仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第参拾壱話「忍び寄る影!激情爆発!」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

いよいよ迎えた新学期!しかし初っ端から時雨は喧嘩を売られてしまう!

 

その一方でオオガマに襲撃された星海を守るべく立ち向かう汰月と賢昇はピンチに陥るが、そこに駆け付けた都黎との協力で乗り切るのだった…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雹介「オオガマ、蛇の一族の跡取り娘と大蛇石はまだ手に入らないのかい?」

 

オオガマ「申し訳ございません。…この間は後一歩だったのですが……あの裏切り者…昏時都黎の奴が邪魔してきたことで失敗してしまいました」

 

雹介「言い訳は結構さ。…いい加減結果を出してもらおうか、いいな」

 

オオガマ「…はっ」(……霊魂…何度も俺の邪魔しやがって…許さねえ…!」

 

 和邸にて、雹介から詰め寄られるオオガマ。その内心には汰月への憎悪が渦巻いていた…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

 ある日のこと、津久代高校の空き教室で、星海は一人涙を流しながら両親への謝罪をしていた。

 

星海「……お父さん、お母さん…ごめんなさい…ごめんなさい…」

 

汰月「……星海」

 

第参拾壱話「忍び寄る影!激情爆発!」

 

星海「!日島さん…これは…その……」

 

汰月「こめん。盗み見するつもりはなかったんだけど、そこの前を通りがかったら星海の泣いてる姿が見えたから、心配になって」

 

星海「…心配させてしまってごめんなさい。私は大丈夫ですから」

 

汰月「強がらなくたっていいよ。オオガマの言ってることがどこまで本当かは分からないけど…それでも自分が自分の親を手にかけたかもしれなくて、しかもそれを忘れてしまっているかもしれないだなんて、辛くて当たり前だよな。…寧ろごめん、もっと早く気付いてあげられなくて」

 

星海「日島さんも悪くなんてないですよ。…ありがとうございます、日島さんが見つけてくれたから…少しだけ気が楽になりました」

 

汰月「…そう。ならいいけど…」

 

 一人泣く星海の元にやってきた汰月は、そんな星海の苦しみに寄り添おうとする。

 

汰月(星海はずっと苦しんでるんだ…一刻も早く反人間連合を倒して…真実を明らかにしないと)

 

 目尻に溜まった涙を拭いながら気丈に笑ってみせる星海の姿に、汰月は静かに決意を固めるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「……」

 

凪桜「時雨先輩、なんだか難しい顔してるけどどうしたの?」

 

時雨「えっ?あー…実はさっき汰月君に教えてもらったんだけど、どうも汰月君と賢昇君がオオガマと戦っていた時に、昏時さんが助けてくれたんだって」

 

凪桜「都黎があの二人を助けたの?」

 

時雨「うん。…だから、あの時の言葉が少しでも伝わったなら良いなって…」

 

凪桜「うん。…きっと伝わってる。……都黎は、確かに冷徹なところはあるけど…本当は凄く仲間思いなんだ。道こそ違えたし、やり方は間違ってたと思うけど……それでも私は、都黎を嫌いにはなれない。今でも大切な仲間だと思ってる。それに……私にとってはたった一人の家族だから」

 

時雨「…家族?」

 

凪桜「言ってなかったっけ?私と都黎はいとこなんだ。お互い両親はもういないんだけど…」

 

時雨「そうだったんだ…。だから凪桜ちゃんのこと、本当に大切に思ってたんだね。大丈夫…いつか、昏時さん達とも笑い合える日が来るよ」

 

凪桜「…うん」

 

 先日の一件から都黎の変化を感じ取った時雨と凪桜は、いつの日か都黎達と和解し、笑い合える日が来ることを願うのだった…。

 

時雨「って、もうこんな時間!行かなきゃ」

 

凪桜「ああ、津久代高校に呼ばれてるんだっけ?」

 

時雨「うん。オオガマの対策について話し合いたいらしくて」

 

凪桜「そっか。いってらっしゃい」

 

時雨「うん。…いってきます」

 

 凪桜に見送られて、時雨はツクモブースターを発進させ、津久代高校へと向かう。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

