幻想水滸伝IIの超短編。
過去の遺物なので修正の予定はないです。
キャラ崩壊注意。


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決意

 

 身体が、熱い……。

 

 体内から溢れ出る、重苦しいほどの熱気。彼の身体は、突然生まれた異常な高熱のせいで、鉛のように重く感じられる。

 

 なぜこうなってしまったのだろう。

 

 いや、答えるまでもない。原因はやはり……、自分自身のせいだ。

 

 あの時、はっきりと自分の意思に気づいていれば、こんなことにはならなかったはずなのに。ジョウイやルカ・ブライトと戦うことを決意した、あのころの自分はどこへ行ってしまったのだろうか。

 

 しかし、今は自分の弱さを呪っている場合ではない。

 

 我が身に降りかかった現実を、ちゃんと見つめなければならない。

 

(なんとか、しなくちゃ……!!)

 

 僕は、激しい痛みと熱に耐えながらも、なんとか正気を取り戻すことができた。これも、日ごろの訓練の賜物だろう。何より、周りの声援に後押しされたおかげで、ここまで立ち上がることができた。改めて皆には感謝したい。

 

「大丈夫か?」

 

 おぼろげな目つきで視線を声のした方へ向ける。そこには声の主、ビクトールの姿があった。

 

「うん……。なんとか……」

 

 ビクトールには悪いが、笑顔で答えられるほどの余裕はない。むしろちゃんと返事を返しただけでも立派だと、自分で自分を褒めたいくらいだ。

 

 傍にいたほかの仲間たちも、心配そうに僕の顔を見る。

 

「本当に平気か? 苦しいならオレが代わりに……」

「いや、これは僕が決着をつけなければならない問題なんだ。だから……我侭だけど、僕に……任せてくれないか」

 

 僕の沈痛な言葉に、フリックは口をつぐんだ。彼も戦士のはしくれ。僕の言葉に何かを感じ取ったのか、それ以上は何も言わなかった。

 

「けど! だからって君だけがこんなに辛い目に遭うなんて……!!」

「そうだよ!! お前一人が背負うべきじゃないだろ!!!」

 

 フリックの横で、戦士の村の村長の娘、テンガアールと、旅の一座のメンバー、アイリが口々に叫ぶ。

 

「いいんだ……。皆が助かるぐらいなら、僕一人が犠牲になるくらい、どうってことないよ」

「でも・・・!!!」

「アイリ。あいつがここまで言ってるんだ。だったら俺たちもその言葉を信じてやろうじゃないか」

 

 叫ぶアイリを、ビクトールが静かに制する。アイリはまだ納得できない顔をしていたが、ビクトールの真剣な表情を見て、ようやく落ち着きを取り戻した。

 

 そして僕もまた、新たなる試練に立ち向かうべく、心を落ち着かせた。

 

(大丈夫。僕の周りにはビクトールやフリック達がいるんだ。皆が見守ってくれている。だったらこのくらい……!!!)

 

 意を決して、僕は新たなる試練へと立ち向かった。

 

「うりゃああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!!!」

 

 ぱくっ。

 

 ……………………。

 

 もぐ……。

 

 もぐ…………。

 

 じゃりっ。

 

 …………ごくり。(←周りの人々が唾を飲み込む音)

 

……………………………。

 

 からんっ。

 

 手にしていた銀のスプーンが、ランプの光に照らされてゆっくりときらめきながら、床に落ちた。

 

 そして、薄れゆく意識の中で、僕は皆に向かって言った。

 

「皆……後のことは……よろしく……」

 

 ドサッ。

 

 そしてそのまま僕は椅子から落ち、ひんやりとした床に倒れこんだ。

 

「おい!! しっかりしろ!!! ……だめだ、気を失ってる!!!」

「いやぁぁああっっ!!! 誰か、誰かあいつを……」

「落ち着きなさい、アイリ。まだ彼が死んだわけじゃ……」

「馬鹿野郎!! 縁起でもないこと言うんじゃねぇっ!!!」

「早く、早くホウアン先生に診てもらわないと……!!」

「スタリオン、急いで彼をホウアン先生の所へ運ぶんだ!!」

「…………!!」

 

 薄れ行く意識の中で、僕は思った。

 

 やはりあの時、ナナミにはっきりと言えば良かった……。

 

 君の作った料理は、食べられない、と……。

 

 

 

おしまい

 

 


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