一度地に墜ちた天馬は、再び翼を広げ、青空を駆ける。 作:桐山たかふみ
校舎に戻ったはいいものの、結局現時点ではまだ情報の整理が出来ていない事と、ある程度の強さの敵と当たったということもあり、その日は一度解散し、明日に各々の考えを纏め、改めて話し合おうということになった。
そして翌日。
星矢はコンビニまで朝食等の必需品を買い足しに行っていた。そのちょうど帰り道のことだった。
「アヤネか?」
「あっ、先生。おはようございます」
アヤネと出会ったのだ。何やら書類を抱えていて、
「こんな朝早くから、どうしたんだ?」
あはは、と苦笑を漏らしてアヤネは答える。
「今日は借金の利息の返済日で……色々と準備しなければいけないんです。昨日の便利屋68の件もありますし……」
「便利屋なぁ……あ、一応こちらで調べたこと、送っておくから役立ててくれ。」
「あ、ありがとうございます!」
ペコリと、綺麗なお辞儀をするアヤネ。いいよいいよと星矢が言っても、その姿勢は揺らがない。数秒してから姿勢を戻して、タブレットを開いてそのデータを見始めた様子。何か呟いたり、考え込んだりしている。
「どうだ、アヤネが調べてきた事と合わせて何か分かったか?」
「何となくは……でも、ここで考え込む訳には行きませんし、とりあえず校舎に向かいましょう。」
と、アヤネが告げた直後。
「あ〜! 先生と、それにアビドスのメガネちゃんじゃ〜ん、やっほ〜」
と、この場には似付かわしくはない、軽快で楽しそうな声が後ろから響き渡った。振り向くとそこにいたのは。
「浅黄ムツキ……」
星矢はそこにいた者の名前を呟く。あの後、アロナが各校の生徒リストにアクセスして割り引き出してくれたのだ。ゲヘナ学園の二年生。部活は言わずもがな便利屋68。昨日の襲撃にも参加しており、強力な銃と爆発物を用いてかなりの暴れっぷりを見せていた。にしても、いきなり姿を現すのはなぜだ、と疑い、警戒しながら星矢はムツキから目を離さない。その視線に気付いていたのか、ムツキは手をひらひらとさせながら、
「そんな乱暴なことはしないよ〜、あれは仕事、これは私事だしね〜」
と軽い態度で応じたかと思えば、ムツキはいきなり星矢の背中にひょいっと乗っかってきた。
「なっ」
「あはは〜、先生って思ったよりも筋肉あるんだね〜」
「ちょ、ちょっと! 何してるんですか! 今すぐ先生から離れてください!」
その行動を見たアヤネは警戒を最大限に強め、場合によっては銃を抜く事も選択肢に入れているかのような強張った表情をしている。対してムツキは、余裕そうな表情を崩さず、
「ねぇ先生? 先生はどんな生徒であろうと、その生徒の味方って聞いたんだけど、それってホント〜?」
と問い掛けてくる。それに対しての星矢の返答は、
「本当だ」
即答だった。もちろん星矢は聖闘士としても地上の平和と正義、人々を守る義務がある。そこに生徒達が追加されただけであって、全く持ってブレはない。
「わ〜、答えるのがはっや〜い、それじゃ、ここぞって時には頼らせて貰うね〜? せ ん せ い ?」
あえて語尾を強調するように、分断しながら伸ばして発音するムツキ。くふふと笑って星矢の背中から飛び降りると、「じゃあね〜」と言って去って行った。
「はぁ……何だったんでしょうか、あの人は……」
「そうだな……(結構身体触られたな……)」
お互いにいきなりやってきた砂嵐のような者への想いを内に抱きつつ、当初の目的だった校舎に向かい始めた。
●
「利息は諸々込みで……はい、全て現金でお支払い頂きました。カイザーローンとお取引頂き、毎度ありがとうございます。来月もまた、よろしくお願いします。」
ブロロ、という音を立てて、今しがた支払った利息を載せた現金輸送車が、砂埃を上げながら視界の遠くに去って行く。
「うへ、これで今月の利息は払えたね〜」
「利息だけで毎月これだけも払ってるのか……みんなは」
「そうですよ〜☆」
「……大変だけど、アビドスを見捨てるわけにはいかないし」
「それに、これを払えなければ更に酷いことになりますから……」
苦笑いをしたアヤネが、これ以上の最悪の事態を想定しているような口ぶりで話す。
「それにしても」
セリカがふと、何かの疑問を抱いたような口上で皆に問い掛ける。
