仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第拾陸話「俺の勢いは活火激発!」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

汰月は仮面ライダーとなったキッカケ…そして治安維持委員会発足のキッカケを星海に教える。

そして!自らの前に現れた禍炎やワイラを倒すために電書ドライバーを手にし、仮面ライダー霊魂 ミズチヨロイへと変身を遂げると、新しい力で敵を退けるのだった…。

 

その一方で、賢昇は何かに頭を悩ませていて…?」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第拾陸話「俺の勢いは活火激発!」

 

 汰月が禍炎達と対峙していたその頃、賢昇もまた別の苦境に立たされていた。

 

賢昇「…何の用だ?」

 

拓矢「用?そんなの決まっているだろう。…依頼のことだ。…全く、それがなければ俺が自らこんな所になど来るものか」

 

 バスターズのアジトにやって来たのは佐乃緒高校の生徒会長・梨林拓矢だった。

 

拓矢「俺はお前達に“依頼”したよな。照羅巣と津久代、両校の持つアヤダマを奪ってこいと。ところがどうだ?ここまで成果は一つもなし。どころか話では連中と結託してるそうじゃないか」

 

賢昇「…そうだな、否定はしねえ。…アンタに一つ確認だ。アイツ等からアヤダマを奪って…何を企んでる?」

 

拓矢「…ふん、愚問だな。脅威を取り除く…いや、隠す意味ももうない。…俺達が天下を取る!ずっと俺達を馬鹿にしてきた照羅巣の連中に教えてやるのさ。圧倒的な力の前では…所詮無力だってな」

 

 賢昇からの問い掛けに、拓矢は仰々しい態度で答える。それを見て、賢昇はその表情を険しくさせる。

 

賢昇「抗争でもするつもりか?それに…それならどうして津久代まで巻き込む」

 

拓矢「 アイツ等(津久代)は弱い癖に中立だ何だの目障りだからな。纏めて無力化した方が楽だろ」

 

賢昇「何…!」

 

拓矢「バスターズ…お前達もとっとと己の使命を全うしろ。……生徒会が本気を出せば、お前等などどうにも出来ることを忘れるなよ。来週のクリスマスイブ、放課後に生徒会室へ来い。そこで今後について改めて話そうじゃないか」

 

賢昇「…!」

 

 拓矢は賢昇の耳元で呟き、彼を脅す。それを聞いた賢昇は顔に緊迫の色を浮かべる。

 無言でいる賢昇に対し、服従の意と捉えた拓矢は気分を良くしたのか、くつくつと笑いながら賢昇の肩に手を置き、アジトを出て行く。

 

拓矢「…期待を裏切るなよ」

 

賢昇「……」

 

千瀬「何あれ感じ悪ーい」

 

圭佑「リーダーを脅すなんて…やっぱり一発殴ってや──」

 

賢昇「止めろ」

 

圭佑「!」

 

賢昇「…アイツ一人殴ってどうこうなる問題じゃねえ。…それに、アイツの依頼を全く果たせてないのはこっちの落ち度だ」

 

結佳「それはそうだけど…どうするの?彼等と戦うつもり?」

 

 拓矢が去った後、その態度の悪さから千瀬は嫌悪感を見せ、圭佑は怒りを見せるが、賢昇は静かに諫める。

 そんな賢昇に対し、目下の問題について結佳は判断を仰ぐ。

 

賢昇「…ちょっと考えさせてくれ」

 

千瀬「あっ、ちょっ…」

 

圭佑「賢昇君…」

 

結佳「…リーダー」

 

 険しい面持ちでアジトを出て行った賢昇の姿を、残る面々はただ見送ることしか出来なかった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雹介「ふむ…ワイラ君は負けたか。まあ良い、彼女はいずれ確保すれば良いだけ。必要ならば五行を動かすまで」

 

都黎「ご期待に応えられず申し訳ございません」

 

雹介「何、気にする必要はないさ。…おや、これはこれは」

 

都黎「どうされました?」

 

 展開した術式によって街の様子を眺めつつ、都黎からワイラの敗北を聞いた雹介は感情の読めない薄ら笑いを浮かべつつ頷くと、術式の中に映ったオトロシの姿を確認し、愉しそうに嗤う。

 

オトロシ『仮面ライダーめ…!この恨み、必ず晴らしてやる…』

 

雹介「何…少しばかり遊ぶとしよう。…魂壊」

 

オトロシ『うぐっ…ぬああああ!?何だ…力が溢れ出る!?』

 

雹介「真黒君に伝えておいてくれ。…出撃の時間だと」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

凪桜「…明日はいよいよクリスマスだ!」

 

時雨「そうだね。クリスマス会、そんなに楽しみにしてくれてると嬉しいよ」

 

調「準備もあらかた終わってるし、俺も楽しみ」

 

咲穂「そうですね、調君なんてお二人が来るまでウキウキしてたくらいですよ」

 

調「ちょっ、咲穂先輩なんで言っちゃうの!?」

 

時雨「まあまあ、僕も凄く楽しみだよ」

 

