仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第拾捌話「明かされる秘密と救出作戦」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

真黒の消滅を引き摺っていた時雨だったが、凪桜に諭され前を向く!

 

しかし、そんな時雨達を待ち受けていたのは照羅巣の生徒と佐乃緒の生徒が争い始めるという現実だった…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第拾捌話「明かされる秘密と救出作戦」

 

時雨「つまり…照羅巣と佐乃緒の間で抗争のような状態になってる…ということですか?」

 

汰月「そう俺達は判断してる。…といっても詳しいことはよく分からないから実際に見に来たんだけど」

 

時雨「僕達も何が何だかという感じでして…」

 

聖「まさか少し外している間にこんなことになっているとはね…」

 

 照羅巣高校へやって来た汰月と星海は歴史研究部の部室で現状について話しており、聖も話を聞いて照羅巣高校へと急ぎで戻ってきていた。

 

凪桜「それにしても一体何が起こって…」

 

時雨「こんな時こそ雪音ちゃんの話を聞きたいところなんだけど…」

 

汰月「…生徒会長に何かあったのか?」

 

時雨「連絡が付かないんです」

 

聖「どうやら今日は欠席していたらしい」

 

咲穂「そういえば朝の始業式も生徒会の言葉は副会長の桃原さんが担ってましたね」

 

調「確かに…」

 

 何かを知っていそうな雪音が今日は来ていないということに歯噛みする時雨だったが、その会話に乱入者が現れる。

 

???「この事態を止めるため、君達の力を貸してほしい」

 

時雨「!…あなたは…!」

 

汰月「?誰?」

 

時雨「この方は杏林(きょうりん)(とおる)先輩。照羅巣高校の前生徒会長です」

 

汰月「杏林透…藤咲先輩から名前を聞いたことあるかも」

 

 来訪者の正体は穏やかさと理知的な雰囲気を持つ男子生徒だった。ネクタイの色は青色。三年生らしいその男は杏林透と時雨に紹介される。

 

透「藤咲…津久代の前生徒会長か。何度か話したことがあるが…そうか、君は彼女の後輩か」

 

汰月「まあ、そんなとこです」

 

咲穂「杏林先輩。こちらへいらしたということは何か知ってらっしゃるということですか?」

 

透「ああ。この事態が起きてすぐ、俺も調査をしたんだ。その中で学級委員と風紀委員、保健委員の委員長三人が歴史研究部を頼ると良いと言っていてね。君達に伝えるべきと判断した」

 

時雨「皆さんが…」

 

 透はかつて事件で知り合った希、弘毅、智由の三人から歴史研究部について聞き、尋ねてきたと言う。

 

透「さて、本題に移ろうか。今回の事案…それを招いた一人は照羅巣生徒会副会長…桃原夢華だ」

 

一同「!?」

 

 透の口から語られた名前に、その場の全員が驚く。

 

時雨「桃原さんが…!?」

 

咲穂「彼女が…どうして…?」

 

凪桜「……」

 

透「こっちもまだ細かく状況把握出来てるわけではないが…現在の状況からそうだと判断した。こちらの調べではどうやら今日楓山が欠席している間に、照羅巣生徒会名義で佐乃緒生徒会に宣戦布告のメッセージが送られたと判明しているからな」

 

時雨「せっ…宣戦布告!?」

 

咲穂「まるで戦争ですね…」

 

星海「す、凄く大事になってしまいましたね…」

 

 透は調べていたこととして、生徒会名義での宣戦布告の存在を明かす。

 その物々しさにいよいよただことではないと悟った時雨達は緊張感を高める。

 

透「流石に規模感は小さいが…似たようなものさ。照羅巣と佐乃緒は昔から仲が悪かった」

 

時雨「だからって、戦争の真似事なんて…」

 

