言いますか……。

 わたくしの前ではお気に入りの女性にひたすら貢いだり可愛がろうとする甘やかしおじさま姿がほとんどですが、やはり滲み出る悪徳カリスマは、少しだけ得意ではありません。

 ええ……嫌いではないのですが……。

 

 そんなことを思いながら、ミホークおじさまに抱えられていると、こちらをじーっと見つめる視線に気づく。

 視線の方へと目を向けてみれば、やはりと言うか、シャンクスおじさまがしゅんとした表情でミホークおじさまを見つめていた。

 

「……おめーはいいよなー…………」

 

「フッ……お前が酒を飲み過ぎなければよかっただけだ。」

 

「うるせー!!」

 

 どことなく自慢げに勝ち誇ったような表情を見せるミホークおじさまに、シャンクスおじさまがイラっとしている様子を露わにする。

 その姿を見つめながら、わたくしはフイッと顔を背けた。

 

(ミホークおじさまの言うとおりです。お酒さえ飲み過ぎていなければわたくしとてシャンクスおじさまをこうまで避けません。)

 

 シャンクスおじさまに抱っこされるのも撫でられるのも嫌いではありません。

 ですが、やはりお酒のニオイがきつい方の側には行きたくないと言うのがわたくしの意見です。

 別に飲むなとは言いませんが、ハッキリとニオイを感じ取れてしまう程の飲兵衛は得意ではないので。

 ちゃんとした量を守っているのであれば問題はありませんが、二日酔いするレベルは無理です。

 

「ブランカは雑に体を触られるのは嫌うんでね。二日酔いのおっさんには触られたくないんだよ。」

 

「……次におれの前に来る時は事前に言ってくれ。禁酒は無理だが控えるから。」

 

「どんだけブランカを触りたいんだよお前は。まぁ、ブランカが触り心地良いのは否定しないけどな。」

 

 しょんぼりしながらも、次からは事前に言えとオズウェルに告げるシャンクスおじさま。

 必死過ぎる様子に、オズウェルは軽く引きながらも、次は伝えると言っている……が、その言葉の語尾には明らかに多分……と言う意味が含まれている。

 ……この時のオズウェルは基本的にわざと黙って過ごしてわざと不意にやってきてをやらかすタイプのオズウェルですね。

 つまり、わたくしたちが来ることを言うつもりはないと言うことです。

 

(オズウェルはこう言う愉快犯なところがあるので、たまに海に突き落とそうかと思ってしまうのですよね……。

 特に楽しいからとめちゃくちゃなことをやり始めたりする時などは。)

 

 それにより被害を浴びるのが海軍の大将さんや、センゴクおじさまなのですよね……。

 サカズキおじさまとセンゴクおじさま……胃に穴が開かなければ良いのですが……。

 

「くあ〜……」

 

 頭の片隅で、今度おじさまたちに胃薬でもお持ちしましょうか……などと考えながら、あくびを漏らす。

 ずっと飛びっぱなしだったので少しだけ疲れてしまいました。別に飛ぶことは嫌いではないと言うか、むしろ飛ぶことは大好きなのですが、こうして地面……と言うよりは、どなたかの腕の中に収まっていると、ついつい眠たくなるのですよね。

 

「……ブランカ?」

 

「あー……多分、ミホークの腕の中にいるから眠たくなったんだな。ブランカって、誰かの腕の中に収まると暖かくて眠たくなりがちなんだよ。

 サンスプリットドラグナーと呼ばれる神格を持ち合わせている白竜神ではあるが、基本的には甘えん坊の仔ドラゴンだからな。

 誰かの温もりに包まれていると眠りたくなるんだとさ。」

 

「なるほど。そうだったのか。」

 

 うとうとしながらミホークおじさまの腕の中にいると、オズウェルがわたくしの性質についておじさまに説明する。

 それを聞いたミホークおじさまは、わたくしが急にうとうとし始めた理由に納得したようで、相槌を打つように言葉を紡ぐ。

 わたくしの体を優しく撫でながら。

 

(あー……ダメですね……。うとうとしてる時にそうされてしまったら………)

 

 あまりにも気持ち良過ぎて、わたくしはそのまま目を閉じる。

 同時に、ミホークおじさまの腕の中から誰かの腕の中へと移動した。

 この手慣れた抱き方はオズウェルですね。眠ろうとしているわたくしを回収しようとしたようです……。

 

