仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第弐拾参話「深まる迷い…糸口模索」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

新たに龍神ヨロイの力を手にした時雨だったが、上手く扱いこなせずに思い悩む。

 

そんな中照羅巣高校の副生徒会長・桃原夢華がモノノケの力を得て大暴れするのだった…!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「抗争状態の解決に、日島君を元に戻す、桃原さんの暴走を止める、昏時さん達反人間連合に対抗出来るように龍神ヨロイを使いこなせるようになる…やることが多すぎます…」

 

雪音「確かに課題まみれですね。しかもどれも手掛かりや取っ掛かりに欠けますし…」

 

聖「……それについてなのだけどね。私に一つ案があるんだ」

 

 ある日の昼休み。現状の課題を整理するも、その状況の苦しさに頭を悩ませる時雨達に対し、聖はあることを提案する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第弐拾参話「深まる迷い…糸口模索」

 

時雨「…成る程、白石さんの遺した情報を探すと」

 

聖「うん。彼は己の命を懸けてでも反人間連合に潜入して情報を探っていた。けれど、禍炎への変身は命を削るものだし、裏切りがバレればいつ消されてもおかしくなかった。そんな中で、少しでも集めた情報が残るような工夫をしていたはずなんだ。大学のパソコンには無かったけどね」

 

咲穂「その口振りだと何か心当たりがありそうですね」

 

 聖の出した提案。それは真黒が遺しているであろう情報を頼ることだった。

 

聖「うん。そもそもモノノケ絡みとなると情報を預けられる人も限られるだろうし…それならば、恐らく私が分かる相手に預けるはずなんだ。…そこで、一人思い当たった人物がいてね。

白石君、そして朱井君と仲が良かった人物…」

 

調「それって前に話してた…」

 

凪桜「…黄坂澄香…って人だっけ」

 

真黒「ああ。それで調べたら、ヒットだったよ。黄坂君が以前に白石君からUSBメモリを受け取ったと言っていた」

 

 聖は真黒の交友関係等から推察して澄香の存在に行き着き、予想通り澄香が手掛かりを握っていることを調べていた。

 

時雨「なら、それを調べれば…」

 

真黒「うん。…それで、この後会う約束を取り付けているんだ。だから、晴河君と私で会って来ようと思ってね。どうかな」

 

雪音「そうですね…今はそれしか手がなさそうですし」

 

咲穂「私も同意見です」

 

調「俺も…そう思う」

 

凪桜「………まあ、それしかないか」

 

時雨「決まりかな。…行きましょう、先生!」

 

聖「ああ。授業中は動きも少ないし…私も今日は授業がないから、午後の授業をやっている間に会ってこよう。晴河君にはサボらせる形になって申し訳ないけどね」

 

時雨「まあ、仕方ないことですし、大丈夫です」

 

聖「皆は普通に授業に出ててね」

 

時雨「リュウジンさんは皆のことお願いしますね」

 

リュウジン「任せておけ」

 

 一先ず午後の授業時間中に澄香に会う算段を付けた時雨と聖はツクモブースターに乗り込んで貴真賀地区へ向かう。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

澄香「あ、えっと、あなたが今の先生の教え子の……」

 

聖「晴河時雨君だよ」

 

時雨「晴河時雨です。宜しくお願いします」

 

聖「こちらは黄坂澄香君。知っての通り白石君と朱井君の友人で、今は布留杜市の姉妹都市である 弥城(やしろ)市の大学に通っているんだ」

 

澄香「黄坂澄香です。その…宜しくね」

 

時雨「はい!」

 

 喫茶店にて落ち合っていた時雨、聖と澄香。互いに自己紹介を終えると、本題へ移る。

 

澄香「それで…これが白石君から預かったUSBメモリです。去年の4月頃に私の所に来て、これを預かってて欲しいって言われました」

 

聖「借りても良いかな?」

 

澄香「はい。…私も、詮索するのは憚られて中身は見てなくて、そのうち忘れてしまっていました。…白石君がいなくなって…先んじて確認しようかとも思ったのですが…気が進まなくて」

 

聖「無理ないよ。…けど、これがこの街を救う鍵になるかもしれない」

 

 聖の言葉に応じた澄香は聖にUSBメモリを手渡しつつ、その中身を見ていないことを告げる。

 

聖「うん。ちゃんと使えるね。これは…メモアプリのデータだね」

 

時雨「……リンクですかね?」

 