透「普通はないだろうな。けれど…貴真賀中央大系列の三校が強い権限を持つこの地で、互いが互いを排除したいという思いが長年に亘って染み付き、そしてそれを実行出来るだけの力を手にしたとしたら…」

 

汰月「戦争じみた学校間の紛争が起こってもあり得なくはない…と」

 

透「そうだ」

 

 この街の特殊性、そして長年両者の間にある軋轢こそが今回の事態のトリガーになったのではないかと透は語る。

 

透「無論、異常事態に変わりはない。そもそも一般生徒達があんな力を持っているのがおかしい話だしな」

 

咲穂「──つまり、何者かの意思が介在している可能性が高いということですね」

 

透「恐らくな」

 

時雨「何者か…」

 

星海「!それってまさか…」

 

汰月「…アイツか」

 

 透の言葉からその真意を読み解く咲穂。その「何者か」に心当たりのありそうな様子を星海と汰月は見せる。

 

聖「何か知っているのかい?」

 

汰月「ここに来る途中、新しい禍炎の変身者と交戦したんだ」

 

時雨「!禍炎…」

 

汰月「無論白石さんではないけど…淀川一茶って名乗ってた」

 

聖「淀川一茶!?」

 

 汰月は禍炎に変身して襲撃してきた男、淀川一茶について語るが、それに大きく反応したのは聖だった。

 

時雨「知っているんですか?」

 

聖「あ、ああ。何せ彼は私の同僚だからね」

 

一同「!?」

 

透「…成る程、教師も一枚噛んでいたか」

 

 聖曰く、一茶は聖の同僚──つまり教師であるという。

 この異常時を引き起こす一因として、透は納得する。

 

聖「何故彼が…。淀川先生は私と同じく貴真賀中央大学に所属する教員でね。照羅巣における私と同じように、布留杜総合委員会で佐乃緒を担当しているんだ」

 

時雨「そんな人が…」

 

汰月「でも、その立場を悪用すれば…」

 

聖「反人連との癒着を前提とすれば、確かに今回みたいなことも全くの不可能というわけではないだろう。

……これは由々しき事態だよ。兎に角まずは布留杜総合委員会で緊急総会を開くしかない。となると…日島君。君に頼み事がある」

 

汰月「はい。何でしょうか」

 

聖「現津久代生徒会長の椚田君に伝えておいてほしいんだ。今回の一件について緊急総会を行うことと、そこで今回の事態の解決を図ると」

 

汰月「分かりました。責任を持って伝えます」

 

聖「ありがとう。…後は楓山君が出席してくれれば、公式に宣戦布告を取り下げさせることが出来る」

 

 一茶が立場を悪用して今回の一件を起こしたのだろうと判断した聖は汰月に朔との伝手を任せると、事態解決のために雪音への連絡を取ろうとする。

 

透「楓山なら来れないと思いますよ。少なくとも…このままでは」

 

聖「…!」

 

時雨「!…そういえば、この状況が始まったタイミングで欠席してましたね。一体雪音ちゃんの身に何が起きてるんですか?」

 

透「俺も全てを知ってるわけではないので推測でしかないが、あまりにも不自然なこのタイミングでの欠席…恐らくは身動きを取れなくなっていると見做すのが自然だろうな」

 

咲穂「…モノノケが絡んでいるとすれば、監禁されている可能性が高いですね」

 

時雨「…確かに。桃原さんとの関係性を考えればそれが一番ありえそうだね」

 

透「俺もそう思う。実際彼女の家を見に行ったが、何やら様子がおかしかった」

 

 諸々の状況から、雪音は監禁されている可能性が高いと判断した時雨達は、雪音を助けに行こうと話し出す。

 

時雨「なら、僕が雪音ちゃんを助けに行きます」

 

凪桜「私達も行くよ」

 

時雨「皆…」

 

調「楓山会長も、俺達の仲間ですもんね」

 

咲穂「そうですね。一緒にクリスマス会した仲ですから」

 

