仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

16 / 70
第拾伍話「生生流転の新パワー!」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

雪音に妖書ドライバーを没収されてしまった時雨。

しかし、照羅巣高校を異変を前に雪音の心を解きほぐし、再び友達としての関係を取り戻すことに成功する!

 

そんな時雨を認めた麒麟の力を借り、妖魔 麒麟ヨロイが爆誕!無事に事件を解決したのだった…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雹介「留守番ご苦労だったね。そちらはどうなっているかな?」

 

都黎「計画は順調です」

 

雹介「ということは、あのドライバーの完成は近いようだね」

 

都黎「はい。…白石真黒曰く、妖魔の戦闘データも手に入れたことで開発はそろそろ終わる見込みとのことです。ただ、アヤダマの方が用意出来ておらず…」

 

雹介「何、そっちは私が何とかしておこう。さて…そろそろあの少女も確保しておきたいな。君と真黒君で出撃してきてもらおうか。助手も付けよう」パチン

 

???「仰せのままに」

 

都黎「かしこまりました」

 

雹介「ああ、そうそう。“例の計画”は実行出来そうかい?」

 

都黎「はい。年明けには実行出来る見通しとなっております」

 

雹介「なら良い。くれぐれも頼んだよ」

 

都黎「はっ」

 

真黒「……」

 

 和邸に帰還したヌラリヒョン…雹介は都黎に指示を出し、指を鳴らして頭の一本角、腕にある鋭い鎌のような爪が特徴的なモノノケを呼び出すと、最後に何かの計画の進捗状況を確かめる。

 そんな二人のやり取りを、戸の陰で密かに聞いていた真黒は顔を顰めさせる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第拾伍話「生生流転の新パワー!」

 

凪桜「…もうクリスマスか…」

 

時雨「ああ、もうそんな時期だね」

 

咲穂「街もすっかりクリスマスムードですものね」

 

調「まあ、ハロウィン終わった辺りからクリスマスムードになりますけどね」

 

時雨「確かに。…どうかしたの?」

 

凪桜「…クリスマス、祝ったことがないからどうしたらいいのか分からなくて」

 

時雨「そうだったんだ。…そうだ、それならクリスマス会でもしようか!」

 

咲穂「良いかもしれませんね」

 

調「俺も賛成です!」

 

凪桜「クリスマス会…うん!楽しみにしてる!」

 

 クリスマスも迫ったある日。クリスマスを祝ったことがないという凪桜のために、時雨達はクリスマス会をしようと決めるのだった。

 

雪音「皆さん、楽しそうですね」

 

時雨「!雪音ちゃん、どうしたの?」

 

凪桜「…ん?」

 

雪音「この間の件について…謝罪しに来たのです」

 

 クリスマス会について話していた歴史研究部の元に、雪音が訪れる。

 その用件は「謝罪」と語る雪音に、四人は真面目な姿勢で話に耳を傾ける。

 

雪音「私の勝手な行動でご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません!」

 

凪桜「…別に、私達は気にしてない。そうでしょ?」

 

調「うん。時雨部長がなんとかしてくれたし…生徒会長さんにも考えがあってのことだって、聞きましたし」

 

咲穂「あなたもあなたなりに時雨君を思いやったからこその話だと伺いました。なら…怒る理由などありませんよ」

 

時雨「…良かったね、雪音ちゃん」

 

雪音「はい。皆さん、ありがとうございます」

 

 雪音の謝罪に対し、三人は気にしてなどいないと答え、その温情に雪音も感謝の思いを伝える。

 

凪桜「そ、それよりも、今私が気になるのは呼び方!」

 

時雨「呼び方?」

 

凪桜「いつの間に雪音“ちゃん”なんて呼ぶようになったの?」

 

時雨「え?あー…昔はそう呼んでたからね、呼び方を戻したんだ」

 

凪桜「な、成る程…」

 

咲穂「そういえば、お二人は小学生からの知り合いでしたね。どのようにして仲良くなったのですか?」

 

調「あ、それ俺も気になる!」

 

 どこか不満気な様子で時雨から雪音への呼称の変化にツッコミを入れる凪桜に対し、時雨は事情を説明する。

 

雪音「…私達の出会いは小学5年生の時に行った、星出山でのキャンプです。ああ、先にお話ししておくのですが、私実は人とモノノケのハーフなんです」

 

咲穂「成る程…え?」

 

調「は、ハーフ!?」

 

凪桜「人とモノノケの…?」

 

時雨「話して大丈夫なの?」

 

雪音「ええ。皆さんのことなら信用出来ますから。…それでえっと、私と時雨君との出会いですよね。…当時の私は、モノノケとのハーフということもあり、人とは距離を置いて過ごしていました。半分人間ではないことがバレて、人が離れていくのが怖かったんです。事情を知っていても仲良くし続けてくれる夢華さんくらいしか、私には友人らしい友人がいませんでした…」

 

 咲穂の質問に答える形で、過去について語り出す雪音。その中で自身の生まれについても三人に明かすと、その上で時雨との出会いを振り返る…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

最初は、夢華さんに誘われてキャンプに参加することにしたんです。夢華さんは活発な子だったので、こういうことも割とあったのですが、その時だけ朝から体調を崩してしまい、来れなかったんです。

そのことを知ったのが集合場所についてからということもあり、後戻り出来なくなった私は、乗り気ではないままキャンプ場に向かいました。

 

雪音「はぁ…」

 

キャンプ場に到着し、少しの間の自由時間の間、仲の良い子同士で和気藹々と過ごす他の子達を遠巻きに見ながら、私は一人川のほとりで黄昏ていました。

その際に風が吹いて被っていた帽子を飛ばされてしまい、川に落としてしまったのです。

 

雪音「あっ…どうすれば…」

 

誰にも頼れず、私が一人あたふたとしていると、そこに声を掛けてきた子がいたんです。

 

時雨「…大丈夫?」

 

雪音「えっ!?あなたは…晴河君」

 

時雨「うん。雪音さんでしょ?同じクラスの」

 

雪音「は、はい」

 

時雨「帽子が取れなくなったんだよね。僕が取ってあげるよ」

 

雪音「えっ!?ですが…」

 

時雨「大丈夫大丈夫、任せてって。これでいっか。よーし…んん…あ!取れた!ってうわああっ!?」

 

バシャーン!

