仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第弍拾陸話「雪魄氷姿!それが彼女の在り方!」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

凪桜を連れ戻すべく世模継学院高校へと向かった時雨達!

 

そこで時雨と凪桜は出会いについて思い出し、凪桜を行かせまいとする都黎と時雨の戦いが勃発する!

 

無事に勝利した時雨は凪桜と共に照羅巣高校へと帰るのだった。

…そして、もう一人の助けなければならない仲間は…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

ガンッ!

 

双葉「!?」

 

都黎「晴河時雨…奴を必ず倒して…凪桜を元に戻す…!」

 

 世模継学院高校の生徒会室で、柱の一本を殴り付けた都黎は、時雨への怒りを露わにする。

 

夢華「だから言ったじゃん、今の妖魔は強いよーって」

 

都黎「黙れ。…認めるものか…あんな幸せにのうのうと生きて来た奴より…ずっと己を鍛え続けて来た俺が弱いだと…?ありえない…!」

 

夢華「…ま、精々頑張ればいんじゃない?じゃーねー」

 

 時雨への怒りに燃える都黎に対し、夢華は飽くまで冷静に諫めるも、聞く耳持たずだと判断すると激励だけしてその場を去っていくのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第弍拾陸話「雪魄氷姿!それが彼女の在り方!」

 

夜御哉「凪桜君が持って来たこのアヤダマ…どうやら“アシュラ”という強力なモノノケの力を宿した代物のようだね」

 

凪桜「アシュラ…」

 

夜御哉「だが今は殆ど力が失われているな…まあ、どうにか使えないか調べてみよう」

 

時雨「ありがとうございます!」

 

 謎のアヤダマの正体はアシュラと呼ばれるモノノケの力を宿したものだと聞いた時雨達は、そのまま夜御哉の元へ預けることにする。

 

夜御哉「ああ、そうそう、君達に良いニュースがあるんだ」

 

時雨「何でしょうか?」

 

夜御哉「君が真黒君の遺したデータを持って来てくれたお陰で、汰月君に掛けられた術の解除方法が分かったんだよ」

 

時雨「本当ですか!?」

 

夜御哉「ああ」

 

 夜御哉は汰月の洗脳を解く方法。見付けたのだと語り、時雨達に説明する。

 

夜御哉「まず、彼と感情を司るアヤダマの繋がりを断ち切る必要がある。故に、聖なる力を宿す鳳凰アヤダマと麒麟アヤダマの力を組み合わせた上で龍神の力で強化し、聖なる力で封印する」

 

時雨「成る程…」

 

夜御哉「そして、それと同時に汰月君が使用していた大蛇アヤダマを用いて彼の精神に作用させれば…」

 

時雨「日島君は元に戻るんですか?」

 

夜御哉「ああ。だが、そのためには彼の精神に働きかける存在が必要。彼のアヤダマはきっかけに過ぎない。彼にとって身近な存在、心動く存在が語りかけることが大事なんだ。ああ、後は妖之書も近くまで持っていくと良い。加護の力が彼に強く作用し始めるはずだからね」

 

凪桜「なら、津久代の治安維持委員会の皆を頼ろう」

 

時雨「そうだね。どのみち日島君のことを助けるなら相談する必要があるだろうし」

 

 汰月を助ける方法を説明する夜御哉。それを聞いた時雨と凪桜は津久代の仲間達なら汰月を救えるかもしれないと考える。

 

夜御哉「後は精神干渉が可能なモノノケの力も使いたいが…」

 

時雨「精神干渉…」

 

夜御哉「まあ、俺みたいに化かしたり、化けたりするモノノケなら良いから、俺が作り上げた術式を使っても良いんだが…」

 

凪桜「何か問題があるの?」

 

夜御哉「うむ。もう長いことそういった術を組んでないから上手く出来るか不安だな…と」

 

時雨「な、成る程…」

 

「それなら、一つ案があります」

 

 夜御哉の言う精神干渉能力のあるモノノケ、について頭を悩ませる時雨達だったが、そこに凛とした声が響く。

 そして入って来たのは雪音だった。

 

時雨「雪音ちゃん!?」

 

凪桜「何故ここに…?」

 

