仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第弐拾壱話「龍神覚醒!手掛かりは幽世にあり!」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

仮面ライダー神羅へと変身した聖がその力で禍炎を下す!

 

しかし、汰月は行方知れずとなってしまい、何と敵として帰って来たのだった…。

 

汰月を、仲間を救うべく、時雨と汰月のガチバトルが幕を開ける…!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

妖魔「はああっ!」

 

霊魂「……」

 

妖魔「はっ!はあっ!」

 

 妖魔は飛びかかりつつ斬撃を放つが、霊魂はその一撃をアヤカシレーザーアタッカーで受け止め、僅かな膠着の後、妖魔は距離を取って連続で斬撃を放つ。

 

霊魂「……」

 

妖魔「はああっ!!」

 

 霊魂は妖魔の連続斬りを巧みな足捌きで回避すると、返しの銃撃を放つが、妖魔も炎の翼を広げて空へ舞うことで退避する。

 

妖魔「…絶対に、日島君を元に戻してみせます!はあーっ!」

 

霊魂「……」

 

《ブレード!レーザータイム!》

 

 妖魔の空からの一閃を霊魂はアヤカシレーザーアタッカーの銃身で受け止め、そのままレーザーブレードモードへと切り替えて鍔迫り合いに持ち込む。

 暫しの拮抗の末、二人は距離を取る。

 

暗夜「…弱者が、我々強者に刃向かうことは…許されない」

 

賢昇「!…邪魔はさせねえ!変身!」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

ギュウキヨロイ!》

 

暗夜「なら、力で証明しろ」

 

 乱入しようとやってきた暗夜に対し、賢昇は邪魔をさせないために幽冥 ギュウキヨロイへと変身し、暗夜へ向かって駆け出す。

 

幽冥「オラアアッ!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第弍拾壱話「龍神覚醒!手掛かりは幽世にあり!」

 

妖魔「はっ!」

 

霊魂「……」

 

妖魔「?これって…」

 

霊魂「……」

 

妖魔「っ…うあっ!」

 

 妖魔は果敢に霊魂へ斬りかかり、鍔迫り合いになったところで霊魂の電書ドライバーのベルトにあるアヤダマ保有用の“アヤカシホルダー”に見慣れない紺色のアヤダマがセットされていることに気付き、一瞬を気を取られるが、その隙を突いた霊魂の容赦のない斬撃に押されてしまう。

 

《インストール!》

《スペシャルムーブ!》

 

妖魔「…!」

 

霊魂「……」

 

《激流スラッシュフィニッシュ!》

 

 斬撃を受けて大きな隙を見せた妖魔に対し、水流の刃を発生させたアヤカシレーザーアタッカーを振り上げる霊魂。

 

妖魔「…それを待ってました!」

 

《龍!選択!》

 

《龍!妖斬り!》

 

妖魔「はああっ!」

 

霊魂「…っ!」

 

 妖魔は霊魂の放つ激流の刃に対し、龍の力で雷を纏わせた妖之流星刀をぶつける。

 すると、激流の刃を通じて霊魂に電流が流し込まれ、その身体を痺れさせる。

 

《麒麟ヨロイ!》

 

妖魔「これで…!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

霊魂「……」

 

《聖音聖撃!》

 

妖魔「はあー…!はーっっ!!」

 

霊魂「っ……!」

 

 妖魔は麒麟ヨロイへと姿を変えると、すぐさま必殺技を発動し、身動きの取れない霊魂目掛けて助走を付けた跳び蹴りを叩き込み、そのまま連続蹴りを叩き込むことで霊魂を変身解除に追い込む。

 

汰月「……しぐ…れ…?」

 

時雨「日島君!」

 

幽冥「はあっ!…妖魔の奴、やりやがった…!」

 

暗夜「…使えん奴だな」

 

 倒れ込む汰月に、時雨は慌てて駆け寄る。

 その様を見た幽冥は感心するが、暗夜の言葉が耳に留まる。

 

幽冥「…テメェ…ふざけんじゃねえぞ!」

 

《チャージ!》

《チャージスラッシュ!》

 

暗夜「…鬱陶しい…!」

 

《唐傘御化!》

《アヤダマ!》

 

《アヤダマライズ!唐傘御化!》

 