 咲穂に浮かれていたことをバラされて恥ずかしがる調を時雨が宥めていると、時雨のブンプクブラストフォンに着信が入る。

 

時雨「ん?日島君から…もしもし」

 

汰月『あ、時雨。ちょっと今から貴真賀まで来れる?』

 

時雨「?」

 

 電話を掛けてきたのは汰月だった。汰月は時雨に貴真賀地区に来てほしいと告げる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

千瀬「遅いねー」

 

圭佑「もう時間になっちゃうっすよ」

 

結佳「…まあ、最初に依頼を受けたのは自分だし、どう転ぶにせよ迷ってるんでしょ。リーダーはその辺…義理堅いから」

 

 約束の時間が迫っているにも関わらずバスターズのアジトにも戻って来ない賢昇に、他三人は多少の不安を滲ませつつも帰りを待つ。

 

賢昇(……アイツ等と戦うか?それとも、契約を破棄するか?俺はどうすべきだ…)

 

 街を歩く賢昇は思考の海に沈みながら、自分が何をすべきか考えている賢昇は自分自身のルーツを思い出す。

 

賢昇(そもそも、俺は何をしたくてこの力を使ってる?俺は何をしたいんだ?答えはそこにあるはずだ。…バスターズは元々、イジメとか嫌がらせを受けてる生徒達から依頼を受けてそれを潰すのが目的のグループだ)

 

 賢昇はバスターズの仲間達との出会いや思い出を思い返す。

 

結佳「別に助けてくれなんて言ってないけど…」

 

賢昇「俺が気に入らないものを潰しただけだ。気にすんな」

 

結佳「話には聞いてたけど…面白いね、あなた」

 

 結佳と出会ったのはは丁度一年くらい前。

 結佳はあんまり愛想とかあるタイプじゃないから一部の女子からイジメを受けていた。

 それを偶々目撃した俺はイジメていた生徒達を威圧して強引にイジメを終わらせた。

 そこから結佳とつるむようになったんだ。

 …まあ、最初は本当にイジメが気に食わなかったから潰しただけだったんだが。

 

千瀬「いやぁ…賢ちゃん先輩、まさかここまでやるとは凄いね…」

 

賢昇「後輩が苦しんでたら助けんのは当たり前だろ」

 

千瀬「相変わらず面白いなぁ、先輩は」

 

 千瀬とは元々中学の時から先輩後輩の腐れ縁って感じだった。千瀬のキャラもあって結佳とは別方面で女子の不興を買っちまい、それでイジメとまでは言わないまでも小さな嫌がらせをされてた。

 俺がいた間は俺の噂が知れてたこともあって誰も手を出してこなかったが…俺が卒業した途端に陰口とか、物が変な所に隠されてたりとか、そういうことが起こり始めた。

 だから俺は中学に戻って改めて圧をかけた。…イジメは嫌いだ。あんなことをする弱さが恥ずかしくないのかと思う。

 

圭佑「ううっ…」

 

賢昇「いつまでも泣いてんじゃねえ、立ち上がれ。じゃねえとずっと舐められっぱなしだぞ。それで良いのかよ」

 

圭佑「よく…ねえっす!!」

 

賢昇「…それで良いんだよ」

 

 圭佑と出会ったのはアイツが佐乃緒に入学してすぐ…今年の四月の話だ。

 どうやら当時、アイツは校内の不良グループのリーダー格の奴に些細なことから目を付けられて、カツアゲされたり、パシリにされたりしてたいた。

 それが目障りだったから叩き潰した。それだけだった。

 

 それだけだったけれど…その時に懲らしめた不良グループのリーダーが妖之書と鬼アヤダマを持ってて、俺はその時に仮面ライダーの力を手にした。

 

賢昇「俺は…もう二度とあんなことを繰り返したくないんだ」

 

 仲間との出会いや力を手に入れた経緯を思い返した賢昇は、今度は自分の行動原理を思い出す。

 

 俺が小学生の時、幼馴染がイジメられていた。

 でもバカな俺はそれに気付いてあげられなくて、アイツは結局小学校卒業と同時にこの街を出て行ってしまったらしい。その犯人は学校では優等生として通ってる奴だった。

 だから、俺は絶対に己の弱さを忘れないように、助けることも出来なかったどうしようもないクズな俺を忘れないために俺は悪党を自称するようになった。

 けど、悪党は悪党でも、小悪党に成り下がる気はねえ。そういう意味も込めてだ。

 権力だとか、そういうものに虐げられる人がいるってことを忘れないために。それが俺の在り方であり、誓いだ。

 

──5年前

 

賢昇「聞いてねえよ!どういうことだよ。いなくなるって!」

 

「…ごめん、賢昇」

 

賢昇「……何でだよ…」

 

 賢昇は一人思い返す。5年前、かけがえのない、この世界で最も大切だった友と離別した時のことを。

 

賢昇「けど…今の俺には力がある」

 

 苦い記憶に顔を顰めた賢昇は妖之書を取り出して、それを手に入れた時のことを思い出す。

 

「い、いくぞ!」

 