雪音「まあ、順を追って話しますので」

 

夜御哉「ふむ。それで案とは?」

 

雪音「夢華さんの持つ天狐アヤダマを使うのです」

 

時雨「天狐アヤダマ…そうか、確かにあれなら幻を見せる能力を使える」

 

凪桜「ということは副会長を倒すということ?」

 

雪音「ええ。そろそろお灸を据えてあげないといけない頃合いだと思っていましたから。例え感情を操られたり、増幅させられたりしたとしても…だからこそ、幼馴染をそこから解放せねばならない。…そうでしょう?」

 

時雨「そう、だね。よし!なら僕も頑張るよ!」

 

雪音「ああ、時雨君は手を出さないでください」

 

時雨「えっ?」

 

雪音「私が解決いたします」

 

凪桜「…どういうこと?」

 

 現れた雪音は精神干渉能力に天狐アヤダマを使うことを提案し、そのために夢華を倒すことを宣言する。

 しかも、時雨=妖魔の力を借りず、自分で解決するのだと言う雪音に、時雨と凪桜は困惑する。

 

雪音「では、ここからが本日の本題ですね。教授、例の物、完成したのですよね?」

 

夜御哉「ああ、そういうことか。これだな」

 

時雨「これって…電書ドライバー…!?」

 

凪桜「三基目のドライバーに…これは電子アヤダマ…?」

 

雪音「ええ。こちらは“ユキオンナ電子アヤダマ”です」

 

時雨「ユキオンナ…って」

 

雪音「私の中に流れるユキオンナの力を抽出し、電子アヤダマにしたものです。これを使えば、私も戦えますから」

 

時雨「雪音ちゃん…」

 

雪音「…これは、私と彼女の問題でもあるので…どうしても私がこの手で決着をつけたいのです。…ダメ、でしょうか」

 

 雪音は夜御哉の用意した電書ドライバーとユキオンナ電子アヤダマを手に取ると、自身の覚悟を語り、その上で時雨に問う。

 

時雨「ダメなんかじゃないよ。桃原さんが雪音ちゃんにとって大切な友達なのは分かってるし…雪音ちゃんがその道を選ぶのなら、僕は尊重したいな。…雪音ちゃんなら、きっと桃原さんを止められるよ」

 

凪桜「私も、雪音先輩がその手で決着を付けたいと言うのなら…応援したい」

 

雪音「お二人とも、ありがとうございます」

 

 時雨と凪桜は雪音の考えを尊重し、応援することを選ぶと、雪音も感謝を告げる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

咲穂「では、雪音さんが桃原さんから天狐アヤダマを入手し、それを用いて日島君を助け出す…ということですね」

 

雪音「そうですね」

 

調「確かにそれなら照羅巣と津久代を戻せるから、この戦いも止められますね!」

 

時雨「うん。懸念すべきは佐乃緒だけど、降谷君に相談したら『任せとけ!』って言ってたから、何か考えがあるみたい」

 

凪桜「佐乃緒のあの生徒会長も感情を弄ばれてるのかもしれないけど、そんな簡単に治るのかな…?」

 

時雨「うーん…確かに、どうなんだろうね…」

 

 作戦を共有しつつ、賢昇が取る策とは何なのかについて考える時雨達。

 一方で当の賢昇はバスターズのアジトであちこちに絆創膏を貼り付けたボロボロの姿で大喜びしていた。

 

賢昇「よしっ、お前等でかしたぞ!っつつ…」

 

圭佑「だ、大丈夫っすか!?」

 

結佳「そんな怪我ではしゃぐからだよ…」

 

千瀬「そーそー、てかそれ、戦えんの?」

 

賢昇「だ、大丈夫だ。…けど、よくやってくれた。これであのバカ生徒会長に冷や水をかけてやれるぜ…!」

 

 ボロボロの状況で騒いで痛める賢昇の様に圭佑は心配し、残り二人は呆れる。

 しかし、そんなことも気にせず、賢昇は仲間を褒める。

 

千瀬「にしても意外だねぇ、あの生徒会長サマの弱点がこんなとこにあったなんて」

 

結佳「…そうね。意外といえば意外…」

 

