仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第四章「イザナミ編」
第弐拾玖話「頭脳明晰な彼女の秘めた夢」


 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

時雨は仲間達と協力して学園全体の争いを止めるべく奮闘する!

 

そして、その末に生徒達の洗脳を解き、両面宿儺を撃破!学園抗争を終結させることに成功するのだった!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

…昔から、私は臆病だった。

何をするにも打算が付き纏い、誰とも深い交流が出来なかった。

 

「咲穂って頭良いよね〜」

 

咲穂「大したことないですよ…」

 

だから、私は本質的に独りだった。人と理解し合えなかった。

そして、本当の私を、表面だけでない私を見てくれる人は少なかった。

 

「霞流さん、この問題の答え教えて欲しくて…」

 

咲穂「…その問題は──」

 

……そんな時、彼等と出会った。

頭が良いことを単なる個性として、人を構成している要素のたった一つに過ぎないものとして見てくれる大切な友達。

ただの友達として扱ってくれて、「頭の良い凄い人」みたいに考えて距離を作ったりしない人達。

 

皆いずれも大切だけれど、取り分け特別な一人がいた。

本当は私と同じくらいかそれ以上に臆病な心を持ちながら、前へ踏み出せる強さも併せ持つ、そんな彼に、私はいつの間にか惹かれていた…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第弐拾玖話「頭脳明晰な彼女の秘めた夢」

 

時雨「最近咲穂さんの様子が変?」

 

調「はい。…なんだか最近避けられてる気がするんです。目が合っても逸らされたり…話しかけようとするといなくなってたり…」

 

凪桜「私は特に変に思ったことないけどな…」

 

時雨「……僕もないかも」

 

調「ええ!?じゃあ…俺だけ?何か怒らせるようなことしちゃったかな…?」

 

 三月も末に迫ったある日、春休みではあるものの、部室に集まった咲穂以外の三人で話をしていた。

 調の疑惑に、時雨と凪桜は心当たりがないと告げ、調は自身が何か怒らせるようなことをしてしまったのではないかと落ち込む様子を見せる。

 

調「…咲穂先輩、今日は来てないし……やっぱり俺何かしちゃったんだ〜!!」

 

時雨「か、考え過ぎじゃないかな…?それなら咲穂さんから今日は少し遅れるって連絡あったし!」

 

調「そ、そうですかね…」

 

凪桜「あれ?けどそういえば、さっき部室棟の近くで咲穂先輩見かけたよ。何か用があるのかと思って放っておいたけど」

 

時雨「え?どこで?」

 

凪桜「どこだっけ…確かあそこは…漫画研究部…のはず」

 

時雨「漫研?なんで漫研…?」

 

調「俺が何かしちゃって怒らせちゃったから…部活変えようとしてるんだ…きっとそうに違いない…!」

 

時雨「なんか今日やけに悲観的だね!?…単に咲穂さん、漫画に興味あったんじゃないかな?」

 

凪桜「その可能性は高いと思う。以前咲穂先輩の家に行った時、棚に漫画が置いてあるのを見かけたから」

 

 何故か漫画研究部に入っていったらしい咲穂に、調は悲観的な感想を述べ、時雨と凪桜はそんな調を何とか励まそうとする。

 

聖「やあ、なんだか騒がしいけどどうしたんだい?」

 

時雨「あ、藍羽先生。実は…」

 

 やって来た聖は悲観的になっている調と、それを宥める時雨と凪桜という不思議な状況を前に目を丸くし、状況を尋ねる。

 そして時雨の説明を聞くと、聖は納得した様子を見せてある提案をする。

 

聖「そういうことだったのか。…なら、私から一つ提案なのだけどね」

 

「「「?」」」

 

聖「どうせだから漫研に様子を見に行こうじゃないか」

 

時雨「…確かに、憶測で悶々としてるよりは確認しに行ったほうがマシかもしれないですね」

 

凪桜「私も賛成。調が何かしたのかしてないのか、ここで論じてても分からないし」

 

調「そ、そうだよね…。うん、俺も行きたいです!」

 

聖「私も同行したいのはやまやまなのだけれど…ちょっと仕事が溜まってるから君達に任せるよ。様子を見に来ただけだしね」

 

 聖の提案を受け、一先ず漫画研究部へ向かい、事実確認することとなった三人は、共に漫画研究部へ向かう。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「漫研の部室があるのは…ここだね」

 

凪桜「間違いない。ここだった」

 

調「よ、よし…」

 

ガラガラガラ…

 

 漫画研究部の部室前までやって来た時雨達三人。調は意を決してその引き戸を開ける。

 

「ん?…君達は…」

 

「お客さんですかね?」

 

咲穂「へっ?皆さん、ど、どうしてここへ…?」

 

調「ホントにいた…!」

 

「あれ、この人達アレですよ!歴史研究部の人達!あなたが仮面ライダーの晴河君ですよね!いやぁ、こんな近くで見るの初めて…」

 

「わ、私も、この間の緊急総会の時、見てました!カッコよかったです!」

 

時雨「えっ?ああ…どうも…?」

 

 時雨達が中へ入ると、キョトンとした様子の四人の漫画研究部員が出迎え、咲穂は驚愕した様子を見せる。

 そして、時雨に気付いた部員の男子は目を輝かせて時雨のことを言い当て、それを聞いた地味目な女子の部員も時雨の活躍を見ていたといって褒めそやす。

 

凪桜「……むぅ」

 

調「どしたの、凪桜ちゃん。そんなにむくれて。にしても部長、やっぱり人気だなぁ。……って!そうじゃなくて!俺は咲穂先輩に会いに来たんです!」

 

咲穂「へっ!?わ、わわわ私にですか…!?」

 

 時雨の様子にどことなく不満そうな凪桜を横目に呑気に目的を忘れかけていた調だったが、主題を思い出して咲穂に詰め寄り、咲穂を慌てさせる。

 

「うーん、なんだかカオスなことになってきたねぇ、取り敢えずここは一つ落ち着いて、各々自己紹介といこうか」

 

 時雨に憧れの視線を向ける部員二人や、それに不服そうな様子を見せる凪桜、本題に入ろうとしている咲穂と調。

 状況がごちゃごちゃし始めたことを受け、漫画研究部の部長は自己紹介を提案する。

 

時雨「えっと、歴史研究部の部長の晴河です」

 

凪桜「副部長の暁」

 

咲穂「まあ、ご存知だと思いますが…歴史研究部の霞流です」

 

調「えっと、霧宮です」

 

「うんうん。僕は漫研の部長の登米(とめ)だ」

 