 

雪音「は、晴河君!?」

 

私に声を掛けてきた時雨君は、私が困っていることを察して、近くで木の枝を拾ってきて、なんとか私の帽子を取ってくれました。

結局、足を滑らせて川に落ちてしまったのですが。

 

時雨「あちゃー…転んじゃったか」

 

雪音「大丈夫ですか!?」

 

時雨「大丈夫だよ。ほら、帽子も無事!」

 

雪音「ありがとうございます……その…」

 

「おい晴河、大丈夫か!?」

 

時雨「あ、先生」

 

「どうしたんだ、川に落ちたのか?」

 

時雨「はい。うっかり足を滑らせてしまいまして」

 

雪音「!晴河君…」

 

時雨「…しー」

 

雪音「!」

 

私が謝ろうとしたところで、時雨君はそれを制しました。

その様子を見て、私は思いました。なんて優しい人なのだろう、と。

同時に、彼とお友達になりたい、そう思ったんです。

 

雪音「ごめんなさい。私のせいで…」

 

時雨「良いんだよ。困ってたら放っておけないし!」

 

雪音「晴河君、優しいのですね」

 

時雨「そう?普通だと思うよ」

 

この時の一件がキッカケで、私は時雨君と親しくなりました。

それと同時に、ある夢を抱いたのです。

いつか、人とモノノケが共に生きていける未来を創りたい、と。

時雨君の優しさに触れて、私はこの世界に、人々に希望を抱くことが出来たんです。

 

雪音「……これが、私と時雨君との出会いです」

 

時雨「いやぁ、懐かしいね」

 

凪桜「うーん…何というか凄く…時雨先輩だった」

 

咲穂「確かに、時雨君らしいエピソードでしたね」

 

調「俺も同じこと思いました!時雨部長らしいなって!」

 

時雨「そんなに僕っぽいかな、この話」

 

 雪音と時雨との出会いについての話を聞いた歴史研究部の面々は、その中での時雨が今と変わらぬ性格であることに、ほっこりとした感情を抱くのだった。

 

雪音「…ではそろそろ、私は失礼しますね」

 

時雨「そっか。いつでも遊びに来てね」

 

咲穂「そうですね。歓迎しますよ」

 

調「まあ、あんまりもてなせはしないと思いますけど…」

 

凪桜「是非来てほしい。賑やかになるし」

 

雪音「ふふ、そう言っていただけると嬉しいです。では、お言葉に甘えて、また遊びに来ますね。ああ、それと凪桜さん」

 

凪桜「?」

 

雪音「……私、負けませんからね」ボソッ

 

凪桜「?…何のことか分からないけど、勝負なら負けない」

 

雪音「ふふっ、それで良いです。ではまた」

 

 雪音は帰り際に凪桜へと耳打ちし、それに対する凪桜の返答は意味を理解出来てないものの、闘争心を見せるという凪桜らしいものであり、その反応を受けた雪音はどこか嬉しそうに笑いながら、部室を去っていくのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

汰月「ちょっと出かけてくる」

 

星海「?どちらへ?」

 

汰月「ああ、前に話した新型ドライバーが完成して、それに使えるアヤダマも出来たらしいから取りに行こうと思って」

 

星海「成る程…」

 

汰月「…一緒に来る?」

 

星海「良いのですか?」

 

汰月「うん。そういえば星海はあんまり自由に歩き回れないし、折角ならこういう機会にさ」

 

星海「はい!」

 

 夜御哉の元へ電子ドライバーを受け取りに行こうとした汰月だったが、その立場上自由には出歩けない星海を気遣い、共に出かけないかと誘うと、星海は笑顔で頷く。

 

星海「〜♪」

 

汰月「ご機嫌だね」

 

星海「お出掛け出来るのが嬉しくて…つい」

 

汰月「なら良かった」

 

星海「…そういえば、ずっと聞きたかったことがあったんですが、良いですか?」

 

汰月「…?うん」

 

 貴真賀へ向かう道、星海は久し振りのお出かけに気を良くし、鼻歌混じりに歩いていた。そんな中、星海は汰月にあることを問う。

 

星海「日島さんは何故、仮面ライダーになったのですか?」

 

汰月「……託されたからだよ。津久代をね」

 

星海「託された…?」

 

汰月「うん。星海も津久代で預かることになった時に会ったと思うんだけど、今の生徒会長、覚えてる?」

 

星海「えっと、確か…椚田生徒会長、でしたっけ?」

 

汰月「そう。椚田(くぬぎだ)(さく)。朔と俺は高一の時からの付き合いなんだけど、当時は物凄く仲が悪くてさ」

 

星海「そうだったんですか?この間話していた時は以心伝心って感じでしたが」

 

汰月「うん…まあね」

 

 星海の問いに答える形で現生徒会長である朔との過去を明かす汰月。

 

汰月「アイツとは一年の時から同じクラスだったんだけど、まあ兎に角馬が合わなくてさ、互いに歪み合ってたんだよ。で、ある時廊下で口論になってた所に、前生徒会長…藤咲(ふじさき)先輩というんだけど、その人が来たんだ」

 

星海「前生徒会長…椚田さんの前ということですね」

 

汰月「そう。その人、もう三年生で引退しちゃったんだけど凄い人でさ。まあ、出会った時は副会長だったんだけど、喧嘩してる俺達を見つけるなり、そんな元気があるなら物運ぶの手伝ってって言って強制連行してさ、延々とやたら重い段ボールを運ばされたんだよね」

 

星海「な、中々強烈な…」

 

汰月「だけどさ、そんなことしてるうちになんかもうどうでも良くなってきて、喧嘩なんて忘れて手伝ってたんだよ。…全部終わってヘトヘトになった時に思い出したんだけど、流石にぶり返す気にもならなかったし。そこからかな。藤咲先輩とよく関わるようになったのは」

 

 過去を懐かしむように汰月は語る。

 