「はい!」

 

賢昇「…フン、骨のねえ連中だったな。所詮は口だけの雑魚か」

 

結佳「…まあ、この学校じゃ一番歴史も長くて最大勢力の不良グループだった気がするけどね」

 

 賢昇は妖之書と鬼アヤダマを残して退散していった不良グループを見て鼻を鳴らす。

 

賢昇「所詮その程度ってことだろ。てかこれなんだよ?本?」

 

千瀬「なんか随分と角ばってるけどね」

 

 不良グループの置いていった妖之書と鬼アヤダマ、その使い方が分かったのはその数日後…その時助けた圭佑が加わった辺りだった。

 

幽冥「何だこりゃ!?」

 

千瀬「えーすごーい!ヒーローじゃん!」

 

結佳「…まさかこんなことが起こるなんてね」

 

圭佑「すげーっす!カッコいいっす!」

 

 モノノケが出てきておかしな事件を起こすようになったのは丁度その頃からだった。

 偶々そのことを知った俺達は何か関係があるんじゃないかと探して、そこでモノノケを知った。

 …正直、最初は怖かった。そもそも俺達なんて精々みみっちいいじめっ子くらいしか相手してないのだ。それがいきなりあんな怪物と戦うなんて無理だろとすら思った。けど…モノノケによって苦しめられてる人を見たらいてもたってもいられなかった。

 俺は力のある奴が嫌いだ。…正確には、折角ある力を誰かを虐げることにしか使えない奴が嫌いだ。

 いじめっ子も人を襲うモノノケも、俺にとっては変わらない。俺の信念に基づいて倒さなきゃならない「敵」だった。

 そうだ。思い出せ。俺が仮面ライダーの力で人の依頼をこなしてきたのは何のためだ?金のためか?違えだろ。…人の「力」になる。そのためだろうが。

 だから俺は決めたんだ──仮面ライダーとして戦うと。

 

 そして今…俺は選択をしなきゃならない時を迎えている。

 

賢昇「…俺の答えは……」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

結佳「流石にそろそろ帰って来てくれないとマズいね」

 

千瀬「メッセも全然既読つかないしね〜」

 

圭佑「大丈夫っすかね…リーダー…」

 

時雨「お邪魔します」

 

汰月「…あれ?降谷賢昇は?」

 

 帰ってくる気配のない賢昇に三人が心配の念を募らせていると、そこに時雨と汰月がやって来る。

 

結佳「…?」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

賢昇「…よし。行くか」

 

 考えを整理するために佐乃緒地区内を歩き回っていた賢昇は、いよいよ考えを固めて学校へと引き返そうとする。

 

オトロシ「仮面ライダー…っ!」

 

賢昇「おいおい…めんどくせえなお前、何で今なんだよ」

 

オトロシ「探したぞ…!」

 

禍炎「やあ、僕も失礼させてもらうよ」

 

賢昇「…面倒なのがもう一人か」

 

 学校へ向かう道を塞ぐように現れたオトロシと禍炎 八咫烏餓者髑髏ヨロイに賢昇は露骨に顔を顰めつつ、妖之書を取り出す。

 

「「はあっ!!」」

 

禍炎「くっ!」

 

オトロシ「ぬあっ!?」

 

賢昇「妖魔…霊魂…何で」

 

 一触即発…その瞬間、音の斬撃とレーザー弾が禍炎とオトロシを襲う。

 その攻撃の主は妖魔 麒麟ヨロイと霊魂 ミズチヨロイだった。

 

妖魔「バスターズの皆さんから話は聞きました!」

 

霊魂「行くところがあるんだろ?早く行きなよ」

 

結佳「全く、全然戻って来ないから探したよ」

 

千瀬「まさかこんな所で襲撃されてたなんてね」

 

圭佑「お二人が偶々来てくれてて良かったっすね」

 

 妖魔と霊魂が助けてくれたことに賢昇は驚きを隠せずにおり、バスターズの三人が事情を軽く説明する。

 

禍炎「良いのかい?彼、君達からアヤダマを奪うという契約について話に行くみたいだけど、助けても」

 

妖魔「そんなの関係ないです!僕達にとって、降谷君は仲間ですから!仲間を信じるのは当たり前でしょう!」

 

霊魂「もし仮に敵対することになったとしても、俺は負けない。だから好きにすれば良い」

 

賢昇「お前等…」

 

 禍炎は賢昇の目的について告げるが、二人はそんなことは関係ないと跳ね除ける。

 

霊魂「降谷賢昇!受け取れ!」

 

賢昇「おっと、これは…電書ドライバー!」

 

妖魔「こちらもどうぞ!」

 

賢昇「!ギュウキ電子アヤダマか!」

 

 霊魂は電書ドライバーを、妖魔はギュウキ電子アヤダマを賢昇に投げ渡す。

 

霊魂「元々俺達はこれをお前の所に届けるために来たんだ」

 

妖魔「結果的に戦うことになりましたけど、どうぞ先に行ってください!」

 

霊魂「ちゃんと戻って来いよ」

 

