仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第弍拾肆話「真打登場!二人の覚醒!」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

状況を打開すべく真黒の遺した情報を調べる時雨!

 

そしてヌラリヒョンの能力について知るものの、その一方で歴史から消された学校…世模継学院についても知り、更には凪桜がその一員であったことが判明する。

 

そして、凪桜は時雨に別れを告げて姿を消すのだった…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

凪桜「……」

 

都黎「よく帰って来たな」

 

凪桜「…うん。正体がバレたから」

 

都黎「そうか。どうやら白石真黒の置き土産があったみたいだな」

 

双葉「あ、凪桜ちゃんお帰りなさい。…飴食べます?」

 

凪桜「…貰おうかな」

 

 薄暗い教室…世模継学院高校の一室である生徒会室で、凪桜は都黎達の元へとやって来ていた。

 

凪桜「……」(この戦いを終わらせるために、私に出来ることをやらないと…。そのために、私はここに来たんだ)

 

 双葉から貰った飴を舐めつつ、凪桜は己のやるべきことを再整理する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第弍拾肆話「真打登場!二人の覚醒!」

 

調「じゃあ、凪桜ちゃんは昏時都黎達の仲間だったってこと?」

 

時雨「そうなるね…」

 

雪音「世模継学院…聞いたこともありませんね」

 

咲穂「……ですが、確かに今回の話を聞いて色々合点がいきました。何故敵が妖魔に選んだのが時雨君だったのか、何故凪桜ちゃんが白石さんの置き土産を欲したのか、全部今回の話を聞くと、筋が通りますから」

 

 時雨は凪桜のことについて他のメンバーに共有していた。

 

時雨「それだけじゃないよ。凪桜ちゃんはよく『優勝劣敗弱肉強食』という言葉を口にしてた。そして、昏時さんも『強い』と『弱い』に強いこだわりを持っている」

 

雪音「つまり、それこそが世模継にとっての正義であり、置かれた環境そのもの…ということですね」

 

時雨「うん。…多分、弱い人は生き残っていけず、強い人だけが未来を掴み取れる。そういう環境なんだと思う」

 

 重く苦しい話に、部室は静まり返るが、時雨は尚も言葉を紡ぐ。

 

時雨「凪桜ちゃんは『私は都黎達とは違う』って言ってた。それに、白石さんのことを本当に尊敬してる様子だったし、何よりも、凪桜ちゃんは僕を強くしようとしてた。世模継の計画を考えたら、僕が強くなるのは良くないことのはずなのに。だから…きっと、願いは僕達と変わらないはずなんだ」

 

咲穂「そう…ですね。きっとそうです」

 

調「凪桜ちゃんだもんね」

 

雪音「なら、私達も私達に出来ることを…」

 

 誰よりも凪桜との付き合いが長い時雨の言葉に、三人は元気を取り戻す。

 

時雨「そうだね。…僕は何が出来るのかな……」

 

 雪音の言葉を聞いた時雨は、肯定しつつも、少し間を置いてポツリ呟く。

 そして、それを聞いたリュウジンはとある提案をする。

 

リュウジン「……そうだ!こういう時こそ振り返りをするのはどうだ?」

 

「「「振り返り?」」」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

リュウジン「つまりだ、今出来ないことをどうやったら出来るようになるか延々と考えていたって状況が良くなるわけではないだろう?なら、今まで自分がどんな風に歩んできたのか、自分自身の足跡を思い出すのも大事だと思ってな」

 

時雨「成る程…一理ありますね」

 

雪音「では、最初から思い出すとしましょう。ということで時雨君、どうぞ」

 

 リュウジンの発案の意図を聞き、納得した四人は、過去の思い出を振り返る。

 

時雨「う、うん。…そうだね。最初…僕が初めて妖魔になったのは夏休みの最終日。

凪桜ちゃんと出掛けた時に、古書店に行ったんだ。そこで、妖之書を見付けて…リュウジンさんと出会った」

 

リュウジン「…懐かしいな。しかし、あれも世模継の策略だったとは…」

 

咲穂「というか、何故リュウジンさんは書店に?」

 

リュウジン「ふむ。元々我は妖之書について人から人へと渡りながらこの街を見守って来た。そして、偶々あの書店に引き取られた辺りでモノノケ達が動き出した気配を感じ…そんな中で出会ったのが時雨だったんだ」

 

時雨「そうだったんですね。そして僕は仮面ライダー妖魔になった…」

 

 まず時雨は自身が妖魔へなるに至った経緯を思い返す。

 