汰月「朔と一緒にしょっちゅう色んなことさせられてたんだよ。学内のボランティア活動とか。…けどさ、そうしてるうちに気付くんだ。あの人は物凄くこの学校の生徒であることに誇りを持っていた。例え他の二校と比べても規模が小さかったとしても、この伝統ある津久代高校に入って、生徒会長として引っ張っていくことが出来る。そのことを心から誇りに思ってた」

 

星海「そうなんですね」

 

汰月「それが…俺達には凄くかっこよく見えたんだ。…この津久代高校、中立というと聞こえは良いけど、実際の評価はどっちつかずの半端者って扱いでさ。だから佐乃緒みたいに分かりやすく荒れたりはしてなくても、皆どこかで諦めを覚えたりしてた。そんな場所だったんだ。そして…俺や朔も例外じゃない。俺達が喧嘩ばかりしてたのも、そういう感情の鬱憤を晴らすため、っていうのはあったと思う」

 

星海「日島さん…」

 

汰月「だからこそ、津久代の歴史を学び、伝統を受け継ぎ、そして守ろうとする。そんな藤咲先輩の姿は、どうしようもなくカッコよく見えたんだ。

…で、俺がどうして仮面ライダーになったのか。その話をするには、まず治安維持委員会設立の話からしないとね。実は治安維持委員会って、去年の秋から出来た委員会なんだ」

 

星海「そうだったんですか?」

 

汰月「うん。去年の秋頃、津久代地区に悪質な不良グループが現れた時期があって、それがキッカケで結成されたんだ」

 

星海「そうだったんですね」

 

 何故汰月が仮面ライダーになったのか、その話をするために汰月は治安維持委員会の始まりについて語り出す。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

──回想

 

不良「今ちょっと喉乾いててさぁ〜」

 

「や、止めてください…!」

 

「アンタ、何なんだよ…!」

 

 ある日、津久代地区の清掃ボランティアに参加していた汰月と朔は、中学生の男女とトラブルになっている不良を発見する。

 

不良「うるせぇな!」

 

汰月「あれは…!」

 

朔「あっ、おい、日島!」

 

汰月「おい、止めろ」

 

「「!?」」

 

不良「あ?…チッ」

 

汰月「…?」

 

???「またかぁ…」

 

汰月「藤咲先輩、あれは?」

 

 声をかけて睨むと逃げ去っていた不良。汰月がその様子を訝っていると、当時の生徒会長・藤咲亜実(あみ)は溜め息を漏らす。

 

亜実「どうも最近、この辺りに不良グループが居着いたみたいでね」

 

汰月「いつの間に…」

 

亜実「ちょいちょいウチの生徒ともトラブルが起きてるみたいなんだよね…」

 

朔「それ、問題じゃないですか!」

 

亜実「うん。そうなんだけどさ、風紀委員会でも対処しきれなくなってきててね。…ただでさえ人数も少ないからね…」

 

 津久代を脅かす存在に困り果てている亜実を見た汰月と朔は、あることを決意する。

 

汰月「それなら、俺も協力します」

 

朔「僕も、協力します」

 

汰月「朔…」

 

亜実「良いの?二人とも…危ないよ?」

 

汰月「大丈夫。俺強いから」

 

亜実「そうは言っても…」

 

 その行動は、亜実の津久代への愛を間近で見てきて、その影響を受けてきた二人にとって、津久代が守りたいと願う大切な場所となっていることの証左でもあった。

 

 結局、渋る亜実を説得し、結局亜実が長となって活動を監督するという条件付きで津久代を守るためのグループを作った汰月と朔。それこそが、治安維持委員会だった。

 

 活動を続けて間もなくの頃、委員会室として亜実が設けた教室に訪れたのは愛菜だった。

 

愛菜「こちらが治安維持委員会の教室で間違いないですか?」

 

汰月「そうだけど…」

 

朔「君は?」

 

愛菜「私は下山愛菜って言います!治安維持委員会の活動を知って、私感動したんです!」

 

汰月「そ、そう…」

 

愛菜「はい!なので私も一緒に活動したいと思ってお伺いしました!」

 

朔「どうする?」

 

汰月「危険も伴うし、そう軽々しく入れるわけにいかないでしょ」

 

朔「だよなぁ」

 

 しかし、愛菜の熱意に押された汰月と朔は程なくして根負けし、彼女の加入を認める。

 

 愛菜も加わって暫く経った頃、精力的な活動のお陰か、津久代地区に居着くのは難しいと判断した不良グループは津久代地区を立ち去っていき、無事に当初の目的を達成することが出来たのだった。

 

汰月「不良グループの連中はいなくなったみたい」

 

朔「となると、この治安維持委員会もお役御免かな」

 

愛菜「そうですね…それはそれで寂しいですが…」

 

汰月「まあでも、平和なのは良いことだから」

 

 目的を達成したがために解散するかと思われた治安維持委員会。しかし、そこで亜美が声を上げる。

 

亜実「そのことなんだけどさ、治安維持委員会は当面このまま残していこうと思うんだよね」

 

汰月「え?」

 

愛菜「ど、どういうことですか?」

 

朔「…?」

 

亜実「元から風紀委員会の人手不足は深刻だったし、外をある程度守ってくれる委員会があるのはありがたいっていうのと、いくら立ち去ったといってもまだ予断は許さない状況でしょ?見張りをやめたらまた来るかもしれないし」

 

汰月「それは…確かに」

 

亜実「まあ、パトロールの一環として皆色んなボランティアにも参加してくれたし、街の人達からの評判も良かったからね。そういうわけで、皆が良ければこのまま続けてほしいのだけど、どうかな?」

 

汰月「そういうことなら…喜んで」

 

朔「勿論、僕も続けますよ」

 

愛菜「私もです!」

 

 亜美の計らいもあり、治安維持委員会を続けることとなった汰月達。

 そして、四月になると、新たな仲間も増えた。

 

克真「あの、治安維持委員会はここで合ってますか!」

 

由香里「上野君、まずは名乗らないと」

 

克真「あっ、確かに。俺は上野克真っていいます!」

 

由香里「私は中江由香里です。よろしくお願いします」

 