時雨「…そうだね。僕達で雪音ちゃんを助けに行こう!」

 

「「「おー!」」」

 

 雪音との親交がある歴史研究部の四人は雪音を助け出すべく一致団結する。

 

聖「私は夜御哉さんに話を聞いてみるよ。君達が回収してきたこのデバイス…確実に何か知ってるはずだしね」

 

時雨「分かりました!」

 

透「俺はこの学校に留まって桃原の様子を探ろう。…この街を、俺の後輩を頼んだぞ、仮面ライダー」

 

時雨「…任せてください!」

 

 透から街や、()()を託された時雨は強く頷き、凪桜達と共に歴史研究部の部室を出る。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「あそこだね…」

 

凪桜「大きなお屋敷…」

 

咲穂「時雨君、場所知ってたのですね」

 

時雨「昔招待されたことあって…」

 

調「お嬢様なのは聞いたことあったけどここまでだったんだ…」

 

 雪音の家──かなりのお屋敷であり、元々知っていた時雨達以外は驚愕する──から少し離れた所にやって来た歴史研究部の四人は様子を窺う。

 

リュウジン「ふむ…確かに妙な妖気が感じられるな。だが確かに雪音の妖気もほのかに感じる」

 

時雨「取り敢えず、僕とリュウジンさんで中に侵入するので、皆にはここで待機しててほしい」

 

凪桜「任せて。この子もいるし」

 

 妖気を感じるというリュウジンの言葉に何かが起こっていると確信を得た時雨は、三人に改めて行動方針を伝える。そして、それに対して咲穂と調は頷き、凪桜は自身のブンプクブラストフォンを見せて応える。

 

時雨「うん。こっちの状況は僕のブンプクブラストフォンから中継するから、サポートお願いね。……よし、じゃあ行きましょう!」

 

リュウジン「ああ!」

 

《天狗!》

 

《装填!》

 

時雨「…変身!」

 

《憑依装着!変化!

 

疾風神通!天狗ヨロイ!》

 

妖魔「よーし…はあっ!!」

 

 時雨は妖魔 天狗ヨロイに変身すると、ラクーンモードのブンプクブラストフォンを手に持ったまま飛び立つ。

 

妖魔「ほっと!…よし、侵入出来たよ」ヒソヒソ

 

 空から茂みの中へと飛び込んで侵入を果たした妖魔は、見回っている警備員の様子を窺いつつヒソヒソと凪桜に報告する。

 

凪桜『確認した。そこはもう敵地だよ。慎重に進んで』ヒソヒソ

 

妖魔「うん。分かってる」ヒソヒソ

 

リュウジン『このリュウジン様に任せておけ!』

 

妖魔「こ、声が大きいですリュウジンさん…!」

 

「誰かいるのか!」

 

「侵入者発見!」

 

リュウジン『しまった!』

 

凪桜「……」

 

咲穂「速攻で見つかっちゃいましたね…」

 

調「あわわ…ど、どうしよう…」

 

凪桜「私達が慌てたって仕方ない。時雨先輩、ここは何とか切り抜けるしかない」

 

 折角声を潜めて話をしていたのに大きな声でリュウジンが返事をしたせいで見つかってしまう。

 

リュウジン『時雨、コイツ等恐らく何らかの妖術で操られている人間だ!』

 

妖魔「わっ!…本当ですね。…顔に付けてるのは…狐面?」

 

リュウジン『あの狐面を破壊しろ!そうすれば戻せるはずだ』

 

 向かってくる警備員の正体をリュウジンが看破し、ブンプクブラストフォンが体当たりして正体を発覚させる。

 その顔面に狐面が浮かび上がってきたのだ。

 

妖魔「兎に角、何とかしないと…!はあっ!」

 

 妖魔は剣状態の妖之弓剣を取り出して仮面に斬撃を叩き込んでいく。

 