雪音「そうですね。そのことを知った私は時雨君達の活動拠点としてこの歴史研究部を用意しました」

 

咲穂「そして私や…」

 

調「俺が加入して、今の形になった…」

 

時雨「そうだね。皆に会えて良かったと思ってる。……そういえば、妖魔になったから、日島君や降谷君とも出会えたんだよね」

 

 歴史研究部の発足、そして現在の形になるまでの軌跡を思い出す。

 

時雨「最初は全然息合ってなくて。日島君と降谷君は仲悪いし、その降谷君はアヤダマを奪うとか言ってくるし、どうなるんだろう、って思ってたんだ」

 

咲穂「それでも、信頼し合える仲間になりましたからね…」

 

調「うん。最初は怖かったけど、ここのところは降谷さんに沢山助けてもらってますもんね…」

 

時雨「だからこそ、日島君も助け出さないと…。そう考えると、纏まるキッカケをくれた白石さんには感謝しなきゃだね」

 

 汰月や賢昇と出会った当初は纏まりのなかったが、今となっては共に戦う仲間となっている。

 その事実に、時雨は真黒への感謝の思いを述べる。

 

時雨「色んな依頼を解決する中で、色んなモノノケにも出会ったね」

 

咲穂「そうですね。…中でもネコマタさんやカッパさん、テングさん、聖獣のホウオウさん、キリンさんは共に戦う道を選んでくれました」

 

調「でも反対に、敵のモノノケは白石さんに回収されたんだよね…」

 

雪音「今はそのまま敵の手に渡っていますがね…」

 

時雨「僕達を結束させるためとはいえ、色んなアヤダマを使ってくる禍炎は強敵だったな…。三人で団結出来なければ絶対に勝てなかったよ」

 

 歴史研究部として受けた依頼の数々、そして出会ってきた数多のモノノケ達との記憶を回想し、敵のモノノケの力を使って戦う禍炎についても回想する。

 

リュウジン「そういえば、その少し後くらいに雪音が暴走して時雨から妖之書を没収した時は焦ったな」

 

雪音「その節はご迷惑をおかけしました…」

 

時雨「過ぎた話だし、雪音ちゃんなりに僕のことを思いやってくれたのは分かってるから大丈夫だよ。それに…今は雪音ちゃんと同じ志…『人とモノノケの共存』を抱いてる仲間だし!」

 

雪音「そうですね。何としても叶えるとしましょう」

 

 雪音が時雨から妖之書を取り上げた一件を思い出し、懐かしむ三人と、申し訳なさそうにする雪音。

 しかし、時雨は雪音の理想である「人とモノノケの共存」に共感を示し、いつか叶えようと約束する。

 

時雨「クリスマス、白石さんは僕達に全てを託していなくなって……そしてこの戦いが始まったんだよね…」

 

咲穂「…託されてますもんね」

 

調「俺達も一緒に頑張ります!」

 

雪音「そうですね。力を合わせてこの難局を乗り越えましょう…」

 

 時雨は真黒の死について思い出し、そして現在も続く学園争乱の始まりまで思い出したところで、記憶が現在に追いつく。

 改めて仲間達の存在と、その頼もしさを確認すると、時雨は笑顔を浮かべるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

エンマ「どうやら、まだ進展はなさそうだな」

 

星海「そう、ですか。…すみません、ありがとうございます、エンマ様」

 

エンマ「何、気にする必要はない。ヌラリヒョンの企みは…我等にとっても脅威だからな」

 

 地獄府に庇護してもらっている星海に、エンマは現状を伝える。

 申し訳なさそうな星海に、笑みを浮かべたエンマは気にする必要はないと告げる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

 翌朝、部室に集まっていたところに、透が大慌てで飛び込んでくる。

 

調「うわっ!?」

 

透「マズいことになったぞ」

 

時雨「ど、どうしたんですか?」

 

雪音「休日なんですし、お休みになっていた方が…」

 

透「悠長なこと言っている場合か!…桃原の奴が、佐乃緒に向けて四凶を引き連れて向かってる!」

 

時雨「えっ!?」

 

 あまりの慌てぶりに何事かと困惑する四人に、透は衝撃の事態を明かす。

 

咲穂「…これは大きく出ましたね」

 

時雨「と、兎に角すぐ向かわないと!」

 

雪音「私も同行します」

 

咲穂「…なら、私はここに残って佐乃緒の皆さんに連絡を入れておきます」

 

調「あ、俺は藍羽先生に連絡しときます!」

 