汰月「治安維持委員会はここで合ってるけど…あれ、君達どこかで会ったことある…?」

 

朔「…それで、用件は?」

 

克真「はい!俺達その…この委員会に入りたいんです!」

 

愛菜「まあ!それは嬉しいですね〜」

 

汰月「成る程…けど結構危険もある委員会だし、一般募集はしてないはずだけど…」

 

由香里「えっと…去年の秋頃、不良に絡まれていたところを皆さんに助けてもらったんです」

 

汰月「あー…あの時の」

 

朔「この学校に入学してたんだな」

 

克真「それで、俺達も皆さんみたいになりたいって思ってこの学校で調べてたらこの委員会に辿り着いたんです!」

 

由香里「私達にも、お手伝いさせてもらえませんか!」

 

 治安維持委員会が発足されるきっかけともなった出来事の際に助けた中学生の二人…克真と由香里が治安維持委員会に入りたいとやって来たのだった。

 

汰月「…まあ、二人が真剣にやりたいのなら、止めないよ。朔は?」

 

朔「俺も止めはしない。下山は?」

 

愛菜「私は賛成ですよ〜。仲間が増えたら嬉しいじゃないですか」

 

汰月「とすると、後は委員長次第かな。どう?藤咲先輩」

 

亜実「うんうん、熱意があって良いじゃない。これからを任せるにはうってつけだと思うよ!」

 

汰月「…決まりだね。これから宜しく」

 

「「はい!」」

 

 満場一致の賛成によって克真と由香里も加入したのだった…。

 

汰月「──とまあ、そんな具合で今のメンバー達は集まって、治安維持委員会の活動もしてたんだよね」

 

星海「そうだったんですか。…あれ?それだとこの間教室からアヤダマが見つかったのは一体…?」

 

汰月「ああ、あの部屋って実は旧生徒会室だったんだよ。ほら、ウチって昔はマンモス校だったから校舎は大きいでしょ?で、今の治安維持委員会の教室は5階…つまり最上階の、それも奥にあるでしょ?ただ、それだと不便だってことで生徒数が減ってから、教室も空いたから今の3階に移ったらしいんだよね」

 

星海「そういう事情でしたか。…ということは、昔の生徒会はアヤダマを所持していた、ということですか?」

 

汰月「良い質問だね。そう、この大蛇アヤダマも元々生徒会に伝わってた物なんだ。そして…そこにこそ、どうして俺が仮面ライダーになったのか、その答えがある。俺が仮面ライダーになったキッカケは、5ヶ月くらい前…夏休み前の藤咲先輩の引退が関係してるんだ」

 

 星海の疑問に答える汰月。その中で飛び出した問いに、汰月は話の本筋を戻す。

 

──回想

 

亜実「さて…今日は皆に大事な話があります」

 

 夏休みも近付いてきた6月のある日、そう切り出したのは亜美だった。

 

亜実「知っての通り、私はこの一学期が終わると共に生徒会長及び治安維持委員会委員長を引退します」

 

汰月「そっか。…もうそんな季節か」

 

朔「任期はこの7月末で終わりますもんね」

 

亜実「そう。それで、引き継ぎをしようと思ってね。今までは副委員長とかは決めずにやってきたけど、ここからはしっかり次期委員長と副委員長でやっていった方が良いと思うの」

 

愛菜「副委員長…ですか」

 

汰月「…藤咲先輩、なんか焦ってる?」

 

亜実「!…バレたか」

 

 後任を決めようとする話の中で、妙な取っ掛かりを覚えた汰月は、その違和感が亜美の焦りにあると気付く。

 

亜実「…えっとね、皆にはしっかり伝えなきゃいけないと思ったんだけど…皆は佐乃緒の方で最近不思議な事件が起きてるって噂、知ってる?」

 

克真「あ、聞いたことあります!」

 

汰月「俺も聞いたことはある」

 

愛菜「私も耳にしましたよー」

 

亜実「うん。それでね、そのことについてで、皆にも教えておかないといけないことがあるの」

 

朔「?どうしたんです?」

 

亜実「私が今から言うことは全部事実だからね。…実はね、その…それらの事件を起こしているのはモノノケ…つまりは妖怪なの」

 

克真「妖怪!?」

 

由香里「そんなまさか…」

 

亜実「信じられないよね。…でも、それは本当なの」

 

 亜実の言葉に治安維持委員会のメンバーは困惑する。

 

汰月「…どうしてそんなことを、藤咲先輩が?」

 

亜実「それはね、代々生徒会長には受け継がれてきたの、これが」

 

朔「青い…宝石?」

 

亜実「これは、アヤダマ…っていうらしいの。オロチというモノノケの魂と力が込められた物らしくてね、代々津久代の生徒会長はこれを受け継ぎ続けてきた。モノノケという存在についての話と共に」

 

汰月「そんなことが…」

 

亜実「私も半信半疑だったんだけど、最近の事件のことを知って、これが本物だって確信したの。そして…実際にアヤダマを使ってモノノケと戦う存在が佐乃緒に現れた」

 

汰月「!佐乃緒に…これを使う生徒が…」

 

克真「そんな人が…」

 

亜実「うん。どうやら仮面ライダーって呼ばれてるみたいだけどね。この先、この津久代地区がモノノケによって危機に立たされることもあるかもしれない。その時、私達が対抗するには、このアヤダマと…妖之書と呼ばれる不思議な本を使って仮面ライダーになる必要があるんだ」

 

朔「まさか…藤咲先輩」

 

 仮面ライダーについて説明した亜実。そして、その目的について朔はあることに思い至る。

 

亜実「もう分かったかな?…実は、このアヤダマ、治安維持委員会に移そうと思っているの。戦うのなら、こっちの方が最適だと思ったから」

 

由香里「ですが…生徒会が代々受け継いできた物を、勝手に私達に引き継いで良いのですか?」

 

亜実「うっ…それは…」

 

朔「…一つだけ、案があります」

 

汰月「案?」

 

朔「俺が、生徒会長に立候補します。治安維持委員会から生徒会長を出す。そうなれば今代と次代の生徒会長同士で同意することになりますから。それなら、問題はないでしょう」