 怒りに燃える幽冥はエネルギーを纏わせたアヤカシレーザーアタッカーで斬りかかるが、幽冥は唐傘御化アヤダマを電書ドライバーに装填し、左腕に纏わせた唐傘型のエネルギー体を展開して攻撃を受け流す。

 

《チャージタイム!》

《アヤダマバースト!》

 

暗夜「ふんっ!」

 

幽冥「くっ…!」

 

 暗夜は電書ドライバーを操作し、唐傘型のエネルギー体を閉じると、それを用いて刺突を放ち、幽冥を突き放す。

 

《夜行流奥義!》

 

《神剣・暗闇演舞!》

 

暗夜「はああっ!!」

 

幽冥「くっ…ぐああっ!!」

 

 幽冥が怯んだ隙に暗夜は闇夜月の鍔を三回転させ、刀身に闇のオーラを纏わせると、そのまま連続斬撃を叩き込んで幽冥を吹き飛ばす。

 

時雨「日島君!」

 

汰月「……」

 

時雨「日島君?どうして返事してくれないんですか?日島君!」

 

汰月「……」

 

 一瞬だけ反応したものの、すぐに時雨の呼び掛けにも無反応な状態に戻ってしまった汰月は立ち上がると、時雨を突き飛ばす。

 

時雨「いたっ…日島君…!」

 

汰月「……」

 

暗夜「無駄なことだ。…お前が弱いから何も守れやしない。無様だな。これで、俺の言ったことが少しでも理解出来たか?」

 

時雨「そん…な…!」

 

 幽冥を吹き飛ばし、時雨の前にやって来た暗夜は再度自身の考えを語ると、汰月と共に闇へと消える。

 

暗夜「仕切り直しだな」

 

時雨「待っ…!」

 

幽冥「…くそっ……!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

凪桜「…ということは、津久代の勢力は引き返したけど、日島汰月に関しては進展なし…ってことか」

 

時雨「そう…だね」

 

調「そういえば、降谷さんは?」

 

時雨「佐乃緒が心配だからって帰ってったよ」

 

 照羅巣高校へと戻ってきた時雨は事の顛末を話すと、暗い面持ちで溜め息を一つ。

 

時雨「……僕が、先代の人みたいに強ければこんなことにならなかったのかな…」ボソッ

 

凪桜「時雨先輩?」

 

時雨「な、何でもないよ」

 

 弱音を呟きつつも、凪桜が怪訝そうに尋ねると、時雨はそれを誤魔化す。

 

雪音「しかしどうしましょうか…敵勢力は仮面ライダー三人に加えて四凶という厄介な戦力まで保有していることになります。一般生徒すら攻撃してくる状況で、現状戦えるのは時雨君と降谷さんと、藍羽先生の三人のみ…それも、藍羽先生はどうやら負担も大きそうですし、かなり状況は厳しいですね」

 

 雪音の分析にその場の全員が沈黙する。実際、どう状況を打破すれば良いか分からないからだ。

 そんな中、口を開いたのはリュウジンだった。

 

リュウジン「…こうなったら、幽世(かくりよ)に向かうしかないかもな」

 

咲穂「幽世…?」

 

リュウジン「モノノケ達が住まう本来の世界、とでも言おうか。人間達が暮らすこの世界は現世(うつしよ)。そしてその裏側に存在するのがモノノケ達の世界…即ち幽世だ」

 

調「そんな世界があるんですか?」

 

リュウジン「うむ。基本的にモノノケとは幽世にて生まれる。何らかの要因で後天的にモノノケになったとしても、間で幽世に送られ、そこでモノノケとして一度転生するのが“普通”だからな。…例外がいないわけではないが」

 

 そう言ってリュウジンが見たのは雪音だった。

 

雪音「私ですか?…確かに、私は普通にこの世界…リュウジンさんの言葉を借りれば現世の病院で生まれましたし、幽世の存在も知りませんでした」

 

リュウジン「まあ、このように半人半妖の場合は当てはまらないこともある。後は…第三者によってモノノケへと転じられた者なんかも幽世を通さずにモノノケになる場合がある」

 

時雨「それで…その世界には一体何があるのですか?」

 

 リュウジンは幽世と現世、モノノケの関係性について軽く説明する。

 そして、時雨はその先で何を得るのかと問うと、リュウジンは小さな腕を組んで説明し出す。

 

リュウジン「我の本来の力を取りに行く」

 

時雨「リュウジンさんの…本来の力?」

 