時雨「お願い!…行こう、雪音ちゃん」

 

雪音「はい!」

 

 透の言葉を聞いた時雨は雪音と共に向かう準備を整え、咲穂と調は残って連絡を行うことに。

 

時雨「ちゃんと掴まってて…!」

 

雪音「はい…!」

 

 ツクモブースターに乗った時雨は、後部座席に雪音を乗せると佐乃緒方面へ向かっていく。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

夜御哉「…うむ、困ったな」

 

ブー…ブー…

 

夜御哉「ん?これは聖のスマホか?おや、この子は…もしもし」

 

調『あ、もしもし…ってあれ?えっと…どちら様で?』

 

 ぐったりした様子で寝かされている聖に困った目を向ける夜御哉。すると、聖のスマートフォンが着信を知らせ、その電話の通知名を見た夜御哉は代わりに出ることに決める。

 

夜御哉「ああ。俺は田貫夜御哉。君は霧宮調君だな」

 

調『あ、田貫教授…。はい。確かに俺は霧宮調ですけど…知ってたんですね。……それでえっと、藍羽先生は?』

 

夜御哉「まあ、聖から聞いていたからな。ちょっと立て込んでてな。用なら伝言しておくぞ」

 

調『えっと、今四凶達が照羅巣から佐乃緒に向かってまして…何とか止められないかと思いまして…』

 

夜御哉「成る程な…それは──っと!?」

 

聖「分かった。すぐに向かうよ。具体的な場所を送っておいてね」

 

調『あっ、藍羽先生!分かりました!』

 

 夜御哉は調から事情を聞くが、聖の状況を鑑みて断ろうとする。

 しかし、突如起きて来た聖にスマートフォンを奪われ、承諾されてしまう。

 

夜御哉「聖、自分の体のこと分かってないわけじゃないだろう?」

 

聖「…そうですね。分かってます。これ以上の変身は危険だというのでしょう?」

 

夜御哉「そうだ。命に関わるぞ」

 

聖「…でも、生徒達が命を懸けているのに、私が何もせずに寝てるわけにはいかないです!」

 

夜御哉「あっ……ったく。あれの背中を見たんじゃ…真黒の無茶も合点がいくものよ…」

 

 夜御哉は聖を止めようとするが、聞く耳持たずで飛び出して行ってしまう。

 それを軽く見送って、夜御哉は溜め息を吐く。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

檮杌「…ウゥ…!」

 

オンミョウR「きゃああっ!」

 

渾沌「ぐふぉお!」

 

オンミョウR「ぐああっ!」

 

 檮杌に攻撃され、オンミョウトルーパー(赤)の二人組は変身解除される。

 しかし、生身のギャルっぽい佐乃緒生徒とヤンキーっぽい佐乃緒生徒に戻っても、檮杌は躙り寄る。

 

檮杌「グゥ…!」

 

渾沌「うぉふ…?」

 

「や、止め…来ないで…!」

 

「こ、こっち来んな…!」

 

幽冥「オラアアッ!」

 

檮杌「グッ!」

 

渾沌「うぉふっ!?」

 

 檮杌と渾沌が迫り、二人が命の危機を覚えたところに、幽冥 ギュウキヨロイが突っ込んで来てレーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーを用いての連続射撃で檮杌と渾沌を怯ませる。

 

「仮面ライダー…!」

 

「助けてくれるのか!?」

 

幽冥「あ?勘違いすんなよ。こっちはテメェ等のアホみてえな喧嘩のせいで迷惑してんだ。けどな…この街でよく分かんねえ化け物がのさばってんのは、放置出来るわけねえだろ!…ってか邪魔だ!さっさと失せろや!」

 

「あ、ああ!」

 

「ありがとー!」

 

幽冥「…チッ」

 

 幽冥が自分達を助けてくれたことに驚く二人だったが、幽冥の言葉を聞くと、感謝しつつ退散していく。

 

幽冥「来いよ化け物ども。纏めて叩き潰してやる!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

夢華「あの子達、良い感じにやってるかな。釣れてくれると良いけど。…お、早速こっちの本命がかかったね」

 

 佐乃緒付近の廃材置き場で四凶達について考えていた夢華は、バイクに乗ってやって来た二人組に気付き、口角を吊り上げる。

 

夢華「晴っちに雪ち、遅かったね。四凶達はもう佐乃緒の街に向かってるよ」

 

時雨「そっちは降谷君達に任せました」

 

雪音「夢華さん、もう止めましょう。こんなことしても何にもなりません」

 