澄香「こっちは…IDとパスワード…ですかね」

 

 聖が自身のノートパソコンにUSBメモリを差し込んで中のデータを確認すると、そこにはメモが残されていた。

 そのメモを開くと、何らかのURLとID、パスワードと思わしき文字列が表示される。

 

聖「このURL…どうやらクラウドサービスのものみたいだ」

 

時雨「クラウドサービス…ということはネット上に残してあるデータってことですか?」

 

聖「うん。恐らく…ヌラリヒョン達に知られないようにしつつ、他の人にも見れるように情報を遺す方法として選んだのだろうね」

 

澄香「成る程…」

 

 URLを開いた聖はそれがクラウドサービスのものだと気付き、その意図を推察する。

 

聖「つまり、この二つは…」

 

時雨「クラウドサービスのアカウントにログインするために必要なIDとパスワード…ということですね」

 

聖「うん。その可能性が高いと思う。…アクセス出来たよ」

 

 聖はクラウドサービスの真黒が用意していたアカウントにログインすると、その中に保存されていた幾らかのデータを見つける。

 

聖「…色々な情報が入っているね。…『ヌラリヒョンの能力について』…これは…。

『ヌラリヒョンは人の感情に干渉する力を持っている。

その効果は多岐に及び、人の意思を完全に奪うことも可能だが、対象が元来持っている感情を増幅・抑制することも可能。』」

 

時雨「じゃあ、やっぱり皆がおかしくなったのって…」

 

聖「……悪意を増幅され、逆にそれを抑えようとする善意を抑え込んでいた…ということかな。それを一定数に行えば、その悪意は人から人へ伝わっていく…そういうカラクリだろうね」

 

 真黒の遺した情報から、ヌラリヒョンの能力について知った時雨と聖は、今回の事件の裏に隠れていた、そのカラクリについて推察する。

 

時雨「この街の人達や先生方が止めようとしなかったのも…日島君や津久代の生徒会長がおかしくなったのも、全部ヌラリヒョンの力によるもの…」

 

聖「恐らくそうだろうね。戦う気のなかった日島君や椚田君には洗脳系の術を、それ以外の生徒達には互いに対しての悪意を煽り、教師陣等の止めようと動くはずの存在に対しては各々の責任感や生徒への関心等を抑制した。

ある程度察しはついていたとはいえ、ここまで大規模かつ的確に精神操作を行ってくるとは…相当厄介だな…」

 

時雨「何か対抗方法はないのでしょうか…」

 

聖「これかな…『ヌラリヒョンの能力に対抗する方法については、まず基本的に術式を破壊するというものが挙げられる。これが最も確実ではあるが、多数の人間に掛けられた場合、一人一人の術式を破壊して回るのは現実的とは言えない。

しかし、増幅・抑制の場合は、それ以上に強い感情をぶつけることで治すことも可能。洗脳の場合はより強力な術を必要とする都合上、術式を破壊する以外の方法はない。』」

 

時雨「じゃあ、日島君を助けるためには術式を破壊するしかないってことですね…」

 

 情報を読み解くことで、時雨と聖はある程度の解決策の方向性を見出す。

 

聖「そうなるね。…おや、これは…『術式が効きにくかったり、原則効かない人もいる。これは、例えば藍羽先生のような妖力干渉を極めて受けにくい人間や、そもそも素で人間より高い妖力を保有するモノノケなど。

それ以外では妖書ドライバーが持つとされる持ち主への加護も対抗し得る力であり、このため妖書ドライバーの持ち主は基本的には感情操作を受け付けないほか、その持ち主と絆で結ばれた人物等も加護の一部を受けられるとヌラリヒョンは語っている。』」

 

時雨「この辺はリュウジンさんと藍羽先生の仮説通りみたいですね」

 

聖「そうだね。…まだ続きがあるみたいだ『何事にも例外というものはあり、例え上記に該当する存在であっても、保護力を上回るほどの術式を打ち込まれれば、当然術式の影響を受けてしまう。

ただ、抵抗力が高いということは持続性が悪いということでもあるため、何らかの手段を用いて外部から強化した術式を掛けつつ、そこへ持続的に妖力を送り込むなどの手法を取る必要があるものと考えられる。』」

 

時雨「何らかの手段…あ!」

 

妖魔『?これって…』

 

時雨「そういえば日島君と戦った時になんかそのようなものを持っていました。大蛇アヤダマと火車アヤダマは僕が持っていたのでおかしいなと思った記憶があります」

 

