仮面ライダー妖魔   作:玲音考人

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第参拾肆話「変幻自在!幻じゃない想いのために」

 

リュウジン「前回の仮面ライダー妖魔は!

 

京都へ修学旅行へやって来た時雨達!

 

修学旅行を楽しむ時雨達だったが、かつて倒したはずの一茶がモノノケの力を使って襲撃する。

 

…そして、反人間連合の魔の手は確実に差し迫っていた……」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

シュテンドウジ「見事な腕前だねえ」

 

リュウジン『……シュテンドウジ…!』

 

妖魔「シュテンドウジ…?」

 

シュテンドウジ「ふっ、久しぶりだな、リュウジン。そう!俺は火を司る五行!シュテンドウジさ!」

 

霊魂「五行だと…!」

 

幽冥「次から次へとなんなんだ!」

 

 突如として妖魔達の前に姿を現したのはシュテンドウジ。

 一瞬でその場に緊張感が満ちる。

 

シュテンドウジ「しっかし妖魔も随分と様変わりしたもんだ。今の妖魔はこんな感じなんだな」

 

妖魔「……!」

 

霊魂「……」

 

幽冥「……」

 

シュテンドウジ「おいおい、俺はお前達と戦いに来たわけじゃねえよ?祭りを盛り上げるために…耳寄りな情報を提供してやろうと思ってね」

 

リュウジン『耳寄りな情報だと…?』

 

 妖魔が大剣状態の龍神之大砲剣を、霊魂がガトリングモードのクサナギガトリンガーを、幽冥がレーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカーをそれぞれ構えて臨戦状態に入るのを見たシュテンドウジは余裕を崩さない態度のままそれを制止する。

 

シュテンドウジ「そうさ。お前達と戦うのにはまだ早い。その舞台はまた別の時に取っておこうじゃないの。…さて、本題に入ろうか。端的に言えば…明日、京の都は大いなる災厄によって破壊される。…オオムカデという、災厄によってね」

 

リュウジン『オ、オオムカデだと…!?まさかお前…!』

 

シュテンドウジ「淀川一茶が今回の宴の立役者となる。…お前達に止めることが出来るかな?」

 

妖魔「…っ…!いない…」

 

霊魂「…京都が…破壊される…」

 

幽冥「ふざけやがって…!」

 

 明日京都が壊滅するということを三人に教えると、炎に身を包んで姿を消すシュテンドウジ。残された妖魔達は降って湧いて来たかのような絶望の宣告に愕然とするのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

第参拾肆話「変幻自在!幻じゃない想いのために」

 

時雨「…まさか、京都そのものを狙ってくるなんて……」

 

汰月「ことのほかスケールの大きい話になってきたな」

 

賢昇「あーもうっ!こうして呑気に宿になんかいる場合かよ!今すぐにでも止めねえと!」

 

リュウジン「いや…それは止めておこう」

 

賢昇「なんでだよ」

 

 夜。宿にやって来た時雨達は時雨の部屋に集結して話し合いをしていた。京都全体に危機が迫っていることを知り、焦る賢昇だったが、それをリュウジンが止める。

 

リュウジン「シュテンドウジ…我が晴朗と共に戦っていた頃から奴のことは知っているが…奴は今の言葉で言うのなら“エンターテイナー”だ」

 

汰月「…確かに派手好きな感じだったけど」

 

リュウジン「その奴が“明日”に“宴”を行うと言ったんだ。そう言ったならそうする。そういう奴だ。…今無闇に動いても意味がない」

 

汰月「それに、普段の街と違って、俺達は京都に土地勘が無い。日も落ちた今に動き回ったって体力を無駄に消耗するだけだ」

 

賢昇「…分かったよ」

 

時雨「まずは落ち着いて作戦を立てよう。それでリュウジンさん、オオムカデって一体…」

 

 リュウジンと汰月の言葉を受けて納得した賢昇を横目に、時雨はオオムカデについて尋ねる。

 

リュウジン「…オオムカデは一言で言えば巨大な厄災そのものだ。凶暴かつ強力。奴が暴れれば、確かにこの京都の街はひとたまりもないだろうな」

 

時雨「…成る程……リュウジンさんの力で倒したり出来ないんですか?」

 

リュウジン「…出来ない」

 

賢昇「!何でだ。あれだけの力がありゃあ多少は…」

 

リュウジン「…オオムカデ、というモノノケはリュウジンの一族の天敵のような存在なんだ。リュウジンの一族を喰らう獰猛なモノノケ。奴には我の力が通じにくい」

 

汰月「…天敵……そうなると厄介だな」

 

リュウジン「晴朗の実力を以てしてもオオムカデを倒すことはついぞ叶わなかったほどだ。故に…今は五つの楔によってこの京都の地下深くに封印されている。…恐らく敵はその楔の力を消滅させることで封印を解こうとしているのだろう」

 

 リュウジンはオオムカデとはリュウジンにとっての天敵であると述べ、自身の力では倒せないと語ると同時に、オオムカデの封印や、敵がいかにして封印を解こうとしているのかについても語る。

 

時雨「それで、その楔っていうのはどこに?」

 

汰月「あ、地図はこれ使って」

 

リュウジン「ふむ。…この中だと…ここと、ここ、ここに…ここ、そしてここだな」

 

賢昇「…伏見稲荷、清水寺、東寺、二条城、慈照寺の辺りの五箇所か…。そんなとこに思いっきり楔なんかあったら、とっくに封印が破られてそうなものだけどな」

 

リュウジン「そう簡単に解けるような封印ではないはずだ。少なくとも…特別な素質を持つ陰陽師の一族の血を引く人間でなければな」

 

時雨「じゃあ、どうやって封印を…」

 

汰月「…恐らく淀川一茶に解かせる気なのだろう」

 

賢昇「淀川に…?」

 