 

汰月「!それって…」

 

朔「生憎、俺はそんなに器用な人間じゃない。ここからモノノケなんてものが出てきて、本当に戦いになるとしたら、どちらか一方にしか集中するのがやっとだろうから…治安維持委員会を抜けることになるだろうな」

 

 亜実の懸念を解決するための策として、朔は自らが生徒会長となることを提案する。

 

朔「そんな顔するなよ。…別にお別れってわけじゃない。生徒会長となったとしても、この学校を守りたいと思う気持ちは変わらない。寧ろ、だからこそなるんだ。それに…藤咲先輩の跡を継いでみせたいんだ」

 

汰月「なら…俺は治安維持委員会委員長になる。…必ず仮面ライダーになって、この学校を守るよ」

 

朔「…そうだな。頼んだ」

 

愛菜「なら私は副委員長になります。…必ず、この学校を守る力になりますから」

 

克真「俺達もこれまで以上に頑張ります!」

 

由香里「例え危険だとしても…この学校を守りたいですから!」

 

 朔の覚悟に影響されて汰月達も覚悟を決める。そして、そんな会話の1ヶ月後、朔は生徒会選挙を勝ち抜き、亜実から生徒会長を引き継いだのだった…。

 

汰月「そして、夏休みが明けて間も無くの頃、妖之書が見つかったことで俺は晴れて仮面ライダーになったんだ」

 

星海「津久代を守るために仮面ライダーになって戦っているってことなんですね…」

 

汰月「うん。それが俺の…誇りだから」

 

星海「話してくれてありがとうございます!」

 

 汰月が仮面ライダーとなったキッカケを聞いた星海は、その信条に感銘する。

 

 二人が一通り話し終え、貴真賀中央大学の近辺までやって来た頃、二人の進行する方向から人々が慌ただしく向かってくる。

 

「うわああっ!」

 

「に、逃げろぉっ!」

 

「きゃーっ!」

 

汰月「…これは…!?」

 

星海「な、何事でしょう!?」

 

汰月「!…そういうことか」

 

 逃げ惑う人々に困惑する汰月と星海。その前に現れたのは都黎と真黒、そして新たなモノノケだった。

 その様に汰月は状況を理解し、妖之書を取り出して構える。

 

都黎「斜馬星海…お前を回収する」

 

真黒「そういうこと。悪く思わないでね」

 

汰月「ふざけるな。星海は物じゃない。…コイツは…ワイラ…か」

 

ワイラ「ええ。我が名はワイラ…あなた方に恐怖を刻み付けてあげましょう」

 

《着火!》

 

《八咫烏!》

《餓者髑髏!》

 

《イグニッション!》

《イグニッション!》

 

都黎「変幻」

 

《居合変化…!暗夜丸!》

 

真黒「変身」

 

《焼却装着!ヘンゲ…

 

黒翼!白骨!仮面ライダー禍炎!》

 

 星海を回収するべく現れた三人に怒りを見せる汰月。対してその反応を無視した都黎は暗夜丸へ、薄笑いを浮かべた真黒は禍炎 八咫烏餓者髑髏ヨロイへと変身し、ワイラと共に襲いかかる。

 

《大蛇!》

 

汰月「相手になってやる」

 

《装填!》

 

汰月「変身」

 

《憑依装着!変化!

 

蛇行咬合!大蛇ヨロイ!》

 

霊魂「はっ!はあっ!」

 

 汰月は霊魂 大蛇ヨロイに変身し、銃状態の妖之斧火縄を構えて発砲しつつ接近する。

 

ワイラ「ここは私にお任せを」

 

暗夜丸「良いだろう、お前の実力を見せてもらう」

 

禍炎「お手並み拝見、といこうかな」

 

ワイラ「ふんっ!」

 

霊魂「!くっ…」

 

ワイラ「ふっ!」

 

霊魂「うああっ!…コイツ、強い…下手したらギュウキ並みだな…!」

 

 ワイラは一歩前へと躍り出ると、自分一人で霊魂を相手取ると宣言し、鋭い爪で斬りかかる。

 霊魂はワイラの一撃を妖之斧火縄で受け止めようとするが、その威力の高さに蹌踉めき、追撃を受けて吹き飛ばされてしまう。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

 霊魂とワイラとの戦いが始まった頃、時雨と凪桜は貴真賀地区を訪れていた。

 

凪桜「どこもクリスマスだな」

 

時雨「そうだねぇ。クリスマス会をするとなると飾りは必須だよね」

 

凪桜「成る程、あの枝の輪っかとか鈴とか靴下とかか」

 

時雨「そうそう。枝の輪はリースっていうんだよ」

 

凪桜「リース…」

 

 二人が連れ立って貴真賀地区までやって来ていたのは、クリスマス会の準備のためだった。

 

凪桜「ん?時雨先輩。なんか向こうから悲鳴が聞こえてこない?」

 

時雨「本当だ。というかなんかあっちから慌ててこっちに来てる人がちらほらといるね」

 

リュウジン「ふむ…あちらに妖気があるな。どうやら派手に暴れているようだ」

 

時雨「!…なら、急いで向かおう!」

 

凪桜「うん!」

 

 貴真賀地区の異変に気付いた時雨と凪桜。そこにリュウジンが妖気を感じると報告したことで、モノノケが暴れていると判断し、時雨達は急いでその場へ向かう。

 

霊魂「くっ…うあっ!」

 

ワイラ「さあ!私の強さの前に…畏れをなしなさい!」

 

霊魂「誰が…お前達なんかに…!」

 

 ワイラの強さに苦戦を強いられていた霊魂は、火車ヨロイとなり妖之斧火縄を斧状態に変えていたものの、状況は覆せずにいた。

 

暗夜丸「無駄な抵抗を…。あれは」

 

ワイラ「ならば恐怖し、死に晒しなさい!!」

 

星海「日島さん!!」

 

時雨「させません!リュウジンさん!」

 

リュウジン「任せろ!ふんっ!」

 

ワイラ「チッ…鬱陶しい…!」

 

時雨「変身!」

 

《憑依装着!変化!

