仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第参拾話「祝新学年!やってきたのは挑戦者!?」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

最近咲穂に避けられていると感じた調のために、咲穂の真意を探るべく漫画研究部を訪れた時雨達!

 

そこで謎の漫画によって皆が次々と夢の世界に取り込まれる事件が起きる!

 

咲穂の機転によって危機を乗り越え、時雨達は無事に犯人のマクラガエシを撃破するのだった…。

 

そして咲穂は調に…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「今日から3年生かぁ…」

 

 桜が満開に咲き誇り、桜色のトンネルとなっている通学路を通り抜けた時雨は、自身が最高学年になったことに感慨の声を漏らしながらクラス発表の掲示板を見て、自分の名を探す。

 

時雨「あっ、あった。今年もA組か」

 

咲穂「あ、時雨君。おはようございます」

 

時雨「あっ、咲穂さん。おはよう。今日から3年だね」

 

咲穂「そうですね。…あっ、私もA組でしたので、今年は同じクラスですね」

 

時雨「そうなんだ!一年間よろしくね」

 

咲穂「ええ、よろしくお願いします」

 

 自分の名を見付け、A組であることを確認した時雨に話しかけた咲穂は時雨と同じA組であることを明かす。

 

咲穂「そういえば、私だけではなく──」

 

雪音「おはようございます。時雨君」

 

夢華「晴っち、おっはよー!」

 

時雨「雪音ちゃん、桃原さん。おはよう」

 

雪音「時雨君、私達も同じクラスなのですよ」

 

夢華「そういうわけだからよろしくねー!」

 

時雨「そうだったんだ!じゃあ二人も一年間よろしくね!」

 

 咲穂が口を開いたところで、示し合わせるように後ろから雪音と夢華が現れる。

 そして、雪音と夢華の二人もまた、同じクラスであることが明かされる。

 

雪音「では教室へ向かいましょうか」

 

時雨「ああ、うん」

 

夢華「だねー」

 

咲穂「そうしましょうか」

 

時雨(そういえば…凪桜ちゃんと調君はどうなったんだろ…大丈夫かな?)

 

「……チッ、イチャイチャしやがって…!」

 

 雪音達に合わせて共に3年A組の教室へ向かう最中、時雨は凪桜と調のことを想う。

 学年が違う故に少し心配になったのだ。

 そして、そんな様子を見て、とある男子生徒が一人、不快そうな態度を見せていた…。

 

凪桜「…ふむ」

 

調「あっ、凪桜ちゃんだ。おはよう」

 

凪桜「お、調。良いところに」

 

調「?」

 

凪桜「どうやら今年は私達も同じクラスらしい」

 

調「そうなんだ。今年もよろしく」

 

凪桜「ああ」

 

調「ホントだ。2年A組か〜。俺、去年はクラスに友達いなかったから凪桜ちゃんと同じクラスで良かった〜」

 

凪桜「私も嬉しい。それに、調と同じクラスなら咲穂先輩との仲の進展具合も聞きやすいし」

 

調「ぶふぉっ!!」

 

凪桜「!?大丈夫…?」

 

調「ゲホッ…ゲホッ…う、うん。大丈夫。それより!なんで凪桜ちゃんが知ってるの!?」

 

 時雨が教室に向かっていた頃、2年生のクラス発表掲示板の方を少し離れたところからぼんやりと眺めていた凪桜を見付けた調は、凪桜と自身が同じクラスであると知り喜ぶが、凪桜が咲穂との一件を知っていると聞いて飲んでいたお茶を思わず吹き出すほど激しく動揺する。

 

凪桜「なんでと言われても…この間の件で咲穂先輩に告白されたんでしょ?」

 

調「いやだから!それをなんで知ってるのさ!」

 

凪桜「咲穂先輩が自分で言ってた。なんでも心配かけたからちゃんと説明しておきたいって」

 

調「律儀!!」

 

 まさかの告白した側本人が情報の漏洩元であると知り、調は思わずツッコミを入れてしまう。

 

調「というか凪桜ちゃんってそういう恋愛ごとに興味とかあったんだ。あんまりそういうの興味のないのかと思ってたし、意外かも」

 

凪桜「そう?別に私だって人並みに興味ある方だと思う。それに…調も咲穂先輩も、私にとって大切な存在だから。その二人が幸せになってくれたら嬉しいと思う」

 

調「…そ、そっか」

 

凪桜「?どうしたの?…照れてる?」

 

調「て、照れてないから!」

 

 思わぬ形で凪桜から自分達を大切に思っていることを聞き、少し照れてしまう調だったが、それを凪桜に指摘されると、照れ隠しで誤魔化す。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雪音「そういえばお二人はこのクラスの担任はご存知ですか?」

 

時雨「えっ?知らないけど…」

 

咲穂「私も存じませんね」

 

夢華「ふふふ…晴っちも咲穂ちゃんもきっと驚くよ」

 

時雨「?」

 

咲穂「…?」

 

 雪音と夢華の意味深な態度に不思議そうにしていた時雨と咲穂だったが、すぐにその意味を知ることになる。

 

聖「はーい、着席してー」

 

時雨「えっ?藍羽先生!?」

 

咲穂「あら…もしや」

 

聖「やあ晴河君。おはよう。さ、席に着いて」

 

時雨「お、おはようございます。…え、まさか……」

 

聖「今年から本格的に担任をすることになった藍羽聖です。…まあ、知ってる人が多いと思うけどね。高校生活最後の一年が良きものとなることを願っているよ」

 

 時雨のクラスの担任…それは聖だった。

 雪音と夢華の言葉の意味を悟った時雨は、驚きを隠せない様子を見せるのだった…。

 

時雨「藍羽先生が僕達の担任!?」

 

咲穂「成る程…これはビックリですね〜」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第参拾話「祝新学年!やってきたのは挑戦者!?」

 

時雨「いやあ、まさか藍羽先生が担任の先生になるなんて…」

 