汰月「……というわけで、オオガマが星海を狙う行動が本格化する可能性が高い。けど、今のオオガマは厄介だ。この前だって昏時都黎が偶々手を貸してくれなかったら危なかった」

 

賢昇「そこで、俺と時雨が本格的に協力するってことか」

 

汰月「ああ。三人でならオオガマを倒せるかもしれない。奴は復活する度に強くなるからな。中途半端な攻撃ではダメだけど…俺達が力を合わせれば勝てるはず」

 

時雨「成る程…」

 

 津久代高校の治安維持委員会の教室にて、汰月は時雨と賢昇を集めて協力の要請をしていた。

 

星海「すみません…私のせいで…」

 

汰月「星海のせいじゃない」

 

時雨「そうですよ。悪いのは斜馬さんのことを狙うヌラリヒョンやオオガマなんですから」

 

賢昇「そういうことだ。負い目に思う必要はねえ」

 

星海「…皆さん……ありがとうございます」

 

 自分のせいで汰月や時雨、賢昇に迷惑をかけてしまうと考えた星海は謝罪するが、そんな星海に対して三人は口々に気にする必要はないのだと伝える。

 

時雨「それにしても、オオガマって高い再生力を持つモノノケなんだよね?」

 

汰月「ああ。何度も奴を倒してきたが…倒し切れたことはない」

 

賢昇「生半可な攻撃じゃダメ…ってわけか」

 

汰月「そうなる。だから…再生が出来ないほどの強烈な致命打を与えるか、もしくは再生が追いつかないほどの激しい攻撃をぶつけて倒し切るかのどっちかになるだろうな」

 

時雨「僕達で出来る策としては前者の方かな…阿修羅ヨロイの力で最大火力を叩き込む…って感じで」

 

汰月「俺も同意見だ」

 

賢昇「ま、そうなるわな」

 

 オオガマをいかに対策するかについての話をする中で、時雨、汰月、賢昇は阿修羅ヨロイの力を用いることで意見が一致する。

 

賢昇「とはいえ、阿修羅ヨロイは強いなんて、向こうも分かってるわけだろ?警戒されるんじゃねえか?」

 

汰月「ああ。だから最初は阿修羅ヨロイにならずに三人で戦って…隙を作る」

 

時雨「そして隙を突いて阿修羅ヨロイで決める…ってこと?」

 

汰月「そういうこと」

 

賢昇「それでいくしかねえか」

 

汰月「…俺達のコンビネーションなら上手くいく…はずだ」

 

時雨「うん。きっと上手くいくよ」

 

賢昇「だな!俺達の力をオオガマにぶつけてやろうぜ」

 

汰月「…ああ!」

 

 細かく作戦を練る中で、三人の培ってきたコンビネーションであれば上手くいくはず、そう信じると、三人は拳をぶつけ合わせる。

 

星海「…日島さん……」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

都黎「……」

 

賢昇『ありがとよ、助かったぜ』

 

汰月『ありがとう。お陰で星海を守れた』

 

都黎(他人にああして感謝されたのは…初めてだ…。あれ以来、どうにもあの時のことが頭から離れない。……なんなんだこの感覚は)

 

 帽子を目深に被り、街を歩く都黎は先日汰月と賢昇に手助けした際に掛けられた感謝の言葉を思い返し、不思議な気分になっていた。

 

「うぇぇぇん!!」

 

都黎「ん…?あれは……」

 

 ふと都黎が公園の近くを通りがかったところで、子供の泣き声が聞こえてくる。

 どうやら幼い男の子の風船が木に引っかかっていたらしい。

 一瞬素通りして行こうとした都黎だったが、ふと脳内に懐かしい記憶が蘇る。

 

凪桜『うわああん!』

 

都黎『どうした、凪桜』

 

凪桜『わたしの…ふうせんが、木に引っかかっちゃって…』

 

都黎『…待ってろ。すぐ取ってやる』

 

凪桜『ほんと…?』

 

都黎『ああ。…よっ、と……ふっ。…ほら、取ってきたからもう泣くな』

 

凪桜『わぁ…とーりありがとう!』

 

都黎『…ああ』

 