 

登竜大成!龍ヨロイ!》

 

妖魔「はあっ!」

 

ワイラ「ぬっ…!」

 

霊魂「!時雨…」

 

 ワイラの爪によりトドメを刺されそうになっていた霊魂。しかし、そこに駆け付けた時雨がリュウジンによる妨害の隙に妖魔 龍ヨロイとなって剣状態の妖之弓剣を叩き込むことで距離を離し、霊魂は間一髪助かる。

 

妖魔「大丈夫ですか?」

 

霊魂「まあ、何とか。ありがとう」

 

妖魔「いえいえ」

 

霊魂「…頼もしいけど、あのモノノケ…ワイラは手強い。恐らくギュウキと同等の力を持ってる」

 

妖魔「ええっ!?」

 

霊魂「だから…少しの間、時間を稼いでほしいんだ」

 

妖魔「時間を…?」

 

霊魂「うん。…()()を取りに行く」

 

妖魔「!ああ、()()ですね!そういうことなら…任せてください!」

 

霊魂「ありがとう。助かる」

 

 合流した妖魔に、霊魂はコッソリ作戦を耳打ちする。

 

暗夜丸「何をコソコソ話しているのか知らないが…そちらが二人でくるなら、こちらも三人でいかせてもらおう」

 

禍炎「そういうこと」

 

霊魂「じゃあ、頼んだよ」

 

妖魔「はい!」

 

霊魂「ふっ!」

 

暗夜丸「!…逃げた…?」

 

ワイラ「おや、脅かしすぎましたかねえ。畏れをなしたあまりに尻尾を巻いて逃げ出すとは…」

 

禍炎「…へぇ」

 

星海「!?日島さん…もしかして」

 

凪桜「?」

 

 霊魂は炎の車輪を展開し、高速で走り抜けて戦線を離脱する。

 

妖魔「…日島君は、逃げたんじゃありません。戻ってくるまでは…僕があなた達を止めます!」

 

《聖獣之書!》

 

 霊魂が逃げたのだと思っている敵に対し、妖魔は毅然と反論し、聖獣之書装を取り出して妖書ドライバーを変化させる。

 

《鳳凰!》

《聖獣装填!》

 

《聖獣装着!変化!

 

聖炎復活!鳳凰ヨロイ!》

 

妖魔「はああっ!」

 

暗夜丸「くっ…!」

 

ワイラ「む…!」

 

禍炎「そうこないとね」

 

 妖魔は鳳凰ヨロイとなると、熱波を放って暗夜丸、ワイラ、禍炎の三人を纏めて攻撃する。

 

禍炎「なら…こちらも」

 

《塗壁!》

 

《イグニッション!武装!塗壁!》

 

妖魔「負けません!はあっ!」

 

ワイラ「背中から失礼」

 

妖魔「うっ!…はっ!」

 

ワイラ「ぐうっ!」

 

 鉄壁之盾を召喚して構えた禍炎に、妖魔は妖之流星刀を召喚して斬りかかるが、その隙にワイラが背中から妖魔を斬りつける。

 

凪桜「力自体は時雨先輩の方が強いけど…流石に三人がかりとなると…」

 

星海「日島さん…早く戻ってきてください…」

 

 最高戦力の一つたる鳳凰ヨロイでさえ苦戦を強いられている様子に、凪桜は三人を一片に相手しているからだろうと分析し、星海は汰月の戻りを祈る。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

汰月「田貫教授!」

 

夜御哉「おや、どうしたんだい汰月君。そんなに慌てて」

 

汰月「禍炎達の襲撃を受けてて…その場を時雨に任せたんですが、あの様子じゃ時雨一人…いや、今までの俺がいたとしても突破が厳しいんです」

 

夜御哉「!…そういうことか。良いだろう。これを持って早く戻ってあげたまえ」

 

汰月「ありがとうございます!」

 

 夜御哉の研究室にやって来た汰月の急いだ様子に疑問を覚えた夜御哉だったが、汰月の説明で状況を理解し、アタッシュケースを手渡す。

 

汰月「待っててくれ…!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

《夜行流奥義!》

 

暗夜丸「ふんっ!」

 

《秘剣・暗黒剣舞!》

 

《河童!》

《選択!》

 

妖魔「はあっ!」

 

《河童!妖斬り!》

 

 暗夜丸は闇夜月に闇のオーラを纏わせた斬撃を放つが、妖魔も負けじと胡瓜状のエネルギーを纏わせた妖之流星刀で斬撃を放ち、暗夜丸を押し返す。

 

禍炎「隙あり…だね!」

 

ワイラ「ふっふっふっ…!」

 

妖魔「うっ!…手強い…!」

 

 後退した暗夜丸に替わり、禍炎とワイラが同時に左右からそれぞれ蹴りと斬撃を放つ。妖魔は咄嗟に禍炎の蹴りを腕で、ワイラの斬撃を妖之流星刀で受け止める。

 

ワイラ「さあ!あなたにも畏れを刻み付けて差し上げましょう!」

 

汰月「それは無理だね」

 

ワイラ「ぬっ!?」

 

妖魔「!日島君!」

 

星海「日島さん…良かった」

 

汰月「ごめん。お待たせ」

 

 ワイラが爪を振り上げて妖魔に飛びかかろうという次の瞬間、背後から数発の銃撃がワイラを襲う。その攻撃の主はブラストモードのブンプクブラストフォンを構えた汰月だった。

 

禍炎「……」

 

暗夜丸「日島汰月…」

 

ワイラ「あなたは…畏れをなして逃げたのではないのですか?」

 

汰月「誰が。…俺は逆転の一手を手に入れるために時雨に粘ってもらってた。作戦だよ」

 

暗夜丸「!電書ドライバー…!」

 

 戻ってきた汰月は、ワイラからの言葉を一蹴すると、電書ドライバーを掲げる。

 

汰月「俺の新たなステージ…ここで見せてあげるよ」

 

《電書ドライバー!》

 

 汰月は電書ドライバーを装着すると、銀色を基調とし、所々紺色になっている機械的な見た目のアヤダマを取り出す。

 

禍炎「そのアヤダマは…!」

 