賢昇「舐めんな!こんな奴等…この力で速攻で片付けてやる。…だから、力貸してくれ」

 

「「!」」

 

妖魔「…はい!」

 

霊魂「…良いよ」

 

賢昇「決まりだな」

 

《電書ドライバー!》

 

 賢昇に先に行かせようとする二人に対し、三人で速攻で終わらせると宣言した賢昇は、電書ドライバーを身に付けると、銀色を基調とし、所々紅色になっている機械的な見た目のギュウキ電子アヤダマを構える。

 

《ギュウキ!》

 

賢昇「今度こそ、力使わせてもらうからな」

 

《インストール!》

 

賢昇「変身!」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

猛火(もうか) Burning(バーニング)!ギュウキヨロイ!》

 

 賢昇はギュウキ電子アヤダマを電書ドライバーに装填し、電書ドライバーの画面を右側から左側へとスライドさせ、そして戻す。

 すると、賢昇の足元から噴き上がった激しい炎がその身を包み込み、その身体を銀色の素体が覆う。そして炎が変化して装甲を形作ると、そのまま各所へと装着されていく。

 そうして姿を現したのは複眼を青色に輝かせ、紅色の牛鬼を模しながらもどこか機械的な装甲に身を包み、頭部には金色の牛の角を生やしたそのシルエットは鎧武者にも見える仮面ライダー幽冥 ギュウキヨロイだった。

 

幽冥「…さあ!ぶっ潰してやるよ!ッラアアッ!」

 

《ブレード!レーザータイム!》

 

禍炎「くっ…」

 

オトロシ「ぐあっ!!」

 

 幽冥はアヤカシレーザーアタッカーの銃身を引き上げて縦にすることでレーザーブレードモードへと変化させると、鋭い一太刀を禍炎とオトロシに浴びせる。

 

禍炎「仕方ない…来い!」

 

妖魔「!餓鬼…」

 

禍炎「もう一捻りいこうか」

 

《水虎!》

 

《イグニッション!》

 

《鉄鼠!》

 

《イグニッション!召喚!水虎!鉄鼠!》

 

霊魂「こいつ等は俺達が片付ける!」

 

幽冥「ああ!任せた!」

 

 禍炎は数体の餓鬼とスイコ、テッソを召喚し、それを見た妖魔と霊魂は増援を相手取ることに決める。

 

幽冥「はっ!どりゃあっ!」

 

禍炎「くっ…」

 

オトロシ「ぐあっ!…貴様ァ!」

 

幽冥「効かねえ!」

 

 幽冥は禍炎とオトロシに斬りかかり、激昂したオトロシの伸ばした毛を容易く斬り払う。

 

妖魔「一気にいきましょう!」

 

《雲外鏡!》

《選択!》

 

霊魂「ああ」

 

《火車!》

《インストール!》

 

《雲外鏡!妖斬り!》

 

《火車!アヤダマライズ!》

 

妖魔「はああっ!」

 

霊魂「ふっ!」

 

テッソ「ぐあっ!」

 

スイコ「ぬうっ!」

 

 妖魔は妖之流星刀を操作して雲外鏡の力を引き出し、霊魂は火車アヤダマを電書ドライバーに装填して操作することでそ妖魔は眩い光を放ち、霊魂は両脚に炎の車輪型エネルギーを展開して高速移動を始めることで餓鬼達を次々に吹き飛ばし、テッソとスイコを追い詰める。

 

《回転選択!》

 

《チャージ!》

 

《回転!大回転!》

五星(いつつぼし)!一・撃・必・殺!》

 

妖魔「決めましょう」

 

霊魂「だね」

 

《五星閃撃!》

 

《火車!アヤダマバースト!》

 

霊魂「はああ…はあーっ!!」

 

妖魔「はあっ!」

 

テッソ「うがあああっ!」

 

スイコ「ぬあああっ!!」

 

 霊魂は左回し蹴りで放った炎の轍で餓鬼達を焼き払うと、そのままの勢いで跳び後ろ回し蹴りを放つことでテッソを撃破し、妖魔は妖之流星刀から白色、緑色、朱色、橙色、黒色の星型エネルギーを分散させて飛ばして餓鬼達を倒しつつ、一斉攻撃でスイコを穿ち抜く。

 

幽冥「電光石火でいくぜ!」

 

《チャージ!》

 

《チャージスラッシュ!》

 

幽冥「はああっ!!」

 

禍炎「ぐっ!」

 

オトロシ「っああ!…よくもォォォっ!」

 

 幽冥はアヤカシレーザーアタッカーのレバーを操作すると、レーザーの刃を飛ばして禍炎とオトロシにダメージを与える。

 

幽冥「さあ!熱くいこうぜ!」

 

《インストール!》

 

幽冥「はああっ!!」

 

オトロシ「何っ!?」

 

 オトロシは激昂して大量の毛を伸ばして攻撃するが、対する幽冥はギュウキ電子アヤダマを装填して炎を帯びたアヤカシレーザーアタッカーで全て斬り払う。

 

《スペシャルムーブ!》

 