聖「なら、それを破壊すれば…いや、そうもいかなさそうだ」

 

時雨「どうしてですか?」

 

聖「『この場合、解除のためにと外部ツールを破壊するのは悪手となりかねない。推測の段階ではあるが、外から精神に無理矢理干渉している状態のため、外部ツールを破壊してしまうと、何らかの精神的ダメージを与えかねないため。

ただ、外部ツールと対象者の繋がり。言い換えればネットワークを断ち切ればその効果をなくすことが可能と見られる。』…とある。つまり、外部ツール…アヤダマを破壊するのではなく、繋がりを断たせることが必要というわけだね」

 

時雨「成る程…」

 

聖「『また、妖書ドライバーの使い手であれば、妖書ドライバーを手放した状態になると術がかかりやすくなると思われる。これは、妖書ドライバーの加護は離れているといくらか弱まるためである。

そして、妖書ドライバーの持ち主経由で加護を受けている存在は、この場合加護の力がかなり低下すると思われるため、軽い精神操作はさておき、洗脳術式は防げないものと考えられる。』…大体掴めてきたね、ヌラリヒョンのやり口が」

 

時雨「そうですね。この情報を元にして、対策を練りましょう」

 

 ヌラリヒョンの能力についての情報を得た時雨達は、この先に役立てようと考える。

 そんな中、ノートパソコンを覗き込んでいた時雨はある記述を見付ける。

 

時雨「この…世模継学院高校…ってなんですかね?そんな高校なかった気がしますし…」

 

聖「…確かに、私も知らないな」

 

澄香「私も聞いたことはないですね」

 

聖「けど、ここにあるってことは何か関係があるのだろうね。見てみよう」

 

 時雨達は真黒の遺したファイルの中の一つ、『世模継学院高校について』というものを開くことにする。

 

時雨「『世模継学院高校とは、かつて照羅巣高校、佐乃緒高校、津久代高校の三校に並ぶ、貴真賀中央大学系列の高校だった。』そんなものがあったのですか…?」

 

聖「私も初耳だね。…続きを見てみようか」

 

時雨「はい。…えっと、『元々は布留杜市の北部に位置する照羅巣地区よりも更に奥の北端部に設置されている小さな地区にある高校』…とありますね」

 

澄香「照羅巣地区の北部…あ!もしかしたら“飛羅坂(ひらさか)トンネルを抜けた先にあるっていう立ち入り禁止区域のことかもしれないです!」

 

時雨「それなら僕も聞いたことあります。複雑な道を通っていくと辿り着く山の奥にあるっていうトンネルですよね。だけど、それ以外は立ち入り禁止ってことしか聞いたことないですね。後はオバケが出るとか何とか」

 

聖「ああ、資料で見たことあるよ。…その先に学校があった、なんて情報はなかった気がするけど…。そもそも切り立った崖がある上にトンネル自体が落盤してしまって向こうに行く術がなくなったはずだけど…」

 

 “世模継学院高校”という謎の学校の存在に、時雨達は情報を更に探る。

 

時雨「『世模継学院高校は、かつて人とモノノケが共に通うことの出来た特殊な高校だった。しかし、60年前にモノノケを排しようとする人間の動きによって迫害、分断され、あらゆる記録も消された模様。

この一件について調査してみたが当の世模継以外には記録どころか人々の記憶も一切が残っていないため、ヌラリヒョンが裏で何らかの工作をしたと推測される。』」

 

聖「…成る程、歴史から完全に消された高校…というわけか」

 

澄香「それにしても、人とモノノケが同じ学校に通うなんてこと、出来たんですね」

 

時雨「ですが、それも瓦解してしまった…人とモノノケの共存…やっぱり簡単な道じゃなさそうですね」

 

 世模継学院高校は、かつて人とモノノケの学舎だった場所であり、歴史から消されてしまった場所だということが判明する。

 

時雨「『当時の生徒の子孫が細々と残り続けており、当代にも約二十人ほど生徒が在籍している。以下、在籍者リスト』

…現在も生徒がいるんですね。えっと…昏時都黎…って、昏時都黎!?」

 

聖「彼は世模継の生徒だったのか…」

 

時雨「えっと、他には……え?う、嘘だよ…こんなの…」

 

聖「晴河君?どうしたんだい?」

 

時雨「せ、先生…ここ…」

 

聖「え?…なっ…どういうことだ…?」

 

