リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!
布留杜市全体を上げての一大イベントの布留杜学園祭が近付く中、バスターズの面々はその開催を守ってほしいという依頼を受ける!
紆余曲折の末、学園祭を脅かしていた犯人であるハクサンボウに新たな姿・雲外鏡ヨロイの力を使いこなして勝利したのだった。
一方、時雨達の歴史研究部は禍炎の襲来を受けつつも学園祭当日のステージを成功のうちに収めたのだった…」
⭐︎⭐︎⭐︎
夜御哉「仮面ライダー禍炎…奴は一体何者なんだ…?現在の仮面ライダーは三人…妖魔、霊魂、幽冥…彼等のポテンシャルを考えれば、勝てない相手ではない。だが…それは『三人で戦った場合』の話…」
夜御哉は禍炎についてのデータを見ながら一人頭を悩ませる。
夜御哉「…やはり、禍炎を倒すためには『三人の協力』が必要不可欠なようだな…。となると……」
夜御哉は独り言ちると、パソコンのモニターに映された時雨と汰月、賢昇の写真を眺める。
⭐︎⭐︎⭐︎
第拾話「アイツは誰だ!?三者共闘!」
時雨「学園祭、楽しかったね」
凪桜「うん。…また来年も、皆で楽しめたら良いな…」
咲穂「そうですね」
調「お、俺もそう思う…」
時雨「じゃあ、約束ですね。また来年も、皆で学園祭を楽しもう!」
布留杜学園祭での思い出を振り返っていた歴史研究部の面々。
そして、来年も皆で学園祭を楽しもうと約束を交わしつつ、部室へとやってくる。
時雨「あ、藍羽先生」
聖「やあ。待ってたよ」
凪桜「何かあったの?」
聖「まあね。晴河君宛に手紙だ」
時雨「手紙…ですか?えっと…『仮面ライダー妖魔。明日の正午、
凪桜「しかも、差出人は禍炎…」
聖「ああ。それで、君達が来る前にそのことを夜御哉さんと話していたんだが……夜御哉さんから依頼だ。禍炎を倒して、焚書ドライバーを取り戻して欲しいというね」
咲穂「禍炎…あの強敵に…」
調「あの禍炎に勝てるんですか…?」
部室にて待っていた聖は、歴史研究部に夜御哉からの依頼を伝えるが、禍炎の強さをよく知る時雨達はその依頼を果たすことができるか不安に思う。
時雨「この前戦った時、リュウジンブースターまで使っても倒しきれませんでした。…リュウジンブースターは一回使うと暫く使えなくなります…それくらいの切り札を切っても逃げるのがやっとな相手に勝って、ドライバーを取り返すなんて…そんなこと、僕に出来るのでしょうか……」
聖「…夜御哉さんは言っていたんだ。今、禍炎に確実に対抗するためには、妖魔と霊魂、そして幽冥の三人の協力が鍵になると」
時雨「僕達三人の…協力…」
咲穂「しかし…日島君はさておき、降谷さんは時雨君達のアヤダマを奪おうとしていたくらいですし、素直に協力してくれるでしょうか…」
調「そうですよ、あの人本当に怖い人なんですから…」
聖「そうだね…確かに君達の言い分も頷ける。だがまあ、そちらについては一応夜御哉さんの方から交渉してみるそうだよ」
凪桜「本当に上手くいくのだろうか」
時雨「上手くいくと良いんだけどね…」
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賢昇「断る」
夜御哉『だがな、お前にとっても禍炎は厄介な相手だろう?』
賢昇「だからって何で妖魔の売られた喧嘩で妖魔の奴に加勢してやんなきゃならねえんだよ」
夜御哉『はぁ…こうなったら仕方ない。ならば依頼しよう』
賢昇「依頼?」
賢昇に交渉していた夜御哉だったが、頼むだけでは彼を動かせないと悟り、依頼という形へ切り替える。
夜御哉『そうだ。禍炎を倒し、焚書ドライバーを回収するという依頼だ。達成手段は厭わない。誰かと手を組むのもアリだ』
賢昇「…わざわざ依頼にするってことは、報酬もあるんだろうな?」