「私は副部長の 豊中(とよなか)です」

 

「俺は 高岡(たかおか)です。よろしく」

 

「わ、私は 氷見(ひみ)です…」

 

 どことなく飄々とした雰囲気の男子は部長の登米、穏やかそうな雰囲気の女子は副部長の豊中、時雨に目を輝かせていた男子は高岡、控えめながらも高岡共々時雨に憧れの眼差しを向けていた女子は氷見とそれぞれ名乗る。

 ひとまず全員名乗りあったところで、本題…即ち咲穂についての話題に移る。

 

高岡「なんか…仮面ライダーって雰囲気でもなくなったね」

 

氷見「で、ですね。…お邪魔になったら悪いので私達はあの本でも読みましょう」

 

高岡「ああ、そういえばまだ読めてなかったもんね」

 

調「それでえっと…さ、咲穂さんは…どうして漫研に?」

 

咲穂「えっ!?それはその…ま、漫画を読みに来てたんです!ここ、私の家にはない漫画が多くて!」

 

豊中「…えっと、私は霞流ちゃんとは小学校の時からの付き合いでね、時々遊びに来てくれてたの。まあ、最近は恋あ──

 

咲穂「わーっ!!!」

 

豊中「うわっ!?ど、どうしたの霞流ちゃん」

 

 咲穂の目的について話そうとした豊中を、咲穂は慌てて大声で止めると、そのままヒソヒソ話を始める。

 

咲穂「私がここに来ていた理由については、話さないでいてください…!」

 

豊中「えっ?あー…そういう感じかぁ。成る程ね。了解了解」

 

咲穂「そ、そもそも『そういう感じ』じゃなかったとしても勝手に言わないでください」

 

豊中「ごめんごめん」

 

調「あ、あの…大丈夫…?」

 

 咲穂と豊中がヒソヒソとすり合わせをしている様子に、心配した調が声を掛ける。

 

咲穂「だ、大丈夫ですよ!」

 

豊中「うんうん、ちょっとしたすり合わせしてただけで」

 

時雨「…調君」

 

調「あっ、はい!…俺が言わなきゃですよね」

 

凪桜「調と咲穂先輩の問題だからね」

 

咲穂「えっ?私と、調君の…?」

 

調「その…咲穂先輩」

 

咲穂「は、はい」

 

調「俺、何か怒らせるようなことしちゃいましたか?」

 

咲穂「……へっ?」

 

調「最近、何かそれとなく避けられてたり、目が合っても逸らされたり、そんなのばっかりだったから…」

 

咲穂「それは…その…」

 

調「何か気に障ったなら謝りますから、どうか部活を辞めたりしないでください!」

 

 咲穂を必死に説得しようとする調の言葉に、咲穂が引っ掛かりを覚える。

 

咲穂「えっ?部活を辞める?…私がですか?」

 

調「…違うんですか?」

 

咲穂「違います違います!な、何でそんな話になっているのですか?」

 

調「だって…今日は部活に来ないでわざわざ他の部活に顔を出してたから…俺に嫌気が差して部活を変えようとしてるのかと…」

 

咲穂「そんなことないですよ!私は歴史研究部を辞めるつもりなんてないです」

 

調「なんだあ…良かった…。あれ?じゃあなんで俺を避けてたんです?」

 

咲穂「そっ、それは…その…」

 

ドサッ

 

 咲穂が部活を辞めようとしているのは自分の思い過ごしだったことを知って調は安堵するが、今度は何故自分を避けていたのか分からずに困惑する。

 咲穂がその理由を言えずに口籠っていると、突然の物音と共に空気を読んで別テーブルで漫画を読んでいた高岡と氷見が倒れる。

 

時雨「!?高岡さん?氷見さん?」

 

登米「二人とも、どうしたんだ?」

 

凪桜「気を失ってる…?」

 

氷見「ふふっ…」

 

登米「ん?」

 

高岡「ハッハッハッ!!」

 

調「おわああっ!?え!?何!?」

 

 突然の出来事に全員が困惑する中、追い討ちをかけるように、倒れた二人がその状態のまま笑い始める。

 

時雨「わ、笑い出した…?」

 

咲穂「これは一体…」

 

豊中「まさか…これって…」

 

登米「アレは…そうか、二人はあの本を読んで…!」

 

 怪奇現象としか言いようのない状況に困惑する時雨達歴史研究部だったが、漫画研究部の二人は何か思い当たる節がある様子を見せる。

 

時雨「あの本って、なんですか?」

 

登米「机の上にあるだろう?」

 

豊中「あれは幻の漫画と呼ばれる漫画なの」

 

調「見た目は普通の漫画雑誌みたいだけど…」

 

登米「見た目はね。しかし、この漫画を読んだ者は幸せな夢の世界へと行けるとされている」

 

時雨「幸せな夢の世界…」

 

凪桜「この状況にも合うな…」

 

 登米と豊中の説明に、この状況とも合致する部分を見出した歴史研究部の四人は“幻の漫画”を警戒するが、直後、話をした張本人の登米がパラパラと漫画のページをめくり出す。

 

登米「とはいえ、まさかそんなものが本当にあったとは…」

 

時雨「あっ、ちょっと!?」

 

豊中「部長!」

 

登米「しまった!つい癖…」ドサッ

 

豊中「何やってるんで…」ドサッ

 

時雨「おわっと!?」

 

凪桜「犠牲者が増えた…」

 

咲穂「…まずは皆さんを保健室に運びましょう」

 

調「そうですね!」

 

 手癖で手元に持った漫画のページをめくってしまったらしい登米は指摘された拍子に手元を覗いたことでそのまま倒れてしまい、登米の横にいた豊中も巻き添えで倒れてしまう。

 あっという間に全滅した漫画研究部に愕然としつつ、時雨達はそれぞれ一人ずつを連れて保健室へ向かうことにするのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「保健室まで連れていくの、結構大変だったね。柚木さんが担当してくれたおかげでスムーズにいったけど…」

 

調「まあ、確かに…。けど疲れたぁ…」

 

凪桜「だけどまだ何も解決してない」

 

咲穂「確かに、そうですね…」

 

 保健室まで四人を連れて行った時雨達は歴史研究部は、顔見知りの保健委員長、智由が担当してくれたこともあって説明は楽だったが、そもそも運ぶのが大変だったこともあり若干の疲れを見せながら漫画研究部まで戻る。

 

汰月「あ、歴史研究部の皆」

 

賢昇「揃いも揃ってどうしたんだ?」

 

時雨「汰月君に賢昇君。二人こそどうしてここに?」

 