リュウジン「そうだ。疑問には思わなかったか?例えばネコマタであれば猫又アヤダマ、ホウオウであれば鳳凰アヤダマとなるのに、我のアヤダマのみが“龍”アヤダマであったことを」

 

凪桜「言われてみれば…確かに」

 

調「そういうものかと思ってた…」

 

 リュウジンは他のモノノケ達と自身の決定的な違いを述べる。

 

リュウジン「もっと言うなら、他の連中はアヤダマとなった時点で肉体を失っていたのに、我は残っている。それは何故か分かるか?」

 

時雨「な、なんでですか?」

 

リュウジン「それは、我が神と称される上位のモノノケだから、だ。即ち、“龍神”」

 

時雨「…龍神…」

 

リュウジン「神と呼ばれしモノノケ達というのは得てして他とは比べ物にならない力を持つ。…のだが、だからこそ悪用されないよう気を付ける必要があった。何より強い力とはその分扱い辛いしな。故に、我は力を分けておいたのだ。本来の力をアヤダマに変えて幽世に置いておき、残った力が龍アヤダマとなった。意識は龍アヤダマに紐付けてあるが、自分自身が二つに分かれたような特殊な状況故、小型化したものの身体が残ったというわけだ」

 

凪桜「成る程。だから龍とか仰々しい名前の割にトカゲみたいにちっこいのか」

 

リュウジン「誰がトカゲだ!…別に、好きでこのサイズなわけではない。本来の力が発揮出来てない状態だからこうなっただけだ」

 

咲穂「つまり…この戦局をひっくり返せるだけの強力な力を得るために幽世に向かいたい…ということですよね」

 

リュウジン「そうだ。流石に咲穂は話が分かるな。どこぞの凪桜と違って」

 

凪桜「む…私だってちゃんと話聞いてる。神様の癖にみみっちいトカゲだな」

 

リュウジン「だからトカゲじゃないと言ってるだろうが!?というか今みみっちいと言ったな!?」

 

凪桜「事実じゃないか」

 

時雨「す、ストップストップ!二人とも落ち着いて!」

 

 トカゲ弄りの結果ぷんぷんと怒るリュウジンと、凪桜の言い争いを、時雨が止める。

 

調「でも幽世って、どうやって行くんだろ…」

 

雪音「確かに、術が分からないとどうにもなりませんよね」

 

リュウジン「心配ない。行き方にも色々あるが、取り敢えず妖之書が三冊あれば、その力を共鳴させて入り口を作り出せるはずだ」

 

時雨「妖之書…ということは僕の持ってるこれと、回収した日島君の妖之書、そして降谷君の力を借りれば…あれ、でも持ち主は必要ないんですか?」

 

リュウジン「うむ。そこについては問題ない。モノノケは誰であれ妖之書を扱える。つまり…」

 

雪音「私が日島さんの妖之書をお借りすれば良いというわけですね」

 

リュウジン「そうだ。それで幽世には行けるはずだ。…だが、帰るのにも同じ手法を使わねばならないからな。賢昇と雪音とは一緒に行くほかない」

 

時雨「成る程…ですがそれでは…」

 

 幽世への行き方について説明したリュウジンによって、その道はそう遠いものでもないと一同は知る。

 しかし、その一方で現在の状況で時雨=妖魔と賢昇=幽冥が幽世に向かうということは即ち…。

 

雪音「…街を守れる存在がいなくなってしまう……」

 

聖「つまり、私の力が必要ということかな」

 

時雨「藍羽先生!」

 

調「寝てなくて大丈夫なんですか…?」

 

聖「うん。ちょっと寝たら元気出たよ。それよりも…私の力が必要なんだろう?仮面ライダー神羅の力が」

 

 妖魔も幽冥もいなくなれば戦える存在がいなくなってしまう。そう皆が考えた時、会議室として使っている部屋に入ってきたのは別室で休んでいたはずの聖だった。

 

時雨「ですが、本当に大丈夫なんですか?その…」

 

聖「大丈夫だって。変身したのは久々でね、ちょっと疲れちゃっただけだから」

 

凪桜「…それなら良いけど…」

 

 心配の声に明るく返す聖。

 すると、時雨は聖に対して疑問を投げかける。

 

時雨「それで…藍羽先生。藍羽先生が仮面ライダーになってたのは一体…」

 