咲穂「私も驚いてしまいました。今年から照羅巣高校の方で本格的に教師として配属されたそうですね…」

 

時雨「…しかも、僕達が同じクラスなのも、その担任が藍羽先生なのも、あの事件を通しての僕達の活躍を知っての配慮だったなんて…」

 

咲穂「さて、始業式も終わりましたけど…時雨君はこの後どうするんですか?」

 

時雨「僕は貴真賀の方まで行こうかなって。汰月君と賢昇君とご飯でも食べに行こうって話になってさ」

 

咲穂「それは良いですね。仮面ライダー同士、仲を深めることにも繋がりますし」

 

時雨「そういう咲穂さんはどうするの?」

 

咲穂「私は調君に会いに行こうかと思いまして…なんとなく部室にでもいそうですし」

 

時雨「あー、確かに。積極的だね。…それなら僕もちょっとだけ顔出してから行こうかな」

 

咲穂「まあ、本気ですので。…では行きますか」

 

時雨「だね」

 

 始業式を終え、雪音と夢華が生徒会室に向かったこともあり、調へ会いに行きたいと思った咲穂は歴史研究部の部室へ向かおうと考え、この後予定はあるものの少しだけならと時雨も同行することに決める。

 

「あなた仮面ライダーと一緒にいた人ですよね!」

 

凪桜「いや、だから…」

 

「仮面ライダーはどこに!?」

 

調「えっ、えっと…」

 

時雨「あれ?凪桜ちゃんに調君」

 

咲穂「お二人ともどうしたのですか?人に囲まれて」

 

 昇降口を出た時雨と咲穂は何故か生徒達に囲まれてタジタジとしている凪桜と調を見付ける。

 

「あっ、この人達は残りの二人だ!」

 

「この人が仮面ライダー妖魔…!」

 

「結構優しそうな人だね…」

 

時雨「えっ、ちょっ…え…何!?」

 

凪桜「どうやらこの人達、時雨先輩のファンらしいんだ」

 

時雨「ファン!?」

 

「あの、変身してみてくれませんか!?」

 

時雨「いや、戦う相手もいないのに変身するっていうのも…」

 

「あの三人くっついたやつはどうですか!?」

 

時雨「あー、二人がビックリしちゃうからいきなりは…」

 

 どうやら先日の一件をキッカケに時雨…仮面ライダー妖魔への憧れを抱いた生徒達であるらしいことを知り、あっという間に囲まれた時雨もタジタジとしつつ応対する。

 そんな中、群がる生徒達を押し除け、一人の男子生徒が前へ進み出る。

 

「…おい、仮面ライダー妖魔」

 

「何アイツ…」

 

「なんか出てきたぞ…」

 

時雨「君は確か…同じクラスの 波佐見(はさみ) 沢彦(さわひこ)君ですよね?…えっと、何でしょうか」

 

沢彦「……お前、調子乗んなよ。お前を倒せば…俺がこの学校の頂点だ」

 

《蟹坊主!》

 

時雨「アヤダマ…!?というかなんでそんなヤンキーみたいなノリなんですか!?」

 

沢彦「うるせえ!大したことない癖にチヤホヤされて調子乗ってんだろ!?俺が叩きのめして…無様な姿を晒してやるよ!……そうすればあの人だって、目を覚ますはず…!」

 

《蟹坊主…》

 

「か、怪物になった!」

 

「なんなんだよコイツ!?」

 

 突如現れた男子生徒…波佐見沢彦は、一方的に時雨に詰め寄ると、緋色の蟹坊主アヤダマを取り出し、その力を取り込んで巨大な蟹を人型に纏めたような外見のモノノケ・カニボウズの姿へと変貌する。

 

時雨「…そう来るなら、仕方ないかな」

 

リュウジン「時雨、人が多いから我の力はやめた方がいい」

 

時雨「…分かりました。それなら…!」

 

《鳳凰!》

《聖獣装填!》

 

時雨「変身!」

 

《聖獣装着!変化!

 

聖炎復活!鳳凰ヨロイ!》

 

「おおー!仮面ライダーだ!」

 

「やっちゃえー!」

 

凪桜「そうだそうだー!そんな奴こてんぱんにしちゃえー!」

 

妖魔「…やりにくいなぁ。てか凪桜ちゃんは加わってないで皆を避難させてよ!?」

 

カニボウズ「隙ありだオラァッ!」

 

妖魔「うわっ!?…もう、仕方ないか。物語的にも、話し合いができそうな流れじゃないもんねこれ!」

 

 時雨は妖魔 鳳凰ヨロイへと変身すると、カニボウズとの戦闘に入る。

 他の生徒に混じって応援してくる凪桜に対しツッコミを入れていたところにカニボウズが後ろから右腕の鋏で斬りかかるが、妖魔は妖之流星刀で受け止める。

 

カニボウズ「オラッ!どりゃあっ!」

 

妖魔「くっ…成る程…中々パワフル…!」

 

カニボウズ「ふんっ!やっぱり仮面ライダーなんて、大したことねえな!」

 

妖魔「そこまで言われて…引き下がるわけにもいかないか!はああ…はあーっ!!」

 

カニボウズ「チッ…!」

 

「うわあっつ…くない…」

 

「寧ろ心安らぐ…」

 

妖魔「やっぱり人の多い所なら鳳凰ヨロイが一番だね!はあっ!!」

 

カニボウズ「くっ…!」

 

 妖魔はカニボウズの鋏による連撃に押されそうになるが、奮起して自身の周囲に聖なる炎を振り撒くことで、周囲の生徒達を巻き込まずにカニボウズにダメージを与える。

 

カニボウズ「そんなうぜえ炎…消してやるよ!ふん!」

 

妖魔「泡っ!?うわ…何これ…動きずらい…!?」

 

カニボウズ「ふんっ!!」

 

妖魔「うわあっ!?」

 