汰月「津久代に密かに伝えられていたアヤダマを電書ドライバーで使えるようにした…その名もミズチ電子アヤダマ、だよ」

 

《ミズチ!》

 

汰月「…いくよ」

 

《インストール!》

 

汰月「変身!」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

激流(げきりゅう)Splash(スプラッシュ)!ミズチヨロイ!》

 

 汰月はミズチ電子アヤダマを電書ドライバーに装填すると、電書ドライバーの画面右側を左側へとスライドさせ、続けて右側へと戻す。

 すると、汰月の身体は(たちま)ち水の渦に包まれ、その身体を銀色の素体が覆う。そして水が変化して装甲を形作ると、そのまま各所へと装着されていく。

 姿を現したのは複眼を黄色に輝かせ、紺色の蛇を模しながらもどこか機械的な装甲に身を包み、そのシルエットは忍者にも見える仮面ライダー霊魂 ミズチヨロイだった。

 

霊魂「さあ…覚悟しなよ」

 

《アヤカシレーザーアタッカー!》

 

 霊魂は銀色を基調として黒色の差し色が入り、刀身兼銃身となる青色の結晶体と手元から見て左側に取り付けられた赤色のレバーが特徴的な銃剣一体型の武器・アヤカシレーザーアタッカーをレーザーガンモードで召喚する。

 

ワイラ「ふん。姿が変わったからなんだと言うのです。…奴は私が」

 

禍炎「なら僕も。…その強さ、興味深いからね」

 

暗夜丸「ならば晴河時雨…お前は俺が相手になってやろう」

 

禍炎「援軍を出しておこうかな」

 

《白山坊!》

 

《イグニッション!》

 

《雨降小僧!》

 

《イグニッション!召喚!白山坊!雨降小僧!》

 

 霊魂のパワーアップを前に、禍炎、ワイラの二人は霊魂と、暗夜丸と禍炎の呼び出したハクサンボウとアメフリコゾウは妖魔と対峙する。

 

《チャージ!》

 

霊魂「ふっ!」

 

《チャージシュート!》

 

禍炎「くっ…!威力が重いな…!」

 

ワイラ「ぬああっ!」

 

 霊魂はアヤカシレーザーアタッカーのレバーを引いてエネルギーを銃身に集めると、そこから強力な蒼いレーザー光弾を発射することでワイラを後退させ、鉄壁之盾を構えた禍炎にも攻撃を響かせる。

 

妖魔「よーし、僕も!」

 

《麒麟!》

《聖獣装填!》

 

《聖獣装着!変化!

 

聖音泰平!麒麟ヨロイ!》

 

妖魔「はあああっ!!」

 

暗夜丸「くっ…!」

 

 妖魔は麒麟ヨロイへ姿を変えると聖なる音を発して暗夜丸とアメフリコゾウ、ハクサンボウを退ける。

 

ワイラ「ふん…その程度、接近すれば!はあっ!」

 

霊魂「…その程度?」

 

ワイラ「何っ…!?」

 

霊魂「はっ!はあーっ!」

 

ワイラ「ぬううっ!」

 

禍炎「よした方が良い。無闇に戦って勝てる相手ではない」

 

ワイラ「黙りなさい!私が…貴様を倒すのですっ!!…ううっ…うぐあああっ!」

 

禍炎「!これは…?」

 

霊魂「…何か様子が変だな」

 

 霊魂に爪で襲いかかるも、片手で軽く受け止められ、拳を顔面に喰らった上に接射を受けて吹っ飛ばされたワイラ。すると、どこか焦るような様子と、禍々しい黒いオーラを纏いだす。

 

霊魂「はっ、ふっ、ほっと…パワーがどんなに上がってても、そんな攻撃じゃ当たらない」

 

ワイラ「煩い煩い煩いんですよぉっ!」

 

霊魂「仕方ない」

 

《インストール!》

 

ワイラ「うああああっ!!」

 

霊魂「頭でも冷やしなよ」

 

ワイラ「くっ…うぬああっ!」

 

 霊魂はアヤカシレーザーアタッカーにミズチ電子アヤダマを装填すると、その銃口から水流弾を発射してワイラを牽制する。

 

《スペシャルムーブ!》

 

霊魂「はあーっ!!」

 

禍炎「これは…!」

 

《激流シュートフィニッシュ!》

 

禍炎「くっ…!!」

 

ワイラ「ぐああっ!」

 

 霊魂はアヤカシレーザーアタッカーのレバーを引いて水の妖気を最大まで銃身に集めると、鉄砲水の如き弾丸として解き放つ。

 その一撃に危機感を抱いて鉄壁之盾を構えた禍炎だったが、その勢いに鉄壁之盾は破壊されてしまい、二人を纏めて吹き飛ばす。

 

妖魔「決めます!」

 

《天狗!》

《装填!超回転!一・撃・必・殺!》

 

暗夜丸「…ならば」

 

《夜行流奥義!》

 

《疾風流星閃撃!》

 

《神剣・暗闇演舞!》

 

妖魔「はあーっ!!」

 

天狗「ふんっ!!」

 

暗夜丸「はっ!」

 

 妖魔は天狗アヤダマを妖之流星刀に装填すると、八芒回転星を回転させ、対する暗夜丸は闇夜月の鍔を三回転させる。

 そして、妖魔は召喚された妖魔 天狗ヨロイと共に風を纏った神通力の刃を飛ばし、暗夜丸は強力な闇の斬撃を放ち、同時にアメフリコゾウは水流弾を、ハクサンボウは光弾を放つ。

 両者の攻撃は僅かに拮抗するが、やがて妖魔と天狗ヨロイの風を纏った神通力の刃が打ち勝つ。

 

暗夜丸「うぐああっ!!」

 

 アメフリコゾウとハクサンボウは消し飛ばされ、暗夜丸は変身解除に追い込まれる。

 

霊魂「そろそろ終わりだよ」

 

《スペシャルムーブ!》

 

禍炎「…!」

 

ワイラ「負けてたまるものか…ッッ!!」

 

霊魂「俺が平和を…守り抜く!」

 

《激流ストライクフィニッシュ!》

 