聖「…あれは、仮面ライダー神羅。以前晴河君と暁君には教えたけれど、モノノケと戦う戦士のことを仮面ライダーと呼ぶんだ」

 

凪桜「うん。覚えてる」

 

時雨「僕もです」

 

雪音「私も聞いたことがありますよ」

 

聖「…最初に仮面ライダーの名を貰ったのが、私なんだ」

 

一同「!」

 

 聖はどうして変身出来たのか、そして“仮面ライダー”という称号の所以について明かす。

 

聖「私が仮面ライダーになったのは三年前のことでね。元々、この力は布留杜…かつてカンナギと呼ばれたこの地を守る陰陽師の血族が受け継いできた力だった。それをより安定的に引き出せるよう夜御哉さんが改良を重ねたのがこの神話ドライバーさ」

 

時雨「三年前…陰陽師…もしかして、それって…」

 

聖「…そう、このドライバーは本来、三代前の照羅巣生徒会長、朱井清那が使うはずだったものなんだ」

 

 聖が明かした真実…それは、真黒の友人であり、聖の教え子である清那が、神話ドライバーの持ち主だったというものだった。

 聖は語り出す、自身と真黒、そして清那に起きた出来事を。

 

聖「…キッカケは三年前、教育実習で照羅巣高校へ来た時のことでね──」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

聖「今日から教育実習でお世話になる藍羽聖です。宜しくお願いします」

 

 三年前、教育実習でやって来た照羅巣高校。

 白石君と朱井君と出会ったのは自己紹介を終え、一応一日の授業を終えた後のことだった。

 元々外部から貴真賀中央大学を受験したこともあり、照羅巣高校に詳しくなかった私は、その二人と、仲の良いもう一人…黄坂澄香君の三人に校内の案内をしてもらっていた。

 

真黒「……なんで僕まで…」

 

清那「良いじゃん、白石だって帰宅部で暇でしょ?」

 

真黒「それ関係ないような…」

 

澄香「…でも、私は二人と色々出来て嬉しい…」

 

真黒「……仕方ないか」

 

清那「なんか澄香ちゃんには優しくないー?」

 

真黒「気のせいだよ」

 

聖「仲が良いんだね」

 

 当時、三人は本当に仲の良い友達で、互いが互いを大切に思っているのが伝わってきた。

 そして、そんな三人が抱えている秘密を、私は偶然にも知ったのだ…。

 

 ある時、街でヌエ一派のモノノケ達が暴れていた時期があってね、強い力を持つ朱井家の次代当主である朱井君は人々を救うために密かに戦っていたんだ。

 

清那「はっ!」

 

「グオオオッ…!」

 

真黒「やっぱり…決定打にはならないか」

 

清那「こうなったら…」

 

 それを知った私は、諸々の事情から朱井君の代わりに神羅に変身するようになった。

 そしていつしか…その姿を見た街の人々から、“仮面ライダー”と呼ばれるようになったんだ。

 

時雨「…ということは、前に言っていた重大なミスって…」

 

聖「…朱井君がヌエに取り込まれた時、私は助け出すことが出来なかった。…教師として、大人として失格だと今でも思う」

 

咲穂「そんなことは…」

 

調「そうですよ!」

 

聖「ありがとう。…後悔も沢山あるけれど、前を向くと決めているんだ。白石君も、私を信じ続けてくれていたから…」

 

時雨「……そうですね」

 

雪音「まさか、三代前の会長の失踪の理由がそんなものだったとは…」

 

 過去の痛みを明かしつつも、前へ進むと決意表明する聖に、時雨達も頷く。

 

聖「まあ、そんなわけだからね、この街を守りたいんだ…私も」

 

時雨「分かりました。…お願いします」

 

 聖の差し出した手を、時雨は迷うことなく掴み、共にこの事態の解決を誓う。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

賢昇「よう」

 

時雨「おはようございます」

 

雪音「……ここが佐乃緒」

 

賢昇「幽世?ってのに行くのに三冊の妖之書が必要なんだよな」

 

時雨「はい。なので降谷君の力を貸してほしいんです」

 

賢昇「へっ、高く付くぜ?」

 

時雨「お、お金取るんですか!?」

 

雪音「なら私が…」

 

賢昇「ジョーダンだよジョーダン!だからその札束しまえ!?…こんな状況は俺もごめんなんだ。さっさと終わらせようぜ」

 