汰月「この間の一件を受けて、今後の協力関係についての話し合いのために楓山雪音に呼び出されたんだ」

 

賢昇「俺も一緒だ。けど、別件で対応が遅れるらしいから、お前等のところに顔を出そうとしたんだがな」

 

時雨「成る程、雪音ちゃんが…実はこっちは──」

 

 雪音に呼ばれて来たらしい汰月と賢昇と合流した歴史研究部の四人は、事情を説明して漫画研究部の部室へ向かう。

 

賢昇「そりゃあ難儀なこったな」

 

汰月「やっぱりモノノケの仕業…なんだろうか」

 

時雨「じゃないかと思うけど…」

 

賢昇「これか」

 

時雨「直接見たらマズいんじゃ」

 

汰月「いや、俺達は加護があるから大丈夫なは…」ドサッ

 

賢昇「そうそ…」ドサッ

 

 到着した汰月と賢昇は妖之書の加護があるから効かないはずと考えて漫画を調べようとするが、床に落ちていたのを拾い上げて中身を見た瞬間に見事に二人とも夢に落ちてしまう。

 

時雨「効いてるじゃないですか〜!?」

 

咲穂「妖之書も貫通してしまうのですか…!」

 

リュウジン「…うむ、どうやらこれは呪詛の類ではなく、対象をどこかへ送る転送術式、のようだな」

 

凪桜「…身体はここにあるけど」

 

リュウジン「恐らく対象が意識…魂なのだろう。だから攻撃と見做されず妖之書にも弾かれない」

 

時雨「成る程…」

 

 リュウジンの解説を聞いて時雨は納得はするものの、解決策は未だに見出せずにいた。

 

時雨「それにしても…どうしよう」

 

凪桜「うーん…」

 

雪音「あ、やはり聞いた通りここにいらっしゃったのですね。時雨君達も一緒でしたか。………ところで何故、お二人とも寝ながら笑ってらっしゃるのですか…?」

 

 四人が困っていると、汰月と賢昇を探しに来たのか、雪音が漫画研究部へとやって来る。

 

時雨「あ、雪音ちゃん。えっと、まあ色々あって…この漫画を見たせいで…」

 

雪音「この漫画がどうかしたのですか…?」

 

凪桜「それは危け…」ドサッ

 

雪音「え…」ドサッ

 

咲穂「っ…」(マズい…視界に入──)

 

調「咲穂先輩!危ない!!」ドサッ

 

時雨「……」

 

咲穂「調君…」

 

リュウジン「……」

 

 事情を聞きながら雪音が漫画を手に取ったため、凪桜がそれを止めようと近付いたせいで二人とも中身を見てしまい、更には咲穂の目に漫画の中身が映りそうになったのを調が身を挺して防ぐことで代わりに中身を見てしまったことでその場で眠りついてしまい、あまりの勢いで皆がやられていく様に時雨と咲穂、リュウジンは絶句する。

 

時雨「…三人になっちゃったね」

 

咲穂「なってしまいましたね…」

 

リュウジン「なってしまったな」

 

時雨「凄い勢いで皆やられていっちゃったけど…どうしよう」

 

リュウジン「…どうしたものか」

 

 軽く絶望感を味わいながら、時雨は目を逸らして眠らないようにしながら床に落ちてしまった漫画を手探りで拾い上げ、手探りで閉じて机の上に置く。

 

時雨「…一先ずこの漫画をこれ以上読む人が出ないよう、封印しよう」

 

咲穂「確かに、それが第一ですね」

 

リュウジン「お、使えそうな紐があったぞ」

 

時雨「じゃあ、それで…」

 

 時雨は被害拡大を防ぐためにリュウジンが漫画研究部の備品から持って来た紐を使って漫画を縛り付け、開かないようにする。

 

時雨「取り敢えずこれでこれ以上の被害は出ないはず」

 

咲穂「…?晴河君、なんだか本から妙なオーラが出てません?」

 

時雨「え?これって…」

 

リュウジン「…マズい!ふん!」

 

時雨「えっ!?リュウジンさん!?」

 

リュウジン「見ろ!何か来るぞ…!」

 

時雨「え…?」

 

 縛られた漫画はドス黒いオーラを纏い始める。

 そして何かを察知したリュウジンが紐を咥えて窓の外へと漫画を放り投げると、漫画は地へと落ちず、空中に浮き上がったままドス黒いオーラを更に放ち、紐を弾き飛ばして()()が出てくる。

 

???「うぅ…貴様等かぁ…我が夢の扉を閉じたのはぁ…!」

 

時雨「モノノケ…!あれは…“マクラガエシ”…ですか」

 

 現れたのは眠たげな鬼のような容姿のモノノケ…マクラガエシだった。

 

マクラガエシ「お前等も夢の世界に閉じ込めてやる…!」

 

リュウジン「時雨!」

 

時雨「分かってます!」

 

《龍神!》《真打!》

《『真価覚醒!』》

 

《装填!》

 

時雨「変身!」

 

《憑依装着!変化!

 

『画竜点睛!龍神ヨロイ!真!』》

 

咲穂「きゃっ!」

 

 マクラガエシは枕型のエネルギー弾を放って時雨と咲穂を狙うが、時雨が妖魔 龍神ヨロイ・真となった際に生じた風のバリアによって阻まれる。

 

マクラガエシ「まさか…仮面ライダー…!?」

 

妖魔「はああっ!!」

 

マクラガエシ「うぎゃっ!?」

 

妖魔「皆を返してもらいます!はっ!」

 

マクラガエシ「うわあっ!?」

 

 風を纏って窓から飛び出た妖魔は、そのままマクラガエシに蹴りを叩き込みながら着地し、更に雷を帯びた拳を叩き込んでマクラガエシを叩きのめす。

 

マクラガエシ「こ、このヤロー!!」

 

妖魔「おっと…効きません!」

 

マクラガエシ「何ィッ!?」

 

 マクラガエシの放った枕弾を、妖魔は氷の飛礫を放って撃ち落とし、それを目の当たりにしたマクラガエシは絶望する。

 

リュウジン『時雨、コイツ弱いぞ!さっさと倒そう!』

 

妖魔「分かりました!」

 

《大砲之刻!》

 

《龍!》

《読取装填!一柱!一撃必殺!》

 

マクラガエシ「や、ヤバそうな気配…ここは一時撤退!」

 

妖魔「はあああああ…はあーっ!!」

 

《一柱砲撃!》

 

マクラガエシ「ひ、ヒィッ!?うぎゃーっ!!!」

 