「ブランカも休ませたいし、ちょいと邪魔させてもらうぜシャンクス。ああ、ブランカに触りたきゃ酒抜いてこいよ。じゃなきゃ間違いなく噛まれるからな。」

 

「……ったく……お前ってほんっと昔っから自由人だな。勝手におれの船に居座ると思えば急にいなくなっての繰り返しだしよ……。」

 

「そりゃあ、おれはトリックスターなんで。」

 

「意味わかんねーよ……」

 

「おれは明日の朝にでもこの場を発つ。七武海の会議に呼ばれていてな。まぁ、どうせ近況報告以外何もないと思うが、様子見だけはするつもりだ。」

 

「ふーん?相変わらず王下七武海はめんどくさいな。どうせ会議してもなんも始まらねっしょ?」

 

「ああ。だが、お前たちと顔を合わせたのであれば行かぬわけにもいかん。

 特に、特定保護観察対象として手配されているブランカと会ってしまった場合、保護して海軍本部へと連れて行くか、報告するかのどちらかはしなくてはならないからな。」

 

「特定保護観察対象……ねぇ……?ただの言い訳だろそれ。本当は、自分たちの制御下にブランカを置きてーってだけのくせに。」

 

「それは仕方ないのではないか?なぜならブランカは悪魔の実の能力を全て無効化すると言う特徴を持ち合わせている存在だ。

 特に、自然系(ロギア)の能力者を完封してしまう自然を司る神の竜となると、海軍もこぞって手を伸ばす。

 海軍の三大将がいい例だ。お前も結局のところ、お尋ね者だからな。必ず大将が出てこなくてはならないレベルの存在であるため、姿を現したと言う情報を得た時、捕縛に出向いた三大将が各能力で挑んだ際、その全てを無効化してしまったのは、そこの姫君だろう?」

 

 眠気と闘いながら過ごしていると、ミホークおじさまがそんなことを口にする。

 ……そう言えば、5年程前にそのようなことをした記憶がありますね。確か、三大将が当時揃っていて、オズウェルを捕まえようと奮闘していて、ですが、全員が使う能力を、わたしが全て無効化しましたね。

 

 まず……サカズキおじさまが放ってきたマグマを即行で海水を利用することで硬め、戸惑うサカズキおじさまに対して、オズウェルが攻撃。

 次に、ボルサリーノおじさまが襲ってきましたが、自身の鱗を利用することでその光を全て反射し、物理混ざりの攻撃も尻尾ビンタのみで防ぎ、そのまま地面へと撃墜。

 最後にグザンおじさまが氷を使っての拘束を試みておりましたが、襲いくる氷は一部残して全てわたくしが溶かしたのち、残った氷を美味しくいただくと言う……。

 一瞬にして大将クラスを無効化してしまったがゆえに、大将の皆様と一緒に集まっていた海兵さまがぽかんとしていた姿は記憶にしっかりとあります。

 当時のわたくしは、覇気と呼ばれる力のことは知らず、全て自身が持ち合わせている自然の操作能力と鱗を利用することによる無効化だったので、皆様からは驚かれてしまいましたね。

 

「ああ。あの『氷お代わり事件〜全ての攻撃無効化を添えて〜』か。」

 

「ガウッ!!(なんですかそのネーミングは!!)」

 

「あはは。悪い悪い。」

 

「氷お代わり事件……?」

 

 そんなことを考えていると、オズウェルが当時のことを思い出したように口にする。

 その際失礼なネーミングを告げられたため、怒るように一言鳴けば、笑いながら謝罪された。

 

「確かに、あの時はなかなかに衝撃的だったな。当時、七武海も混ざっていたのだが、覇気を纏った攻撃すら無効化されてしまった記憶がある。」

 

「ブランカは幼くても竜神だからな。人間さまの攻撃は全部効かねーのよ。例え即死級の攻撃を使われてもな。

 触れて氷漬けにしようとしても、凍らせたところから全部溶かすし、マグマの雨も一瞬にして冷まして岩にしちまうし、光も普通に反射して軌道をずらしちまう。

 糸による拘束も無意味でな。容赦なくブチッと切っちまうし、砂による渇きも空気中にある水を利用するだけで回復し、強力な覇気を纏う斬撃も、ドラゴンスケールの前じゃ無力。

 化学兵器ですらブランカを傷つけることはできねーから、寿命による死しか持ち合わせてないんだなー、これが。」

 

「周りが攻撃を放つ中、表情を変えることなく海軍の大将である青雉を眺めていてな。

 その時、ブランカを無言で眺めていた青雉に、オズウェルが氷を作ってやれと言ったんだ。」

 