「なんでカイザーは現金でしか支払いを認めないんだろう?今のキャッシュレスのご時世に、時代錯誤のような気が……」
「さあ〜? なんか事情があるんじゃな〜い?」
「ちなみになんだが」
疑問の声が星矢の口から飛び出す。
「あと何年くらいで返済出来るんだ……?」
「え〜と、三百九年返済なので、今までの分を入れると……」
「……死ぬまで返済出来ないくらいあるわよ」
「うひゃ〜、まだまだ大変だなぁ〜」
「その為にも……!」
「シロコちゃ〜ん、強盗はダメですよ〜?」
「ん……」
騒がしくなってきたところで、ホシノが口を開く。
「一旦いつもの部屋に戻ろっか〜? アヤネちゃん?」
「はい、二つほど話したい重大なことがあるので、戻りましょう。」
「では最初に。昨日の襲撃の件ですが、私達を襲ったのは「便利屋68」という部活で、ゲヘナではかなり危険で素行が悪い生徒たちとして知られているようです」
いつもの対策会議室で、全員がテーブルを囲んで座りながら、アヤネの報告を聞いている。
「詳細は……グループに今送りました。」
「さんきゅー、アヤネちゃん」
「え〜と、何々……社長とか課長とかの肩書きがそれぞれあるわけ?」
「わ〜☆ほんとの会社みたいですね〜」
「実際の会社では無いですが、形式上はそう書かれていますね……」
「なんだか分からなくなってきたな」
星矢は悩んだ。
「なんとなーく一つ目に関しては分かったよ、それで二つ目はなんなの?」
「そうでした、そちらの方が大事でした!」
アヤネがパンと手を叩いて、皆の注目を集めてから話し出す。
「二つ目ですが、先生が来た日、そして今回の襲撃に参加していたヘルメット団の装備に、現在では生産されていない型番の武器が使われていました。」
「現在は生産されてない武器が手に入ると言ったら……ねぇ」
皆が納得したように頷き合っているので、置いていかれたような感じがして、星矢は皆にどういうことかを聞いた。
「ちょっと待ってくれ、何も分からないんだが……」
「ブラックマーケット。って言ってね、色んな事情で学校を辞めたりした生徒とか、問題児達が集まってる場所があって〜」
ホシノがその疑問には答えてくれる。
「結構大きな規模でね、下手な学園くらいの規模があるし、連邦生徒会の許可を得てない部活とか売買がされてて、闇市? みたいなものかな〜」
「そのブラックマーケットで、便利屋68も何度か問題を起こしているようです」
「闇市か……分かった、ありがとう。」
星矢は頭を下げて、感謝の意を表する。
「うへっ、先生〜大げさすぎだって〜」
「そうか?」
「それでは、そのブラックマーケットに向かう……という方針なのでしょうか?」
ノノミが疑問符を付けながら、アヤネ、いや皆に確かめる。
「いや、行くしかないでしょ〜何か分かるかもしれないしね」
ホシノが決定を下す。彼女の決定は実質的に対策委員会の決定でもあるのだ。
「それじゃみんな、ブラックマーケットに行くよ〜」
ふわっとした声が、会議室に緩やかに響き渡って行った。
これ書いてて後悔しかけてるんですけど、全部書くんじゃなくて、星矢が活躍出来そうな場面を一つ一つ抜き出して書けばいいのでは? と他の人のクロスオーバー見て思いました。
って言っても、一度やり始めてしまったものはしょうがないので、アビドス1.2章はこんな感じで行きます。
パヴァーヌやエデン、カルバノグとかは原作をまとめつつ星矢の活躍するシーンを追加しようかと思っています。
それではまた一月後、早かったら一週間後にお会いしましょう〜
パヴァーヌかエデン、どっちを先に見たい?
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パヴァーヌ編(2章は後で)
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エデン条約(やるならフルで4章まで)
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普通にパヴァーヌ1章→エデン条約フル
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アビドスの後にミニストとか挟んでほしい