 見付かった新情報について意外さを見せる千瀬と結佳に対し、賢昇は今後の状況について尋ねる。

 

賢昇「まあ、取り敢えずは手配出来そうなんだろう?」

 

千瀬「勿論!ね?圭佑君」

 

圭佑「はい!お任せください!」

 

結佳「ま、そんなわけだからさ…思いっきりやっちゃおうか」

 

「「おー!」」

 

賢昇「…だな。反撃開始だ!」

 

結佳「大丈夫、あんたんとこの仮面ライダーも、助けられるはずだよ」

 

星海「そうですね。…ありがとうございます」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

調「あっ、副会長…動き出したみたいです!」

 

時雨「…雪音ちゃん」

 

雪音「ええ。行きましょう。このくだらない争いに、決着を付けるために」

 

 ノートパソコンを覗き込んだ調が告げたのは、夢華が動き出したという情報。

 それを聞いた時雨と雪音は決めていた通り動き出すと、ツクモブースターで現場へ急行する。

 

夢華「あ、来たね」

 

 貴真賀地区に現れた夢華と、夢華の率いる多数のオンミョウトルーパー(黄)達がオンミョウトルーパー(青)やオンミョウトルーパー(赤)達と戦闘を繰り広げていた。

 そこへ駆け付けたのはツクモブースターに乗った時雨と雪音。その姿を確認し、夢華はニマッと口角を吊り上げる。

 

時雨「…この争いは…僕が止める!」

 

《龍!》

 

《装填!》

 

時雨「変身!」

 

《憑依装着!変化!

 

登竜大成!龍ヨロイ!》

 

妖魔「はあああっ!!」

 

 雪音を降ろした後、時雨はツクモブースターに乗ったまま再度発進させ、その状態で妖魔 龍ヨロイへ変身する。

 

夢華「させないよ」

 

雪音「それは…こちらの台詞です」

 

夢華「雪ち。何のつもり?」

 

雪音「あなたを止めに来ました」

 

夢華「?何の冗談?そんなこと出来ないって、雪ちが一番解ってるでしょ?」

 

 オンミョウトルーパー達の戦いを止めようとする妖魔の妨害に走ろうとする夢華だったが、その前に立ち塞がるのは雪音。

 

雪音「そう、かもしれませんね。今までの私ならただ見てるだけだったかもしれません。ですが…私も、私の歩む道を自分で進むと決めましたから」

 

夢華「!それは…ドライバー…!?」

 

《ユキオンナ!》

 

雪音「……夢華さん。幼馴染として、こちらも覚悟と全力を以て、あなたを止めます!」

 

《インストール!》

 

雪音「変身」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

凍結(とうけつ)Blizzard(ブリザード)!ユキオンナヨロイ!》

 

夢華「…雪ちが…仮面ライダーに…!?」

 

氷雪「私は仮面ライダー氷雪(ひょうせつ)…さあ、いきますよ…!」

 

 雪音はユキオンナ電子アヤダマを電書ドライバーに装填し、操作する。

 すると、その身を猛烈な吹雪が包み込み、その身体を銀色の素体が覆う。そして氷が変化して装甲を形作ると、そのまま各所へと装着されていく。

 そうして姿を現したのは、氷や雪を模した模様の刻まれた水色の装甲が着物のようにも見える形を作っており、頭部も水色の頭髪を持つ女性の意匠を持ったものとなり、複眼は桃色に輝く戦士…仮面ライダー氷雪 ユキオンナヨロイだった。

 

夢華「……っ!」

 

《天狐!》

 

夢華「だったら!力で分からせてあげるよ…!」

 

《天狐…》

 

 想定外の雪音の変身に動揺した夢華は、天狐アヤダマを用いてテンコへと変貌する。

 

テンコ「はああっ!!」

 

氷雪「…はっ!」

 

テンコ「!足が…っ!」

 

氷雪「あなたの攻撃パターンは把握してますから」

 

テンコ「成る程…だから晴っちとの戦いについて来たわけ…!」

 

 テンコは幻を用いて分身しつつ一気に距離を詰めようとするが、氷雪が放った冷気によって周り全てを凍てつかされ、強制的に身動きを止められる。

 

《アヤカシレーザーアタッカー!》

 