汰月「ああ。…以前奴と戦った時、奴は自分なら真黒さんと違って焚書ドライバーの力に適合出来ると語っていた」

 

時雨「…!そっか。それなら確かにヌラリヒョンが一度切り捨てたはずなのにもう一度力を与えた意味も分かる…。それに焚書ドライバーは藍羽先生のドライバーを基にして作られているはずで…その本来の使用者は特別な才能を持つ陰陽師の血を引く朱井さんだった…」

 

賢昇「成る程…そういうことか」

 

 オオムカデを封印している楔が京都各所に五箇所あり、その封印を敵がいかにして解こうとしているのかについて推察する。

 

時雨「それで、その楔ってどう見つければ良いんですか?」

 

リュウジン「一般の者には見えないよう、一定以上の妖力を持つ人間にしか見えないようになっているが…仮面ライダーに変身出来るお前達であれば問題なく見れるはずだ」

 

賢昇「敵が来ることも考えると…仮面ライダーが五人必要ってわけか。氷雪を入れても俺達四人しか仮面ライダーいねえけど、どうすんだ?」

 

時雨「確かに。五人か…あ!そうだ。阿修羅ヨロイを使えば…」

 

汰月「そうか。あれなら一人増やせる」

 

賢昇「…あいつ、本当に大丈夫なのか?」

 

時雨「…きっと大丈夫だよ。ほ、ほら!前に分離した時もしっかり戦ってくれてたし」

 

リュウジン「それに賭けるしかないか…。まずはオオムカデの封印を解かせないことが最優先だ」

 

 封印の五箇所に対応するために阿修羅ヨロイの力と氷雪の力で挑むことを決める。

 

時雨「…明日の朝、すぐに出発して各地に向かおう。取り敢えず藍羽先生に事情を説明して、明日の朝に僕達がいなくても大丈夫なようにしてもらって…何としても修学旅行を守り抜こう!」

 

汰月「だな」

 

賢昇「おう!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

夢華「…それじゃあ、雪ちは朝から伏見稲荷まで行くの?」

 

雪音「ええ。私が請け負った楔のある場所は伏見稲荷ですから」

 

咲穂「まさか京都崩壊の危機とは…大変なことになりましたね」

 

夢華「…皆、修学旅行を守るために頑張ってるんだよね。…なら、私がやるべきことは……」

 

雪音「…夢華さん…?」

 

 時雨からの連絡で明日京都、そして修学旅行を守るために時雨達、そして雪音が行動することを知った夢華は、何やら覚悟を決めるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「それじゃあ…行ってくるね」

 

沢彦「良いのかな…俺達だけ楽しんで……」

 

時雨「良いんですよ。僕達の願いは皆が修学旅行を楽しんでくれることなので。皆も楽しんでてほしいんです。…その時間は絶対に僕達が守ってみせますから」

 

咲穂「時雨君…皆さん、頑張ってください」

 

雪音「ふふ、ありがとうございます」

 

汰月「星海も、しっかり楽しんできてな」

 

星海「…はい!ですが…汰月さんとも思い出を作りたいので…絶対に戻ってきてくださいね」

 

汰月「勿論」

 

賢昇「つーわけで行ってくるわ」

 

拓矢「…ありがとう。戻ってきたら一緒に全力で京都を満喫しような」

 

賢昇「ふっ…だな!」

 

聖「皆のことは私に任せてくれ。…せめてこれくらいは…やり遂げてみせるよ」

 

時雨「ありがとうございます!」

 

 翌日の朝、時雨、汰月、賢昇、雪音の四人は京都、そして修学旅行を守るべく行動を開始する。

 

《三倍装填!》

 

《ユキオンナ!》

《インストール!》

 

《妖魔!》

《霊魂!》

《幽冥!》

 

「「「変身!」」」

 

雪音「変身」

 

《融合装着!変化!

 

三位一体!阿修羅ヨロイ!》

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

凍結Blizzard!ユキオンナヨロイ!》

 

妖魔「よーし、次は…!」

 

《妖魔!》

《分離之刻!》

 

《霊魂!》

《分離之刻!》

 

《幽冥!》

《分離之刻!》

 

妖魔「…さあ、いこう!」

 

霊魂「ああ」

 

幽冥「おう!」

 

氷雪「ええ」

 

妖魔A「……」グッ

 

妖魔「…まあ、うん。大丈夫でしょ。……きっと」

 

 時雨、汰月、賢昇は妖魔 阿修羅ヨロイへ、雪音は氷雪 ユキオンナヨロイへと変身し、更に妖魔はそこから妖魔、霊魂、幽冥、妖魔Aの四人に分離する。

 そして妖魔の呼びかけに霊魂、幽冥、氷雪の三人は思い思いに応え、妖魔Aも「任せておけ」と言わんばかりのサムズアップをしてみせるのだった…。

 

咲穂「皆さん、頑張ってください。……あれ?桃原さんがいない…?」

 

 そして、そんな五人を見送る咲穂は夢華がいないことに気付く。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

──東寺近辺

 

妖魔「…五重塔…折角なら余裕ある状況で楽しみたかったな……ん?」

 

「うぁぁ…ぅぅ…」

 

妖魔「!あれが楔…もう既にキョウコツの分身が群がってる…!はああ!!」

 

「ぅああ!」

 

妖魔「はあっ!」

 

「うぅぅ…」

 

 東寺の辺りまでやってきた妖魔は、五重塔を見てこんな形ではなくもっと余裕ある状況で訪れたかったと零すが、楔に群がる分裂個体を発見し、頭を切り替えて剣状態の妖之弓剣で斬りかかる。

 

──慈照寺周辺

 

霊魂「……まさか今日もまたここまで来ることになろうとはね。…あれか」

 

「うぅ…」

 

「ゔぁぁ…」

 

霊魂「ふっ!ふん!…悪いけど、好きにはさせないよ」

 