 都黎が世模継の生徒であったことに驚きを隠せない時雨と聖だったが、その中である記述を見付けた時雨は顔を青ざめさせてその現実を受け入れることを拒む。

 その様子に聖がノートパソコンのモニターを覗き込むと、その内容に仰天するのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

霊魂「……」

 

オンミョウ B(ブルー)「調子に乗るな!照羅巣!佐乃緒!」

 

オンミョウY「くっ…仮面ライダーを味方に付けるなんて…!」

 

オンミョウR「くそっ、佐乃緒のライダーは腑抜けの役立たずだってのに…!」

 

 布留杜市の中央部、貴真賀地区。そのとある広場に、三校それぞれのオンミョウトルーパー達が集結し、醜い争いを繰り広げていた。

 その中では仮面ライダーを有する津久代がやや優勢な様子を見せるが、そこに駆け付ける者が。

 

賢昇「腑抜けの役立たずつったのどこの誰だコラァ!!」

 

結佳「リーダー、今大事なのはそこじゃない」

 

千瀬「そうそう。今は止めないと…ね?」

 

圭佑「けど、リーダーをバカにした奴は後でシメてやるっす…!」

 

賢昇「止めとけ止めとけ。どうせ分かんねえしな。…ったく、好き勝手暴れ回りやがって。乱暴狼藉が過ぎるってんだ」

 

《ギュウキ!》

 

賢昇「お仕置きの時間だ」

 

《インストール!》

 

賢昇「変身!」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

猛火Burning!ギュウキヨロイ!》

 

幽冥「うおらああっ!!」

 

 混乱の中駆け付けたバスターズの面々は、変身解除された人の避難を行いつつ、賢昇は幽冥 ギュウキヨロイとなって止めに入る…が。

 

霊魂「……」

 

幽冥「っと…ま、一筋縄じゃいかねえわな」

 

霊魂「……」

 

幽冥「くっ…妖魔の話を聞くに、説得しても意味ねえコイツに時間割くのは正直無駄だが…簡単にどうこう出来る相手でもねえんだよな…!」

 

 霊魂の放つ冷酷な銃撃を斬ることで防いだり、回避したりすることで対処する幽冥はその対処について考える。

 

幽冥「妖魔の野郎が来るまで持ち堪えるしかねえか…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

幽冥「くっ…っあああっ!」

 

霊魂「……」

 

幽冥「数的不利取られてるとキチィな」

 

 多数の銃撃に加えて霊魂の放つレーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカーによる斬撃を受けて吹き飛ばされる幽冥。  

 そこにバイクの駆動音が響き、直後時雨と聖がやって来る。

 

時雨「降谷君!」

 

幽冥「…遅えよ」

 

時雨「えっと…ごめんなさい。…僕達も加勢します」

 

聖「私からもすまないね。…まずは目の前の課題を解決しようか」

 

 幽冥の憎まれ口に謝罪の言葉を口にすると、時雨は聖と共に、オンミョウトルーパー達、そして霊魂の前に立ち塞がる。

 

《鳳凰!》

《聖獣装填!》

 

《第一段階解放!》

 

時雨「変身!」

 

聖「変身」

 

《聖獣装着!変化!

 

聖炎復活!鳳凰ヨロイ!》

 

《神格装着…ヘンゲ

 

System of Mythology.

 

神羅…Liberation.》

 

妖魔「はああっ!」

 

霊魂「……」

 

神羅「さあ、喧嘩はここまでだ!」

 

 時雨は妖魔 鳳凰ヨロイへと変身すると、妖之流星刀を構えて霊魂と斬り結ぶ。

 一方で聖の変身した神羅はオンミョウトルーパー達を止めに入る。

 

幽冥「俺も…いくぞ!」

 

妖魔「はっ!はあっ!」

 

幽冥「オラッ!ダアッ!」

 

霊魂「……っ」

 

 妖魔に加勢した幽冥によって霊魂は押され始める。

 しかし、戦況は素直には進まず、乱入者が現れる。

 

暗夜「ふん!」

 

妖魔「うわっ!?…昏時さん…!」

 

幽冥「暗夜…!」

 

禍炎「くははっ!!」

 

神羅「…淀川一茶…!」

 

 乱入者…暗夜は妖魔に不意打ちを仕掛けて霊魂と引き離すと、激しい斬撃を繰り出す。

 そしてもう一人の乱入者、禍炎は空から神羅に突撃し、強引に相手取る。

 