夜御哉『勿論。…俺がかねてから設計していた“新たなドライバー”…それが完成した暁には君に渡すと約束しよう』
賢昇「新しいドライバー…ね。まあ良い、考えておいてやるよ」
プツッ、ツーツーツー
夜御哉「あ、おい!……頼むから、力を合わせてくれ…」
夜御哉の提示した条件を聞いて、賢昇は口角を釣り上げるが、曖昧な返事のまま電話を切ってしまう。
その様に不安を覚えた夜御哉だったが、これ以上できることがあるわけでもないため、一先ず上手くいくように祈るのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
汰月「……」
星海「日島さん、どうなさったんですか?」
汰月「ん?…ああ、実は、時雨達歴史研究部の方に、禍炎から果たし状が送られてきたらしくてね」
星海「た、大変じゃないですか!」
汰月「そう、だな…」
治安維持委員会の自席にて、険しい顔をしている汰月を心配して星海が問うと、汰月はその理由を説明する。
星海「……どうするんですか?」
汰月「…決まってるよ。助ける。…仲間だからね」
星海「そうですね。…それが良いと思います!」
汰月「…けど、禍炎は強敵だ。俺達二人でも勝てるかどうか……。降谷賢昇はアテにならないしな」
汰月は賢昇との仲が悪いこともあり、彼が力を貸してくれるなどとは微塵も思っておらず、最初から勘定に入れずに二人で禍炎に勝つ術を模索する。
⭐︎⭐︎⭐︎
凪桜「時雨先輩…大丈夫かな」
調「時雨部長達なら…きっと」
咲穂「そうですね…信じましょう」
凪桜「時雨先輩…」ギュッ…
時雨『きっと危険も大きいだろうから、皆にはここで待っててほしいんだ』
当日、歴史研究部の部室にて時雨の帰りを待つ三人は、ただ時雨が勝つことを信じながらも、不安を募らせる。中でも最も時雨との付き合いの深い凪桜は普段のクールさとはかけ離れたひと目で不安さが伝わるような表情でニャイトのぬいぐるみを抱き締める。
──巌ヶ原採石場跡地
時雨「……」
汰月「…ここで、あいつに勝とう」
時雨「…そうですね」
聖「……二人とも、危険を感じたらすぐに離脱するんだ。分かったね」
「「はい」」
約束の時間を前に、巌ヶ原採石場跡地へとやって来た時雨と汰月。そんな二人に聖は危険になったら逃げるように言い伝えると、少し離れた所へ移動する。
時雨「……降谷君、来ませんね」
汰月「端からアイツには期待してない」
禍炎「ふん、仲間を呼んだか」
「「!」」
賢昇が来ていないことを気にする時雨と、時雨の右に並び立ち、期待なんてしていないと吐き捨てる汰月。そんな二人の前に、禍炎 八咫烏餓者髑髏ヨロイが降り立つ。
時雨「…いきましょう」
汰月「ああ」
禍炎「…来い」
賢昇「おいおい!何俺抜きで楽しもうとしてんだよ!」
「「「!」」」
まさに一触即発、時雨と汰月の二人と禍炎が激突するその間際。そこに現れたのは賢昇だった。
そして、驚く三人を他所に賢昇は汰月と時雨の前を横切ると、時雨の左隣に並び立って禍炎を見据える。
時雨「一緒に戦ってくれるんですか!?」
汰月「どういう風の吹き回し?」
賢昇「ふん、依頼を達成するために一番確実な方法を選んだだけだ。勘違いすんなよ、別にお前等の仲間になったわけじゃねえ」
時雨「…それでも良いです。いきましょう!」
《龍!》
汰月「足引っ張んないでよ」
《大蛇!》
賢昇「お前等こそ俺の足引っ張ったら承知しねえからな」
《鬼!》
《装填!》
「「「変身!」」」
《憑依装着!変化!》
《登竜大成!龍ヨロイ!》
《蛇行咬合!大蛇ヨロイ!》
《鬼気粉砕!鬼ヨロイ!》
遂に並び立った三人の仮面ライダー達。時雨は妖魔 龍ヨロイへ、汰月は霊魂 大蛇ヨロイへ、賢昇は幽冥 鬼ヨロイへとそれぞれ変身し、妖魔は剣状態の妖之弓剣を、霊魂は銃状態の妖之斧火縄を、幽冥は槍状態の妖之盾槍を構える。
禍炎「まさかお前達三人が手を組むとはね」