時雨「!…はい!」

 

雪音「そうですね」

 

 賢昇に協力を要請した時雨はこっそりと佐乃緒高校近辺を訪れ、賢昇と接触していた。

 賢昇の冗談を間に受けて札束を取り出した雪音を止めたりする一幕を挟みつつも、三人はこの戦いを終わらせるという目的のために一致団結する。

 

一茶「おやおや、こんな所で何やら面白そうなことをしているね…!」

 

時雨「!あなたは…」

 

賢昇「またお前かよ淀川…流石に禍炎ってだけあってしぶてえな」

 

 時雨と賢昇の元に現れたのは一茶だった。一茶は賢昇の汚物を見るような目に対し、下衆な笑いを浮かべると、焚書ドライバーを装着する。

 

一茶「さあて、反抗的な悪ガキ共にお仕置きだ」

 

《着火!》

 

《八咫烏!》

 

《餓者髑髏!》

 

《イグニッション!》

 

一茶「変身」

 

《焼却装着!ヘンゲ…

 

黒翼!白骨!仮面ライダー禍炎!》

 

 一茶は禍炎へと変身すると、二人へ襲いかかる。

 

時雨「……まずはあの人をなんとかしないとですね」

 

《鳳凰!》

 

賢昇「だな。…めんどくせぇ野郎だ」

 

《ギュウキ!》

 

《聖獣装填!》

 

《インストール!》

 

「「変身!」」

 

《聖獣装着!変化!

 

聖炎復活!鳳凰ヨロイ!》

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

猛火Burning!ギュウキヨロイ!》

 

妖魔「雪音ちゃんは下がってて!」

 

雪音「はい!」

 

 時雨の変身した妖魔 鳳凰ヨロイと賢昇の変身した幽冥 ギュウキヨロイは同時に駆け出して禍炎に斬りかかっていき、雪音はその様子を引いた所から見守る。

 

禍炎「おっと…ふふ、君達の相手はこいつ等だ」

 

《イグニッション!召喚!塗壁!野槌!陰摩羅鬼!水虎!》

 

妖魔「!四人召喚…!」

 

幽冥「他力本願も大概にしろってんだ」

 

 禍炎はヌリカベ、ノヅチ、オンモラキ、スイコの四体のモノノケを召喚すると、二人へ嗾ける。

 

妖魔「はっ!はあっ!」

 

幽冥「ダァッ!オラッ!」

 

 妖魔は聖なる炎を帯びた妖之流星刀による斬撃でスイコとノヅチを斬り払い、幽冥はバクレツブースターからの火炎噴射で攻撃を避けつつレーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカーでヌリカベとオンモラキを立て続けに斬り裂く。

 

幽冥「…ああもう!邪魔なんだよ!」

 

《チャージ!》

 

《チャージスラッシュ!》

 

幽冥「だああっ!!」

 

《回転選択!回転!》

《三星!一・撃・必・殺!》

 

妖魔「はあーっ!」

 

《三星閃撃!》

 

 幽冥は赤いオーラを纏わせたアヤカシレーザーアタッカーで連続斬りを放つことでヌリカベとオンモラキを斬り伏せ、妖魔は黄色の雷と青色の水と赤色の炎のオーラを纏わせた妖之流星刀から回転斬撃を飛ばすことでスイコとノヅチを纏めて斬り捨てる。

 

禍炎「!…チッ、本当に可愛げねえガキ共だな」

 

妖魔「エピローグと…いきますよ!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

幽冥「ああ!とっととぶちのめしてやる!」

 

《スペシャルムーブ!》

 

《聖炎聖撃!》

 

《猛火ストライクフィニッシュ!》

 

幽冥「オラアアアアッ!」

 

禍炎「くっ…!」

 

妖魔「はあーッ!」

 

禍炎「なっ!?…くっ…ぐああっ!!」

 

 幽冥はバクレツブースターから火を噴き出して猛烈な跳び蹴りを叩き込み、それに禍炎が耐えている間に炎の翼を広げた妖魔の聖なる炎を帯びた跳び回し蹴りが炸裂し、二人分の灼熱キックを浴びた禍炎は大きく吹き飛ばされ、変身解除される。

 

一茶「…チッ」

 

賢昇「何だったんだよ…」

 

時雨「さあ…?兎に角、これで…」

 