妖魔「……」

 

暗夜「何だ?いつも以上に弱いな」

 

妖魔「…っ…僕は知ったんです。世模継学院のことを、あなた達にも事情があるんじゃないんですか?皆で話し合えばきっと…なのに僕達が戦う意味なんてあるのですか?」

 

暗夜「…成る程、知ったか。どうだった?」

 

妖魔「…何がですか?」

 

暗夜「決まっている。()()()()()()()()()()()()ことについてだ」

 

妖魔「……」

 

 妖魔の戦う気が薄そうな様子に、挑発的に質問する暗夜だったが、その理由に気付くと、意味深なことを告げる。

 

禍炎「今日こそお前を!」

 

神羅「邪魔だ…!」

 

 しつこく攻撃を仕掛ける禍炎に、神羅は辟易としながら応戦する。

 

暗夜「ふん。まあ良い。だからお前は弱い!」

 

妖魔「っ……」

 

暗夜「…本気が出せないか。本当に弱いなお前は。そんな奴…この世界には必要ない。淘汰されるだけの…弱者が。来い」

 

妖魔「!…あなた達は…!?」

 

 防戦一方となる妖魔に蔑みの言葉をぶつける暗夜。

 そして、暗夜が何やら合図すると、三人の男女が妖魔の前に現れる。

 いずれも都黎が着用しているものに似ている学ランや、セーラー服を着ている。

 

暗夜「紹介してやる。これこそ…我等が世模継正屠会のメンバーだ。こいつが明郷(あけさと)瑠璃子(るりこ)、こいつが宵城(よいしろ)(れい)、そしてこいつが夕町(ゆうまち)双葉(ふたば)…だ。さあ、教えてやれ。俺達のやり方を」

 

 暗夜は最初に妖艶な雰囲気を浮かべた栗色のロングヘアの女子を明郷瑠璃子、次に気怠げそうな雰囲気を持つ黒髪癖っ毛の男子を宵城玲、最後に気弱そうな様子の短めの黒髪をひとつ結びにした女子を夕町双葉とそれぞれ紹介すると、三人に指示を出す。

 すると、三人は同時にオンミョウブラストチェンジャーを取り出す。

 

幽冥「何だ…?」

 

神羅「あれが…世模継の生徒…」

 

《アヤダマ!》

 

「「「変身」」」

 

《陰陽変化!オンミョウトルーパー!》

 

妖魔「紫色の…オンミョウトルーパー…!?」

 

 世模継正屠会の三人は同時にオンミョウトルーパー(紫)へと変身し、妖魔達はその様子に驚きを覚える。

 

オンミョウP()1「じゃ、悪いけど消えてもらおっかな」

 

オンミョウP2「恨まないでくれよ。こっちも…こうしないと生きていけないからさ」

 

オンミョウP3「…では、ごめんなさい」

 

妖魔「っ…」

 

 瑠璃子の変身したオンミョウトルーパー1が銃撃したのを皮切りに、玲の変身したオンミョウトルーパー2、双葉の変身したオンミョウトルーパー3が次々に銃撃を妖魔へと浴びせる。

 

暗夜「ふん…やはり弱いな」

 

妖魔「…くっ…」

 

暗夜「そのまま失せろ」

 

《アヤダマ装填!》

 

《アヤダマ一閃!》

 

妖魔「マズい…!」

 

《雲外鏡!妖斬り!》

 

オンミョウP2「追撃くれてやるよ」

 

《オンミョウチャージ!》

 

オンミョウP3「悪く思わないでくださいね」

 

《オンミョウチャージ!》

 

オンミョウP1「じゃあ…そういうことだから、ごめんね?」

 

《オンミョウチャージ!》

 

「「「はっ!」」」

 

《オンミョウブラスト!》

 

妖魔「くっ…っあああ!」

 

 暗夜がヤギョウ電子アヤダマを闇夜月に装填して放った三日月型の斬撃波を妖魔は咄嗟に鏡型の防御陣を展開して防ごうとするが、オンミョウトルーパー(紫)の三人が放つ紫色のエネルギー弾も加わったことで受け切れなくなり、妖魔は吹き飛ばされる。

 

暗夜「弱いから…強き者に蹂躙される。弱いから…何も守れず全てを失う。そうだろう?」

 

妖魔「……確かに、そうかもしれないですね。だから…僕は諦めない!前へ進んで、強くなる!」

 

《龍神!》

 

暗夜「!」

 

《装填!》

 

リュウジン「仕方ないな!」

 

《憑依装着!変化!

