一度地に墜ちた天馬は、再び翼を広げ、青空を駆ける。 作:桐山たかふみ
ユウカとのやり取りの翌日。
星矢はシャーレオフィス内に存在している体育館に足を運んでいた。
理由はシャーレ奪還時に戦車を殴った際に生じた妙な違和感、その正体を探るために、多少なりとも動いても問題がないであろう体育館を場所として選んだ。
そうして体育館に足を踏み入れたところで、星矢はその広さに驚くことになった。
「この体育館って、こんなデケェんだな……シャーレってつくづく何なんだろう、って思わせてくるよな…」
体育館は想像以上に広かった上、テニスコートやバスケットコート等に加えて、更に観客席まで完備されており、室内で出来るスポーツはほとんど出来るようになっていた。
体育館の感想はここまでにして、本来の目的のために星矢は動き始める。始めに体育館の中央に移動して、小宇宙を燃やし始める。拳を握り体に力を込めて、小宇宙を燃やす。
星矢が抱いた違和感は、小宇宙がより強く燃えるに従って、やがて違和感から痛みへとその姿を変えていった。
「…っ…」
胸に何が刺さっているような、チクッとした痛み。そして胸元に目を向けると、そこにはうっすらと剣の切っ先が刺さっていた。禍々しい雰囲気を纏った剣。忘れもしない、いや、3忘れられない剣。
「…ハーデスの、剣…!」
最後の戦いの際に、
再び小宇宙を燃やしてみると、切っ先が少しずつ前進して胸に突き刺さっていく。そして小宇宙を燃やさないようにすると、剣は見えなくなり、進行も完全に止まった…いや、微量ながら進んでいるようにも感じる。
「…小宇宙の燃やし時は、考えねぇとな…」
今まで際限無く燃やすことが出来た
■
そのまた翌日。
星矢は外回り…という名目の下、書類仕事から逃れてシャーレの外に出て街を歩いていた。空が青く、木々が良く生えているからか空気も澄んでいるように感じる。大きく息を吸いながら、そんなことを思っていると…ドーン!!と、爆発音が聞こえてきた、これもキヴォトスならではの日常か。
もうそう考えてしまう程、キヴォトスに溶け込んでしまって来ていることは気にせず、星矢は爆発元に向かって駆け出す。今キヴォトスにある問題を一つでも解決することが、シャーレの存在意義だと星矢は考えているため、どんなことであろうとも彼は解決しようとしに行く。そこにある志は、果たして聖闘士のものか、それとも彼自身の心か、先生としての自覚なのだろうか……
爆発音のした方向に来た星矢。
予想通り、不良達が爆弾や銃を乱射して暴れていたので、不良達を鎮圧するために星矢は動く。
「ひゃはははー!!暴れろ暴れろ〜!!…ん?なんだ!?てめえっ…!」
まずは1人。一番派手に銃を撃ち放っていたのと、周りの不良達と距離が離れていたので、気絶させておく。
それからすぐに他のメンバーも異常を察知して駆けつけてきた。大体7.8人と言ったところか?
「なんだよてめぇ…なんか私等に文句でもあんのか!?」
「おい待てよ…こいつの首に掛けてるのって…!!」
「連邦捜査部…シャーレ…」
首に掛けたその紋章と文字を見て固まる、不良達。
が、すぐさま考えを切り替えたらしく、
「シャーレの先生ってやつか…なら、お前をひっ捕らえれば連邦生徒会にもアタシらの要求が通るかもなァ!!」
なるほど、そう来たか。
てなわけで、不良達とやり合うことになった。だけども全員が銃を下ろして、まるで銃なんか使いませんよとの意思表示をしているようだった。
「どうして銃を降ろすんだ?使った方が楽に俺を捕まえられるだろう?」
流石に銃を使わない意味がよく分からなかったので、思わず聞いてしまった。
「は?あんた外の人間だろ?銃なんか使っちまったらそりゃあ楽になるはなるけど、捕まえるどころか、もしかしたら殺してしまうかもしれねぇだろ?それはアタシらも勘弁だから、これでやっちまおうってわけだよ。」
と言って、リーダー格らしき不良が拳をまるでボクサーのように軽快なフットワークで振っている。
…銃では危険すぎるから、拳で制圧しようってか。
単純な考えだが、確かに考えはわかる。シャーレ奪還時に見た通り、俺とこの子達の間には肉体の強度にかなりの差がある。
俺の知る限り、銃弾を喰らって痛いで済む者が元の世界に何人いるだろうか、それも一般人で。そんなことを考えている内に、不良達は今まさに殴りかかろうとして来ていた…
ブォンと、目の前を拳が通る。
先程までいた場所から一歩下がった瞬間、丁度相手が拳を振るったらしく回避に成功した。ここからは別のことを考えずに、この戦いのことだけに集中しよう。