「「うぅうあ…!」」

 

 慈照寺の辺りまでやってきた霊魂。昨日訪れたばかりの慈照寺にまた来ることになったことへ何とも言い知れない感情を抱くが、楔に取り付く分裂個体を確認し、銃状態の妖之斧火縄で撃ち抜く。

 

──二条城周辺

 

幽冥「二条城の近くだし…この辺りだよな…。どこだ?…あ?」

 

「うぅ…」

 

「ぁああ…!」

 

幽冥「あれか。…覚悟しろ!オラァァ!!」

 

「うぅう!」

 

「ぁあぁ…!」

 

 二条城周辺へやって来た幽冥はキョロキョロと辺りを窺い、楔を発見すると、そこに集まっていた分裂個体に対し、槍状態の妖之盾槍を構えて突撃する。

 

──清水寺周辺

 

妖魔A「……」

 

「うぅああ…」

 

「ぁああ」

 

妖魔A「……」

 

「「うぅあああ!」」

 

 清水寺周辺へ到着した妖魔Aは迷いなく楔を発見すると、襲来した分裂個体を妖之流星刀で斬り捨てていく。

 

──伏見稲荷大社周辺

 

氷雪「…ここですか」

 

「うぅ…」

 

「ぁああ…」

 

キョウコツ「ほう…ここに来たのは君だったか」

 

氷雪「…!淀川さん。…成る程、ある意味アタリ、というわけですね!」

 

キョウコツ「くくく…ハズレだよ」

 

 伏見稲荷大社までやって来た氷雪は楔を見付けると、そこへやって来た分裂個体とキョウコツ本体。

 氷雪は撃破すれば分裂個体を纏めて止められるかもしれないと考えると、キョウコツに向けてレーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーを構え、発砲する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

──渡月橋

 

夢華「タマモさん!」

 

タマモ「や、夢華ちゃん。答えが決まったんだって?」

 

夢華「はい。…皆が笑顔を守るために、夢のために戦ってて…その助けになれる力があるのなら……私、やっぱり仮面ライダーになりたいです。…ヒーローの資格なんてないのかもしれないけど……それでも、皆を守りたい。皆の幸せな時間を…夢を、守りたいんです。せめてそれが…私に出来る『償い』だから!」

 

 再びタマモに会うべく渡月橋へやって来た夢華。

 自身の出した答えについて問われると、今度ははっきりと望む道を示す。

 

タマモ「…そっか。やっぱり、夢華ちゃんはいい子だ」

 

夢華「そんなことは…」

 

タマモ「夢華ちゃんになら…託してもいいかな」

 

夢華「え?」

 

タマモ「アヤダマ、持ってるんでしょ?少し見せてもらってもいいかな」

 

夢華「あ、はい…」

 

 夢華の言葉を聞いたタマモは満足気に頷くと、夢華からテンコ電子アヤダマを受け取る。

 

タマモ「ふっ!」

 

夢華「!」

 

タマモ「っ…ふう、はい」

 

夢華「これって…まさか」

 

タマモ「ふふ、このアヤダマはテンコのでしょ?テンコっていうのはキュウビノキツネの前段階とも言えるモノノケでね。私の残ってる力をこのアヤダマに込めることで“キュウビ電子アヤダマ”に進化させたのよ」

 

夢華「…良いんですか?」

 

タマモ「ええ。私が持ってても宝の持ち腐れだからね。あなたのように力を誰かの役に立てられる者こそがこの力を持っているべきだと思うの」

 

夢華「…ありがとうございます!」

 

 タマモは夢華の持つテンコ電子アヤダマに自身の力を込めることで、キュウビ電子アヤダマへとパワーアップさせる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

妖魔A「……」

 

「うぅああ…」

 

「ぁうああ」

 

妖魔A「……」

 

《回転選択!》

 

《回転!大回転!》

《五星!一・撃・必・殺!》

 

妖魔A「……」

 

《五星閃撃!》

 

「うぅあああ…!」

 

「ぁあああ!」

 

「ぅああぅう…」

 

 分裂個体達を複数の手を用いて捌いていた妖魔Aは妖之流星刀に白色、緑色、朱色、橙色、黒色のオーラによる回転斬撃を放ち、分裂個体達を纏めて撃破する。

 

霊魂「ふっ…はああ!!」

 

「うぅ…」

 

「あぁああ…!」

 

霊魂「これで終わらせる」

 

《大蛇!》

《アヤダマ!》

 

霊魂「はっ!はあっ!はあああっ!!」

 

《アヤダマブラスト!》

 

「うぅああ」

 

「ぁあああ」

 

「ぅあぁ…!」

 

 霊魂は妖之斧火縄で分裂個体達を銃撃しつつ、近づいて来た一体に向かって投げつけることで怯ませる。

 そして、その隙にブラストモードのブンプクブラストフォンへ大蛇アヤダマを読み込ませ、連続で水の妖気の弾を発射して分裂個体を次々に撃ち抜く。

 

幽冥「どりゃあああっ!!」

 

「うぁああ…」

 

「うぅぅ…」

 

幽冥「ハッ、纏めてぶっ潰す!」

 

《鬼!》

《装填!一・撃・必・殺!》

 

幽冥「いくぜ〜?」

 

《鬼気槍撃!》

 

幽冥「うおらああっ!」

 

「ぅああ…!」

 

「ぁうああ!」

 

「あうぅおお…」

 

幽冥「ダアアアッ!!」

 

「「「うぅおおあああ!」」」

 

 幽冥は荒々しい身のこなしで向かってくる分裂個体を叩きのめしていくと、妖之盾槍にアヤダマを装填し、炎の金棒型のエネルギーを纏わせて大きくぶん回すことで分裂個体達を殴り飛ばして一箇所に集める。