 

逆鱗解放!龍神ヨロイ!》

 

 暗夜の煽りを受け、思うところのあった妖魔は、立ち上がると、龍神ヨロイへとパワーアップする。

 

妖魔「……はあっ!!」

 

暗夜「くっ…」

 

妖魔「はっ!!」

 

暗夜「ぐあっ!」

 

 妖魔は素早く暗夜との距離を詰めると、強烈なボディストレートを叩き込んで怯ませ、追撃の横蹴りで大きく吹き飛ばす。

 

オンミョウP2「よくも都黎を…!」

 

オンミョウP1「玲!…仕方ない」

 

オンミョウP3「い、いきますよ」

 

妖魔「はあああ!はあーっ!!」

 

オンミョウP2「ぐあっ!!」

 

オンミョウP3「っ!?」

 

オンミョウP1「うっ!」

 

 妖魔はオンミョウトルーパー紫の三人が放つ銃撃も意に介さず接近すると、前のめりになっていたオンミョウトルーパー2に対して尻尾を振り回して叩き込み、その高威力を以て他二人の元まで吹っ飛ばす。

 

幽冥「負けられねえな!」

 

《猛火ストライクフィニッシュ!》

 

幽冥「ダアアアアッ!」

 

霊魂「……」

 

 妖魔の戦いぶりを見た幽冥も奮起し、バクレツブースターから火炎を噴き出しながら霊魂に組み付き、そのまま妖魔の元まで運び込む。

 

妖魔「降谷君!?」

 

幽冥「こいつも頼むぞ!」

 

妖魔「!…分かりました!」

 

神羅「なら、こっちもお願いしよう。ふん!」

 

《Judgment.》

 

禍炎「ぐっ…っああ!」

 

 神羅は禍炎と、禍炎の呼び出していたアマノジャク、スイコ、オンモラキを赤黒い波動で縛り上げると、纏めて暗夜達のいる所まで吹き飛ばす。

 

妖魔「エピローグといきますよ!」

 

《猛龍之刻!

 

逆鱗抵触!龍神ヨロイ!猛龍!》

 

妖魔「はああっ!!」

 

暗夜「くっ…!」

 

オンミョウP3「うわあっ!?」

 

霊魂「っ…」

 

 妖魔は龍神ヨロイ・猛龍之刻へと姿を変えると、凄まじい速さで突っ込んでいき、暗夜、オンミョウトルーパー3、霊魂、アマノジャクにオンモラキの五人を怯ませる。

 

妖魔「はっ!!」

 

オンミョウP1「きゃあっ!」

 

オンミョウP2「ぐあっ!」

 

禍炎「ぬうっ…!」

 

 妖魔は更に尾を振ってオンミョウトルーパー1及び2、禍炎とスイコを纏めて打ち据える。

 

《一・撃・必・殺!》

 

《逆鱗猛撃!》

 

妖魔「はああ…はあーっ!!」

 

《アヤダマライズ!唐傘御化!》

 

暗夜「くっ…ふん!」

 

禍炎「ぐあああっ!!」

 

霊魂「……っ」

 

暗夜「ぐっ…!」

 

 妖魔は空へと飛び上がると、龍の口から稲妻の束を解き放ち、敵達を貫かんとする。

 それを受けた暗夜はオンミョウトルーパー(紫)の三人を闇の中に入れることで緊急退避させ、自身はアマノジャクとスイコを盾にしつつ、唐傘型のエネルギー体を展開する。

 そして、妖魔の一撃を受けた霊魂と禍炎は変身解除され、禍炎の呼び出したモノノケ三体は爆散、暗夜は辛うじて変身解除を免れるが、満身創痍となる。

 

妖魔「……まだ続けますか?」

 

神羅「お前一人で勝つのは無理だ」

 

幽冥「…やっても良いけどな?」

 

暗夜「……」

 

 膝を突く暗夜を、龍神ヨロイに戻った妖魔、幽冥、神羅が包囲するが、暗夜は汰月と一茶を連れて闇に消える。

 

時雨「っ…はぁ…はぁ…」

 

賢昇「お疲れ。…しかしアレだな、少しだけ負担軽くなってねえか?」

 

時雨「確かに…そうですね。前はもっと辛かったんですけど…」

 