 やって来た時雨と雪音に対し、挑発的な態度を崩そうとはしない夢華。

 

夢華「悪いけど、それは無理かな。それに、四凶を他のライダーに任せるのは狙い通りだし?」

 

時雨「どうしてそこまでして佐乃緒を狙うんですか?」

 

夢華「……別に、佐乃緒なんてどうだって良いんだよ。私はさ、この街を破壊したい…全てを滅茶苦茶のグチャグチャにしたいだけ」

 

雪音「破壊衝動…ということですか?」

 

夢華「んー、別に何もかも壊してやる!とか思ってるわけじゃないよ。ま、詳しい理由は説明する気ないけど」

 

 時雨達の質問にある程度答えると、痺れを切らしたように夢華は天狐アヤダマを取り出す。

 

時雨「!」

 

夢華「もう良くない?ここまで来たら話し合いなんかで解決は出来ないってこと」

 

《天狐!》

 

夢華「ふふっ…」

 

《天狐…》

 

テンコ「さあ…雪ちは戦うことも出来ないんだし、下がってなよ」

 

時雨「……雪音ちゃん、危ないから下がってて」

 

雪音「…分かりました」

 

《龍神!》

 

テンコ「お、最初から本気モードだね」

 

時雨「……今の桃原さんにはそれくらいの覚悟で挑まないと…きっと負けますから」

 

《装填!》

 

テンコ「高評価ありがとって言っとこうかな?」

 

時雨「変身!」

 

《憑依装着!変化!

 

逆鱗解放!龍神ヨロイ!》

 

妖魔「ふぅ…はああっ!!」

 

 時雨は妖魔 龍神ヨロイへと変身すると、一つ息を吐き出し、そして地面を蹴ってテンコに迫っていく。

 

妖魔「はっ!」

 

テンコ「…!やっぱり直接に戦うのは止めた方が良さげだね。…なら」

 

妖魔「消えた…!」

 

 テンコは妖魔の拳を両腕をクロスして受けつつもふらつく程の衝撃を受けたことを考えて戦法を切り替え、幻を操る力で姿を消すと、餓鬼を召喚する。

 

テンコ「ふふっ…」

 

妖魔「…つあっ!…攻撃が読みにくい…!」

 

 テンコは餓鬼達に妖魔が気を取られている隙に幻を利用して不意打ちを仕掛けることで優位に立つ。

 

テンコ「ふふ…」

 

妖魔「はあっ!…幻!?ぐっ!」

 

テンコ「甘いなぁ、晴っちは」

 

 妖魔は現れたテンコに蹴りを打ち込むが、それはテンコの生み出した幻であり、攻撃は意味をなさない。

 そして、背後からテンコに桃色の炎を浴びせられ、怯まされる。

 

妖魔「…どうすれば……!」(もし、僕が雨辺晴朗さんみたいな、先代妖魔みたいな人だったら、こんなことにはならなかったのかな…。リュウジンさんの力もちゃんと引き出せて、守りたいものを守り抜けたのかな。

こんな争い、すぐにでも止められてたのかな。

白石さんを死なせたりしなくて済んだのかな。

日島君をあんな目に遭わせないように出来たのかな。

…凪桜ちゃんも、引き止められたのかな。

……偶々仮面ライダーになっただけの僕みたいな凡人には…無理なのかな…)

 

 振り払おうとも纏わりついてくる弱気な心。一度思考に浮かんだそれは、あっという間にその心に暗雲を立ち込めさせる。

 そして、妖魔の心が暗雲に染まり始めると同時、妖魔に異変が起こる。

 

妖魔「……っ…ああああっ!!」

 

テンコ「…?」

 

雪音「時雨君…!?」

 

 妖魔の身体を突然黒い稲妻が迸り、変身を解除させる。

 

時雨「っ…何で…!?」

 

テンコ「えぇ…もうガス欠?早過ぎない?」

 

時雨「……っ!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

幽冥「くっ…おいおい、めんどくせえなおい」

 

霊魂「……」

 

幽冥「つーか聞いてねえよ!何でお前まで来てんだ!」

 

霊魂「……」

 

 四凶と交戦していたはずの幽冥は、銃撃を受けて後退していた。その銃撃の主は霊魂 ミズチヨロイ。

 幽冥と四凶との戦いに乱入し、五対一ということもあり、幽冥を追い詰めていく。

 

檮杌「グウウア!」

 

幽冥「しまった…っ!」

 

霊魂「……」

 