 目の前の男の子と同じように木に風船が引っかかってしまい、泣いている凪桜。

 そんな凪桜のために木に登って風船を取ってあげたことを、都黎は思い出す。

 

「うわああん…」

 

都黎「…おい」

 

「…ぐすっ……?」

 

都黎「これ、木に引っかかったから泣いてたんだろ」

 

「!とってくれたの!?」

 

都黎「……ああ。もう無くすなよ」

 

「うん!おにーさん、ありがと!」

 

都黎「……ありがとう…か」

 

 素通りすることをやめ、都黎は男の子に木から取った風船を渡す。

 そんな都黎に笑顔で礼を言って走り去っていく男の子の姿を見る都黎の顔には柔らかな笑みが浮かんでいた。

 

都黎「…支え合う強さ……少し、分かったかもな」

 

 ふと都黎が街を眺めると、重そうな荷物を持つ人に手を差し伸べ、共に運ぶ人。転んで荷物を落とした人に、拾った荷物を渡していく人々。

 そんな景色を眺め、人々が寄り添い、手を取り合う姿に、都黎はかつて時雨から投げられかけた言葉の意味を少しだけ理解する。

 

餓鬼「ぅうああ…」

 

「キャー!」

 

餓鬼「ぅああ!」

 

「うわあっ!?怪物だー!!」

 

都黎「……コイツ等は…成る程、ヌラリヒョンからの差金か」

 

 街を歩く都黎の前に、何体もの餓鬼が出現する。

 

都黎「仕方ない…。はあっ!」

 

餓鬼「ゔぁあ…!」

 

都黎「はっ!ふっ…ふん!」

 

「「ぅゔあ…!」」

 

 ヌラリヒョンが仕掛けた刺客だと判断した都黎は襲いくる餓鬼達に取り出した闇夜月で斬撃を浴びせていき、跳ね除ける。

 

餓鬼「うぅゔ…!」

 

餓鬼「ゔぁぁ…」

 

都黎「…数が多いな……」

 

《ヤギョウ!》

《インストール!》

 

都黎「変身」

 

《常闇Darkness…!ヤギョウヨロイ!》

 

暗夜「ふ、はあっ…はーっ!!」

 

餓鬼「うゔうう…!」

 

餓鬼「ぅあゔ…!」

 

 都黎は餓鬼の数の多さを視認すると、暗夜 ヤギョウヨロイへと変身し、餓鬼達を次々に斬り伏せていく。

 

餓鬼「うゔ…ぅ…!」

 

暗夜「はっ、ふ…はあっ!!」

 

「「「うゔぅ…ああ!!」」」

 

 暗夜は餓鬼のうちの一体を蹴り倒すと、そこに接近してきた三体の餓鬼を回転斬りで纏めて叩き斬る。

 

暗夜「…これで終わらせる」

 

《アヤダマ装填!》

 

《アヤダマ一閃!》

 

暗夜「ふっ…ふん、はっ、はあっ…はあ!!」

 

 暗夜はヤギョウ電子アヤダマを装填して紫色と黒色のオーラを纏わせた闇夜月を振るって餓鬼達を次々に斬り捨てていき、全員を撃滅する。

 

都黎「……俺もすっかりお尋ね者だな…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

オオガマ「出てこい!霊魂!…今度こそ俺がお前を捻り潰してやる!」

 

汰月「オオガマ…やっぱり出たな」

 

賢昇「俺達が相手だ」

 

時雨「今回は僕も相手です!」

 

オオガマ「ふん、仲間を呼んだか…まあいい」

 

汰月「今度こそ…お前を倒す!」

 

《ミズチ!》

《インストール!》

 

汰月「変身!」

 

時雨「いきますよ…!」

 

《龍神!》《真打!》

《『真価覚醒!』》

《装填!》

 

時雨「変身!」

 

賢昇「俺達の力見せてやる!」

 

《ギュウキ!》

《インストール!》

 

賢昇「変身!」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

激流Splash!ミズチヨロイ!》

 

《憑依装着!変化!