リュウジン『多少力を与えられていても所詮は普通の人間だ。傷付けないように気を付けてさっさと倒してしまおう』

 

妖魔「はい!」

 

《装填!一・撃・必・殺!》

 

妖魔「はああ…はあーっ!!」

 

《疾風剣撃!》

 

「あ、あれ?」

 

「何して…」

 

 妖魔は天狗アヤダマを妖之弓剣に装填すると、神通力によって分裂した風の斬撃を飛ばして警備員の狐面だけを叩き割る。

 正気を取り戻した様子の警備員達を見届けつつ、妖魔は先に進む。

 

妖魔「そ、そういえばどこから入りましょうか」

 

リュウジン『ふむ…我に任せろ』

 

 妖魔が扉の前で立ち尽くしていると、リュウジンが飛び出す。

 

リュウジン「ふむ…ほっと」

 

妖魔「壁抜け出来るんですね…。えっと、お邪魔しまーす……」

 

リュウジン「我にかかればこんなもんだ」

 

妖魔「兎に角、これで中に入れましたね。…よーし……」

 

 リュウジンが壁抜けして中から鍵を開けることで、妖魔は楓山邸に侵入を果たす。

 そして、床に手をつき神通力を用いることで雪音の位置を探す。

 

妖魔「いた!地下…こっちから行けそうです!」

 

凪桜『ナイス。警戒を怠らず前進せよ』

 

妖魔「了解」

 

咲穂『神通力って便利ですね』

 

調『本当…』

 

 凪桜からの指示に妖魔が了解の意を示しているのを見ながら、咲穂と調は神通力の利便性に感心していた。

 

「見つけたぞ!」

 

「侵入者だ!」

 

妖魔「わっ!また来た!?うう…数が多い…!」

 

 進んでいた妖魔の前に狐面を付けたメイドや警備員が五人やって来る。

 

妖魔「くっ…ちょっと…戦いにくい!」

 

リュウジン『テングの力は狭い所で使うには向いてない!時雨!こういう時は狭くても戦えそうな奴に変えろ!そう、例えばバランス型の我とか──』

 

妖魔「狭い所で…なら!」

 

《猫又!》

 

リュウジン『えっ』

 

《装填!》

 

《憑依装着!変化!

 

俊敏蹴爪!猫又ヨロイ!》

 

妖魔「はあーっ!!」

 

 飛行や剣術を得意とする天狗ヨロイではこなしにくい閉所での戦闘に合わせて猫又ヨロイへと姿を変えた妖魔に、自分の力を使って欲しかったらしいリュウジンは不服そうな様子を見せる。

 

リュウジン『待てぇーい!そこは我じゃないのか!?』

 

妖魔「えっ!?い、いや、ネコマタさんの力なら物とか壊さず狭い所でも戦えそうなので…猫ですし」

 

リュウジン『…確かに』

 

凪桜『そんなこと言ってる場合じゃない。時雨先輩、前見て』

 

妖魔「え?前?…うわあっ!?」

 

 リュウジンのツッコミに対し、冷静に正論で返す時雨。

 そんな気の抜けたやり取りに、ブンプクブラストフォンを通して凪桜が注意する。

 注意を受けて前を見た妖魔の目に飛び込んできたのは目前に迫った狐面の警備員の持つ警棒だった。

 

妖魔「あ、危なかった…反撃開始といこうか!はあーっ!!」

 

 妖魔はネコマタの力で強化された反射神経と瞬発力で咄嗟に回避すると、素早く接近して引っ掻き攻撃を繰り出す。

 

《一・撃・必・殺!》

 

妖魔「先へ進ませてもらいます!」

 

《俊敏剛撃!》

 

妖魔「はーっ!!」

 

 妖魔が全身に白いオーラを纏い、高速で駆け抜けると、狐面を割られた警備員やメイド達は次々と倒れ伏せ、やがて意識を取り戻す。

 

「あ、あれ…?」

 

「私達は…」

 