 檮杌の難訓による斬撃をアヤカシレーザーアタッカーで受け止めた幽冥だが、その高威力故にアヤカシレーザーアタッカーを取り落としてしまう。

 その隙を逃さず霊魂に銃口を突きつけられ、幽冥はダメージを覚悟するが、次の瞬間、横から放たれた蹴りが霊魂のアヤカシレーザーアタッカーを蹴り飛ばす。

 

神羅「大丈夫かい?」

 

幽冥「藍羽先生…!」

 

神羅「…大変そうだからね、助太刀させてもらうよ」

 

幽冥「…へっ、ソイツはありがたい!」

 

 幽冥のピンチを救った神羅は幽冥と共に霊魂と四凶に挑んでいく。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「どうして…!」(今までと比べても明らかに早い…一体何で…?疲れが溜まっていたから?…きっとそれだけじゃない。何かあるはず…)

 

テンコ「折角色々対策してたしさー、粘れば自滅してくれるとは思ってたけど、流石に拍子抜けって感じだよ」

 

時雨「…っ」

 

 テンコの蔑むような言葉に、時雨は言い返せずに黙り込む。

 

テンコ「『人とモノノケの共存』。その雪ちの夢、一緒に叶えるんじゃないの?なのにこんなところであっさり負けるとか、その程度なんだ、晴っち」

 

時雨「何で知って…いや、確かに…桃原さんの言う通り…だと思います」

 

雪音「時雨君…」

 

時雨(……ずっと、心の片隅で思っていたんだ。流されるままじゃなく、自分で自分の道を決められる皆を、何か優れた力を持ってる皆を、凄いと思って尊敬する反面、自分自身の平凡さや弱さを実感せずにはいられなかった。

…僕は、このまま何も出来ずに終わるのかな、何もかも諦めて、成し得ずに終わってしまうのかな。……でも、そんな結末は……嫌だ)

 

 テンコから投げかけられた厳しい言葉に、時雨は打ちのめされそうになるが、その心の奥底にある譲れない想いが徐々に形を成していく。

 

テンコ「なら、もう諦めてライダーなんて辞めなよ。別に晴っちがやらなきゃいけないわけじゃないよね?昏時都黎が言ってたんでしょ?『計画に都合が良いから選んだ』って。晴っちはただそれだけの存在なんだから、何もかも投げ出せばそれで良いじゃん」

 

時雨「…そう、ですね。確かに、桃原さんの言う通り…僕には大した力も才能も、自分自身の明確な理想さえも…ありませんでした。本当は…戦うのなんて嫌なんです。誰かを傷付けて、傷付けられてなんて…したくないんです」

 

テンコ「なら──」

 

時雨「でも!」

 

テンコ「!」

 

時雨「やっぱり諦めたくないんです!」

 

リュウジン『時雨を信じ、認めている以上、力を引き出せないはずがない』

 

時雨「漸く分かりました。僕がこの力を扱いこなせなかったのは…僕が僕自身を信じることが出来なかったから!僕がこの力を使って何をしたいか考えてもいなかったからです!

簡単なことでした。僕が皆を信じるように…皆が僕を信じてくれるように…皆が信じる僕自身を、僕が信じなきゃいけなかったんです!」

 

凪桜『…私は時雨先輩を信じてる。それだけは…覚えておいて』

 

凪桜『私は…信じてるから、時雨先輩のこと』

 

時雨「(きっと、凪桜ちゃんはそれに薄々気付いてたんだね。…ありがとう)……僕の夢は、理想は、ハッピーエンドです!」

 

テンコ「え?」

 

時雨「歪み合って憎しみ合うよりも、笑い合って手を取り合う!人もモノノケも、僕も皆も!一緒に笑顔で暮らしていく!そんな…普通で平凡で…退屈なくらい幸せな日常を…僕が叶えてみせます!今ここに立っているのは、その理想を叶えるのは…雨辺晴朗でも、他の誰でもなく、晴河時雨ですから!…僕は戦い続けます!この夢を…叶えるために。そのために手に入れた力を使うんです!」

 

リュウジン「時雨…最高の夢だな!我も改めて共に歩むと約束しよう!」

 

 時雨が強い覚悟を示し、己の願いを宣言すると同時に、リュウジンと時雨の身体が白い光に包まれる。

 

テンコ「!?一体何が…」

 

時雨「いきましょう…リュウジンさん!」

 

リュウジン「ああ!いくぞ時雨!」

 

 時雨とリュウジンが共鳴して発した白色のオーラが二人の間に収束される。

 するとそこに新たに銀色を基調として白色の差し色が入った、通常のアヤダマと比べると小振りで起動スイッチに当たる“覚醒之円陣”の横に連結レーンのようなものが付いた“真打アヤダマ”が生み出される。

 

テンコ「アヤダマが生み出された…!?」

 

雪音「これは一体…何が起きて…!?」

 

《真打!》

 

《『真価覚醒!』》

 

「「変身!」」

 

《憑依装着!変化!

