一度地に墜ちた天馬は、再び翼を広げ、青空を駆ける。 作:桐山たかふみ
こんなんじゃ見離されちゃうよ〜!!(手遅れ)
その後、気絶させておいたヘルメット団は全員学校の外に放り出しておいた。流石に負けた直後にまた仕掛けてくることは無いだろうと思うが…念の為にまた確認しておくか…
そうして、俺達は一度校舎に戻り、再び対策委員会の会議室で各々椅子に座ってこれからのことを話し合おうとしている。
「とりあえず当面の危機は去りましたね…」
と、アヤネが呟けば
「そうそう!ようやくあの鬱陶しかったヘルメット団をなんとか出来るようになったんだし、これでようやく借金に全力を注げるわね!!」
セリカがそう叫ぶ。
…借金?普通に学校…で聞くことが無い言葉が聞こえて来た気がするんだが…一応調べて来たが、彼女達に聞かないと分からないこともあるか…?
と思ったものの、当の本人はしれっと口から出たことに気付いておらず、機嫌良さそうにしているため、その事については今は触れないことにする。
とにかくヘルメット団による襲撃を、ここまで完璧に叩き潰したのは始めてらしく、対策委員会のみんながまだ出会って間もないものの、どこか心に余裕が出来たと言うか、スッとしたような顔持ちをしていた。
「その…いいか?」
「はい、先生?どうかしましたか?」
「借金どうこう…って話しが聞こえた気がするんだが、それってどういう…」
借金。その単語を口にした途端、部屋の雰囲気がこれまでの穏やかな感じから一気にピリッと緊張が奔ったような感じに変わり、皆の顔を見てもついにその話か…という顔をしている。
「借金…ですか…それは…」
アヤネが言い渋っている。それほどまでにアビドスの借金事情は逼迫してるのか…?
「みんな言いにくそうだから、おじさんが言っちゃうね〜?先生、アビドスの借金は9億もあるんだ〜。それに全校生徒は今ここにいる5人だけ。これが今のアビドスの状況なんだ〜。」
いつものゆるりとした口調で、とんでもない額の借金のことをさらりと語るホシノ。借金が9億…9億!?嘘だろ!?!?そんなに借金を抱えるようなことをしたのも聞きてぇし、なんなら全校生徒がここにいる五人だけ!?俺が学校に行ったことがないからわかんねぇんだが学校って数百人くらい人がいるんじゃねぇか…?
困惑していると、集中し過ぎていたせいか周りの諍いが聞こえていなかったのか、耳に怒号のような、厳しい声がはっきりと聞こえてくる。これは…セリカの声だ。
「ちょっとホシノ先輩!!部外者の先生にそんなことまで話しちゃっていいの!?この人は助けに来てくれたとはいえまだ出会って数時間よ!そんな「大人」にこの学校の大事なことに関わらせるのはどうなの!」
「まあまあ、落ち着いて〜。セリカちゃん。」
ホシノが怒っている子供を宥めるような声でセリカを落ち着かせようとしている。
「それにセリカちゃん、先生は確かに助けに来てくれた、しかも危険を犯してまでおじさん達と一緒に戦ってくれたんだよ〜?普通そんなことしないし、そこまでしてくれる人ってなかなか居なくない〜?」
ホシノがそう言うと、続いてシロコも口を開く。
「セリカ、気持ちは分かるけど、先生はこれまでの大人の誰よりも私達を助けようとしてくれてる。今までにこんな人がいた?それに、先生が嘘をつけるような人じゃなさそうだし、この人になら私達の問題を「なにが分かるのよ!!!」」
シロコの話を喰ってしまうように、声が割って入ってくる。
その言葉を発したのはもちろんセリカだったが、その顔は少し嫌そうな、特に俺を見つめる、というより睨みつけるようにしてキッとした顔で部屋全体を見回しながら、セリカは叫ぶ。
「大体!先輩達もみんな先生を信用しすぎじゃない!みんな忘れたの!?私達を利用しようとしてた悪い大人がどれだけいたか!先生がそうじゃないとも言い切れるの!?私は…私は!認めないから!!!」
「ちょっと、セリカちゃん!!」
教室を駆け出していったセリカをアヤネが呼び止めようとするが、呼び止めること叶わず、セリカはそのまま走り去っていってしまう。
「セリカちゃん…どうしたんだろう…」
「うへ、セリカちゃんも素直じゃないな〜」