妖魔「よし…先を急ぎましょう」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

汰月「どうしたものか…」

 

星海「そうですね…」

 

 津久代へ戻る道中、汰月は今の状況に気を揉んでいた。

 

???「ケッヒッヒッ…大変そうだなぁ…」

 

汰月「…誰」

 

 突如として響き渡る声は、汰月に対して挑発的な言葉を投げかける。

 

???「俺様か?俺様は…よっと」

 

星海「…!」

 

汰月「カエルのモノノケ…!」

 

???「ただの蛙じゃあねえぞ?俺様はなんたってオオガマ様! 五行(ごぎょう)が一人!水のオオガマとは俺様のことよ!」

 

汰月「五行…幹部級だと…!?」

 

 現れたのは黄土色を基調した身体に着物のような物を羽織ったガマガエル人間と称すべきモノノケだった。

 そして、そのモノノケは己を水を司る五行・オオガマであると語り、汰月のリアクションを見ると、満足そうに笑う。

 

オオガマ「中々良い反応するじゃねえかお前さん。気に入ったよ」

 

汰月「…そんな奴が、俺に何の用だ」

 

オオガマ「お前さんはどうでも良いのよ、俺様の用があるのはそっちの嬢ちゃんよ」

 

星海「ひっ…」

 

汰月「星海に…?って、どうした…星海」

 

星海「わ、分かりません…ですが、あの方を見た途端…体の震えが止まらなくて…」

 

 オオガマは用があるのは星海だと告げ、それを聞いた汰月が星海を見遣ると、そこには震える星海の姿が。

 

オオガマ「おや、記憶を無くしたと聞いていたが…深層意識に残ってたか?」

 

汰月「……お前、星海に何をした」

 

オオガマ「ああ、そういやお前さんは知らねえのか。仕方ない、教えてやる。…良いか?そこの女はな、『蛇の一族』とも謳われた斜馬家の跡取り娘なんだよ」

 

汰月「蛇の一族?何だそれ」

 

オオガマ「陰陽師にも色々系統があってなぁ、蛇の一族は代々強力な蛇の使い魔を用いた術式を駆使して裏社会を渡ってきたのさ」

 

汰月「裏社会…」

 

 オオガマは星海の正体について明かす。…星海が、蛇の一族の異名を取る斜馬家の跡取り娘であったことを。

 

オオガマ「そうさ、妖術を使って一体どれだけの人間を()()したんだろうなぁ。そんなことはどうだって良いが…奴等の持つ秘宝、“大蛇石”ってのは昔の強力なモノノケの力が封じられた代物でなぁ、ヌラリヒョン様はそれを所望しておったのさ、そして…それを扱える人間もな」

 

汰月「!…まさか」

 

星海「……!」

 

オオガマ「そうさ、そいつはそのために必要な存在。でも、俺様達が小娘一人簡単に取り逃がすと思うかい?そいつは正真正銘の化け物だぜ」

 

汰月「化け物?」

 

オオガマ「ああ、俺様達の襲撃を受けたこいつは…大蛇石の力を無理矢理解き放って、家族諸共敵を消し飛ばしてなぁ!いやぁ、あれは壮観だったよ」

 

星海「私が…家族を…?」

 

オオガマ「そうだぜ?なのにまぁ…おめおめ逃げ出した挙句、その記憶を全部忘れてるときた。酷い奴だよなぁ。さ、お前も怖いだろ?だからその化け物をさっさと渡せ──っ!?」

 

 オオガマの告げた言葉に、瞳を揺らし大きく動揺する星海。その様子を見たオオガマは揚々と汰月に身柄の受け渡しを要求するが、その言葉を最後まで言い切る前に、オオガマの顔面を弾丸が襲う。

 

 銃撃したのはブンプクブラストフォンを構えた汰月だった。

 

汰月「お前…うるさいんだけど」

 

星海「日島さん…」

 