 

『画竜点睛!龍神ヨロイ!真!》

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

猛火Burning!ギュウキヨロイ!》

 

霊魂「はあああっ!!」

 

妖魔「汰月君に続こう!」

 

幽冥「だな!いくぜッ!」

 

 津久代高校を襲撃してきたオオガマを前に、汰月は霊魂 ミズチヨロイへ、時雨は妖魔 龍神ヨロイ・真へ、賢昇は幽冥 ギュウキヨロイへと変身すると、霊魂が先陣を切ってレーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーを構えて突撃していき、妖魔と幽冥もそれに続く。

 

オオガマ「フッ…妖魔、幽冥。お前達の相手はコイツ等だ!」

 

妖魔「!オタマジャクシ!?」

 

幽冥「なんだコイツ等…!」

 

霊魂「何!?」

 

オオガマ「オラ霊魂、よそ見してる暇あんのかよ?ふんっ!」

 

霊魂「ぐあっ!」

 

 妖魔と幽冥の前には、オオガマが召喚した巨大なオタマジャクシが何匹も現れ、二人はそちらの対処に気を取られてしまう。

 一方でオタマジャクシの出現に動揺した霊魂は、その隙を突いたオオガマの舌による攻撃を受けて吹き飛ばされてしまう。

 

妖魔「はっ!はあっ!!…キリがない…!」

 

幽冥「それにコイツ等…妙に動きがすばしっこくて面倒だな!オラァッ!」

 

オオガマ「ケヒヒッ!そんなチンタラしてると…ソイツ等はグングン育ってくぜ?」

 

幽冥「はぁ!?」

 

妖魔「ふっ!…賢昇君!既に脚が生え始めてる」

 

幽冥「おいマジかよ…すばしっこさに磨きがかかってんじゃねえか…!クソ、当たんねえ!」

 

 妖魔は剣状態の妖之弓剣で、幽冥はレーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカーでオタマジャクシ達に対処するが、成長して脚まで生え出したオタマジャクシ達に苦戦を強いられる。

 

オオガマ「霊魂。お前はこの手でたっぷり痛めつけてやる…!ケヒャヒャヒャ…ヒャ!」

 

霊魂「くっ…う…うあああっ!!」

 

星海「!日島さん…!」

 

オオガマ「おい立てよ。まだ終わってねえぞ…!」

 

 オオガマの連続パンチを受けて地面を転がる霊魂。オオガマはその首根っこを掴んで無理矢理立ち上がらせる。

 

《チャージ!》

 

霊魂「この…!」

 

《チャージシュート!》

 

オオガマ「効くかよ。…散々邪魔してくれたからなぁ…こんなんで終わりじゃねえぞ…!」

 

霊魂「!?再生力が上がってる…!」

 

オオガマ「ウラァッ!」

 

霊魂「どあああっ!!」

 

星海「っ…」

 

 霊魂はなんとか抵抗しようとアヤカシレーザーアタッカーからの妖気エネルギー弾を至近距離で放つも、オオガマは直撃した箇所からその傷を回復させ、逆に裏拳で霊魂を殴り飛ばす。

 

霊魂「くっ…!」

 

妖魔「汰月君!…くっ…はあっ!こうも次から次へと来てたんじゃ近付けない!」

 

幽冥「だーもうっ!邪魔くせえなぁ!!このヤロォ!!」

 

妖魔「これじゃ阿修羅ヨロイにも…なる隙がない…!」

 

幽冥「フンッ!厄介なことしやがって…!」

 

 追い詰められる霊魂だったが、妖魔と幽冥は次から次へと現れ、更には成長を続けていくオタマジャクシ達に足止めされてしまい、霊魂の方へ近付くことが出来ない。

 

霊魂「この…!」

 

オオガマ「フン…これでも喰らえっ!ゲルォォ!!!」

 

霊魂「!っ…うぐああああっ!!」

 

星海「日島さんッ!」

 

妖魔「汰月君!くっ…!!」

 

幽冥「汰月!!…邪魔だッ!」

 

