過去の遺物なので修正の予定はないです。
キャラ崩壊注意。
身体が、熱い……。
体内から溢れ出る、重苦しいほどの熱気。彼の身体は、突然生まれた異常な高熱のせいで、鉛のように重く感じられる。
なぜこうなってしまったのだろう。
いや、答えるまでもない。原因はやはり……、自分自身のせいだ。
あの時、はっきりと自分の意思に気づいていれば、こんなことにはならなかったはずなのに。ジョウイやルカ・ブライトと戦うことを決意した、あのころの自分はどこへ行ってしまったのだろうか。
しかし、今は自分の弱さを呪っている場合ではない。
我が身に降りかかった現実を、ちゃんと見つめなければならない。
(なんとか、しなくちゃ……!!)
僕は、激しい痛みと熱に耐えながらも、なんとか正気を取り戻すことができた。これも、日ごろの訓練の賜物だろう。何より、周りの声援に後押しされたおかげで、ここまで立ち上がることができた。改めて皆には感謝したい。
「大丈夫か?」
おぼろげな目つきで視線を声のした方へ向ける。そこには声の主、ビクトールの姿があった。
「うん……。なんとか……」
ビクトールには悪いが、笑顔で答えられるほどの余裕はない。むしろちゃんと返事を返しただけでも立派だと、自分で自分を褒めたいくらいだ。
傍にいたほかの仲間たちも、心配そうに僕の顔を見る。
「本当に平気か? 苦しいならオレが代わりに……」
「いや、これは僕が決着をつけなければならない問題なんだ。だから……我侭だけど、僕に……任せてくれないか」
僕の沈痛な言葉に、フリックは口をつぐんだ。彼も戦士のはしくれ。僕の言葉に何かを感じ取ったのか、それ以上は何も言わなかった。
「けど! だからって君だけがこんなに辛い目に遭うなんて……!!」
「そうだよ!! お前一人が背負うべきじゃないだろ!!!」
フリックの横で、戦士の村の村長の娘、テンガアールと、旅の一座のメンバー、アイリが口々に叫ぶ。
「いいんだ……。皆が助かるぐらいなら、僕一人が犠牲になるくらい、どうってことないよ」
「でも・・・!!!」
「アイリ。あいつがここまで言ってるんだ。だったら俺たちもその言葉を信じてやろうじゃないか」
叫ぶアイリを、ビクトールが静かに制する。アイリはまだ納得できない顔をしていたが、ビクトールの真剣な表情を見て、ようやく落ち着きを取り戻した。
そして僕もまた、新たなる試練に立ち向かうべく、心を落ち着かせた。
(大丈夫。僕の周りにはビクトールやフリック達がいるんだ。皆が見守ってくれている。だったらこのくらい……!!!)
意を決して、僕は新たなる試練へと立ち向かった。
「うりゃああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!!!」
ぱくっ。
……………………。
もぐ……。
もぐ…………。
じゃりっ。
…………ごくり。(←周りの人々が唾を飲み込む音)
……………………………。
からんっ。
手にしていた銀のスプーンが、ランプの光に照らされてゆっくりときらめきながら、床に落ちた。
そして、薄れゆく意識の中で、僕は皆に向かって言った。
「皆……後のことは……よろしく……」
ドサッ。
そしてそのまま僕は椅子から落ち、ひんやりとした床に倒れこんだ。
「おい!! しっかりしろ!!! ……だめだ、気を失ってる!!!」
「いやぁぁああっっ!!! 誰か、誰かあいつを……」
「落ち着きなさい、アイリ。まだ彼が死んだわけじゃ……」
「馬鹿野郎!! 縁起でもないこと言うんじゃねぇっ!!!」
「早く、早くホウアン先生に診てもらわないと……!!」
「スタリオン、急いで彼をホウアン先生の所へ運ぶんだ!!」
「…………!!」
薄れ行く意識の中で、僕は思った。
やはりあの時、ナナミにはっきりと言えば良かった……。
君の作った料理は、食べられない、と……。
おしまい