《猛火スラッシュフィニッシュ!》

 

幽冥「はああ…ふんっ!」

 

「「うぐああああっ!!」」

 

 幽冥はアヤカシレーザーアタッカーのレバーを引き、凄まじい勢いの炎を刀身に纏わせ、振るう。

 そうして放たれた灼熱の斬撃が禍炎とオトロシを襲い、禍炎は翼でガードし、オトロシは髪で防ごうとするが、それすらも突き破って二人を炎が襲う。

 

幽冥「豪華絢爛に決めてやる!」

 

《スペシャルムーブ!》

 

オトロシ「負けるかァァ!」

 

《猛火ストライクフィニッシュ!》

 

幽冥「だあああっ!!」

 

オトロシ「ぐっ…」

 

幽冥「はあああああっ!!!」

 

オトロシ「っ…ああああああっ!!!」

 

禍炎「何!?ぐあっ!」

 

 幽冥は電書ドライバーを操作すると、背中にある加速装置「バクレツブースター」から激しい炎を吹き出しながら跳び蹴りを放ち、オトロシはその一撃を髪を集めて受けようとするが、勢いを増す幽冥に押し切られてしまう。そして、幽冥は撃破した勢いのまま禍炎の方へと飛んでいき、痛烈な一撃を叩き込むことで禍炎を変身解除に追い込む。

 

オトロシ「うっ…うう…」

 

幽冥「何だ…?」

 

真黒「またか…。しかし強くなったものだね。…撤退させてもらうよ」

 

幽冥「あっ、おい!」

 

 オトロシはアヤダマにならず消滅し、それを見届けた真黒はブンプクブラストフォンを用いて煙幕を発生させてその場を去る。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

 夕方、話を終えた賢昇は校舎から出てくる。それを待っていた時雨と汰月の元にやって来た賢昇は今後の方針を伝える。敵対か──協力か。

 

賢昇「…依頼は断ってきた」

 

時雨「!本当ですか!?」

 

汰月「つまり…これからも俺達と協力するってこと?」

 

賢昇「…まあな」

 

 簡潔に結論を伝え、それに対する二人の反応を見つつ、賢昇は対話の時のことを思い出す。

 

拓矢「よう、遅かったな」

 

賢昇「ちょっと立て込んでてな」

 

拓矢「逃げたのかと思ったが…まあ良い。それで、覚悟を出来たんだろうな?」

 

賢昇「ああ、出来たぜ」

 

拓矢「良いだろう。それならば年内中に一つ…」

 

 生徒会室にやって来た賢昇を尊大な態度で出迎える拓矢は、賢昇の返答に気を良くしたのか話を続けようとするが、それを賢昇が遮る。

 

賢昇「おい、待てよ」

 

拓矢「何だ?」

 

賢昇「誰もお前等の言うことを聞く覚悟が出来たとは言ってねえだろ」

 

拓矢「…何?」

 

賢昇「…俺はこの件から手を引く。今日はそれを伝えに来た」

 

拓矢「貴様、自分の言っている意味が分かっているのか?」

 

賢昇「分かってるさ」

 

 賢昇の言葉を聞いた拓矢は信じられないものを見る目で賢昇を問いただす。

 

賢昇「…けどな、お前の言う公認化、なんてのは興味もねえし、あいつ等と戦ってみて分かったが…あいつ等とは敵として戦うより、仲間として一緒に戦う方がおもしれーや」

 

拓矢「ふざけるな!貴様等など…生徒会の前では無力なんだぞ!」

 

賢昇「やってみろよ。俺は…俺達バスターズはお前の道具に成り下がる気はねえ。お前よりもあいつ等のがおもしれぇ、ただそれだけの話だ。…じゃあな」

 

拓矢「っ…!覚えておけよ…」

 

 賢昇は自身の想いを拓矢に突き付け、その要求を跳ね除ける。

 

賢昇「まあ…あれだ、これからも頼んだぜ」

 

時雨「はいっ!」

 

汰月「仕方ないな」

 

 かくして、三人の仮面ライダーの絆は、また一つ深まったのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

──翌日

 

 クリスマス当日、時雨達は約束通りクリスマス会を開いていた。

 その場には歴史研究部の四人に加え、生徒会長の雪音も混じっていた。

 

雪音「本当に良いのでしょうか…私がここにいても」

 

時雨「良いに決まってるよ!」

 

凪桜「そもそも呼んだのは私達」

 

咲穂「皆、生徒会長と仲良くなりたいと思ってお呼びしたんですよ」

 

調「寧ろ会長さん忙しかったんじゃないですか?大丈夫でした?」

 

雪音「仕事なら一通り済みましたので。…そう言っていただけると嬉しいです」

 

時雨「本当は藍羽先生もお呼びしたかったんだけどね。用事があって来れないって」

 

凪桜「藍羽先生も私達の仲間だし、折角なら一緒に祝いたかったが…用事なら仕方ないな」

 

 聖は所用で外していたものの、五人は楽しくクリスマスを過ごしていた。

 …その裏で、真黒は一人胸を押さえて顔を歪めながらも和邸の廊下を歩いていた。

 