 この状況を有利と見た妖魔はリュウジンのアドバイスを受けて大砲状態の龍神之大砲剣を取り出し、龍アヤダマをスキャンする。

 そして、逃げようとするマクラガエシに龍型のエネルギー砲を放って木っ端微塵に消し飛ばす。

 

妖魔「よし…これで皆元に戻りますかね」

 

リュウジン『いや、何かおかしいぞ?』

 

妖魔「え?」

 

リュウジン『漫画から妖気が消えてない…』

 

妖魔「…それって……」

 

 マクラガエシを撃破し、変身を解こうとした妖魔を、違和感を感じたリュウジンが制止する。

 次の瞬間、漫画は再び黒いオーラを放つ。

 

マクラガエシ「ふははは…!」

 

妖魔「ええっ!?」

 

マクラガエシ「残念だったな!俺の本体は夢の世界にいるのさ…お前に俺は倒せない!ハッハッハッ!ふん!」

 

妖魔「っ…それじゃあキリがない…!」

 

リュウジン『…ここは一旦引くぞ』

 

妖魔「分かりました!…頼んだよ」

 

 復活したマクラガエシは種明かしをしながら枕弾を放って攻撃を仕掛け、妖魔はそれを龍神之大砲剣で受けるが、今戦っても勝てないことから一時撤退を選択し、ラクーンモードのブンプクブラストフォンを監視役に置いてその場を離れるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「…残機が無限にあるような状態ですもんね…一体どうすれば…」

 

リュウジン「あの漫画を破壊すれば引きずり出せるかもしれんが…中の人達は無事ですまんだろうしな…」

 

時雨「そんな手を取るわけにはいかないですよ。…咲穂さんは何かアイディアとか…咲穂さん?」

 

咲穂「…へっ!?」

 

 漫画研究部の部室に戻ってきた時雨とリュウジンは策を考えるも、中々アイディアは出て来ず、咲穂に助力を求めるが、肝心の咲穂は心ここに在らずといった様子のため、時雨は心配する。

 

時雨「ああ、ごめん。何かアイディアないかなって思ったんだけど…」

 

咲穂「……それは…ごめんなさい」

 

時雨「いやいや、全然良いけどさ。…何か悩み事?」

 

咲穂「え?えっと…その……」

 

時雨「…どうしても言いたくないことなら言わなくてもいいけどね、でも…ここには調君はいないから、話したくなったら言ってほしいな。きっと、調君には言えない何かなんでしょ?」

 

咲穂「!……時雨君は、凄いですね。…分かりました、私も覚悟を決めてお話しします。…そんな大層な話ではないのですけどね」

 

 咲穂の心を慮る時雨の言葉に、咲穂は素直に感服し、そして語り出す。

 

咲穂「私がここに出入りしていた理由…それは、相談のためなんです」

 

時雨「…相談?」

 

咲穂「はい。さっきもお話しした通り、私は豊中さんとは以前からの友人でして、そんな彼女にあることを相談したかったんです」

 

時雨「その内容って…聞いても大丈夫?」

 

咲穂「大丈夫ですよ。少し驚かれるかもしれないのですが…私…調君のことが好きなのです」

 

時雨「成る程…調君のことが…え?調君のことが好き!?」

 

咲穂「…はい」

 

 咲穂の思わぬカミングアウトに、時雨は思い切り動揺を見せる。

 

咲穂「……私は、昔からテストでは当たり前に好成績を取れました。それ自体は私自身の才能として、誇りと思っています。ですが…それ故に私のことをその才能で見てくる人が沢山いたんです」

 

時雨「…霞流咲穂として、じゃなくて…勉強の出来る天才として、ってこと?」

 

咲穂「はい。…なので、初めてだったんです。こんな風に私の個性として捉えてくれて、互いに支え合いながら皆で頑張る、というのは」

 

時雨「…咲穂さんにとって、歴史研究部は大切な居場所になっていたんだね」

 

咲穂「はい。…調君は、歴史研究部がなかったらきっと出会えなかった。そんな相手だと思います。本当は怖がりで、少し抜けてて、でも努力家で、誰よりも一生懸命な彼が…気付けば好きになっていたんです。彼の全てが愛おしく思えるほどに。こんな感情…私は初めてで…どうしたらいいのか分からなくて…」

 

時雨「それで…豊中さんを頼った…ってことだったんだね」

 

咲穂「はい。私はどうしたら良いのか…こんなに分からないのは初めてでした」

 

時雨「…今も、答えは出てないのかな」

 

咲穂「…そうですね。ですが…話している間に一つだけ気付いたことがあります」

 

時雨「気付いたこと?」

 

 咲穂は時雨に思いの丈を語り、そして時雨の問いに対し、自身の得た気付きを答える。

 

咲穂「…私、調君ともっと一緒にいたいです。調君の…一番になりたいって、そう思ったんです」

 

時雨「…そっか。なら、それが咲穂さんの目指す道じゃない?…少なくとも、僕は応援するからね」

 

咲穂「ありがとうございます。なんだかスッキリしました。…それと、スッキリついでにですが、良い策を思い付きました」

 

時雨「本当!?」

 

 時雨との問答の中で答えを得たことで少しスッキリした様子の咲穂は、マクラガエシ攻略の妙案を思い付く。

 

咲穂「はい。マクラガエシは夢の世界にいるのですよね?なら、時雨君の持つ三面ドライバーを活用すれば、夢の世界にいる日島さんや降谷さんの意識と繋がって、協力を仰ぐことが出来るのではないでしょうか?」

 

時雨「成る程。それで、夢の世界で見つけた本体を、阿修羅ヨロイに変身する時に二人の意識と一緒に引っ張ってくる…確かに、それならいけるかも!」

 

 咲穂の案を聞いた時雨は有効な策になりそうだと判断し、その案に乗ることを決める。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「よーし…!」

 

《妖魔!》

《霊魂!》

《幽冥!》

 

 時雨は三面ドライバーを身に付けると、三部ダイヤルを回転させ、意識を集中させる。

 

──夢の世界

 

汰月「…ネタは上がってるんだ。さっさと吐いたらどうだ?」

 

「ああ?」

 

汰月「…仕方ない。ならば…」

 

 夢の世界にて、刑事となった汰月はスーツに身を包み、整髪料で整えた髪型となって厳めしい顔の男に取調室にて取り調べを行っていた。

 その男が情報を吐かないと判断すると、どこかへ電話をかけ出す。

 

賢昇「へいお待ち!野菜炒め定食!」

 

「これこれ!これが美味いんだよなぁ〜」

 

賢昇「お客さん、分かってんな!…ん?出前の注文か?はいもしもし」

 

 一方の賢昇はエプロン姿で小さな定食屋を営んでいた。

 客の一人に野菜炒め定食を振る舞うと、かかってきた電話に応対する。

 

「黙秘で」

 

汰月「……まあ、カツ丼でも食えよ」

 

「はぁ?」

 

賢昇「毎度あり!出前のカツ丼だ!」

 

汰月「ああ、待っていた。ほら、いい匂いだろう?食欲をそそる…一口食べていい?」

 

賢昇「そうだろ?って、取り調べに使うんじゃねえのかよ」

 

た……く…!