 そして軽く跳躍して思い切り炎の金棒型エネルギーを振り下ろして叩きつけることで分裂個体達を纏めて粉砕する。

 

妖魔「はっ!はあっ!はーっ!!」

 

「うああ!」

 

「おああ…」

 

「うぅ…」

 

妖魔「決めます!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

《登竜剛撃!》

 

妖魔「はああああッ!!」

 

「「「うぅああああ!」」」

 

 妖魔は妖之弓剣を振るって分裂個体を追い詰めると、右脚に雷のエネルギーを集めて跳び蹴りを放ち、分裂個体達を纏めて蹴り飛ばす。

 

妖魔「ふぅ…なんとか守り切れたかな」

 

リュウジン『時雨!アレを見ろ!』

 

妖魔「え?…!?…アレは…!」

 

リュウジン『まさか…』

 

妖魔「あっちは……比叡山…!リュウジンさん、アレって…」

 

リュウジン『間違いない…オオムカデだ…!』

 

オオムカデ「ギシャア!!」

 

 楔を守り抜いた妖魔だったが、比叡山の方角から禍々しい光の柱が立ち、巨大な百足の頭部が現れる。

 その様を見てリュウジンはオオムカデの復活を確信し、その声を震えさせる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

氷雪「はああっ!」

 

キョウコツ「無駄だ…俺を倒すことは不可能!」

 

氷雪「っ…!」

 

 氷雪はキョウコツとその取り巻きの分裂個体相手に善戦していたものの、キョウコツを下手に傷付けると分裂個体が現れてしまうこともあって苦戦を強いられる。

 

氷雪「はあ──!なっ!」

 

キョウコツ「ふっ…終わりだああ!!」

 

氷雪「きゃっ…!」

 

 氷雪はキョウコツに向けてレーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーの銃口を向けるが、横から突然現れた分裂個体に弾き落とされて丸腰にされてしまう。

 そして攻撃を妨害された隙にキョウコツの鋭い爪による一振りで電書ドライバーを弾き飛ばされてしまい、変身解除してしまう。

 

キョウコツ「オラ!」

 

雪音「!……どうすれば…!」

 

「ぅあああ」

 

「おぉああ…」

 

雪音「!くっ…離してください…!」

 

キョウコツ「そう言われて素直に離すわけねえだろ。ここでオオムカデの封印が解かれるのを見てな」

 

雪音「!止めて…!」

 

キョウコツ「ハハハッ!いよいよだ!全部ぶっ壊しちまえ!!」

 

 生身になった雪音を分裂個体が取り押さえている間に、キョウコツは楔の封印を解く。

 すると、楔は溶け消え、次の瞬間に比叡山の方から光の柱が立ち昇る。

 

雪音「…そんな……!」

 

キョウコツ「ハハハハハッ!!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

妖魔「…僕達は全員倒した…なら」

 

幽冥『氷雪の奴がやられたのか…』

 

霊魂『…俺達は本体と出会ってない。つまり、本体は彼女の所へ行ってるってわけだ…』

 

妖魔「…まずは急いで向かおう!…ん?」

 

 阿修羅ヨロイの力で一度全員集合した妖魔達は、現在の状況について確認し、雪音の元にキョウコツの本体がいるのだと断定すると、助けに向かおうとする。

 しかし、動き出そうとしたタイミングで妖魔のブンプクブラストフォンへ着信が入る。

 

妖魔「桃原さん…?もしもし」

 

夢華『あ、晴っち。出たってことはやられたのは晴っちじゃなさそうだね』

 

妖魔「それが…雪音ちゃんが危ないかもしれなくて」

 

夢華『……そう。何となく嫌な予感はしてたけど…やっぱり雪ちだったか』

 

妖魔「それで、今から急いで向かおうと──」

 

夢華「その必要はないよ」

 

妖魔『え?』

 

夢華「…雪ちは私に任せて。晴っち達はあのオオムカデ?とかいうおっきいモノノケを止めてほしいんだ」

 

妖魔『…そう言うってことは、何か策があるんだよね?』

 

夢華「勿論。…お願い。私を信じてほしいの」

 

妖魔『…分かった。それなら僕達はオオムカデを何とかするから…雪音ちゃんのこと、よろしくね』

 

夢華「うん。任せて」

 

 妖魔へ連絡した夢華は、雪音のことは自身に任せ、妖魔達にはオオムカデを止めるよう伝える。

 

タマモ「行き先は決まった?」

 

夢華「はい。…伏見稲荷に」

 

タマモ「伏見稲荷ね。それなら私が送っていってあげる」

 

夢華「いいんですか?」

 

タマモ「勿論。狐火の力であなたを伏見稲荷まで送るけれど、危ないからしっかり掴まっててね」

 

夢華「わ。凄い、炎が狐に…」

 

タマモ「私の力を使いこなせるようになればこういう芸当も出来るのよ。…まあ、これは習得するのに数百年かかったけど…。何はともあれ、答えを見つけられてよかった。…頑張って来てね」

 

夢華「はい。…ありがとうございました!」

 

 覚悟を決めた夢華は電話を切ると、タマモに行き先を告げる。

 そしてそんな夢華のためにタマモは自身の狐火の力で送ると述べ、しっかり掴まるように伝える。

 桃色の炎で出来た狐を生み出し、その背に乗った夢華からの礼に優しく応えると、タマモは夢華を送り出すのだった…。

 

夢華「雪ち…!」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

汰月「…いいのか?」

 

時雨「…桃原さんは、誰よりも雪音ちゃんを大切な幼馴染として守りたいって思ってる。その気持ちをヌラリヒョンに利用されてしまうくらいに。…その桃原さんが雪音ちゃんのことは任せてと言うのなら…僕はそれを信じたいんだ」

 

賢昇「ならいいがよ。…どうすんだ?あれ」

 