 尚も抵抗の意思を見せる霊魂だったが、オオガマの放った衝撃波をモロに喰らってしまい、全身から火花を飛び散らせながら後方へと吹き飛ぶ。

 そのまま変身解除され、電書ドライバーも腰から弾かれて転がってしまう。

 それに気付いた妖魔と幽冥は急いで汰月の元へ駆け付けようとするが、オタマジャクシ達に阻まれ、思うように進めない。

 

汰月「負けて…堪るか…!お前なんかに…ッ!」

 

オオガマ「フン、安心しろ。ソイツの両親みたいに…一撃で逝かせてやるよ」

 

星海「……え…?」

 

汰月「は…?おい…どういうことだ!お前…前に()()()()()()()()()()()とか言ってただろ!!やっぱり…あれは嘘だったってことか!!」

 

オオガマ「ん?…あー、ケヒヒッ、コイツはちっと口が滑っちまったな」

 

 オオガマが汰月にトドメを刺そうと近付く中で口走った一言。それはかつてオオガマが言った星海の過去には相反するものだった。

 その矛盾点からオオガマが嘘を吐いていたことに気付いた汰月は激昂する。

 

オオガマ「そうさ。ソイツの両親を殺して、家を消し飛ばしたのはこの俺だ」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

オオガマ「そうさ。ソイツの両親を殺して、家を消し飛ばしたのはこの俺だ」

 

星海「っ…」

 

汰月「!……なんてことを…!」

 

 悪びれる様子もなく、汰月の質問を肯定するオオガマ。その様に汰月は怒りを強め、星海は顔面蒼白となっていた。

 

オオガマ「奴等、裏社会の住民のくせして娘を守ろうだなんて正義の味方ぶったことを言っててね…思わず殺しちまったよ。ケヒヒッ。…ああ、けど…その娘がバケモノってのは本当だぜ?奴等が今際の際にその娘に大蛇石を託し…その娘は大蛇石の力を解放することでこの俺を一度は倒した。…普通の人間にゃ到底行えない…まさにバケモノの芸当だな!ケヒヒヒヒッ!」

 

汰月「貴様…!」

 

オオガマ「記憶を無くしたと聞いて、適当に嘘吹き込んでやればお前も怖気付いてその娘から離れるかと思ったが…無駄骨だったな?」

 

汰月「…お前のせいで…星海がどれだけ苦しんできたと思ってるんだッ!!」

 

星海『お父さん、お母さん…ごめんなさい…ごめんなさい…』

 

汰月「……俺は絶対に…お前を許さないぞ…!!」

 

オオガマ「ケヒヒ…何だ?」

 

妖魔「はあっ!!一体何が…」

 

幽冥「ふん!…なんだありゃあ…」

 

星海「日島さん…?」

 

 星海の苦しみを思い出し、オオガマの卑劣な策に激しい怒りを覚える汰月。

 そんな汰月の今までにないほどの激情に呼応して、感情干渉用アヤダマが青い光を放つ。

 そして、共鳴した大蛇アヤダマから放たれた青い妖気が感情干渉用アヤダマに吸収され、一際強い光を放つと、感情干渉用アヤダマは黒を基調として青色のラインが走り、前面には金色で「激怒」の文字が刻まれた装飾が施された新たなアヤダマ…その名も“激怒アヤダマ”へと変化する。

 

雹介「…!これは…ふふふ…面白いことになった。まさかこんなことが起ころうとは…!!これだから面白いんだ。人間の感情がモノノケに齎す変化というものは…!」

 

 和邸にて自身の生み出した感情干渉用アヤダマが汰月の怒りと大蛇アヤダマの影響を受けて激怒アヤダマへと変化したことに気付いた雹介は、その事象に対して強い好奇心を覚える。

 

汰月「うおおおおおっ!!!」

 

妖魔「新しいアヤダマ!?」

 

幽冥「マジかよ…」

 

《激怒!》

 

汰月「変身!」

 

《装填!》

 

《憑依装着!変化!