 怒ったカニボウズは泡を放って妖魔に反撃し、命中した泡によって妖魔はその動きを阻害されてしまい、カニボウズによる斬撃を喰らってバランスを崩してしまう。

 

カニボウズ「うらあああっ!!」

 

霊魂「させるか!」

 

カニボウズ「なっ!?」

 

幽冥「オラァッ!」

 

カニボウズ「ぐっ…!」

 

妖魔「汰月君に賢昇君!?」

 

 妖魔に追撃を加えようとしたカニボウズに対し、乱入して銃撃を叩き込んだのはレーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーを構えた霊魂 ミズチヨロイ。そして、それに続いて斬撃を放ったのはレーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカーを振るう幽冥 ギュウキヨロイだった。

 

「津久代に佐乃緒の仮面ライダーだ!」

 

「三人の仮面ライダーが揃ったぞ!」

 

霊魂「随分と賑やかな戦闘現場だ」

 

幽冥「ったく、世話のかかる奴だな」

 

妖魔「二人とも、どうしてここに…!?」

 

霊魂「なんでって、時雨があまりにも遅いから心配になって見にきたんだよ」

 

幽冥「ま、結果的には正解だったな」

 

 何故霊魂と幽冥が駆け付けたのかを問う妖魔に対し、二人は待ち合わせに来ない時雨を心配して迎えに来たことを明かす。

 

カニボウズ「…チッ、気に入らねえ…!」

 

「あの三人くっつくやつ見たいー!」

 

「やってくれよー!」

 

幽冥「あ?ギャラリーからの要望ってか?」

 

霊魂「俺達の団結をアピールするのは大事なことだし、ここはやっておこうか」

 

妖魔「…分かった!」

 

《三倍装填!》

 

妖魔「二人とも!いくよ!」

 

霊魂「ああ!」

 

幽冥「おう!」

 

《妖魔!》

《霊魂!》

《幽冥!》

 

《合体装着!変化!

 

三位一体!阿修羅ヨロイ!》

 

「おおー!!」

 

「すげえ!本物をこんな近くで見れるなんて…!」

 

「やっぱ奇抜な見た目してんなぁ…」

 

 現在の情勢も鑑みて、三校のライダーが団結していることを積極的にアピールした方が良いと判断したこともあり、妖魔は霊魂、幽冥と共に阿修羅ヨロイへと合体変身を果たし、ついでにその余波で泡を吹き飛ばす。

 

カニボウズ「このヤロッ!っ…!?」

 

幽冥『残念だったな?届かねえよ』

 

妖魔「はあっ!」

 

カニボウズ「うぐあっ!!」

 

 カニボウズは鋏を振り下ろして攻撃を仕掛けるが、幽冥の持った盾状態の妖之盾槍に阻まれ、その隙に妖魔のストレートパンチを喰らって吹き飛ばされる。

 

カニボウズ「この…!」

 

霊魂『おっと、させないよ?』

 

カニボウズ「ぬわっ!?」

 

 立ち上がって反撃に転じようとするカニボウズに、霊魂は銃状態の妖之斧火縄による射撃で牽制する。

 

霊魂『時雨、決めよう』

 

幽冥『思いっきりぶちかましてやろうぜ』

 

妖魔「分かった!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

《妖魔!》

《霊魂!》

《幽冥!》

《全員!》

 

カニボウズ「なっ…!」

 

妖魔「いくよ!」

 

霊魂『ああ!』

 

幽冥『おう!』

 

《三位連撃!》

 

「「「はあーっ!!!」」」

 

カニボウズ「うぐあああっ!!」

 

 妖魔は跳び上がり、妖魔 龍ヨロイ、霊魂 大蛇ヨロイ、幽冥 鬼ヨロイの幻影と一つになると、雷、水、炎のエネルギーを纏わせた右脚で跳び蹴りを叩き込み、カニボウズを変身解除に追い込む。

 

妖魔「よし、アヤダマを回しゅ…ってうわあっ!?」

 

「凄いです!」

 

「流石仮面ライダー!」

 

「悪いモノノケを倒した!」

 

沢彦「くっ…覚えてろ…!」

 

霊魂『あっ、ちょっと…』

 

幽冥『!やべ、逃げられたぞ!?』

 

妖魔「え、ええ〜!?」

 

 カニボウズを撃破し、蟹坊主アヤダマを回収しようとした妖魔だったが、戦闘を見て興奮した生徒達が詰め寄ってきたことで動きを封じられてしまい、結果として沢彦を取り逃してしまうのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

賢昇「結局取り逃しちまったな…」

 

汰月「なんだったんだ?アイツ」

 

時雨「それが僕にもよく分からなくて…新しいクラスメイトなんだけど…」

 

 時雨達は貴真賀にあるファミレスで昼食を食べながら先ほどのカニボウズについて話し合う。

 因みに、時雨はハンバーグセット、汰月はシーフードパスタ、賢昇はオムライスを頼んでいた。

 

時雨「まあ、どうにかするよ。照羅巣の問題だしね。…そういえば二人は三年になって何か変わった?」

 

汰月「んー、俺はそんなにかな。星海や朔、愛菜とも同じクラスだし」

 

賢昇「俺も結佳とは引き続き同じクラスだし、変わり映えはそんなにしねーな。…あ、けどアレだな、アイツと同じクラスになったぜ」

 

汰月「アイツ?」

 

賢昇「おう。梨林拓矢」

 

時雨「えっ!?それって佐乃緒の生徒会長の…」

 

賢昇「おう」

 

 特に変わり映えはないという汰月に対し、賢昇も同じと言いつつ、一つだけ変化があったことを告げる。

 なんとあの佐乃緒の生徒会長の拓矢と同じクラスだというのだ。

 

賢昇「けどまあ、やっぱりアイツもヌラリヒョンのせいでおかしくされてたんだなってよーく分かったよ」

 

時雨「何かあったの?」

 

賢昇「おう。アイツ三年に上がって早々にクラスの奴等全員にこう宣言したんだ。『この俺が佐乃緒を変えてみせる!俺こそが佐乃緒の革命家だー!!』ってな」

 