《ミズチ!》

 

オオガマ「チッ、これだから馬鹿なガキは嫌いだ」

 

汰月「奇遇。俺もお前嫌いだよ。俺達…案外()()()なれるかもね」

 

《インストール!》

 

オオガマ「!」

 

汰月「でもその前に…消え失せてくれない?変身」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

激流Splash!ミズチヨロイ!》

 

 特大の皮肉を浴びせつつ、汰月は冷たい声音で仮面ライダー霊魂 ミズチヨロイへと変身する。

 

霊魂「ふん」

 

オオガマ「はっ、この俺様とやり合おうってか、無謀な…」

 

霊魂「御託はいらないよ」

 

オオガマ「チッ…!」

 

 霊魂はレーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーを連射してオオガマを銃撃し、それに対するオオガマの言葉を軽く一蹴すると、更に攻勢を強める。

 

オオガマ「調子乗んなよ…!」

 

霊魂「くっ…」

 

オオガマ「オラオラどうしたァ?もう終わりかよ?」

 

 オオガマは苛立った様子で口から舌を伸ばし、霊魂を絡め取って振り回しつつ、煽る。

 

霊魂「…なわけ」

 

《チャージ!》

 

《チャージシュート!》

 

オオガマ「くっ…」

 

 オオガマの煽りに対し、霊魂は冷静に切り返すと、アヤカシレーザーアタッカーに妖気を集めて強化レーザービームをオオガマの舌目掛けて発射することで拘束を脱する。

 

《火車!》

《インストール!》

 

霊魂「はああああっ!!」

 

オオガマ「チッ…くっ…!」

 

霊魂「五行なんて大層な肩書きの割に大したことないね」

 

オオガマ「んだと?」

 

 霊魂は火車アヤダマをアヤカシレーザーアタッカーに装填し、炎の車輪型エネルギー弾を飛ばしてオオガマを追い詰め、更に煽ることで追撃する。

 

オオガマ「ガキが…言わせとけば…ッ!」

 

《スペシャルムーブ!》

 

霊魂「……ふん」

 

《熱狂シュートフィニッシュ!》

 

オオガマ「くっ……!」

 

霊魂「はっ!」

 

オオガマ「っ…!ぐああっ!!」

 

 霊魂はアヤカシレーザーアタッカーに火炎の妖気を集めると、爆炎を纏った巨大な車輪型のエネルギー弾を発射してオオガマを狙い、その一撃をオオガマはなんとか受け止めるが、続けて放たれたもう一つの燃え盛る車輪型エネルギー弾が追撃を行い、オオガマは爆散する。

 

霊魂「…ふん」

 

 霊魂は鼻を鳴らすと変身を解き、星海に駆け寄る。

 

汰月「星海」

 

星海「日島さん…私…いなくなった方が…」

 

汰月「そんなわけない」

 

星海「で、ですが…」

 

汰月「例え星海が特別な力を持っていようとそうでなかろうと、アイツの言ってることが事実だろうとそうでなかろうと──星海が俺の大切な仲間であることも、俺が星海を信じていることも、何一つだって変わりはしないよ。それに、俺は強いから、万が一何かあっても、どうにかするよ。──だから…帰ろう」

 

星海「日島さん…。はい!」

 

 汰月が星海に対し己が想いを伝え、手を差し伸べると、星海はそんな汰月を信じ、差し伸べられた手を掴む。

 

汰月「よーし、まずは生徒会室に行って朔に報告しないと。やることいっぱいだよ」

 

星海「そうですね!」

 

 幾らか距離も縮まった様子で津久代高校へ戻っていく汰月と星海。その後ろで、蠢く“何か”が一つの塊へと変わっていく。その塊はやがて意味のある形を成す。…その姿は、倒されたはずのオオガマのものだった。

 

オオガマ「仮面ライダー…霊魂…覚えていろよ…今に貴様を…!!」

 