 

画竜点睛(がりょうてんせい)!龍神ヨロイ!真!』》

 

 時雨は真打アヤダマを起動すると、妖書ドライバーに装填されていた龍神アヤダマの上部に合体させる。

 そして、解放栞を引き下げ、表紙を閉じる。

 すると、時雨は一度龍神ヨロイへと変身した後、展開された白い雷模様の入った陣羽織のパーツが装着され、頭部には銀色の稲妻や龍神の髭のような形の追加装甲が装着され、複眼の色が銀色に変わる。

 時雨とリュウジンが到達した妖魔の新たなステージ…その名も龍神ヨロイ・真が降臨する。

 

妖魔「結末は…絶対にハッピーエンドで決まりです!」

 

テンコ「… 新しい姿になった…!いや、関係ないね。私が勝つよ!」

 

妖魔「…はっ!!」

 

テンコ「!?攻撃が…掻き消された…!?」

 

 テンコの放つ桃色の炎を、妖魔は手から放った疾風で防ぎ切る。

 

妖魔「この力は…もう完全に僕達のものです!はーっ!!」

 

テンコ「っ…!」

 

 テンコの攻撃を容易く防いだ妖魔は、水流や眩い光の波動を発射してテンコを追い詰めていく。

 

テンコ「なら…」

 

妖魔「消えた…でも、もう通用しません!はあっ!」 

 

テンコ「なっ…!」

 

 テンコは幻を生み出して妖魔を撹乱しようとするが、全方位への放電攻撃を行うことでテンコの本体を炙り出す。

 

テンコ「だったら…!」

 

妖魔「狐面の餓鬼…」

 

 追い詰められたテンコは複数体の餓鬼を呼び出し、幻で作った狐面を被せる。

 

妖魔「なら…」

 

リュウジン『我の力を使え!』

 

龍神之大砲剣(りゅうじんのたいほうけん)!》

 

テンコ「新たな武器…!」

 

 妖魔が手を伸ばすと、リュウジンの形をした思念体のオーラが飛び出し、妖気を纏ってその姿を金色と銀色を基調とした龍を模った大剣へと変える。

 峰に付いた龍の口は大砲の砲身となっている大剣と大砲一体型の武器・龍神之大砲剣が爆誕したのだった。

 

妖魔「はっ!ふっ!はあーっ!!」

 

 妖魔は大剣状態の龍神之大砲剣を振るって向かってくる餓鬼を斬り伏せていく。

 

《龍!》

読取装填(よみとりそうてん)!一柱!一撃必殺!》

 

妖魔「はああ…!はあーっ!!」

 

一柱(ひとはしら)斬撃!》

 

 妖魔は龍神之大砲剣の峰側の刀身の付け根に付けられた読取装置に龍アヤダマをスキャンし、引き金を引いて確定させる。

 そして、稲妻で出来た龍型のオーラを龍神之大砲剣に纏わせ、横一文字に斬り払うことで餓鬼を消し飛ばす。

 

テンコ「まだまだ…!」

 

《龍!》

《猫又!》

《読取装填!二柱!一撃必殺!》

 

妖魔「はあーっ!!」

 

二柱(ふたはしら)斬撃!》

 

 妖魔は龍神之大砲剣に龍アヤダマに加えて猫又アヤダマをスキャンさせると、稲妻を帯びた爪型の斬撃を飛ばして餓鬼達を殲滅する。

 

妖魔「はあっ!」

 

《龍!》

《猫又!》

《河童!》

《読取装填!三柱!一撃必殺!》

 

妖魔「はっ!!」

 

三柱(みはしら)斬撃!》

 

 妖魔は攻めの手を止めず、地面を凍らせることで餓鬼達を纏めて動けなくすると、龍神之大砲剣に龍アヤダマ、猫又アヤダマ、河童アヤダマをスキャンさせる。

 そして、稲妻を纏わせた胡瓜型のエネルギー刃を展開すると、二又に分かれさせて地面へ叩きつけ、広範囲の餓鬼を一掃する。

 

テンコ「だったらこれで…!はああ!」

 