汰月「……変な奴なのは変わらないんだな」

 

時雨「ははは…。けどまあ、不健全な独裁者よりは全然いいよね」

 

賢昇「だな。だからアイツとダチになった」

 

時雨「へぇ、それは良かった…って、ええ!?」

 

汰月「いつの間にそんなに仲良くなったんだ…」

 

賢昇「ま、柿田先輩にも頼まれたしな。俺も可能な限りアイツのことを手伝ってくつもりだ」

 

汰月「そうか。それじゃ、生徒会とも和解か?」

 

賢昇「まあな。…それに、拓矢は約束してくれた」

 

拓矢『お前のイジメを無くしたいという願い…思いは俺も同じだ。だからこれからは手を貸してくれないだろうか。約束する。必ず皆が過ごしやすい高校に変えてみせると』

 

賢昇「だから、これからバスターズは生徒会と連携して校内のイジメを撲滅する活動をしていくことになった」

 

 賢昇は拓矢との和解と、これからの協力について嬉しそうに語るのだった。

 そんな様子を見た後、汰月は時雨に水を向ける。

 

汰月「そういえば時雨はどうなんだ?三年になって」

 

賢昇「そうだぞ。お前の話も聞かせろよ」

 

時雨「僕?僕はそんなに大きく変化はないけど、今年は咲穂さんと雪音ちゃん、桃原さんが同じクラスになったから、それは嬉しいかな」

 

汰月「そっか。去年は違ったんだっけ。それは心強いな。…そうだ時雨、凪桜は…変わりない?」

 

時雨「凪桜ちゃん?普通に元気だよ。この間も一緒にワンダーファンタジアのグッズを買いに行ったけど、珍しくはしゃいでたし」

 

汰月「…ならいいか」

 

賢昇「?」

 

汰月(この間、夢の世界で見た凪桜…アレは…なんだったんだ?)

 

 時雨の話を聞きつつ、汰月はそれとなく凪桜について探りを入れるも、特に何かあった様子は見受けられず、謎は深まるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「あのモノノケに変身してた人について何か分かったんだって?」

 

調「はい。どうやらあの波佐見って人、生徒会に入ってるみたいですよ」

 

時雨「そうなの!?」

 

調「はい。部活の後輩だって人から聞きました」

 

時雨「そっか。それなら雪音ちゃんに聞いてみよう。ありがとね、調君」

 

調「お役に立てたなら何よりです!」

 

時雨「それにしても、少し前まで人見知りだったのに、今や生徒から情報収集してきてくれるようにまでなってくれて、すっかり頼もしくなったね」

 

調「俺も、歴史研究部の力になりたいですから!まあ、まだあんまり知らない人と話すのは慣れないですけど…」

 

時雨「それでも一歩ずつ前に進んでるから凄いよ。頼りにしてるね。僕も頑張んないと!」

 

調「!…はいっ!」

 

 調から情報を得た時雨は、その成長を讃え、そして教室へ向かう。

 

雪音「このクラスの波佐見君ですか?ええ、確かに生徒会の一員ですよ」

 

時雨「やっぱりそうなんだ」

 

夢華「はさみんねー、生徒会では庶務をやってて、ちょっと真面目すぎるとこがあるんだよねー」

 

雪音「……夢華さんが奔放すぎるというのもありますけどね」

 

夢華「それだけにビックリだなぁ。まさか昨日のモノノケ騒ぎがはさみんの起こしたものだなんて」

 

雪音「確かにそうですね…」

 

時雨「そっか…」

 

夢華「というかこれで照羅巣生徒会でモノノケになった人二人目でしょ?私が言うのもなんだけど多すぎでしょー」

 

雪音「本当に夢華さんが言うことではないですね…」

 

時雨「はは…」

 

 事件を起こした犯人である沢彦がそんなことをするような人物ではないと思っていた二人は、それだけに驚きを隠せずにいた。

 動機も分からず手詰まりかと思っていた時雨だったが、夢華が何か思い当たったような様子を見せる。

 

夢華「はさみんはさみん…あっ」

 

時雨「?何かあった?」

 

夢華「えっと、一つ確認なんだけど、はさみんは晴っちに対して喧嘩をふっかけたんだよね?」

 

時雨「ええ…まあ。僕のことが気に食わなさそうな感じだったけど…嫌われるようなことした覚えもなくて…」

 

夢華「あー、そゆことか…」

 

時雨「えっ、何か分かったの!?」

 

夢華「うん。分かったよ。けど…うーん、晴っちだけ向こうに来てくれない?」

 

雪音「?私は聞かない方がいいということですか?」

 

夢華「そうだね。流石にこれを雪ちに言うのは…はさみんが可哀想だから」

 

雪音「???…まあ、分かりました。夢華さんがそう言うなら何かあるのでしょう」

 

 沢彦の行動理由について何か思い当たることがあったらしい夢華は、その内容を雪音に聞かせるべきではないと判断し、時雨だけを別の場所に連れ出す。

 

時雨「それで、分かったことっていうのは…?」

 

夢華「あのね。はさみんってさ、雪ちのこと好きっぽいんだよね…」

 

時雨「えっ?…あー…そういうこと」

 

夢華「そういうこと。雪ちって、仲の良い晴っちは実感しにくいかもだけど、基本男子からは高嶺の花扱いされてるからさー」

 

時雨「まあ、そうなるのは分かるけどね」

 

夢華「それで、多分はさみんはさ、至って普通な男子の晴っちが仮面ライダーだから雪ちと仲良くなって頼られてるって思ってるんじゃないかな。それが気に食わなかったんだと思うよ」

 

時雨「…成る程」

 

夢華「勿論、実際のところは晴っちと雪ちとの間には仮面ライダーとなる前から積み上げてきたものがあって、だからこその仲なんだけど、そんなの外野には分からないからねー。きっと、そんな些細な嫉妬心を煽られたんだと思うよ。…私がそうだったから」