妖魔「はああああっ!」
霊魂「ふっ!!」
幽冥「オラァッ!」
禍炎「ふん!」
妖魔は妖之弓剣による斬撃を放ち、その間隙を縫って霊魂の放つ妖之斧火縄による銃撃が禍炎を牽制し、生まれた隙に幽冥が妖之盾槍による刺突を浴びせる。
禍炎「成る程…これは中々…」
妖魔「やっ!」
霊魂「はっ!」
幽冥「だあっ!」
禍炎「くっ…」
妖魔の斬撃、霊魂の弾丸、幽冥の刺突が同時に放たれ、禍炎にダメージを与える。
妖魔「!通用してます!」
霊魂「…勝てる!」
幽冥「この調子でぶっ潰す!」
禍炎「そう簡単に負けてやるつもりもないがね」
《天邪鬼!》
《イグニッション!》
《雨降小僧!》
《イグニッション!召喚!天邪鬼!雨降小僧!》
妖魔「二人同時召喚…!」
禍炎「まだ終わりじゃないさ」
《陰摩羅鬼!》
《イグニッション!》
《野槌!》
《イグニッション!武装!陰摩羅鬼!野槌!》
禍炎はアマノジャクとアメフリコゾウを召喚し、更にアメフリコゾウには召喚した魂魄之弓を持たせ、自身は土中之槌を手にする。
禍炎「さあ、本番はここからだ」
アメフリコゾウ「ふっ!」
アマノジャク「ふん!」
妖魔「はあっ!」
霊魂「はっ!」
幽冥「ウラアッ!」
禍炎は土中之鎚を振り下ろして妖魔とぶつけ合い、アメフリコゾウは水を纏った矢を発射して霊魂と撃ち合い、アマノジャクは棍棒を振り下ろして幽冥と激突する。
禍炎「ふん!」
妖魔「くっ…このパワー…だったら!」
《猫又!》
《装填!》
妖魔「ネコマタさん!力を借ります!」
《憑依装着!変化!
俊敏鉤爪!猫又ヨロイ!》
禍炎「ふん!」
妖魔「そんな攻撃…当たりません!」
禍炎「!」
妖魔「はっ!たっ!やあッッ!!」
禍炎「ほう…!」
妖魔「まだまだです!」
《弓之刻!》
《装填!一・撃・必・殺!》
妖魔「これで…!」
《俊敏射撃!》
禍炎「くっ…!」
妖魔は猫又ヨロイに姿を変え、素早い動きで禍炎の振り下ろす土中之鎚を回避しつつ逆手に持った妖之弓剣による斬撃を浴びせる。
そして、妖魔は禍炎と距離を取ると、弓状態に変えた妖之弓剣に猫又アヤダマを装填し、アクロバティックな動きで禍炎の攻撃を避け、空中で逆さまになりながら二又に別れる矢を放ち禍炎を吹き飛ばす。
霊魂「中々厄介な射撃の腕前…ここは」
《火車!》
《装填!》
霊魂「こうするのが一番だよね」
《憑依装着!変化!
熱狂爆走!火車ヨロイ!》
アメフリコゾウ「はあっ!!」
《斧之刻!》
霊魂「ふん!たあっ!はああっ!」
《一・撃・必・殺!》
霊魂「これで決める!」
《熱狂剛撃!》
霊魂「はああ…はーッッ!!」
アメフリコゾウ「うぐあああっ!」
霊魂は射撃でアメフリコゾウの矢に対抗するが、埒が開かないと察すると火車ヨロイに姿を変え、妖之斧火縄を斧状態に変えて飛んでくる矢を全て斬り払うことで接近すると、全身を火炎に包んだ回転突撃を放つことでアメフリコゾウに反撃の隙を与えずに撃破する。
幽冥「中々歯応えあるな!」
アマノジャク「ふんぬっ!」
幽冥「とはいえ操り人形に過ぎない!お前じゃ俺には勝てねえな!」
《雲外鏡!》
《装填!》
幽冥「さーて、殴り合いは終わりだ」
《憑依装着!変化!
白日反射!雲外鏡ヨロイ!》
《盾之刻!》
幽冥「いくぜー!」
アマノジャク「ふっ!はあっ!」
幽冥「効かねえな!」
《一・撃・必・殺!》
幽冥「消し飛べ!」
《白日剛撃!》
幽冥「はああああっ!!!」
アマノジャク「うぐおおおっ!!」
幽冥は妖之盾槍で棍棒の一撃を受け止め、弾き返すと雲外鏡ヨロイに姿を変え、盾状態に変えた妖之盾槍で棍棒による攻撃を受け切ると、そのまま妖之盾槍で殴り付けて怯ませる。そしてその隙に至近距離で鏡面から白い光を一斉に放つことでアマノジャクを消し飛ばす。
妖魔「次は…」
《河童!》
《装填!》
妖魔「カッパさん、お願いします!」
《憑依装着!変化!