リュウジン「どうやら今は封印のお陰で普通の人々には見つかっていないが…封印が完全に解けたら大騒ぎになるぞ」

 

 通話を切った時雨は、変身解除して汰月、賢昇と共にオオムカデへの対抗方法について考え出す。

 

汰月「時間もないし急がないとな…」

 

時雨「…あそこまで素早く向かえて、尚且つ巨大な敵を倒せる力…やっぱり龍神ヨロイ・真を使うしかないかな」

 

汰月「阿修羅ヨロイは飛行出来ないし、そもそも巨大な敵を倒すって感じの能力ではないからな。それが妥当か」

 

リュウジン「…いや、それは厳しいだろうな」

 

賢昇「何でだよ」

 

リュウジン「…昨日話した通り、オオムカデというのはリュウジン族の天敵だ。リュウジンの力でオオムカデを倒すことは…出来ない。奴の妖気は特殊でな。リュウジンの持つ妖気に触れると、その効果を減衰させる効果がある。故に…奴に我の力は通用しにくいのだ」

 

時雨「そんな…」

 

 阿修羅ヨロイは飛行能力のなさから却下され、空を飛べつつ高火力もある龍神ヨロイ・真を選ぼうとするも、それもオオムカデの特性から反対される。

 

汰月「…リュウジンの力では倒せないとしても…ヤマタノオロチの力ならどう?」

 

リュウジン「ふむ…成る程。…確かにヤマタノオロチの力であれば倒せるかもしれんな」

 

 リュウジンの力でダメならヤマタノオロチの力でなら倒せないかと尋ねる汰月に、リュウジンもそれでなら倒せる可能性はあると述べる。

 しかし、そこで新たな問題が発生する。

 

賢昇「けど、どうやってあそこまで向かうんだ?少し浮けるってレベルだろ、アレ」

 

汰月「それは確かに…」

 

時雨「龍神ヨロイ・真とか鳳凰ヨロイとか天狗ヨロイだと流石に人を抱えて飛びながら戦うのは難しいしなぁ…。せめてリュウジンブースターが使えれば…」

 

賢昇「!…それなら、アレはどうだ?龍神ヨロイから変身してた龍になるやつ!」

 

時雨「!そっか…アレなら…」

 

汰月「?」

 

リュウジン「…成る程、龍神ヨロイ単体では倒せずとも…猛龍之刻を使えば人を乗せての飛行戦闘もある程度は安定する。…それしかないな」

 

汰月「なんかよく分かんないけど、決まりだな」

 

 飛行手段には龍神ヨロイ・猛龍之刻の力を使うことを選び、時雨と汰月は立ち並ぶ。

 

賢昇「力になれなくて悪りぃが…頼んだぜ」

 

時雨「任せて!」

 

汰月「速攻で倒して終わらせる」

 

時雨「…いこう!」

 

《龍神!》

 

汰月「ああ」

 

《編纂之刻!》

 

《激怒!》

 

《装填!》

 

《大蛇装填!》

 

「「変身!」」

 

《憑依装着!変化!》

 

《編纂装着!変化!》

 

《逆鱗解放!龍神ヨロイ!》

 

《八重展開!八岐大蛇ヨロイ!》

 

妖魔「よし…!」

 

《猛龍之刻!

 

逆鱗抵触!龍神ヨロイ!猛龍!》

 

 時雨は妖魔 龍神ヨロイ、汰月は霊魂 八岐大蛇ヨロイへと同時に変身すると、妖魔は更に龍神アヤダマの上部にあるスイッチを押し込み、龍神ヨロイ・猛龍之刻へと姿を変える。

 

霊魂「おお…凄っ」

 

妖魔「汰月君、乗って!」

 

霊魂「ああ!」

 

妖魔「行くよ!!」

 

 霊魂を背中に乗せた妖魔は、オオムカデのいる比叡山目掛けて向かうのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雪音「きゃっ…!」

 

キョウコツ「ふん…変身出来なければただの人同然……ここで散れええ!!」

 

雪音「っ…!」

 

夢華「させないよ!」

 

雪音「…!?」

 

キョウコツ「何っ…うああ!」

 

 キョウコツに追い詰められ、その爪を突き立てられそうになった雪音だったが、そこに狐火に乗った夢華が駆け付け、キョウコツは狐火に弾き飛ばされる。

 

雪音「夢華さん…どうして……」

 

夢華「助けに来たんだよ。…それにしても、私の大切な親友をここまで傷付けるなんてさぁ…何してくれてるのかな?」

 

キョウコツ「……モノノケの力もないお前に何が出来る」

 

夢華「そうとは限らないよ?…これ、借りるね」

 

雪音「夢華さん…まさか!?」

 

 狐火が桃色の炎となって溶け消える中、夢華は険しい表情でキョウコツと対峙し、雪音の落とした電書ドライバーを拾い上げる。

 

夢華「私も…仮面ライダーになるって、そう決めたから」

 

キョウコツ「ふん。桃原夢華ァ…お前だって俺と同じく学園紛争の主犯だろう?それが今更ヒーロー気取りか?そんなの都合が良すぎるだろう。お前は罪人なんだよ!」

 

 夢華は電書ドライバーを装着して一歩前へ歩み出るが、そんな夢華にキョウコツは心無い言葉を浴びせる。

 しかし、夢華は怯む様子も見せず、キュウビ電子アヤダマを取り出しつつ反論する。

 

夢華「…確かに、あなたも私も罪を犯した。…だけど、私は償うと決めたの。皆に迷惑を掛けてしまった分、皆の幸せな時間も、笑顔も…夢も!私が守るって!そう決めたの!だから…皆の修学旅行を壊そうとするあなたの好きにはさせない!」

 

《キュウビ!》

 

雪音「夢華さん…いつの間に」

 

《インストール!》

 

夢華「変身!」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

幻影(げんえい) Illusion(イリュージョン)!キュウビヨロイ!》

 

