まほろに対し、胸イジリをするマネージャー。
マネージャーに対し、怒るまほろ。
そんな2人の物語。
「やぁ!まほろ。今日も君はいつも通り洗濯板みたいだね!」
バチンと俺の頬を叩く音が寮のリビングに響く。
俺は
そのうちの1人____
うちの事務所には学生も多いのだが、唯一20歳を超えている人たちの中でも1番小さい。というか、普通に全体の中で1位を張ってもいいのではと思ってもおかしくないくらい小さい。
そして、俺はまほろと寮で会う度彼女の胸を何かしらの板で例える。
今回は洗濯板だ。前回はまな板だったかな。
「ほんっと、あんたいつまでこんなこと言ってるの!?いい加減にしてよ!それにそんな小さくないし!」
赤面しつつ、鋭い瞳が俺を睨みつける。
この関係を始めたのはつい最近だが、彼女も気にしているのだからさすがに言いすぎたな。
「デリカシーなさすぎ。次言ったら事務所やめるから。」
そう言い残し、ドアを思い切り閉めて出ていった。
恥ずかしさ、怒りなど様々な感情がドアには響いただろう。
そして、俺はコンプレックスを気にせずただ発言する失礼な人。
反省をした。
忘れ癖がひどく、俺はスマホのメモ帳でメモして忘れずらくしようとしていることを習慣としている。
今回も同様、まほろにはもう言わないことをメモした。
同時に、仕事場からメッセージが来た。
「え?やば、次まほろの仕事じゃん…。」
まほろが受かったアニメオーディションから、アニメ雑誌への取材が予定されており、今日はその取材に同行することが決まっていた。
き、気まずい…。あんな状態なのに一緒に仕事しなくちゃいけないなんて。
去っていったまほろに仕事前に謝ろうとするも、ふと時間に目が入った。もう仕事まで時間に余裕がない。その場で謝るしかない!
ただし、10m離れた状態で。
お互い目視……いや、向こうは俺のことを見向きもしてないが来たことに気づき、歩き始めた。
目的地へと向かう間も変わらず距離は離されたまま。
いきなり「さっきはごめんね!」と気軽に謝れるわけもなく、かと言って人通りのあるところでいきなり
と、どのようにまほろに謝るか考えていると気づけば目的地へと着いてしまった。
取材中、まほろは子役をやっていたというのもあったせいか取材中は怒っているような感じはまったくしなかった。
だが俺はまほろにどう謝るかしか考えていなかった。
「…っと、ちょっと!マネージャー!」
と、俺の服を引っ張りながら強く言うまほろの声に気がついた。
「ご、ごめん。全然気づかなかった。」
「そう。早く帰るよ。」
先程とは打って変わって、俺には怒りの表情が向けられていた。
取材中とはまったく違う雰囲気だった。
帰り道、昼過ぎで人が多くなる時間帯だった。
ザワザワと色々な話し声が渋滞している。
その中で、一際大きな声で「板!」と聞こえた。
帰る道中でも、まほろは俺との距離間を変えていなかったため、俺の前方にまほろはいた。
そして、後ろにいたから気づけた。
「板!」と聞こえた時にまほろの肩が少し動いたのが。
びくっと驚いたかのような反応に見えた。
「ま、まほろ…?」
「うるさい!」
今日やっとまほろがこちらへ振り向いた。
だが、その一言だけ言ってまたすぐに前へ向いてしまう。
謝りたい。出かけてからずっとその一心だ。
足早に歩くまほろ。彼女を止めるにはあの言葉しかないと思った。
「洗濯板!まな板!
予想通り、まほろの足は止まった。
まほろの肩が震える。今にも殴られそうな雰囲気だ。
「ふふっ」
あれ、笑った?
「もう、何度言えば気が済むのよ。」
「あれ、怒らないの!?」
「正直、イラついてる。けど、なんかどうでもよくなった。」
「ごめん。コンプレックスなのにずっといい続けちゃって。子供だったよ。」
「うん、ほんとに。だけど、もうやめてよね?」
大きく頷き、まほろの隣に行き、共に駅へと向かう。
許してくれたとほっとしつつ、自分の言動を振り返る。
今思えば、やはりひどいことをした。
「ねぇ、マネージャー。まほろ、一緒にラーメン行ってくれたら許してあげようかなー?」
「あぁ、わかったよ。何頼んでも奢ってあげるよ。」
「そう?じゃあ……今度ね。」
そんな話をして、ホームで電車を待つ。
ふと、口を開き、まほろを呼ぶ。
こちらを向き、何を言うかと待っている。
だが、向かい側の電車によって俺の声はすべてかき消された。
同時に、今までのことがすべて消し飛んで行った。
「なに、まほろの顔になにか付いてる?」
「いや、なんでもないよ。」
恐らく、次ラーメンに行った時には容赦なく奢らされるだろう。
ご読了ありがとうございます。
痲歌論です。
とある方からのリクエストにより、本作を書かせていただきました。
久しぶりの二次創作と言い、CUE!との関わりが薄くなってしまったと言い、正直しっかりとまほろを書けているか自分でも怪しいです。
ですが、久しぶりに書いた割には楽しむことが出来ました!