水勢怪力!河童ヨロイ!》
妖魔「はあっ!」
禍炎「そんな攻撃…」
霊魂「はあっ!」
幽冥「おりゃあっ!!」
禍炎「もうやられたのか…」
妖魔「はああっ!」
禍炎「ふん!」
霊魂「!降谷賢昇!」
幽冥「分かってら!!」
霊魂「ナイスだ!はあっ!」
禍炎「ぐあっ!」
妖魔は河童ヨロイに姿を変えて胡瓜型の矢を放つが、そこに霊魂と幽冥が合流する。
妖魔の放つ矢を受けた禍炎は黒い羽根を飛ばして妖魔を狙うが、そこを幽冥が防ぎ、霊魂がその隙に斬撃を叩き込む。
《天狗!》
《装填!》
妖魔「テングさん!いきますよ!」
《憑依装着!変化!
疾風神通!天狗ヨロイ!》
《剣之刻!》
妖魔「はああっ!」
禍炎「ならば…」
《塗壁!》
《イグニッション!武装!塗壁!》
妖魔「!」
妖魔は天狗ヨロイに姿を変えて再度剣状態にした妖之弓剣で斬撃を放つ。しかし、禍炎は鉄壁之盾を手にすると、その一撃を防ぐ。
霊魂「だったら、俺の番だ!はあっ!」
禍炎「無意味だな」
霊魂「それは!どうかな!はあっ!!」
禍炎「ふん」
幽冥「俺も忘れんなよッ!」
禍炎「チッ、面倒な」
《オーバーブースト!》
《禍炎カタストロフ!》
禍炎「フンッッ!!」
霊魂「くっ…!」
幽冥「おっとと…!」
霊魂は妖之斧火縄で鉄壁之盾に向けて繰り返し斬撃を放ち、幽冥も妖之盾槍で殴ることで加勢するが、禍炎は鉄壁之盾から大量の瓦礫を発射して二人を退ける。
霊魂「降谷賢昇!俺に合わせろ!」
幽冥「俺に指図すんな!…仕方ねえな」
《アヤダマ!》
霊魂「はっ!」
幽冥「オラァッ!」
《アヤダマブラスト!》
ビシッ…!
禍炎「ふんっ…」
霊魂「時雨!今だ!」
《一・撃・必・殺!》
妖魔「了解です!」
《疾風剛撃!》
妖魔「はあああああああっ!!!」
禍炎「くっ…これは…」
妖魔「はああッ!!」
バゴンッ!!
禍炎「!?なっ…ぐっ…!!」
距離を取った霊魂と幽冥はブンプクブラストフォンにそれぞれ火車アヤダマと雲外鏡アヤダマを装填すると、橙色の熱線と白色の光線を同時発射し鉄壁之盾のある一点へぶつけ、その攻撃が当たった箇所にヒビが入る。
そして、霊魂の合図で飛び出した妖魔は両脚に緑色の風を纏わせて空中で連続蹴りを放ち、最後に右脚でムーンサルトキックを叩き込んで鉄壁之盾を粉々に打ち砕く。その勢いに押された禍炎は少し後退する。
《龍ヨロイ!》
妖魔「決めましょう!」
《大蛇ヨロイ!》
霊魂「このチャンス、逃す手はないね」
《鬼ヨロイ!》
幽冥「言われるまでもねえ!」
《一・撃・必・殺!》
妖魔「エピローグといきますよ!」
霊魂「俺が平和を守り抜く!」
幽冥「豪華絢爛に決めてやる!」
《登竜》《蛇行》《鬼気》
《剛撃!》
「「「はああああああッッッ!!!」」」
禍炎「!」
《ブースト!》
《禍炎デストロイ!》
禍炎「ふんっ!…くっ…」
「「「はあああああっ!!!!!」」」
禍炎「うぐ…ああああっ!!!」
ドオオオンッッ!!