キョウコツ「仮面ライダーになっただと…!?」

 

夢幻「私は仮面ライダー夢幻(むげん)!…覚悟、してもらおっか」

 

 夢華は自身の想いをぶつけると、キュウビ電子アヤダマを起動して電書ドライバーを操作する。

 すると、桃色の靄が夢華の体を包み込み、その身体を銀色の素体が覆う。そして靄が変化して装甲を形作ると、そのまま各所へと装着されていく。

 そうして姿を現したのは、狐の顔を模した頭部に、女性的なシルエットの大正浪漫を思わせる和装にも似た桃色の装甲を身に纏い、腰からはスカートのように九つの狐の尾が垂れ下がり、複眼は水色に輝く戦士…仮面ライダー夢幻 キュウビヨロイだった。

 

夢幻「はあっ!」

 

キョウコツ「ふん!…何っ!?」

 

夢幻「こっちだよーっと!」

 

キョウコツ「うぐああっ!!」

 

 夢幻はキョウコツ目掛けて駆け出し、キョウコツはそれを迎え撃とうと殴りかかるが、次の瞬間その拳は夢幻を通り過ぎてしまう。

 そして幻影の夢幻の姿が消え去った直後、横から夢幻が現れ、キョウコツを強烈な横蹴りで蹴り飛ばし、ガードしようとした右腕を粉砕する。

 

夢幻「狐だからね。変幻自在ってわけ」

 

キョウコツ「チッ…だが、俺にそんな攻撃は無意味だぞ!」

 

「ゔあぁ…」

 

「ぅうう…!」

 

「あ゛ぁあぁ…」

 

夢幻「あー、そういう感じなんだっけ。じゃあこれでいこうかな」

 

《アヤカシレーザーアタッカー!》

 

 キョウコツは二体の分裂個体と、先程粉砕された右腕から生み出された分裂個体を嗾けるが、夢幻は動揺せずにレーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカーを召喚して立ち向かう。

 

夢幻「はああ!はっ!はあっ!…はあーっ!!」

 

「ゔああ…!」

 

「ぁああ!」

 

「おああぅ…」

 

夢幻「まだまだ…!」

 

 夢幻はアヤカシレーザーアタッカーを軽やかに振るうと、分裂個体達を次々と薙ぎ倒す。

 

「うぅ…」

 

「あぁ…!」

 

「おぉあ!」

 

夢幻「ふふっ」

 

「うぅ…?」

 

「ぁあ…」

 

夢幻「化かされちゃったね」

 

 夢幻は幻を操る力によって分裂個体の放つ攻撃を回避しつつ木の上に出現すると、キュウビ電子アヤダマをアヤカシレーザーアタッカーに装填する。

 

《インストール!》

 

夢幻「終わりだよ」

 

《スペシャルムーブ!》

 

《幻影スラッシュフィニッシュ!》

 

「うあぁあぁ…!」

 

「おああぁぁ…」

 

夢幻「はぁぁ…はあーっ!!」

 

キョウコツ「何ぃ…!?」

 

夢幻「はああっ!!」

 

「うぅぅぁあ゛ぁ!」

 

夢幻「ざっとこんなとこかな?」

 

 夢幻はアヤカシレーザーアタッカーに桃色の炎を纏わせると、更に桃色の炎を八つ展開し、八つのアヤカシレーザーアタッカーに変える。

 そして、三本ずつを分裂個体のうちの二体に向かって飛ばして刺突や斬撃を放ち、残る二本と共に斬撃を放つことで最後の一体の分裂個体を撃破する。

 

キョウコツ「…まあ良い。どうせお前に、俺は倒せないのだからな!」

 

夢幻「面倒臭い能力だなぁ…」

 

雪音「…必ず、攻略法があるはず。それに何かを見落としてるような……」

 

妖魔『はあーっ!』

 

キョウコツ『うぎゃあああ!!!』

 

雪音「!…成る程、そういうことですか。…夢華さん!ちょっとこちらへ!」

 

夢幻「っと…何?雪ち」

 

雪音「キョウコツを倒す方法が分かりました」

 

夢幻「本当?」

 

雪音「ええ。昨日時雨君が交戦した時、彼は()()()()()()()()()退()()()んです」

 

夢幻「え?でもさっきから攻撃してもダメージは与えられてなかった気がする。…ってことは…」

 

雪音「恐らく、どこかに弱点があるんです。そこを見つけられれば…!」

 

夢幻「まあ、よく考えたらアヤダマになってるってことは基本的に倒されたってことだろうし…無敵なわけないか。成る程成る程。…そういうことなら、一ついい方法を思いついたから大丈夫」

 

キョウコツ「何をコソコソ話してる。お前達がどんなに頑張ろうと…俺は倒せないし、オオムカデは止められない!」

 

夢幻「それはどうだろーね。私はもうあなたの攻略法を見抜いたし…オオムカデは晴っち達が絶対に止めてくれる」

 

キョウコツ「ふん…くだらんな」

 

夢幻「じゃあ…試してみよっか!」

 

キョウコツ「!?」

 

「「「「「はああああ!!」」」」」

 

キョウコツ「っ…幻だと…!?」

 

 夢幻はキョウコツに対して啖呵を切ると、五人に分身して四方八方から攻撃を仕掛ける。

 咄嗟にキョウコツは胸の前で手を組んで防御姿勢に入るが、その身にダメージは入らない。

 

夢幻「見ーちゃった」

 

キョウコツ「何…!?」

 

夢幻「あなたの弱点…左胸…心臓の辺りなんだね」

 

キョウコツ「なっ…!」

 

夢幻「絶対無敵なら防御なんて必要ないのにわざわざガードしようとしてくれたお陰で分かったよ。まんまと化かされてくれてありがとね。──じゃ、終わりにしよっか」

 