「そんで、おれに言われるがままにグザンは氷を作ってさ。出来上がった氷は全部ブランカの腹の中だ。」

 

「どうやら、赤犬の力が辺りをそれなりに熱くしてしまったらしくてな。体を冷ましたかったそうだ。」

 

「出来上がった氷でブランカがかき氷を作り始めた時は、さっきまでの殺伐さは一気に脱力してよ。

 おまけにブランカはその際人の姿に自身の容姿を変化させるもんだから、周りはビックリしたんだ。」

 

「目の前でかき氷を作りを開始された青雉の表情は今でも覚えているぞ。」

 

 疑問を浮かべて首を傾げるシャンクスおじさまに対して、オズウェルとミホークおじさまが、当時何があったのかを説明する。

 それを聞きながらわたくしは、その時の記憶を思い返す。

 

 ─────……えーっと、お嬢さん?海水を凍らせた氷でかき氷作ってるみてーだが、しょっぱくないのかい?

 

 ─────……!

 

 ─────……何これ?え?おれに食ってみろって言ってたりする?

 

 ─────……♪

 

 ─────……あらら、無味無臭。どうなってんのこれ?

 

 ─────……!

 

 ─────……えっと?氷を、砕く時、塩気を、抜いてる?

 

 ─────……!

 

 ─────……どうやって抜いてんのかちょいと気になるが、まぁ、塩抜きができるのはよくわかった。だが、無味無臭の真水の氷だけど、どうやって……

 

 ─────……!(ドヤ顔)

 

 ─────……まさかのジャム持参て……。いや、普通に目の前でジャムをかけたかき氷食ってるし。

 

 ─────……♪

 

 ─────……え?おれにも分けてくれんの?……あ、意外といける。

 

 ─────……って何呑気にかき氷を食っとんじゃお前らは────っ!!?

 

「いやぁ、サカズキがツッコまなかったらそのまま幼女とおっさんがかき氷を食ってる絵面が続くところだったわ。」

 

「まぁ、赤犬が怒鳴ってる間も、ブランカと青雉はかき氷を食べ続けながら聞いていたがな。」

 

「マイペースとマイペースが合わさった瞬間、ただのシュールな世界が広がるって改めてわかったわ。」

 

「なんでそんな面白いことになってんだよ。その場にいたら爆笑してたな。」

 

 オズウェルとミホークおじさまも、あの時のことを思い出していたのか、笑い声を漏らす。

 シャンクスおじさまは2人の会話から、絵面を想像したのか少しだけ笑いながら、当時、自分がいたら間違いなく笑っていたと口にした。

 わたくしからすると、何が面白いのかわからないのですが、周りの皆さまからすると、かなりおかしな絵面だったようです。

 

「まぁ、そのせいでブランカは海軍に目をつけられてな。いろいろ調べられた結果、ブランカが神格を持ち合わせている唯一の生きた竜神であり、数千年に一度しか生まれないサンスプリットドラグナーって言う神格ある存在ってわかったから、特別保護観察対象とか言う立場を与えられ、おれはそんな竜姫を育てている人間って理由から、ALIVE ONLY扱いの手配書を出されちまったんだけど。」

 

「そりゃそうだろ……。全ての攻撃を無効化する存在と一緒に行動を取ってる親代わりの人間なんて、どうやっても殺せそうにねーからな。」

 

「そもそもお前は簡単に殺されるようなタマではないだろう?突然現れては突然消えるを繰り返すトリックスターなのだからな。

 今の強さになる前に、何度も死ぬ間際まで追い詰められているはずだと言うのに、暴いてみればそれは全て偽物で、本体であるお前はどこにもいない。

 ブランカを連れていても、それはただの傀儡であり、ただのぬいぐるみだったと聞いたことがあるぞ?」

 

「当たり前じゃん。おれは誰にも捕まらねーよ。ブランカも保護できるわけがない。」

 

 不敵な笑みを浮かべながら、捕まるわけがないと口にするオズウェル。

 その言葉のカケラの中には、やはりと言うか、ファントム……幻術や幻影を操る能力では説明することができない何かがあるような気がした。

 これに関しては、何も教えてくれないのですよね、この方。話すつもりがないのか、それとも自身だけではまだ完結できていないから話せないのか……。

 

「んじゃ、とりあえず雑談はここまでにして、邪魔するぞシャンクス。しばらくの間、世話んなるぜ。」

 

「おうよ。」

 