氷雪「はああっ!」

 

テンコ「中々えげつないやり方…するね!」

 

 氷雪は身動きを取れなくなったテンコに対し、レーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーによる射撃で追撃しようとするが、テンコは桃色の炎を足元にぶつけることで氷を砕き、攻撃を回避する。

 

テンコ「…なら、こっちも全力で叩き潰してあげる」

 

氷雪「…上等、というやつです!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

妖魔「はああっ!!」

 

オンミョウY「うああっ!」

 

オンミョウR「ぬあっ!」

 

オンミョウB「なんだぁっ!?」

 

 妖魔はツクモブースターに乗った状態でブラストモードのブンプクブラストフォンを連射することでオンミョウトルーパー達を怯ませる。

 

オンミョウR「このっ…邪魔だああ!」

 

妖魔「っしまっ…!」

 

幽冥「はあっ!…精が出るな」

 

妖魔「降谷君!」

 

幽冥「…いくぞ!」

 

妖魔「はい!」

 

 オンミョウトルーパーの攻撃を受けそうになった妖魔だったが、そこに幽冥 ギュウキヨロイが駆け付けてレーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカーで斬り払うことで防ぎ、ことなきを得る。

 

幽冥「しっかし…キリねえな…!」

 

妖魔「そうですね…。そうだ!」

 

幽冥「なんか思い付いたか?」

 

妖魔「はい。確か、皆さんヌラリヒョンの感情操作を受けてるはずなので…!」

 

《聖獣之書!》

《麒麟!》

 

《聖獣装填!》

 

《聖獣装着!変化!

 

聖音泰平!麒麟ヨロイ!》

 

妖魔「これなら…もしかしたら!」

 

 何かを思い付いた妖魔は麒麟ヨロイへと姿を変え、妖之流星刀に麒麟アヤダマを装填する。

 

《装填!超回転!一・撃・必・殺!》

 

幽冥「成る程な!」

 

《聖音流星閃撃!》

 

妖魔「はああっ!!」

 

 妖魔が妖之流星刀を振るうと、召喚された麒麟が嗎を上げ、その場にいたオンミョウトルーパー達を包み込む。

 すると、オンミョウトルーパー達は一気に落ち着き、自ら変身を解く。

 

「あれ、僕どうしてこんなこと…」

 

「私何やって…?」

 

「俺、何であんな怒ってたんだ…?」

 

幽冥「おお!こいつは良いな!」

 

妖魔「根本的な解決にはなってないですが、鎮圧には持ってこい…ですね」

 

一茶「余計な真似をされると困るなぁ」

 

汰月「……」

 

都黎「晴河…時雨…っ!」

 

 諍いを鎮めた妖魔と幽冥の前に現れたのはヘラヘラとした態度の一茶、無表情の汰月、そして妖魔への憎悪を剥き出しにした都黎の三人だった。

 

幽冥「お前等…!」

 

妖魔「!」

 

《ヤギョウ!》

 

《ミズチ!》

 

《着火!》

 

《八咫烏!》

《餓者髑髏!》

 

《インストール!》》

 

「「「変身」」」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!》》

 

《焼却装着!ヘンゲ…》

 

《常闇Darkness…!ヤギョウヨロイ!》

 

《激流Splash!ミズチヨロイ!》

 

《黒翼!白骨!仮面ライダー禍炎!》

 

 三人はそれぞれ暗夜 ヤギョウヨロイ、霊魂 ミズチヨロイ、禍炎 八咫烏餓者髑髏ヨロイへと変身すると、妖魔と幽冥目掛け襲いかかる。

 

禍炎「ハハハ…!」

 

霊魂「……」

 

幽冥「チッ…!面倒なことになったな!」

 

妖魔「はっ!くっ…!」

 

暗夜「晴河時雨…!凪桜を返せッ!!」

 

妖魔「っああ!…絶対にお断りです!凪桜ちゃんは、道具じゃないんです!彼女自身の意思で、道を決めるべきなんです!…そして、今の凪桜ちゃんの意思は、僕達と同じです!この争いを終わらせたい、この街の平和を守りたい!そう思って、僕達と共に戦う道を選んでくれたんです…!」

 

《龍神!》《真打!》

《『真価覚醒!』》

 

《装填!》

 

《憑依装着!変化!