《スペシャルムーブ!》

 

キョウコツ「〜〜っ…この小娘がァァ!!」

 

《幻影ストライクフィニッシュ!》

 

夢幻「はあっ!!」

 

キョウコツ「くっ……!?消えただと…!」

 

夢幻「残念!こっちでした!」

 

キョウコツ「なっ…!」

 

夢幻「なんてね!本当はこっちだよ!」

 

キョウコツ「!?くっ…ぐああ…!!」

 

夢幻「はあーっ!!」

 

キョウコツ「うぬああああ!!!」

 

 夢幻は電書ドライバーを操作すると、桃色の炎をその右脚に纏わせて跳び蹴りを放つ。

 その軌道に対して弱点たる心臓をカバーしようと防御姿勢を取ったキョウコツだったが、突然夢幻の姿が消え、背後から出現する。

 それに対応しようと振り向いたキョウコツだったものの、その瞬間再度夢幻の姿は消え、ガードの緩んだキョウコツの目の前に現れてそのまま左胸に跳び蹴りを叩き込んで地面へ転がす。

 

一茶「うぅ…こんな…はずでは…!」

 

夢幻「観念してもらおうか」

 

一茶「くっ…このままで…終わると思うなァァ!!」

 

夢幻「っ…雪ち!……逃げられちゃったか」

 

雪音「今のは一体…いえ、それよりも時雨君の方は……」

 

 元に戻った一茶を取り押さえようとした夢幻だったが、情けなくも必死な様子で狂骨アヤダマを拾い上げた一茶は叫ぶと同時に衝撃波を発し、夢幻が雪音を守ろうとした隙に姿を消すのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

オオムカデ「ギシャアア!!」

 

妖魔「アレだね!」

 

霊魂「デカいな…!」

 

オオムカデ「ギシャッ!」

 

妖魔「うわっ…危な!?」

 

 妖魔に乗ってオオムカデに接近する霊魂。

 オオムカデの放つ毒液を何とか回避し、攻撃の糸口を探る。

 

リュウジン『時雨!汰月!オオムカデはまだ封印が残っていることで力が弱っている。今なら倒せるはずだ。額の結晶を破壊するんだ!八岐大蛇ヨロイの力でならきっと壊せる!』

 

霊魂「任せて…!」

 

オオムカデ「ギシャア!」

 

妖魔「おっ…と…!」

 

 妖魔は口から雷のブレスを、霊魂はガトリングモードのクサナギガトリンガーから連続で弾丸を発射することでオオムカデを攻撃する。

 

霊魂「額の結晶体か。こうなったら…時雨!」

 

妖魔「はい!」

 

霊魂「俺が合図したら一気に高度を上げてくれ。同時攻撃で奴の額を狙おう」

 

妖魔「!…分かった」

 

 オオムカデからの攻撃を避けて牽制をしつつ、妖魔と霊魂はオオムカデ撃破のための作戦を固める。

 

妖魔「っ…!」

 

霊魂「……今だ!」

 

妖魔「はい!…いきますよー!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

オオムカデ「ギシャッ!?」

 

《逆鱗猛撃!》

 

妖魔「はあーっ!!」

 

オオムカデ「ギシャアア…!」

 

 妖魔は霊魂の合図で急上昇してオオムカデの顔面の目の前に移動すると、口から稲妻のブレスを放ってオオムカデを攻撃する。

 

霊魂「一気に決める!」

 

《一撃!必殺!》

《超!弾丸装填!》

 

霊魂「はあああ…はあーっ!!!」

 

《八重憤怒爆撃!》

 

オオムカデ「ギシャアアアアッ!!!」

 

 妖魔の攻撃がオオムカデの動きを僅かに止めたその隙に霊魂はクサナギガトリンガーのペンタブルバレルを引き、更にインクルードマズルを回転させて青色と黒色のオーラを銃口に集めると、八岐大蛇型のエネルギー弾を解き放ち、オオムカデへ次々に喰らい付かせ、爆散させる。

 

霊魂「…ふぅ」

 

リュウジン『…オオムカデの妖気が霧散していく。流石だな』

 

シュテンドウジ「いやぁ。…全くもって凄い力だ。父上の力は素晴らしい。オオガマがやられたのも納得だ」

 

妖魔「シュテンドウジ…!?」

 

霊魂「父上?」

 

シュテンドウジ「俺はヤマタノオロチの子供なのさ。…ま、お前が持つ大蛇アヤダマや、大蛇石とはまた別の、逃れた力の一部だけどな」

 

 オオムカデを撃破し、地面に降りて龍神ヨロイに戻った妖魔と霊魂の前にシュテンドウジが現れ、自身がヤマタノオロチの子であることを明かす。

 

リュウジン『そんな話をわざわざしに来たのか?』

 

シュテンドウジ「まさか、そんなに暇じゃねえよ。…こいつを目覚めさせるためにお前達を利用させてもらった」

 

リュウジン『それは…“血染めの桜”…!?』

 

シュテンドウジ「流石に分かるか」

 

リュウジン『何故それが…あの時破壊したはずだ!』

 

シュテンドウジ「そうだな。確かにこれは1000年前に破壊された。だが、俺達が密かに“血染めの桜”の一部を切り取って保存していたのさ。全ては…イザナミ様の復活のためにな」

 

妖魔「消えた…」

 

 赤い花を咲かせた桜の苗木を見せつけたシュテンドウジはリュウジンと問答した末に炎を振り撒いて姿を消す。

 

リュウジン「…イザナミの復活か…。まずいことになったな」

 

時雨「イザナミ…って確か日本の神話に出てくる昔の神様ですよね?国を作ったとか…」

 

リュウジン「…ああ。詳しいことは今度話すが…近い将来、イザナミが目覚めるかもしれない。そうなれば…この世界は滅亡の危機に陥るぞ」

 