妖魔「あの時の…!」

 

大妖狐「グォォォ…!」

 

 テンコは大量の狐面を集め、幻影巨獣・大妖狐を生み出す。

 

大妖狐「グオオ!!」

 

《大砲之刻!》

 

妖魔「はっ!!」

 

 大妖狐の放つ激しい桃色の炎に、妖魔は龍神之大砲剣の柄を根本から前へ45度折り曲げ、大砲状態へ変えると、そのまま砲撃で桃色の炎を迎え撃つ。

 

妖魔「はあああっ!!」

 

大妖狐「グォ!グゥ…グオオオン!」

 

 妖魔は激しい連続砲撃を大妖狐に浴びせることで大妖狐を追い詰めていく。

 

《龍!》

《猫又!》

《河童!》

《天狗!》

《読取装填!四柱!一撃必殺!》

 

妖魔「これで…決めます!はあっ!」

 

四柱(しはしら)砲撃!》

 

大妖狐「グギャアアッッ!!」

 

テンコ「くっ…きゃあっ!!」

 

 妖魔は龍神之大砲剣に龍アヤダマ、猫又アヤダマ、河童アヤダマ、天狗アヤダマをスキャンし、空中へ浮かび上がると、疾風と水流を帯び、更には白色のオーラを纏って加速する龍型のエネルギー砲を解き放ち、大妖狐を撃ち抜くと、その余波でテンコをも吹き飛ばす。

 

テンコ「っく…はあっ!」

 

妖魔「……」

 

テンコ「消えたっ!?」

 

妖魔「…こっちです!」

 

テンコ「!」

 

《大剣之刻!》

 

妖魔「はあっ!」

 

テンコ「うあっ!!」

 

 テンコは吹き飛ばされながらも、負けじと降り立った妖魔目掛けて桃色の炎を飛ばすが、桃色の炎が当たった瞬間、妖魔の身体は霧霞のように溶け消える。

 テンコが動揺したのと同時に、妖魔は背後から現れ、大剣状態に戻した龍神之大砲剣によってテンコを上空まで斬り飛ばす。

 

《一・撃・必・殺!》

 

妖魔「エピローグと…いきますよ!」

 

《『画竜剛撃!』》

 

妖魔「はああああ…はあーっっっ!!!」

 

テンコ「うっ…うう…っ」

 

妖魔「はあーッ!!!」

 

テンコ「あああああっ!!」

 

 妖魔は自身も旋風を纏って上空へと浮かび上がると、テンコの高度をすぐさま飛び越え、続け様に雷と風と水と氷と光とが混じり合って渦巻くエネルギーを纏わせた跳び蹴りをテンコに叩き込み、そのまま地面へと蹴り飛ばす。

 地面に叩き付けられたテンコは爆発を起こし、夢華の姿に戻る。

 

妖魔「…僕の勝ちです」

 

夢華「…まさか、土壇場でそんな力を手に入れるなんてね……。けど、私も譲れないからさ、悪いけど、往生際悪く足掻かせてもらうよ」

 

雪音「夢華さん…」

 

 夢華は多少ふらつきながらも立ち上がると、天狐アヤダマを用いてその場から消える。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

幽冥「いくぜ!」

 

《火車!》

《インストール!》

 

神羅「アシストさせてもらうよ!」

 

《第二段階解放》

《Judgment.》

 

 幽冥は火車アヤダマを起動すると、電書ドライバーへ装填し、神羅は赤黒いオーラで霊魂と四凶の動きを止める。

 

幽冥「これでも喰らえ!」

 

《火車!アヤダマバースト!》

 

幽冥「オラアアッ!!」

 

霊魂「……っ」

 

檮杌「グオオオン!」

 

饕餮「グルアア!」

 

渾沌「ウェアアっ!?」

 

窮奇「ひぎゃああっ!」

 

 幽冥は連続で電書ドライバーを操作すると、火炎の車輪型エネルギーを纏わせた右脚による跳び後ろ回し蹴りを放つことで霊魂と四凶達を纏めて蹴り飛ばす。

 

霊魂「……」

 

幽冥「まだやんのか…?」

 

霊魂「……」

 

神羅「撤退していく…もしかして晴河君が桃原さんを止めたのか!」

 

幽冥「…へっ、やるじゃねえか…妖魔」

 

 霊魂達は大きく怯むも、まだ戦う姿勢を見せる。しかし、突然踵を返してそれぞれ去っていく。

 その様子を見た神羅は時雨が夢華を止めたことを察し、幽冥はそれを聞いて時雨への賞賛の言葉を送る。

 