「賑やかになりそうだな……」

 

 そんなことを思いながら、オズウェルの腕の中に収まっていると、彼はシャンクスおじさまに邪魔すると一言告げる。

 ミホークおじさまは賑やかな者が増えたと思っているのか、少しだけ呆れたような様子を見せる。

 まぁ、おしゃべり好きなオズウェルに、宴会好きのシャンクスおじさま含む赤髪海賊団が合わされば賑やかになることは間違い無いでしょうね。

 

(ミホークおじさまは、賑やかなところはあまりお好きではなさそうですからね。この2人が合わさってしまった以上、それなりに心労を感じるでしょうね。

 どちらも絡み酒タイプの酔っ払いになってしまいますし。まぁ、わたくしがいるので、オズウェルはそれなりにお酒を控えると思いますが、場合によってはミホークおじさまを避難所にしましょう。)

 

 モフテラピーは大事です……などと考えながら、眠気が飛んでしまったわたくしは、ふわりとオズウェルの腕の中から、ミホークおじさまの肩へと移動する。

 ミホークおじさまは、移動してきたわたくしを見つめたのち、小さく笑いながら頭を優しく撫でてきた。

 シャンクスおじさまは相変わらず羨ましそうです。

 

「ミホーク。多分、ブランカはお前がいる間はお前を避難所にすると思うから頼むわ。」

 

「そうか。では、今夜はおれがブランカの面倒を見よう。」

 

「おう。」

 

「え〜……おれは〜?」

 

「………。」プイッ

 

「嫌だとよ。」

 

「完全なる拒絶だな。」

 

「………酒控えるか……。」

 

 遠い目をしながら、お酒を控えようと言うシャンクスおじさまを見て、オズウェルとミホークおじさまが笑い声を漏らす。

 王下七武海とALIVE ONLYのお尋ね者と、四皇の一角に特定保護観察対象……合計したら100億ベリーは超えてしまうであろうメンツが集まっていながらも穏やかな時間が流れると言うのは、なかなか独特な構図ですが、この日々は悪くないものです。

 

 穏やかな時間はとても好きです。

 だからこそ、これからもこのような日々が過ごせる毎日が過ごすことができることができたら良いのですが。

 

 そんなことを思いながら、わたくしはミホークおじさまに頭を撫でられる。

 わたくしの義兄であるルフィが航海に出たこと……それが、とんでもない波瀾万丈な日々が増えることになるとは思わずに。

 

 

 




 ブランカ
 白い毛と鱗に蒼い瞳が特徴的なファードラゴンであり、数千年に一度しか生まれない神格持ちのサンスプリットドラグナーと呼ばれる存在。性別はメス。
 あらゆる攻撃を全て無効化するため、寿命以外で命を落とすことができない。
 この世に生まれ落ちてから、16年しか経っておらず、竜からしたら1歳になったばかりの赤ん坊。(10歳で人間にとっての1年経過になる)
 人の姿をする時は竜形態だと作業が難しい時のみのため、基本的には竜の姿のままでいる。
 200年経ってようやく会話ができるようになるため、現在は言葉は理解できるが、言葉を話すことができないので、意思疎通の際はジェスチャーを多用する。
 自然の力を操ることができるため、悪魔の実の能力者……特にロギアには強く出ることができるので、ロギア殺しでもある。
 最近海に出たモンキー・D・ルフィの義妹らしい。

 ドラヴェイン・D・オズウェル
 黒と赤の2色の髪と、赤い瞳をしている美丈夫で、ブランカの育ての親。
 トムトムの実と呼ばれる悪魔の実を食べた幻人間で、幻術を使用し、翻弄する姿からトリックスターの通り名を持ち合わせている。
 しかし、ブランカ曰く、明らかに幻術を使用するだけでは説明がつかないと考えており、効能は誤魔化していると判断されている。
 年齢は21歳で、遊びたがりな青年であり、人を揶揄うことも大好きなため、しょっちゅう海軍と海賊を振り回している。
 最近海に出たモンキー・D・ルフィの義兄らしい。

 シャンクス
 ブランカを撫でたかったが酒臭いと言う理由から断られてしまった赤髪海賊団船長。
 自由気ままなオズウェルに振り回されまくる被害者の1人。

 ジュラキュール・ミホーク
 たまたまシャンクスの元に足を運んでいた王下七武海の剣士。
 現れたブランカとオズウェルに相変わらず自由だと思いながらも、もふもふの毛を持つブランカを可愛がる。


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