 

激情臨界(げきじょうりんかい)!激怒ヨロイ!》

 

霊魂「……オオガマ…お前は俺が倒す…ッ!」

 

 汰月が激怒アヤダマを妖書ドライバーへと装填し、解放栞を引き下げると、青色と黒色を基調とした大蛇が四匹放たれる。

 そして、表紙を折り畳むと、出現した大蛇達が次々に鎧に変換され、霊魂の素体の上から装着されていく。

 

 そして現れたのは、全身は青色と黒色を基調としつつ、頭部、両腕の前腕部、胸部に一匹ずつ大蛇の頭部が付き、顔面は通常の大蛇ヨロイに似ていながらもより鋭角的な形状となって複眼は黄色に輝いている怒りの戦士…霊魂 激怒ヨロイだった。

 

オオガマ「ああ?…何になろうが関係ない…叩き潰してやるよ!いけ!」

 

霊魂「はああっ!はあっ!」

 

オオガマ「!?嘘だろ…?俺の手下をあんなあっさりと…!」

 

妖魔「凄いパワー…」

 

リュウジン『あの力はまさか……』

 

幽冥「めっちゃ強え…」

 

 オオガマは動揺しつつも霊魂にオタマジャクシ達を嗾けるも、霊魂はそれを一撃で粉砕していく。

 そのあまりの強さに、オオガマどころか妖魔や幽冥までもが驚きを覚える。

 

霊魂「はあああっ!!ふん!ウラアッ!!」

 

オオガマ「なっ…ぐ…うぐああっ!うぅ…な、何だこの強さは…!さっきまでとは…全く別物だぞ…!?」

 

霊魂「うああああっ!!!」

 

妖魔「わっ、なんか出てきた」

 

幽冥「マジかよ…」

 

霊魂「うあっ!ああっ!はああっ!!」

 

妖魔「うわあっ!?」

 

幽冥「っぶねーなっ!」

 

 霊魂は両腕と胸部の大蛇の頭から青黒色の大蛇のオーラを発生させると、それを妖魔や幽冥を巻き込まそうになるのも構わず無茶苦茶に振るって辺りのオタマジャクシを大量に喰らい尽くす。

 

妖魔「なんか…様子変じゃない?」

 

幽冥「ああ…お陰でオタマジャクシどもはどうにかなったが…」

 

霊魂「うあああっ!!」

 

オオガマ「っ…うぐああっ!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

霊魂「これで終わりだァァ!!!」

 

《激情剛撃!》

 

霊魂「うおあああああっ!!!」

 

オオガマ「マズい…うぐああーッ!!」

 

 霊魂は荒々しく妖書ドライバーを操作すると、青黒色の大蛇のオーラが巨大化し、オオガマ目掛けて飛んでいく。

 オオガマは何とか攻撃を回避しようとするが、それも間に合わず大蛇のオーラに襲われ、大爆発を起こす。

 

幽冥「あのオオガマを…」

 

妖魔「倒した…のかな」

 

霊魂「うぅ…うああああっ!!」

 

幽冥「!?おい、何すんだ!」

 

妖魔「何で僕達に攻撃を…!?」

 

オオガマ「フン…どうやら暴走してるみたいだな…」

 

幽冥「生きてやがったのか!」

 

オオガマ「再生能力も強化されてるもんでなァ。とはいえ、ここは引くしかなさそうだ。…この借り…必ず返してやる……!」

 

 オオガマを倒したかと思うと、霊魂はそのまま妖魔と幽冥に襲いかかり始める。

 それを二人が食い止めていると、少なくないダメージを負いつつも生き延びていたオオガマが暴走していることを指摘しつつ、オタマジャクシを置き土産にして逃亡する。

 

幽冥「オオガマの野郎には逃げられちまうし…!」

 

妖魔「暴走って…うわあっ!?」

 

幽冥「あーもう、どうすりゃいいんだよ!」

 

霊魂「うあああっ!」

 

 暴れ回る霊魂の攻撃を何とか凌ぐ二人だったが、どうやって霊魂を止めればいいのか苦心する。

 

妖魔「…そうだ。一つ策思い付いた!」

 

幽冥「あ?なんだよ」

 

妖魔「阿修羅ヨロイを使えば強制的に召集をかけられる。それを利用して…」

 

幽冥「そういうことか。…俺が時間を稼ぐ。その隙に決めろ!」

 

霊魂「うあああああっ!!」

 

妖魔「…分かった!」

 

幽冥「来いよ!汰月!!」

 