 

汰月「ん…?」

 

け…しょ……ん!

 

賢昇「あ?」

 

 何故か汰月のいる取調室にカツ丼を配達しに来た賢昇は、呑気なやり取りを繰り広げるが、その中でどこからか響く声に気付く。

 

時雨『汰月君!賢昇君!しっかりしてください!そこは夢の世界です!!』

 

「「…ハッ」」

 

汰月「…何だその格好」

 

賢昇「お前こそ何だこの状況」

 

 時雨の声によって正気を取り戻した汰月と賢昇は、お互いに疑問を投げかけるが、時雨が強制停止をかける。

 

時雨『その話は後にしよう!まずは夢の世界から抜け出すことを考えるべきだよ』

 

賢昇「それもそうか…って、お前はどこから話しかけてんだよ!?」

 

汰月「というか…どうやってこの世界にアクセスしてるんだ?」

 

時雨『三面ドライバーの力で二人にだけは交信が出来るみたい』

 

汰月「そんなのアリなんだ」

 

賢昇「凄えな」

 

時雨『咲穂さんが考案してくれてね。…それで、二人に頼みたいことがあるんだ』

 

汰月「頼みたいこと…?」

 

賢昇「なんだ?」

 

時雨『二人で手分けしてこの世界にいるマクラガエシってモノノケの本体と、雪音ちゃんを探し出してほしいんだ』

 

 時雨は軽く事情を説明すると、本題に入って二人へ頼み事をする。

 

賢昇「マクラガエシ…ってのは今回の事件を起こした野郎か?」

 

時雨『うん。さっき戦ったんだけど、どうも本体が精神体みたいで、なんとかその世界から引っ張り出してこないと倒せなさそうなんだ。それと、雪音ちゃんも二人の後にその世界に送られちゃったから連れ戻してほしくて』

 

汰月「そういうことなら分かった」

 

賢昇「ま、やってやるよ」

 

時雨『ありがとう!それじゃあ、よろしく!』

 

 時雨の頼みを引き受けた二人は、役割分担について話し合う。

 

汰月「…取り敢えず、俺はこっちを探してみる」

 

賢昇「じゃあ俺はあっちを探すわ」

 

 ひとまず二手に分かれた二人はマクラガエシや雪音を探すためにそれぞれ駆け出す。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

汰月「…いないな。マクラガエシとかモノノケなんだしすぐ見つかりそうなものだけど…」

 

「……」コソコソ

 

 汰月が周りを見渡すと、漫画に囲まれている生徒達の姿が目に入る。

 

登米「おお!この漫画も!」

 

高岡「まるで漫画の楽園ですよー!」

 

氷見「わあ、漫画がいっぱい!」

 

豊中「こっちにも漫画、あっちにも漫画…!」

 

汰月「あの人達は…巻き込まれた人達か。…ん?あれは…凪桜?」

 

「……」コソコソ

 

 歩き回っていた汰月は、凪桜を見かけ、思わず近寄る。

 その様子を、物陰から覗く影があった…。

 

凪桜「時雨先輩、こっちにもグッズがあるよ」

 

時雨「本当だ!いや〜色んなグッズがあって嬉しいね!」

 

汰月「凪桜、おーい」

 

凪桜「……」

 

汰月「っ…!?今のは…」

 

「っ…!」

 

凪桜「時雨先輩、次はあそこ行こう」

 

 汰月が凪桜に声を掛け、その肩に手をかけた瞬間、凪桜からドス黒いオーラが発せられ、汰月は思わず怯んでしまう。

 しかし、次の瞬間には元通りの凪桜に戻り、夢の中の時雨と共にその場を去ってしまう。

 

汰月「……気のせい、かな。……てか、そこの奴」

 

マクラガエシ「うひゃあっ!?何故バレた…!?」

 

汰月「さっきからチラチラ視界に映ってるんだよ。お前がマクラガエシだろ。覚悟してもらおうか!」

 

マクラガエシ「くっ…ここは……逃走あるのみ!」

 

汰月「待てっ!」

 

 陰でコソコソしていたマクラガエシはその存在に気付いた汰月に追いかけ回される。

 

賢昇「マクラガエシに氷雪…見つかんねえなぁ…」

 

汰月『こちら汰月!マクラガエシを発見した!現在追跡中!』

 

賢昇「えっ!?」

 

時雨『本当ですか!?ならそのまま追い詰めちゃってください!』

 

賢昇「…なら、急いで氷雪を探すわ」

 

汰月『頼んだ!…待てっ!』

 

 汰月がマクラガエシを発見したという報せを受けた賢昇は、自身は雪音を探し出すべく動き出す。

 

賢昇「あーもう!どこいんだよ!…ん?アレは…霧宮調か」

 

調「皆!新しい事件です!」

 

時雨「本当!?」

 

凪桜「なら、早速解決しなくちゃ」

 

咲穂「ふふっ、頑張りましょうね〜」

 

賢昇「ふっ…本当にアイツ等のことが大好きなんだな。っとと、んなこと気にしてる場合じゃねえや。急がねえと」

 

 調の前を通りすがったところで、調が心の底から仲間達を大切に思っていることを察して微笑ましげに見ていた賢昇だったが、すぐに気を取り直して雪音探しに戻る。

 

賢昇「ん?え?何ここ…教会?」

 

 そのうち、教会と思わしき場所へと辿り着いた賢昇は、聞こえてきた音楽に眉を顰める。

 

賢昇「この曲…え?結婚式…?こんな時に呑気な妄想してる奴もいたもんだ…。結構現実主義者っぽいし、こんな所にいねえとは思うが…一応見ておくか」

 

 流れてきたのは結婚式でお馴染みの結婚行進曲。

 仮にも非常時に結婚式の夢を見ているお花畑具合に、賢昇が呆れ半分で覗きに行くと、そこには…。

 

神父「永遠の愛を誓いますか?」

 

時雨「はい、誓います」キリッ

 