 くぐもった音を立てながらその身を再生したオオガマは怨嗟に満ちた声で汰月への恨みを口にするのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

妖魔「ここだね…!」

 

 楓山邸の地下室までやって来た妖魔は、その中の一室の扉に手をかける。

 

妖魔「雪音ちゃん!」

 

雪音「!時雨君!来てくれたのですね!」

 

妖魔「やっぱり捕まってたんだ…待っててね、今助けるから!」

 

 妖魔が地下室に入ると、そこには牢獄があり、その中に雪音が閉じ込められていた。

 

妖魔「えい!…あれ、開かない。仮面ライダーの力でも開かないなんて…!」

 

リュウジン『この牢…妖気を用いて創り出されたものだな。ネコマタでは力が足りんようだ』

 

 妖魔は牢の扉を仮面ライダーの強化された腕力でこじ開けようとするも、上手くいかず首を捻る。

 そこに、牢を観察したリュウジンの見解を聞き、そのカラクリを理解する。

 

妖魔「よく考えたら地下牢があるのがおかしいですもんね」

 

雪音「やけにリアクションが薄いと思いましたが…違和感持ってなかったのですか!?」

 

妖魔「い、いやあの…立派なお屋敷だし、そういう所って物語的には地下牢とか付きものじゃないですか!あるあるですよ!」

 

雪音「そんな大層なものではないと思いますが…」

 

妖魔「と、兎に角こういう時は!」

 

《河童!》

 

 なんとなく地下牢があることを受け入れそうになっていた妖魔は、そんなわけはないということを思い直し、雪音からの追及から逃れるように河童アヤダマを取り出す。

 

《装填!》

 

《憑依装着!変化!

 

水勢怪力!河童ヨロイ!》

 

妖魔「よーし…はあっ!」

 

 妖魔は河童ヨロイへと姿を変えてその自慢の怪力で鉄格子をひしゃげさせると、人一人が通れる隙間を作る。

 

雪音「ありがとうございます」

 

妖魔「一体何が…?」

 

雪音「今朝学校に行こうとしたところ狐面を付けた使用人の集団に襲われまして…。私は半分モノノケとはいえ、基本的にはほぼ人間と変わらないので碌に抵抗も出来ず…」

 

妖魔「成る程…取り敢えず外へ出よう」

 

雪音「そうですね」

 

 妖魔は雪音を連れて外へ向かい、広い庭へと出る。

 

妖魔「よし、後は外へ…」

 

「逃がさん…」

 

「逃がさんぞ…」

 

妖魔「!追手…!…って、数が多い!?」

 

 妖魔と雪音を追撃すべく現れた狐面の警備員やメイド達だったが、10体以上が集結していた。

 

雪音「恐らく屋敷中にいた個体が集まったのでしょう」

 

妖魔「な、何かおかしいような…」

 

「「「逃がさんぞ…逃がさんぞ…逃がさんぞ…!!」」」

 

妖魔「え、ん?…あー…ええっ!?が、合体しちゃった…」

 

 狐面の人々は黒い靄を纏うと、狐面が分離して集合していき、巨大な狐のような怪物… 幻影巨獣(げんえいきょじゅう)大妖狐(だいようこ)へと変化する。

 

「うわあっ!?」

 

「か、怪物…!」

 

大妖狐「グォォォォッ!」

 

妖魔「うわっ!?」

 

雪音「時雨君!」

 

 大妖狐は桃色の炎を発射して妖魔を襲うと、妖魔も弓状態の妖之弓剣から水の矢を放って迎え撃つが、火力に押されて吹き飛ばされてしまう。

 

妖魔「大丈夫!下がってて!」

 

《装填!一・撃・必・殺!》

 

妖魔「はあああ…はあーっ!!」

 

《水勢射撃!》

 

大妖狐「グアア…!」

 