 一茶は舌打ちと共に橙色の炎に身を包んで姿を消し、時雨と賢昇は当初の目的を果たそうとする。

 

時雨「僕の妖之書と…日島君の妖之書」

 

雪音「任せてください」

 

賢昇「そして俺の…んで、これをどうすんだ?リュウジン」

 

リュウジン「術式を発動させるための手順は簡単だ。まずは大凡等間隔になるよう円形に並ぶ」

 

時雨「こう…ですか?」

 

リュウジン「三人とも後一歩半前くらいが良いな」

 

雪音「このくらいでしょうか」

 

リュウジン「それで良い」

 

 それぞれ妖書ドライバーを装着し、リュウジンの指示に従った時雨、賢昇、雪音は大体等間隔に、直径1メートル足らずほどの円を描くように並ぶ。

 

リュウジン「よし、これで準備は出来た。後は簡単だ。アヤダマを使わないで変身と同じ手順を踏めば良い」

 

時雨「つまり…」

 

賢昇「こうか…!」

 

雪音「成る程」

 

 三人がリュウジンに言われた通りに妖書ドライバーの解放栞を引き下げ、そして表紙を畳むと、白い光がそれぞれのドライバーから放たれ、一点に集まる。

 そして、その光が地面に落ちて不思議な紋章を作り出す。

 

時雨「これが…幽世への扉…」

 

リュウジン「そうだ」

 

雪音「……この先に幽世が…」

 

賢昇「…行くか」

 

 賢昇の一言に、二人も頷く。そして覚悟を決めた三人は紋章を踏み、光に包まれる。

 次の瞬間、三人の目に映ったのは不思議な光景だった。太陽も月も星すらもなく、どこか仄暗い夕暮れのような、しかし明るくもある、そんな不思議な世界が目の前には広がっていたのだ。

 

時雨「ここが…幽世…」

 

賢昇「なんつーか…不思議な場所だな」

 

雪音「そうですね…」

 

 三人は感心してその様子を眺めるが、少しすると時雨が目的地について問う。

 

時雨「リュウジンさん、ここからどこへ向かうんですか?」

 

リュウジン「我等が向かうのは“地獄府”。そこにいるエンマに会いに行くぞ」

 

賢昇「地獄…エンマ…」

 

時雨「…閻魔大王って本当にいたんだ…」

 

雪音「…みたいですね」

 

 リュウジンの告げた行き先は地獄府。聞き覚えがあり過ぎるその名に、恐ろしい存在のイメージが強いエンマの名を口にするリュウジンに、三人は一抹の不安を抱えつつもリュウジンに着いていく。

 

 その道中、三人は一つ目小僧やのっぺらぼう、ろくろ首といった様々なモノノケ達が思い思いの生活を営んでいるのを目にする。

 

時雨「…モノノケ達が暮らす世界…か」

 

雪音「……」

 

賢昇「こういうの見ると、俺等と戦ってんのなんてごく一部なんだなって分かるよな」

 

時雨「そうですね…」

 

リュウジン「まあ、多くのモノノケは人間にそこまで興味はないからな。あったとしても我のように好意的な者も数多くいる…というかそちらの方が実際には多い。…だが、ヌラリヒョン含む少数が、人を忌み嫌っているということだ」

 

 時雨達はモノノケが皆悪者だというわけではないのだと改めて実感する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

 幽世の道をリュウジンに案内されて、三人はやがて大きな赤色と金色を基調とした城のような建物の前へ到着する。

 

リュウジン「ここが地獄府だ」

 

時雨「お城みたい…」

 

雪音「閻魔“大王”の居場所ですし、あながち間違いでもないのかもしれませんね」

 

賢昇「うーし、行くぞ!」

 

「「待たれよ」」

 

 三人が地獄府の中へと入って行こうとすると、門番と思わしき二人のモノノケがそれを呼び止める。

 時雨達から見て左側に立つのは牛のような頭に、赤い鎧を着たモノノケ。

 右側に立つのは馬のような頭に、黒い鎧を着たモノノケ。

 

「貴様等、人間だな?」

 

「何故ここへ来た」

 

時雨「…!」

 

賢昇「あ?」

 

雪音「牛に…馬」

 

リュウジン「これ、そう脅かさずとも良いぞ、ゴズ…メズ」

 

 時雨達に対し威圧的に問い掛ける二人のモノノケに対し、リュウジンは気さくな様子で牛の方をゴズ、馬の方をメズと呼び、その行動を窘める。

 