真黒「はぁ…矢張り想定より早く進行してるな…。どうするか」

 

 そう呟いていた真黒は、和邸の一室の前を通りがかったところで中から漏れ出る声を聞く。

 

真黒「ん?」

 

都黎「計画は予定通り実行可能なようです」

 

雹介「うむ。次の計画では君達“世模継(よもつ)正屠会(せいとかい)”が鍵を握ることとなる。くれぐれも頼んだよ」

 

 内部の会話を盗み聞きした真黒は表情の深刻さを増す。

 

真黒(世模継正屠会…彼等が本格的に活動するのか)

 

都黎「しかし宜しいのですか?この計画を実行すれば、この街の殆どは戦火に包まれ、壊滅いたしますが」

 

真黒「!」

 

雹介「何、構わんよ。そんなことは楽しい宴を盛り上げる一要素にすぎない。仮面ライダー諸君には是非ともいい働きを期待したいところだね」

 

真黒(この街が…壊滅…。どうやら僕は、連中を見くびっていたらしい。こんなにも早くことを起こすだなんて……仕方ない。計画を早めよう)

 

 二人の密談を密かに聞いた真黒は覚悟を決め、ブンプクブラストフォンを取り出すと、その中にある連絡先…「晴河時雨」「日島汰月」「降谷賢昇」の名を見つめる。

 

雹介「……」

 

 その裏で雹介の口角が上がっていたことに、真黒は気付かないでいた…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

真黒「さて…後は彼等が来れば…」

 

 どこかの廃工場にやって来た真黒は一息吐こうとする。しかし、その場に突然足音が響き渡り、一気に警戒度を引き上げる。

 

雹介「やあ、こんな所でどうしたのかな?」

 

真黒「…!ヌラリヒョン…」

 

雹介「この姿の時は雹介と呼んでくれと言っているだろう?…しかし、裏切りとは良くないな」

 

真黒「!…何のことだ」

 

雹介「私が本当に分かってないとでも思ったかい?最初っからお見通しだったよ、君の魂胆なんてね」

 

真黒「……悪いけど、ここで終わるわけにはいかない」

 

《着火!》

 

 現れたのは雹介と都黎の二人だった。その追及を真黒は何とか躱そうとするが、自身の目的がバレてると悟った瞬間に焚書ドライバーを装着し、炎呪之御札を翳すと、覚悟を込めて握りしめる。

 

雹介「都黎君」

 

都黎「…はっ」

 

《八咫烏!》

《餓者髑髏!》

 

《イグニッション!》

《イグニッション!》

 

真黒「…変身」

 

《焼却装着!ヘンゲ…》

 

都黎「変幻」

 

《居合変化…!》

 

《黒翼!白骨!仮面ライダー禍炎!》

 

《暗夜丸!》

 

 真黒は禍炎 八咫烏餓者髑髏ヨロイへ、都黎は暗夜丸へとそれぞれ変身する。

 ──先に仕掛けたのは暗夜丸だった。

 滑るように間合いを詰め、闇夜月を横薙ぎに振り抜く。

 

暗夜丸「ふっ!」

 

禍炎「っ!甘いね…はあっ!」

 

暗夜丸「ぐっ…」

 

 咄嗟に斬撃を骨状のエネルギーを纏わせた腕で弾くと、禍炎は橙色の炎を纏わせた拳を暗夜丸の顔面に叩き込む。

 

禍炎「退いてもらおうか。はあっ!」

 

暗夜丸「くっ…」

 

 禍炎は左脚で闇夜月を弾き、続け様に橙色の炎を纏わせた右脚で回し蹴りを放つことで暗夜丸を吹き飛ばす。

 

雹介「苦戦しているね。仕方ない、援軍を呼ぼう」

 

禍炎「何だ…それは?」

 

雹介「この間中国まで出向いて調達してきた厄災の邪神…四凶(しきょう)の一柱、檮杌(とうこつ)が封じられた符さ。…試すのに丁度良い」

 

 劣勢に陥っていた暗夜丸を手助けすると告げた雹介は禍々しい紋様の描かれた古臭い符を取り出し、それは四凶と呼ばれる邪神が封じられた代物であると説明する。

 

 そして、雹介が妖力を込めると、符は仄暗いオーラを帯びる。そこから放たれた妖力が形を成して現れたのは、各所に棘の生えた虎のような身体を持っていて、あちらこちらには引きちぎれた鎖が絡み付き、口には鋭く長い猪のような牙が生えた邪神…檮杌が顕現する。

 

雹介「妖力を用いて作った模造品だが…どれほどのものか見せてもらおうか」

 

檮杌「ウゥ…!」

 

禍炎「はああっ!!…!?」

 

 禍炎は檮杌に対し右ストレートをお見舞いするが、檮杌は一切怯みもせず、手に持った鉈“難訓(なんくん)”を振り上げると、禍炎を斬りつける。

 

檮杌「ウゥァッ!」

 

禍炎「うあああっ!!」

 