 

『画竜点睛!龍神ヨロイ!真!』》

 

 幽冥は禍炎の放つ拳や霊魂のレーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーによる銃撃を斬り払うことで対処しながら状況をぼやき、一方妖魔は暗夜から連続斬撃を喰らいつつ凪桜の返還を求められるが、凪桜は道具ではないと猛反発し、龍神ヨロイ・真へとパワーアップする。

 

妖魔「はあっ!!」

 

暗夜「ぐあっ!」

 

禍炎「何っ!?ぐっ!」

 

霊魂「っ……」

 

幽冥「お!ナイスアシスト!」

 

 妖魔は大砲状態の龍神之大砲剣からの砲撃で暗夜を吹き飛ばすと、禍炎と霊魂にぶつけることで幽冥を補助する。

 

妖魔「いきましょう!」

 

幽冥「おう!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

氷雪「はっ!」

 

テンコ「おっと…」

 

氷雪「はあああっ!!」

 

 氷雪は冷気を帯びたビーム弾を連射するが、テンコは軽い身のこなしで全てを避け切る。

 

テンコ「はあっ!!」

 

氷雪「っ…!」

 

テンコ「言っとくけどさ、雪ちは本気で私に勝てるとでも思ってんの?」

 

氷雪「…どういう意味ですか?」

 

テンコ「運動は並程度かそれ以下の雪ちと、運動神経抜群の私、どっちが強いかって話…だよ!」

 

氷雪「きゃっ!」

 

 接近したテンコは拳を叩き込み、氷雪はそれを何とか氷の盾を生み出して受け止めるが、テンコは更に桃色の炎を至近距離から放つことで氷雪を追い詰める。

 

テンコ「…ほらね。雪ちじゃ私には勝てない。だから大人しく降参するのをお勧めするよ」

 

氷雪「嫌です…!」

 

テンコ「え?」

 

氷雪「嫌だと、言ったのです!」

 

テンコ「〜〜っ、何でさ!良い?雪ちは弱いの!仮面ライダーになろうと何だろうと、雪ちはどうせ弱いんだから、頑張る意味なんてないじゃん!」

 

 テンコの桃色の炎を受けて地面を転がる氷雪に、テンコは自分には勝てないのだから降参しろと促すが、それを氷雪が拒むと、テンコは苛立ったように声を荒げる。

 

氷雪「……確かに、私は弱いかもしれないです。戦いなんて、今までしたことだってありませんし。ですが!信頼出来る仲間が戦っているのなら…私にも戦う力があるのなら…何より!親友が道を踏み外そうとしているのなら!何もしないで見ているだけなんて…耐えられません!」

 

テンコ「…っ…それじゃあ……意味がないんだよ」

 

氷雪「意味?」

 

テンコ「雪ちは、昔からザ・お嬢様って感じで、優しくて少し臆病で、そんな子だった。けど、雪ちは…人とモノノケのハーフだから…人と違うことをずっと気にしてたし、正体がバレそうになった相手からは離れてた」

 

氷雪「それは…」

 

テンコ「だから!幼馴染の私がやらなきゃいけないんだよ!モノノケが支配する世界を…作り出すために…!」

 

氷雪「それが夢華さんの、本当の目的…」

 

テンコ「そう。これはそのための布石に過ぎない。……人間は同じ人間同士でも争い続ける、違うものを嫌う。そんな環境で己を偽って、雪ちが幸せになんてなれるわけがない。だから….人間なんかよりよっぽど多様で、寛容なモノノケが世界を支配すれば…雪ちだって幸せになれるはず。……雪ちは私なんかと違って良い子だから…そんな子が幸せになれないなんて…おかしいから…!」

 

氷雪「……勝手に私の幸せを決めないでください」

 

テンコ「…!」

 

 氷雪とテンコは互いに本音をぶつけ合う中で、テンコの主張に対し、氷雪は凛とした態度で言葉を紡ぐ。

 

氷雪「……確かに、私は半人半妖の存在。それ故に困ったことも、辛かったことも幾度となくあります。ですが…それでも、私は私が不幸なのだと思ったことはありません」

 