霊魂「はああ…!」

 

ワイラ「!!」

 

霊魂「はあーっ!!」

 

禍炎「うぐっ…!」

 

ワイラ「ぐぬああああっ!!!!」

 

 霊魂は電書ドライバーを操作すると、脚に取り付けられたパイプ型の装置「アラナミポンプ」からジェット水流を発生させ、その水流に乗って青色のエネルギーを右脚に纏わせた跳び蹴りを放つ。

 その一撃は禍炎を弾き飛ばして変身解除に追い込み、そのまま勢いを付けてワイラを貫くと、そのまま爆散させる。

 

ワイラ「ううっ…うああああっ!!」

 

真黒「!…アヤダマに出来ない…!」

 

霊魂「何だ…?」

 

 倒されたワイラは苦しみ悶えて消滅していき、真黒がアヤダマに変えようとしても失敗に終わる。

 

妖魔「あれは一体…?」

 

都黎「ふん。簡単なことだ。ヌラリヒョン様があのモノノケに術式を使ったのさ。…魂に働きかけてその力を極限まで強化する術式をな」

 

真黒「…成る程、禁術の類か」

 

 ワイラがその身を滅ぼした理由を端的に答えた都黎は、真黒と共にその場を撤退する。

 

時雨「…ヌラリヒョン…」

 

汰月「敵もまだまだ底が見えないな」

 

時雨「何はともあれ、お二人が無事で良かったです」

 

汰月「時雨が駆け付けてくれたおかげだよ。ありがとう」

 

時雨「いえいえ、そんなに大したことしてないですよ」

 

 ヌラリヒョンのやり方に悍ましいものを感じつつも、一先ず窮地を脱した時雨達。

 汰月は時間稼ぎをしてくれた時雨に礼を言う。

 

星海「日島さん、すっごく強かったです!」

 

凪桜「こっちの戦力も順調にパワーアップしてる」

 

時雨「そうだね」

 

汰月「次は…アイツの番か」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

 時雨達が都黎や真黒達を退けた頃、佐乃緒地区では鋭く大きい牙を生やし、長い髪が特徴的な恐ろしい顔付きのモノノケが暴れ回っていた。

 

「キャーッ!」

 

「化け物だーっ!!」

 

???「ぐははははっ!人間の恐怖は美味いなぁ…!」

 

賢昇「ふん!」

 

???「ぐはあっ!?」

 

 暴れることで人間を恐れさせ、その感情を喰らっていたモノノケに対し、駆け付けた賢昇はブラストモードのブンプクブラストフォンによる銃撃を浴びせる。

 

???「何だ貴様は…!」

 

賢昇「俺か?俺は…仮面ライダー幽冥!冷酷無情な大悪党…ってとこだ。そういうお前は…“オトロシ”か」

 

オトロシ「仮面ライダーだと…!」

 

 やってきた賢昇の正体を問うオトロシ。対して賢昇はいつもの調子で名乗り、妖之書で相手の正体を探る。

 

賢昇「お仕置きが必要そうだな」

 

《鬼!》

《装填!》

 

賢昇「変身!」

 

《憑依装着!変化!

 

鬼気粉砕!鬼ヨロイ!》

 

 賢昇は妖書ドライバーを装着し、幽冥 鬼ヨロイへ変身する。

 

幽冥「はあっ!」

 

オトロシ「ぐわっ!…この…ッ!」

 

幽冥「うげっ!また髪の毛かよ!?」

 

 幽冥は槍状態の妖之盾槍をオトロシの脳天へと振り下ろし、オトロシはその一撃を受けて蹌踉めくが、負けじと髪の毛を伸ばして幽冥の右脚を絡め取り、そのまま転ばせる。

 その攻撃にかつてのヌレオンナ戦を想起した幽冥は心底嫌そうな声を上げる。

 

幽冥「この!はあっ!」

 

オトロシ「何ィ!?」

 

幽冥「よくもやってくれたなこの野郎」

 

《盾之刻!》

 

幽冥「オラアァッ!!」

 

 幽冥は機転を効かせてブンプクブラストフォンで髪の毛を撃ち抜くことで拘束を脱すると、立ち上がりつつ妖之盾槍を盾状態に変え、殴りかかる。

 

オトロシ「ぐはっ!ぐふあっ!!」

 

幽冥「はっ!」

 

オトロシ「ぐっ…お、覚えてろよ…ッ!!」

 

幽冥「なっ!…おい待て!!…逃げられたか」

 

 幽冥は妖之盾槍を用いて連続の殴打を浴びせるが、吹き飛ばされたタイミングでオトロシはふらつきながらもその場を脱する。

 

賢昇「…ったく。……はぁ、どうすっかな」

 

 敵を退けながらも浮かない表情の賢昇は、先程起きた出来事を軽く回想する。

 

拓矢『期待を裏切るなよ』

 

賢昇「…どうしたもんかね」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

真黒「いやぁ…こっぴどくやられたな。それに加えてどうも最近調子が悪い…計算よりはまだ早いはずだけどな…」

 

 一人薄暗い路地にてへたり込む真黒。その顔には疲労が強く滲んでいた。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

拓矢「バスターズ…お前達もとっとと己の使命を全うしろ」

 

賢昇「…もう二度とあんなことを繰り返したくないんだ」

 

悩める賢昇…導き出した答えは…

 

時雨「仲間を信じるのは当たり前でしょう!」

 

汰月「好きにすれば良い」

 

賢昇「ぶっ潰してやるよ!」

 

悩みを振り切って爆誕!幽冥 ギュウキヨロイ!

 

賢昇「熱くいこうぜ!」

 

第拾陸話「俺の勢いは活火激発!」

 

真黒「今日はクリスマス……か…」




第十五話ご覧いただきましてありがとうございます!

今回は霊魂のパワーアップと同時に新たなベルト・電書ドライバーが登場です!
電書ドライバーの今後の活躍も是非お楽しみに!

そして次回はクリスマス回!そして幽冥のパワーアップ回です!
霊魂が強化されたなら、勿論幽冥もパワーアップするというわけです!
年内最後のお話、ご注目いただけると幸いです!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。