時雨「滅亡!?」

 

汰月「…とんでもないことになったな」

 

 イザナミが復活することで世界が滅びの危険を迎えつつあることを知った時雨と汰月は驚愕するのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

一茶「こんな…こんなはずでは……」

 

シュテンドウジ「よう」

 

一茶「しゅ、シュテンドウジ…頼む…俺を捨てないでくれ…頼む…!」

 

シュテンドウジ「捨てたりなんかしねえさ。お前は十分に役目を果たしてくれた。それに…お前自身の力も覚醒したようだしな。俺の宴を最高に盛り上げてくれてありがとよ。さて…改めて迎え入れようじゃないか。ようこそ、反人間連合へ」

 

 ボロボロの状態で京都の街を彷徨う一茶を見つけたシュテンドウジは、その頼みを快く受け、改めて反人間連合へ迎え入れるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「これ、修学旅行のお土産」

 

調「わっ!八橋だ!」

 

時雨「凪桜ちゃんにはこれも」

 

凪桜「これって…ニャイトのキーホルダー…。しかも京都限定新撰組バージョン!良いの!?」

 

時雨「勿論。凪桜ちゃんに喜んでほしくて買ってきたんだし」

 

凪桜「えへへ、ありがと、時雨先輩。大事にするよ」

 

時雨「…うん」

 

 時雨から京都限定のニャイトのキーホルダーを受け取った凪桜は、顔を綻ばせて礼を言い、そんな凪桜の反応に時雨も嬉しそうに笑う。

 そして、その裏で時雨は密かに決意する。

 

時雨「……この世界、守らないとだね」

 

────

──

 

凪桜「……ふふ」(時雨先輩といると、胸がポカポカする。やっぱり時雨先輩は凄い人だ。これもきっと、時雨先輩の力だろうから)

 

 帰り道、凪桜は一人時雨から貰ったキーホルダーを見て笑みを浮かべていた。

 

雹介「やあ、ご機嫌だね」

 

凪桜「…ヌラリヒョン…!何の用…!」

 

雹介「そろそろあなたにお目覚めになってもらおうかと思いまして。…()()()()()

 

凪桜「…!何の話…?っ…離して…!…う……」

 

雹介「これで──おっと。はぁ…。君か」

 

都黎「…凪桜を離せ」

 

 凪桜の前に突然現れたのは雹介だった。やけに恭しく接したかと思うと、凪桜の腕を掴み、どこかへ連れて行こうとする。

 抵抗する凪桜だったが、雹介が手を翳して放った衝撃波を浴びせられたことで身動きを取れなくなり、そのまま連れ去られそうになってしまう。しかし、そこに都黎が闇夜月を振るって割って入る。

 

凪桜「都…黎…!」

 

都黎「…ヌラリヒョン。お前を…倒す」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

次回!仮面ライダー妖魔!

 

都黎「お前が凪桜に危害を加えようというなら…俺はお前を倒すだけだ」

 

雹介「手間を掛けさせてくれないでほしいのだけれどね」

 

都黎「凪桜を助けるために力を貸してほしい」

 

都黎の願い…

 

時雨「そうやって…皆の思いを、命を…弄んできたんですか…!」

 

都黎「俺達を計画の駒として生まれさせて戦わせて…!」

 

雹介「彼女は…この時のために生まれたんだ」

 

都黎「この呪われた運命を断ち切るために!」

 

時雨「僕達二人で、凪桜ちゃんを助けましょう!」

 

妖魔と暗夜、最強タッグ結成!

 

第参拾伍話「邪神出現…彼女との別れ」

 

凪桜?「この世界へやってくるのも…久しぶりじゃのう」

 

日曜午後9時!




第三十四話をご覧いただき、ありがとうございます!

今回は修学旅行編の後半であり、同時に夢華の変身した仮面ライダー夢幻の登場となりました。

夢幻のモチーフは九尾の狐であり、やっぱり妖怪モチーフの作品なら外せないだろうと思ってのチョイスではありますが、一般的には強敵感のある九尾の狐をなんで味方側の存在にしたのか、というのは皆さん疑問に思っているかもしれません。妖怪系の作品では邪悪な敵として描かれることも多いですし、五行とかに加えても良さそうな雰囲気はありますよね。(実際五行にいるシュテンドウジとオオタケマルと並ぶ日本三大妖怪の一角なわけですし)

まあその辺は色々と事情がありまして、九尾の狐っていうと悪い妖怪のイメージが強いかと思うのですが、実は九尾の狐自体は強い力を持つ妖狐の一種に過ぎず、邪悪な存在というよりは仙人的な方向性の神獣なんですよね。
日本でよく知られている九尾の狐(白面金毛九尾の狐=玉藻前)は国を転覆させようとした危険な妖怪になりますが、九尾の狐そのものは悪い存在ではない、ということから着想を得て、力は最終的には誰がどう使うかが大事だろうということを示すためにこういう形にしたものになります。

さて、長くなりましたが、今後の夢幻の活躍にもご期待いただけると幸いです!

今回は夢幻の変身ポーズ講座となります!
①電子アヤダマを右手で持って顔の少し下辺りに持ってきて、左手で起動します(持ち方は雪音と同じような感じです)。
②電子アヤダマを起動したら右手で電子アヤダマを持って電書ドライバーに装填します。
③くるっとその場でターンしつつ、右腕を一度顔の右横まで持ってきてから正面に伸ばし、人差し指と中指を揃えて手を上に向けた状態で相手を指差します。(アイドル的なイメージです)
⑤変身!の掛け声をあげて左手で電書ドライバーの画面右側の部分を左側に一度動かしてから、再度右側に戻します。

という手順となります!
淑やかさを重視した雪音に対して、夢華は元気な可愛い雰囲気をイメージしたものになっています!
お付き合いいただきありがとうございました!
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