霊魂「ぅあああっ!!」

 

幽冥「回避に徹すれば…少しは持つはず…!」

 

 暴走する霊魂を止めるべく、妖魔は阿修羅ヨロイになることを提案し、幽冥がそのための時間稼ぎを買って出る。

 幽冥は大蛇のオーラを何とか避けつつ、バクレツブースターの加速を駆使して霊魂の気を引く。

 

妖魔「あ、ちょっと…邪魔しないで…!よし!」

 

《三倍装填!》

 

幽冥「くっ…!」

 

霊魂「うおおああっ!」

 

 妖魔はオタマジャクシを振り払いつつ、三面ドライバーを装着し、阿修羅アヤダマを押し込む。

 

《妖魔!》

 

妖魔「これで…!」

 

幽冥「やべ…追いつかれる…!」

 

《霊魂!》

 

霊魂「うああ──」

 

幽冥「ふう…危機一髪だな」

 

《幽冥!》

 

幽冥「あ」

 

 自身の周りに黄色の円陣を展開した妖魔はオタマジャクシを弾き飛ばすと、幽冥に攻撃が直撃する寸前だった霊魂を続けて近くに召喚して青色の円陣に閉じ込め、最後に気の抜けた幽冥を赤色の円陣に召喚する。

 

霊魂「ううあああっ!!」

 

妖魔「えっ!?呼び出してもまだ暴れるの!?い、急いで変身しなきゃ」

 

《融合装着!変化!

 

三位一体!阿修羅ヨロイ!》

 

霊魂『うああああ!…って、俺一体、何して…』

 

幽冥『はぁ…何とか止まったな』

 

妖魔「よかったぁ…」

 

 霊魂は陣の中でも暴れ回り、陣を壊しかねない勢いだったため、妖魔は慌てて阿修羅ヨロイへと変身し、何とか霊魂の暴走を止める。

 

霊魂『俺は…』

 

妖魔「…取り敢えずまずは目の前のオタマジャクシ達をなんとかしよう」

 

幽冥『だな。話はそれからだ』

 

霊魂『…分かった』

 

 困惑する霊魂だったが、妖魔と幽冥の言葉で、ひとまずは残ったオタマジャクシの掃討を行うことに決める。

 

妖魔「とりゃあっ!」

 

幽冥『ダァッ!』

 

霊魂『はっ!』

 

妖魔「一気に決めるよ!」

 

《一・撃・必・殺!》

《霊魂!》

 

霊魂『…ああ』

 

幽冥『いくぜ!』

 

《霊魂剛撃!》

 

妖魔「はああ…はーっ!!」

 

 妖魔は霊魂側や幽冥側と連携して寄ってくるオタマジャクシに対処すると、三面ドライバーを操作し、自身を取り巻くように水流を放つ。

 そして、その水流に乗るようにしてその場で跳び上がり文字通りの回転蹴りを放ってオタマジャクシ達を殲滅する。

 

汰月「うっ…」

 

時雨「大丈夫!?」

 

賢昇「消耗が激しそうだな。教室に連れてくぞ」

 

星海「私も手伝います!」

 

汰月「うぅ…」

 

 妖魔が変身を解くと、疲労困憊な様子の汰月が倒れそうになり、三人で教室まで運ぶこととなる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

汰月「っつつ…」

 

克真「あ、動いちゃダメだって」

 

愛菜「一体何があったのですか?」

 

時雨「それが僕達にも何が何だか…って感じで」

 

由香里「…暴走、したんですよね?委員長が…」

 

賢昇「ああ。…一体どうしちまったんだよ?」

 

汰月「怒りが抑えきれなくて、このアヤダマを使った途端…周りが全く見えなくなったんだ…。そして気付いたら…」

 

時雨「暴走していた…ってこと?」

 

汰月「ああ。…このアヤダマ、元はヌラリヒョンが俺を洗脳するためのアヤダマだ。…だから、何か悪い影響を及ぼしたのか…?」

 

賢昇「つってもそれは無力化してるはずだろ?何で今更特殊な力が宿ったりしたんだ?」

 