龍ヨロイ、大蛇ヨロイ、鬼ヨロイに戻った三人は一斉に跳び上がり、右脚に雷、水、炎のエネルギーをそれぞれ纏わせて同時に跳び蹴りを禍炎に叩き込む。
禍炎も負けじと炎を滾らせた右拳を突き出して対抗するが、三人の勢いを相殺するには至らずそのまま蹴り飛ばされる。
時雨「はあ…はあ…」
汰月「俺達の…勝ちだ」
賢昇「さーて、その面拝ませてもらおうか」
「フフフ…僕の正体か……」
時雨「!そんな、あなたは…!?」
汰月「何で…あなたが…」
賢昇「マジかよ…」
聖「君、だったん、だな……」
変身解除された禍炎。地面にうつ伏せに倒れたその変身者に、変身を解いた時雨達はその正体を問い掛ける。
そして、顔を上げたその人物の正体は──
聖「白石…君…」
真黒「……」
白石真黒だった。眼鏡を掛けた穏やかな好青年といった顔立ち。時雨達もよく知る、見間違いようのない顔だった。
あまりに衝撃的なその正体に、時雨達は絶句し、中でも彼と旧知の仲である聖は震える声で真黒の名を呼ぶ。
時雨「どうして!どうして仮面ライダーの協力者のあなたが…こんなこと…」
真黒「…大切な人を取り戻すため…それだけさ」
汰月「…何?」
賢昇「まあ良い。そのドライバーは回収してやる」
真黒「悪いが、それは困るなぁ。僕にはまだやることが残ってる。そのためにはこの力が必要なんだよ」
《ブラストモード!》
真黒「…藍羽先生。僕はあなたを許さない」
聖「!!」
真黒「ふんっ!」
時雨「!」
汰月「…しまった」
賢昇「チッ、逃げられたか」
自身の目的の一端を明かした真黒は、焚書ドライバーを回収されまいと、聖への憎悪を覗かせてブンプクブラストフォンを地面に撃ち込み、土煙を立てて姿を眩ますのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
聖「……まさか、白石君だったとは…」
賢昇「なあ、禍炎の奴…あんたに何か恨みがあったみたいだが、一体何があったんだ?」
汰月「…そうだね、こうなった以上俺達も事情を知る権利くらいはある」
時雨「よかったら、教えてくれませんか?先生と白石さんとの間に何があったのか」
聖「そうだね。…事の始まりは三年前、私が教育実習生として照羅巣高校にやってきたときのことだ」
こうして、聖は語り出す。藍羽聖と白石真黒の根幹に至る物語を。
⭐︎⭐︎⭐︎
聖「…当時、白石君には仲のいい友人がいた。その名は
その時の照羅巣高校の生徒会長だった彼女と白石君は中学の時からの付き合いだったらしくてね、いつも一歩引いたところにいる白石君を、朱井君が引っ張り回していたんだ」
時雨「僕の先輩に当たる人達だったんですね」
聖「ああ。…教育実習の期間中、そんな彼等に故あって懇意にしてもらったんだが…そんなある日、反人間連合の幹部が現れたんだ」
賢昇「反人間連合?」
汰月「それって一体…」
リュウジン「反人間連合」
時雨「うわっ、リュウジンさん」
リュウジン「…人間を嫌ってたり、もしくは憎んでいたり、気に入らなかったり、そんな人を好ましく思わないモノノケ達の集まって出来た組織だな。総大将は“ヌラリヒョン”。詳しい能力は分からないが、凄まじく高い妖力と恐ろしく高い知能を併せ持つとされるモノノケだ」
時雨「ヌラリヒョン…」
聖「リュウジン様の言う通り、その反人間連合の幹部…火、水、木、金、土の五つの属性に例えたヌラリヒョンの親衛隊。それこそが“五行”」
賢昇「五行…なんか曜日みたいだな」
聖「実際そこに日月の二つを足したのが曜日だからね。…ともかく、その五行が一人、木の称号を持つモノノケ…“ヌエ”が私達の前に現れた」
汰月「ヌエ…」
聖「朱井家は高名な陰陽道の担い手でね。朱井君は特に才能の高い当主とされていた。そして…ヌエの目的はその朱井君だった」
時雨「まさか…」
聖「そのまさかさ。更なる力を得るためにヌエは朱井君を取り込んだ。その場はなんとか撃退することに成功したんだが…結果として、私は朱井君を助けられなかった」