雪音「誓います…」うっとり

 

賢昇「えぇ…いるし…。ってか相手役時雨かよ!?え?マジか?そういう感じ?」

 

 神父の言葉に、白いスーツに身を包みやけにキリッとした表情の時雨は返答し、そしてそれに続いて白いドレスに身を包んでうっとりした表情の雪音が返答する。

 それを見て色々察した賢昇は軽くドン引きしつつも、その状況を放置出来ないことを悟る。

 

神父「それでは、誓いのキスを…」

 

時雨「雪音…」

 

雪音「時雨君…」

 

賢昇「それはちょっとマズいんじゃねえかな!?」

 

雪音「うひゃあっ!?」

 

 しまいにはキスしだそうとする雪音に、見ていられなくなった賢昇は乱入してそれを止める。

 

雪音「なっ、何故邪魔するのですか!」

 

賢昇「しっかりしろ!ここは夢の世界だ!現実じゃねえ!」

 

雪音「え?……あっ、そうでした。私、何やら変な本を見て…。!…………あの、今見たことは……」

 

賢昇「…安心しろ。誰にも言わねえよ。てか言えねえよこんな状況」

 

雪音「すみません…お願いします…」

 

 賢昇の言葉に正気を取り戻した雪音は、自身の状況を思い出しつつ、先程までの痴態を思い返し、黙っててくれるように賢昇へ頼み込む。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

賢昇『あー、賢昇だ。取り敢えず氷雪の確保には成功したぞ』

 

雪音『うぅ…』

 

汰月『こっちも…マクラガエシをとっ捕まえたけど…そんなに長くは保たない…!』

 

マクラガエシ『離せよ〜!!』

 

 賢昇と汰月からそれぞれターゲットを確保した旨の連絡を受けた外で待機中の時雨は、意識を浮上させる。

 

咲穂「いよいよですね…!」

 

時雨「了解!それじゃあ…いくよ!」

 

賢昇「おう!」

 

汰月「任せて!」

 

《三倍装填!》

 

《妖魔!》

 

《霊魂!》

 

汰月「戻ってきた…」

 

マクラガエシ「何ィッ!?引きずり出されたァ!?」

 

《幽冥!》

 

賢昇「おっ、上手く行ったみてえだな!」

 

雪音「はっ!目が覚めました!…私も!」

 

《ユキオンナ!》

《インストール!》

 

「「「「変身!」」」」

 

《融合装着!変化!

 

三位一体!阿修羅ヨロイ!》

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

凍結Blizzard!ユキオンナヨロイ!》

 

 三面ドライバーを操作したことで意識ごと召喚された汰月と賢昇。そして、それに巻き込まれる形でマクラガエシと雪音も現実世界の肉体に意識が戻る。

 そのまま時雨、汰月、賢昇の三人は妖魔 阿修羅ヨロイへ、雪音は氷雪 ユキオンナヨロイへと変身することでマクラガエシと対峙する。

 

マクラガエシ「嘘だろ…!?悪夢だ…!」

 

妖魔「…人の夢を弄んだ報いは受けてもらいます!」

 

霊魂『お前のせいで一生目覚められなくなるところだったんだぞ』

 

幽冥『お仕置きの時間だこの野郎…!』

 

氷雪「あなたは…私達が倒します!」

 

マクラガエシ「う、うるさーい!だったら…!」

 

マクラガエシ2「ふははっ!」

 

マクラガエシ3「これならどうだ!」

 

マクラガエシ4「こっちは四人だ!」

 

 弄ばれたせいで怒り心頭の妖魔達に不利を悟ったマクラガエシは、自らの分身体を三体生成することで対抗しようとする。

 

妖魔「それなら…こっちも四人でいかせてもらいます!」

 

《妖魔!》

《霊魂!》

 

《分離之刻!》

 

霊魂「はああっ!」

 

マクラガエシ2「ぐあっ!」

 

《妖魔!》

《幽冥!》

 

《分離之刻!》

 

幽冥「どりゃあっ!」

 

マクラガエシ3「ぬあっ!」

 

 妖魔が三部ダイヤルを操作して霊魂と幽冥を分離すると、それぞれ霊魂は銃状態の妖之斧火縄でマクラガエシ2を銃撃しながら、幽冥は槍状態の妖之盾槍でマクラガエシ3に刺突を叩き込みながら出現し、相手と頭数を揃える。

 

マクラガエシ「増えただと…!?」

 

マクラガエシ2「数的有利が…!」

 

マクラガエシ3「ズルいぞ!」

 

マクラガエシ4「そーだそーだ!」

 

氷雪「あなた達に言われたくは…ないですね!」

 

マクラガエシ4「ぐぬうっ!」

 

妖魔「本体は僕が相手です!はあ!」

 

マクラガエシ「ひいっ!?」

 

 妖魔の行動を非難するマクラガエシ達だったが、先にやってきたのは自分だったこともあって軽く流され、マクラガエシ4は氷雪にレーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーでの銃撃を喰らう。

 そして、その隙に妖魔も剣状態の妖之弓剣を用いてオリジナルのマクラガエシに斬りかかる。

 

霊魂「はああっ!!」

 

マクラガエシ2「枕バリアー!」

 

霊魂「へえ…」

 

《斧之刻!》

 

霊魂「随分柔らかそうなバリアーだな!」

 

マクラガエシ2「ぎゃあっ!?切れたー!?」

 

 霊魂はマクラガエシ2を連続で撃つが、マクラガエシ2が展開した枕型のバリアーに弾丸を受け止められてしまう。

 それをみた霊魂は妖之斧火縄を斧状態に変えて接近し、枕型のバリアーを真っ二つに切り裂く。

 

霊魂「トドメだ」

 

《装填!一・撃・必・殺!》

 

マクラガエシ2「れ、連続枕バリアー!!」

 

霊魂「…全部纏めて断ち切るだけだ!」

 

《蛇行断撃!》

 

マクラガエシ2「なななな…ぎゃあああっ!!」

 

 霊魂は妖之斧火縄に大蛇アヤダマを装填し、激流をその刃に纏わせ、マクラガエシ2が展開した幾重もの枕型のバリアーを全て纏めて断ち切り、マクラガエシ2を切り裂くことで爆散させる。

 

幽冥「オラオラオラオラァッ!」

 

マクラガエシ3「ふふふ…喰らうがいい!枕ボンバー!!」

 

幽冥「どわあっ!?…にゃろう…!」

 

《盾之刻!》

 

マクラガエシ3「どうした?もう終わりかぁ?」

 