幽冥「俺も負けてられねぇ…!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

都黎「…何?桃原夢華が負けた?」

 

瑠璃子「うん。さっき連絡来たよ」

 

凪桜「!」

 

玲「何でも妖魔が龍神ヨロイの力を使いこなせるようになったんだって」

 

凪桜「……」(そっか、流石は時雨先輩…。良かった)

 

 世模継学院高校の生徒会室にて、瑠璃子と玲が妖魔のパワーアップの情報を伝える。

 それを側で聞きながら、凪桜は内心安堵する。

 

都黎「…そうか。まあ良い。それなら最優先で潰すまで…!」

 

凪桜「……」(…凄いな、時雨先輩は。逃げ出さずに戦う道を選んだんだ。…けど、そうだ。だからこそ、私は時雨先輩を選んだんだっけ)

 

時雨『暁さんは、一生懸命真面目にやるべきことをやってるんです』

 

凪桜(時雨先輩の笑顔は…私が守る。それはせめて、巻き込んでしまった私の…果たすべき責任だから)

 

 かつての時雨との記憶に思いを馳せ、凪桜は決意を新たにするのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

時雨「凪桜ちゃんを迎えに行く」

 

賢昇「…俺は、強くなる!誰かを虐げる悪意を…この手でぶっ潰すために!」

 

凪桜「時雨先輩。私達が初めて会った時のこと、覚えてる?」

 

時雨と凪桜の出会いの物語!

 

時雨「ワンダーファンタジアっていうアニメのグッズなんだ」

 

凪桜「ハッピー…エンド……」

 

都黎「凪桜は俺達の仲間だ!」

 

大切な仲間を取り戻せ!

 

時雨「凪桜ちゃんの笑顔だって…叶えてみせる」

 

第弍拾伍話「先輩後輩の道のり」

 

日曜午後9時!




第二十四話をご覧いただきありがとうございます。

今回は妖魔の更なるパワーアップフォームである龍神ヨロイ・真が登場となりました。
龍神ヨロイ・真の登場にあたって、時雨は自分自身を認めることが必要だったのだと気づきましたが…それこそが今回の話を通しての一番大事な部分となっております。

これまでの時雨は優しく謙虚、それでいて芯のある主人公として描いてきました。そんな人柄から周りの人達を惹きつけてきた一方で、本人が少しずつ抱いていたコンプレックスこそが、その足を引っ張ってしまっていた…ということになります。
元々、時雨はそこまで自己評価が高いわけではありません。特別低いというわけではないにせよ、自分は平凡な普通の高校生であると考えています。そして、彼の周りにいる他の仮面ライダー達や、それ以外の仲間達はそれぞれ凄いところとかがあって、そんな彼らを頼もしく思う一方で、自分はそこまでの人間ではないと考えていたということですね。
故にこそ、先代は偉大な人物だったという話を聞いて動揺してしまい、自分じゃ力不足なんじゃないかという不安に繋がったというわけです。

まあ、これって別に現実にもある話だと思うんですよね。ふとした時に、周りの人達が自分より優れて見えて、自信をなくしてしまうなんてことは、よっぽど自信過剰な人でもない限り誰にでも起こりうるものだと思います。だからこそ、他人と自分を比べ過ぎるのではなく、他人は他人、そして自分は自分だと受け入れ、自分自身を認めていいんだと、そういうことを伝えたかったというのはあります。

そんなわけで爆誕した龍神ヨロイ・真。その今後の活躍もぜひお楽しみに!

さて、続いては変身ポーズ講習会のコーナーです。
今週は2号ライダーの霊魂です!(龍神ヨロイ・真?アレ両手でアヤダマ持ってくっつける動作が増えるくらいであんまり変わんないので…)
①アヤダマを右手で持って左肩の前辺りに持ってきます。(この時、アヤダマの持ち方は時雨と共通ですが、上部が左側を向く=人差し指と中指の間が左側に向くように持つのがポイントです)
② 親指で底にあるスイッチを押してアヤダマを起動します。
③ アヤダマを妖書ドライバーに上からセットします。
④セットした動きのままではなく、一瞬止まってから右手の手刀で栞を引き下げます。
⑤右手で表紙に触れつつ、左肘を前に突き出すように左手を顔の右横まで持ってきます。(この時、メリハリのある動きをすると◎です)
⑥両腕を十字状に組んだ後、ボクシングの構えを取ります。

…という手順となっております!お付き合いいただきありがとうございます!
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