 

時雨「桃原さん…。ありがとう、教えてくれて」

 

夢華「いーのいーの!今回はどうやらウチのメンバーの不始末みたいだし、そうでなくても…晴っち達には沢山借りがあるからね。力になれるなら嬉しいよ」

 

 事情を教えてくれた夢華に礼を言う時雨。そして、そんな時雨に力になれたことが嬉しいのだと夢華は答えるのだった。

 

時雨「じゃあ波佐見君を止めるには…」

 

夢華「んー、あっ、そうだ晴っち、一つ良い策があるよ」

 

時雨「良い策?」

 

夢華「うん。はさみんには一回ちゃんとお灸を据えておかなきゃだからね」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

沢彦「……」

 

夢華「どしたのはさみん、ちょっと落ち着かなさそうだけど」

 

沢彦「い、いや…」

 

夢華「あ、そうだはさみん、頼み事があるんだけど、いいかな?」

 

沢彦「何…?」

 

夢華「雪ち、今席外してるでしょ?旧部室棟の方に行ってるから、ちょっと呼んできてほしいんだ。目を通してもらいたい書類があるからね」

 

沢彦「わ、分かった!」

 

夢華「よろしくね〜。…さて、と」

 

 生徒会室での事務作業中、夢華は沢彦に近付くと、旧部室棟の方まで向かうよう仕向ける。

 

沢彦「えっと、この辺か…。あ、いた。楓山…さん……」

 

 旧部室棟の方までやって来た沢彦は、そこで楽しそうに談笑する雪音と時雨を見つける。

 

雪音「まあ、そんなことが」

 

時雨「うん。それとね──」

 

雪音「ふふ、それは楽しそうですね」

 

沢彦「……晴河時雨…仮面ライダー妖魔。…またアイツだ。楓山さんはいつもアイツのことばかり見ている。なんで…なんでアイツだけ…!」

 

 雪音が自分には向けない柔和な笑顔を向けて談笑する時雨に、沢彦は憎悪を滾らせる。

 

沢彦「晴河時雨…!」

 

時雨「!来た…。波佐見君」

 

沢彦「…なんでいつもお前ばっかり…!うあああっ!!」

 

《蟹坊主!》

 

雪音「…やはり、波佐見君だったのですね…」

 

沢彦「俺が…俺がお前を倒して…!その座を奪うんだ!!」

 

《蟹坊主…》

 

 時雨と雪音の前に姿を現した沢彦は蟹坊主アヤダマを取り出し、カニボウズへと変貌する。

 

カニボウズ「お前なんか…!全部壊してやる…!」

 

時雨「止めさせてもらいますよ」

 

雪音「私も共に戦います。生徒会の不始末でもありますから」

 

《龍神!》《真打!》

《『真価覚醒!』》

 

《ユキオンナ!》

 

《装填!》

 

《インストール!》

 

「「変身!」」

 

《憑依装着!変化!

 

『画竜点睛!龍神ヨロイ・真!』》

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

凍結Blizzard!ユキオンナヨロイ!》

 

カニボウズ「楓山さんまで…俺を…うわああああああっ!!」

 

妖魔「はっ!」

 

氷雪「完全に感情が暴走していますね…止めましょう」

 

妖魔「そうだね!」

 

 時雨と雪音が変身した妖魔 龍神ヨロイ・真と氷雪 ユキオンナヨロイを前にしたカニボウズは、ショックのあまり暴走状態となりながら襲いかかるも、その鋏による一撃を妖魔が剣状態の龍神之大砲剣により防ぐ。

 

妖魔「はあああっ!!」

 

氷雪「やあっ!!」

 

 妖魔は龍神之大砲剣を振りかぶってカニボウズへ向かっていき、氷雪はレーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーによる射撃で援護する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

賢昇「よっ」

 

星海「あ、降谷さん。こんにちは」

 

賢昇「おう。…これ、連絡したエンマの爺さんからのお土産」

 

星海「あ、温泉饅頭」

 

汰月「どうしたのこれ?」

 

賢昇「この街での事件も収束して少し時間が出来たらしいから人間界の温泉に遊びに行ってたんだと。んで、こないだ修行しに地獄府行ったらこれを星海に渡せって言われてな。人使いの荒いジジイだぜ」

 

汰月「罰当たりな奴だなぁ…」

 

 津久代高校を訪れた賢昇。その目的は星海にエンマ大王からのお土産を渡すことだった。

 そんな自身の扱いに対して愚痴を垂れる賢昇だったが、あまりに罰当たりな内容に汰月も苦笑する。

 

賢昇「ま、偶には遊びに行ってやってくれ。エンマの爺さんも喜ぶだろうしな。そうそう、ウチの奴等も会いたがってたから、気軽に顔出しに来てくれよ」

 

星海「はい。ありがとうございます!」

 

 賢昇や地獄府やバスターズにも遊びに来るよう言われ、星海は嬉しさから笑みを浮かべる。

 

オオガマ「楽しそうだねぇ…」

 

賢昇「あ?…お前は…!」

 

汰月「オオガマ…!」

 

オオガマ「その女はバケモンだぜ?そんな奴と一緒に仲良しこよししてて良いのか?…大人しくその女を引き渡せ」

 

 汰月達の前に姿を現したのはオオガマ。その悪辣な物言いに、汰月と賢昇は眉を顰める。

 

汰月「お前のその話は聞き飽きた」

 

《ミズチ!》

 

オオガマ「フッ…お前等じゃ俺には勝てんよ」

 

賢昇「やってみなきゃ…分かんねえだろ!」

 

《ギュウキ!》

 

《インストール!》

 

「「変身!」」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!》

 

《激流Splash!ミズチヨロイ!》

 

《猛火Burning!ギュウキヨロイ!》

 

霊魂「はああっ!!」

 

幽冥「フンッ!!」

 