テンコ「!」

 

氷雪「私を信じてくれる仲間がいて、同じ夢を見れる友がいて…そして、それほどまでに私を想ってくれる幼馴染がいる。これで不幸などと言ってしまったら、バチが当たります」

 

テンコ「雪…ち…」

 

氷雪「…私の目標は…人とモノノケの“共存”!どちらか一方が支配することじゃありません。それに…いくら私が幸せになったとしても…そのためにあなたが罪を犯すなんて、そんなことあってはいけないんです」

 

テンコ「私は…私は…うっ…あああああっ!!」

 

氷雪「!夢華さん!?」

 

 氷雪の想いを聞いたテンコは突然苦しみ出すと、氷雪目掛けて襲いかかる。

 

テンコ「うあああっ!!」

 

氷雪「夢華さん!…感情の暴走…ヌラリヒョンの術の副作用、と言ったところですかね。許しませんよヌラリヒョン…私の幼馴染を利用した罪…必ず償ってもらいます!…でもその前に…まずは夢華さんを救います!」

 

テンコ「ああああっ!!」

 

氷雪「っ…凄い力ですね…!」

 

 テンコは暴走状態となり桃色の炎をあちこちに撃ち出したり、爪や拳を滅茶苦茶に振るって暴れ回る。

 対して氷雪はアヤカシレーザーアタッカーで攻撃を防ぐと、隙を探る。

 

《インストール!》

 

氷雪「…っ…はっ!……!今です!!」

 

《スペシャルムーブ!》

 

氷雪「大人しくしててくださいね!」

 

《凍結シュートフィニッシュ!》

 

テンコ「っあああ…うぅ…!」

 

 氷雪はアヤカシレーザーアタッカーにユキオンナ電子アヤダマを装填すると、氷柱の弾丸を大量に発射することでテンコを牽制し、レバーを引いてエネルギーを溜め込むと、アヤカシレーザーアタッカーから猛吹雪を放ってテンコを凍つかせる。

 

氷雪「さて…そろそろ終わりとしましょう」

 

《スペシャルムーブ!》

 

《凍結ストライクフィニッシュ!》

 

氷雪「はああ…っ!はあーっ!…はっ!はあっ!はーっ!!」

 

テンコ「っ!あああああ!!!」

 

 氷雪は地面を凍り付かせ、そのままその上を滑るように移動すると、テンコの手前でスピンジャンプし、トリプルアクセルの要領で冷気を帯びた右脚による三連続の回し蹴りを浴びせる。

 その攻撃を受けた夢華は元の姿へと戻り、その傍に天狐アヤダマが転がる。

 

夢華「雪…ち……」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

妖魔「はあああっ!!」

 

幽冥「オラアアッ!!」

 

暗夜「くっ…」

 

禍炎「この勢い…面倒だね」

 

霊魂「…っ…」

 

 妖魔と幽冥の猛攻により、暗夜、霊魂、禍炎の三人は押されていく。

 

幽冥「決めるぞ!」

 

妖魔「はい!」

 

《スペシャルムーブ!》

 

《猛火ストライクフィニッシュ!》

 

幽冥「くらえ!爆裂軌道キーック!!」

 

暗夜「チッ…!」

 

禍炎「おっと…!」

 

霊魂「……」

 

妖魔「おお…凄いです!」

 

 幽冥はバクレツブースターから激しい炎を吹き出しながら跳び蹴りを放つが、今までの同じ技と違い、その軌道を変えつつ連続で蹴りを叩き込むことで暗夜、禍炎、霊魂を連続で攻撃することに成功する。

 

幽冥「決めろ!」

 

妖魔「はい!」

 

《龍神!》《真打!》

《読取装填!神域!一撃必殺!》

 

妖魔「エピローグと…いきますよ!」

 

《神域斬撃!》

 

妖魔「はあああっ!!」

 

暗夜「くっ…」

 

禍炎「これは…!」

 

霊魂「……」

 

「「ぐあああっ!!」」

 

霊魂「……ッ!」

 