幽冥「どりゃあああッッ!!」

 

マクラガエシ3「盾だと!?おいズルだろ!?ぐふぉああっ!!」

 

幽冥「お前さっきからそればっかだなこの野郎!」

 

 幽冥は連続で刺突を放つも、マクラガエシ3が放つ枕型エネルギー爆弾を受けて吹き飛ばされる。

 しかし、その爆発の隙に妖之盾槍を盾状態に変えることで続けて放たれた枕型エネルギー爆弾を弾き飛ばしつつ、更にそのままマクラガエシ3の横っ面を妖之盾槍で殴り飛ばす。

 

幽冥「ぶっ潰してやるよ!」

 

《装填!一・撃・必・殺!》

 

マクラガエシ3「う、うわああああっ!!」

 

幽冥「ハッ!効かねえなぁ!!」

 

《鬼気防撃!》

 

幽冥「だあああっ!!」

 

マクラガエシ3「うぎゃあああっ!!」

 

 幽冥は妖之盾槍に鬼アヤダマを装填すると、マクラガエシ3の投げつけてくる枕型エネルギー爆弾を弾き飛ばしながら接近し、火炎を纏わせた妖之盾槍による殴打を連続で繰り出すことでマクラガエシ3を撃破する。

 

氷雪「倒させてもらいます!」

 

マクラガエシ4「ま、待て!お前だっていい夢を見たはずだ!俺を倒したらその夢は二度と見れないかもしれないぞ!?」

 

氷雪「それがなんだというのですか」

 

マクラガエシ4「なにっ!?」

 

氷雪「…確かに、あなたの力で見たあの夢は、私にとっての理想で…幸せな夢でした。ですが…それでは意味ないのです。例え叶わなくてもなんでも、夢に浸って現実を忘れていたら、それは幸せとは呼べないです。いつまでも現実からは逃げられません。いつか気付く時が来ます。その時苦しむのは…現実から逃げ続けていた自分自身ですから!夢は…自分の手で掴もうと足掻くから意味があるのです!」

 

《インストール!》

 

マクラガエシ4「ぐぬうっ…!?」

 

 レーザービームで連続攻撃を仕掛ける氷雪に幸せな夢を見たことによる揺さぶりをかけて待ったをかけるマクラガエシ4だったが、氷雪は毅然とした態度でその言葉を跳ね除け、ユキオンナ電子アヤダマをアヤカシレーザーアタッカーに装填する。

 

氷雪「悪いですが、人々の幸せを弄び、その心を閉じ込めるあなたは…ここで倒します!」

 

《スペシャルムーブ!》

 

マクラガエシ4「やられてたまるか…ッ!」

 

氷雪「はあっ!!」

 

《凍結シュートフィニッシュ!》

 

マクラガエシ4「んなっ!?」

 

氷雪「はっ!」

 

 氷雪は逃走を図ったマクラガエシ4に対し、アヤカシレーザーアタッカーから冷凍光線を放って氷漬けにし、そのまま巨大な氷柱を飛ばして粉々に粉砕する。

 

マクラガエシ「分身達が…!?」

 

妖魔「あなたの悪行もここまでです!というか…なんでこんなことをしたんですか!」

 

マクラガエシ「そんなの決まってるだろう!沢山の人間共を夢の世界に閉じ込めて、この世界を支配するためさ!」

 

妖魔「どうして人を傷つけるようなことを…!」

 

マクラガエシ「ぐあっ!…ふんっ、人間なぞ我々より遥かに弱い雑魚!だから好きにして良いってヌラリヒョン様が言ってたからだ!」

 

妖魔「……またヌラリヒョン」

 

《弓之刻!》

 

妖魔「…分かりました。はあっ!」

 

マクラガエシ「ぐぬあっ!?」

 

 マクラガエシと格闘戦をしながらその目的を問いただしていた妖魔だったが、軽い動機から人々の未来を奪おうとし、人の命を軽視するその姿勢に怒りを覚え、妖之弓剣を弓之刻に変えると、至近距離から矢を浴びせる。

 

マクラガエシ「ならば…枕ボンバーラッシュ!」

 

妖魔「くっ…威力が上がってる…本体だからか!…でも、僕は負けない!」

 

マクラガエシ「何っ!?」

 

妖魔「僕の理想は…人とモノノケが一緒に笑い合える世界!誰かを一方的に虐げるような真似は許しません!…それに、夢は目覚めるからこそ、価値があるんです。どんなに良い夢だろうと…目覚めることが出来なければ、そんなの悪夢に他なりません!」

 

マクラガエシ「知るかああああ!!枕バリアー!」

 

妖魔「!…なら」

 

《猫又!》

《アヤダマ装填!一・撃・必・殺!》

 

《俊敏!アヤダマインパクト!》

 

マクラガエシ「!?何ィッ!?」

 

妖魔「こっちです!はあっ!!」

 

マクラガエシ「っ…馬鹿な…!」

 

 枕型のバリアーを展開して矢を受け止めたマクラガエシに対し、妖魔は猫又アヤダマを三面ドライバへ装填し、高速で接近すると、枕型のバリアーを踏み台にして跳び越え、後ろから横蹴りを叩き込む。

 

《一・撃・必・殺!》

 

《妖魔!》

 

妖魔「エピローグといきますよ!」

 

マクラガエシ「これは…ヤバそうな予感…!」

 

《妖魔剛撃!》

 

妖魔「はあーっ!!」

 

マクラガエシ「枕バリアアアアアアッッッ

!!」

 

 妖魔は稲妻を右脚に纏わせて跳躍し、マクラガエシが展開した枕型のバリアーを突き破りながら跳び蹴りを叩き込むことで撃破する。

 

「うぅ…」

 

妖魔「…!?人間…?あれって…」

 

霊魂「アヤダマ…?」

 

氷雪「夢華さんの時と同じ…」

 

幽冥「取り敢えずアヤダマを回収しようぜ」

 

雹介「それは困るなぁ」

 

妖魔「!…ヌラリヒョン……!」

 

霊魂「お前の策か…!」

 

 妖魔によって撃破されたマクラガエシから人間が現れ、近くに薄藍色の枕返アヤダマが転がる。

 夢華と同じく人間がアヤダマを用いて変身したモノノケであったことが判明し驚く妖魔達の前に、雹介が現れる。

 

雹介「実験さ。今回はアヤダマに込められているモノノケの意識を強く出してみたけれど…やはり弱かった。次はまた、条件を変えてみるとしよう。それでは…ご機嫌よう」

 

妖魔「あっ!」

 

霊魂「待てっ!」

 