 妖魔は雪音を下がらせつつ、河童アヤダマを妖之弓剣に装填して巨大な胡瓜の矢を放ち大妖狐に炸裂させ、大きく怯ませる。

 

妖魔「このまま押し切る!」

 

《聖獣之書!》

 

《聖音泰平!麒麟ヨロイ!》

 

 大妖狐が怯んだことを好機と見た妖魔は麒麟ヨロイへとパワーアップし、一気に駆け出す。

 

妖魔「はあっ!はっ!はあーっ!」

 

大妖狐「グルル…グワアッ!」

 

雪音「きゃあっ!」

 

妖魔「!雪音ちゃんに手は出させません!」

 

《雲外鏡!》

《選択!》

 

《雲外鏡!妖斬り!》

 

妖魔「はっ!」

 

雪音「た、助かりました…」

 

 大妖狐は攻撃の標的を雪音に変えて桃色の炎を吐き出すが、させまいと妖魔は巨大な鏡のバリアを発生させて雪音を守護する。

 

《回転選択!回転!大回転!超回転!》

 

妖魔「そろそろエピローグといきましょう!」

 

《八星!一・撃・必・殺!》

 

妖魔「はあーッッ!!」

 

《八星閃撃!》

 

大妖狐「グギャアアア!!」

 

 妖魔は八芒回転星を押し込んでから三回転させると、色とりどりの八つの星型エネルギーを妖之流星刀に纏わせ、虹色に輝く斬撃を大妖狐へと叩き込む。

 大妖狐は断末魔の叫びを上げ、その体躯を消滅させていく。

 

妖魔「何とかなったね…」

 

雪音「ありがとうございます、時雨君」

 

妖魔「いや、雪音ちゃんが無事で良かったよ。兎に角、まずは学校に向かおう」

 

雪音「…ですね」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

 妖魔と雪音が楓山邸を脱出した頃、賢昇の変身した幽冥 ギュウキヨロイは暴れている陰陽トルーパー達の対応に追われていた。

 

幽冥「止めろって言ってるだろ!」

 

オンミョウR「照羅巣が!」

 

オンミョウY「佐乃緒め!」

 

幽冥「あー…もう!」

 

 止めようとしても止まらない惨状に幽冥は怒りつつもオンミョウトルーパー達を止めようと奮闘する。しかし、そこに猛スピードで上空から突っ込んでくる存在が現れる。

 

幽冥「ん?くっ…!」

 

オンミョウY「ぬわああっ!」

 

オンミョウR「何事っ!?」

 

幽冥「…!オイ、テメェ…随分な登場の仕方だな」

 

禍炎「…フッ」

 

 幽冥はアヤカシレーザーアタッカーで防ぐが、余波でオンミョウトルーパー達を巻き込んで吹き飛ばして着地したのは仮面ライダー禍炎 八咫烏餓者髑髏ヨロイだった。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

調「俺達は一人になったら…襲われるってこと…」

 

時雨「皆まで危険に巻き込まれるなんて…」

 

時雨「合宿する…っていうのはどうかな」

 

時雨達を危機が襲う!

 

時雨「……絶対に許しませんよ!」

 

都黎「力無き…弱者に何をする資格も…権利もないということだ」

 

都黎「…変身」

 

仮面ライダー暗夜 参戦!?

 

第拾玖話「強敵進化!?アイツの覚悟!」

 

日曜午後9時!




第十八話をご覧いただきましてありがとうございます。
今回は布留杜市を取り巻く状況が段々と分かるようになってきました。
学園同士の抗争という状況については、仮面ライダー的にはビルドを思い出すかと思いますが、個人的にはそこも意識していますが、それだけではなくエグゼイドの仮面ライダークロニクル、そしてヤンキー漫画のノリを加えたものとなっております。
雪音を奪還し、体制を整えた時雨達歴史研究部ですが…どうやら次回は更なる波乱が待っていそうです。
是非ともお見逃しなく!
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