 暗夜、霊魂、禍炎の三人を近くに集め、地面を転がりながら着地した幽冥の合図を受けた妖魔は龍神之大砲剣に金色と銀色のオーラを纏わせて大きく横薙ぎに振るい、金色と銀色の龍を模したオーラを纏った斬撃を放つことで三人を纏めて斬り払い、変身解除に追い込む。

 

都黎「……また負けただと…!?あり得ない…っ!」

 

一茶「面倒な力だな…やれやれ、ここは…撤退するかぁ…!」

 

汰月「……」

 

幽冥「待ちやがれ!」

 

妖魔「…逃げられましたね」

 

 変身解除された都黎は愕然とし、一茶は煩わしそうに妖魔の強さを評すると、黒い羽根を舞い散らせて姿を消す。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雪音「……夢華さん」

 

夢華「……」

 

雪音「私…その…」

 

夢華「ううん。分かってる。…ここまで来たら、流石に分かるよ」

 

 地面にへたり込む夢華に、変身を解いた雪音が歩み寄り、心配の声を上げる。

 

夢華「……私は、結局のところ、雪ちのことを何も分かってなかったんだね。……私なんかが守ろうとしなくても、自分の足で立って、この世界の理不尽に立ち向かえる、その強さを持ってたんだね。……馬鹿だな、私…」

 

雪音「そんなこと、言わないでください」

 

夢華「!」

 

雪音「確かに、あなたは間違えました。ですがそれは…ヌラリヒョンの用いた妖術の所為であなたの願いが歪められ、暴走させられたからです。…私は信じていますよ?きっと夢華さんは、純粋に私を心配して、私のためを思って世界を変えていこうとしていたのだと。ただ、その思いだけが先走らされて、焦らされて、その結果間違った道を歩まされてしまった…それだけのことです。それに…ある意味ではこれは、私が生徒会長となる道を選んだから起きた悲劇でもありますから…ですから、ごめんなさい」

 

 自嘲の言葉を重ねる夢華に、雪音は悪いのは夢華ではなく、その想いを弄んだヌラリヒョンだと語ると、自分の立場がこの状況を招いたとして謝罪する。

 

夢華「謝んないでよ。…雪ちは何も悪くないって」

 

雪音「…なら、夢華さんも謝らないでください。それと、自分を責めるのもナシです」

 

夢華「それは…」

 

雪音「間違えてしまったのなら…やり直していけば良いのです。迷惑をかけた分、人の力になりましょう。私も、手伝いますから」

 

夢華「…雪ち……。ありがとう」

 

雪音「どういたしまして」

 

 夢華は雪音の言葉を受け止めると、抱き締めつつ感謝の言葉を述べ、雪音はそれを微笑みながら受け入れる。

 

時雨「雪音ちゃん!桃原さん!上手くいったみたいだね」

 

雪音「時雨君。ええ。バッチリですよ」

 

 幼馴染の二人が仲直りを果たした後、時雨が駆け付けると、雪音は回収した天狐アヤダマを見せて作戦成功を伝える。

 

夢華「えっとその…晴っち」

 

時雨「はい?」

 

夢華「……今更、なんだけどさ……その…色々ごめんね。ご迷惑おかけしました…!」

 

時雨「僕はもう気にしてませんよ。ヌラリヒョンの術のせいだと分かってますし。それよりも元に戻って良かったです」

 

夢華「…うん。やっぱり晴っちも優しいね。雪ちが気に入るわけだよ」

 

雪音「それは今関係ありません」

 

夢華「えへへ、そうだね。…雪ち、晴っち。私…漸く目が覚めたよ。遅くなっちゃったけど…二人に全力で協力するから!この争いを止めるのにも…人とモノノケの共存の夢にも」

 

「「!」」

 

雪音「い、良いんですか?」

 

夢華「勿論。それが晴っちの目指す理想のハッピーエンド、なんでしょ?」

 

時雨「…はい!」

 

夢華「なら、私にも見せてよ。最高のハッピーエンドを」

 

時雨「任せてください。絶対に叶えてみせます!」

 

夢華「お、良い返事。…じゃあ、取り敢えず照羅巣高校へ帰ろっか」

 

雪音「そうしましょうか」

 

時雨「ですね」

 

 夢華は改めて時雨を認め、時雨と雪音の目標に協力すると告げ、絆を結んだ三人は照羅巣高校(帰るべき場所)へと向かっていく。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