幽冥「相変わらずのらくらした野郎だ…」

 

 種明かしした雹介はフッとその姿を消してしまい、雹介の企みへの警戒感を、妖魔達は強く抱くのだった。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

賢昇「ったく、エラい目に遭ったぜ」

 

汰月「全くだ」

 

雪音「…そうですね」

 

凪桜「話を聞いたら、結局なんかそこら辺の一般人に無理矢理マクラガエシの力を使わせてたってことみたいだったけど…」

 

聖「また随分悪趣味な策をとってきたものだね」

 

 歴史研究部の部室に集まり、一連の騒動を振り返る時雨達。

 中でも凪桜はマクラガエシとなっていた男の話を聞いたところ、街を歩いていたら急に不思議な男に話しかけられてそこから記憶がないと答えられたことを思い返す。

 

時雨「けどまあ、無事に解決出来て良かったよ。漫研の皆からも凄く感謝されたし」

 

凪桜「まあ…それもそうか」

 

汰月(…暁凪桜…元々世模継にいたけれど、時雨達と共に戦う道を選んだ…。あの夢の世界の中で垣間見た“闇”は一体……)

 

 時雨と凪桜が漫画研究部の面々達から大感謝され、より妖魔の英雄視が強くなったことを思い返している横で、汰月は夢の世界で見た凪桜のことを考える。

 

凪桜「そういえば時雨先輩、咲穂先輩と調は?」

 

時雨「ん?ああ、あの二人なら…今は大切なお話中、かな」

 

凪桜「…?」

 

 汰月の思案も露知らず、凪桜は咲穂と調の行先を気にする。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

 夕焼けに照らされた旧部室棟の部室の一つにて、調は咲穂と共に今回の騒動を振り返る。

 

調「やー、大変でした。まさかうっかり夢の世界に閉じ込められちゃうなんて、やっぱ俺ダメダメですね」

 

咲穂「…そんなことありませんよ。今回の件は仕方ない部分も多々ありましたし。…それに、調君は私を守ろうとしてくれたんですから。カッコよかったですよ」

 

調「へっ!?い、言い過ぎですよ。もっとスマートに助けられる方法なんていくらでもありましたし…」

 

咲穂「それでも、カッコよかったと思いましたから」

 

調「そ、そうですかね」

 

咲穂「はい」

 

 調の照れたような言葉に短く返事を返すと、咲穂は短く一つ深呼吸をする。

 …そして、意を決してその口を開く。

 

咲穂「調君。私…調君のことが好きです」

 

調「…へ?……え?いや、え?い、今なんて…」

 

咲穂「君が好きだと言いました」

 

調「な、なんの冗談ですか…?」

 

咲穂「冗談なんかじゃありませんよ。私は君を好いています。…いや、そんな言葉では軽すぎますね。私は君のことを愛しています」

 

調「あ、愛っ…」

 

咲穂「本気ですよ。…例え怖くても、誰かのためにその恐怖を振り切って立ち向かえるその強さが。自分だって不安で辛くても、それでも人の不安や辛さを優先して寄り添ってくれるその優しさも。君の全部が好きなんです」

 

 咲穂の脳裏に浮かぶのは学園抗争の時の日常の数々。

 些細な場面でも、調は常に咲穂や凪桜達を守ろうと、寄り添おうとしてきた。

 自分だって不安を抱えていたはずの状況であり、そして誰よりも臆病な一面を持つにも関わらず、だ。

 それだけではない。学園抗争が始まる前からだって、調は変わってはいないのだ。そして、終わった後もまた然り。

 今回の騒動でも、調は咲穂を庇うために自らが夢の世界へと閉じ込められた。

 

 そんな一つ一つの強さが、一つ一つの優しさが、咲穂にとっては堪らないほど愛おしく感じられたのだ。

 

調「えっと、俺…どう答えればいいかわからなくて…」

 

咲穂「いいですよ、無理に返さなくても。私はズルい女ですので、今無理に答えを出させてフラれるのは勘弁ですから。…その代わり、いつか調君から選んでもらえるよう、私頑張りますから…これはその、“宣戦布告”です」

 

調「っ……わ、わかりました…?」

 

 夕日をバックに悪戯っぽい表情を浮かべて乙女の戦線布告を調に突き付けた咲穂の姿に、調はその心臓が高鳴るのを感じる。

 まだその感情がなんなのかなんて分からないまま、調は咲穂の言葉に頷くのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

時雨「今日から3年生かぁ…」

 

凪桜「同じクラスらしい」

 

「お前を倒せば…俺がこの学校の頂点だ」

 

夢華「ちゃんとお灸を据えておかなきゃだからね」

 

新学期早々に一波乱!?

 

オオガマ「お前等じゃ俺には勝てんよ」

 

賢昇「やってみなきゃ…分かんねえだろ!」

 

汰月「何故俺達を……!?」

 

都黎「俺は…お前の邪魔をする」

 

オオガマ襲来!…都黎の助太刀!?

 

時雨「止めさせてもらいますよ」

 

雪音「私も共に戦います」

 

第参拾話「祝新学年!やってきたのは挑戦者!?」

 

日曜午後9時!




第二十九話をご覧いただきありがとうございます!

今回は咲穂回となりました!
学園紛争も落ち着いて、仲間の掘り下げもしておきたかったところでしたので。
咲穂の隠していた想いも明かされ、時雨達歴史研究部の関係性にも少しずつ変化が生じているところとなります。
そして次回からはいよいよ新学年へ突入!
時雨達二年生組は三年生へ、凪桜達一年生組は二年生へと上がっていくこととなります!
進級後の彼等の織りなす物語も、是非ともお楽しみに!

以前2月中にお届けするとか言っていた超バトルDVD枠のお話についてですが、遅くなってしまい申し訳ございませんが、4月半ば頃公開といたしますので、是非ともお楽しみに!

今回の変身ポーズ講座は禍炎(一茶)となります!
…需要があるかはさておき、前回の真黒のものと比較してみるのもアリかもしれませんね。
①左手で炎呪之御札を取り出し、顔の左横に構えます。
②焚書ドライバーの前面に翳して、上のスロットに途中まで差し込みます。
③右手で八咫烏アヤダマ、左手で餓者髑髏アヤダマをそれぞれ顔の横まで上げて、起動します(持ち方は時雨達と共通)。
④そのまま八咫烏アヤダマを右の、餓者髑髏アヤダマを左のスロットに装填します。
⑤左手を握り込み変身!の掛け声を上げます。
⑥左の拳で炎呪之御札を押し込みます。

…という手順となっております!
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