賢昇「慣れたのかねぇ」

 

時雨「そんなに変身してないですけどね…」

 

聖「…まあ、そうは言っても身体には負荷が掛かってる。私達が派手に戦った影響で巻き添えを恐れた生徒達も退散したことだし、私達も大人しく帰るとしよう」

 

 暗夜の撤退直後に倒れ込んで変身を解く時雨だったが、以前よりは軽くなったように見える負荷に、賢昇共々首を傾げる。

 

時雨「そう…ですね。急いで帰りましょう…」

 

聖「…一緒に行きたいのは山々なのだけど、夜御哉さんと今回の一件の解決策を練る約束をしてたからね、すまないがそっちは任せるよ」

 

時雨「はい。…これは、僕達の問題ですから」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

賢昇「……あいつも色々問題を抱えてんのかねえ…」

 

 時雨のことを案じていた賢昇は、同時に自身の実力不足も実感していた。

 

賢昇「……今のままじゃダメだ。もっと強くならねえと…けど、どうやって……──!」

 

エンマ『稽古をつけてやろう』

 

賢昇「…物は試し、か」

 

 地獄府でのエンマの言葉を思い出した賢昇は、覚悟を決めるのだった。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「凪桜ちゃんは!?」

 

雪音「お帰りなさい時雨君、どうしたのですか?そんな慌てて」

 

咲穂「凪桜ちゃんなら、先程フラッと外へ行きましたよ」

 

調「どうかしたんですか?」

 

時雨「…ごめん、事情は後で説明するから!」

 

 日も暮れた頃、時雨は旧部室棟に慌てて駆け込むが、凪桜はいないという話を聞くと慌ただしく外へ出る。

 

時雨「さっき出たならまだ近くにいるはず…裏門から入って会わなかったから…正門の方に向かったのかも。距離もあるしそれなら…」

 

 時雨はまだ凪桜が近くにいるはずと考えると、裏門からツクモブースターで発進する。

 

凪桜「……」

 

時雨「凪桜ちゃん。…見付けた」

 

凪桜「時雨先輩。帰って来てたんだ」

 

時雨「うん」

 

 時雨は正門から出て来た凪桜の前に現れ、話しかける。

 

凪桜「随分疲れてそうだけど。龍神ヨロイを使ったんでしょ。休んでなくて良いの?」

 

時雨「まあ…うん。けど…どうしても話したかった…いや、話さないといけないと思ったんだ、凪桜ちゃんと」

 

凪桜「……」

 

 龍神ヨロイの反動を押してでも凪桜と話さなければならないと、時雨は伝える。

 

凪桜「…やっぱり、見たんだね」

 

時雨「……うん。凪桜ちゃんが──

 

 

 

 

 

 

──世模継学院の中等部に在籍してたって」

 

凪桜「……覚悟はしてたんだ。真黒さんの遺した情報を見るって時点で」

 

 凪桜は世模継学院の者だった。その事実を知ったからこそ、時雨は大きな衝撃を受けつつも、凪桜と話しに来たのだった。

 

時雨「…白石さんとも知り合いだったんだね」

 

凪桜「…うん。あの人は…私達の境遇を知って、何とかしようと頑張ってくれた…私にとって兄みたいな存在」

 

時雨「……そうだったんだ」

 

凪桜「…うん」

 

 凪桜も言い逃れは出来ないと判断し、素直に時雨の問いを肯定する。

 

時雨「僕を選んだのも…凪桜ちゃんなんでしょ?」

 

凪桜「…うん。元々、私は妖魔になれる人間を探して、妖魔になるよう誘導、そして監視するのが役目だった」

 

時雨「…どうして、僕だったの?」

 

凪桜「それは…今は言えない」

 

時雨「…そっか」

 

 時雨の問い掛けに、凪桜は淡々と答えていくが、何故時雨を妖魔に選んだのかについては回答を控える。

 

時雨「…帰ろう?あんまり長いことどこかへ行ってると、皆も心配するし」

 

凪桜「分かってるでしょ。そんなこと出来っこない」

 

時雨「凪桜ちゃん…」

 

凪桜「…私は都黎達とは違う。だけど…皆を騙して、裏切ってたのは事実だから、皆といる資格なんてないよ」

 

時雨「そんなことないよ、凪桜ちゃんは──」

 

凪桜「時雨先輩。ずっと騙しててごめん。それと…楽しい思い出を沢山ありがとう。私は私の…やるべきことをやるから」

 