オオガマ「へっ…いいぜ?かかってこいよ」

 

 怒りを滲ませつつ汰月は霊魂 ミズチヨロイへ変身してレーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーでオオガマを銃撃し、賢昇は幽冥 ギュウキヨロイへと変身してレーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカーでオオガマへ斬りかかる。

 

霊魂「いい加減星海に付き纏うのをやめろ!」

 

オオガマ「そいつはお断りだな。何せ…それが仕事なんで…ね!」

 

幽冥「なっ、うああっ!!」

 

霊魂「くっ…!」

 

 霊魂の怒りの籠った拳を軽く捌いたオオガマはその言葉にも軽い調子で返すと、舌を伸ばして二人を打ちのめす。

 

幽冥「気色悪りぃ攻撃の仕方しやがって…!」

 

霊魂「だったらその舌をどうにかするまで!」

 

オオガマ「無駄なことを…」

 

幽冥「だああっ!!」

 

霊魂「覚悟しろ!」

 

オオガマ「ふん…ゲルォォァアッ!!」

 

霊魂「な…うあああっ!!」

 

幽冥「くっ…うぐああっ!」

 

 オオガマの伸ばした舌を掻い潜りつつ銃撃や斬撃で捌いて接近した霊魂と幽冥は同時に攻撃を仕掛けようとするが、その瞬間にオオガマは凄まじい爆音による衝撃波を放つことで二人を吹き飛ばす。

 

星海「日島さん!降谷さん!」

 

霊魂「コイツ…どれだけ成長したんだ…!?」

 

幽冥「流石に五行…手強いな…!」

 

オオガマ「ふん。さあ来てもらうぞ、蛇の一族の娘…!」

 

星海「ヒッ…!」

 

霊魂「星海に触れるなァァッ!!」

 

幽冥「あ?…なんだ…?アレは…ヌラリヒョンの洗脳用のアヤダマ…?」

 

 衝撃波の影響ですぐに動き出せない霊魂と幽冥を鼻で笑うと、オオガマは星海に向かって歩いていく。

 そして、そんなオオガマに激昂する霊魂だったが、そんな霊魂の怒りに呼応するように、その腰にあるアヤカシホルダーにマウントされていた、かつて汰月を洗脳するために使われていた、ヌラリヒョンの創り出した感情干渉用アヤダマが蒼く明滅していたのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

双葉「都黎さん…アレ…!」

 

都黎「ん?…!アレは…そういうことか」

 

双葉「ど、どうします?オオガマに加勢しますか?」

 

都黎「……いや、逆だ。霊魂と幽冥に加勢する」

 

双葉「えっ?なんでですか…!?あの人達は敵だったんじゃ…」

 

都黎「…俺達の()()()()を忘れたのか?俺達がヌラリヒョンに見放された今、俺達が望みを果たすには…ヌラリヒョンの邪魔をする方がいい。あの女を…奴等のもとに渡さない方が…な」

 

《ヤギョウ!》

 

都黎「それに…」

 

凪桜『それが分からないうちは…都黎にも、世模継にも未来はない』

 

時雨『自分が不幸だから誰かを不幸にする、じゃなくて。自分も周りに負けないくらい幸せになる方が良いじゃないですか』

 

都黎「……そうすれば、()()が見つかるかもしれないからな」

 

《インストール!》

 

都黎「変身」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

常闇Darkness…!ヤギョウヨロイ!》

 

 霊魂と幽冥の二人がオオガマと交戦している近くを通りがかった都黎は、共にいた双葉の言葉でその存在に気付く。

 双葉は以前のお返しも込めて都黎は二人と戦うのだろうと考えていたが、意外にも都黎は二人に助太刀することを選ぶと、決戦の日に凪桜や時雨から掛けられた言葉を思い出しつつ、暗夜 ヤギョウヨロイへと変身する。

 

《アヤダマライズ!提灯御化!》

《チャージタイム!》

 

暗夜「はあっ!」

 

《アヤダマバースト!》

 

オオガマ「ぐぬああっ!!…貴様は…!」

 

霊魂「!?昏時、都黎…何故俺達を……!?」

 

幽冥「おいおい、どういう風の吹き回しだよ、これは…!」

 

 霊魂と幽冥を追い詰めていたオオガマに対し、暗夜は不意打ち気味に提灯型の爆発性エネルギー弾を飛ばすと、二人を庇うようにオオガマと対峙する。

 

オオガマ「成る程ねぇ…捨てられたからヌラリヒョン様に噛み付くってわけだ…負け犬は負け犬らしく大人しくしてればいいものを…!」

 

暗夜「……俺達の望みを果たすためには…もはやヌラリヒョンは邪魔だ。…奴の計画を阻害するほかない。故に俺は…お前の邪魔をする」

 

オオガマ「ふざけんなよ裏切り者がァァ!!」

 

霊魂「…力を貸してくれ」

 

幽冥「よく分かんねえが、今回は味方ってことでいいんだよな?」

 

暗夜「…ああ。いいだろう!ふん!」

 

霊魂「はあっ!!」

 

幽冥「だああっ!」

 

オオガマ「チッ…!面倒なことになったな…!」

 

 暗夜は霊魂、幽冥と並び立つと、オオガマに対して闇夜月を振り上げ、斬りかかる。

 そして、それに続いて霊魂は銃撃を、幽冥は斬撃を放ち、オオガマを追い詰めていく。

 

霊魂「はあああっ!!」

 

オオガマ「目障りな…!」

 

霊魂「弾かれる…!」

 

暗夜「ならば…こうするまでだ!」

 

オオガマ「何ッ!?ぐあああっ!」

 

霊魂「おお、ありがとう」

 

暗夜「…気にするな。いくぞ」

 

霊魂「ああ!」

 

 霊魂の放った銃撃をオオガマは舌で弾くが、跳ね返されたレーザー光弾を暗夜が闇夜月を使って切り開いた闇を通じてオオガマにぶつける。

 