さて、今俺を取り囲んでいるのは三人。残りの五人は控えており一人を倒せば即座に一人が補充されて包囲が続けられるだろう。そして包囲を組んでいる三人はトライアングルの形を取って俺を囲んでいる。距離が三人とも絶妙に離れていて一人倒せたとしても他の二人、そして補充される一人によってより包囲が狭まるようになっている。ここらへんは流石の連携と言ったところだろうか。一見しただけで不良と舐めてかかると不良とは思えない組織的な動きで叩きのめされてしまいそうだ。
ならばどうするか?答えは単純。
「三人一気にブチのめす!!」
「何をふざけたことを…っ…」
手始めに一人。みぞおちに軽い一発を入れて気絶させる。
それを見て残りの二人が声を上げながらこちらに向かってくる。拳を振るってくるも、動きがスローモーションに見えたため、その拳を楽にひらりと躱す。渾身の一発を躱されて少し体制を崩した二人に拳をと撃ち込んでダウンさせる。この間僅か十四秒。
「なっなんだこいつ!?」
「ええいこうなったら…ガハッ!?」
こちらに近かった一人に猛スピードで肉迫し、首元に手刀を当てて無力化。この程度なら、小宇宙を燃やすまでもない。聖闘士になるために魔鈴さんに六年間も、しかも毎日太陽が上がり太陽が落ちるまでしごかれたこの体は俺に嘘をつかない。
それを見た四人の瞳には、先程まで浮かんでいた楽勝という色が消えて、恐怖に近い感情が浮かんでいるように見えた。
当然だろう。外から来た人間、しかもシャーレの先生が、こんなに強いとは思いもしなかったはずだ。一人で出歩くなんて馬鹿な事を。と舐めてかかっていたら、半数を戦闘不能にされたのだから。
「…じ」
「…じ?」
「銃を使え!!こうなったらなりふり構ってられるか!このままじゃ全員やられちまうぞ!!」
そう言って、残りの四人が一斉に銃を手に取り、俺に向けて銃を構える。参ったな、一人に撃たれる程度ならまだ避け切れそうだが四人となると…マズイかもしれない。最悪死も覚悟して、四人の銃口をジッと見つめる。
パァンと、発砲音が聞こえた。たがそれは、目の前の四人によるものではなく、むしろ四人の内の一人が頭を撃ち抜かれて意識を失っている。これはどういうことだ…?
「…だっ、誰だ!?」
不良の一人がそう声を上げた。不良達にとっても予想外の一発だったらしく、三人が必死になって発砲元を見つけようと目を動かしている。そうこうしている間にもまた一人、意識を刈り取られる。一体何者が撃ち抜いているのか、誰もわからない。
そしてもう一人が撃ち抜かれたところで、その者は姿を表した。
「…」
狐面越しに伝わってくる、おぞましい怒気と殺気。
一見すれば良家のものかと見紛うほど、綺麗で目を引かれる服を来てこちらに歩いてくる。そしてその手には銃が握られており、銃口は残った一人の方へと向けられている。
「お、お前は…しちしゅ」
「そこから先を、口にしないでいただけますか?」
脅しの意味を含めた、人が出せる中で最も低いであろう声が、響き渡る。その先を言えば命は無いぞと思わせるような、そんな圧がかかっているように感じた。
それを聞いた不良は縮み上がってしまったのか銃を手から離して、両手を上げて降参の意を表明した。
そしてそれを確認すると、彼女はこちらにクルッと方向を変えて、顔は狐面で見えないが、恐らくにこやかな笑みを浮かべているのだろう。
「お久しぶりでございます♡貴方様♡」
とびっきりの愛が込められたその言葉が、星矢の耳にしばらく響いていた。
もうだめだー!!!
1週間どころか更に数日空けちゃった〜〜!!
だからと言ってモチベが落ちたわけではございませんのでご安心ください。書く時間の確保が出来ていないだけでモチベはセブンセンシズどころかエイトセンシズまで燃え上がっておりますので。
次のワカモ回やった後にようやく対策委員会編入ります。
ワカモには星矢の秘密を知ってもらうため色々見ちゃいますし話されます。その過程で若干曇るかも?でもワカモは秘密漏らさないし墓場まで持っていってくれる、絶対(揺らがない信頼)
やっぱり愛ですよ〜愛。
パヴァーヌかエデン、どっちを先に見たい?
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パヴァーヌ編(2章は後で)
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エデン条約(やるならフルで4章まで)
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普通にパヴァーヌ1章→エデン条約フル
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アビドスの後にミニストとか挟んでほしい