「セリカちゃん…私、様子を見てきます!」
「セリカ…」
対策委員会のみんながセリカを想って皆口々に言葉を発していく中で、星矢はみんなの顔をそれぞれ確認する。シロコ、それにアヤネはかなり不安そうで、どうしようかと今にもウロウロしだしそうだ。ホシノはいつも通りのゆるりとした雰囲気を纏いながら後輩達の様子を見ている。
「借金って、具体的にはどういうことなんだ?」
「それはですね……」
アヤネが詳しく説明してくれた。アビドスはかつては強大な学校だったものの、いつからか砂嵐が、それも普通の砂嵐ではなく、異常な頻度で自治区を襲っていき、そのためアビドスは当時の生徒会の尽力虚しく、砂漠と化してしまった。
しかもその対策でお金を多く使い、先の見込めない対策に融資してくれる銀行など無く……悪質な金融業者に頼る他なく、結果として9億もの借金を抱えてしまい、生徒たちもこの状況を見て転校なりなんなりしてアビドスを去って行ってしまった、とのことだった。
「と、言うことなんです……。」
「そうか……。」
周りを見渡すと、ふとホシノと目が合った。ホシノの目は最初に見た鋭いものよりは柔らかくなっていた気がするが、まだこちらを見るその目には未だ疑いの色が浮かんでいるように見える。
(まだまだ余所者、ってことか…)
「まあまあみんな、そんな考えてても仕方ないし、一旦お開きにしない〜?また明日色々話そうよ〜おじさん疲れちゃってぇ〜…」
「そ、そうですね…また明日、ということで…シロコ先輩もノノミ先輩も、それでいいですか…?」
「いいですよ〜☆」
「ん、また明日、セリカとしっかり話そう。」
今日はこれでおしまい、ということが決まり校門までみんなで歩いていき…
「それじゃあみんな〜また明日〜!」
「「「また明日〜!」」」
そこで解散し、各々自らの家に帰っていく。シロコは心配してくれたのか、「先生、泊まる場所大丈夫?」と聞いてくれたが、一応アビドス駅前のホテルを取ってあると伝えると、少し残念そうな顔をしながらもまたね、と言って自転車で駆けて行った…。
▲
「ふぅ〜…」
駅前に取っておいたホテルにチェックインし、ベッドに体を預けて一度体を落ち着ける。落ち着いて来た所で懐から声が聞こえてくる。
「先生!今日もお疲れ様でした!」
「…アロナ。」
頼れる秘書のアロナの声が、シッテムの箱から響き渡る。アロナにセリカのあの言動と行動についてどう思っているか聞いてみると…
「う〜ん…私にはあまり大それたことは言えませんが、おそらく本心で言っているわけではないと思いますよ…?」
「…そうはそうだと思うんだよな」
やっぱりアロナも同じ意見か。そうだよな、本当に嫌なら追い出すくらいしてもおかしくないし、そもそも無視…されるよな。セリカにもセリカなりの意地があるんだろうな…一輝もそうだった。俺や瞬、氷河に紫龍に厳しい言葉を掛けていたけれど、その言葉には厳しさだけじゃなく俺達を立ち上がらせようとする一輝なりの優しさがあったんだ…だから話し合えば、きっとセリカともわかりあえるはず…!
そんな明日への希望を抱きながら、星矢は部屋の灯りを消して、ベッドに横たわって目を瞑る。戦闘で疲れていたからか、それとも数日ぶりのしっかりとした寝床のせいか、数分と立たない内に意識はストンと言う音が立ったように眠りの底へと落ちていった。
短めでもいいから投稿した方がいいよねって結論に至ったので、ヘルメット団撃退後〜セリカ誘拐&救出のヘルメット団撃退後の方だけ先に上げました。
あとこれは気が早いと思うんですが、アビドス終了後にパヴァーヌ編行くかエデン条約編行くか悩んでるので、アンケートでどちらが先に見たいかの投票をお願いできるでしょうか。パヴァーヌをやるなら1章だけ終えて2章は後でって感じで、エデン条約編ならがっつりやろうかと思っているんですがどうでしょう?コメントとかで意見してくれても構わないです〜。
パヴァーヌかエデン、どっちを先に見たい?
-
パヴァーヌ編(2章は後で)
-
エデン条約(やるならフルで4章まで)
-
普通にパヴァーヌ1章→エデン条約フル
-
アビドスの後にミニストとか挟んでほしい