ゴズ「リュウジン様!?」

 

メズ「これは失礼いたしました…!」

 

時雨「お知り合いですか…?」

 

リュウジン「うむ。ざっと1000年ぶりかな」

 

ゴズ「え、ええ…」

 

メズ「もしや、そちらの人間の中に今代の妖魔が…?」

 

 メズの問いかけに、リュウジンは時雨の元まで寄ると紹介する。

 

リュウジン「こやつ…晴河時雨が今の妖魔だ」

 

時雨「は、初めまして…晴河時雨です」

 

ゴズ「この者が…妖魔?」

 

メズ「何というか…随分と弱そうな奴を選びましたね」

 

時雨「よ、弱そう…」

 

リュウジン「ふっ、コイツは弱くないさ。分かりにくいがな」

 

ゴズ「…まあ、リュウジン様が選ばれたのなら間違いないのでしょう」

 

メズ「そうですね。先代は凄まじい力の持ち主でしたし…」

 

時雨(先代妖魔…雨辺晴朗さん…ここでも慕われているんだな…)

 

 リュウジンの存在に気付いて態度を変えたゴズとメズは時雨達を奥へと案内する。

 

ゴズ「こちらにエンマ大王様がおいでになります」

 

メズ「大王様、客人にございます」

 

「入れ」

 

 ゴズとメズに案内されてやって来たのは重々しい雰囲気を放つ部屋の前。

 威厳に溢れた声が響き、入室を許可された三人はリュウジンと共に謁見の間へと入る。

 

エンマ「ふっ、誰かと思えば…久しいな、リュウジン」

 

 中で待ち受けていたのは、姿こそ人間の老人の男性に似ているものの、威厳を持った佇まいのエンマ大王だった。

 

リュウジン「ああ」

 

エンマ「用は分かっている。コイツを受け取りに来たのだろう?」

 

リュウジン「話が早いな」

 

 エンマは古めかしい木箱を見せながらリュウジンの用件を当ててみせる。

 

エンマ「ふっ、吾輩も情報収集は欠かしておらぬよ。そこの男が新たな妖魔…そして、そっちは幽冥だな」

 

時雨「…!」

 

賢昇「…幽冥も先代がいたのか」

 

エンマ「まあな。豪傑と呼ぶに相応しい男だった。お主が使っている鬼アヤダマも、元々地獄でも精鋭と呼ばれたオニだから、よう知っておるわ。霊魂は本来の持ち主ではないようだが…この子はユキオンナの血を引いているようだな」

 

雪音「それも分かるのですね」

 

 エンマは時雨達を見渡すと、先代の幽冥についてや、雪音の正体について話す。

 

エンマ「当然だ。吾輩も伊達にエンマ大王を続けていたわけではないからな。ものを見る眼というやつには自信がある。さて…うむ、今代の妖魔は、先代と違うようで似ている…リュウジンが選んだのも納得だな」

 

時雨「僕が…雨辺晴朗さんに…?」

 

エンマ「ああ。他がためを思い身を削って戦いに身を投じている…実にそっくりだ」

 

 エンマは時雨を見ると、どこか納得した様子を見せる。

 

リュウジン「ふむ。ならばそいつを渡してくれんか?」

 

エンマ「ふむ。構わないが…本当に大丈夫なのか?現代の人間は今ほど陰陽道に触れていない。そんな人間にこの力はちと重くないか?」

 

リュウジン「我と時雨ならば…乗り越えられるはずだ」

 

エンマ「ふむ。そこまで言うのなら…良かろう。持っていくといい」

 

時雨「…ありがとうございます」

 

 短い問答の末、エンマは木箱を時雨に渡す。

 

エンマ「……くれぐれも、ヌラリヒョンを頼んだぞ。あやつは吾輩を警戒しておってな。中々捕えられないでいる。だが…放置すれば人とモノノケの双方に災いを齎す存在…吾輩はそう考えている。

お主達人間はヌラリヒョンに舐められているからこそ、反撃の機があるのだ」

 

時雨「…はい!」

 

エンマ「うむ。良い返事だな」

 

 エンマとの邂逅を終え、帰路に就こうとする時雨達。しかし、エンマは賢昇を呼び止める。

 

エンマ「今代の幽冥よ」

 

賢昇「俺か?」

 