時雨「!…凪桜ちゃん、僕は」

 

凪桜「…本当は、時雨先輩が帰って来る前にいなくなるつもりだった。けど、私も弱いね。つい躊躇ってしまった」

 

 凪桜は自分と時雨達とは一緒にいられないと告げると、夕闇の中へと歩き出す。

 それを止めようとする時雨だったが、凪桜は聞く耳を持たない。

 

凪桜「私は…信じてるから、時雨先輩のこと」

 

時雨「…凪桜ちゃ──っ!」

 

凪桜「ごめん」

 

 時雨は凪桜を引き留めようと一歩前へ出るが、それを許さない凪桜は足元にブラストモードのブンプクブラストフォンを撃ち込み、時雨を牽制すると、次の瞬間には忽然と姿を消していた。

 

時雨「…凪桜ちゃん…どうして……」

 

凪桜「これで良いんだよね。…真黒さん」

 

 その場で項垂れる時雨を、こっそり物陰から見ていた凪桜は、決意を固めてその場を立ち去る。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

凪桜「私に出来ることをやらないと…」

 

調「凪桜ちゃんは昏時都黎達の仲間だったってこと?」

 

時雨「僕は何が出来るのかな……」

 

リュウジン「こういう時こそ振り返りをするのはどうだ?」

 

諦めずに立ち上がり──

 

賢昇「来いよ化け物ども。纏めて叩き潰してやる!」

 

時雨「諦めたくないんです!」

 

──絆がリュウジンの真の力を呼び覚ます!

 

リュウジン「共に歩むと約束しよう!」

 

時雨「この力は…もう完全に僕達のものです!」

 

第弍拾肆話「真打登場!二人の覚醒!」

 

日曜午後9時!




第二十三話をご覧いただきありがとうございます。
今回はヒロインである凪桜の正体に迫ることとなりました。
都黎達とは仲間だったことも明かされましたが…実はこれ、前々から示唆している描写が挟まれておりますので、興味のある方は見返してみるのもアリかもです。
まあ、凪桜に関してはまだ一つどんでん返しが残っているので、今後も動向にご注目いただきたいです!

そして、次回以降の時雨が自分を支え続けてくれた凪桜の離別にどう向き合うか、どう乗り越えていくか、見届けていただければと思います。

話は変わりますが、これまでこの仮面ライダー妖魔で、変身ポーズとかはあまり描写してなかったかと思います。
実はキャラ設定の一環として頭の中ではある程度決まってるのですが、それを文章にすると長くなってしまって面白みに欠けるのでカットしてたんですよね〜。
とはいえそのまま腐らすのも勿体ない!ということで、今回から数週に分けて変身ポーズ講座をやっていこうかなと思います!
興味のある人は見てみていただけると嬉しいです。まあ、本編への解像度は上がると思いますし。(真似してみるのも嬉しいですが、あんまり人前でやるのはお勧めしません)
記念すべき第一回はやっぱり主人公の妖魔から!
というわけで以下手順です!(因みに向きは基本的にやってる人からの方向となります)

①アヤダマを右手で持って顔の右横に持ってきます。(アヤダマは人魂の形をしているので、先端を人差し指と中指の間に来るようにして、底に親指が来るように持ちます。親指・人差し指・中指の三本で握るようなイメージです)
②親指で底にあるスイッチを押してアヤダマを起動します。
③アヤダマを妖書ドライバーに上からセットします。
④セットした動きのまま、ドライバー右横にある栞を右手で引き下げます。(これでドライバーの表紙が展開します)
⑤栞を引き下げると同時に右手は右腰の横あたりに持ってきて、左手は右胸の前あたりに持ってきます。
⑥そこから腕を回転させるイメージで、それぞれ右手を左頬と左肩の中間点くらいの高さに、左手は左腰のあたりに持ってきます(この時、右手は開いたり握ったりするのではなく、人差し指〜小指を軽く握るくらいの感覚で留め、手のひらを前に向けた状態にするイメージ)
⑦変身!の掛け声を上げて、両手でドライバーの表紙を閉じます。
⑧閉じた勢いのまま少し手を胸〜肩の高さあたりまで持ってきた後、不動立ち(分からない人はweb検索推奨)する。(この時、手を上げるまではフワッと、下ろす時はシュッとやることでカッコよさがUP!…するかもしれません)

…という手順となっております。長々とお付き合いいただきありがとうございました!
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