 檮杌の一撃を受けた禍炎。その斬撃は爆風を生じさせ、禍炎は膝をつく。

 

禍炎「だったら…」

 

《野槌!》

 

《イグニッション!》

 

禍炎「っああああっ!!…これは…!?」

 

 禍炎は檮杌に対抗するために野槌アヤダマを取り出して餓者髑髏アヤダマと入れ替えるが、土中之鎚は出現せず、代わりに全身を激しいスパークが襲う。

 

禍炎「まさか…ここまで命を吸われていたのか…!?」

 

雹介「漸く気付いたかい?言っただろう?君の魂胆を見抜けずにいたとでも思うのかね、と。だからそのドライバーに細工させてもらったのさ。元々焚書ドライバーは普通の人間が扱うためには命を対価にしなければならないが、その量を増やしておいたのさ」

 

禍炎「くっ…!道理で……」

 

雹介「さあ、安心して死にたまえ」

 

 最近の不調から疑念は感じていたものの、今回の出来事でその答えに確信を得た禍炎。それを見た雹介は茶化すように事実を明かす。

 

禍炎「そうも…いかないんだよッ!」

 

《ブラストモード!》

 

禍炎「はああああっ!!!」

 

檮杌「ゥゥ…?」

 

暗夜丸「チッ…小癪な真似を」

 

 禍炎は煽る雹介の言葉を一刀両断すると、取り出したブンプクブラストフォンをブラストモードにして乱射することで檮杌と暗夜丸を牽制する。

 

《オーバーブースト!》

 

《禍炎カタストロフ!》

 

禍炎「はっ!」

 

檮杌「ウゥ…!?」

 

禍炎「はあーっっ!!!」

 

檮杌「ゥウアアアッ!」

 

禍炎「くっ…アレでも倒しきれないのか…」

 

 ブンプクブラストフォンの乱射によって生じた隙に、禍炎は炎呪之御札を素早く焚書ドライバーの前面に二度翳す。そして再度装填すると、地面から生えた巨大な骨の手が檮杌を抑えつける。

 それと同時に六枚の黒い翼を展開して黒き太陽の如き姿で宙に舞った禍炎はそのまま橙色の焔を左脚に纏わせて檮杌目掛けて跳び蹴りを叩き込む。

 禍炎の渾身の一撃を受けた檮杌は大きく吹き飛んで動作を止めるが、撃破には至らず、それを見た禍炎は絶望感を覚える。

 

暗夜丸「俺を忘れるなよ」

 

禍炎「っ…くっ…はあっ──」

 

 攻撃後の隙を突こうとした暗夜丸の斬撃を辛くも受け切った禍炎は反撃しようと拳を握り──次の瞬間鎧は弾け飛び、同時に焚書ドライバーと炎呪之御札、そして所持していたアヤダマまでもが吹き飛んでいく。

 

真黒「はぁっ…はぁっ……ここまでか…!」

 

雹介「いやぁ、中々粘ったね。お陰で実験も捗ったよ、ありがとう。けどこれで終わりだ。…そうそう、君はもう引っ込みたまえ」

 

檮杌「ゥゥッ…!?」

 

 無念を露わにしつつ、地面に倒れ伏す真黒を見た雹介は満足そうに頷くと、尚も暴れようとする檮杌を符へと回収する。

 

雹介「さて…帰るか。都黎君。()()()を回収してくれ」

 

都黎「…畏まりました」

 

 変身を解いた都黎は雹介の命に従い、地面に散らばった焚書ドライバー、炎呪之御札と各種アヤダマを拾い上げる。

 

雹介「…ふむ、彼等が近いな」

 

都黎「口封じはしなくて良いのですか?」

 

雹介「残り時間を考えれば全ては語れぬよ。それに、謎を抱えた彼等がどう動くか…宴を盛り上げる要素にしては上出来だろう?」

 

都黎「…はっ」

 

真黒「くっ…はぁ…はぁっ……雪…そういえば…今日はクリスマス……か…」

 

 雹介と都黎は軽く言葉を交わすとぬらりと姿を消す。

 そして、それと同時に力尽きて動けなくなった真黒の身体を、降り始めた雪が容赦なく冷やしていく。

 そうして意識も遠くなってきた頃、真黒の耳には話し声と足音が響いてくる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「こっちみたいです。…それにしても雪まで降ってきましたね…」

 

汰月「…白石真黒…一体何を企んでるんだ?」

 

賢昇「まあ、向こうから呼んでくれんなら好都合だ。この機に焚書ドライバーを回収してやる」

 

時雨「あれ、あそこに誰かが…って、白石さん!?」

 

汰月「待って時雨、罠かも」

 

賢昇「ったく、妙な真似しやがる」

 

リュウジン「いや…あの人間、本当に死にかけてるぞ」

 

「「「!」」」

 

 やって来たのは時雨達。敵のはずの真黒からの呼び出しに対し、警戒を滲ませながら進んでいた。

 発見した真黒が倒れていることに気付き、時雨が近付こうとするのを汰月が制止するが、リュウジンによってそれが演技でも何でもなく、本当にその命の灯火が消えようとしているのだと知った三人は急いで駆け寄る。