エンマ「そうだ。…こいつをくれてやる」

 

賢昇「おっと…これは、鍵?」

 

エンマ「こいつを適当な壁に使えばいつでもこの地獄府に通ずる扉を開ける。…時々来ると良い。その力の使い方を教えるために、稽古をつけてやろう」

 

賢昇「!…へぇ、じゃあ遠慮なくもらってくぜ、エンマのじーさん」

 

エンマ「うむ。また来ると良い」

 

 賢昇に古びた鍵を投げ渡したエンマは、また来るように伝えると、不遜とも捉えられかねない賢昇の言葉も軽く流し、三人を送り出す。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「?何だか騒がしくありません?」

 

リュウジン「確かに妙だな…」

 

暗夜「はああ!」

 

時雨「うわっ!?…昏時さん…!」

 

賢昇「あっちは…“ウワン”か」

 

 地獄府を出た時雨達が来た道を戻っていると、突如剣を振り下ろしてきたのは暗夜 ヤギョウヨロイ。そして大きな口を開けた不気味な生き物のような姿のモノノケ・ウワンだった。

 

時雨「…負けてばかりじゃ…いられない。雪音ちゃん、下がってて」

 

雪音「はい」

 

暗夜「…なんだ、そのアヤダマは…?」

 

 時雨は雪音を下がらせると、木箱を開けて中から黒色を基調として、金色の模様が刻まれ、上部にスイッチのようなものがある“龍神アヤダマ”を取り出す。

 

時雨「リュウジンさん…いきましょう!」

 

《龍神!》

 

リュウジン「うむ!」

 

《装填!》

 

時雨「…変身」

 

《憑依装着!変化!

 

逆鱗解放(げきりんかいほう)!龍神ヨロイ!》

 

 時雨が龍神アヤダマを妖書ドライバーへと装填し、解放栞を引き下げると、黒色と金色を基調とした龍神が放たれる。

 そして、表紙を折り畳むと、出現した龍神が鎧に変換され、妖魔の素体の上に被さる。

 

 頭は龍ヨロイに似ているものの、黒色と金色を基調とした威厳あるものに変化、複眼は深紅の輝きを揺蕩わせている。

 全身の装甲も黒色と金色を基調としており、胸部は龍の身体を鎧状に変え、黒色と金色の鱗がその身を守る鎧を構成している。そして、その上には龍神の頭を模した装甲が装着されている。

 腕と脛には金色の龍の爪を模した装備を装着し、腰からは金色の龍の尾状の装甲が垂れ下がっている。

 妖魔の新たな姿…その名も妖魔 龍神ヨロイが顕現した瞬間だった。

 

暗夜「新たな…妖魔…!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

都黎「力負けしているだと…!」

 

時雨「これなら…いける!」

 

龍神ヨロイの圧倒的パワー!しかし…

 

リュウジン「神の力を強引に使おうとしたことで起きる反作用…」

 

時雨「反動があるなんて…」

 

夢華「飼い慣らされてくれる?」

 

時雨「一体どういうつもりですか!?」

 

夢華の本格始動!

 

時雨「こうなったら…!」

 

第弐拾弍話「緊急参戦!?新たな刺客!」

 

日曜午後9時!




第二十一話をご覧いただきましてありがとうございます!
妖魔vs霊魂から幕を開けた今回の話ですが、その戦闘にも色々と工夫が入っておりまして、基本的には妖魔における変身者同士の力関係って、
時雨<汰月≒賢昇…みたいな感じになっております。
時雨は普通の高校生、ということで単なる戦闘力なら他のライダー達の方が高くなっておりますが…そこを時雨自身の工夫によって乗り切っていく…という形となっております。

さて、そんな時雨ですが今回ラストで新たな強化形態・龍神ヨロイを手にしました!
リュウジンの真の力を手にしたことになりますが…どうやら一筋縄でいく能力ではなさそうです。
是非ともその活躍にご注目いただけると嬉しいです!

そしてそして!活動報告の方にも投稿しましたが、妖魔のスピンオフとして本日午後10時から「仮面ライダー妖魔前日譚 仮面ライダー神羅」を妖魔の番外編専用のシリーズに投稿開始いたします!
聖や真黒の過去に迫る3年前…即ち“仮面ライダー”誕生の物語となっております。
全5話となり、毎週10時投稿となりますので、是非ご覧ください!
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