そう語る聖の顔には悔しさがありありと浮かんでいた。
汰月「でも、それって藍羽先生のせいなの?」
賢昇「話を聞く限りじゃ、気の毒ではあっても逆恨みっぽい感じがするけどな」
聖「…いや、そんなことはない。彼には私を恨むだけの
フォローする汰月と賢昇に、聖は自身のミスだったと続ける。
聖「…君達に頼みがある。白石君を…止めてほしいんだ」
時雨「…勿論。そのつもりですよ」
汰月「相手が誰だろうと関係はないけど…藍羽先生の話を聞いたら尚更だね」
賢昇「俺は知らん。好きにやれ」
時雨「えっ、手伝ってくれないんですか!?」
賢昇「何で俺が手伝わなきゃならねえんだよ!言ったろ、俺はお前等の仲間になったわけじゃない」
汰月「まあ…それは構わないけど、お前別に任務達成してないよね」
賢昇「!!…そ、それはその…」
汰月「なのに俺達にそんな態度取っていいの?」
賢昇「足元見やがって…」
時雨「ま、まあまあお二人とも落ち着いてください。…ですが、いずれにせよ三人で対抗するのが一番です。ここは一つ協力しましょう」
賢昇「……一応言っとくがな、別にお前等の仲間になるわけじゃねえ!…なるわけじゃねえが…任務達成のためにお前等と手を組んでやるよ」
時雨「はい!よろしくお願いします!」
汰月「…仕方ないな、よろしく」
⭐︎⭐︎⭐︎
都黎「…ここか」
禍炎の正体が真黒だと露見した頃、都黎は津久代高校の学区のはずれにある海辺の洞窟にやって来ていた。
都黎「ターゲットはこれだな。…変幻」
《居合変化…!
暗夜丸!》
洞窟の最奥部。都黎はお札の貼られた鎖の巻き付けられた巨大な岩を見ると、暗夜丸へと変身する。
《夜行流奥義!》
暗夜丸「ふん」
《神剣・暗闇演舞!》
暗夜丸「はあああっ!!!」
バツンッ!!
暗夜丸は闇夜月の鍔を三回転させ、刀身に闇のオーラを集中して強力な斬撃を放つ。その一撃によって鎖は断ち切られ、直後岩が震え出す。
ゴゴゴゴゴゴ……!
暗夜丸「うまくいったか」
???「フゥー…!フゥー…!」
ドォーン!と豪快な音を鳴らして巨大な岩が砕け散り、その中から現れた存在は荒い吐息と共にその瞳を赫く輝かせるのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
次回!仮面ライダー妖魔!
「破壊し尽くすだけだなァ…何もかもを!!」
由香里「港の方で謎のモノノケが出現した模様です!」
津久代に迫る凶悪なモノノケ…!
「三人纏めての方がぶっ壊すのが楽しそうだなァ!」
時雨「なん…で…!」
汰月「無茶苦茶だ…!」
仮面ライダー達に最大の危機が迫る──!?
賢昇「更なる力が必要、か」
第拾壱話「目覚めし者は、凶悪暴君」
日曜午後9時!
第十話ご覧いただきましてありがとうございます!
今回は初の三ライダーによる共闘!そして禍炎の正体が発覚する回となりました。
共闘からのフォームチェンジ・必殺技ラッシュは中々熱い仕上がりになったのではないでしょうか。
そして、ついに発覚した禍炎の正体は真黒でした。
優しく知的なイケメガネキャラかと思いきや敵だったわけですね。
まあ、名前が明らかに他のライダーやそれに類する戦士に変身するキャラと同じ法則(名前の最初と最後が対になる漢字になっている)で付けられている上にその名前自体白と黒で禍炎と所縁深かったりと、メタ視点で見れば分かりやすかったかなとは思います。
それ以外にも何かの過去を抱えているだろう描写があったり、禍炎襲来時には必ずその場にいなかったりといった具合でした。
因みに上記のキャラ付けは禍炎の悪役としての悪辣さとのギャップを意識して付けたものです。
いよいよ正体を明かした真黒、そんな彼とただならぬ因縁を抱えている聖、そしていよいよ共闘に成功した三ライダーがどう物語を織りなしていくのか、是非ともご注目ください!
因みに先週のお休み期間の穴埋めで投稿した裏話は設定の方へ移動しましたので、閲覧したい方はそちらからどうぞ!