幽冥「オラアアッ!!」

 

オオガマ「図に乗るなよ。勢いだけで…この俺には勝てない!」

 

幽冥「それはどうかな?今だ!暗夜!」

 

オオガマ「っ!?」

 

暗夜「ふんっ!」

 

オオガマ「うあっ!この…!」

 

 幽冥はバクレツブースターから火を吹きつつその勢いで斬りかかるも、オオガマには通用せず、弾き返されてしまう。

 しかし、幽冥はバクレツブースターから煙を吐き出してオオガマの視界を一瞬遮ると、その煙の中から暗夜が飛び出て不意打ちの斬撃を喰らわせる。

 

オオガマ「この…!」

 

霊魂「一気に決める。昏時都黎、君も合わせてくれ」

 

暗夜「いいだろう」

 

幽冥「うしっ、いくぞ!」

 

《スペシャルムーブ!》

 

《激流ストライクフィニッシュ!》

 

《猛火ストライクフィニッシュ!》

 

《常闇ストライクフィニッシュ!》

 

「「「はあーっ!!!」」」

 

霊魂「はあっ!」

 

幽冥「ふんっ!」

 

暗夜「ハッ!!」

 

オオガマ「うおおおっ…!うぐああああっ!!」

 

 霊魂、幽冥、暗夜の三人は一斉に電書ドライバーを操作すると、霊魂は水のエネルギーを、幽冥は炎のエネルギーを、暗夜は闇のエネルギーをそれぞれ右脚に集め、そのままオオガマ目掛けて跳び蹴りを叩き込んで爆散させる。

 

汰月「なんとか倒せたか…」

 

賢昇「今回は暗夜に救われたな。ありがとよ、助かったぜ」

 

都黎「…別に、お前達のためではない。俺達の望みのために、それが一番だと思っただけだ」

 

汰月「だとしてもありがとう。お陰で星海を守れた」

 

都黎「!……ふん、俺はもう行く」

 

 汰月から感謝された都黎は、少し照れ臭そうにしながらその場を立ち去っていく。

 

賢昇「あいつも…変わろうとしてんのかもな」

 

汰月「……そうかもしれないな」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

氷雪「はっ!…キャッ!?硬いですね…!?」

 

カニボウズ「うああああっ!!」

 

氷雪「っ!」

 

妖魔「ふっ!はあああっ!」

 

カニボウズ「うぐっ!」

 

 氷雪はアヤカシレーザーアタッカーをレーザーブレードモードに変えてカニボウズに斬撃を叩き込むが、その頑健さに攻撃を弾かれてしまい、逆に鋏による攻撃を受けそうになる。

 しかし、間一髪のところで妖魔が龍神之大砲剣の峰で受け止めて弾き返しつつ、重い斬撃を浴びせてカニボウズを怯ませる。

 

妖魔「大丈夫?」

 

氷雪「ええ。…まだまだいきますよ!」

 

妖魔「うん!」

 

カニボウズ「うあああっ!」

 

妖魔「はっ!…それにしても、暴走したことでパワーアップしたみたいだけど…この固い甲羅をどうにかしないとジリ貧だね…!」

 

氷雪「硬い装甲を打ち破る…せめて脆くなってくれればいいのですが…。!そうです、時雨君。鳳凰の力を使ってくれませんか?」

 

妖魔「ホウオウさんの?……そういうことか!」

 

 妖魔は氷雪の身を案じると、カニボウズの攻撃を左腕の爪を生かして受け流すが、相手の装甲の硬さにより決定打を中々与えられないことを歯痒く思う。

 しかし、氷雪の言葉から、彼女の見つけた突破口に気付き、鳳凰アヤダマを取り出す。

 

《鳳凰!》

《読取装填!一柱!一撃必殺!》

 

妖魔「はあっ!!」

 

《一柱斬撃!》

 

カニボウズ「うぅ…うあっ!ううう…!」

 

妖魔「今だよ!」

 

氷雪「はい!」

 

《インストール!》

 

 妖魔は龍神之大砲剣の刀身に聖なる炎を纏わせると、連続で斬撃を繰り出しカニボウズを圧倒する。

 そして、妖魔の合図を受けた氷雪はその脇から飛び出しながらユキオンナ電子アヤダマをアヤカシレーザーアタッカーに装填する。

 

《スペシャルムーブ!》

 

氷雪「いきますよ…!」

 

《凍結スラッシュフィニッシュ!》

 

カニボウズ「うああ!」

 

氷雪「ふっ…はあっ!はっ!はーっ!!」

 

カニボウズ「うう…うううああ!!」

 

ピシピシ…バガンッ!

 

カニボウズ「うああっ!!?」

 

 氷雪は地面を凍らせてその上を高速移動しながらカニボウズに接近すると、冷気を纏わせたアヤカシレーザーアタッカーによる斬撃を()()()()()()()()()()()()()()()()に叩き込む。

 すると、熱せられていたところから急激に冷まされたことで甲羅が脆くなって罅が入り、氷雪を攻撃しようとしたところで鋏も砕けてしまう。

 

氷雪「時雨君!決めましょう」

 

妖魔「うん!エピローグといこうか!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

《スペシャルムーブ!》

 

《凍結ストライクフィニッシュ!》

 

氷雪「はあああ!!」

 

《『画竜剛撃!』》

 

妖魔「ふっ!」

 

「「はあーっ!!」」

 

カニボウズ「うぐああああっ!!」

 

 氷雪は地面を凍らせてその上を滑ることでカニボウズに素早く接近すると、氷を使って生み出した坂を滑り登ることで飛び出し、その勢いのまま冷気を集めた右脚で跳び蹴りを放つ。

 後を追うように風と雷を纏って超加速した妖魔も雷、風、水、氷、光のエネルギーが渦巻く左脚で跳び蹴りを放ち、同時にカニボウズを貫く。

 

沢彦「うう…」ドサッ

 

妖魔「よしっ!」

 

氷雪「やりましたね」

 