 

時雨「し、白石さん、何があったんですか!?」

 

汰月「俺達を呼んで言いたいことがあったんじゃないの?」

 

賢昇「おい、どうしたんだよ!?どういうことだ!!禍炎!」

 

真黒「…やあ、来てくれたんだね。ありがとう。すまんね、こんな有様で出迎えることになって」

 

 慌てて時雨が抱き起こすと、真黒は息も絶え絶えながら三人に話しかける。

 

時雨「一体どうしたんですか!?何が…兎に角早く病院に──」

 

真黒「いや、良いよ」

 

時雨「えっ…ですが…」

 

真黒「どの道もう助かりそうにない。その前に…君達には話さねばならない。…見ての通り時間はないんだ。簡潔にいこう」

 

リュウジン「確かに…こうなったらもう手遅れだな…」

 

 時雨は救急車を呼ぼうとするが、それを真黒は制し、身体から橙色の粒子を放ちながらも真実を語り始める。

 

真黒「僕は、朱井さんを助ける方法を得るために反人連に潜入していたんだ。そのために幾らかのデータを持ち出して、信用してもらった。…その裏で、あいつ等の計画を探ったりもしてたのだけどね」

 

賢昇「ずっと、演じてたのか」

 

真黒「ああ。騙したことは悪かったね。けど…正攻法では掴めないものもある。今、この街には未曾有の危機が迫っているようだ」

 

汰月「危機…?」

 

真黒「そうだ。詳細は残念ながら分からないが…少なくともこの街が壊滅しかねないことは確かだ」

 

時雨「そんな…」

 

 真黒の告げたそう遠くない未来の出来事に、三人は絶句する。

 

真黒「…けれど、僕は信じているよ。僕を倒したあの時のように…君達三人が力を合わせれば…きっと乗り越えられると」

 

時雨「まさか、あれもあえて…」

 

真黒「…何にせよ僕は長くは戦えない身に変わりはなかったんだ。…だから、早く君達には強くなってもらう必要があった」

 

汰月「…そう、だったのか」

 

真黒「頼んだよ、仮面ライダー。これは僕の勝手な願いだけど、この街を守り抜いてほしい」

 

賢昇「……言われるまでもねえ」

 

真黒「そうだな。それなら良いんだ…。そうだ、晴河時雨君」

 

時雨「…はい」

 

 真黒はこの街の危機に立ち向かうよう三人に未来を託すと、今度は時雨だけを呼び、時雨は震える声でそれに答える。

 

真黒「暁凪桜…彼女を守るんだ。絶対に」

 

時雨「!これは……はい」

 

真黒「頼んだよ。…どうやら、もうお別れの時間みたいだ」

 

汰月「…っ」

 

賢昇「……」

 

時雨「そんな…」

 

 真黒は時雨に凪桜を守るよう個別に伝えると同時にブンプクブラストフォンを手渡す。

 それを以て一通り最低限の情報を伝えたと判断すると、自分はここまでだと三人に告げ、それを聞いた三人は無力感に顔を歪める。

 

真黒「ああ、そうだ。これだけは死ぬ前に伝えとかないと。──一つだけ、藍羽先生に、伝言してほしいんだ。『酷いこと言ってごめんなさい。全部嘘です。先生は僕の…ヒーローです。今までも、これからも』…頼んでばかりで申し訳ないけど、宜しくね」

 

時雨「…っはい…」

 

 真黒は聖への本当の気持ちを伝えてほしいと訴えると、涙を流す時雨の腕の中で脱力し、身体から放出される橙色の粒子の量は一気に増してその身を存在ごと削り取っていく。

 完全に消えてしまうその刹那、雪を降らせ続ける天をぼんやりとした瞳で見つめ、そこに向けて消え続ける右腕を伸ばしながら真黒はポツリ呟く。

 

真黒「…朱井さん…先生…少しは僕も……二人…みたいに…なれたかなぁ……──」

 

 その一言を最後に、天に向かって伸ばされていた真黒の腕は糸が切れたように落下し──地に着く直前で粒子となって消え去る。そして、それを皮切りに身体の全てが粒子となって消えてしまう。…まるで、そこには初めから何も無かったかのように。

 

時雨「っ……白石さああんっ!!」

 

 …その場所に残ったのは、三人の慟哭だけだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

凪桜「今は止まってる場合じゃない」

 

時雨「そうだよね」

 

聖「悔しいんだ。彼の重荷に気付き切れてあげられなかったことが」

 

時雨達は真黒の犠牲を乗り越えられるのか…

 

「出て来い!仮面ライダー!」

 

「品性のないゴミどもめ!」

 

凪桜「仮面ライダーが…いっぱい?」

 

時雨「一体何がどうなって…」

 

街全体を巻き込む大騒動の幕開け!?

 

雹介「さあ…ここからが本番だ」

 

第拾漆話「学園開戦と広がる暗雲」

 

日曜午後9時!

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