 津久代高校の治安維持委員会の教室にて、汰月は治安維持委員会の仲間達から手当を受けつつ、自身が暴走していた時のことを振り返る。

 

リュウジン「それについてだが、我に心当たりがある」

 

時雨「リュウジンさん。…心当たりって?」

 

リュウジン「…ヤマタノオロチ、だ」

 

星海「!」

 

賢昇「ヤマタノオロチ?それってあれだろ?あの…頭が8つあるとかいうでけえ蛇だろ?」

 

リュウジン「そのヤマタノオロチだ。そもそも、汰月の持つ大蛇アヤダマはヤマタノオロチの力の一部を宿したものだ。遥か昔にスサノオノミコトに退治されたヤマタノオロチの、その一部だけが力を大きく失いつつも逃げ延び、それがやがて人間達に味方するようになり…」

 

汰月「先代霊魂の使うアヤダマとなった…」

 

星海「…ヤマタノオロチ……どこかで…。っ!」

 

愛菜「…星海ちゃん?」

 

リュウジン「その通り。恐らく、ヌラリヒョンの作った感情のアヤダマには、潜在能力を引き出す術式も入っていたのだろう。そして、その能力が汰月の強い怒りの感情に反応し…連鎖的に大蛇アヤダマにも反応したことで、大蛇アヤダマの持つ潜在能力を不完全な形で引き出したのだろう」

 

 何かを知っていそうな様子を見せるリュウジンは、ヤマタノオロチこそが大蛇アヤダマの源流であると語り、そして激怒アヤダマが誕生したのは、失われていたその力が不完全に復活した故だろうと判断する。

 

リュウジン「さっきも言った通り、ヤマタノオロチはスサノオノミコトに退治された。それは何故か…答えは簡単だ。かつてヤマタノオロチはその力を振るって暴れる荒神だった。だからこそ、“強い怒り”に反応してその力が目覚めたんだろうが…あれはまだヤマタノオロチとしての力を全て持っているわけではない。足りない部分を求めて理性を失い暴れ回っているのだろうな…」

 

時雨「成る程…」

 

克真「委員長、大丈夫なの…それ?」

 

 リュウジンの解説により、暴走する原因を突き止めた時雨達。

 しかし、肝心の暴走の止め方については分からずにいた。

 

賢昇「んで、どうやったら暴走を止められるんだ?」

 

リュウジン「ふむ…ここはやはり不完全な状態ではなく、完全な状態にすればいいのではないか?」

 

汰月「というと?」

 

リュウジン「時雨が我の力を不完全にしか引き出せなかったことで苦しんだように、これもまた同じ理屈になる。ならばヤマタノオロチとしての力を全て引き出せるようにしてやればいいのではないだろうか、ということだ」

 

汰月「…そういうことか」

 

時雨「となると…こういう時はやっぱり田貫教授にお願いするのが一番だよね」

 

星海「ま、待ってください!」

 

 激怒アヤダマの力を制御するための策を探るべく、時雨が夜御哉に連絡をしようとしたところで、星海が突然立ち上がる。

 

汰月「どうしたの?星海」

 

星海「…私、思い出したんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

──自分の過去を」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

星海「一つずつ…順を追って説明します」

 

汰月「そういう、ことだったんだな」

 

明かされる星海の本当の過去!

 

星海「離してください…!」

 

オオガマ「奴を誘き出す餌にしてくれる!」

 

霊魂「うあ゛ああっ!!」

 

幽冥「おい!よせ!」

 

暴走を乗り越えて爆誕!八岐大蛇ヨロイ!

 

汰月「俺はもう迷わない。怒りに飲まれたりもしない。皆を助けるために…お前を倒す!」

 

第参拾弍話「怒りさえも力に!感情爆発!!」

 

日曜午後9時!

 




第三十二話をご覧いただきましてありがとうございます。

今回は霊魂の新たな強化フォームとして激怒ヨロイが登場しました!
かつての時雨が使った龍神ヨロイと同じく強力な力を扱いこなすのには苦労しそうですが、そんな試練を汰月がどう乗り越えるか、是非ともご注目ください!

汰月とオオガマの長らく続く因縁の行方も、是非ともお見逃しなく!
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