都黎「…申し訳ございません。雹介様。…またしても妖魔に勝つことが出来ませんでした」

 

雹介「ふむ…あの程度の者に負けるとは…君の力はその程度だったのかな?」

 

都黎「そんなことは…!」

 

雹介「なら結果を出したまえ。…とはいえ、ここまでで必要な材料は揃った。この争いを生み出した目的は達成されたのだよ。見たまえ…これが完成せし悪意の化身。呪いの怪物…その名も、両面宿儺(りょうめんすくな)…さ」

 

 そう言って雹介が手を翳すと、その先に蠢くドス黒い悪意の塊が現れ、やがてその姿を表す。

 黒色を基調とした体躯に、まるで二人の人間が横並びに合体させられたかのような歪な姿。双頭の右側は怒り狂った形相を、左側は悲しみ泣き叫ぶ形相をしており、右半身側の左手と左半身側の右手とが不気味に絡まり合い印を組んだような形を作る、まさに怪物と呼ぶに相応しい存在…両面宿儺が顕現する。

 

都黎「これが…!」

 

雹介「失態を挽回したければ己が力で妖魔に勝ち抜きたまえ。もはや世模継でなくてはならない理由は消えたんだ。自分達の“価値”を示したまえ」

 

都黎「……!」

 

 悪意の権化とも言える両面宿儺を前に気圧される都黎だったが、雹介から冷たく突き放され、その瞳に憎悪を燃やすのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

夜御哉「“三面(さんめん)ドライバー”だ」

 

時雨「日島君の心を…取り戻す!」

 

賢昇「妖魔!霊魂を助けんだろ!」

 

星海「日島さんを…助けましょう!」

 

汰月の洗脳を解くための作戦開始!

 

賢昇「いくぞ!…時雨、汰月!」

 

汰月「いこう、時雨、賢昇」

 

時雨「僕達三人でなら…必ず勝てる!」

 

凪桜「時雨先輩達が…一つに…」

 

三人の絆が…奇跡を起こす!

 

「「「合体してるー!?」」」

 

第弍拾漆話「友情の三者団結!」

 

日曜午後9時!




第二十六話をご覧いただきありがとうございます!
さて、今回はいよいよ雪音が仮面ライダー氷雪として参戦した回となります!
親友を止めるべく自分自身が戦うと決めた雪音の決意や覚悟が伝わっていたら嬉しいです。
そして、タイトルの雪魄氷姿とは高潔で潔白な人物のこと。言葉に使われる雪や氷という字とユキオンナである雪音とのシナジーもさることながら、その意味合いも雪音との親和性が高かったため、こうして取り入れさせていただきました。

さて、来週は本家様の方は放送休止のようなのですが、例年にないイベントによるもので私の方では想定外だったこともあり、スケジュールの変更が効かないので、来週も通常通り投稿いたします。

ラストに登場した両面宿儺については呪術廻戦というよりはその元ネタになった洒落怖のリョウメンスクナから着想を得た感じになります。
次回登場の阿修羅ヨロイとの対比となっておりますので、今後の両者の対決にも乞うご期待です!

そして最後に今週の変身ポーズ講座は今回登場の氷雪です!
本来は暗夜が4号ポジ(禍炎は番外)なのですが、折角の氷雪登場回ですからね。
①電子アヤダマを右手で持って顔の少し下辺りに持ってきて、左手を右手首に添えます(持ち方は時雨達とは異なり、電子アヤダマは先端部分がない球体に近い形状となっているため、親指を底のスイッチに掛けつつ、残りの4本で軽く包むようにして持つイメージ)。
②電子アヤダマを起動したら両手で電子アヤダマを持って電書ドライバーに装填します。
③ふわりと両腕を振って、左手を右頬に添えて小首を傾げます(左手は時雨の変身ポーズと同じように手のひらを前に向ける)。
右手は電書ドライバーの画面右側の部分に触れさせます。
⑤変身!の掛け声をあげて右手で電書ドライバーの画面右側の部分を左側に一度動かしてから、再度右側に戻します。
⑥祈るように手を組みます。

…という手順となっております!お付き合いいただきありがとうございます!
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