雹介「今回の実験はここまでかな」

 

妖魔「ヌラリヒョン、この間といい…一体何を企んでるんですか!」

 

雹介「ふふふ…単なる実験さ。私は興味のあることは確かめないと気が済まないタチでね。今回はいい実験になった。人間の感情がモノノケの力を高めるということが検証出来たよ」

 

妖魔「そんなことのために…!」

 

雹介「理解出来なくて結構。では失礼するよ」

 

氷雪「ヌラリヒョン…興味本位のためだけにこんな事件を起こすなんて……」

 

 蟹坊主アヤダマを回収したヌラリヒョンは今回の事件を起こした理由を自身の興味本位に過ぎないと告げると、そのまま姿を消すのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

沢彦「うん…」

 

時雨「あ、気が付いたみたいですね」

 

沢彦「!…アンタは……なんで…俺、アンタを襲ったのに…」

 

時雨「まあ、それはそうなんですけど。…だからってあんな所に放置はしてられないですからね。保健室まで連れてきました」

 

智由「最近利用頻度上がってませんか?」

 

時雨「こ、今回は僕じゃないし…前回も僕じゃないですから…」

 

智由「三年になったんですし、あんまり怪我はないように気を付けてくださいね」

 

時雨「はい…」

 

 沢彦が目を覚ますと、そこは照羅巣高校の保健室だった。

 自分を襲ったにも関わらず沢彦を保健室まで連れてくる時雨の優しさに、沢彦は押し黙るが、その一方で時雨は保健室の利用頻度が上がっていることを智由から指摘され、軽く心配される。

 

沢彦「その…俺……ごめん!謝って済むことじゃないけど…」

 

時雨「うん。…気にしてないから大丈夫ですよ。あ、けど雪音ちゃんにはちゃんと謝っておいてくださいね。それと桃原さんにも。二人とも心配してましたから」

 

沢彦「…はい。……晴河って、凄いんだな」

 

時雨「そんなことないと思いますけど。全然普通の高校生ですよ」

 

沢彦「だって…こんなことをした俺を許してくれるなんて。俺なんかとは…器が違うんだなって…そうよく分かったよ」

 

時雨「…反省してる人をそれ以上責めるのは違うかなって思うんです。そもそも誰が気に食わないとか、何が嫌だとか、そんなのって誰にでもある普通の感情でしょう?…勿論誰かに迷惑をかけたりするのは良くないですけど。本当に悪いのは、誰かの感情を煽って弄ぶようなことをすることですから。波佐見君だって被害者なわけだし…謝ってもらえましたし。なら、僕からはこれ以上言うことないかなってだけです」

 

沢彦「……俺はそんな風になれる自信はないな」

 

時雨「無理に変わろうとする必要はないと思いますよ。少なくとも君は今、反省して前へ進もうとしてるんですから。今すぐには無理でも、いつか君のなりたい自分に近付ける日が来ると思いますよ」

 

沢彦「晴河…。ありがとう。俺、晴河みたいになれるよう、頑張るよ…」

 

時雨「え、僕?…ま、まあ、それが波佐見君の目指す道なら……」

 

 落ち込む沢彦を元気づける時雨。そんな時雨の優しさに感化され、沢彦は時雨への敬意を抱く。

 

沢彦「じゃあこれからは師匠って呼ぶよ!師匠!」

 

智由「フッ」

 

時雨「えっ師匠!?そもそも同級生だしそれはちょっと…というか柚木さん今笑いませんでした!?」

 

智由「…気のせいですよ」

 

時雨「笑ってましたって!」

 

智由「気のせいです」

 

沢彦「ししょ〜!!」

 

時雨「おわあっ!?」

 

 何故か時雨に弟子入りし始めた沢彦と、そんな二人の様子に思わず吹き出す智由。

 智由に笑われたのでそのことを追及しようとする時雨だったが、すっかり懐いた沢彦に飛び付かれるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

雹介「いい加減結果を出してもらおうか」

 

オオガマ「出てこい!霊魂!…今度こそ俺がお前を捻り潰してやる!」

 

オオガマ、本気の強襲…!

 

星海「お父さん、お母さん…ごめんなさい…ごめんなさい…」

 

汰月「お前のせいで…星海がどれだけ苦しんできたと思ってるんだッ!!」

 

汰月、怒りの新パワー!?

 

汰月「俺は絶対に…お前を許さないぞ…!!」

 

時雨「新しいアヤダマ!?」

 

第参拾壱話「忍び寄る影!激情爆発!」

 

日曜午後9時!




第三十話をご覧いただきありがとうございます!

今回は新学期回ということで時雨達の進級が話の主軸となりましたが…同時に時雨と他のライダー達との結束強化期間ともなりました!

さて、束の間の平和な時間もどこへやら、次回は汰月に大きな試練が待ち受けているようです。
オオガマとの因縁に決着を付けることが出来るのか、是非ともお楽しみに!

また、時期は未定ですが(恐らく6月ごろ)に仮面ライダー妖魔のスピンオフとして真黒と清那の出会いの物語を描く物語を投稿する予定ですので、そちらもよろしくお願いします!枠的にはBlu-ray特典みたいな感じです!
超バトルDVD枠のお話も明日夜9時に公開となりますので、お楽しみに!

今回の変身ポーズ講座は神羅となります!

①左手で神祝之御札を構えます(イメージ的にはゼロノスカード的な持ち方)。
②そのまま左手を下に持っていって神話ドライバーに神祝之御札を翳します。
③神祝之御札を左手で持ったまま回転させて左手で握るように持ち替えます。
④変身!の掛け声と共にスロットに差し込みます。

…という手順となっております!お付き合いいただきありがとうございました!
また、今回で現在の仮面ライダー達の変身ポーズは一通り出たので、次回以降は毎週ではなく、強化フォーム等で新しい変身ポーズが出た時にのみ投稿していくことになりますので、その時はまたよろしくお願いします!
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